2016-10-09 22:20:16 更新

概要

【メタルギア×艦これ】のSSです。

【メタルギア×艦これ】ありえないかも知れない一つの物語

【メタルギア×艦これ】天国の外側

【メタルギア×艦これ】グラウンド・ゼロズ

【メタルギア×艦これ】Vが目覚める 復讐の為だけに

の続きとなります。それらをお読み頂いてからこちらをお読み頂くと、よりこの作品を楽しめます。


前書き

艦隊これくしょん〜艦これ〜 と メタルギアソリッドのクロスオーバーです。
一応R-15(原作:PW基準)
PWからTPPをクロスオーバーでIFストーリー

地の文がふくまれる場合があります

キャラ崩壊があるかもしれません
ん。

オリジナル設定多々あり。

作者は携帯投稿が主流です。

文がおかしくなる事があります。

※重要 この作品は、『艦隊これくしょんー艦これー』と『メタルギアソリッドシリーズ』の二次創作です。実際の出来事、団体や組織、地名には一切関係ありません。


※最重要


このSSは、メタルギアサーガがら大きく外れたものになります。つまり、このSSからMG、もしくはMGS1に繋がることはありません。

以上が許せる方のみ、地獄から蘇った英雄(死者)の報復をご覧ください。







ダイヤモンド・ドッグズ所属艦娘




戦艦

長門、陸奥、金剛

3隻


正規空母

翔鶴、瑞鶴

2隻



軽巡洋艦

大井

1隻



駆逐艦


叢雲、吹雪、睦月、夕立、島風、雪風、暁、雷、電


9隻



工作艦


明石


1隻



給糧艦

間宮

1隻



練習巡洋艦


香取


1隻



以上18隻


第22話 コードトーカー





ミラー「ボス。遂に俺たちの部隊が、ある重要参考人の居場所を突き止めた」


スネーク「重要参考人?」


ミラー「あぁ。深海棲艦並びに艦娘について知る人物だ。 ”コードトーカー” と呼ばれている老人だそうだ」


スネーク「コードトーカー……。その老人はどこに?」


ミラー「太平洋にあるハワイ島だ」


スネーク「ハワイ島? バカンスを楽しんでる唯の老人と勘違いしていなんて事は無いだろうな」


ミラー「そんなわけ無いだろう。諜報班のスタッフが命懸けで手に入れた情報だ」


スネーク「それで? その老人を回収しろと?」


ミラー「そうだ。何故深海棲艦が現れたのか。正体は何物か。ようやくわかる時が来た」


スネーク「よし、ヘリを出せ」








〜〜〜











太平洋 ハワイ島近海上空












ミラー《深海棲艦についての情報を持っている老人 ”コードトーカー” を回収して欲しい。その老人を回収出来れば深海棲艦、ひいてはサイファーに対する力を得られるだろう》


パイロット《目的地に到着! どうかお気をつけて、ボス!!》


ミラー《そこから東に向かうと大きな豪邸がある。そこに軟禁されていると思われる。注意しろ、警備は厳重だ》


スネーク「わかった。………ん?」


ミラー《どうした?》


スネーク「霧だ………」


ミラー《ボス、警戒してくれ。奴らが来る!!》









草が揺れる音、足音。そういった音がここ一帯に響く。それは、誰かがこの場所にいることを示す。何者か? 言うまでもなく深海棲艦である。艦載機のモーター音が近づいている。それはこの近辺に、空母がいることを示しているに他ならない。












スネーク「空母だ………」


オセロット《そいつらは空母ヲ級だな。深海棲艦の中でごく一般的な空母だ。個体の戦闘力はそれほど高く無いが、辺りを徘徊する艦載機が厄介だ。機銃を撃たれたら、生身の人間はひとたまりもないぞ!!》


ミラー《いいか? 何としてもやり過ごすんだ》







幸いにも辺りには林が広がっている。身を隠すには最適だが、それは敵にも同じことが言える。空母が大破してしまえば、艦載機運用に支障が出る。空母本体が身を潜め、艦載機を徘徊させる。ダイヤモンド・ドッグズで用いる戦法の一つだ。


深海棲艦だけではこの様な戦い方はしない。スネークは確信する。サイファー。スカルフェイスが指揮している艦隊であると。









〜〜〜











匍匐で林を進んでいくと、林を覆っていた霧がいつの間にか晴れていた。連中も諦めたのだろう。





ミラー《よし! 霧を抜けたな。奴らは撒いたようだ。目的地に向かってくれ》


スネーク「まったく、随分と無茶な事をさせる」


オセロット《良く見つからずに済んだな。流石だ、ボス》


スネーク「豪邸ってのはアレの事か?」


ミラー《そうだ。そこの何処かに囚われているはずだ》


オセロット《連中の兵装、何処かしらの民間警備会社のだな。かと言って、気を抜けばやられるぞ!》


スネーク「わかってる。手加減はしない」


スネークの目の前には巨大な豪邸が佇んでいる。この島に観光で来ることはあっても、住み続ける人間は恐らくいないだろう。勢いは衰えたといえ、未だに深海棲艦の脅威は続いている。こんな豪邸を建てて住むのは、みすみす資産をドブに捨てるも同じだ。恐らく戦いが起こる前に建てられたものなのだろう。










〜〜〜








ハワイ島 とある豪邸 地下室






建物の地下に進むと辺りは暗くなり、蝋燭が立てられていた。蝋燭が無ければ何も見えない。それほどに暗い空間であった。










スネーク「ここか…………?」






一箇所、雰囲気の違う扉を見つけたスネークは、扉を開けてみることにした。床にも壁にも蝋燭が立てられており、その部屋の真ん中に一人の老人が座っているのが見えた。


扉を開けた事により、外からの風が部屋に吹き込み、蝋燭の火が消える。閉め切っていたのは炎が消えるからだろうか?






老人「待っておったぞ。お主が蛇 (ハブ) 、いや鬼 (ウニ) か………」



ミラー《そいつだ。コードトーカーと呼ばれている老人だ》


スネーク「あんたの力を貸して欲しい。俺たちと来てくれないか?」


コードトーカー「…………」


スネーク「日本人の様だが、あんた生まれはどこだ?」


コードトーカー「………まずは座れ。お前も、死ぬ事になるかもしれんぞ?」


スネーク「なに!?」


コードトーカー「座れ」



老人に言われるがまま、スネークはその場に腰を下ろす。すると蝋燭の炎によるものだろうか、少し落ち着いてきた。戦場に立っている緊張が解れ、疲れが一気に出てくる。




コードトーカー「良いか? 何も考えずに炎を見続けるのだ。今はまず、お前の身に降りかかるモノを取り除く。話はそれからだ」



老人はそう言うと、香を焚いた。「今は心を落ち着かせよ」と言われたので、スネークは言われるがままにしていた。側からみれば怪しい宗教団体の会合などに見えるが、老人はスネークに対し色々と言葉を掛けていく。


時間が経つにつれて、気分が楽になったという。自分はアロマセラピーを受けに来た訳でないと老人に伝えると、乾いた口を重く開けていく。



コードトーカー「今お前に施したのは、深海棲艦にならぬようにする為のものだ」


スネーク「……深海棲艦について、話を聞きたい。あんたなら奴らの事を知っていると、仲間が教えてくれた」


コードトーカー「……深海棲艦の正体は、『感情が具現化したもの』だ。ヒトが持つ感情。その中でも、憎悪、妬み、怒りといった『負の感情』が『怨念』となり、それが形を持ったものだ」


スネーク「目に見えない感情が、奴らの正体だと?」


コードトーカー「信用できないか? だが、お前も見たはずだ。憎悪によって深海棲艦へとなった物を」






《 髑髏顔「お前の姉妹は私が沈めた。奴らを使ってな。どうだ? 私が憎いか?」 》


《 響「許さない! 絶対に許さない!!!!」》








コードトーカー「深海棲艦に成らぬ為には、負の感情を抑える事だ。お前に施したのは、感情の隆起を抑える香を焚き、お前の中にある感情を抑える働きを与える。だが、効果は一時的なものだ」





この老人は俺たちにとって必要な人材であると。深海棲艦だけでなく、サイファーに対抗できる矛になるであろうとスネークは確信する。そして、老人に手を差し伸べる。


スネーク「…………俺と一緒に来て欲しい」


コードトーカー「私は奴らを研究していくにつれ、自身が行った研究を恐れた。奴らの正体を知った事で、自らの身が危うくなると。だからこの研究を封じた。だが…………」


コードトーカー「あの男が封を解き、深海棲艦はあの男に利用された」



スネーク「スカルフェイスか…………」


コードトーカー「逆らえば、私の故郷はまたかつての様に蹂躙される。私の研究で故郷を救うつもりが、新たな脅威に脅かされてようとしている。だが………」


コードトーカー「お前の訪問も、彼らの命(マブイ) を救うようにと言う神 (ウカミ) の導きかもしれん」


老人はそう言って、手を差し伸べる。スネークはその手を掴み、老人を背負う様にする。




スネーク「…………よし、行くぞ」








〜〜〜











スネーク「カズ! ヘリを寄越してくれ」


ミラー《了解》


コードトーカー「流石、噂に聞いたビッグボスだ。実に素早い動きだな」


スネーク「あんた、どこの生まれだ?」


コードトーカー「日本の西南部にある島。日本の最西端の県である沖縄だ。私はかつて、海軍に在籍していた。沖縄での惨劇を生き延び、東京の空襲を逃れ、大戦を生き延びたが、私の故郷はアメリカに占領された」


スネーク「沖縄生まれだったのか……。道理でその、訛りと言うか……」


コードトーカー「未だに、癖というものは抜けぬものだ。その後私は隠居生活を送っていたが、ある時日本の情勢が一気に変わっていった」


スネーク「………深海棲艦か?」


コードトーカー「そうだ。アメリカが日本に沖縄を変換したのも同時期だ。未知の存在に、流石の米国も恐れをなした。沖縄が戻ってきたと喜ぶ者もいたが、真相を知っている者からすれば向こうが所有を放棄したに過ぎん。腫れ物の様にな」


