2016-10-17 05:55:21 更新

概要

叢雲水着&温泉回。鎮守府の作戦行動開始、始動する『にしのじま』。そしてちょっとずつ明らかになる幾つかの謎と、増えていく謎


前書き

PCの電源故障により、更新に間が空いてしまいました。お待たせしていました。よろしくお願いいたします。


[第四話 新鎮守府、始動! ]




-夕方、執務室


提督「イマイチぶつけたところが痛いな。ペン持つのがちょっときつい。今日はこの辺にしようか。叢雲、演習場の方はどう?」


叢雲「扶桑さんたちがみんなの相手で対戦艦の演習をたくさんやってくれているわ。瑞雲と零観と砲撃を巧みにおり交ぜてくるので、なかなか予測がつかなくて人気よ」


提督「ほー、いいねぇ。山城は?」


叢雲「演習で攻撃当てちゃうと、次の演習では陸奥さんの41センチ主砲ガン積みで無言で撃ちまくってくるって、恐れられているわね」


提督「容易に想像ついちゃうのがまた・・・」


潮「失礼します。提督いらっしゃいますか?」


提督「お疲れ様!どうしたの?」


潮「あの、ここの大浴場は温泉が出るみたいで、曙の養生もかねて大浴場を使えるようにしたんですけど、良かったら提督もどうぞ。怪我にもきっと良いと思うんです」


提督「なるほど、水着や海パンで入る感じね?」


潮「はい。いつでも大丈夫です。他の皆さんにもお知らせしてきます」


提督「うっわ最高!昨夜は死ぬほど冷えたもんなぁ。ありがとう。後でシャワー浴びてから、入らせてもらうよ」


叢雲「そうね。身体を温めた方が良いと思うわ。では、今日はここまでね」


提督「お疲れ様!叢雲も入らないか?」


叢雲「な゛っ・・・いきなり何を言ってるの?」


提督「いや、水着ならいいかと思ったんだけど。たぶん七駆の子たちも水着で適当に遊んでいるんだろうし」


叢雲(たとえそうでも、恥ずかしいに決まってるじゃない!)


提督「いやぁ、温泉なんて久しぶりだなぁ。ぬるめのお風呂でうたた寝するのとか最高なんだよなぁ」


叢雲「随分楽しそうね。水着の女の子だらけの温泉に平然と入れるアンタはすごいと思うわ」


提督「あっ・・・そうか・・・」


叢雲(温泉に入りたくて、そこまで考えが回ってなかったのね・・・かわいい)


叢雲「もしかして、高いテンションでわたしを誘ったけど、水着の女の子が増えるだけって事まで、考えが及ばなかった?」


提督「全然考えてなかったー!」


叢雲「水着の女の子より温泉て、ちょっとそれもどうかと思うけど」


提督「そういう境地に達していないと、できない仕事がある」キリッ


叢雲「はいはい。とにかく、アンタは温泉にゆっくり入りたいのよね?」


提督「そうだな。昔は4時間くらいつかってて、仲間に行方不明になったとか言われてあちこち探されたことがあるくらいだ」ドヤァ


叢雲(4時間て・・・)


提督「だがね、あんなものは序の口だ。時間が許すならいつまでも・・・いや、むしろ温泉そのものになりた「うるさいわね」」


叢雲「2時間くらいよ」


提督「?」


叢雲「しっ、仕事が溜まってるから、お風呂に入りながら打ち合わせしているていで、わたしが近くにいてあげるわ。アンタはその間好きなだけ温泉につかってなさいよ。二時間くらいでいいでしょ?」


提督「叢雲ぉ!やっぱり頼りになるなぁ」キラキラ


叢雲「(やっぱりちょっと疲れてるのね。可哀想・・・)いいわよ、最近色々あって可哀想だし、それくらいしてあげるわ。何時ごろにお風呂に入りたいの?」


提督「そうだなぁ。早めに食事を済ませて、少し落ち着いてからが一番効果があるから、フタヒトマルマルあたりかな」


叢雲「わかったわ。腕とかはちゃんと動くの?」


提督「いや、実は右腕、肩より上に上げようとすると苦しくてさ。ペン使うのも中々きついくらい。なので、温泉でとっとと治そうかなと。あ、今の、曙とか七駆の子には内緒ね」


叢雲「やっぱりね。じゃあ、髪洗ったり身体を洗うのも不便なの?」


提督「まあそうなんだけど、大丈夫だよ」


叢雲「その、嫌じゃなかったら、頭くらい洗ってあげるわよ?」


提督「え?・・・そうだな、ありがとう。助かるよ」


叢雲(意外だわ、断らないなんて・・・本当はかなり無理してたのね)


叢雲「あまり無理しないのも提督の大事な務めよ?あなたがみんなを大切にしている分、みんなもあなたを大切に思っているはずだわ。不便があったら気兼ねなく言うのも、信頼を育む上で大切よ?わたしなんか初期艦なんだし、もう少し頼りになさいよ」


提督「ありがとう。思えば着任から事故やら鎮守府ごと移転やら、息つく暇がなかったな。まだろくに戦いも始まってないってのに、やれやれ。いつもすまないね」


叢雲「らしくないわね。でも、あなたは一生懸命やってると思うわ。・・・じゃあ、フタヒトマルマルに大浴場でいいわね?」


提督「ありがとう。じゃあ今日はここまでにして、続きは浴場で打ち合わせって事で」


叢雲「わかったわ」


-30分後、叢雲の私室


叢雲(もおぉぉぉ!どうしようどうしようどうしよう!!水着であいつと二人で温泉って!頭も洗ってあげるって言っちゃった!わたし何カッコつけてるの?は、恥ずかしくて死にそうだわ!むしろ今ここに隕石とか落ちてきてほしい!時計の針が秒針みたいに早く感じるわ!)


