2017-06-23 02:56:01 更新

概要

未完成
開始日:2016/6/3
更新予定日:毎週金曜日




サクヤ「…いったい、ここは?」


ガネーシャ「おお。目覚めましたか。戦士サクヤよ。ここは、旅立ちの塔。あなたはこれから世界を回り、ゼウスを打ち破る旅に出るのです。

        まずは、ここで、戦い方の初歩を学ぶのです。」


サクヤ「はっはぁ?あのー言ってる意味がよくわからないのですが…あのどうして私が戦うんでしょうか?」


ガネーシャ「ふむふむ。なるほど。あなたの周りに浮かんでいるコブシ大程の5つの光る玉が気になるのですね。」


サクヤ「えっ?いやそんなこと一言も…うわ、なんか本当に浮いてる。これはいったい?」


ガネーシャ「それはドロップというもので、赤、青、緑、黄、紫、桃の六色が基本として存在するのですが、

        今あなたの周りにあるのは、黄が三つ、赤と青が一つずつですね。」


サクヤ「ドロップという名前は分かったのですが、あのー。それで、これはいったい何なんでしょう?」


ガネーシャ「失礼。それでは、そのうちの黄色を三つ取ってもらえますか?」


サクヤ「これ触っても大丈夫なんですか?」


ガネーシャ「もちろん。あっ、しかし、害のあるものもあることだけは覚えておいてください。黒い色をしたものはダメージを受けてしまいますから。」


サクヤ「…とりあえず黄色を三つ…取れました。」


ガネーシャ「よろしい。それでは、その三つのドロップを両手の間で一気につぶしてみてください。」


サクヤ「えっ?どうやって、あっ浮くんだ。…えいっ。わっ、武器になった。」


ガネーシャ「それを使って、敵に攻撃するのです。そうですね、試しにこの私をそれで殴ってみてください。」


サクヤ「えっ?かなり痛いと思うんですけど…」


ガネーシャ「大丈夫です。ほら、やってみてください。」


サクヤ「どうなっても知りませんからね。行きますよ。とりゃ。…あれ、武器が消えちゃった。」


ガネーシャ「というように、一度生成した武器は一度使うと無くなってしまいます。ほら、あなたの周りのドロップがまた五つになったでしょう?」


サクヤ「あっ。ほんとだ。というよりもどうして殴ったのにあなたは無事だったんですか?」


ガネーシャ「ふふふ。それは秘密ということで。とりあえず、自分の周りのドロップを三つ以上使って武器を生成し、敵を攻撃する。

        それが第一のルールです。」


サクヤ「はぁ。あの、色は何でもいいんですか?」


ガネーシャ「いいえ。同じ色でなくてはなりません。」


サクヤ「あのー。今出てきた私の周りのドロップの色全然違うんですけど…」


ガネーシャ「そういった場合は一つとって握りしめてみてください。」


サクヤ「…えい。あっ、消えた。ってことは、増えてる。」


ガネーシャ「そういうことです。そうやって色を変えながら戦います。あなたは光属性。

        つまり黄色のドロップをそろえることで、武器の生成が可能になります。」


サクヤ「はぁ。」


ガネーシャ「それでは、この塔の番人であるゴーレムと戦ってみましょう。ここから三階あがったところにいますから頑張ってください。」


サクヤ「いや、あの、だからなんで私が?」


ガネーシャ「頑張ってください。」


サクヤ「…わかりましたよぉ。」


・・・


サクヤ「…とは言ったものの、結構大変ですねー。なによりなんで私こんなところにいるんでしょう?…あれ?そもそも私って?あれ?