パイロット《こちらピークォード、ランディングゾーンに到着!!》


スネーク「話は乗ってから聞かせてもらうぞ?」


ミラー《ターゲットをヘリに乗せろ》












ーーMission Info Updatedーー











ーーMission Completedーー














ヘリ機内













スネーク「深海棲艦にならない様にする方法はないのか?」


コードトーカー「…………防ぐことはできるが完全ではない。人間の負の感情が深海に潜む邪気と共鳴する事で深海棲艦へと姿を変えるのだ」


コードトーカー「最良の対策は海から離れる事だが、それが出来なければ感情の隆起を抑える事だ。むやみやたらに感情を出してはならぬ」


スネーク「俺の下にいる艦娘が深海棲艦になったが、姿を取り戻した。それについて何か知っている事はないか?」


コードトーカー「…………それはお前だけでなく、仲間にも話してやるべきだろう。ところで、アメリカから発っている船団を知っておるか!?」


スネーク「それなら、俺たちが抑えたことがある。確か中身は、鉄鉱石を主に含んだ容器と、イエローケーキが収められた密閉容器………」


コードトーカー「その中身は………」



パイロット《機体前方に霧が発生!!》





コードトーカー「来たか…………」













ーーTo Be Continuedーー









第23話 極限感情寄生体









ヘリ機内








パイロット《機体前方に霧が発生!!》


コードトーカー「来たか…………」


スネーク「回避しろ」


パイロット《駄目です! 範囲がここ一帯に広がっています!!》


スネーク「速度落として適宜対応しろ!」


パイロット《了解。速度を落として航行します》


スネーク「ベルトを締めさせてもらうぞ」


コードトーカー「よいか! 何も考えてはならん!!」


スネーク「何!?」


パイロット《前方に敵艦載機確認! 距離およそ1000M!!》


スネーク「回避しろ!!」


パイロット《間に合いません!! 衝突します!!!!》


スネーク「身を屈めろ!!」






とっさの出来事であるが、対ショック姿勢をとった事で、敵艦載機の衝突によるショックで身体を強打した者はいなかったようだ。だが………







パイロット《駆動系がやられました!! 制御できません!!》









プロペラの回転が徐々に遅くなる。このままではいずれ回転が止まり、急降下することとなるだろう。







スネーク「墜ちるぞ!! 何かに捕まれ!!!」






次の瞬間、ヘリは高度を下げていく。身体に強烈なGが掛かり、身体が宙に浮く。機体が地面に落下する爆音を最後に、スネークの意識はなくなってしまった。













〜〜〜









ーース……こ……かーー






ーース………スネーク!ーー








ノイズ混じりの声が機内に響く。声の様子から、長い間呼びかけていたのだろう。



ミラー《ボス! 聞こえるか!?》






スネーク「あぁ………大丈夫だ」


ミラー《ターゲットは?》






スネークは老人の首筋に手を当てる。脈はあるようだ。呼吸も問題ないとミラーに伝える。そしてどこに堕ちたのかを尋ねた。






ミラー《あんたのヘリを最後に確認したのは、サモアと呼ばれる国だ。状況はどうだ?》


スネーク「少し待ってくれ。………っと」







スネークはヘリから身体を乗り出し、外へと出る。霧に覆われたままで視界は悪いが、ヘリの状態は確認できた。


スネーク「………派手にやられたな。ローター部分がイカれてる」


ミラー《ボス。あんたの周りが霧で囲まれた。追加のヘリが出せない》





スネークは老人をヘリから降ろそうとした。いつ機内の物が落ちるかもわからないからだ。ヘリから身体を下ろしていると、意識を取り戻したようだ。そして切羽詰まる口調で話す。






コードトーカー「急げ………。奴らが来る………!!」







その言葉と同時に、身体が揺れる。いや、実際は地面が、この島自体が揺れているのだ。




スネーク「うおっ!!」


コードトーカー「大地の揺れ………まずいぞ!!」


ミラー《ボス! 深海棲艦の反応だ!!》


スネーク「分析は?」


ミラー《少し待ってくれ。いつもと違う反応だ。俺たちが今まで邂逅したことのない種類だ》





ミラーからの無線の後、すぐにオセロットからの無線が入った。




オセロット《ボス、あんたの近くにいるのは ”港湾棲姫" と呼ばれる深海棲艦だ。陸上施設である軍港が深海棲艦になったものだが、あんたが見ているのはそうじゃない。あんたの居るその島自体が深海棲艦として姿を現している!!》







島から少し離れた沖合に、その姿を確認できた。今まで見てきた深海棲艦とは大きさがケタ違いである。なるほど、 "陸上施設が深海棲艦になった" というだけのことはある。









コードトーカー「これ程のものが生まれるとは………」


スネーク「カズ! 艦隊をこっちに寄越せ!!」


ミラー《今残っているのは………いや、警備や遠征に当てた艦隊がある。そいつらを回そう。こちらからもなるべく早く支援を行えるようにする!》


スネーク「わかった」


コードトーカー「………囲まれたぞ」


スネーク「何!?」


コードトーカー「………奴らを、侮るな。寿命を縮めることになるぞ」


スネーク「くっ………オセロット!! ありっけの武器をよこせ」


オセロット《了解!! 》






《Supply Drop》





ミラー《来るぞ!!!》







スネーク武器を片手に、深海棲艦へと銃を放つ。的確な狙いで、一隻、二隻と仕留めていく。だが、スネーク達を包囲する深海棲艦の数が減ることは無かった。








港湾棲姫「ナニモ……ナニモ……ワカッテイナイ…………」









不気味な声で発した"何もわかっていない" とはどういう意味だろうか。いや、考えようにも敵の攻撃が激しく、考えることに意識を割く猶予はない。



叢雲《ボス! 待たせたわ!!》


スネーク「陸の方にも湧いてるんだが、今は港湾棲姫を潰してくれ!」


叢雲《……わかったわ。生憎、駆逐艦だけの編成なんだけどやってみるわ。陸に上がっているのは、恐らく港湾棲姫が呼び出したものかしらね。なるべく早く沈めるわ》


スネーク「あぁ。頼むぞ!」




港湾棲姫のいる方を見ると、爆発が見える。早速はじめたようだ。まずは港湾棲姫を潰してもらわないことには終わらない。





〜〜〜










スネーク「おい………そろそろ、押されてきてるぞ………ぐっ!!」






深海棲艦の放った砲弾が、スネークの近くで爆発する。幸いにも直撃は免れたが、爆風で身体が吹き飛ばされた。





ミラー《ボス!!》


スネーク「おい! まだか!?」


叢雲《少し手こずってるわ。………少し、不味いかも………》


スネーク「カズ! そっちから送った艦隊は?」


ミラー《たった今、フィジー共和国を超えた。もうすぐだ!!!》




その直後、再びスネークの近くで爆発が起こる。先ほどと同じように直撃は免れたが、これが後に大きな悲劇を誘うこととなる。





スネーク「くそっ……。弾詰まりだ」






スネークが引き金を引いた瞬間に爆発が起きた。手にしていたのはアサルトライフルであり、薬莢は自動的に排出されるものだ。しかし運悪く、排出すると同時に爆発に巻き込まれたため、熱によって溶けた薬莢が、排莢口にペットリと張り付いてしまった。







オセロット《残りの手持ちは?》


スネーク「歩兵用ロケットランチャーが3発。ハンドガンが………残り40発」


オセロット《予備の弾倉をおくる。持ち堪えろ!!》






通信終了直後、再び大地が揺れる。大地の揺れに共鳴し、海が暴れ、波が島を襲わんとする。島を飲み込むほどの威力ではなかったが、この波がさらなる悲劇を呼ぶこととなった。




ミラー《ボス!! 深海棲艦が接近している。邂逅まで、距離30。南南東から来るぞ!!!》





ミラーがさした方向をみると、数々の深海棲艦が海から這い上がってくる。恐らく、先ほどの揺れは深海棲艦を生み出すもので、あの津波は奴らが引き起こしたものだろう。生きる物を深海へと誘おうとする禍々しさに、人は恐れ慄くのかもしれない。港湾棲姫の発した、 ”何もわかっていない” という言葉の意味を、ここにきてスネークは理解したのだ。





”敵の狙いは老人ではなく、自分なのだ” と。陸に上がっている深海棲艦はコードトーカーでなく、自分に狙いを定めている。簡単に殺せる老人に目もくれず襲ってくる連中を、厄介な者から片付ける ”つもり” なのだと思っていたのだ。


そして、これもまたスカルフェイス、サイファーの企みであったのだと悟る。 そんな考えをしているうちに、深海棲艦自分に砲口を向けている。間髪入れずに撃ってきたが、持ち前の反射神経で回避する。


だが、この ”考える” という行動に後ろ髪を引かれ、反応が少し遅れてしまった。結果、いままでより近い距離で爆発が起こり、体が勢いよく吹き飛ばされ、身体を強打する。


目が回る。視界がぼやける。中でも今まで体験したことのない、色の判別ができないという現象。様々な異常が体を襲う。さらに致命的なのは、右手が動かなくなってしまったのだ。動かせば肩に激痛がはしり、腕に力が入らない。



そんなスネークに構わず、深海棲艦は距離を縮めてくる。必死に抵抗を続けるも、身体は満足に動かない。肩が、膝が、全身のあらゆる場所が悲鳴を上げる。


自身の死を悟ったその時、海上から轟音が鳴り響く。





叢雲《っ……!! 砲撃!?》





それは、後方から砲撃音だった。敵の奇襲かと警戒するが、何のことはない。金剛率いる味方の援軍であった。


戦艦の火力により、港湾棲姫は海へと沈んでゆく。それに伴い、空を覆う霧が晴れ、陸の深海棲艦の活動も沈静化し、海へと引き返す。



スネーク「…………やったか」


ミラー《ボス!! 無事か!?》


スネーク「あぁ……。なんとかな」


ミラー《ターゲットは?》


スネーク「そっちも問題ない。っ……………」


ミラー《どうした!?》


スネーク「…………腕の骨がやられただけだ。ヘリを2機飛ばしてくれないか? 奴らもヘリで帰投させてやれ」


ミラー《……了解。ヘリを送ろう。それと、オセロットがコードトーカーと話がしたいと。同行させて構わないか?》


スネーク「あぁ。構わんが?」


オセロット《済まないな、ボス。色々と聞きたいことがあってな》











ーー数分後ーー










オセロット《ボス!!》


スネーク「おいおい……、いつの間にこんなものを……」




オセロットが乗ってきたヘリは、いつもの物ではなく、CH-53と呼ばれる大型輸送ヘリであった。アメリカ海兵隊の強襲作戦の為に作られた物だが、海兵隊のみならず、アメリカ海軍などにも愛用されている重量物輸送ヘリコプターである。



オセロット《派遣していたスタッフが鹵獲した物だ。全員乗せても問題ない。さぁ、乗ってくれ!》












珊瑚海上空 ヘリ機内











オセロット「ご老人。あんたは深海棲艦について、数多くの情報を持っていると聞いた。いま一度、ここにいる全員が、あんたの教えを請いたいと思っている」


コードトーカー「具体的に話せば深海棲艦の正体は、深海を彷徨う邪気 "怨念” だ。その怨念が自身で姿を持ったものを、我々は深海棲艦と呼ぶ」


コードトーカー「だがここ数年は、怨念が負の感情を持った者に共鳴し、その者に取り憑いた物が多い。いや、寄生と言うべきか。そなたらもあの霧を見ただろう。あれこそ、深海を彷徨う邪気だ」


コードトーカー「邪気は意識を乗っ取り、宿主の身体に甚大な損壊をもたらす」


オセロット「巷では、深海棲艦になるのは艦娘と言われているが、人間はどうなんだ?」


コードトーカー「その話は、半分が正解だ。人間、艦娘、どちらも深海棲艦になりうる存在だ。スカルフェイスはそれを………」


オセロット「………リンガ泊地で行われていた人身売買は、まさか!?」


コードトーカー「そうだ。だが、人間によって生まれる深海棲艦はごく僅か。仮に生まれたとしてもひ弱な個体しか生まれる事はない。それに、人間より艦娘の方が深海棲艦となる確率が高く、最も危険な存在となる」



叢雲「どういうこと? 深海棲艦に対峙できる私たちの方が危険だっていうの?」


コードトーカー「………人間は、生まれながらに負の感情を持っている。それに意識を委ねる事も、抑えることもできる。深海棲艦になるのは感情が爆発し、爆発した感情が乗っ取られる事により姿を変える。人間は、感情を抑制する力がある為、確率的には艦娘よりかは低い」


コードトーカー「だが艦娘は違う。生まれながらにして持つのは潔白だ。負の感情を持って生まれる事がない艦娘は、1度でも負の感情を埋め込まれればなす術はない。白紙に墨を落とせば墨は落ちる事はない。それと同じ事なのだ。純真無垢ほど、恐ろしいものはない」


スネーク「あんたがさっき言いかけていた、船団の積荷は何なんだ?」


コードトーカー「積荷はウランで間違いないのだな?」


オセロット「あぁ。全員が確認した。長距離弾道ミサイルに積むほどの量ではないがな」


コードトーカー「……スカルフェイスは、ウランを深海棲艦の武装に組み込もうとしているのだ。世界で確認された深海棲艦に艦砲を撃たせれば、核を散布させるも同じだ」


スネーク「オセロット、確か深海棲艦の武装は、艦娘の艤装と互換性があると言ったな?」


オセロット「あ、あぁ。だが、艦娘の艤装が深海棲艦も扱えるというだけで、艦娘が深海棲艦の物を扱えるかどうかはわからない。………そうか、だからエメリッヒが必要だった!!」


