2017-07-08 18:29:32 更新

概要

提督が妄想し、それに対する艦娘達それぞれの反応を描いていきます。


前書き

提督は艦娘から好ましく思われていないと思っています。持病?(妄想癖)を持っているからです。
対して艦娘の方はと言えば、提督を大変慕っています。「恋煩い」の艦娘が大半を占めています。

あとは……分かるな?







導入






提督「提督業を営む全ての皆さん、はじめまして。テー=トク、です」


提督「人類共通の敵である『深海棲艦』と日々戦う『艦娘』を指揮する『提督』とは、基本的にデスクワークをこなし続けるというカルマから逃れる事は出来ない。もしそれをした場合、それは艦娘の指揮権を放棄し、国を裏切った"売国奴"というレッテルを貼られることになりかねないからな。そうなれば最早その者には死しか待っていない。国を追われて深海棲艦のお口の中へエンヤコーラだ」


提督「だから提督となった者は、その命の灯火が尽きるまで粉骨砕身お国の為に四肢を投じ、日々の執務に励まねばならない」


提督「それは私も例外になく、いまも日次の執務・任務をこなしているのだ」


提督「だが、私は生来そういったルーチンワークに免疫が無いようで、それに因ってストレスを溜め易い傾向にあるそうだ」


提督「さらに厄介な事に、私はストレスを解消する方法として『妄想』をしてしまう癖があるそうだ」


提督「しかも実況音声付きという優れ物。目の前に艦娘が居たら【放送規制】」


提督「さて、そんな妄想癖の激しい提督と、提督のオカズにされる艦娘達が勤める鎮守府には一体どんな光景が広がっているのか」


提督「このSSでは、それに焦点を当てて描いていきたいと思っている」


提督「どうかお付き合い頂きたい」






side:蒼龍






~ 提督執務室 ~




蒼龍「〜〜〜♪♪」カリカリ



提督(弊鎮守府では『秘書艦』の人選は艦娘に任せてある。だから基本的に私を嫌う艦娘が側に居る事は無い、はずだ)


提督(それはむしろ好都合だと思っている。私も、私を嫌う艦娘と一緒に居るとストレスが溜まってゲフンゲフン)


提督(そして今日の秘書艦は蒼龍だ。彼女は鎮守府創設期から世話になっている艦娘で、本部の実験もとい試作的制度である『ケッコンカッコカリ』なるものの第一号を飾ってもらった、気の知れた間柄でもある)



蒼龍「提督? これ、今日の分の艤装開発結果の報告書です」パサ


提督「ん? おう、すまんな蒼龍、ありがとう」ニコリ


蒼龍「いえ、どういたしまして///」パタパタ


提督「暑いか……? なんだったら冷房を点けるが……」キョトン


蒼龍「へぇっ? いや、大丈夫ですよ! 心配性ですねもう!」ブンブン


提督「そうか……だったらいいんだが……」


蒼龍「ホントに大丈夫ですから! ホラ、早く執務を終わらせちゃいましょう!」ガリガリ


提督「あ、ああ……」


蒼龍「……」カリカリ


提督「……」カリカリ




〜 三十分後 〜




提督(もう無理。死にそう)グダリ


提督(第一なんだこの書類の量。なんで鎮守府に庶務課や計務課が存在していないんだ。お陰で雑務やら何やらまでもが全て執務室に担ぎ込まれてきてしまう)



提督「……」チラリ


蒼龍「……」カリカリ



提督(……気分転換でもするか)ジーー


提督(蒼龍は、一言で表すならば『献身』という言葉が一番相応しいと思っている)


提督(容姿端麗、文武両道、これだけ揃えば立派な『大和撫子』とも言える)