     記憶が…とりあえず、今は考えないようにしましょう…」


・・・


サクヤ「あの人が言ったように三階あがってみましたけど、ここでいいんでしょうか?」


サクヤ「おっゴーレムさん発見です。さて、どうしましょう?正直、敵意のないものに攻撃しなくちゃいけないってのがどうにも納得できないんですよね。

     ゴーレムさんだって生きているんですし、とりあえず、あそこの柱の陰に隠れて様子を見ましょう。」


ゴーレム「…」


サクヤ「ゴーレムさんぜんぜん動きませんねー。私攻撃してもいいんでしょうか?迷いますねー。あっ、上る時に見かけた赤くて丸い生き物が

     ゴーレムさんに近づいていきますね。大丈夫なんでしょうか?あっ、ゴーレムさんが丸い生き物の頭?を撫でてますね…

     困りましたねー。いったいどうすれば…」


ゴーレム「うごぉー。」


サクヤ「まぁ!ゴーレムさんどうしたんでしょう。光のドロップを三つ集めてっと。」


サクヤ「ゴーレムさん!いったいどうしたのいうです。いきなり丸い生き物に襲い掛かるなんて!私が相手です。とりゃ。」


ゴーレム「うごぉー。」


サクヤ「やはり固いですね。でも、なんでいきなりこんな凶暴に?考えてる暇はなさそうですね。ドロップは…

     光がぜんぜんない…とりあえず、ここは離れて、チビちゃんも早く逃げてって、一緒に戦ってくれるの?」


ホノリン「ぷにぷに。」


サクヤ「まぁ。ありがとう。でも、無理だけはしないでくださいね。それじゃあ、いきますよ。」


・・・


サクヤ「ふー。なんとか勝てましたね。複数で戦うときは、ほかの人のドロップも使うことができるんですね。

     チビちゃんが私のドロップをくわえてくれなかったら、気づきませんでしたよ。ありがとう。よしよし。」


ホノリン「ぷにぷに。」


サクヤ「とりあえず、下に降りてあの人に報告しなきゃですね…まぁ、私の頭に乗っちゃって。ついてきてくれるんですか?」


ホノリン「ぷにぷに。」


サクヤ「ふふふ。よしよし。」


・・・


ガネーシャ「おお、戦士サクヤよ。見事、ゴーレムを打ち破ったようですね。おお。ホノリンを仲間にいれたのですか。」


サクヤ「はい。この子はホノリンさんというのですか。よしよし。」


ホノリン「ぷにぷに。」


ガネーシャ「無事、戦い方が分かったようですね。それでは、これから仲間を求めるため、ここを出て、5つのダンジョンの攻略を行ってください。」


サクヤ「あのー、本当に、ここはなんなんでしょうか?それに、私の記憶も…」


ガネーシャ「5つのダンジョンは各属性に分かれています。まずは、燃え盛る火のダンジョンを目指すといいでしょう。」


サクヤ「あの…」


ガネーシャ「…戦士サクヤよ。今はまだわからないことだらけでどうしていいか悩むこともあるでしょう。

       だからこそ、進むのです。いずれ、あなたの知りたいことも知ることができる時が来るでしょう。」


サクヤ「それって…わかりました。行きましょう、ホノリンさん。」


ホノリン「ぷにぷに。」


・・・


サクヤ「意外と降りる間もしんどかったですね。やっと、外に出られました。わぁ。きれい。それに、木々たちの周りに小さいドロップが輝いていて、

     夜なのにすごく明るい。」


半蔵「新たな冒険者か?」


サクヤ「えっ?あっ、はい。(いきなり現れた気が…びっくりしました…)」


半蔵「ついてくるがいい。」


サクヤ「えっ?(大丈夫かしら?でも、ホノリンさんも気にしてないみたいですし。)」


半蔵「早くしろ。」


サクヤ「はっはい。」


・・・


サクヤ「あのー、私たちどこに向かってるのでしょうか?」


半蔵「…」


サクヤ「…(うー…どうしましょう…あっ大きい門が見えてきました。人影も…よかったー。)」


・・・


フレイヤ「がはは。半蔵がちゃんと冒険者を連れてくるなんて本当に久しぶりね。あたしはフレイヤ。あんたは?」


サクヤ「あっ、えーっと、サクヤって言います。」


フレイヤ「サクヤかい。ありがとね、半蔵を信じてくれて。半蔵あんたもお礼言いなさい。」


半蔵「…俺の仕事は終わった。」


サクヤ「わ、半蔵さん消えちゃいました。」


フレイヤ「照れたのさ。がはは、道中、半蔵になんかされなかったかい?」


サクヤ「そんなこと!道中、助けてもらったりしました。」


フレイヤ「がはは。半蔵が冒険者を気にいるなんて珍しいね。まぁ、ここで立ち話を続けるってのもなんだな。あたしの酒場に来な。」


サクヤ「あっ、はい。」


・・・


フレイヤ「まぁ座んな。飲み物はどうする?」


サクヤ「えーっと、何があります?」


フレイヤ「大概のお酒はそろってるが、あんたは酒飲みって顔じゃないし、ぶどうジュースにしておくか。…ほらよ。」


サクヤ「ありがとうございます。それで、この町はなんなんでしょう?」


フレイヤ「ここかい。ここは、この世界に唯一の町。ホームって呼ばれてる、雷神トール王の統治する町さ。」


サクヤ「へー。ホーム…」


フレイヤ「ここでは、冒険者のために、必要なあらゆるものがそろってる。技の修練場や、個人の能力を覚醒させる瞑想場、

      他者の能力を引き継ぐ継承の間、いろいろある。まぁ、この酒場は情報収集の場ってところかな。」


サクヤ「…そっ、そんなにいきなり言われても頭が…」


フレイヤ「がはは。そのうちなれるさ。とりあえず、あんたがまずやるのは、五色に分かれるダンジョンの攻略だね。

      そこで、各属性の仲間を見つけなきゃね。」


サクヤ「あっ。そうです。旅立ちの塔でも言われました。」


フレイヤ「あー、あの妙にインテリぶったガネーシャの野郎が言ってたのかい。」


サクヤ「あの方は、ガネーシャさんとおっしゃるんですか。そういえば、お名前を聞いていませんでした。」


フレイヤ「いいのよ。あんなやつ。あたしはどうもあいつのことが気に食わないのよ。」


サクヤ「相当好きじゃないんですね。そういえば、フレイヤさんは戦ったりするんですか?すっごく大きな金づちをずっと持ってらっしゃいますし。」


フレイヤ「あたしかい?がはは。冒険者にそんなこと言われたのは、あんたが初めてだよ。本当にあんた面白いね。」


サクヤ「///…そういえば、先ほどから気になってたんですけど、冒険者っていう方は、私のほかにもいっぱいいらっしゃるんですか?」


フレイヤ「あのくそ野郎、何にも説明してないんだね。まったく…」


・・・


サクヤ「…試練の塔にどこからか召喚された人達を冒険者と呼び、その人たちはこの世界を支配するゼウスを倒す使命を負う。

     しかも、まだ、それを成し遂げた冒険者はいないなんて…そんなことって…」


フレイヤ「…あんたには、酷な話だとは思うよ。あんたも、塔から前の記憶がないんだろ?」


サクヤ「はい…」


フレイヤ「ゼウスを倒せば、あんたの記憶も戻るかもしれない…確証はないけどそう言われてる…とりあえず、今日はゆっくり休みな。

      ここの二階は、冒険者用の宿屋になっているから。ベットでどうしたいかゆっくり考えてみるといい。」


サクヤ「…」


・・・


サクヤ「使命かぁ…ホノリンさん、どうしましょう?」


ホノリン「ぷにぷに。」


・・・


サクヤ「おはようございます。あれ?フレイヤさん?あれ?どなたですか?」


フレイヤ「おはよーございますー。サクヤさんですよね。昨日はよく眠れましたかー?」


サクヤ「あっ、はい。あの、フレイヤさんは?」


フレイヤ「えっとー、フレイヤは私ですけどー?あっなるほど。ふふふ。」


サクヤ「???」


フレイヤ「とにかく、覚悟は決まったようですね。」


サクヤ「えっ、はっはい。夜じっくり考えてみて思ったんです。他に方法がないのなら、それをとことんやってみようって。

     どうなるか全くわからないですけど。」


フレイヤ「ふふふ。私はいいと思いますよー。考えてばっかりでなんにもしない人より断然大好きですー。

      それじゃぁ、町の外まで案内しますね。」


サクヤ「お願いします。」


・・・


フレイヤ「私が案内できるのはここまでです。ここから、あの洞窟を目指してください。あれが、火のダンジョンの入口です。

      あっ、それと、これ食べながら行ってください。フレイヤさんお手製のサンドイッチですよー。」


サクヤ「ありがとうございます。あの…もう一人のフレイヤさんにもお礼が言いたいのですけど…」


フレイヤ「ふふふ。それは、火のダンジョンをクリアしてからでもいいと思いますよー。基本的に、一つのダンジョンをクリアしたら、

      ホームに戻って、体を休めて、次のダンジョンへってのが、定番ですからねー。」


サクヤ「そうなんですね。それでは、行ってきます。」


フレイヤ「はーい。いってらっしゃーい。」


・・・


フレイヤ「もー、サクヤさんが戻ってきたら、ちゃんと自己紹介してくださいよー。サクヤさん、不思議そうな顔してたじゃないですかー。」


???「がはは。いいではないかしばらくはこのままで。それより、ワシはあの娘に賭けてみようと思うが、フレイヤはどう思う?」


フレイヤ「そうですねー。今までの冒険者とはちょっと違う感じはしますねー。」


???「じゃろ?それに、半蔵も気になっとるみたいじゃしのー。」


フレイヤ「まぁ珍しいー。」


・・・


サクヤ「ふー。やっと、入口まで着きましたね。ホノリンさん」


ホノリン「ぷにぷに。」


サクヤ「さーって、頑張りましょうか。」


・・・


サクヤ「そういえば、さっきの敵、ホノリンさんに羽が生えたみたいでしたね。

     もしかしたら、ホノリンさんも大きくなったらあーなるんでししょうか?」


ホノリン「ぷにぷに。」


・・・

サクヤ「だいぶ、奥まで進んできましたね。赤いゴーレムさんも倒せましたし、あとどのくらいなんでしょう?

     あっだいぶ広いところに着きましたね。ここが、終点なんでしょうか?」


ティラノス「ブオー。」


サクヤ「えっ?上からいきなり炎が!?」






サクヤ「ホノリンさん、早く逃げて!…ダメです…私は間に合わない…」


ホノリン「ぷにぷに。」


サクヤ「ホノリンさんだけでも…」


サクヤ「…あれ、炎が紫のドロップに?どうして?…上のほうにも空洞があって、そこにドラゴンさんが潜んでたみたいですね。

     相手も混乱しているみたいですね。今、踏み込めば倒せるかもしれないですね。飛びますよ!ホノリンさん!」


ホノリン「ぷにぷに。」


・・・


サクヤ「ふー。なんとか倒せましたね。よかったー。でも、どうして、あの炎が紫のドロップに変わったんでしょう?」


ホノリン「ぷにぷに。」


サクヤ「よしよし。本当に不思議ですねー。…そういえば、フレイヤさんたちが言ってた仲間っていったいどういうことなんでしょう?