叢雲(しかもなんで、みんなの前で平然としてるくせにわたしに弱いところ見せるの?あんな顔見せられたら、こっちだって無理しちゃうじゃない!)


-窓に映る頭部の補助艤装が、普段と違うピンク色の光を放っている。


叢雲(まずい!艤装も完全に外さないとダメだわ!こんなの気づかれたら死ねる!)ガシャッ、ポイッ


叢雲(水着!そう水着よ!なんだか死に装束を選ぶ気分だわ!・・・えっ?なっ、なんでワンピースタイプのが無いの?一枚あったはずなのに。確かここに・・・)ゴソゴソ


叢雲(・・・ウソ?これって・・・。はぁぁぁぁぁぁ?わたしってバカなの?ななな、なんでノリで買ったマイクロビキニとパレオのセット残してて、ワンピース捨てちゃってるわけ?)


叢雲(こんな攻めた水着じゃ、アイツにも他のみんなにも、絶対に間違ったメッセージしか送らないじゃない!)


叢雲(・・・ちょっと待って、そもそもアイツ、なんでわたしを温泉に誘ったのかしら?扶桑さんの誘惑だって通じないくらいなのに。曙と二人っきりでも何もなかったわよね。普通は提督だからと言っても扶桑さんの誘いとか断れないわ。じゃあ、誰か好きな人が居ると考えたら?・・・自然よね)


叢雲(そういえば・・・)


-回想、最初期の以前の鎮守府


叢雲「そういえば、アンタはなんで私を秘書艦に選んだの?」


提督「ああ、クールな一匹狼で自信を持ってるって説明と、あとは見た目かな。昔のお姫様みたいでいいなと思ったんでね」


叢雲「な、何を言ってるのよ!」カァァ


提督「いや本当にさ。初めて会った時なんて、『すごい美少女が来たなぁ』なんて思ったもんだよ」


叢雲「な゛っ・・・・、もうそんな話はいいわ。仕事するわよ、仕事!」


提督「話を振ってきたの叢雲だろー!」


-再び、叢雲の自室


叢雲(そうだわ、アイツ、少なくとも私の見た目も、嫌いではないみたいなのよ。・・・・まさか、万が一の場合だけど、本当に万が一の場合だけど、あ、アイツが好きなのが私・・・とかだったら、一応全ての言動の辻褄は合うのよね。万が一だけど)


叢雲(扶桑さんの時だって、『がっかり』ってハッキリ言ってたから、欲求は普通にあるはずなのよ・・・!)


叢雲(待って、万が一アイツが好きなのが私で、それで温泉に誘ったり、頭を洗うのを承諾したり、本音を話しているとしたら、こんなビキニで行ったわたしに対して、アイツが理性を働かせる必要は無いと判断する場合もあるわけで・・・・)ボッ!


叢雲(・・・どうしよう。あんなに理性を働かせてみんなを大切にしているアイツが、私にだけは我慢する必要がない、とか考えたりしたら・・・。こんなビキニじゃ、断ったって説得力無いじゃない!いや、でも、いつ誰がお風呂に来るかわからない話になっているはずよね。それは大丈夫か)


-コンコン


叢雲「・・・どうぞ」ガチャッ


潮「お疲れ様です。叢雲さん、提督がお風呂に入る時間って、フタヒトマルマルから二時間くらいで合ってますか?」


叢雲「ええ。その予定よ。提督から聞いたのかしら?」


潮「はい。さっき、医務室で包帯と湿布を外しに来られた時に言ってました。叢雲さんが色々お世話してあげるんですよね?陸奥さんが、『お手数かけるわね、よろしくね』って、言ってました」


叢雲「秘書艦の務めだもの。当然の事だわ。それで、あなたの用件はそれをわたしに伝えに来てくれたの?」


潮「陸奥さんとも話したんですけど、提督、最近疲れているみたいだし、温泉はいくらでも入っていられるって言っていたので、三時間くらい提督だけの時間を作って、ゆっくり休ませてあげた方が良いんじゃないかって。それで、叢雲さんだけに負担をかけるわけにいかないから、途中から陸奥さんが交代してもいいけど、どうかしら?って言ってました」


叢雲「なるほど、そういう事ね。提督は4時間以上でもいくらでも温泉に入っていられるって言っていたから、それはいい考えだと思うわ。お世話の件は、任せてもらっても大丈夫よ。執務の続きで、軽い打ち合わせもできるしね」


潮「わかりました。じゃあ、フタヒトマルマルから三時間くらい、提督用に貸し切りにしちゃって、陸奥さんには大丈夫って伝えておきますね」


叢雲「ええ。それで大丈夫よ!任せておきなさい。・・・ところで、漣はまだ曙につきっきりなの?」


潮「曙、結構ひどい風邪で、まだ熱が下がらないんです」


叢雲「早く良くなるといいわね。風邪だけで済んだのは不幸中の幸いだったと考えるべきだわ。お大事にと曙に。漣には、こっちは大丈夫と伝えてあげてね」


潮「叢雲さん、手伝えなくてごめんなさい。わたし、水着とかその・・・恥ずかしくて無理で・・・」


叢雲「気にしなくていいのよ、各自ができることをする。それでいいじゃない」


潮「ちょっと気が楽になりました。そうですね、失礼します」ガチャッ、バタン


叢雲「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


叢雲(う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!三時間ふたりっきりが確定しちゃったわ!何が『各自ができることをする。それでいいじゃない(キリッ!)』よ。何でかっこつけちゃうわけ?水着が恥ずかしくて死にそうよ!むしろ既に死んでるわ!)