提督(こんな最高の女の子を嫁に出来る奴はさぞかし幸せ者になれるだろうな……なんか父親目線で語っちゃってるし)ハハ


提督(もしもそれが私だったならば……)ポワワ




* 妄想開始 *




提督「ただいまー。ふう、今日も疲れたよ」ガチャリ


蒼龍「お帰りなさい、提督。ご飯はもう食べてきたんだよね?」パタパタ


提督「ああ。人付き合いも億劫なものだ」


蒼龍「ふふっ、お疲れ様。ちょっと待っててね、直ぐにお風呂沸かしてくるから」パタパタ


提督「ああ、待ってくれ蒼龍。その前に"アレ"がしたいな」


蒼龍「えっ、"アレ"? 未だ私もお風呂に入れてないし、その後でも……」テレテレ


提督「なに、それは好都合! 蒼龍ちゃ〜んっ!!」ルパンダイブ


蒼龍「ええっ、どこにそんな元気が……って、キャッ!?」ズテン


提督「あ"〜……やっぱり此処が一番落ち着く……まさしく桃源郷」モゴモゴ


蒼龍「ちょっ、こしょぐったいから私の太ももに顔を埋めたまま喋らないで///」


提督「よき……よき……」モゴモゴ


蒼龍「も、もう……提督ってばお子様なんだから♡」フーーッ


提督「ああっ、耳元で話すのはらめえ♡」


蒼龍「待ってって言ったのを聞かなかった提督がいけないんだから……ふうーーっ♡」


提督「ああああああああああ♡♡♡」




* 妄想終了 *




提督「ああああああああああ♡♡♡」ジタバタ


蒼龍「あの、提督……?」ジトー


提督「…………!!!!????」ハタ


蒼龍「思い切り聞こえてますよ……?」ジトー


提督「……幻聴じゃあないかな?」ダラダラ


蒼龍「『ああああああああああ♡♡♡』」ニマニマ


提督「分かった、取引をしよう。私に出来る範囲でお前の要望を聴くから、どうかこの事を内密にしてくれないだろうか」マガオ


蒼龍「う〜ん、そうですね……それじゃあ、今度の提督のお休みを私にくれるなら、考えてあげなくもないです」ニマニマ


提督「私の休みを……? それで本当に!? もちろん良いぞ!!」パア


蒼龍「それじゃあ交渉成立ということで♡」ニヤ


蒼龍「あと……」ボソボソ


提督「……?」ミミヲヨセル


蒼龍「提督の言ってた"アレ"、その時にシてあげますから……///」ボソボソ


提督「……なんか過去最大級のやる気が湧いて出てきたぞ」


蒼龍「そ、そうですか……///」


提督「…………ッ!!!!!」ガリガリガリ


蒼龍「///」カリカリ




〜 side:蒼龍 fin 〜






side:赤城






〜 工廠 〜




赤城「〜〜〜♪♪」ミブリテブリ


工廠妖精「!!」ピシリ


提督「……」ノンビリ



提督(弊鎮守府では空母を用いる事が多い)


提督(何故ならば、運用できる戦艦は数が……いや、空母を運用する方が遥かに効率的であるからだ。うむ、けして戦艦が居ないからという訳ではない。現に金剛型の姉妹は能く働いてくれている)


提督(という事で、と言うのも変ではあるが、当然開発する艤装も空母が運用する「艦載機」へと必然的に集約されていくわけだ)


提督(きょう、秘書艦を務めてくれている赤城はそんな空母の親玉とも呼べる存在だ。言い方はアレかもしれないが、実際に空母艦娘の中で一番の貫禄を持っているのが彼女だ。それは彼女の歴史が証明している)


提督(そして、私はその事に注意して赤城と接している。具体的に言えば、よくある上司と部下のような関係かな)


提督(赤城は秘書艦として艤装開発に携わる際、頻繁に「流星改」に拘っておこなっている。理由について一度言及したことがあるが、「だっておいし」までしか言ってもらえなかったので、以降は追求するのを止めている。無性に背筋が寒くなったしな)


提督(ちなみに弊鎮守府では、日に五度の艤装開発をおこなっている。いつの間にかそう慣習づいてしまっていたので、誰もこれに文句をつけていないし、私としても艤装開発にはかなり身入れしているのでそれを肯定している)


提督(……本日最後の開発は失敗に終わった様だな)



提督「さて、それじゃ赤城、開発結果を教えてもらえるか」


赤城「はい、提督。本日の艤装開発においては『失敗×3,九七式艦攻,流星』という結果になりました」


提督「……なら流星以外はいつもの所へやっておいてくれ。私は先に執務室に戻っているよ」


赤城「はいっ」ピシリ



提督(……心なしか顔が綻んでいたような。いやまさか——)


提督(——不躾は承知の上だ。「だっておいし」の件も実の所は気になっていたし、ほんの少し、ああ、ほんの先っちょだけだ。いや疚しい気持ちはないぞ)




〜 廃棄場 〜




赤城「……よいしょ、と」スタスタ ドサリ


赤城「今回は失敗が多かったわね……残念だわ……」キョロキョロ


赤城「……」  っ『九七式艦攻』


提督 in 物陰(あれは……九七式艦攻だな。それを取り出して一体何を……?)