ミラー《スカルフェイスからすれば、サラマンダーはただの見掛け倒し、本命はそっちだったのか!!》


オセロット「深海棲艦は、スカルフェイスには攻撃しない。奴が俺たちの真似事をすれば、スカルフェイスの独占マーケットになる。核の脅威が薄まり、米ソの所有する核の抑止力も無いに等しい」


金剛「それって、どういうことデスか?」


スネーク「かいつまんで言えば、深海棲艦と、スカルフェイスを火種にした第三次大戦になり兼ねないということだ」


夕立「うーん、夕立にはちょっとわかんないっぽい……」


叢雲「どうして深海棲艦はあの男に付き従うの? 深海棲艦の狙いは何なのよ?」


コードトーカー「深海棲艦の行動は、ある意思によって突き動かされる。何かわかるか?」


金剛「………嫉妬デスか?」


コードトーカー「あながち間違っていないな。正解は、 ”報復” だ」


叢雲「あいつらの、”許せない” って言葉。確かに、復讐の様にも取れるわね」


コードトーカー「深海棲艦は強い報復心によって突き動かされる存在だ。あの男は、報復心の塊だ。あの男の報復心に呼応され、深海棲艦は奴に付き従うのだ」


オセロット「1度深海棲艦となったものが、再び元の姿に戻る事はあり得るのか?」


コードトーカー「……そうか。もうそこまで知ってしまったのか。自身の目で見たのだろう? であれば何も言う事はない」


オセロット「何故、元の姿に戻る?」


コードトーカー「あくまで推測の域だが、怨念が精神を蝕むまでに猶予があるのだろう。仮にこれを『魂の浸食』と呼ぶ事にしよう。魂の侵食が完全に終わるまでに何かしらのトリガーがあれば、元の姿に戻す事も可能かもしれん」


オセロット「ご老体にも知らない事が?」


コードトーカー「その研究は封をした。二度と世に出る事のない様にな。おいそれと、広言したくは無いのだよ」















第23話 極限感情寄生体 完















第23.5話 改造技術












ラバウル基地












ミラー「スネーク。コードトーカーから、ある提案が届いている」


スネーク「何だ? 」


ミラー「何でも、俺たちの元にいる艦娘はかなりの練度を積んでいるらしい。練度を積めば ”改造” を施す事によって、さらなる能力の上昇に繋がるらしい。中でも、改造を超えた改造 ”改二” を行える者もいるらしい」