     全然味方になってくれそうな人に出会いませんでしたね。とりあえず、ここで行き止まりみたいですし、戻りましょうか。」


サクヤ「あれ、上から光が?うわ、何か落ちてきますね。卵?でも、あの高さだと割れちゃいそうです。受け止めなきゃ。」


・・・


サクヤ「割と重いですね。どうしましょう?…あれ?動いてますね。うわわ。」


いちドラ「がう。」


サクヤ「まぁ、可愛い。ぱたぱた飛べるんですね。その羽も可愛いですねー。」


いちドラ「がう。」


ホノリン「ぷにぷに。」


いちドラ「がうがう。」


サクヤ「ふふふ。すっかり仲良しさんですね。きっと、みなさんが言ってた仲間ってあなたのことだったんですね。それでは、町に戻りましょう。」


・・・


フレイヤ「おかえりなさーい。ずいぶん早かったですねー。あっ、いちドラを仲間にしたんですねー。」


サクヤ「へー。この子っていちドラさんって言うんですね。よしよし。」


いちドラ「がう。」


フレイヤ「ふふふ。可愛いパーティーになってきましたねー。」


サクヤ「そうですねー。そういえば、ほかの方たちのパーティーってどんな感じなんでしょうか?」


フレイヤ「うーん、そうですねー…あっ、そういえば、今修練場に第5層まで到達してる方たちがいらっしゃるはずなので、観に行ってみますか?」


サクヤ「第5層?そうなんですか。ぜひ。」


・・・


シヴァ「ふん。」


曹操「まだまだぁ。」


サクヤ「うわぁ…すごい気迫…」


フレイヤ「それで、さっきの話の続きですけど、今サクヤさんが挑戦してるのは、第1層と呼ばれるところで、各属性のダンジョンをクリアして、

      特殊ダンジョンをクリアすることで第2層へ進めます。第2層もおんなじ要領で進むのでシヴァさんたちはだいぶ進んでますね。」


サクヤ「へー…凄い…」


千代女「あー、フレイヤさん。ここに来るなんて珍しいですねー。」


フレイヤ「やっほー。」


クリシュナ「フレイヤさん!もしかして僕の修練を見に来てくれたんですか?僕のこと本気で考えてくれるようになったんですか?」


千代女「あんたねー。」


フレイヤ「ふふふ。クリシュナ君ったら。あんまりお姉さんをからかうもんじゃありませんよー。」


ウズメ「あんたたちサボってないで、ちゃんとやりなさいよ。シヴァ兄に怒られても知らないわよ。」


千代女・クリシュナ「はーい。」


ウズメ「フレイヤ、ごめんね。ウチの奴らが。」


フレイヤ「いいのよー。実は、この子、新しい冒険者さんでシヴァさんたちのことを観てもらおうと思って。」


ウズメ「ふーん。名前は?」


サクヤ「えっと…サクヤっていいます。よろしくお願いします。」


ウズメ「…あんた自分のリーダースキルは?」


サクヤ「えっ?」


フレイヤ「ウズメ、まだサクヤさんは第1層で教育は進んでないのよ。とりあえず、各属性ダンジョンもまだだから。」


ウズメ「ふーん。まぁいいわ。フレイヤ、シヴァ兄は今ほかのどの冒険者たちよりも進んでる。あたしらは全力でそれをフォローする。

     必ずあたしらがゼウスを倒す。そして、この世界のくだらないループを終わらせてみせる。

     サクヤ、あんたはせいぜい死なないようにすることね。」


フレイヤ「期待してるわ。けど、無理だけはしないでね。」


ウズメ「それは、もちろんよ。」


・・・


サクヤ「あの、先ほど言ってたループってなんなんでしょう?ウズメさん本当に思いつめた表情もされていましたし…」


フレイヤ「そうですね。あなたにも説明しておいたほうがいいでしょうね。ほんとは、第1層の仲間集めが終わった後にするつもりでしたが、

      いい機会かもしれませんね。とりあえず、私の店に戻りましょうか。」


サクヤ「はい。」




イシス「相変わらず暑いわねー。あたし、ほんとにここって苦手…」


シルフ「イシスっちはここまで来た事あるの?すごいね。」


イシス「そんなことないわよ。あの時は…あーやめやめ、この話はおしまーい。」


シルフ「えー、気になるー。ね?サクっちも気になるよね?」


サクヤ「そうですねー。気にならないと言えば、嘘になってしまいますが、でも、イシスさんは話したくないみたいですし、

     それを無理に聞くのは好きじゃないですねー。」


シルフ「サクっち優等生すぎるよー。ね?ツクっち?」


ツクヨミ「…嫌がることはよくない…」


シルフ「ツクっちまで…イッチーは?」


いちごドラゴン「がうがう。」


シルフ「イッチーまで…はいはい。わかったよー。」


・・・


シルフ「えっと…第3層ネルヴァ灼熱林っと…」


サクヤ「データベースですか?」


シルフ「一応調べとかないとって思って。とりあえず、」


イシス「あんたも懲りないわねー。それで、この前も失敗したくせに。」


シルフ「そりゃ巨人の塔ではタイタンが2体出てくるなんてびっくりしましたけど…それでも…」


サクヤ「まぁまぁ。でも、事前情報があるとないとでは全然違いますから。でも、パズルのピースが端末なんておしゃれですよね。

     しかも、使用しないときは指輪に変わるなんて。

     そういえば、このデータベースってどなたが更新しているのでしょう?やっぱりチェスターさんなんでしょうか?」


シルフ「確かそうだよ。他のパーティーの帰還の際にデータ撮りしてるって言ってた気がするよ。」


イシス「ふーん。あいつも頑張ってるのね。ふーん。」


サクヤ「そういえば、イシスさんってチェスターさんとお知り合いなんですか?瞑想場でもお二人で話してたみたいですし。」


イシス「あいつとは昔一緒に戦ったのよ。あいつは本当に頭でっかちで…」


シルフ「で?で?そんなにきらきらした目を?もしかして?」


イシス「うっさいわね。もう早く行くわよ。」


シルフ「えー。」


サクヤ「もうシルフさんったら、せっかくイシスさんが昔のこと話してくれると思いましたのに。」


シルフ「えー。私のせいー?」


・・・


シルフ「今回のダンジョンはデータベース通りだったね。さくっと行けたね。」


サクヤ「そうですね。戻ったらチェスターさんにお礼を言わないとですね。ね?イシスさん?」


イシス「そっそうね。まぁ今回はね…って、サクヤまでなんなのよ、もう。」


ツクヨミ「…ふっ。」


イシス「ツクヨミまでー。」


・・・



サクヤ「ふー。なかなかなれないです…このワープっていうのは…」


シルフ「?風になった感じがして気持ちいいと思うけどなー。」


イシス「慣れよ、慣れ。層が上がるってことは、第1層のダンジョンのさらに奥に進むってことだからしょうがないわよ。」


サクヤ「ですよねー。」


チェスター「おぉ。よかった。無事だったのですね。」


イシス「げっ。」


サクヤ「ふふふ。チェスターさんのデータベースのおかげで楽にクリアできました。ありがとうございます。」


チェスター「本当ですか。それはよかった。」


イシス「で?なんであんた、層の間にいるのよ。」


チェスター「ひどい言いぐさだねー。もちろん、データベースの更新のためだよ。戻ってきたパーティーからの情報収集をして、更新するんだよ。」


イシス「ふーん。」


サクヤ「それじゃあ、ダンジョンの情報はイシスさんに話してもらいましょうか。」


イシス「は?」


シルフ「それがいいね。」


ツクヨミ「…コクン。」


イシス「ちょっ、あんたたちまで…」


サクヤ「的確な状況判断なんかはイシスさんが一番ですし。お願いします。」


イシス「…わかったわよ。」


・・・


シルフ「えー。みんな帰っちゃうの?物陰に隠れて二人の様子観ようよ。」


サクヤ「はいはい。シルフさんも一緒に帰りますよー」


---------------


フレイヤ「サクヤさんは塔に来るまでの記憶がさっぱりないでしょう?」


サクヤ「はい。あの…もしかして、フレイヤさんも?」


フレイヤ「正解です。」


サクヤ「それじゃあ、フレイヤさんも冒険者なんですか?」


フレイヤ「それはちょっと不正解ですね。冒険者だったというのが本当の正解ですね。」


サクヤ「えっ?それはどういう意味ですか?」




イシス「…だいぶ遅くなったわねー。ただいまー。」


サクヤ「あっ、イシスさんお帰りなさーい。遅かったですねー。」


イシス「うん。まぁね。みんなは?」


サクヤ「ヨミさんといちドラさんは帰ってすぐに2階の宿へ、シルフさんは…」


シルフ「うー。みんなでイシスっちの…」


イシス「うわー、だいぶ飲んだみたいね。」


サクヤ「そうなんですよ。大変だったんですよー。シルフさんがお二人のところに行かないように引き留めるの。」


イシス「まったく、仕方のない子ね。」


サクヤ「つんつんしちゃダメですよー。やっと寝たところなんですから。」


イシス「ふーん。そんなに気になることかしら?この子だって、協力者なんだから、そういう記憶だってあるでしょうに。」


サクヤ「シルフさんは、その…あんまり過去にいい思い出がなかったらしくて…自分ではどうしようもないことなのに…」


イシス「…こいつ弱っちぃからねー。ちょっと想像ついちゃうなー。」


サクヤ「だから、つんつんしちゃダメですって。けど、今はみんなに会えてとても嬉しいって、今が本当に楽しいっておっしゃってました。」


イシス「そう…」


サクヤ「そういえば、イシスさんと初めて会ったとき、イシスさんすごく悲しそうな顔してましたよね。」


イシス「…前回はねー、ほんとにいいとこまで行ってたのよ。第4層のクローノス大密林ってとこなんだけどね。」


サクヤ「第4層!それはすごい!」


イシス「でもねー。メンバーはチェスターを除いてみんな水属性で…やっぱり木属性相手だとどうしてもねー。」


サクヤ「なるほど…」


イシス「でも、今一番進んでるっていうのは火属性オンリーのパーティーだって言うから、あたしたちの力量が足りなかっただけなのかしらねー。」


サクヤ「そんなことはないと思いますけど…」


イシス「まぁ、気のいい奴らだったわ。だから、あんたと会ったとき、ダメだったことがつらかったんじゃなくて、

     きっと一緒にいれなくなったことが悲しかったんだと思う。あんたに言うことでもないんだけどね。気悪くさせちゃったかな?」


サクヤ「いいえ。とても信頼できるパーティーだったんだと思います。イシスさんとチェスターさんはほんとに仲良しですもの。」


イシス「ありがと。あっ、でも、これだけは言っとくわ。今のパーティーだって前とおんなじくらい気に入ってるわ。」


サクヤ「まぁ。それはありがとうございます。」


イシス「///…うー。あんたのせいよ。」


サクヤ「だから、つんつんしちゃダメですってばー。」


---------------


フレイヤ「この世界は不思議な世界で死という概念がないのです。私たちは負けると卵になります。そして、次の冒険者の前に現れるのです。」


サクヤ「じゃぁ、いちドラさんももともと冒険者だったってことですか?」


フレイヤ「そうです。私はゼウスを倒すため何度も卵になり冒険を続けました。けれど、どうしても私の力量では限界があることを知りました。

      そこで、私はドロップアウターとして冒険者たちの援護者として生きる道を選んだのです。」


サクヤ「もしかして、このホームという場所は?」


フレイヤ「そうです。私のような攻略をリタイアした者たちによって構成された町です。」


EX①


サクヤ「ゲリラダンジョンですか?」


イシス「そうそう。この世界には普通のダンジョンと違ってある特定の時間帯じゃないと入れないダンジョンがあるのよ。」


サクヤ「へー。それって、入ったら出てこれないとかじゃ…」


シルフ「サクっち、心配しすぎだよー。大丈夫、私らの攻略にとっても役立つところなんだから。」


サクヤ「そうなんですか?」


イシス「そうね。負けることはないから大丈夫。あたしらは結構行ったりしてるし、ツクヨミも行ったことあるでしょ?」


ツクヨミ「…コクン。」


サクヤ「へー。でも、特定の時間帯に出てくるって、その時間はどうやってわかるんですか?」


シルフ「それは、データベースをで調べれば一発でわかるよー。チェスっちが管理してるやつ。」


イシス「なんで、あたしを見んのよ。あっでも、ゲリラはチェスターが管理してるわけじゃないみたいよ。誰って言ってたけなー?」


シルフ「そうなんだ。誰だろう?」


ツクヨミ「…ガネーシャ。」


イシス「あっそうそう。そんなこと言ってた気がする。」


サクヤ「へー。」


・・・


サクヤ「わーきれいなところですねー。他のダンジョンより、植物たちのドロップがすっごく輝いてますー。」


シルフ「ここは本当に幻想的な気分になるねー。」


サクヤ「ここはどんなところなんですか?」


イシス「そうね、ここはたまドラの秘境って呼ばれてて、冒険者たちがそれぞれ持ってる能力、

     いわゆるスキルを覚醒してくれるモンスターがいるところね。」


サクヤ「へー。それはどんなモンスターなんでしょう?あっ、物陰に…」


たまドラ「たまぁー。」


サクヤ「かわいいー。」


イシス「そいつがそうよ。とりあえず、捕まえてごらんなさい。」


サクヤ「わかりました。」


・・・


サクヤ「ふわふわ浮いててなかなか捕まえづらかったですけど、ようやく捕まえましたよー。」


たまドラ「たまぁー。」


サクヤ「ふふふ。よしよし。あっ、でも、どうやってそのスキルっていうのを覚醒させるんでしょう?あっ。」


たまドラ「たまぁー。」


シルフ「いつ見ても不思議な光景だよねー。たまドラが光になって、私らの身体に入ってくるのって。」


イシス「そうねー。いつ見ても幻想的できれいよね。って、どうしたのよ、サクヤ?涙ぐんじゃって。」


サクヤ「あっ、すみません。ホノリンさんのこと思い出しちゃって。」


イシス「あーね。光のダンジョンまでずっとあんたの頭に乗ってたやつね。」


シルフ「えっ、なになに?」


---------------


イシス「ちょっと、このパーティーじゃこのダンジョンを抜けるのは厳しいわね。」


サクヤ「そうみたいですね…体力もだいぶ削られてますし…」


いちドラ「…がう。」


ホノリン「…ぷに。」


イシス「ここは一旦戻って体制を整えましょう。いいわね。戻るわ…そんな、なんでこの階に…」


プテラドス「プギャー。」


---------------


サクヤ「ぎりぎりの状況の中、ホノリンさんがさっきのたまドラのように光り出して。」


イシス「そんで、進化したいちドラのおかげで、無事勝てたのよ。」


いちドラ「がう。」


シルフ「へー。そんなことがあったんだ。やっぱり、サクっちは優しいなー。ぎゅーってしてあげるー。」


サクヤ「わ、わ、やめてくださいー。」


ツクヨミ「…命は巡る、きっと、ホノリンも新しい命に生まれ変わった、だから…」


サクヤ「ありがとうございます。ツクヨミさん。」


ツクヨミ「…///。」


シルフ「えー、ぎゅってして慰めた私にはー?」


サクヤ「言いませんよー。どさくさに紛れて変なところ触ろうとしましたし。」


シルフ「そうそう、マジやばいよ、超柔らかいの。」


イシス「…」


ツクヨミ「…」



---------------


サクヤ「あのー、フレイヤさん。話していて気になったことがあるんですけど…」


フレイヤ「なんでしょう?」


サクヤ「この町が冒険者たちの町なら創始者は誰なんでしょうか?一人?それとも複数?」


フレイヤ「難しい質問ですね…私が冒険者の頃からホームは存在していましたし…

      トール王も町の成り立ちについては正確には分からないとおっしゃっていました。

      しかし、ナンバードラゴンが関わっていることだけは確かなようです」


サクヤ「ナンバードラゴン?」


フレイヤ「各数字を冠するドラゴンたちのことです。彼らはとても知能が高く、私たちの言葉も自在に操ることができたと聞いています。

      彼らはホームを作り、ある時を境に突然消えてしまったと云われています。」


サクヤ「ナンバードラゴンですか…その方たちは今どこに?」


フレイヤ「わかりません。そもそも、本当にいるのかさえ分からないんですよ。もしかしたら…」


サクヤ「もしかしたら?」


フレイヤ「ふふふー。あんまり真面目モードが続きすぎて疲れちゃいましたー。」


サクヤ「えー。いきなりですか?」


フレイヤ「ふふふ。私の話でちょっとはこの世界のこと理解できましたかー?」


サクヤ「まっまぁ…ちょっとは理解できたと思います。」


フレイヤ「ならよし。」


---------------




イシス「だいぶ奥まで進んだわね。確か、あたしの記憶が正しければ、もうすぐボスがいるはずなんだけど…」


シルフ「えっと…第3層魔王の城っと…バンパイアロードとバシリスクが2体出てくるみたいだね。」


サクヤ「そういえば、敵のみなさんは何を考えて私たちに襲ってくるのでしょう?」


イシス「は?」


シルフ「?」


サクヤ「えっ、そんな不思議そうな顔されると思わなかったんですけど、だって、不思議に思いませんか?

     私たちの旅の目的はゼウスを倒すことですけど、それ以外の敵と戦う理由ってなんなんでしょう?