赤城「……」パリ……パリ……



提督(……………………は?)



赤城「うん、やっぱり出来たては直ぐに頂くのが一番よね」パリムシャモグゥ



提督(いやいやいやいや)


提督(は? 何? なんで赤城が艦載機を食してん? 何故?)


提督(よもや空母が艦載機をムシャっていようとは……って、ハッ!?)


提督(まさか空母が帰投した時に幾らか艦載機の数が減っているのって……)ウッ




* 妄想開始 *




赤城「フフ……貴方がいけないのよ『流星改』…… 貴方が余りにも美味しすぎるから……」ジュルリ


流星改妖精「!!」イヤイヤ


赤城「……何ですか、至福の時間を過ごそうとする私の邪魔立てをしようとするのですか」ジヌロ


流星改妖精「……」ダンマリ


赤城「ふふ、それでいいのです……では」パリムシャモグゥ


赤城「んーーー♡  このパリッとした装甲の中に眠る蕩けるような味わいの500kg航空魚雷!この強烈な組み合わせが堪らないんですよねぇ!!」コウコツ


KG「赤城さん。食べ過ぎは駄目よ」パリムシャモグゥ


赤城「分かってるわよKGさん。ちょっとだけ、ほんの先っちょだけなんだから」パリムシャモグゥ


KG「フフ……」


赤城「ウフフ……」


赤城・KG『フフフフフフ……』




* 妄想終了 *




提督 in 物陰(イヤーーーー!!!!)


提督(アレだけ試行錯誤してようやく開発出来るようになった流星改を美味しく頂かないでぇぇぇ!!)


提督(……待てよ)ハタ


提督(コレがもし、私がこの事について知っていたとして、その事を赤城達が聞きつけてしまったとしたら……)




* 妄想開始 *




提督「ンーー!! ンンーー!!」ジタバタ


赤城「お黙り!!」ピシャリ


提督「!!」ダンマリ


赤城「そう……それでいいのです……」ニッコリ


赤城「……そう。提督が”あの事”に深く探りを入れなければ、私達もこのような事をせずに済んだのです。——だから提督、全て提督が悪いのですよ?」ニッコリ


提督「」ガタガタ


赤城「え? 具体的に私は何をされるのか、ですか?」


赤城「そうですね……異国の古い法典には『目には目を』というものがあるそうですから……」ジュルリ


赤城「さしあたっては、私達で美味しく提督を頂いちゃおうかしら♡」


提督「!!??」ギョウテン


赤城「フフ!! 考え出したら発想が止まらないわ!! 幾らでも案が出る!!」ゾクゾクゥ


提督「!!」ガタガタブルブル


赤城「ウフフ……聞きたいですか?」ニッコリ


提督「!!」ブンブン


赤城「仕様が無いですね……特別に教えて差し上げます」ニッコリ


赤城「先ずは身体を綺麗にするため、全身の垢という垢を舐めとります」ジュルリ


赤城「綺麗になった提督を、大きなお皿に盛り付けて……完成です。あとはそのまま部位という部位を私達で美味しく頂くのですよ。シンプルではありますが、どうですKGさん? 最高に昂る案だとは思いませんか?」


KG「流石に気分が高揚します」


赤城「でしょう? 流石KGさんだわ」


提督「!!」ンー! ンー!