スネーク「ほう。なぜ今になってそんな事が?」


ミラー「今まで詳しく話さなかったが、ここラバウル基地には妖精が居るものの、能力は高くない。実際のところ、日本でも妖精の数が減っているんだ」


スネーク「つまり、優秀な妖精が見つかったと?」


ミラー「コードトーカーが隠し持っていたようだ。ここで話を聞いているうちに、妖精自身が顔を出してきた。すると、ぜひ艦娘の改造をさせて欲しいと」


スネーク「あの爺さんの提案というより、妖精の提案だろう?」


ミラー「そうだな。まぁ爺さんの後押しもあってこそ、今あんたに相談している訳なんだが………。どうだ? やってみるか?」


スネーク「いいだろう。任せたぞ」


ミラー「了解だ」










〜〜〜














ーー数時間後ーー











ミラー「ボス、所属する全艦娘の改造が終わった」


スネーク「そうか。どうだ結果は?」


ミラー「改二は見違えるぞ。改は………まぁ、能力は向上しているな」


スネーク「ほう。その ”改二” とやらは、誰が行った?」


ミラー「駆逐艦は叢雲、吹雪、睦月と夕立の4隻。戦艦は金剛型全員だ。また、翔鶴についてだが、改二の見込みはあるものの現状では不可能と断定された」


スネーク「何かあるのか?」


ミラー「あぁ。何でも ”試製甲板カタパルト” と ”改修設計図” と呼ばれるものが必要らしい」


コードトーカー「何か、困りごとか?」


ミラー「爺さん。あんたが提案した改造についてだが、翔鶴を改二へと改造するには特別な物が必要らしい」


コードトーカー「そうかそうか。それは改修設計図であろう?」


ミラー「それと試製甲板カタパルトな」


コードトーカー「そうであれば、私が用意しよう。そうだ、あの博士を貸してもらえぬか?」


スネーク「エメリッヒのことか? まぁ、構わんが」














〜〜〜












ーー数時間後ーー








コードトーカー「待たせたな。ほれ、試製甲板カタパルトだ」


ミラー「爺さん、あんたボケてるのか? 改修設計図も必要だと言っただろう!」


コードトーカー「あんな物は必要ない。私があの代わりになる」




スネーク「……?」⊃アナライザー⊂







Code Talker





研究S++ 医療A++



スキル 艦隊工廠技術



研究開発班に所属させると、艦娘の修理時間を短縮。改造時に資源の消費を抑え、改修設計図を消費しない。





スネーク「……………」


ミラー「あんた、カタパルトはまさか…………」


コードトーカー「それの設計図を私が所有している。あの博士に渡して造らせただけだ」








ーー全提督涙目のご都合主義誕生の瞬間であるーー







スネーク「……………」


コードトーカー「どうした?」


スネーク「いや、何でもない」


ミラー「じゃあ、これを使って改造させて良いんだな?」


コードトーカー「私も立ち会わせてもらうぞ。妖精だけでは改造できんからな」


スネーク「 (もう、お前がやれよ………) 」














ーーさらに数時間後ーー










ミラー「ボス、翔鶴の改造が終わった」


スネーク 「そうか……」


コードトーカー「翔鶴の艤装は、他の艦娘と少々異なる点があったぞ」


スネーク「どういうことだ?」


コードトーカー「今回の改造は改二への改造だが、翔鶴はコンバート改装が可能な艤装であった」


スネーク「コンバート改装?」


コードトーカー「本来、改造を行ってしまえばそこで改造は打ち止めだ。しかし、翔鶴の改造は改二である正規空母から自由なタイミングで装甲空母への改造が可能となる」


ミラー「つまり、あんたの指示があれば改造によって正規空母、装甲空母のどちらでも運用可能ということだ」


コードトーカー「ただ、改造には同様に資源を消費するという事は忘れるでないぞ」


スネーク「…………」


ミラー「まぁ、とりあえず全員を集めておいた。顔を出してやってくれ」







〜〜〜














スネーク「ここか?」


叢雲「あら、ボス。やっと来たのね」


スネーク「…………お前ら、随分と見違えたな」


夕立「もう何にも負けないっぽい!!」


大井「すぐにでも魚雷撃ちたい気分ですよ?」


スネーク「ほう。なら、新たなお前達の実力を図る為に演習を行ってもらおう。いいな、カズ?」


ミラー「了解だ。編成は追って伝える」


一同「了解!!!」















ーー数時間後ーー











スネーク「能力が上昇するというのは本当のようだな。明らかに強くなってる」


ミラー「そうだな。こちらとしても、扱いやすくなる」


スネーク「ところで、サイファーの動きは?」


ミラー「まだ確認できていない。まぁ、全員が強くなっているし、多少の無茶はしてもらう事になるな」









第23.5話 改造技術 完













第24話 惨劇の生存者 その3














ラバウル基地 司令部









大井「失礼します」


ミラー「来たか。早速だが、あんたに二つ知らせたい事がある。良い報せと、良くも悪い報せ、どちらを先に聞く?」


大井「さっさと済ませてもらって良いですか? 私これか色々と忙しいので」


スネーク「いいから、どちらか選べ」


大井「………じゃあ、悪い方で」


ミラー「わかった。じつは先程、インド洋において深海棲艦の存在が確認された。インド洋に出現するケースは稀だ」


大井「それだけ? もう一つの方はなんですか?」


ミラー「あぁ。それで、良くも悪い報せなんだが……、この写真を見て欲しい。この写真に写っているのが、今回発見された深海棲艦だ」


大井「…………これって!!」



スネーク「間違いないな?」


大井「えぇ。北上さんよ………。これ………」


ミラー「あの爺さんの考えに則るなら、こいつを元に戻すにはお前の力を借りる事になる」


大井「…………」


ミラー「だが、元の姿に戻る確証もない。お前はこいつに武器を向ける覚悟はあるか? その覚悟がなければ、今回はここに残れ」


大井「っ………」


ミラー「元に戻るかどうかに関わらず、奴とは一戦交える事になる」


大井「……やりますよ。連れて行ってください」


ミラー「………わかった。すぐに手配する」







〜〜〜







インド洋 アラビア海上空









ヘリ機内









ミラー《今回の任務は、ここインド洋で発見された深海棲艦の排除だ。大井の発言通り、その深海棲艦はかつて俺たちの仲間だった北上に酷似している》


スネーク「優先は保護で良いのか?」


ミラー《そうだな。だが、止む終えない場合は沈める事になる》


スネーク「そうならない事を祈るがな」






・・・・・・








大井「 (あの深海棲艦が北上さんだったとして、私はどうすれば良いの?) 」


大井「 (私にとって、北上さんは大切な人。でも…………) 」


大井「 (でも、ボスも同じくらい、大切な人。私は、どっちをとればいいの?) 」


スネーク《…い……》


大井「 (北上さんと歩むか、ボスと歩むか………。私は………) 」


スネーク《おい、大井! 》


大井「なっ、なんですか!?」


スネーク《見つかったか?》


大井「ま、まだですよ!」


翔鶴「もう少し、索敵範囲を広げます」


スネーク《こっちでも、あいつを使って調べているんだがなぁ……》


空母棲鬼《………》


翔鶴「大丈夫なのですか? 危害を加えないとはいえ、仮にも深海棲艦ですよ?」


スネーク《……何回も聞かされる身にもなってみろってんだ》ボソッ


翔鶴「何か仰いましたか?」


スネーク《いや? 何も言ってない》


空母棲姫《…………》


スネーク《おぉ…こいつが本気になった》


叢雲「その深海棲艦、一体どういうことなの? 姿を変えることができるなんて……」


スネーク《さあな》




IDROID《Our troop here target confirmed》



スネーク《……見つけたか》


翔鶴「わ、私じゃないですよ?」


叢雲「えっ!? じゃあ」


スネーク《こいつだろ? 全くたいした腕だ》


空母棲鬼《………》


叢雲「…………」


スネーク《そら、向かうぞ》


パイロット《目的地に向かいます》


大井「え、えぇ………こちらも向かいます」







〜〜〜







北上? 「…………」


叢雲「ホントに見つけてた………」


長門「だが、敵艦隊の数も多い。どうするか……」


翔鶴「敵に気付かれました!!!!」


スネーク《一先ず、敵艦隊を沈めて、目標の動きを止める!》


叢雲「なら、指示を!」


スネーク《翔鶴は後方で有りっ丈艦爆を飛ばせ!》


翔鶴「了解です!」


スネーク《叢雲、夕立、吹雪は翔鶴の援護を》


叢雲・夕立・吹雪「了解!」


スネーク《そして長門は敵艦隊を沈めろ!! 間違っても奴に当てるなよ?》


長門「了解した!」


大井「ボス、私は?」


スネーク《お前は中軍で待機だ。覚悟を決めてから長門と合流しろ》


大井「………ありがとう、ございます」


スネーク《行け!!》






・・・・・・







大井「 (覚悟なんて、最初から決まっていたわ) 」


大井「 (私は、どちらも捨てない! 北上さんを連れて、私たちの家に帰るのよ!!) 」


夕立「っ!! 大井さん、直上!!!」


大井「えっ!?」


大井「 (うそ……此処で、沈むの?) 」


大井「 (嫌だ………私は……北上さんを連れて………) 」


長門「ふんっ!!」ガンッ


吹雪「長門さん!!」


長門「長門型の装甲は、伊達ではないよ!!」ブンッ


大井「長門さん…………」


叢雲「長門さん、腕は!?」


長門「大事ない。大井、覚悟は決まったか?」


大井「………もちろんよ。私は、何がなんでも北上さんを連れて帰るわ!!」


長門「フッ、それでこそだ。さぁ、お前が旗艦だ。指示を出せ!」


大井「……何としても、北上さんを連れて帰ります!!」


一同「了解!!」


大井「大井、行きます!!!!」












・・・・・・






スネーク《どういう事だ?》


叢雲「どうかしたの?」


スネーク《敵艦隊の数が減っている……》


吹雪「向こうが諦めたのかな……」


長門「いや、罠の可能性も捨てきれない。注意すべきだと思うが………」


夕立「あ、あれ!!」


叢雲「えっ!? なにあれ、同士討ち!?」


長門「なっ! どういうことだ!?」


大井「………皆さん、ここは私が行きます!」


吹雪「……わかりました!」


夕立「夕立たちは、周りの敵をしずめてあげる!」


長門「露払いは任せておけ!」


大井「はい! ありがとうございます」





北上?「………」」


大井「北上さん………やっと貴女のもとに来れました。貴女を、何としても連れて帰ります!!」


北上?「………」


大井「気合い入れなさいよ、私!!」


北上?「!!!!!」ダンダンッ


大井「っ………!! 行きます!!!!!!!」ダンッ







………


……………


…………………










ーー《っ!! お、大井っち!? 来てくれたの?》ーー



ーー駆逐イ級「!!」ーー



ーー《こいつ! 大井っちに何すんのさ!!!!》ーー



ーー駆逐イ級「!?」ーー




ーー《さぁ、追い込みますよ!!》ーー




ーー重巡リ級「!!」ーー



ーー《ちっ! 邪魔するなぁ!!!!》ーー



ーー重巡リ級「!!?!??」ーー



ーー《さっさと沈め!!!》ーー



ーー駆逐イ級「!!?!??」ーー



ーー《全部、全部沈める!!!》ーー



ーー大井「北上さん!」ーー



ーー《大井っち!! な、なんで!? 身体が………止まらない!!》ーー




大井「やっと貴女のもとに来れました。貴女を、何としても連れて帰ります!!」



ーー《なんで!? なんで止まらないの!! 大井っち! 避けてぇぇぇ!!!》ーー



大井「っ………!! 行きます!!!!!!!」



ーー《なんで!? なんでよ!! なんで止まらないの!!!》ーー








………………


…………


……











大井「絶対に、もとに戻します。だから、今は耐えてください!!」


北上?「!?」中破


大井「これで、終わらせます!!」魚雷発射


大井「 (っ!! 魚雷は……まずい!!!) 」


大井「き、北上さん、避けて!!!!」


北上?「」


大井「えっ………?」


北上?「!!!!?!!???!」


大井「き、北上さん!!!!」







………


……………


…………………







大井「絶対に、もとに戻します。だから、今は耐えてください!!」






ーー《止まって!! 止まってよ私!!!!!!》ーー





大井「これで、終わらせます!!」







ーー《止まれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!》ーー






大井「き、北上さん、避けて!!!!」




ーー《えっ? うわっ!!! 》ーー





大井「えっ………? き、北上さん!!!!」







………………


……………


………









北上?「大井…………っち?」


大井「北上さん!? 北上さんなのね!?」


北上「大井……っち、ゴメン………ネ?」


大井「謝らないでください!! 謝るのは私です! あの時、本当に北上さんを沈めようとしてしまったんです!!」


北上「じゃア、これでおあいこだヨネ………?」


大井「そうですよ!! さぁ北上さん、帰りましょう!」


北上「無理……ダヨ、こんな姿ジャア………」


大井「どうして!? なんでそんな事言うんですか!!」


北上「あたしね、ゼンブ……聞こえてタノ………大井っちの、コエモ………。あたしを助ケテくれようとシテイタのも………ゼンブ……………」


北上「でも………、アタシの体ガサ、ユウコト聞いてクレナイんダヨネェ……」


大井「北上さん………」


北上「マタ、誰かを傷ツケルカモしれないシ………。ダカラ………」


大井「止めてください!!!」







北上「雷撃処分シテ? オオイッチ………」



大井「嫌だ!! そんなこと、出来ません!!!!」


北上「大井っち………オ願イ……アタシを、楽にシテ…………」


大井「私には……、北上さんを沈めることなんて出来ない!!!」


長門「大井………」


北上「大井っち……アタシを殺すわけじゃナイヨ。あたしを、救ってホシイだけ………」


大井「でも………」


スネーク《大井。北上の最期の願いを聞いてやれ》


大井「貴方に………貴方に何がわかるんですか!!! 人の気持ちも知らないで!!!」


長門「なっ!? 大井!! 」


スネーク《俺だってわかるさ。任務とはいえ、大切な人を自分の手で殺したんだ。ここにいる誰より、分かっているつもりだ》


大井「………ごめんなさい。でも無理よ………。私は、貴方みたいに強くないもの………」


スネーク《殺すわけじゃない。終わらせてやるんだ。北上の勇気を、無駄にするな》


北上「アァ……、ボスも居たんダァ……」


北上「今、ボスの近くにいる深海棲艦。タブンいいヒトだよ……。そんな気ガスルンだぁ………」


スネーク《何故、そんな事を?》


北上「んー、気になってるカナァト思ッテサ………」


スネーク《………そうか》


北上「………さぁ、大井っち………ハヤク」


大井「本当に、いいんですね?」


北上「うん。大井っちがシアワセにナッテクレルダケデ、アタシハ十分ダカラ……………」


大井「…………さようなら。北上さん…………」


北上「ン、ジャアネ。大井っち…………」







北上「次ニ産マレテ来ルトキハ、ジュウジュンデ…………イヤ………」














北上「ずっと、大井っちと一緒がいいなぁ………」















長門「軽巡洋艦北上の…………轟沈を確認………」


吹雪「大井さん………」




大井はその場に座り込み、顔を覆っている。どんな声をかけて良いものかと皆が口を開くことできなかった。ただ、淡々と事実が報告報告されていき、その話はミラーの耳にも入るが、ミラーもまた皆と同じ様に黙ってしまう。