叢雲(い、今更理由つけて断るなんて絶対無理よね。ダメダメ!アイツにこれ以上がっかりする顔なんてさせちゃダメよ・・・。そう、わたしの考えすぎ、ただの秘書艦と提督だわ。扶桑さんにだって手を出さないような人よ。何かするにしたって、ああいう大人なスタイルの女の人の方が良いに決まってるんだし。・・・あれ?でも確か・・・)


-再び回想、最初期の以前の鎮守府


叢雲「そういえばさ、アンタはどんな女の子が好きな訳?」


提督「なんだい?いきなり」


叢雲「アンタは真面目そうだけど、やっぱり色々な提督がいるみたいで、初期秘書艦は提督の性向の把握も大切な仕事なのよ。艦娘は基本的に、魅力のある子ばかりでしょ?立場を勘違いする提督も一定数いるから、恋愛とか、フェアなものは良しとして、行き過ぎたセクハラとか、まずいものは未然に防ぐこともしなくてはならないの」


提督「なるほど、どんな女の子が好きか把握しておくと、問題の発生は防ぎやすそうだね」


叢雲「理解が早くて助かるわ。なので、嘘は言わないで教えて欲しいのよ」


提督「確かにそうだね。これ、記録に取るの?」


叢雲「本部には提出義務はないけれど、秘書艦の提督に対する所感として、記録はしておかなくてはならないのよ」


提督「わかった。じゃあ答えるね」


叢雲「ええ」


提督「まずね、いわゆるロリコンではないし、かといって年齢が自分より上の女性も好きじゃない」


叢雲「なるほどね」カキカキ


提督「髪は、長めの子が好き。一番好きな色は黒い髪だけど、例えば、髪の色と服装、特に下着や水着を合わせるようなセンスの子だと、髪の色なんか不問で、いいなぁ、と思うんだよ」


叢雲「それ、わたしも分かるわ」カキカキ


提督「で、身長が低い子よりは、高い子の方が好きかなぁ。あと、胸が大きすぎる子は好きじゃない。どっちかと言うと小さ目とか、いわゆる美乳ってくらいまでがいいね」


叢雲「キレイな子が好きなのね。じゃあ、フェチはどんな部位かしら?特にない?」カキカキ


提督「ああ、肝心な質問だよね、それ。えーと、ちょっと恥ずかしいな。・・・背中とお尻かなあ。そう経験が多いわけではないけれど、綺麗な女の子は背中も綺麗だからね。あと、バランス的に胸がやや小さめ、お尻はやや大きめ、みたいなスタイルが好きだね。・・・こんなもんでいい?」


叢雲「ありがとう。いいわ。答えづらい質問でごめんなさいね」カキカキ


提督「うん。・・・あ、なので叢雲はかなり該当しているって部分はあるんだけど、決して変な目で見てはいないからね?」


叢雲「え?・・・あ゛っ・・・そ、そうね。もちろんよ。良く分かっているわ。余計な事は言わなくて大丈夫よ!(気づかなかったわ)」ドキドキ


-再び、叢雲の私室


叢雲(・・・よくよく考えると、遠回しに口説かれていたのかもってくらい、わたしってアイツの趣味に該当している部分があるのね・・・。わたしって結構残念な子だったのかしら・・・)


叢雲(考えてみれば、初期艦や秘書艦と特別な関係になる提督って、とても多いと聞くわ。わたしはアイツの事、ちゃんと見て、気遣う事が出来ていたかしら?アイツはあんなに、みんなに気を遣えているのに)


叢雲(・・・も、もういいわ。温泉だけ、のはずだけど、アイツが本当に疲れてて、そんな事を万が一にも考えていたら、腹をくくるわ!こんな水着しかなくなってるのも運命よ!・・・と、とにかく身体をピカピカに磨いてから行かないと!・・・ま、万が一のためよ、あくまで万が一の!)