赤城「あらあら……活きが大変宜しいこと。これは——」


赤城「愉しみ甲斐がありそうね♡」ジュルリ




* 妄想終了 *




提督 in 物陰(ンンンンンンンン♡♡♡)ビクンビクン


提督(って何考えてるんだ私は!! これじゃただの変態じゃあないか!!)アタフタ


提督(クソッ!! ……そう言えば赤城はどうなったんだ)チラリ


赤城「……」ジーー


提督「……」


赤城「…………」ジーーーー


提督「……は、ハロー」フリフリ


赤城「あの、いつからそこに……と言うより、"見ていまし"たよね……?」


提督「……ああ」


赤城「嗚呼……やはり……」


提督「……あの、この事——」


赤城「この事はどうかご内密にお願いできますか!?」


提督「——は秘密に、って、は?」キョトン


赤城「……えっ?」キョトン




〜 五分後 〜




赤城「成るほど... つまり、『艦載機を空母艦娘全員がグルになって食べている』と思っていたのですね?」


提督「ああ……だが、それは赤城だけが単身でおこなっていたことだと……」


赤城「はい……だからあの、この事はどうかご内密にして頂ければ……」コンガン


提督「いや、今回見たのは廃棄予定だった九七式艦攻だったし、別に責めようとも思っていないさ。ただ……」シドロモドロ


赤城「『私を食べないでくれ』、ですか? 流石に私をそんな者だと思っていたとは心外ですよ」プンスコ


提督「わ、悪い……ついそんな妄想を……」シュン


赤城「妄想……提督の中の赤城はそんな特殊な趣味を持った女なのですね……」シュン


提督「いや、そのだな……」シドロモドロ


赤城「……いいでしょう! 一航戦赤城! これからは提督の望む赤城になりましょう!!」カオマッカ


提督「……え」キョトン



提督(それからというもの、私は偶に赤城に寝込みを襲われるようになった)


提督(具体的内容はR指定をかけていないため、伏せさせて頂くが……)


提督(激しいんだよなあ、これが♡)



赤城「〜〜〜♡」ハムハム




〜 side:赤城 fin 〜






side:瑞鶴






〜 執務室 〜




瑞鶴「ハイ提督さん、今月の消費資源総量の報告書」ズイッ


提督「ああ、助かるよ」


提督「う〜ん、やはりボーキサイトの消費が手痛いなぁ……」


瑞鶴「そりゃそうでしょ! ワタシ達空母艦娘ばっか戦闘に出してるんだから!」プンスカ


提督「お、おぉう……すまん」


瑞鶴「フンっ」カリカリ



提督(彼女、瑞鶴の言う通り、前にも説明したかもしれんが、弊鎮守府では空母艦娘を主力的に運用している)



提督「って、説明って誰に……」


瑞鶴「口を動かすより手を動かす!!」ガルル


提督「……スミマセン」



提督(……空母艦娘を集中的に運用してきたのもあるかも知れんが、我が鎮守府における正規空母、赤城,加賀,蒼龍,飛龍,翔鶴,瑞鶴なんかは練度的には既に究極の域にある。蒼龍なんか色々な意味で限界突破した程だ)


提督(それは即ち、傍らの瑞鶴も短い間柄という訳では無いのだが……)チラリ



瑞鶴「……ム、何よ、爆撃されたいの?」ガルル


提督「……滅相もない」カリカリ


瑞鶴「……」カリカリ



提督(この通り、彼女はどうも私を嫌っているフシがあるようだ)


提督(だったら何故、彼女は秘書艦をやってくれるのかという疑問には……むしろ私が率先してそれを唱えたいくらいだ)ダラダラ


提督(だがそんな事でも言ってみろ、確実に601空の練習台になる)ダラダラ


提督(幸いな事に、未だ実際に爆撃された事は無いが……いや爆撃されたら並の人間である私なんか瞬時に灰塵と成り果てるだろう)タラリ


提督(なんとかして現状を変えたいというのが私の切に願う事だ)



瑞鶴「ホラ、手ぇ止まってるよ!」ビシバシ


提督「ハイ」カリカリ




〜 数刻後 〜




瑞鶴「ン〜〜! ようやく終わった〜〜!」ノビノビ


提督「相変わらずの手際だな。毎度助かるよ」


瑞鶴「〜〜〜ッ!!」プルプル


提督「……瑞鶴?」


瑞鶴「そッそれは! アンタの能力が低いからでしょ! 全く、煩わしいったらありゃしないわよ!!」ガタッ


提督「あ、ああ……その通りだな、本当にすまん……」ペコリ


瑞鶴「!!」アワアワ


瑞鶴「あっワタシ、翔鶴ねぇとお昼を一緒にする予定があったんだ! 午後イチの演習が始まる時間までには戻るから!!」ダダダッ



バタン(扉の開閉音)



提督「……ああ、」


提督「一体どうして、そうも嫌っている男の秘書艦なんてやりたがるのだ……」アタマカカエ



注,秘書艦経験日数で言えば、瑞鶴は蒼龍に次ぐトップ2である




〜 食堂脇 一階‐二階 階段踊り場 〜




瑞鶴「ハァ……私ったらまたドジしちゃった……」ウツムキ



瑞鶴(私は提督さんの事が好きだ)