大井「私、どうしたらいいんだろう…………」






それは、帰投中の大井が発したたった一つの言葉だった。













〜〜〜









ラバウル基地 執務室








スネーク「大井の様子はどうだ?」


ミラー「あぁ、余程応えたんだろうな。ここ3日間、一歩も部屋を出ていない」


スネーク「そうか……」


ミラー「これで奴も、失くしたんだな。親友を………」


スネーク「お前は右手を、大井は親友をか………」


ミラー「心配なのか?」


スネーク「まさか。整理がつけば、出てくるさ。それまでは大人しく見守ってやるしか、俺たちには出来ない」









・・・・・・








ミラー「今回の任務は、油田地帯に蔓延る深海棲艦の軍団の排除だ。今回の任務に当たるのは、叢雲、吹雪、睦月ーー」


大井「その任務、私も入れてもらいますよ」


ミラー「………いいのか?」


大井「えぇ。何時までもクヨクヨしてたら、それこそ北上さんに申し訳ないですし」


ミラー「わかった。頼んだぞ」


大井「えぇ。お任せください」




ミラー「おいスネーク、あんた奴に何か吹き込んだんだろう?」


スネーク「尋ねられただけだ。 『自分はどうすればいいのか』ってな」


ミラー「それで? なんて答えてやったんだ?」


スネーク「お前のやりたい様にすればいい。そう言っただけだ」


ミラー「それでああなったと?」


スネーク「ああ。何か問題が?」


ミラー「いや、随分と吹っ切れた顔をしていたもんだからな」











ーー北上「大井っちってさ、ボスの話ししてる時が一番輝いてるんだよねぇ……」ーー


ーー大井「えっ? そ、そんな事ないですよ!! 私は北上さんと………」ーー


ーー北上「おやおやぁ? 大井っちにも遂に春が来ちゃったかぁ〜」ーー


ーー大井「もう! 北上さん!」ーー


ーー北上「怒んないでよぉ、大井っち〜。……んーまぁ、あれだよ。ボスってかなり無茶する時もあるしさ、ずっと側にいてあげなよ。ね?」ーー



ーー北上「大井っちと話したりするもの楽しいけど、私としては大井っちが ”楽しい” とか ”嬉しい” とか、幸せになってくれるのが、一番嬉しいんだよねぇ〜」ーー












大井「私のやりたい事なんて、決まってますよ、ボス」


大井「北上さん、何時までも守り続けますから………」


大井「私が北上さんに会いに行った時、退屈させないように沢山の土産話しを持って行けるように、沢山生きていきますから」


大井「だからその日まで、見ていてくださいね?」


大井「………それでは、行ってきます。北上さん」













第24話 惨劇の生存者 その3 完









第24.5話 深海ノ声








時は、北上と大井の会話へと遡る。










空母棲鬼「 (アノ深海棲艦………) 」



ーー《気になるの?》ーー



空母棲鬼「 (ダ、ダレダ!?) 」



ーー《あたし? そこに倒れてる深海棲艦だよ。と言っても、もう元に戻ることも、助かりそうにもないけどねぇ。あぁ、そうそう。あたしは何て呼んだらいい?》ーー


空母棲鬼「(私ニ名前ハナイ。勝手ニスレバイイ)」


ーー《んー、じゃあ空母だからクーちゃんとか?》ーー


空母棲鬼「(フザケテルノカ?)」


ーー《そっちが好きに呼べばいいって言ったんじゃん》ーー


空母棲鬼「(………マァ、ナンデモイイ)」


ーー《ちゃっかり気に入ってんだ………。クーちゃんって言ってる方が恥ずかしくなる名前よねー》ーー


空母棲鬼「(ダ・マ・レ!!!)」


ーー《怒んないでよ〜。ちょっとおちゃらけてみただけじゃん》ーー


空母棲鬼「(随分ナ余裕ダナ。死ヌノガ怖クナイノカ?)」


ーー《んー、まぁそれはどうでもいいよ。所でさ、自分の本当の姿とか興味ないの?》ーー


空母棲鬼「(私ノカ?)」


ーー《他に誰が居るのさ? でも、あたしも確証があるってわけじゃないんだけど》ーー


空母棲鬼「(ソモソモ、今オ前ハ大井トカイウ艦娘ト会話シテイルハズダ。ドウヤッテ私ニ話シカケテイルノダ?」


ーー《深海棲艦どうしなら何時でもこんな風に会話できるみたいよ? 戦ってる最中でも、誰かと話していても》ーー


空母棲鬼「(フーン………)」


ーー《って、こんなどうでもいい会話はいいよ。自分の正体知りたくないの?》



空母棲鬼「(…………)」


ーー《なるほどね。答えたくないってことは、本当は自分でも薄々気づいてるんじゃないの?》ーー



空母棲鬼「(………)」



ーー《にしても、こんな深海棲艦も居るんだねぇ。姿を変えるなんてさぁ、どんな過去があったのか知りたくなるよねぇ》ーー


空母棲鬼「(私ガ姿ヲ変エラレル理由ヲ知ッテイルノカ?)」


ーー《えっ!? 自分でも分からないでいたの!?》ーー


空母棲鬼「(悪イカ?)」


ーー《別に? 私だって見るのは初めてだし》ーー


空母棲鬼「(ソレデ?)」


ーー《あー、はいはい。深海棲艦に成った時の記憶とかある?》ーー


空母棲鬼「(………ワカラナイ。色々ナ記憶ガ混濁シテイル)」


ーー《そう来ちゃったかぁ………。うん、わかったよ》ーー



ーー《多分、記憶が混濁してるのは深海棲艦と同化しちゃってるんだよ。意識が元の艦娘の物と深海棲艦の2つが混ざっちゃったんだね。姿が変わるのはどんな時?》ーー



空母棲鬼「(好戦的ニナッタ時)」


ーー《なるほどなるほど。そういうことね》ーー


ーー《艦娘の意識を自身の精神の中で沈めているんだね。表に出てこないように。好戦的になるとそれが著しく活性化する》ーー



空母棲鬼「( ? )」


ーー《簡単に言うと、本当の自分を押し殺して、空白になった所に深海棲艦の意識が紛れ込んでるって事よ》ーー


ーー《でも見た所、深海棲艦に成り切ってないから元に戻る可能性はあるよ。でも、時間の問題だね》ーー


空母棲鬼「(………ドウスルツモリダ?)」


ーー《あたしの事? んー………このままさよならってのも何かねぇ………》ーー


ーー《新しいあたしが来るまで、のんびりと大井っちの事でも見守ってようかなぁ…》ーー


空母棲鬼「(本当ニ緊張感ノナイヤツダナ)」


ーー《ま、ついでに顔出してあげるからさ。もうあたしは死にかけてるし、多分クーちゃんなら死んだあたしも見れると思うよ》ーー


空母棲鬼「(ドンナ理屈ダ)」


ーー《んじゃ、ぼちぼち帰りますか〜》ーー


空母棲鬼「(何ナンダコイツハ……)」








〜〜〜










ラバウル基地





一連の騒動から2日後








大井「………」



ーー《んー、大井っちにはあたしが見えないのか〜。まぁ、霊感ないとか言ってたしねー》ーー



大井「私の好きなようにすればいい……か」



ーー《好きなようにする、ねぇ………ボスの入れ知恵ってところかな?》ーー



大井「………」



ーー《あたしなら如何するかねぇ………。一先ずは大井っちの元にいるけど…………》ーー



大井「………」



ーー《あたしも如何したらいいんだろうね………》ーー



大井「Zzz」



ーー《寝ちゃったかぁ。仕方ない、クーちゃんのとこにでも行きますかねぇ〜》ーー








ラバウル基地内 独房









ーー《やっほー》ーー


空母棲鬼「(マタ来タノカ……)」


ーー《大井っち寝ちゃったしね。暇だから来て見たって訳よ》ーー


空母棲鬼「(…………)」



ーー《せっかくだし、ボスの枕元にでも立ってみようかなぁ……》ーー



空母棲鬼「(止メテオケ。アノ男ハソノ手ノ話ガ苦手ダ。多分幽霊モ例外デハナイダロウ)」



ーー《ふーん。随分詳しいね》ーー



空母棲鬼「(ズット前ニ聞イタコトガ………ハッ!)」



ーー《やっぱり覚えてんじゃん。昔の事》ーー



空母棲鬼「(偶然ダ。偶然ソレダケヲ覚エテイタ………)」



ーー《まぁ、一つのはっきりしたよ。あんた、10年前からずっとボスの元に居たってことね。それも、ボスに近かった艦娘。やっぱあたしの勘、当たってるかもしれないね》ーー



空母棲鬼「(………多分、ワカッテル。自分ガ何者カ。デモ、ソンナ自分ヲ認メラレナイノカモ知レナイ………)」



ーー《随分と難儀だねぇ〜。まぁ、クーちゃんが話してくれるまで、気長に待ってるよ》ーー



空母棲鬼「(私ハ…………)」


ーー《いいって別に、今思い出そうとしなくても。って、殆ど覚えてるんだよね。まぁ、あたしはその辺彷徨いてるからさ。じゃあねー》ーー




空母棲鬼「(………………)」



空母棲鬼「(ハァ……。私ガこうなったノモ、自業自得なノよね………)」











第24.5話 深海ノ声 完










小ネタ 装備開発







ヒューイ《スネーク。もし良かったら僕のところに来てくれないか?》


スネーク「それは構わないが、何かあったのか?」


ヒューイ《対深海棲艦の兵器を新しく作ったんだ。ちょっと確認してもらおうと思ってね》


スネーク「わかった。すぐに向かおう」







ヒューイ「やぁ、スネーク」


スネーク「で? 新しい装備ってのはどれだ?」


ヒューイ「まずはこれさ」


スネーク「38口径か? 特に変わったところはない様だが…………」


ヒューイ「今までの装備は ”弾薬を通常装備に適合させる” 事で使えるようにしていたんだ。けど、今回は違う。今回のは ”艤装を改造して通常兵器にした” んだ」


ヒューイ「人間には艤装が使えない事は知ってるだろ? 」


スネーク「ああ。一度使ってみたが、ビクともしなかった」


ヒューイ「それは、艤装の方でセーフティーが掛かるからなんだ。僕もあのお爺さんに聞いてわかった事なんだけど」


ヒューイ「深海棲艦と艦娘は瓜二つ、コインの裏表みたいな存在だって話をしていたんだ。そこで艤装には深海棲艦に対応できるように深海棲艦の力が宿っている。人間が使うと精神を侵食され兼ねないという事だ」


スネーク「深海棲艦になりやすいのは人間より艦娘だと聞いたが?」


ヒューイ「万が一、艤装が暴発でもしてみたら、人間が深海棲艦になる。そんな事は避たかったんだろう。だから艦娘は死と隣り合わせの艤装という装備を持たせ ”られている” んだよ。人間と違って、艦娘は換えが効くからね」


スネーク「なるほど。で? 結局どこをどうやって使えるようにしたんだ?」


ヒューイ「セーフティー機能を外しただけだよ?」


スネーク「えっ?」


ヒューイ「だから万が一暴発したら、スネークも深海棲艦になるかもね」


スネーク「………本気か?」


ヒューイ「冗談に決まってるじゃないか、スネーク!」


スネーク「………全く研究者ってのはどういう神経してるんだか」ボソッ


ヒューイ「何か言ったかい?」


スネーク「いや、別に?」


ヒューイ「そう。でねスネーク、確かに艤装のセーフティーは外したよ。でもそのままだと危険だから、少し出力を落としている。それでも今までの装備よりは高い威力を発揮できるはずだ」


ヒューイ「元にしたのは12.7mm機銃と12cm単装砲さ。見た目をオートマチックハンドガンまで小さくするのは大変だったよ。12.7mmの弾薬の出力を落しつつ、38口径に抑えるのもかなり時間が掛かったね」


スネーク「ほう。他にもあるのか?」


ヒューイ「もちろん。歩兵用ランチャーの弾薬を改造して、新しく作ったのが2つあるんだ。それがこれさ」


スネーク「見た目はいつも使っているのと同じだな」


ヒューイ「弾薬をちょっといじって、戦艦が使っている徹甲弾を流用したものさ。こっちは三式弾だよ」


スネーク「体感的には、徹甲弾は威力の上昇。三式弾は榴散弾化だと考えていいんだな?」


ヒューイ「そう。少しでも戦いやすくなるかなって思ったんだ。でも気をつけて、いくら出力を落としたとはいえ、深海棲艦化の危険がないとはいえない。言ってしまえば、諸刃の剣だ。扱いには気をつけてよ」


スネーク「あぁ。肝に銘じよう」


ヒューイ「それともう一つ。これはまだ設計段階なんだけど………」


スネーク「この設計図は?」


ヒューイ「ほら、ちょっと前にショートランド泊地が襲われただろう?」


スネーク「ああ。たしかにとあるPFに占拠させられた。それが?」


ヒューイ「ミラーにも少し聞いたんだけど、PF連中もちょっとばかしデカイ兵器を持っているって話していてさ、これを考案してみたんだ」


スネーク「ほう」


ヒューイ「メタルギアの技術を使ったものさ。多脚駆動装置をつける事によって、戦車より小回りが利くようになっている。また、コアユニットを元にして様々な局面に対応できるようにハードウェアを構築していって、カスタマイズできるようにする。例えば、先制攻撃によって敵勢力への抑止力にすることもできるんだ」


ヒューイ「実戦に投入すれば、まるで敵地に噛み込むように敵勢力を抑え込んで、やがては戦闘というものに歯止めをかけていく。僕はこれを、戦闘の歯車『バトルギア』って呼んでいる」


スネーク「なるほどな……」


ヒューイ「因みに、コードネームは『skater (スケーター) 』にしようと思っているんだけど……」


スネーク「滑る人? 何故だ?」


ヒューイ「まぁ安直なんだけど、艦娘のハードウェアを構築すれば、水面を滑ることになる。見た目はアメンボ (pond skater) だろ?」


スネーク「あぁ………そういうことか」


ヒューイ「とりあえずミラーにも話したけど、賛成してくれている。後はスネークの指示があれば、いつでも作るよ」


スネーク「………とりあえず、カズと相談させてもらうことにしよう」


ヒューイ「了解。じゃあ指示を待っているよ、ボス」







小ネタ 装備開発 完










第25話 報復の在り方








ラバウル基地 研究室










ミラー「ヒューイ、お前あのデカイ兵器の居場所を知らないのか?」


ヒューイ「サラマンダーのこと? どうしたんだよ藪から棒に」


ミラー「答えろ」


ヒューイ「前にも話したけど、僕は研究から降ろされた。申し訳ないけど、その後奴らがどこに行ったかなんて………そうだ!」


ミラー「なんだ?」


ヒューイ「僕がいた、あの施設。あれはサラマンダーの開発拠点なんだけど、他にも色々な所に点在しているんだ。それぞれの拠点でパーツを作り上げていって、最終的にあそこでパーツを結合。完成させる予定だった」


ミラー「だが、その計画は破綻した。それで?」


ヒューイ「もしかしたら、その拠点のどこかに移動しているかもしれない。連中、拠点を転々と移動して計画を隠そうとしていたんだ」


ミラー「おい! 今すぐその拠点を全て教えろ!!」


ヒューイ「僕が知っている限りでは4つ。1つはアメリカの ”サンディエゴ” 。2つ目はカリブ海にある ”セントマーティン島” 3つ目はインド洋のセーシェル諸島に属している ”ラ・ディーグ島” 。4つ目もインド洋にある ”ディエゴガルシア島” だ」


ミラー「この4つだな? 」


ヒューイ「あぁ、僕が知っている範囲ならね。どう? 役に立てそう?」


ミラー「実際に偵察に行かせて見るまではわからん」


ヒューイ「………やるんだね? サイファーと?」


ミラー「もちろんだ」


ヒューイ「わかった。なら僕は僕なりの戦いをするだけさ」







・・・・・・








ミラー「というわけで、エメリッヒを吐かせた。絞られたのはこの4つ。サンディエゴを除き、広く知られた場所ではないから、何かを隠すのにはうってつけと言えるだろう。この4箇所を徹底的に探し出す」