     正直、ゼウスを倒さなきゃいけないってのも、私的には不思議な目的というか…」


シルフ「サクっちってやっぱり不思議だよねー。」


サクヤ「私がですか?」


シルフ「ゼウスは悪いやつ、んで、敵はゼウスの味方なんだから私たちの敵、だから、戦うじゃダメなの?」


イシス「そうねー、シルフの考えが一番シンプルでわかりやすいんだけど、戦う理由ねー。あー、あたしまで気になってきたじゃないのよ。」


ツクヨミ「…私も気になる…」


シルフ「みんな真面目だなー。じゃあ、聞いてみようよ、敵に。」


サクヤ・イシス「え?」


フェニックスナイト・フェンリルナイト・ダークドラゴンナイト「…」


イシス「ぎゃー。いや、あんたもう少し早く教えなさいよ。」


ツクヨミ「…囲まれてる…」


サクヤ「会話通じるでしょうか?」


イシス「バカ言ってないで、ここはあきらめて全力で行くわよ!」


・・・


イシス「ふー。なんとか勝てたわね。まったく、あんた敵に気づいてたんなら早く言いなさいよ。」


シルフ「えー?だって、しょうがないじゃん、みんな真剣に話してるし。」


サクヤ「はぁはぁ。油断してた私たちもいけなかったですし、次からは慎重に進みましょう。」


イシス「サクヤがいいならいいけどさー。」


シルフ「わかったよー。今度から気づいたらちゃんと言うよー。」


・・・


シルフ「そういえばさー。あれからだいぶ進んでるけどぜんぜんボスに出会わないよね?さっきイシスっちもうそろそろとか言ってなかったけ?」


イシス「そうねー。なんかおかしいわね。けど、一本道なわけだし…」


サクヤ「あれ?向こうはすごく明るいみたいですよ。もしかしたらいるかもしれませんね。」


イシス「みたいね。気合い入れるわよ。」


全員「おー。」


・・・


ロード「…やっと来たか。それでは、始めようか。」


シルフ「しゃべった。どうしよう、サクっち?」


サクヤ「あのー、すみません。」


ロード「なんだ?」


サクヤ「あの…私たちはどうして戦わなくてはならないのでしょうか?」


ロード「どうして?」


サクヤ「はっはい。」


ロード「ふむ。面白いことを言うな。なぜ?うーん…お前たちの旅の目的はなんだ?」


サクヤ「ゼウスを倒すことです。」


ロード「だろうな。ならば、私はゼウス様に忠誠を誓っている。主君に仇なす者は捨ておけん。それでいいか?」


サクヤ「もうひとついいでしょうか?」


ロード「構わんぞ。戦いの前の余興としてはとても興味深い。」


サクヤ「そのゼウスの目的ってなんなんでしょう?」


ロード「ふふふ、はーっはーっ。お前たちはここの住人なのか?あちらの世界からの刺客ではないのか?それとも何も知らされていないのか?」


サクヤ「いったいどういう意味ですか?」


ロード「興が覚めた。何も知らん無能はそのまま死ね。」


サクヤ「そんな!」


イシス「サクヤ構えて。もう遊びの時間は終わりみたいよ。」




---------------


サクヤ「リーダースキル?」


カリン「あいやー。そこからアルかー。」


イシス「やっと仲間がそろったばっかりなんだからしょうがないじゃないのよ。てか、それがあんたの仕事でしょう?」


カリン「げげっ。イシス。はいはい、わかったアルよー。

     んっとね、リーダースキルっていうのは、冒険者だけが発動できる特殊能力アルよ。この能力はほかの仲間にも影響するアル。

     基本的には仲間の能力を上昇させることが出来るアルよ。」


サクヤ「はあ。えっと、イシスさんたちには無いんですか?」


イシス「あたしらにもあったわよ。最初の冒険の頃は。意外と使えるスキルだったんだけどねー。その時は仲間に恵まれなかったのよねー。」


サクヤ「そうだったんですか。」


カリン「まあ仕方ないアル。仲間は選べないアルから。とりあえず、リーダースキル自体の説明はここまでにするアル。

     早速、サクヤのリーダースキルを調べるアルよー。」


サクヤ「はっはい。私はどうすればいいんでしょう?」


カリン「そこに立ったままでいいアルよー。」


サクヤ「はぁ。」


カリン「それじゃあ行くアルよー。出でよ、青龍!」


サクヤ「えっ?」


イシス「サクヤ、じっとしてなさい。」


サクヤ「えー?飲み込まれる…息が、息が、あれ?」


イシス「焦りすぎよあんた。」


カリン「そんなこと言ってるイシスも大概だったアルよ。」


イシス「うるさい。」


カリン「いきなり出てきたドラゴンに飲み込まれるアルからしょうがないアル。だけど、何度見ても面白いアル。」


イシス「あんた性格悪いわよ。」


カリン「ふふーん。青龍スキャン開始するアル。」


サクヤ「次はどうなるんですか?」


イシス「焦んないの。次は青龍の中であんたのリーダースキル、潜在能力なんかを調べるの。じっとしてればすぐ終わるわよ。」


カリン「おお。青龍がこんなにスキャンに時間がかかるの初めてアル。って…」


サクヤ「きゃっ!」


カリン「そんな…青龍が弾けるなんて…初めてアル。」


イシス「どういうことよ?」


サクヤ「あのー、青龍さん…死んじゃったんでしょうか?」


カリン「心配ないアルよ。そうアルねー、青龍は精神だけの存在アル。私が水の器を用意してるだけアル。」


サクヤ「?」


カリン「まぁ…説明するの苦手アル…出でよ、青龍!」


サクヤ「よかったー。」


カリン「でも、こんなことほんとに初めてアル。とりあえず、サクヤは火、水、木、光の同時攻撃で…やばいアルね!」


イシス「ちょっと、もったいぶんないでよ。」


---------------


ロード「無能にしてはなかなかやるな。」


サクヤ「はぁ、はぁ、強い…」


イシス「なかなか同時攻撃が決められないわね…」


ツクヨミ「…」


イシス「あんた。どうして一人で前に出てるのよ!」


ツクヨミ「…私が盾になる…」


ロード「小娘が全員束になっても押し負けているのに、お前ひとりで抑えられるものか!ふんっ!」


ツクヨミ「くっ…」


サクヤ「ツクヨミさん!」


イシス「まだよ、サクヤ、ツクヨミの気持ちを考えて!」


ツクヨミ「…まだいける!」


ロード「小癪な!このっ…な?」


ツクヨミ「…?」


イシス「敵の動きが止まったわ!チャンスよ!いちドラは左、あたしが右から、シルフは援護で、サクヤがとどめ!」


いちドラ「がうー!」


シルフ「はいよー!」


サクヤ「わかりました!」


イシス「行くわよー!」




イシス「はぁはぁ…やったわね。」


シルフ「みたいだね。てか、ツクっち、すごいね。あんなスキル持ってたなんて!」


ツクヨミ「…スキル?あれが?」


イシス「きっとそうね。敵の動き止めるなんてそりゃよっぽどの状況じゃなきゃ発動できないわ。ずっと発動したことなかったのにも納得だわ。」


シルフ「でも、かなりの切り札になるね。」


ツクヨミ「…///」


サクヤ「確かにすごかったです。」


ツクヨミ「…///」


サクヤ「だけど、今度からはあんな危ないことはしないでくださいね。絶対ですよ!」


ツクヨミ「…あっ。」


シルフ「ツクっちだって頑張ったんだからいいじゃん。」


サクヤ「よくありません。」


イシス「まあ、今回はどっちの言い分も正しいでいいんじゃない?」


サクヤ「そんな。」


シルフ「どういう意味?」


イシス「だって、ツクヨミはみんなのために命を張ろうとして、サクヤはそんな風に命を投げ出すツクヨミを心配して怒ってるんでしょう?