瑞鶴("ソレ"が何時からかは私自身も良く分からないけど、気付いた時には彼から目が離せなくなっていた)


瑞鶴(彼がワタシを頼ってくれると嬉しいし、彼が他の艦娘とイチャコラしていたら無性にムカムカする)


瑞鶴(でもそれを、その気持ちをなかなか表に出せない。とてもじゃないけど恥ずかしさで死んじゃいそう)プルプル


瑞鶴(……嗚呼)



瑞鶴「いっその事、本当に提督さんを爆撃しちゃうとか」ボソリ



瑞鶴(そんな事は絶対にしないしできない!!)ブルブル


瑞鶴(提督さんは艦娘じゃないから爆撃なんかしたら一瞬であの世逝きになってしまう)


瑞鶴(だからワタシは護る。提督さんを殺めんとする不埒な輩から、あの人を……)


瑞鶴(それで、最後には……)ポーー



瑞鶴「ウフフフフ……」コウコツ




〜 同刻 〜



提督(うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?)on 二階‐三階 階段踊り場


提督(ここここれって、生命の危機というヤツでは!?)ガクブル


提督(常識的に考えて有り得ん話だが……瑞鶴ならば、或いは……!)ゴクリンコ


提督(いや『ゴクリンコ』じゃねえよ、クライシスだよなんで悦びを感じようとするんだよ!)


提督(いやいやいやいや……)


提督(いやいやいやいやいやいやいやいや……)




* 妄想開始 *




ヒュルルルルル……ボカァ…………アァン!!



提督「ヒィ!!」ズザァ


瑞鶴「……提督さん? なんで避けるの??」ユミツガエ


提督「……いや、命が懸かってるから避けるだろう」ダラダラ


瑞鶴「……命? そんなのどうだっていいじゃない」クビカシゲ


提督「なん……だと!?」キョウガク


瑞鶴「————ワタシと提督さんとで、行くのよ」


瑞鶴「"理想郷"へ」


提督「……理想郷」ボウゼン


瑞鶴「そう、そこでワタシと提督さんは永久の時を生きるの。"命"なんてしがらみとは無縁の、永遠の時を」コウコツ


提督「……え、永遠に生きれるとして、そこでどうするんだ」


瑞鶴「ワタシがシてあげるの、提督さんの望む事、全部」


提督「……全部」ゴクリンコ


瑞鶴「そう、"全部"」ミミモトデ トイキフゥ


提督「オフゥ」ビクンビクン


瑞鶴「"これ"も提督さんのシて欲しい事なんでしょう? ワタシね、識ってるのよ。アナタのシて欲しい事なら、もう全部」


提督「……そ、そんなのまるで」


瑞鶴「"理想郷"」


提督「!!」ビクンッ


瑞鶴「ね? ワタシ、シてあげたいの。提督さんの望む事をぜんぶ……」ズイッ


瑞鶴「永遠に、全部」ズズイッ


提督「オォ……オアァ……」ガクブル


瑞鶴「だから、さぁ。逝きましょう……? 誰にはばかれる事もない、ワタシと提督さんだけの世界に……」テヲサシノベ


提督「おオォ…………」テヲノバシ


瑞鶴「ウフフフフ……ウフフフフ……」




* 妄想終了 *




瑞鶴「ナニやってるのよ……」ジトーー


提督「おオォ……へっ?」コウコツ


瑞鶴「って、それよりも……」ズイッ


提督「え? え?」アトズサリ


瑞鶴「……"聞いてた"?」ズイッ


提督「……え? 何をだ?」アトズサリ


瑞鶴「……そ、その、『爆撃』がどうとか、って独り言を」オソルオソル


提督「……へ?」


提督「……あぁ!」ハタ


瑞鶴「や、やっぱり聞いてたのね……」ブルブル


提督「い、いやあ、その……な」シドロモドロ


提督「き、聞かなかったフ——」


瑞鶴「アレはそういう意味で言ったんじゃないのッッ!!」


提督「——リぃ!?」


瑞鶴「そ、そういう意味じゃなくて、その……」モジモジ


瑞鶴「ぎ、逆! そう、逆なの!!」クワ


提督「逆」


瑞鶴「そう、逆! 私がそんな事をする輩から提督を護ってあげるの! それで……ぁ///」ハタ


提督「それで」


提督「……"それで"?」クビカシゲ


瑞鶴「あ゛」


瑞鶴「〜〜〜ッ!!」カオマッカ


提督「お、おい、瑞鶴!? どうしたんだ!?」オロオロ


瑞鶴「…………こ」


提督「"こ"?」クビカシゲ


瑞鶴「ココまで言わせておいて、未だ分からないの……ッ!?」カオマッカ


提督「……えぇと」ダラダラ


瑞鶴「〜〜〜ッ!! あぁもうッ!!」ウガー


提督「!?!?」


瑞鶴「ワタシにとって提督はッ!!」



瑞鶴(嗚呼……)