オセロット「既に大多数のスタッフを派遣した。残っているのは戦闘に特化した連中だ」


オセロット「ボスはそいつらを使って、ここの警備をしてもらいたい。万が一に備えてだ。派遣スタッフに身の危険が生じれば、そっちの援護に回ることにもなるだろう」


ミラー「俺はアメリカ方面を、オセロットにはインド洋方面の偵察部隊の指揮を執らせて貰う」


オセロット「艦娘は全艦待機中だ。あんたの好きなように使ってくれ」


スネーク「いいのか? そっちに少しくらい割いたほうがいいと思うんだが?」


ミラー「艦娘を使うと、深海棲艦に見つかりやすくなる。奴らとの交戦は出来るだけ避けたい」


オセロット「エメリッヒに急がせているが、未だに対深海棲艦の武装は数が足りない。かといって艦娘を使えば敵に見つかるリスクが高くなる」


オセロット「まぁ、ヘリでの移動が主になるが、兵士たちにはレーダーを確認しながら行動するように命じた。心配はないと思うが……」


スネーク「…………大丈夫か?」


ミラー「もちろんだ。あんたはその間、スタッフの訓練なり艦隊の演習なり、とにかく連中を使えるように指導してやってくれ」


スネーク「わかった。懐かしい、9年ぶりだな」


オセロット「奴らにはこちらから伝えておく。あんたはそのまま向かってくれ」





・・・・・・




スネーク「……と言うわけで、だ。今回は俺が見させてもらう。お前たちの腕、久しぶりに見せてもらうぞ」


一同「わかりました!!」


スネーク「艦隊は砲撃と雷撃演習を中心に行っていく。砲撃演習は長門、雷撃演習は大井を筆頭に行え」


一同「わかりました」


スネーク「翔鶴はあいつと共に航空演習を実施してもらう。」


翔鶴「あいつ………? はい、承りました」


DD兵「ボス、我々は?」


スネーク「お前たちはCQCと射撃訓練だ。俺は少しここを離れるが、後できっちりと叩き込んでやる」


DD兵「ありがとうございます! ボス!」






・・・・・・




スネーク「と、いうわけだ。頼むぞ」


空母棲鬼「………」


翔鶴「では、行きます!」


空母棲姫「……………」


北上《へぇ、翔鶴と対決かぁ〜》


空母棲姫《マタ来タノカ……》


北上《いや、ずっと大井っちの後ろに立ってたんだけどやっぱ誰にも見えてないね〜》


空母棲姫《話シカケルナ。気ガ散ル》


北上《あーあ、誰か構ってくれないかなぁ》


空母棲姫《五月蝿イ、黙レ!》



スネーク「じゃあ俺はあっちに戻る。一先ず終わったら俺の所に来てくれ。対空演習をするからな」


翔鶴「はい、了解です」




北上《あーあ、淋しいなぁー! すっごい淋しいなぁー!》(棒)


空母棲姫《モウ成仏シロヨ! 喧シイ!!》


北上《いいから艦載機を見てなって………あっ、一機墜ちた》


空母棲姫《チッ!》


北上《どうどう、落ち着いて。それ位にしないと元に戻れなくなるぞー》


空母棲姫《……………》


北上《そうそう。やっぱ元のポテンシャルも関わってくるよねー》


空母棲姫《ドウイウ意味ダ?》


北上《昔っから頭に血が上りやすかったんじゃない? そんで1人で抱え込んじゃったり?》


空母棲姫《ソウ………ナノカ?》


北上《あたしが知ってるあんたはねー。ほら、まだ3機残ってるんだから墜とさないでよね》


空母棲姫《フンッ》





・・・・・・






スネーク「そうだ!! そこで左足を相手の右足に掛けろ!!」


DD兵「はい! そりゃぁ!!」


DD兵2「ぐあっ!!」


スネーク「よし!! それだ!!」


DD兵「ありがとうございます、ボス!!」


スネーク「おい! お前!!」


DD兵3「はっ! ボス、何か?」


スネーク「お前のそれはリボルバーだな?」


DD兵3「あ、はい!」


スネーク「お前の持ち方は危険だ。いいか? リボルバーをツーハンドホールドするときは、シリンダーキャップからの燃焼ガスで手を焼かれないように位置に気をつけろ」


DD兵3「わかりました、ボス!」


スネーク「教官はどこにいる?」


教官「ボス! 私です!!」


スネーク「今ここにいるのは何人だ?」


教官「はっ! 全部で168人です!」


スネーク「一旦、ここに集めろ」


教官「わかりました。止めぇ!!!!」


教官「集合して整列!!!」


一同「了解!!」


教官「敬礼!!」ビシッ


一同「ボス!!」ビシッ


スネーク「いいか! 今からCQC訓練の最終段階に入る。1人ずつ俺にかかって来い!」


スネーク「手加減したやつは1週間の軍港清掃だ。いいか!!」


一同「わかりました!!」


DD兵「宜しくお願いします!!」


スネーク「よし、来い!!」





・・・・・・








長門「では、戦艦は戦艦で先に対抗演習を始める。私たち長門型と金剛型で3対3の演習を始める」


陸奥「編成は私が阿弥陀籤で決めておいたから」


金剛「Ah………むっちゃんの作ったクジデスかー………。嫌な予感がしマース」


陸奥「あら、失礼しちゃうわね。ちゃんと綺麗に決まったのよ?」


比叡「金剛お姉様と同じになれるかなぁ〜」


霧島「私の予測では、十中八九ありえないかと」


榛名「霧島、もう少し優しく言った方が………」


陸奥「えーっと、第1艦隊が長門、比叡、霧島ね」


比叡「あぁ〜お姉様が離れてくぅ〜」


金剛「No wonder. 単細胞にゴリラに脳筋ネ〜」ボソッ


長門「…………誰が誰に当たるかは聞かないことにしよう」


金剛「Oops!! 聞かれてまシタ!?」


長門「やはり貴様か………!!」グリグリ


金剛「No! stop making fun of me!!」


長門「何が止めろだこいつ………!!」ゴリゴリ


金剛「ひょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


比叡「ひえぇぇぇ!! お姉様が今まで聞いたことのない悲鳴を!」


霧島「えっ!? 私ってお姉様からそんな風に思われてたの?」







・・・・・・








大井「まぁ、私たちはいつも言ってる事を実践で使えればいいし………」


叢雲「もうみんなやってるわよ」


睦月「始めるのですよー!」


夕立「沈めてやるっぽい!!」


吹雪「夕立ちゃん! 落ち着いて、味方! 味方だから!!」


島風「島風には魚雷も追いつけないよ!!」


雪風「当たりませんー!!」


島風「おぅ! おぅ!! おっおー!!」


雪風「当たってー!!」


島風「おぅ!?」


叢雲「あそこは何やってんの………」


叢雲「さぁ?」







・・・・・・







ミラー「オセロット、そっちはどうだ?」


オセロット「いや、まったく手がかりなしだ」


ミラー「しかし、ボスも随分と変わったな」


オセロット「どういう事だ? 彼は紛れもなく、俺たちのビッグボスだ」


ミラー「そんなこと、お前に言われるまでもない。ん?」


オセロット「どうした?」


ミラー「おい! 何であいつが独房から出ている!」


オセロット「あいつ? あぁ、ボスが訓練に付き合わせると」


ミラー「昔はあんな事しなかったはずだ。敵を仲間に入れるなど--」


オセロット「俺もかつてはボスの敵だった。お前もだろ?」


ミラー「ぐぅ………。大体、何でボスはあいつを」


オセロット「いいのか? 案外あいつもかつての仲間かもしれんぞ?」


ミラー「仲間? あいつが? 何を馬鹿なことを」


オセロット「あのご老人の言葉を忘れたか? 艦娘は深海棲艦になるって話だ」


ミラー「だったら何だ? ボスに攻撃を加えた時点で仲間もクソッタレもない!」


ミラー「それに、スタッフの中でもあいつへの不満が大きくなっている。あの一件も片付いていない」


オセロット「兵士にナイフを向けたことか? あのご老体に聞いてみればいい。何かわかるかもしれんぞ?」


ミラー「何はともあれ、スタッフに不満が出ている中では俺も奴を仲間とは認めん!」


オセロット「暴力を振るわれたから付き合いたくない。気に食わないから仲間として認めない。ダイヤモンド・ドッグズ幼稚園か? ここは?」


ミラー「ふん! なんとでも言え。お前もお前で何であいつの肩をもつ?」


オセロット「ボスが言った言葉、忘れたのか? あいつに会ったことがある。俺はそれが知りたいだけだ」







第25話 報復の在り方 完









第26話 燃える歯車









ラバウル基地 ヘリポート







ミラー「カリブ海方面の偵察部隊から連絡だ。カリブ海を通ってアメリカから大量の資材がセントマーティン島に運ばれている。またカリブ海には多数の深海棲艦が集結している」


ミラー「ボス、スカルフェイスはそこにいるはずだ。最終調整が始まっているサラマンダーもそこにあるに違いない。いいか、 絶対に逃がすな! 奴を確実に殺せ!!! 」


スネーク「カズ!! バックアップを頼むぞ!!!」


ミラー「あぁ! 俺も後から追いつく!!」








カリブ海 セントマーティン島








ミラー《ボス、目的の拠点はそこから北西に進んだところだ。事前の調べで、基地には多数の防衛機構が備えられていて、ヘリでは近づけない》


ミラー《奴はカリブ海にサラマンダーを展開。最悪、核を使う恐れもある。万が一はあのデカブツとやりあうことになる》


オセロット《ボス、スカルフェイスには聞きたいことが山ほどある。奴と接触したら、まずは情報を聞き出せ。サラマンダー、深海棲艦。奴の計画を暴け!》


ミラー《スカルフェイスの計画は、最終フェイズに差し掛かっている。奴が王手を打つ前に、奴の存在、痕跡を計画ごと歴史から抹消しろ》


パイロット《目的地に到着。どうかお気をつけて、ボス!》


オセロット《今回は完全にバックアップに回させてもらう。武器弾薬の補給、今の様にマップへのマーキングも、俺が全部担当する》


スネーク「わかった」








・・・・・・







スネーク「よし、こちらスネーク。建物の敷地内に潜入した」


オセロット《流石ボスだ。双眼鏡で辺りを調べてみろ》


スネーク「……………見つけた。ヘリポートに居る」


ミラー《奴を絶対に逃がすな!! いいか!》


スネーク「わかってる。ところで、オセロット」


オセロット《どうした、ボス?》


スネーク「万が一のこともある、ラバウルの警備を厳重にしておいたほうがいいんじゃないか?」


オセロット《それは勿論、怠るつもりもない。どうしたんだ、急に心配性になって?》


スネーク「いや、特に大したことじゃない。彼女らは?」


オセロット《全体の2/3を出撃させた。残りはここの警備だ。優秀な兵士も基地に残している。問題ない》


スネーク「あいつは?」


オセロット《あぁ、そいつは………》


ミラー《あの深海棲艦なら俺たちと行動している。あんたの窮地に備えて、オセロットが無理矢理乗せてきた》


スネーク「お前と一緒にいるのか?」


ミラー《いや、ヘリを何台が飛ばしている。そのうちの一つに、あの爺さんと同乗している》


スネーク「なるほどな。申し分ないボディーガードだ」







・・・・・・





ミラー《スネーク、こちらも援護に入る。行け!!》




スネーク「待て!!」


髑髏顔「………なるほど、お前も亡くしたな。そして亡くした痛みにうなされて、それを憎しみで緩和しようとする」


敵兵「 ! 」


髑髏顔「止めろ。客人に銃を向けるのは失礼だ。アラモを忘れるな」


スネーク「あの兵器はどこだ!」


髑髏顔「どれだけ足掻こうと、その痛みは消えない。それなのに人は、鬼に墜ちている。どうだ? 私が醜いか?」


スネーク「答えろ!!」


髑髏顔「お前も鬼だな。もはや人には戻れまい。ならば、私の鬼を見せてやる。ついて来い、ビッグボス」


スネーク「……………」


ミラー《今は奴に合わせるしかない。いざとなっても、こちらは準備ができている。それが、奴への抑止力になるはずだ。戦争に持ち込む気は、奴にもないはずだ》


髑髏顔「私は、君がCIAにいたときから知っている。20年前のスネークイーター作戦のこともな。あの時、君が失敗すれば、私が拭うことになっていた。だが、作戦は成功。君が持ち帰ったデータは、ちょっとした金になった」


髑髏顔「そこで少佐は私にこういった。『アメリカは金の使い方を知らない。だから君と私で、 ”帳簿” を分けたい』と。その金で、アメリカの裏に支えになる組織を作ると。君も知っているサイファーだ」