-フタヒトマルマル 大浴場前


叢雲(うう、食事があまり喉を通らなかったわ・・・)


提督「叢雲お待たせ!身体は洗って来たんだが、頭はやっぱりちょっときついや。申し訳ない。世話になるね」


叢雲「いいわよ。食事はちゃんとできたの?」


提督「ああ、箸を両手で使えるのが特技の一つでね。大丈夫だったよ」


叢雲「それは何よりだわ。温泉に長時間入るなら、満腹でも空腹でも良くないものね」


提督「ぬかりはないぜ!・・・覚悟もできてるしな(小声)」


叢雲「えっ?」


提督「いや、準備もできてるって言ったのさ」


叢雲「(気のせいかしら?覚悟って)・・・じゃあ、着替えたら適当に洗い場で待ってて。私も着替えたらすぐに行くわ」


提督「ありがとう!」


-数分後、大浴場


提督「わかっちゃいたが、なんて高級な大浴場だよ。天然木と天然石しか使ってないじゃないか。全く、お偉いさんてやつは・・・風呂最高!いやっほう!」キラキラ


提督(・・・と、とはいえ、まず叢雲に髪を洗ってもらう事になったわけで。女の子に髪を洗ってもらうなんて、何年ぶりだよ・・・緊張してきたぞ・・・腹はくくってきたが)


-脱衣室、鏡の前


叢雲(こっ、これ、攻め過ぎよ!ギリギリ、マイクロじゃないと言えなくも無いけど、やつぱりマイクロなわけで。とりあえず小さいけどパレオ巻いて・・・い、いいわ、もう戦場(いくさば)に行くわよ!)


-大浴場


叢雲「お待たせ」カラッ


提督「すまんね・・・!」


叢雲「何かしら・・・(ああああ、すっごい見てる!死ぬ!見ないでー!)」カァァ


提督「叢雲それ、風呂に入るから艤装とって上げ髪にしてるのか?」


叢雲「えっ?・・・ああ、そうよ?(なに?何を言い出す気?)」


提督「へえ、すっごく可愛くなるんだな。たまにその髪型にしたらいいだろうに」


叢雲「ありがと。そうね、たまにはいいかもしれないわね(水着じゃなくて髪?すっごくかわいいって?くっ、水着の前に大破しそうだわ・・・)」カァァ


提督「それにさ、その水着・・・」


叢雲「なに?(来た!着弾観測射撃!轟沈くらい覚悟してるわ!)」


提督「ギリギリ、マイクロなんだろうけど、叢雲が着ると品があるせいか似合うなぁ。黒なのは肌に合わせたのか?パレオが小さめなのもいい。自分の良い点をわかってる女の子って、おれは良いと思うよ。いやー、眼福だなぁ」


叢雲「そう?ワンピースにしようと思ったら、間違えて捨てちゃってたみたいで、これしかなかったのよね。眼福なら良かったじゃない。少しは、癒しになるのかしらね?(・・・あら?なんだろう?凄く嬉しい・・・恥ずかしさがだいぶ飛んでしまったわ・・・)」


提督「なるほど、ワンピースも有りだな。いつもキッチリやってくれてるから、そういうオサレを楽しんでる部分とか見られると、ホッとするね」


叢雲「わっ、わたしは大丈夫よ!むしろ、心配なのはアンタね。陸奥さんの件から昨日の件まで、仕方ないとはいえ、ちょっと身を削り過ぎよ。アンタの考えはよくわかるから、わたしたちに代わりがいるから、なんて言い方はしないし、大切にしてくれるのはすごく安心して戦える。・・・でもね、アンタが死んだら元も子もないのよ」


提督「ほんとその通りだ。いや、良く分かっているよ。けどさ、大丈夫なんだ」


叢雲「意味が分からないわね。アンタは時折、すごく確信をもって話すじゃない?提督という仕事にはそういう自己肯定も大切なのはわかるけれど、いつか無理がたたりそうで心配なのよ」


提督「・・・そうだな、その通りではあるんだ。うん、気を付けるよ、ありがとう。・・・ところでさ」


叢雲「なにかしら?」


提督「そのビキニの叢雲に髪を洗ってもらうとか、覚悟はしてきたけどすっごい緊張してきたんですが!緊張と、何とも言えない感覚の津波が!」


叢雲「」・・・ボッ!


提督「ああもう!口に出して言わないと色々やばい!普段キツいようでいて真面目で優しいくせにエロ綺麗過ぎなんだよこのやろう!温泉万歳だこんちくしょう!痛みも疲れも吹っ飛んじまうよ!」


叢雲「・・・・な゛っ・・・そんな」カァァァァ


提督「半分冗談で言ったらここまでしてくれて、もう提督は魂が半分深海に行きそうですよ!今や言ってよかったどころの話じゃねぇ。素で感謝してます。ありがとう!」


叢雲「・・・は、半分冗談は、聞かなかったことにしてあげるわ。さあ、観念して頭を洗われなさい!わ、わたしだってねえ、死ぬほど恥ずかしかったのよ!」


提督「よろしくお願いします。・・・いつもすまないねえ(老人口調)」


叢雲「小ネタはいいから、そこに座りなさいよ。・・・ふふ、あはは!アンタって、ほんと変な人よね。何だか気分が落ち着いて来たわ。それにしても、アンタも恥ずかしかったのね・・・そうよね」


提督「恥ずかしくないわけないだろう?その辺に転がってる女の子ならともかく、叢雲だよ?叢雲!・・・一応、色々良いなと思って秘書艦やってもらってるわけだしさ」ストッ


叢雲「まあ、褒められているみたいで良かったわ(へぇ、特別扱いしてくれるのね・・・)」シャワー


提督「誘惑が多すぎて大変な時もあるけど、心折れちゃいけない、この環境!でも、なかなか幸せだったりする・・・(小声)」


叢雲「まあ、頑張りなさい・・・頭洗うわね」ニュッ、ワシワシワシ


提督「・・・艦娘っていうのは、たぶん心に闇がない。それがおれには相性が良かったりする(あ、これ気持ちいいな。口調と違って、随分優しい手つきだな)」


叢雲「・・・難しいことを言うのね。アンタの仮説かしら?・・・流すわね」シャワー


提督「っぷは!・・・ん、仮説かもしれないが、当たっていたらこの先の戦いを変えていくカギになるかもだな」


叢雲「さっぱりしたかしら?・・・で、闇がないって、つまりどういう事?人間との違いを感じる?・・・すこし水気を拭きとるわね」フキフキ


提督「ありがとう。とても気持ちが良かったよ。・・・んー、昔、まだ艦娘と実際に関わるなんて想像もしてなかった頃に、仮説を立てて政府に意見書を提出したことがあってさ」フキフキ