瑞鶴「この世の誰よりも護りたいッ!!」



瑞鶴(遂に……)



瑞鶴「一番の大好きな人なのよッ!!」



瑞鶴(言っちゃった……)



瑞鶴「……///」プルプル



瑞鶴(提督さんにはもう蒼龍先輩っていう大切な艦娘が居るのに……)


瑞鶴(ワタシって、もうお払い箱になっちゃうのかな……)



瑞鶴「……イヤだよぉ。そんなの、イヤ……」ボロボロ


提督「……瑞鶴」


瑞鶴「イヤイヤイヤ!! ワタシ、未だ此処に——」ブンブン


提督「瑞鶴ッッ!!!!」ギュ


瑞鶴「——ッッ!!」



瑞鶴(……へェ!?)



提督「————私は生来、鈍感な面があってな。だから本当に申し訳ないと思っている。君の気持ちに気づいてあげられなくて」ギュ


瑞鶴「/////」ボンッ


提督「償いとは言わない。烏滸がましいとは思っているが、これから私が言う事は紛れもない私自身の本心だ。良いな?」ギュ


瑞鶴「……///」コクコク


提督「……よし」スッ


瑞鶴「ぁ……」ボソリ


提督「私も君が好きだ」キッパリ


瑞鶴「……ぇ」コンラン


提督「仕事上の関係だとか、ヒトと艦娘だとか、そんなことはどうでも良い」


提督「私は君が好きだ」


提督「と、いうよりか……」スゥ


提督「私は此処に居る皆が好きだ」キリ


瑞鶴「………………」ボウゼン


提督「こんな不甲斐なくて情けない私なんかに付き従ってくれるんだ。嫌いになんかなるもんか、なれる訳ない。それは瑞鶴」


提督「君も同じだ」キッパリ


瑞鶴「……なるほどね」


提督「……瑞鶴——」



バシイン!!



提督「——ッ!?」ジンジン


提督「ず、ずいか————」ムゴ


瑞鶴「————ん、ちゅ」チュ


提督「——!?!?」


瑞鶴「………………プハ」スッ


瑞鶴「……提督さん」


瑞鶴「私の言った"好き"って、こういうコト」カオマッカ


瑞鶴「……それじゃ」ダダダッ


提督「………………///」ポーー


提督「……ッ! あっオイ瑞鶴!!」



シーン



提督「……」スッ


提督「……クチナシ」




〜 それから 〜




提督(それから暫くの間、瑞鶴が秘書艦としてやってくる事は無かった)


提督(当然と言えば当然かも知れない。何せ曖昧なままあれから一言も口を利けていないのだから)


提督「……」ヒキダシ アケアケ


提督(あのあと、彼女の為に用意したケッコン指輪、結局手持ち無沙汰になりそうだ……)



コンコン



提督「!  どうぞ」



提督(悩んでいたってしようがない。今日も執務をこなさねばな……)



瑞鶴「……失礼します」ギイィ


提督「ず、瑞鶴」


瑞鶴「……何よ、今日の秘書艦はワタシなんだからココに来て当たり前でしょ?」シラ


提督「……いや、何でもない。今日もやるべき事は沢山だ。しっかりと頼むぞ」


瑞鶴「……分かってるわよ」


提督「——ああ、そう言えば君に渡しておく物があった」ワザトラシゲ


瑞鶴「……?」クビカシゲ


提督「……これだよ」スッ




【 提督と艦娘は強い絆を結びました 】




〜 side:瑞鶴 fin 〜






side:秋月・照月・初月






~ 執務室 ~



提督(秘書艦を努めてくれる艦娘には二通りのパターンがある)


提督(一つ。単艦で手伝ってくれる子。そしてもう一つ。姉妹艦、ないしは親しい間柄同士の艦で手伝ってくれる子達だ)