     どっちも正しいじゃない。あたし個人の意見としてはサクヤの意見を尊重したいけど、ツクヨミのしたことも否定したくないわ。

     だって、ツクヨミのおかげでみんな生き残れたんだから。だから、ツクヨミありがとう。だけど、今度からはあんな無茶はダメよ。いい?」


ツクヨミ「…わかった。…ありがと…」


イシス「二人もこれでいい?」


サクヤ「はい。」


シルフ「はーい。」


イシス「じゃあ、この話はおしまい。それより、バンパイアロードの言葉が気にならない?」


サクヤ「そうですね…私たちのことを【あちらの世界からの刺客】とかなんとか…」


シルフ「世界ってどういう意味なんだろうね?この世界とは違う世界ってなんなんだろ?」


イシス「うーん。さっぱりわからないわね。」


シルフ「とりあえずさ、ホームに戻らない?ほかのみんなにも聞いてみるってのも一つの手じゃない?」




イシス「あー、ちょうどよかったわ。チェスターあんたにちょっと聞きたいことがあるのよ。」


チェスター「おやおや、攻略から帰ってきていきなり珍しいですね。とりあえず、私としては先にダンジョンの詳細をお聞きしたいのですが…

       記憶というのは曖昧になりやすいものですからね。」


イシス「まぁ、そうよねー。そのあとでもいいかな?」


サクヤ「私は構いませんよ。どうしましょう?ここはイシスさんに任せて、私たちはフレイヤさんのところに行きましょうか?」


シルフ「えー?」


イシス「あんた何が不満なのよ。」


チェスター「あっ、そういえば、みなさんにお知らせしたいことがあったのを忘れてました。」


シルフ「えっ?なになに?」


チェスター「実は、データベースの大幅なアップデートを行おうと考えていまして。」


イシス「へー。どんな?」


チェスター「今皆さんには、ダンジョン攻略後に私の取材にお付き合いしてもらっているのですが、あなたたちのパーティーだと主にイシスですね、

       それを無くすためのアップデートです。」


シルフ「えー。いいの?イシス?」


イシス「何がよ?」


シルフ「だってー。」


イシス「あんたうっさいわよ。チェスター続けていいわ。」


チェスター「?、ごほん。えっとですね。今シルフさんに着けてもらっている指輪はデータベースの情報を見たい時にピースに展開させて、

       情報を見ますよね。」


シルフ「うんうん。この指輪でほかの何かができるようになるの?」


チェスター「そうなります。アップデートしたデータベースにはもう一つ機能が備わって、指輪を眼に展開することが出来るようになります。」


サクヤ「眼…ですか?」


チェスター「はい。その眼はあなたたちを私の持っているデータベースに映すことになります。

       ちょうど、今一番攻略が進んでいるシヴァさんたちプロトタイプを渡しているので、見せますね。」


シルフ「あー、すごいみんな映ってる。ってこれなんか変じゃない?」


サクヤ「これは…変というか…」


チェスター「そんなまさか…」




千代女『チェスターさん見えてますかー?』


ウズメ『これでいいのかしら?』


曹操『相手の反応がわからんのが難儀じゃのう。』


クリシュナ『たぶん大丈夫じゃないかな。それより、千代女決め顔過ぎて…』


千代女『…』ブチッ


・・・


クリシュナ『ウズメさーん、回復ー。』


ウズメ『なんでこんなところでスキル使わなきゃいけないのよ。戦いながら適当に自分で回復しなさいよ。』


千代女『いーだ。』


クリシュナ『そんなー。』


・・・


曹操『しかし、ここは水と闇のモンスターしか出てこないからなかなか骨が折れる…』


ウズメ『そうね。シヴァ兄、スキルは発動出来そう?最近、覚醒進化してから一度も発動してるの見たことないけど…』


シヴァ『大丈夫だ。むしろ、覚醒したことでスキル発動の条件が緩くなった気がする。しっかりと状況を見て発動させるから心配しなくていいぞ。』


ウズメ『そう。ならいいけど。』


クリシュナ『でも、シヴァ兄覚醒してとってもかっこよくなったよね。』


シヴァ『ふっ。おだてても無駄だぞ。クリシュナ。』


クリシュナ『そんなことないよー。僕も覚醒できないのかなー。僕もかっこよくなりたい。』


千代女『あんたは絶対無理よ。ぜーったい。』


クリシュナ『なんだよー。わかんないじゃないか。』


・・・


千代女『前回撤退したティアマットがいるフロアまで着いたね。』


ウズメ『今回はみんなスキルも打てる状況、体力も万全。いけるはずよ。』


クリシュナ『でも、僕らってあとどのくらいでゼウスにたどり着けるんだろ?』


千代女『うーん、この間の第5層の各色ダンジョンクリアして開放されたダンジョンの海原をクリアした時、上空に星が密集した空間が見えたわよね。』


クリシュナ『あったね。とっても不思議な感じがしたね。もしかしたら、そこに…』


ウズメ『そうねー。シヴァ兄はどう思う?』


シヴァ『そうだな…確かにあの空間は異様な感じがしたな…第6層の各色ダンジョンもこれで終わりだ。

     もしかしたら、あそこが俺たちの旅の終着点なのかもしれないな。』


クリシュナ『やっぱり、シヴァ兄もそう思う?やった。けど、わかんないのってつらいよねー。僕らより先に行ってる人たちなんていないし…』


千代女『そうよねー。』


ウズメ『だからこそ、慎重にしなくちゃね。もしかしたら、ティアマットが最後じゃないかもしれないし…』


千代女『うそー。それはないんじゃないかなー?あそこ行き止まりだった気がするよー。』


ウズメ『だといいんだけどねー。』


・・・


ティアマット『ガー。』


曹操『ぐっ。』


ウズメ『あとちょっとな気がするんだけど…』


シヴァ『…そうだな…スキル発動するぞ。みな、次の攻撃に全力をかけろ!』


一同『おー!』


・・・


シヴァ『…やったな…』


クリシュナ『お疲れさまー。』


千代女『ふー。この先はやっぱり行き止まりみたいね。』


ウズメ『そうね。杞憂に終わってよかったわ…えっ?』


曹操『空間に裂け目が…』


千代女『竜の頭じゃないかな、あれって…』


ウズメ『何か来るわ。みんな避けて!』


・・・


千代女『そんな…こんなの反則だよー。』


ウズメ『だけど、どうにかしなきゃいけないわね。みんなのスキルはもう使えない、ここは…』


曹操『被害を最小限に留めるのが肝要だな。ここはわしが引き付ける。そのうちに皆逃げるのだ。』


クリシュナ『曹操さん…』


曹操『皆の衆、さらばだ!また会おうぞ!』


ウズメ『クリシュナ、千代女、今のうちに逃げるわよ!シヴァ兄も!たぶん、敵のあのエネルギー砲みたいなのは連発は出来ないはず…』


シヴァ『ぐっ。』


カオスデビルドラゴン『…』


ウズメ『そんな…もう打てるの…これじゃあ、みんな避けきれない…』




ツクヨミ「…第6層ジュノース島でのシヴァ氏率いる火染パーティーの悲劇は、冒険者、協力者、並びにホームの住人たちのほぼすべての者に対して、

      衝撃と波紋を広げた…

      ほとんどのパーティーはあの空間の裂け目から現れたドラゴンに恐れをなし、攻略を諦め、     

      ホームの中は、陰鬱な空気が支配するようになっていた…

      そんななかでも、まだ戦うことを諦めていないパーティーは僅かに残っていた…

      私たちのパーティーもそれに含まれる…

      これから私たちのパーティーはおそらく、多くのホームの住人から期待の目が向けられることになるだろう…

     あのドラゴンは間違いなく闇属性、サクヤとの相性は抜群にいいはずだから…

     ホームで冒険者たちを援護する者たちは、今、リーダーの倍率を上げる方法を模索しているらしい…

     私には何ができるだろう…私はサクヤのリーダースキルには全く必要ないのだ…

     思いつくのはやっぱり…

      サクヤはきっと怒るだろう…それでも、私はみんなに生き残ってほしいから…」




シルフ「聖者の墓…深層っと。おぉ、最後の敵さん、闇属性だよ。やったね。」


イシス「あら、ラッキーね。でも、しゃべれるやつかしら?魔王の城のあと、全然しゃべれるやついなかったじゃない?」


シルフ「えー、いたじゃん。しゃべってくれなかったけど…」


イシス「そういうことよ。あたしが言いたいのは。だって、ホームのみんなに聞いて回った限りじゃ、

     別の世界について有益な情報を持ってる人いなかったじゃない?ねぇ、サクヤ?」


サクヤ「えっ、あっ、はい。そうですね。」


シルフ「サクっちどうしたの?」


サクヤ「先ほどチェスターさんからもらったこの鏡が気になって…」


イシス「あー、なんかリーダースキルを強くしてくれるってやつ?」


サクヤ「はい。えっと、敵に出会ったら、鏡を見ながら呪文を唱えるらしいんですけど…」


シルフ「じゃあ、一回途中で試してみたら?」


サクヤ「それが発動するのは、戦闘1回分らしいんですよ。」


イシス「んー、ぶっつけ本番かー。でも、チェスターどうやってこれ作ったんだろ?」


サクヤ「確か…フィレムさんとおっしゃる女性の方の発案らしいですけど、まだ安定して発動できないらしいです。

     でも、本当に効果抜群らしいですよ。」


イシス「ふーん。聞いたことない名前ねー。」


シルフ「ここクリアしたら会いに行ってみようよ。」


イシス「そうね。」


シルフ「ぷふっ。」


イシス「なによ?」


シルフ「別にー。」


・・・


シルフ「だいぶ進んだねー。」


イシス「てか、敵の属性がばらばらで結構やりづらかったわね。」


シルフ「確かに。そういえば、ツクっちスキルは発動出来そう?」


ツクヨミ「…コクン。多分大丈夫…」


イシス「ツクヨミのスキルは優秀だからね。ほんとに助かるわ。」


ツクヨミ「…///」


シルフ「いいなぁ。私もスキル発動できないかなー。いまだに発動したことないし…」


イシス「そうねー。発動出来さえすれば、その感覚がわかるようになるんだけどねー。」


シルフ「早く発動してみたいなー。」


イシス「まぁいずれ発動できるようになるわよ。」


シルフ「そうだといいなー。あっ。」


イシス「?あっ。」


サクヤ「みなさんどうしました?あれは、ローブ?浮いてませんか?」


イシス「あれは確実にボスっぽいわね。サクヤ、あれやっときなさい。」


サクヤ「はい。えっと、鏡を見ながら…出でよ、鏡界の私!」




ミラーサクヤ「…」


シルフ「おぉ、サクヤそっくりの人が鏡から出てきた。」


イシス「それで?どうすればいいの?」


サクヤ「さぁ…?」


シルフ「えっ、サクっち、この後、どうすればいいか聞いてないの?」


サクヤ「はぁ、私が教えていたいただいたのは、発動の方法だけで…」


ミラーサクヤ「…後の説明はわたくしがさせてもらいますわ。」


シルフ「わっ、声もそっくり。」


サクヤ「へー、私の声ってこんな感じなんですか。」


ミラーサクヤ「ごほん。説明いたします、わたくしはサクヤの鏡、能力を完璧にコピーしており、それはリーダースキルも同様ということですわ。」


イシス「ってことは、サクヤの倍率にあんたの倍率が乗っかるってことなの?」


ミラーサクヤ「その通りですわ。」


シルフ「それって、かなりやばくない?」


イシス「倍率とんでもないわね。」


サクヤ「まぁ。」


------


フレイヤ「フィレムさん、チェスターさんんから聞きましたよー。あなたのおかげで、攻略を行うパーティーが増えたって。

      本当にあなたの能力は素晴らしいって。」


フィレム「そうなのですか。」


フレイヤ「どうかしましたかー?」


フィレム「えっ、あっ、どうしても実感がまだ湧かなくて…わたくしは鏡を通してあらゆる世界を同時に観ることが出来ますわ。

      けれど、観ることが出来るだけで何も出来なかったのにこんな…」


フレイヤ「だからですかー。あなたがリーダースキルを持ったまま、ホームにいたのは…」


フィレム「…はい。この世界に生まれたときから、わたくしは鏡を通してこの世界を観てきました。だからこそ、戦うのが怖かったのですわ。

      そして、みなさんが必死で戦っている中、逃げていたのですわ。」


フレイヤ「よしよし。そんな風に自分を責めてもなんにもならないですよー。きっと、その頃のフィレムさんには、

      逃げることが必要だったんですよ。だって、そのおかげで、今、大勢の人が助かっているのです。

      過去の自分を責めることも時には大事です。しかし、それは、後悔するのではなく、反省するために行うべきです。

      これからはどうするか?でしょう?」


フィレム「…ありがとうございます…」


フレイヤ「…あのー先ほどの話でひとつ気になったことが…」




ハーデス「…」


サクヤ「あの…あなたはこの世界のほかに世界があることをご存知ですか?」


ハーデス「…」


イシス「ダメみたいね。とっととやっちゃいましょう。みんな構えて。」


ハーデス「…そなたたちは、この世界には2種類の生まれ方があるのを知っているか?」


サクヤ「イシスさん、みんなちょっと待ってください。あの、それはどういう意味でしょうか?」


ハーデス「…では、質問を変えよう…そなたたちはどうやって生まれた?」


シルフ「そりゃ卵だよね。みんなもそうだし。」


ハーデス「…ふふふ…では、ゼウスはどうやって生まれたと思う?」


サクヤ「それは…やっぱり卵なんでしょうか?でも、それだと、なんだかおかしな気が…」


ハーデス「…わたしはかつて冒険者だった…」


イシス「はぁ?なに言ってんのよ?」




サクヤ「あの…それはいったい…」


シルフ「ゼウスに寝返ったってことじゃないの?」


ハーデス「寝返るか…ふふふ…その答えは正解とは言えない…」


シルフ「えっ?なんで?味方から敵に変わったんだからそうじゃん。」


ハーデス「味方が敵側に付いたからと言って、必ずしも敵の仲間とは限らない…」


シルフ「ほぇ?」


イシス「さっぱり訳がわかんないんだけど。」


ミラーサクヤ「あなたはもしや、ゼウスと冒険者の頃、会ったことがあるのではないですか?」


ハーデス「ふむ。そなたは少し理解しているようだな。確かに会ったことがある。会ったことがあるというのは少々違うか…

      魔王の城攻略中、ゼウスとロードの会話を偶然聞いたのだ…」


シルフ「盗み聞きだ。あのひと盗み聞きしてるよ。」


サクヤ「しーっ。シルフさん聞こえますよ。」


ハーデス「その時、違和感の謎が少し晴れたのだ。そして、わたしは今ここにいる。」


イシス「はぁ?さっぱり訳がわかんないんだけど。いったいどんな会話だったていうのよ?あんたの生き方まで変えるようなのって。」


ハーデス「それをここで聞いてどうする?わたしとともに、冒険者を狩る側になるか?」


イシス「そんなの願い下げよ。ねぇ、みんな?」


サクヤ「もちろんです。」


シルフ「とーぜん。」


ツクヨミ「コクン。」


いちドラ「がう。」


ハーデス「ならば、多くは語るまい。しかし、ヒントは与えたぞ。考えるのだな。では、参るぞ!」




ハーデス「まさか…このわたしが、一撃とはな…」


イシス「とか言いながら、あんた、あたしらがドロップそろえてる間、なにもしてこなかったじゃない。」


ハーデス「ふふふ…賭けてみたくなったのだよ。そなたらに。わたしには、この答えしか出てこなかった。

       しかし、そなたらならば…」


シルフ「…消えちゃった。」


イシス「さて、どうしよっか?ミラーサクヤはなんか知ってるんでしょう?ってあれ?」


サクヤ「ハーデスさんが消えたときに同時に消えちゃいました。」


ツクヨミ「…きっと、役目を終えたから消えた…」


イシス「うーん…まぁいいや。とりあえず、戻ってフィレムって娘に会いに行きましょうか。」


シルフ「そうだね、チェスっちとどうやって知り合ったか聞き出さないとね。」


イシス「ぐぬぬ…あんたはまたそうやって…あんたはさっきの会話を聞いて気にならないの?」


シルフ「うーん。そりゃ、気になるけどさー。なんかさー、知ったらややこしくなりそうで…」


サクヤ「ややこしい?」


シルフ「うん。だって、さっきの敵、ハーデスはその秘密を知ったから敵に回ったんでしょ?」


イシス「それは…」


シルフ「さっきは勢いで言ったけど、いざそのことを考え始めると私わかんなくなっちゃてさー。もしかしたらって考えたらちょっと…」


サクヤ「…その気持ちは分からなくはないです…」


ツクヨミ「…私も…」


サクヤ「でも、もしかしたら、ハーデスさんとは違う答えに私たちはたどり着けるかもしれないじゃないですか。」


シルフ「でも、もし、そのことが原因でこのパーティーが無くなっちゃったらどうするの?