叢雲「初耳だわ。面白そうな話ね。どんな意見書かしら?」


提督「艦娘と深海勢力ってのは、もしかすると人の『魂魄(こんぱく)』の、それぞれ『魂(タマシイ)』と『魄(ハク)』に分かれて実体化したものなんじゃないか?って仮説をね」


叢雲「難しい話ね。つまりどういうこと?」


提督「人間てのはさ、肉体の他に、さっき言った『魂魄(こんぱく)』ってやつでできているという説がある。『魂(タマシイ)』は自由な心の働きで、死んだ後は天に帰り、『魄(ハク)』は情念。これは、死んだ後は地にとどまると言われている。この考えを持ち込むと、艦娘と深海勢力、そして轟沈と、強力な深海勢力を撃破した後に艦娘がサルベージされる事、も、ある程度説明がつけられる。・・・まあ、天使と堕天使、みたいな考え方でもよいが、さ」


叢雲「時々何か考えているふうに見えていたことはあったけど、そう見えるだけだと思っていたら、意外と難しいことを考えているのね」


提督「地味にひどいな。実は何も考えてない時の方が少ないんだが。ふふ」


叢雲「冗談よ。分かっているわ。・・・冷えてしまうから、湯船で聞かせてもらってもいいかしら?」


提督「そうだな」スクッ、スタスタ、トプン


叢雲「良いお湯ね。・・・で、その仮説からすると、何が見えてくるのかしら?アンタなりの推測では」パシャッ


提督「ふーっ、いい湯だなぁ。・・・ふむ、まずさ、轟沈は敵勢力を増やすから厳禁。練度が高ければ高いほど危険。それと、艦娘の精神状態によっては、轟沈しなくても深海側の何かに反転する可能性がある。もちろん、その逆もあるだろう。つまり、最近の大規模作戦での捨て艦戦法や轟沈の増加などは、作戦の成功の意味をかなり減退させている可能性がある・・・んー」ノビー


叢雲「大規模作成の成功の度に、期間をおいて深海側の勢力が強大になる理由も説明がついてしまうわね・・・ふぁ」ノビー


提督「あともう一つ、この仮説で行くと、いわゆる『ケッコン(仮)』も、良く検証しないと危険かもしれない」パシャッ


叢雲「どういうこと?」チャポン


提督「そこがまだわからないんだよ。いずれこっそり解析してみたいとは思っているんだがね。・・・ただ、想定の強さの上限を打破して強くなり、様々な恩恵がある。とされている割に、全体として戦況は押され気味のままで改善していない。マクロな視点では有効ではなかったと言えるだろう。そこにもヒントがある気がする」


叢雲「アンタの勘では、どう考えているわけ?」


提督「あのシステム、理論は全く公開されていないのに、現状、恩恵だけしか見当たらない。・・・しかし、この世にそんなものは無い。必ず何かリスクがあるはずで、それを知りたいんだ」


叢雲「・・・言われてみれば、そうね。リスクもなく恩恵だけのものなんて、有るはずがないわね」


提督「だろ?おれは、リスクの有無の確認と、有ったらそれが何か判明するまで、あのシステムに手を出すのは危険だと思っているんだよ」


叢雲「そのリスクには、目星はついているの?」


提督「んー、何となくなら。あれは、艦娘本来の属性を強化すると同時に、以前は無いか、またはほとんど無かった属性、・・・おそらく、深海勢力と同じ属性、を少し追加することで、恩恵を得ていると考えている。魄なり、人間の持つ闇なりね。だがそれは本来、君らには無かったはずのもの、本来、相容れぬはずのもので、何らかの苦しみや苦痛が増えるのでは?と思っている」

叢雲「いまいちイメージしずらいわね・・・」


提督「イメージか。・・・例えば、天使が人間に近づいてしまい自由に飛べなくなる、または、堕天使の心が理解できてしまい、いつ堕天するともわからなくなる。・・・それは、もう以前の天使とは違うだろう?しかも、知らない間にそうなっているとしたら?」


叢雲「なるほど、分かりやすいわ。・・・アンタって意外と色々な事を考えているのね。・・・!ん?もしかして、アンタが誰とも絶妙な距離を維持しようとしているのは、そのリスクを考慮して?」ザバッ


提督「わからないけど、有ったとしたらたぶん、君らにはリスクがあって、提督にはリスクが無いか、殆んどない、くらいのものだろう。という事は、君らに一方的にリスクを負わせてしまう可能性があるわけで、そこに気を使っているのは事実だね」