髑髏顔「サイファーは少佐が作った、友への、君の師匠のザ・ボスに対しての弔い。いや世界へ、とりわけアメリカに対しての報復だ。アメリカは自由の国だ。様々な人種や国が入り乱れる。サイファーはそれを1つにしようとした」


髑髏顔「国も、意思も、思想も、宗教も。全てを1つにな。それが少佐なりの、彼女の遺志の捉え方だ。”個人の自由意志” は、生身の人間が扱うには手が余る。いや、不可能であると結論付けたのだ。だからサイファーは情報で、言葉で、無意識を操作するシステムを作ろうとしている。無意識を ”AI” (人工知能) によって統制しようとしているのだ」


髑髏顔「だが、少佐は何もわかっていない。君は、少佐の今を知っているか?」


スネーク「……………」


髑髏顔「だろうな。少佐を知る人間はいない。人も、情報も、何もかもを遮断した場所でひっそりと生きながら、転々としている。今、少佐が生きているのかさえ知るものはいない」


髑髏顔「私はある小さな村に産まれた。幼い頃に村は焼かれ、私は何もかもを失った。祖国、親族、言葉、思想。私は私を亡くしてしまった。私には過去も、未来も幼くして焼かれてしまったのだ。それから事あるごとに戦争に巻き込まれ、私は国を次々と変えていったのだ。そして私は変わってしまった」


髑髏顔「…………私が抱いたのは、報復だけだった。そんな中だ。奴らにあったのは」


スネーク「深海棲艦か」


髑髏顔「沖縄生まれの老人から何を聞いた? それはサイファーが導き出した答えの一つに過ぎない。見ろ!」


スネーク「これが、お前の鬼か?」


髑髏顔「来い、ビッグボス」


兵士「ほら、歩け!」


スネーク「…………」


パイロット《こちらクイークェグ、援護に入る》


ミラー《射線を確保しろ》


パイロット《了解》


叢雲《第1から第3艦隊、たった今着いたわ。今から全部の艦隊を3つの小隊に分けて、島の周辺を囲むわ》


オセロット《了解した。翔鶴は艦載機を飛ばす手はずを整えてくれ》


翔鶴《わかりました》




髑髏顔「ここには、お前と私以外の ”鬼” がいる。そいつは人間、艦娘への ”報復心” に突き動かされている。時代は常に、何者かの報復心で動かされているのだ。お前が私に生かされているようにな」


髑髏顔「そいつも、お前たちへの報復心で動いているのだ。さあ、見せてくれ!!」


深海棲艦「……………アハハ」


スネーク「っ! いつの間に!?」


ミラー《ボス、こいつは…………!!》


コードトーカー《何と禍々しい………。こやつ、お前たちに相当の恨みを抱えておるぞ!》


深海棲艦「……………アハッ! ミツケタ!!」


スネーク「くっ! こいつ!」


ミラー《スネーク、撃て! 殺されるぞ!!》


オセロット《ボス、待て!! まだスカルフェイから情報を得られていない!》


ミラー「何だ!? ボスを殺す気か!!」


オセロット《ボス、今は逃げろ! 死ぬぞ!!》


深海棲艦「アハハハハ!!! マッテヨー! イマカラコロシテアゲルカラサァ!!! アッハハハハハハ!!!」


スネーク「ぐっ! くそっ………!」


ミラー《ボス!!》


深海棲艦「アナタノセイヨ………アナタガイナケレバ、※※※モ、※※※モ、シズムコトハナカッタノヨ!!!!!!!!!」


ミラー《ボス! ボス!!》


オセロット《いまだ、やれ!》


翔鶴《全航空隊、発艦始め! 直掩隊も、攻撃隊の援護に!》


ミラー《おい! ボスを巻き込むつもりか!!》


オセロット《翔鶴、爆撃はよせ!》


翔鶴《分かってます!!》


深海棲艦《キャア!! ドコカラ!?》


翔鶴《行きます! 全機突撃!!》


深海棲艦「ア……………アレハ…………」


髑髏顔「おい、撃ち墜とせ」


敵兵「撃て、撃てぇ!!」


スネーク「おい、待て!」


深海棲艦「ア、アァ…………」


髑髏顔「何をしている、早くそいつを殺せ!」


深海棲艦「※※※ダ………イキテタンダァ………アハハ………ヨカッタァ」


翔鶴《貴女…………瑞鶴なの!?》


瑞鶴?「ショウカクネェノカンサイキダァ…………」


翔鶴《嘘…………私…………瑞鶴に………あぁ……………》


長門《おい、翔鶴! 落ち着くんだ》


翔鶴《何で………何で瑞鶴がここに………》


髑髏顔「やはり、こいつも出来損ないか………。お前を殺すほどの、報復心を抱いてはいない様だな」


スネーク「……………」


翔鶴《何よ、それ………。私の妹に、大切な妹に対して出来損ない? 報復心で動かされる? 》


長門《翔鶴! 抑えろ!!》


夕立《これちょっと、不味いっぽい………?》


ミラー《どうした? 何があった!?》


翔鶴《仲間たちを…………私の妹を弄んで…………》


オセロット《おい、翔鶴を止めろ!!》


コードトーカー《不味い………今直ぐ止めるのだ!!》


翔鶴《死ぬのはボスでも、私たちでもない。貴方が死ねばいいのよ!!!!!!!》


叢雲《し……深海棲艦が、集結している!?》


大井《ちょっとちょっと!! 何よこの数!!?》


コードトーカー《手荒れでも構わない、今すぐ止めるのだ!! 手遅れになるぞ!》


長門《仕方ない。翔鶴、我慢してくれ》


夕立《て、手加減してほしいっぽい!》


長門《わかってる! 落ち着け!!》


夕立《殴るのはいいけど手加減!》


長門《わかってる!!》


翔鶴《…………》


長門《気絶したか………これでいいのか?》


コードトーカー《よくやった。私の元へ連れてきてくれ。簡易的ではあるが、治療が可能だ。蛇よ、そこにいる彼女もだ》


スネーク「わかった。立てるか?」


瑞鶴?「ウ……ウン、イイノ?」


髑髏顔「やはり駄目か。おい、誰かあいつを起動させーー」


???「ユルサナイ………ユルサナイ………」


髑髏顔「誰だ!?」


スネーク「……………」


???「ワタシタチヲリヨウシテ…………マタセンソウヲオコソウトシテ………」


髑髏顔「おい、誰があれを動かしている!」


???「ニンゲンナンテ、カッテナノヨ………ワタシタチハ、タタカイタクナイノニ!!!」


髑髏顔「構わん、撃て!!!」


敵兵「撃て、撃てぇ!!」


???「シヌノハワタシタチジャナイ。オマエタチダ!!!!!!」


敵兵「隊長、お逃げください!!!」


髑髏顔「一体誰だ………これほどの報復心を、誰がぁぁ!!!!!」


スネーク「くそ、逃げるぞ!!」









第26話 燃える歯車 完











第27話 メタルギア・サラマンダー











誰だ? こいつは…………


スネークは深海棲艦に押し倒され、首を絞められる。



確か、似たような光景を見たような気がする。そうだ、あの時の病院だ。あの時も、首を絞められて危うく死ぬところだった。確か、イシュメイルと名乗った男に俺は助けられた。



朦朧とする意識の中でそんなことを考えていると、スネークの首を絞める力が段々と弱くなっていく。気道が確保されて、大きく息を吸う。まだ意識は完璧に戻らないが、近くで声が聞こえる。


「翔鶴姉ぇの艦載機だ」と。



奴はどうやら、俺のことを知っているらしい。奴はこう言ったんだ


「お前さえいなければ※※※は沈まなかった」


誰を指しているのは分からないが、恐らく奴にとっては大事な存在らしい。その1人は翔鶴であると気がつく。彼女の姉だ。




だが、あいつは誰だ? 俺はあいつを知らない。いや、”知らない” ではなく、 ”思い出せない” のかも知れない。こいつに会ってから、俺の中で何かがつっかかっている。




様々な記憶を掘り起こしながら、スネークは目の前にいる深海棲艦の顔を思い出そうとする。無線越しに ”瑞鶴” と呼ばれており、恐らく彼女の名前なのだろう。


そこでスネークは、ある1つの言葉を思い出した。



医者《あなたは記憶喪失になっている場合があります。それはある1つの部分にぽっかりと穴が開いたようなものか、はたまた特定の人物か、それともその両方か》



自身の記憶を頼りにしても、彼女を思い出すことができない。そんなスネークを他所に、周りの事態は時々刻々と進んでいく。



突如として動き出したメタルギア・サラマンダー。スカルフェイスの様子を見ると、奴が動かしたものではないようだ。XOFの部隊も焦りを見せている様子から、スネークはここから逃げることを選択する。もちろんそこにいる深海棲艦を連れてだ。









〜〜〜〜〜〜〜







基地を抜け出すと、戦車や装甲車がサラマンダーのいる方へと向かっていく。スネークは2人で逃げるのは得策でないと考えたらしく、戦車隊が応戦している最中ではあるが、深海棲艦に声をかける。



スネーク「お前、高いところは大丈夫か?」


瑞鶴?「エッ!? タ、タブンダイジョウブ」


スネーク「背中をこっちに向けてくれ」


瑞鶴?「ナ、ナニコレ?」



スネークは深海棲艦の背中にとある装置を背負わせる。そう、フルトン回収器だ。



スネーク「そこにじっとしていろ。鳥になれるぞ?」




スネークがスイッチを入れると、取り付けたフルトン回収装置からバルーンが一気に膨らみ、僅かに対空したのちに急上昇する。曲がりなりにも深海棲艦だ。多少の衝撃は耐えられるだろう。



瑞鶴?「チョット! ナニスルキヨ!! キャアアアアァァァァァ!!!!!!」



パイロット《了解、回収します》


コードトーカー《よくやった。後は私が彼女を診よう》




急なことであったが、何度かバルーンの回収に成功したという連絡を受けて安堵するスネークは、近くにあった車を走らせ、サラマンダーから一気に距離を取ろうと計る。



ミラー《サラマンダーの存在が公になれば、スカルフェイスの計画が実現する。核を使わせるまでも、ましてや深海棲艦による核武装も意味はない》


ミラー《世界は再び分断されて、人々は元から植えつけられている核への恐怖に覚えて生きることになる》


右、左、右、左と、ハンドルを交互に切りながら道路を走行し、サラマンダーの重火器を避ける。しかし、まるでこちらしか眼中にないのかと思わせるほどの集中砲火を受け、車は爆風によって横転。



ミラー《ボス! ボス、無事か!?》


スネーク「あぁ、大丈夫だ」


スネークが起き上がると、ここで雌雄を決する時が来たと言わんばかりに、サラマンダーは大きな咆哮をあげる。




ミラー《ボス、今度こそあのデカブツを黙らせてやれ! これを逃せば、第三次大戦の幕開けだ!!》


長門《ボスが海側まで誘き出してくれたおかげでこちらからも正確に位置を確認できる》


大井《生憎と陸上なので自慢の魚雷は撃てませんが………まぁ、何とかしますよ》


オセロット《ボス、武器を送る。ここでサラマンダーを破壊しろ!!》


ヒューイ《スネーク、よく聞いて! さっき送られたデータを基にサラマンダーの内部構造を確認したんだけど、僕が作ったものとは大きく変わったものになっている!》


スネーク「どういうことだ?」


ヒューイ《何ていうか………中身そのものが変わっているんだ。僕の知らない、組み込んだ覚えのない内部構造をしている。つまり………》


スネーク「……………有効手段がわからない。ということか?」


ヒューイ《そうだ。今の武器でも多少の損壊は与えられるかもしれないけど、完全に破壊するのは不可能だ!》


コードトーカー《蛇よ、かの兵器には彼らと同じ邪念を感じる》


スネーク「……………深海棲艦か?」


コードトーカー《そうだ。彼女らに協力を請う以外、斃すことはできないだろう》



オセロット《ボス、送った装備の中に、射出型のフレア弾を入れておいた。奴に弾を当ててくれ。それが目印になる》


スネーク「わかった」


オセロット《ボスと支援ヘリ ”ピークォード” でサラマンダーの動きを制止、或いは惹きつける。その際に空母はピークォードを援護。その後、他の艦娘はフレアを頼りに集中砲火を浴びせる。それでいいか?》