     サクっちたちはそれでも知りたいっていうの?」


イシス「そりゃ知りたいに決まってるでしょ。だって、あたしらがここに居る意味が分かるかもしれないのよ。」


シルフ「そんなの知らなくていい!私、先に戻ってる…」


サクヤ「シルフさん…」




シルフ「…」


フィレム「ここの眺めはとても美しいですわね。ホームの街並みが一望できて。」


シルフ「誰?」


フィレム「わたくしはフィレムと申しますわ。少し、わたくしとお話ししませんか?」


シルフ「あぁ…君が…私は特に用なんてないけどなー。」


フィレム「そうおっしゃらずに…あんたはこの世界のことをどう思いますか?」


シルフ「えー。この世界のことかー。私にとっては、今のパーティーがすべてだから、

     そうだなー、世界はわかんないけど、私の世界を壊そうとしている点で君は敵かなー。」


フィレム「おやおや。ひどい言われようですねー。なら、わたくしの場合を話しましょうか。」


シルフ「えーいいよー。」


フィレム「わたくしは世界を憎んでいましたわ。そして、自分自身すら憎んでいましたわ。」


シルフ「えっ、それって…」




サクヤ「シルフさん戻ってきませんねー。てっきり酒場にいると思ったんですけどねー。」


ツクヨミ「…イシス言い過ぎた…」


イシス「あたしは悪くないわよ。だって、みんなだって気になってたことでしょ。あの子の個人的な感情でそれに蓋をするなんておかしいわ。」


サクヤ「確かにそうですね…だけど、探しに行きませんか?そして、シルフさんにも納得してもらえるように説得しませんか?」


ツクヨミ「…それがいいと思う。イシスもいたほうがいい…」


イシス「…わかったわよ。あたしも一緒に探せばいいんでしょ。でも、どこにいるのよ?」


サクヤ「そうですねー。ここじゃないとするとどこでしょうか?」


ツクヨミ「…前、シルフが話してたことがある。ホームを一望できるとっておきの場所があるって…」


イシス「なんかそんな話してた気がするわねー。」


サクヤ「一望できるってことは高台みたいな高い場所ということでしょうか?」


イシス「あーなんとかと煙は高いところが好きみたいな。まったく世話が焼けるわ。」


サクヤ「とりあえず探しに行きましょう。」




フィレム「わたくしの能力は鏡を通じて世界を観ることが出来るのです。」


シルフ「それってさ、どんな感じなの?いまいち想像できないんだけど…」


フィレム「そうですねー。あなたはその眼でこの世界を見ていますよね?」


シルフ「そりゃーね。それが君だと違うの?」


フィレム「違いますわ。その眼がたくさんあって、それが観えるんです。しかも、それは鏡のある場所ならいたるところの情報が入ってくるのですわ。」


シルフ「うぇー。なんか想像しただけで気持ち悪い…今もそうなの?」


フィレム「今はそうではありませんわ。情報を遮断する術を身に着けましたから。でも、生まれたばかりの頃はこれが出来ずに、

      わたくしは壊れてしまったのですわ。」


シルフ「ふーん…でも、なんで私にそんな話をするの?」


フィレム「まだこの能力を抑える術を知らなかったとき、あなたの姿がとても印象に残っているからですわ。

      あなたがここに座って泣いているのを…」


シルフ「ぇっ。」


フィレム「本当に身勝手な話ですが、それからあなたのことをずっと見ていたんです。」


シルフ「趣味が悪いなー。でも、そんな見てて楽しいものじゃないと思うけどなー。」


フィレム「フフフ。確かにそうですね。でも、あなたは確かにこの世界の理不尽さと戦っていましたわ。

     わたくしは逃げ出していたのに。そして、あなたはサクヤに出会った。」




イシス「いったいどこにいるっていうのよー。全然見つからないじゃない。」


サクヤ「そうですねー。」


ツクヨミ「…もしかしたら全然見当違いなところを探しているのかも…」


イシス「そんなこと言ったってこれ以上、ホームを一望できるところなんて…」


サクヤ「あっ!」


・・・


イシス「なるほど、ホームを一望できる場所、旅立ちの塔ってわけね。」


サクヤ「シルフさんは空が飛べますから、ほかの塔と比べてここは低いですし、ちょうど位置的にも可能性はあります。」


イシス「いちドラ、ちょっと人数多いけど頑張るのよ。」


いちドラ「がう。」


ツクヨミ「…シルフが上にいると仮定した時、私たちが浮上してきたのを見られるのが心配…」


イシス「…確かに。しかも、ものすごくみっともないわね。」


サクヤ「いちドラさん、できるだけホームの逆側からお願いします。」


いちドラ「がう。」




フィレム「サクヤさんに出会ってからのあなたは本当に楽しそうに見えます。今までの苦労が報われたんでしょう。」


シルフ「そう。君が言う通りサクっちに出会って、私の世界は変わった。だからさ…君が知ってるこの世界の秘密ってどんなのなのかな?」


ツクヨミ「あっ!」


イシス(小声)「ちょっと、声が大きいわよ。」


サクヤ(小声)「よかった。見つかりましたね。シルフさんといらっしゃるのは、誰なのでしょうか?」


シルフ「なんか声が?」


フィレム「ふふふ。そうですねー、私の知ってるこの世界の秘密ですか…そういえば、フレイヤさんにも聞かれましたわ。」


シルフ「フィレっちにも?あのさー、君が知ってる秘密ってハーデス…あ、今日、私たちが戦った相手なんだけど…」


フィレム「大丈夫、わかりますよ。」


シルフ「あっそっか。んで、そのハーデスは世界の秘密を知って敵になったんだよ。君が知ってる秘密もそうなのかなって、もしそうだったらって…」


フィレム「不安だったんですね。大丈夫ですよ、私が知っている秘密は…といっても正直秘密というほどのものではないんですけど…」




???「まだ足りんのか…」


???「あら、また?懲りないのね。結局、いつもダメじゃない。」


???「むぅ、なぜなのだ…もし成功すれば…」


???「何度も言うけど、今のままじゃダメなの?」


???「ダメだ…このままでは足りない…おや、変な虫が覗いているな。」


フィレム「えっ…」


・・・


シルフ「じゃぁ、めっちゃ強そうなおじいちゃんと女の子が君の心を壊したの?」


フィレム「えぇ…制御ができなかった頃の話です…鏡越しでしたがその力は尋常ではありませんでした…」


シルフ「ふーん、こう言っちゃなんだけど、チームがバラバラになるほどの秘密じゃないなー。よかった。」


フィレム「ふふふ。そうですね。サクヤのリーダースキルならもしかしたら…」


シルフ「あーそんなんだったら、飛び出さなきゃよかった。どうやって戻ろうかなー。」


フィレム「きっと大丈夫ですよ。ほら、」




イシス「うーん、いまいち会話が聞き取れないわね…」


サクヤ「おそらく、シルフさんの隣にいらっしゃるのは、フィレムさんなのでしょうね。」


イシス「たぶん…でも、あの子があんな風に親しげに話してるのが不思議ね。あの子のことだから、相手が相手だけに拗ねた態度を

     してもよさそうなのに…」


サクヤ「あら、イシスさんやきもちですか?」


イシス「くっ、そんなんじゃないわよ。ツクヨミは耳良さそうだけど、あんた何しゃべってるか分かんないの?って、どこ見てんのよ?」


ツクヨミ「…あれ…」


サクヤ「下の木陰ですか?あそこに…あれは、ガネーシャさん?何でしょうあの持っている手鏡のようなものは?」


イシス「なんなのよ?珍しいわね…ガネーシャと言えば、普段この塔の中にこもってばっかだって聞いていたけど…」


シルフ「こらー、みんなしてこそこそして、あげくこっち見てないし、って…もがもが…」


イシス「静かにしなさい。あんたも見てみなさいって。」


シルフ「ふぇっ?…ガネーシャ?」




ガネーシャ「………」


サクヤ「何でしょう?あの浮いてるの?光ってるみたいですが…」


ツクヨミ「…さっき持ってた手鏡なようなもの…ガネーシャが何か唱えたと思ったら浮き出した…」


シルフ「鏡だったの?」


サクヤ「たぶん…一種の通信機みたいなものなんでしょうか?なにかしゃべってるみたいですけど…」


イシス「気になるわね…話聞く方法って何かないかしら?」


シルフ「もし、鏡ならフィレっち何とかならない?」


フィレム「試してみますね。………」


イシス「どういうことよ?」


シルフ「なんかね、フィレっちは鏡のあるところだったらどこでも覗けるんだって。」


サクヤ「まぁ。」


イシス「なるほど。んで、どうなのよ?」


フィレム「…これは……どうやら、ダメみたいですね…」


シルフ「鏡じゃなかったのか。残念だねー。」


フィレム「あの…みなさんはガネーシャさんにこの後会って話を聞き出したりしますか?」


イシス「さすがにそれは無いわね。はっきり言うとガネーシャって得体が知れないというか苦手だし…」


フィレム「そうですか。イシスさん以外のみなさんもですか?」


サクヤ「そうですね。正直、あまり親しいとは言えませんので…」


シルフ「フィレっち、それが何かあるの?」


フィレム「い、いえ、気になっただけですわ。お力になれなかったので…」




シルフ「えーっと、天へと続く塔…っと。」


イシス「調べなくても余裕で行けるんじゃない?」


ツクヨミ「…その余裕が命取り…」


イシス「でもさ、実際、結構余裕あると思うのよねー。だって、ハーデスから今までなんの苦労もなく行けたじゃない。」


サクヤ「確かにそうですけど…やっぱり事前情報はあったほうがいいんじゃないですか?」


イシス「そうかしらねー。」


・・・


イシス「ほらぁ、言った通り、やっぱり余裕だったじゃない。」


シルフ「そうだねー。余裕だったねー。」


イシス「やっぱり、今のあたしたちは強いのよ。この調子でサクサク行きましょ!」


サクヤ「まぁ、確かに、余裕ではありましたけど、でも、油断は禁物ですよ。イシスさん。」


イシス「そうは言ってもねー。」


シルフ「(サクっち、言っても無駄だって、絶対、イシスっち、この間の事気にしてるんだって、とりあえずここはうなずいとこ。ね?)」


サクヤ「…はぁ。」


------


シルフ「フィレっちが戦いに参加するようになってサクサク進むねー。」


サクヤ「そうですね。今回のダンジョンも特に苦戦もなかったですし。」


イシス「あんたたち、そんなんじゃダメよ。次はもしかしたらすんごい強い敵と戦う羽目になるかもしれないんだから、

     気を引き締めないと。」


シルフ「イシスっち、固いなー。あっ、今からダンジョン攻略に行くパーティーがいるみたいだね。」


イシス「話をって、セポネじゃない?」


セポネ「あら?イシスじゃない。なんか久しぶりね。」