叢雲「なるほどね。本部には問い合わせたの?」


提督「以前の通達によると、『ケッコン(仮)』については、現在理論を究明・実証中なので、現状以上の事については回答不可。だそうだ。疑念も強まるってもんだよ」


叢雲「なにそれ。要するに質問を受け付けないって事じゃない」


提督「やっぱりそう思うだろう?まあ、指輪が来たら色々解析してみるさ。・・・こんな時の勘は外れたことがないから、おそらく当たらずとも遠からず、なんだろうけど」


叢雲「うーん、思ったより色々ありそうね。でも、アンタは何でそれをわたしに話したの?」


提督「理由は二つ。思ったより早く、色々な形でみんなと接点があるから、いずれ必ず大きな関心事になるはずの『ケッコン(仮)』について、自分なりに考えがあることを何人かには理解しておいてもらわないと、後々無用のトラブルを避けづらくなるから」


叢雲「確かにそうだわ。もう一つは?」


提督「・・・あのさ、叢雲」


叢雲「なに?」


提督「例えばその・・・セクハラ的な事をしたいって言ったら、酸素魚雷くらわすか?」


叢雲「・・・は?(・・・えっ?まさか・・・やっぱりここで?)」ドキドキ


提督「いややっぱりごめん。ちょっと寝るよ」


叢雲「・・・言うだけ、言ってみなさいよ。内容によっては酸素魚雷くらわすけど(・・・またやっちゃったわ。これもう、引き返せないかも!)」ドキドキドキドキ


提督「ん、おれはしばらくこのまま眠るから、寄りかかっててくれないか?それだけでだいぶ、おれの心の中の何かのゲージが下がる。ふふっ」


叢雲「・・・え?それだけ?(本当にそれだけなの?)」


提督「それだけって、それ以上はダメだろ普通に考えて」


叢雲「それもそうね、・・・じゃあ、これでいいかしら?」ザバッ、ピトッ


提督「・・・ん、いいね。ありがとう。後で何かお礼するよ。じゃあ、しばらく寝るよ。おやすみ・・・」スゥ・・・


叢雲「・・・おやすみ。(もう寝ちゃった。疲れているのね、やっぱり)」


提督「・・・zzz」


叢雲(あらためて見ると、左腕の傷跡がすごい。腕が千切れかけたとは言っていたけれど、本当にひどい怪我だったのね。この前は凍死しかけたし、踏んだり蹴ったりよね。・・・でも、わたしたちの事を使い捨てにするような提督だったら、こんな怪我も何もせず、陸奥さんや曙が居なくなっていても、次の同じ子が現れればそれでいいとする事も可能だし、それも許されている立場なのに、絶対にそうはしないのね)


提督「・・・zzz」


叢雲(セクハラって言って、寄り添う程度だし。・・・馬鹿ね、もう少し何かしても、別に良かったのよ?余計な覚悟までしてきたんだから。・・・でも、その優しさ、嫌いではないわ。わたしも少し、眠らせてもらうわね・・・)zzz


―見知らぬ場所


叢雲「・・・え?ここはどこかしら?」


―遠くまで抜けるような青い空に、深く青い、水の冷たそうな海と、白い砂丘がどこまでも続いている・・・


叢雲(・・・艤装は無いわね。服装はいつものだけど。・・・熱い風。でも、この気持ちは何かしら?寂しいような、切ないような・・・あれは?)タッ


―はるか遠くの砂丘に誰かが立っていて、遠くの海を眺めている


叢雲「待って!あなたは・・・!」


―大浴場


叢雲「・・・あっ!」ハッ


提督「・・・ん、どうした?」zzz


叢雲「ごめんなさい、何でもないわ。まだ寝ていて大丈夫な時間よ」


提督「わかった・・・」スゥ


叢雲(あれは何だったのかしら。以前の記憶?それとも、ただの夢?・・・ん?)スッ


叢雲(わたし、泣いていたのかしら?なぜ?・・・あ、外、雪が降り始めていたのね)