スネーク「あぁ、問題ない」


ミラー《来るぞ!!》



サラマンダーは雄叫びをあげ、スネークをめがけて機銃、ミサイルなどを発射する。


機銃を避け、間一髪のところでミサイルを避けると、スネークは物陰に隠れながらミサイルランチャーに弾頭を装填する。ヒューイが開発した、艦娘の使う徹甲弾をもとに設計された特殊弾頭だ。


ピークォードの撃ち込んだミサイルと同時に発射する。すると、サラマンダーの動きが鈍り出した。その隙を見逃さず、スネークはフレア弾をサラマンダーに向けて撃つ。



長門《了解、今から支援砲撃をする。巻き込まれるな!!》



長門の警告から数秒後、遠くから多数の砲撃がサラマンダーに向けて放たれる。それに乗じて、空母連中も爆撃機を発艦させて爆撃を行う。



ミラー《いいぞ、効いている!!》


オセロット《ボス、彼女らの砲は装填に時間がかかる。そのまま奴を惹きつけてくれ。武器を送る》


スネーク「わかってる!」


ヒューイ《スネーク、みんなも戦ったまま聞いてくれ! たった今、サラマンダーの解析が終わった。僕がサラマンダーにつけた、電磁波を利用した攻撃反射機構の事は覚えてる?》


スネーク「あぁ。その割には攻撃がやたらと通るが?」


ヒューイ《今確認してみたら、その機能が使われていない。いや、無くなってるんだ! そのせいか、攻撃特化な機体として多数の攻撃手段を持つようになっている!》


スネーク「どういう事だ?」


ヒューイ《僕の組み込んだ覚えのない、攻撃が出来るようになっている。その中には、恐らく人間では扱えないものも含まれる。本来サラマンダーは、有人機としての運用が前提だ》


ヒューイ《でも、人間を乗せたままでは出来ない動きがある。あまりにアクロバティックな動きは、人間自身に相当の負担をかける事になる》


スネーク「つまり、人間の想定を超えた行動をとる可能性があると? 笑えない冗談だ」


ヒューイ《下手をすると、何のためらいもなく核を撃ちかねない。それだけは何としても止めてくれ!!》


金剛《そんなこと、絶対にさせまセン!!》


陸奥《生憎と、3回も核を使わせるつもりはないわ!!》


叢雲《いつでもいけるわ!!》


スネーク「わかった。行くぞ!」



スネークは先ほどと同じ様に、ミサイルをサラマンダーに当てる。それに続いてピークォードからもミサイルが発射され、艦娘の鉄のカーテンがサラマンダーに降り注ぐ。



コードトーカー《蛇よ、彼らの念が弱り始めた。もう少しだ!》



サラマンダーは再び大きな咆哮をあげると、今までと違った動きをしだした。 良く見ると、コクピット内には人の姿は無く、何か別の大きな力によって動かされている。そんな非現実的なことが起きているのだ。



ヒューイ《スネーク、気をつけて! レールガンが起動された!! あれに撃たれたらひとたまりも無いよ!!》


サラマンダーの動きを見たところ、レールガンで狙いをつけたのはピークォードの様だ。


スネーク「おい、退がれ!!」


パイロット《一旦上昇します!》



咄嗟のことであったが、ピークォードはレールガンの砲弾をかわす。当たったのは近くにある小さな崖であった。大きな煙と共に、土砂が崩れていく音がしている。煙が晴れると海が広がっており、そこには艦娘がこちらを目掛けて艦砲を向けている。



ヒューイ《スネーク、まだだよ! もう一発来る!!》


スネーク「避けろぉ!!!」


長門《なっ!?》



次の瞬間、レールガンがパチパチと電気を纏いながら弾頭を海に発射する。スネークの耳につけているイヤフォンから聞こえたのは、大きな爆音と巻き上げられた海水が水面に叩けつけられる音だった。



ミラー《おい、状況を報告しろ!!》


長門《……………すまない、直撃だ。機関部に問題はないが、砲台がやられた。幸いにも、私だけだ》


ヒューイ《ミサイルが発射された! ターゲットは君たちだ!!》


陸奥《私たち!?》


金剛《SHIT!! 》


榛名《どうすれば…………》


長門《……………陸奥、金剛は翔鶴を守れ!! 残った者は大井と駆逐艦の盾になれ! 大井、叢雲、翔鶴、頼むぞ!!》


大井《了解、やるだけやってみますね》


叢雲《私あれ苦手なんだけど、まあ、仕方ないわね!!》


翔鶴《わかりました。やります!》


長門《ボス、奴のミサイルが止まったらフレア弾を撃ってくれ》


オセロット《おい、何をする気だ!!》


スネーク「…………わかった!」



サラマンダーのミサイルは、ヒューイの言った通りに海上に向けて発射されていく。無線越しから爆発音が響き、全ての戦艦が大破だ。



長門《ボス!!!!》


スネーク「分かった! フレア弾も行くぞ!」


翔鶴《確認しました。爆撃機を発艦します!!》


長門《よし、叢雲、大井!!》


大井《了解、行きます!!》


叢雲《行くわよ!!》



翔鶴の航空隊が発艦された直後、長門が叢雲と大井を空高く放り投げる。それに続いて残りの戦艦が駆逐艦を長門同様に空高く放り投げる。




大井《みんな、魚雷のスクリューをそのまま蹴って!!》


睦月《吹雪ちゃん、行くよ!!》


吹雪《一か八か、やってみます!!》


島風《酸素魚雷、行っちゃってぇー!!!》


雪風《成功するかわからないけど、さ 期待に応えます!!》


夕立《パーティもそろそろ終わりっぽい!!》


叢雲《いっけぇー!!!》


大井《墜ちろ!!!!》





大井が普段から得意としていた魚雷の発射方法だ。以前は良くやられたなぁとミラーとスネークは懐かしさに似たものがこみ上げてくるのを感じていた。


などと言っている暇はなく、サラマンダーがスネークに狙いをつける。次の瞬間、翔鶴の爆撃隊がサラマンダーの上空で爆雷を投下。サラマンダーから多数の爆発が上がる。



オセロット《ピークォード、有りっ丈の火力をばら撒け!!》


パイロット《了解!》



ピークォードから機銃、ミサイルとあらゆる武装がサラマンダーに火を噴く。それに合わせて、先ほどの魚雷が見事サラマンダーに当たる。しかも全ての魚雷がだ。


サラマンダーは動きが鈍り、始めて地面に膝をついた。



ヒューイ《スネーク、コクピットを狙って!! 》


オセロット《今だ、撃て!!》


ミラー《ボス!!》





スネークはサラマンダーへとミサイルを撃つ。狙い通りにコクピットに当たり、サラマンダーは最後の動力を振り絞って咆哮をあげると、完全に動きを止めた。砂埃を巻き上げながら、巨人は大地へと沈んでいく。



ミラー《よくやった、ボス。ヘリに乗ってくれ。スカルフェイスをこちらで見つけた》


スネーク「わかった」


ミラー《奴らしい最期だ。艦娘にも、以前寄越したCH-53輸送ヘリを飛ばしている。向こうで合流する予定だ》


明石《あのー、良かったらそのロボット回収してくれませんか?》


コードトーカー《私からも頼みたい。今回、その兵器に何があったのか調べてみたいのでな》


ヒューイ《それに、以前話したバトルギアを覚えてる? あれに流用できそうだ》


スネーク「わかった。オセロット」


オセロット《了解だ。早速手配しよう》







ヘリで南西に進んでいくと、煙が上がっている施設が見えた。サラマンダーを保管していた施設だ。そこには先ほどのサラマンダーの暴走鎮圧のために導入された戦車や装甲車などの残骸が転がっている。その残骸に紛れて、道の真ん中には多くの鉄筋が散在しており、その1つにスカルフェイスは下敷きになっていた。


すぐ近くで艦娘たちを乗せたヘリを確認し、全てのヘリがここに集結していた。



スネークはミラーを支えながら、ヘリを降りてスカルフェイスへと近づく。それに合わせて、艦娘たちも次々にスネークの元へ集まっていく。


スカルフェイスからは、体に残っている酸素を何とか吐き出しながら発しているような、か細い声でスネーク達に訴えかける。


殺してくれ、と。





大井「こいつが、北上さんを…………!」


金剛「 No。北上だけじゃありまセン」


比叡「私たちだって、お姉様と離れ離れにされました」


榛名「それどころか、金剛お姉様を深海棲艦になるまで追い詰めて………」


霧島「私たち自身、かつての仲間を疑うまでに傷つけられました」


長門「仲間の安否さえ、掴めることは出来なかった。あのボスも、死んだのではないかと、途方にくれるしかなかった」


叢雲「それも9年よ? ここの全員が、許せるわけないじゃない………」


陸奥「でも、それも今日で終わり。でしょ?」






スカルフェイスは、自身が所持していた水平二連ショットガンを掴もうと手を伸ばしてくるが、逆にそれをスネークが奪い取る。ミラーがそれを寄越してくれというので、スネークは従う。


スネークが弾を込め、ミラーが構え、スネークが狙いを定め、ミラーが引き金を引く。ミラーが失くした右腕を何度も何度も撃ち続け、スカルフェイスの右腕は遠くへと吹き飛んでいく。


弾が切れたショットガンに、スネークが弾を入れ、ミラーが構え、スネークが狙いを定め、ミラーが引き金を引く。ミラーが失くした左足を何度も何度も何度も撃ち続ける。スカルフェイスの左足も、右腕と同じ道をたどった。



ミラー《自分で………髑髏になれ!!》



そう言い捨てて、ミラーはその場にショットガンを置き、ヘリに戻る。それを見ていた艦娘たちは呆気にとられていたが、ある1人がミラーの置いたショットガンを構えて、スカルフェイスを撃ち殺そうとしている。



大井「私の前から…………私の記憶から消えろ!!!!!!」



引き金を引くその瞬間、大井はスネークに取り押さえられる。スネークは抑えようとするが、大井は一向に収まらない。



大井「止めないで!! こいつのせいで、北上さんが……。こいつだけは、殺さないと私の気が済まない!!!!!」




スネークは大井からショットガンを奪い取り、頬を軽く叩く。その一瞬の出来事に、誰も口を挟むことは出来なかった。



大井「っ…………」


スネーク「いいか、こいつを殺したところで何も変わらない。仇を取ろうと、過ぎた過去は消すこともできない。過ぎた過去を変えることも出来ない。ましてや許すことも出来ない」


ミラー「こいつには生易しい死に方はさせない。自分の報復心に飲み込まれた鬼は、自分で ”髑髏” になるまで、死ぬことはない」



ミラーの言葉に、ここにいる全員が静寂を保ったままでいる。そんな全員を他所に、ミラーは口を開く。



ミラー「ミッション完了だ。帰ろう」










全員でヘリに戻ろうとスカルフェイスに背を向けて歩き出すと後ろからスカルフェイスがか細い声で懇願する。



髑髏顔「殺してくれ………………」



しかしその言葉は、誰の耳にも届かない。いや、届いていても言う通りにはさせなかった。皆がミラーと同じ思いだったからだ。



髑髏顔「殺せ…………………」



再び背中から声が聞こえる。先ほどよりも弱々しいが、それでも必死さが伺える声だった。




髑髏顔「殺せ…………………」




髑髏顔「おい、早く………………」





その直後、スネークたちの背中から銃声が鳴り響いた。