イシス「戻ってたのね。全然知らなかったわ。」


セポネ「そーねー。戻ってきたのは最近だから…それに、合わせる顔が無くて…」


イシス「それってどういう意味?…」


アレス「セポネ!何やってる!早くしろ!」


イシス「はぁ?」


セポネ「あっはい。」


イシス「ちょっと、あいつ何なのよ!」


セポネ「ごめん、あれうちのリーダーなんだけど、前までは私にもリーダースキルの効果があったんだけど、

     最近覚醒して私使い物にならなくなっちゃたのよ。」


イシス「だからってあの態度は…」


セポネ「ごめん、堪えて…こればっかりは仕方ないことだから…」


イシス「でも…」


アレス「おい、セポネ!」


セポネ「すみませーん、今行きまーす。それじゃ、また機会があったらね。」


イシス「あっ。」


シルフ「行っちゃったね…イシスっち知り合いだったの?」


イシス「昔一緒に冒険した仲間よ…あんな風な感じじゃなくてツンツンしてたんだけど…」


サクヤ「でも、あれはひどいですよね。リーダーなのに…イシスさんのお友達が可哀そう…」


イシス「…でも、実際、あんなのが大多数を占めるのよね…サクヤみたいに仲間を気遣うやつはホントに珍しいのよ。」


サクヤ「そういうものなのですか?」


シルフ「そうだよ!私、サクっちがリーダーでほんとに幸せだもん!」


ツクヨミ「…私も…」


いちドラ「がう。」


サクヤ「みなさん…」


イシス「何よ、この空気、やめやめ。それより、あのパーティーって何処まで進んでるのかしら?」


サクヤ「そうですねー。あっ、チェスターさん!」


イシス「えっ?」


チェスター「みなさん、攻略お疲れさまでした。どうかしたのですか?」




チェスター「あー、アレスくん達のところですか。彼のところは、凄いんですよ。」


シルフ「凄いって何が?」


チェスター「攻略の速度がですよ。元々、攻略のスピードは速かったんですが、

       リーダーの覚醒とフィレムさんの能力によってさらに速度が上がってるんです。」


サクヤ「覚醒ってなんなんでしょう?私、初めて聞きました。」


イシス「あたしも。」


チェスター「最近発見された現象と言っていいのか…今まで各々進化することは知られていたのですが、さらにその上をいく可能性が

       発見されたんです。」


イシス「どういうことよ?」


チェスター「皆さんは今、1段階進化の壁を超えています。それが、もう一段階上がった状態のことを言います。

       そして、その覚醒状態の場合、リーダースキルにも影響が出るんです。

       そうですね…あなた方が知っている人だと、シヴァくんかな…あの時は彼だけの特異な現象だと考えられていたんですが、

       どうやら皆さんにもその可能性があるみたいなんです。」


ツクヨミ「…シヴァ…」


シルフ「…じゃ、じゃぁさ、もしかして、サクっちのリーダースキルも変わるかもしれないってこと?それって凄くない?」


イシス「確かに…でも、どうやって覚醒するのよ?」


チェスター「それがわからないんですよ…現在、確認している覚醒者にはあまり共通項が見られなくて…

       ちなみに、アレスくんは連戦することによって覚醒が促されたのではないかと私は考えています。」


イシス「連戦ってどれくらいよ。」


チェスター「どれくらい…そうですね…1層を通しでクリアしてたこともありましたね。」


シルフ「やば…タフだねー。」


イシス「確かにすごいわね。けど、どうせ、あたしたちより、下位層なんでしょ?実際、あたしらだってやろうと思えばやれるはずよ。」


チェスター「確かに。しかし、もう少しで抜かされるかもしれませんよ。それほど、彼のパーティーは進んでいます。」


イシス「なっ。」




---------


イシス「確か、次のダンジョンって天上の海原ってところよね?」


サクヤ「えーっと…」


シルフ「うん。そうみたいだね。あっ、そういえば、朝すれ違ったイシスっちの昔の仲間が今攻略してるところじゃなかったっけ?

     イシスっち朝言ってなかったっけ…」


ツクヨミ「…」ツンツン


シルフ「えっ?何?…あっ…」


イシス「そうなのよねー。この間、再会したと思ったら、もう抜かされたのよねー。納得いかないわよねー。うん。納得いかないわ。」


シルフ「(やば…)」


サクヤ「(もうシルフさん!)」


シルフ「(ごめーん。だって…)」


ツクヨミ「(もう手遅れ…)」


イシス「あんたたちこそこそなに喋ってるの?もちろん、今から行けるわよね?」


サクヤ「えっ?」


シルフ「えー。休もうよー。」


イシス「行けるわよね?」




サクヤ「皆さん、大丈夫ですか?」


イシス「もちろん大丈夫に決まってるじゃない。それより、フィレム途中で消えたりしないわよね?」


ミラーサクヤ「大丈夫ですよ。チェスターさんのおかげで以前のように一戦のみでなく、常に安定した状態で身体が保てるように改良されていますから。」


イシス「ふーん。」


シルフ「へー。チェスターさんのおかげで…おかげだって、イシスっち。」


イシス「うるさいわよ。あんたはだいじょうぶなんでしょうね?」


シルフ「うん。意外といけるもんだね。でも、なんかいつもと違う感覚がするんだよね。」


ツクヨミ「…?」


いちドラ「がう?」


シルフ「あっ、調子が悪いってわけじゃないよ。なんて言ったらいいんだろ?よくわかんないけど、調子はばっちりだから大丈夫。」


イシス「…まぁ、調子悪くなったらすぐに言うのよ。」


シルフ「はーい。…あれ?あそこにいるのって…」


イシス「…!セポネ!」




イシス「ちょっと、あんたしっかりしなさいよ!」


セポネ「…うっ…その声は…イシスなの?」


イシス「いったいどうしたって言うのよ?それにほかのやつは?」


セポネ「…誰もいないのね…そっか…」


イシス「あんたもしかして目が…」


セポネ「…イシス、気をつけなさい…ボスのデータが変わってる…まさかあんな攻撃がくるなんて…」


イシス「ボスにやられたの?ねぇ?」


サクヤ「…セポネさんの身体が光ってる…」


セポネ「…イシス…またあなたと…」




サクヤ「…あの…セポネさんはどうなったのでしょうか?」


シルフ「?あっそうか。サクっち初めて見るのか…私たち協力者は冒険者が消えると一緒に消えちゃうんだよ。」


サクヤ「えっ…」


シルフ「まぁ仕方ないことなんだよ。」


サクヤ「そんなことって…」


イシス「…仕方ないことよ…きっとセポネだって覚悟してたと思うわ。それよりも気になること言ってたわね。」


サクヤ「イシスさん、そんな…ぇ。」


ツクヨミ「…」


サクヤ「(イシスさんの手?…あっ…)」


シルフ「…イシスっち、一回戻らない?」


イシス「…そうね…」


サクヤ「あら?チェスターさんからもらった指輪が光ってる?」




チェスター「みなさん、聞こえますか?聞こえるのなら、応答願います。」


シルフ「うわっ!なんか声が聞こえる!」


ミラーサクヤ「もしかして、その指輪では?チェスターさんが、通信機能を付けようとしているとおっしゃていたような…」


イシス「チェスターなの?聞こえているな返事なさい。」


チェスター「よかった。無事だったんですね。」


イシス「そうなんだけど、いきなりなんなのよ?」


チェスター「みなさん、一刻も早くそこから撤退してください。」


サクヤ「いったい何が?」


フィレム「それはわたくしが説明しますわ。」


シルフ「あれ?フィレっち?なんで?」




シルフ「ふむふむ。なるほど、こっちのフィレっちは、サクっちの人格をもとに、本物のフィレっちが作った子供みたいなものなのかー。

     そんで、鏡に戻ることで、本物のフィレっちと同化できるのかー。」


イシス「確かに、そこもびっくりしたところではあるけども、なんなのよ?そのこっちを一撃で貫く槍って?」


フィレム「これは、私がアレスのコピーになって…おそらく…みなさんはセポネさんにお会いしたとおっしゃいましたよね?」


サクヤ「はい。」


フィレム「では、そこから、もうしばらく行ったところがボスの居場所になります。私はその居場所についたとたん、相手の槍につらぬかれてしまいました。」


サクヤ「…そんな…」


イシス「ってことは、リーダースキルが…」


フィレム「おそらく…そこで、チェスターさんに急いで連絡を。」


イシス「なるほどね…どうやら戻ったほうが得策みたいね。サクヤ、いいわね。」


サクヤ「そうですね。」


ツクヨミ「…たぶん、それ無理…」


シルフ「どうしたの?ツクっち?」




サクヤ「道がなくなってる…こんなこと今までなかったのに…」


イシス「どうやら進むしかなさそうね…」


イシス「フィレム、その槍ってのはあなただけを狙ってきたの?」


フィレム「わかりません…ランダムで狙っているのか…でも、それを避けることが出来れば、勝機はあるかもしれません…」


サクヤ「どういうことですか?」


チェスター「先ほどログの確認をしたのですよ。フィレムさんを貫いた後、敵はしばらく動きを止めていたのですよ。技の発動後の硬直なのか…

       そこを突けば…あるいは…」


イシス「…とりあえず、注意して進む必要がありそうね…」


ツクヨミ「…」




シルフ「あれ?」


ネプチューン「何…」


イシス「ちょっと、どーゆーことよ?」


ミラーサクヤ「私をツクヨミさんが槍から守ろうとして私の前に立った。だけど、そのツクヨミさんの更に前にシルフさんが…」


シルフ「なんだろ?この盾みたいな光?」


ツクヨミ「…もしかしたら…スキル…」


サクヤ「みなさん!今の隙に一気に行きますよ!」




サクヤ「勝った…みなさん、大丈夫ですか?」


イシス「もちろんよ。ってか、シルフ、あんたのそれなんなのよ?」


シルフ「なんだろーね?みんなを守ろうとしたら、なんか出てきたんだよね。」


ツクヨミ「…これ見たことがある気がする…」


イシス「あんたも?あたしもどっかで見た気がするのよねー。でも、こんな色の光じゃなかった気がするのよねー。」


サクヤ「…わかりました!ガネーシャさんですよ!確かガネーシャさんのは、虹色に輝いてましたけど、これと同じだと思います。」


イシス「それだわ。確か、ガネーシャのスキルは全属性無効化だったはず、ってことは…あんたの光は青だから、

     水属性を無効化するのかしらね。だから、敵の攻撃が通らなかったのね。」


シルフ「なるほど。スキルってこんな感じで出せばいいんだね。次からは、楽に出せそう。」


サクヤ「それよりも皆さん!どうして、私とフィレムさんを守るために全員盾になろうとしてたんですか!