叢雲(もう少し、眠りたい気分だわ) スゥ


―二時間半後


提督「・・・んあ?良く寝たな・・・」ノビー


叢雲「ん、ふぁ。わたしも良く寝てしまったわ。アンタのそばだと寝心地が良いのかしら?」


提督「ほー、じゃあ今後も時々頼むよ」


叢雲「それはちょっと調子に乗り過ぎね」


提督「ゴメンナサイ調子に乗りました」


叢雲「まあいいわ。外、雪が降ってるわよ」


提督「うお!ここでの雪なんて珍しいだろうに。・・・明日は、雪の中からの出陣か」


叢雲「いよいよ始まるわね。・・・そろそろ上がる?」


提督「うん、おかげでかなり骨休めになったよ。おれの心の中の何かのゲージもかなり下がったしさ。ふふ」


叢雲「ところで、よく分からないんだけど、わたしがくっついて寝たからって、何がどうなるわけ?」


提督「ああ、説明しよう(キリッ!)。欲求ゲージを下げるために、綺麗な女の子を愛でるゲージと、君ら大切ゲージ、癒されゲージを上昇させたんだよ」


叢雲「やっぱり良く分からないわね。でも、気が楽になったのなら何よりだわ(綺麗な女の子って言ったかしら?)」


提督「おお!心も身体もだいぶいいよ!ありがとう」


叢雲「ま、まあ、今後はあまり辛くなる前に言うのね。わたしも、お、温泉は気に入ったから」


提督「そうだな。でも、すごく恥ずかしい思いをしたろう?きっと。そういうのもなんか、すごく元気が出た。ありがとう!」


叢雲「いいのよ」カァァ


提督「じゃあ、明日に備えてさっさと寝ようか」ザバッ


―翌日、ヒトマルマルマル、特殊輸送船『にしのじま』前


提督「全員、そろったね。本日より、堅洲島鎮守府の作戦行動を開始する!当鎮守府は他のそれと違い、戦闘海域からはだいぶ僻地に当たるため、『鎮守府の近海』に該当する海域は無い。この為、この『にしのじま』により、司令部から要請のあった海域へと移動し、近海の作戦に該当する各種作戦を遂行する!尚、『にしのじま』は、展開中は鎮守府の出張所として機能するほか、他の鎮守府の艦娘の支援を行うこともある。わたしの代理として陸奥、秘書艦として叢雲が同行する。秘書艦及び、体調を考慮して残留するのは、漣、曙の二名。知っての通り、当鎮守府はまだまだ人員が足りない。練度を上げつつ、なるべく多くの仲間を引っ張り上げて帰ってきてくれ。もちろん一名も欠けることなく、だ」


一同「おー!」


提督「陸奥、叢雲、代理宜しく頼むよ」


陸奥「任せといて!」


叢雲「任せなさい!」


提督「加古、古鷹、君らは当鎮守府の二人だけの重巡だ。貴重な中距離戦力として、よろしく頼むよ」


加古「この船のおかげでよっく眠れそうだからね!あたしゃ頑張るよー!」


古鷹「重巡洋艦らしい働きをしてみせますね!」


提督「扶桑、山城、今回の作戦で君らは予備戦力になる可能性が高いかもしれない。ただ、未確認の敵戦力が予想される時は、大事を取りつつ、練度の上昇を兼ねて、積極的に出撃して構わない。改装後の君たちにふさわしい任務が来そうな見通しなんだ。よろしくね」


扶桑「扶桑、諒解いたしました!」


山城「姉さまと一緒なら、山城は大丈夫です。誰も沈めさせません!」


提督「朧、潮、今回は叢雲も含めて君ら三人しか駆逐艦がいない。中破したらすぐ撤退と休息を忘れずに、こまめな立ち回りを心がけてくれ」


朧「そう簡単にやられないから大丈夫!」


潮「が、頑張ります。仲間をたくさん見つけてきますね」


提督「ん、みんな士気高くて結構。今回の作戦行動は一週間から十日で帰還の予定だよ。クリスマスにはにぎやかに過ごせると良いね。・・・では、作戦行動、開始!」


一同「おー!」


―作戦メンバーを載せて『にしのじま』が離岸する。


提督(全員、無事に帰って来いよ!)


―この地域には珍しい、雪の降る中、『にしのじま』が水平線と雪の彼方へ消えていく


漣「・・・行っちゃいましたね」


曙「うう、ほんとごめんなさい」


提督「風邪様症状とはいえ、戦場に行くにはちょっと早いさ。鎮守府の仕事も沢山あるしね。実質今は三人だ。こっちのほうがハードかもしれないよ?」


漣「そういばご主人様、ご飯もこのメンバーで持ち回りですよね?」


提督「うーん、まあそうなるな。おれも作るよ。二人は料理はどんな感じ?」


漣「わたしはオムライスとハンバーグと、パスタ、あとはハヤシライスも作れますよ?」


提督「お!やるねぇ」


曙「口に合うかはわからないけど、煮物が得意よ。筑前煮とかサバの味噌煮とか」


漣「あっぼの!デレたらさっそく良い妻になれるアピールしてー!抜け駆けはいけませんぞ?・・・ご主人様、ぼのって実は和食が結構上手なんですよー」


曙「得意料理がまんまメイドカフェのメニューの漣には言われたくないわね。アピールなんかじゃありませんよーだ!あまりからかうと、鶏肉たっぷりの煮物、作ってあげないからね?」


漣「すいません言いすぎました。あれは大好きなんで勘弁してください」


提督「なんか、大丈夫そうだな。むしろ楽しみなくらい」


曙「提督はどんな料理を作るの?」


提督「え?おれ?・・・そうだな、いわゆる男料理になってしまうが、結構何でも作る。実は自分が良く使う食材や調味料、既にここに入荷済みだしね。肉料理と炒め物、ラーメンやカレー、スープ類と、あとは水無し肉じゃがなんかも得意だな」


曙「水無し肉じゃが作るなんて、提督、料理好きなの?」


提督「ん、実はちょっと美味いものを食いたい時、手ごろな店がないと自分で作る方だな」


漣「ご主人様、結構料理できるんじゃないですか!水無し肉じゃがってなんですか?」


曙「水を加えないで、野菜の水分だけで仕上げる肉じゃがよ。ひと手間違うけど、美味しさも違うのよ」


提督「そうそう。今はもう水無ししか作らない」


漣「すごい楽しみです!でも今日はラーメンが食べたい!」


曙「あ、わたしも、寒いからラーメンがいいな」


提督「わかった。気分転換兼ねて、今日はおれが調理って事で。・・・ん?あれは?」


漣「司令部の小型水上機ですね」


―司令部の連絡用水上機が着水した


大淀「何日かぶりですね、提督。急で申し訳ありませんが、上層部からいくつかの通達と、現状よりレベルの高い情報が解放されましたので、資料をお持ちしいたしました。今後の鎮守府の運営と、全体の戦況の好転に役立てば幸いです」