      いちドラさんとイシスさんは私の前に、シルフさんとツクヨミさんはフィレムさんの前に…どうして…」


シルフ「…サクっち…」


ツクヨミ「…」


イシス「…だから、前も言ったじゃない。あんたのリーダースキルはゼウスを倒せるかもしれないの。

     それに…それだけじゃない、あたしらはあんたがリーダーでいてほしいのよ。たとえ、あたしらの誰かが犠牲になろうとも。

     そうでしょ?」


シルフ「ほぇー。イシスが全然キャラじゃないこと言ってる。めちゃくちゃ新鮮。」


イシス「あんたねー!」


サクヤ「ふふふ。みなさん、ありがとうございます。」


イシス「もー。とりあえず、帰るわよ。チェスターのところに行かなくちゃならないわね。

     敵の行動パターンについて、詳しいこと聞きましょ。」




定期報告書    チェスター


❶各ダンジョンボスモンスターの行動パターン変化について


現在、リーダー倍率の倍加要員として攻略組全パーティーに所属するフィレムより上記案件について報告あり。

こちらで作成済みのデータベースと照合したところ、現在パターン変化が確認されているのは、

・天へと続く塔 ヴィーナス

・天上の海原 ネプチューン

の二名。

懸念事項として、二名ともアウトローだという点。

この可能性を考えた場合、聖者の墓-深層-でも同様のケースが考えられるが、現在のところ、報告なし。

冒険者たちへの詳細な落とし込みについては検討中。


❷攻略組進捗状況


最進:サクヤパーティー。現在、ヴェスティーア大空洞を攻略中。


多色でのコンビネーションを必要とするが、リーダー倍率も高く、

先日敗れたシヴァパーティーで確認されたカオスデビルドラゴンとの相性も良いと予想される。


2位:大喬小喬パーティー。現在、天へと続く塔を攻略中。


多色。上記、サクヤに比べ、色についての自由度が高いため、期待が高い。

懸念事項として、協力者内に、イズン&イズーナがいることが挙げられる。

スキルは申し分ないが、協調性に欠けるため、前回同様問題を起こす可能性がある。


❸覚醒について


現在、どのような条件で各人が覚醒するのか不明。

覚醒者を調査した結果、危機的状況により、覚醒が促されるのではないかという見方もできるが、

鍛錬中の覚醒者もいることから何かしらのほかの要因も考えられる。


❹……について


❶項で紹介したフィレムから鏡による通信を行っていたとの報告あり。

油断できない状態。現在、半蔵に監視の任務を当たらせている。




イシス「あーイライラする。」


シルフ「まぁまぁ。イシスっち、落ち着いて。」


サクヤ「そーですよ。チェスターさんだってわからないことだってありますよ。」


イシス「絶対ありえないわ。あの感じは絶対何か知ってるわよ。」


サクヤ「そんな風には思えませんでしたけど…」


イシス「あいつはうそをつくとき、決まった癖があるのよ。それがあいつ話すときそれをやったのよ。

     絶対何かあたしたちに伝えてないことがあるはずよ。」


サクヤ「考えすぎですってば。」


シルフ「イシスっち…」


イシス「何よ?」


シルフ「イシスっちって、モゴモゴ。」


ツクヨミ「…それ以上は収集つかなくなる…」


イシス「大体、このダンジョンに行くときだっておかしかったじゃない?」


サクヤ「それは…確かに、すんなり許可が下りましたよね。」


イシス「絶対なんかあるわ。フィレム、あんたは何か聞いていないの?」




フェンリル「なんだお前か…われはお前の顔など見たくないのだがな。」


トール「がはは。相変わらずひどい言いようじゃのー。」


フェンリル「もう、やつと関わりたくないのでな。まだやつといるのか?」


トール「うーん、今は離れておるのー。やつは塔に閉じこもっておるわ。」


フェンリル「…それで、用件は?」


トール「おぬしの能力を役立ててもらいたいのだ。」




イズーナ「あーあ、なんか飽きてきちゃった。」


イズン「またそんなこと言って。あなたのそうゆうところ双子のあたしから見ても信じらんないわ。」


イズーナ「だってー。今回のリーダー真面目すぎるんだもん。あーゆうタイプは絶対前みたいなことになるのわかってるもん。」


イズン「前ねー…やっぱり信頼できるのはあの人だけね。」


イズーナ「あーそういえば、あの人最近どうしてるの?ずっと籠りっきりって聞いたけど。」


イズン「そうねー。ずっとあたしらにはわかんないような研究をされているみたいね。」


イズーナ「ふーん。ってか、イズンだけずるいよね。いっつもあの人に会うのあんただけじゃん。」


イズン「仕方ないわ。あなたのあたしを作る能力がないと怪しまれるもの。」


イズーナ「イズンも練習しようよ。水からコピー作るの簡単だって。さすがにしゃべったりは無理だけど。」


イズン「普段のあなたはおしゃべりなんだから、余計無理ね。」


イズーナ「むー。あーあ、あの人に会いたいー。」


イズン「…大丈夫よ。イズーナ。きっとすぐに会えるわ。」




・・・「順次計画は問題なく進んでいますよ。ご安心を。」


???「相変わらず食えんやつじゃのぉ。一遍こっちに来てみてはどうだ?おぬしなら道を開けてやってもよいぞ?」


・・・「御冗談を。現時点では、私はそちらに行くことはありませんよ。第一この通信手段も最近では危ういというのに。」


???「まぁよいわ。光の姉妹が鍵で間違いないのだな?」


・・・「おそらく彼女たちがあなたの鎖を解き放つことになるでしょう。…申し訳ない…所要がありますのでこれで。」


???「おっおい…」


・・・「…ずっと見ていたのですか?気づきませんでしたよ。さすがだ。

   どうやら私は信用されていなかったようですね。まぁ当然といえば当然なんですが…ふふふ。」




ミラーサクヤ「チェスターさんがあなたたちに話していないことですか…それはきっと、行動パターンを変えたのがxxxだということでしょうね。

         今回の許可がすんなり下りたのも、敵がxxxではないから。

         チェスターさんが黙っているのはきっと皆さんにxxxやxxxについて不安に思ったりしないようにかと。

         私は皆さんには知る権利があると思いますし、隠す必要はないと思うのですが…」


シルフ「あれ?」


イシス「フィレム?」




ミラーサクヤ「…すみません…」


シルフ「不思議だね。フィレっちが私たちに伝えようとすると変な風に聞こえるのって。」


サクヤ「どういうことなんでしょう?」


イシス「どういう理屈でそうなるのかはわかんないけど、チェスターがあたしらに隠し事をしてるってことははっきりしたわ。

     絶対、許さない。」


シルフ「…イシスっちってさー。」


イシス「何よ?」


シルフ「見た目によらず、お子様だよねー。」


イシス「なっ。」


シルフ「だってさ、自分にとって大切な人が隠し事をしてるから怒ってるんでしょ?」


イシス「シルフ、そういう訳じゃないのよ、大切だからどうとかってわけじゃないのよ。知らせるべきなのに伝えてないってことがいけないのよ。」


シルフ「それは違うよ。チェスっちだってさ、別にイシスっちにいじわるしようと思って伝えないんじゃなくて、

     何か事情があるから伝えないんだと思うんだよね。それなのに怒るイシスっちって、お子様ー。」


イシス「なんですってー。」


サクヤ「まぁまぁ、イシスさん落ち着いて。きっと、シルフさんの言う通りですよ。チェスターさんにも何か事情があるんですよ。」


イシス「…まぁ、サクヤがそう言うなら…でも、あたしらはフィレムから途中まで聞いちゃった訳だからここの攻略が終わったら、

     チェスターのところに行くわよ。いいわね?」


シルフ「フィレっち、ファイト!私はフィレっちのことも応援してるよ!」


ミラーサクヤ「?」


イシス「シルフ、あんたは余計な事言わないでいいの!」 




チェスター「なるほど。フィレムさんが喋ってしまったのですね。」


フィレム「すみません。しかし、彼女たちは今一番攻略が進んでいるパーティーで、

      何よりこの事実を知ったからといってチェスターさんたちを疑うようなことはないと思ったので。」


イシス「あんたにも事情があるかもしんないけどお願いだから教えてくれる?じゃないとあたしは納得しないわよ。」


シルフ「(正直に、あたしに隠し事しないでよ、妬いちゃう。とか言えばいいのに。)」


サクヤ「(シルフさん、しー。)」


イシス「それで?フィレムがあたしたちに伝えようとしたことってなんなのよ?」


チェスター「はい?ですから先ほどの冒険で聞いたのではないのですか?×××について。」


シルフ「あっ、まただ。」


フィレム「チェスターさん、私たちが×××について説明しようとするとジャミングのようなものでイシスさんたちには伝わらないみたいなんです。」


チェスター「ジャミング…そんなことが…」


イシス「ちょっと、あんたも知らないわけ?」




フレイヤ「トールさーん、どこにいるんですかー?好きなお菓子持ってきましたよー。」


チェスター「なんなんですか、その呼び方…子供じゃないんですから…」


フレイヤ「うーん。出てきませんねー。ここにいないとなると、ホームにはいないんですかねー。」


チェスター「…不在ですか…どうしても聞きたいことがあったのですが…」


フレイヤ「あー。ジャミングの話ですかー?」


チェスター「はい。もしかして、何かご存じなんですか?」


フレイヤ「いえいえ、私はフィレムさんから聞いたんですよー。でも、私にはそのジャミングってのがわからなかったんですよねー。

      普通に会話が成立しましたしー。」


チェスター「効果が限定されているんでしょうか…」


フレイヤ「限定…そうかもしれませんねー。知っている人と知らなかった人と区別されているのかもしれませんねー。」


チェスター「あの…もしや、フレイヤさんはこのジャミングの理由…理屈と言ったほうが適切なのか…見当がついてらっしゃるんですか?」


フレイヤ「うーん。見当と言うかー…xxxxxxxxx。」


チェスター「そんな…」




シルフ「プローセル凍土っと…もう、イシスっち、考えるのやめようよー。」


イシス「…うっさいわね。あんたはなんでそんな普通にしてられるのよ。ホームの上の連中があたしらの知らないとこで

     なんかしてるのは確定してるのに。」


シルフ「そんなこと言われてもなー。サクっちはどう思うー?」


サクヤ「私ですか?私は…どうなんでしょう?気にならないかと言われたら気にはなります。けれど、今現状どうすることもできないのも事実ですし…」


シルフ「ほらー。サクっちだってこう言ってるんだよ。」


イシス「うーん…」


シルフ「今考えてもしょうがないことをいつまでも引っ張ってるとダメだって。今は目の前のことに集中しなくちゃ。

     バカの考え休むに似たりって言うじゃん?」


イシス「うーん…はっ!?あんたなんなのよ!それじゃ、あたしがバカみたいじゃないの!」


シルフ「あはは。いいじゃん、いいじゃん。バカでも。ほら、さくっとここもクリアしよ!」


イシス「まったく…」




イズーナ「そういえばさー。うちらよりも進んでるパーティーいるらしいじゃん?」


イズン「それはいるでしょうに。仕方ないことよ。」


イズーナ「えー、でも、うちらかなりのハイペースで進んでると思うんだよ。今までと比べたらありえないくらいに。」


イズン「それはそーねー。あなたが二人を急かすから…」


イズーナ「だって、仕方ないじゃん。そーでもしないと、あの人との約束守れないじゃん。」


イズン「それはそーだけど。あなた、前にも言ったけど、ほどほどにしないと怪しまれるわよ。

     あたしたちの昔のことを知ってるやつも中にいるわけだから…」


イズーナ「うーん…あいつしんどいよねー。どうにか出来ないかな?」


イズン「それは無理な相談だわ。あいつがいないとあたしらのリーダーのスキルが発動しなくなるわ…

     いい?気を付けるのよ。」


イズーナ「ちぇ…わかったよー。」




シルフ「マルースクレーターっと。」


イシス「はぁ、あんたってほんとマメよね。」


シルフ「えー、そーかなー?でも、やめろとは言わないでしょ?」


イシス「それはそうだけど。」


サクヤ「そういえば、フィレムさん。」


ミラーサクヤ「なんでしょう?」


サクヤ「最近、話題になってる大喬小喬さんたちってどんなパーティーなんでしょう?」


イシス「あー、攻略スピードがとんでもなく速いっていうとこ?」


サクヤ「そうなんですよ。気になってしまって。」


シルフ「確かに気になるね。どんな人たちなんだろうね?」


ミラーサクヤ「どんな人たちですか?そうですねー、リーダーのお二人はとても仲のいい姉妹ですね。」


シルフ「へー。姉妹なんだ。そんなパターンもあるんだね。私知らなかった。」


イシス「ふーん。」


シルフ「あれ?イシスっち驚かないの?それになんでそんなテンション下がってんの?」


イシス「いいじゃない。あたしには、姉妹でコンビ組んでるやつにいい思い出無いの。それだけよ。」


シルフ「ふーん。フィレっち、それで?仲間は?」


ミラーサクヤ「えっとですね、ウンディーネさんとおっしゃる方、ヴァルキリーさん、そして、ラファエルさん、あと…」


イシス「ラファエルがいるの?懐かしいわね。あいつ元気にしてる?」


ミラーサクヤ「えっと。あっはい。元気にしてると言うか、寡黙な方なのであまり話したことはありませんが…」


イシス「まぁ、それもそうねー。でも、攻略スピードが速いってことはうまいこと元気にやってるってことよね。良かったわ。」


シルフ「昔の仲間なの?」


イシス「そういうこと。楽しかったなー。あいつらがいなかったらもっと…あっごめんごめん。昔の話だから気にしないで。

     そういえば、あと一人は誰なのかしら?」


ミラーサクヤ「そうでしたね。イズンさんとイズーナさんとおっしゃる姉妹の方たちですよ。」


イシス「なっ…」


つづく








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