提督「ありがとうございます。助かります。・・・ところで、ラーメン食べていきませんか?」


大淀「はい・・・は?」


―夕方、鎮守府食堂


大淀「ごちそうさまでした。まさかここで、こんなおいしいラーメンを頂くことになるなんて」


提督「女性ばかりなので、今回、ニンニクは抜いてあります。その分、旨味を濃くしてありますね」


大淀「本土もこちらも、今年はかなり冷えますから。さらに、水上機で雪の中を移動してきたので、とても身体が冷えていましたが、すごく暖まりました」


提督「お勤め、お疲れ様です。お褒めに預かり恐縮ですよ」


曙「これすっごく美味しいよ。今度教えてもらいたいな、なんて」


提督「いいよ?意外と簡単だし」


漣「もう提督辞めて、黒いTシャツに頭にタオル巻いて、店とか出してもいいんじゃないですか?」


提督「壁に変な詩でも書いたりしてか?『やっとたどりついた、おれの一杯』みたいな」


漣「そうそう、腕組んだドヤ顔の写真とかアップにして・・・」


大淀「けほっ!・・・すいません、失礼しました」


―翌日、執務室


漣「すっごい量の資料を置いていきましたよね、大淀さん」


提督「優先度の高いものとそうでないものを、とりあえず振り分けよう。どこか、機密資料室を用意しないとダメだな、これ」


曙「提督、工廠の建造システムと開発システムはちゃんと動くみたいよ?」


提督「ありがとう。景気づけにさっそくレベル4の情報を生かして建造してみるか」


曙「どういうこと?」


提督「希少な艦娘が建造できる傾向の高い資源比率表、なんて希少な情報もあってさ」


曙「面白そうね」


―工廠、建造キャニスター前


提督「とりあえず、このレアな駆逐艦が出やすいという資源比率でやってみよう。資源があまりないから、キャニスターが二か所しか使えないな」


漣「・・・どちらも24分と表示されましたね。ちょっとワクワクします。どんな子が来るんだろ?・・・ぼのが二人になったらめんどくさいなぁ」


曙「いちいちわたしを絡めなくてもいいと思うんだけど」


―同じころ、特殊訓練施設のどこか、キャニスター内の人型のシルエット


姫(始まったわね。まずはこの子をプレゼントしておくわ)


―同じころ、特殊輸送船『にしのじま』近く、作戦海域


叢雲「さあ、戦場に出るわよ!」


朧「敵勢力を確認。駆逐艦三隻!」


潮「が、頑張ります!」


―同じ頃、本土のある施設


??「大淀君、急な任務御苦労だった。あの島に秘匿してあるASUだが、ASU-DDBとして試験運用を再開し、その責任者をあの提督とする事で大筋はまとまった。我々が選別してきた無数の可能性の中で、やっと並列から抜きん出る者が現れたと言えるだろう。これに合わせて、まだあの提督が邂逅していない艦娘のうち、ASU-DDBの運用をサポートするのに適性があると思われる艦娘を選別し、基礎訓練プログラムを作成しておいてもらいたい。その後、あの鎮守府にそれぞれの艦娘が着任したらプログラムを譲渡する形を取ろう」


大淀「諒解いたしました」


??「それとだ、あの鎮守府の艦娘たちの状態の確認において、Sフレームではなく、S/Dアライメントフレームにて、今後は確認をお願いする。併せて、『ケッコン(仮)』に関する必要な情報の開示申請には、現状分かっている範囲までは答えてやっても良い」


大淀「そうしたら、彼はおそらく『ケッコン(仮)』は導入しなくなるのではありませんか?」


??「おそらくそうするだろう。そしてそれは、彼が本当に我々の探していた人材であれば、やがて彼に壮大な二択を迫って行く事になるだろう。それこそが・・・いや、それだけが、この状況を打破する可能性を秘めているのだ」


大淀「諒解いたしました。・・・あの、ひとつ質問よろしいでしょうか?」


??「何かね?」


大淀「参謀はあの人が、本当にそこまでの可能性を秘めているとお考えですか?」


参謀「それは、参謀としての私に対する質問かね?それとも、一個人の私に対してかね?」


大淀「そのようにおっしゃられたら、わたしはどちらの立場でのお考えも知りたいと思います」


参謀「そうだね。私が答えたい質問なんだよ、それは。・・・答えよう。参謀としては、可能性に賭けるしかないと考えている。そして、一個人としては・・・おそらくノー、だ。深海勢力との長い戦いと、艦娘という存在、これらを通して私が何度も思い知ったのは、やはり人間は遠い昔に、楽園を叩き出された存在だったという神話の再確認だったよ」


大淀「では、あの人が昔提出した仮説は、真実に近い。しかし、状況を打破するには至らない、と?」


参謀「認めるわけにはいかないが、その認識は私の本心に近い。君にこれを話す理由も君なら理解できるだろう」


大淀「いえ、わたしの私見などは特にございません。任務を忠実にこなしていくのみです」


参謀「・・・希望は持ち続けたまえ」


大淀「・・・ありがとうございます」




第四話 艦


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SS好きの名無しさんから
2016-07-04 00:08:07

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2016-07-04 00:08:09

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1: SS好きの名無しさん 2016-07-04 00:08:30 ID: 9Y6VVYLG

やっぱ叢雲は天使


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