提督(前者は戦艦・空母艦娘など大型の艦に多いが、後者は相反して駆逐艦などの小型艦に多い。なぜそうなるかはサッパリだが……)


提督(どうやら、今日の秘書艦はその後者の方だったようだ)



秋月「司令! 本日の資材消費量の表を作成しました! 他にやれる事はありますか⁉」


提督「い、いや、もう執務は終わったよ。それよりも……もう時間も時間だ。照月と初月も、もう晩御飯を食べてきなさい」


照月「はい! 提督も一緒に行きません?」


初月「それは良い。妙案だ」ウンウン


提督「えっ、いやそれは……良いのか?」


秋月「良いですね! 司令も一緒に間宮さんの所に行きましょうよ!」キラキラ


提督「そ、それならそうしようかな……ハハ」



提督(いや勿論、下心あって夕飯にけしかけた訳ではない。ただの親切心で言っただけだ……自分で言うと信憑性に欠けてしまうが)


提督(ともあれ、その日の秘書艦を努めあげてくれた秋月型の三人と夕飯を相伴する流れとなったは良いが……なんか嫌な感じがするのは気のせいだろうか……)




~ 食堂 ~




提督「遅くなのにすみません、間宮さん。この牛丼定食をひとつ、お願いします」


秋月「えと、私は、私は……」


照月「私は提督のと同じで!」


初月「うん。ボクもそうしようかな」


間宮「ウフフ、はいはい。仲が良いんですね、提督と」


照月「えっ!?/// 止してくださいよ間宮さん! 恥ずかしいです……」


初月「照れるなよ姉さん。嬉しいくせに」


照月「むうっ、初月はどうなのよ!」


初月「うん? そうだな……あー、恥ずかしいな///」


照月「あれれのれ? 顔赤くなっちゃってる??」


初月「ええい、人を揶揄うのは止せ」


照月「まったく、もう! それならはじめに言ってきた初月はどうなるのよ!」


初月「……悪かった」


照月「うんうん! それで良いのよ」


間宮「あ、良いのね……」


間宮「えーと……秋月さんはどうしますか?」


秋月「アレも良いけどコレもまた……う~ん……」ブツブツ


間宮「……アハハ。あの、提督……」


提督「そ、そうか……やっぱり私はイヤイヤ秘書艦をやってもらっていたんだな……大方、くじ引きでハズレくじを引いたら『本日の秘書艦』が景品で付くんだろうよ……ハハ……」ブツブツ


間宮「……えぇ」ヒキ


照月「……って、秋月ねぇ!? まだ決まらないの!?」


秋月「だって照月、こんなにおいしそうなものがイッパイで……決められないわ……」


照月「だったら提督のと同じでいいじゃない! この『牛丼定食』! おいしそうじゃない!?」


秋月「て、司令のと……ッ!? わ、私もそれで……///」


間宮「あらあら、ふふ。承りました。少し待っていてくださいね」


三人「はーい」


提督「ああ……胃が痛く……」キリキリ




~ それから数分 ~




間宮「ふふ。お待たせいたしました。『牛丼定食』が四つです」


照月「わ、すっごくいい匂い……」ジュルリ


初月「フッ……フッ……」ジュルリ フリフリ


秋月「……///」


提督「」ゲッソリ


間宮「あ、温かいうちにどうぞ~……」ソソクサ


提督「……あ、どうもでした」


提督「じゃ、じゃあ頂こうか……」


三人「はーい」



提督(それからの夕食は温かなひと時だった……悲痛に叫ぶ私の胃を除いて……)


提督(そして、表面上は穏やかな夕食の時間が終わった後、事件は起きた……)




~ 鎮守府廊下 ~




初月「いや、美味かった。あれなら毎日でだって食えるな」


照月「初月ったら、どうせ他の料理に目移りして三日と保たないくせに」フフ


初月「ボクはそこまで貪欲じゃない///」


秋月「……///」


提督「……」キリキリ



提督(夕飯を食べ終え、私達は宿舎への方へその歩みを向けていた)


提督(丁度その時、窓の向こうに恐らく雷光が一閃、ピカっと光った)


提督(これにはとても驚かせられたが、どうやらそれ以上に傍らを歩く少女達には応えたようだ)


提督(続けざまに鳴り響いた轟音は、なかなかにおおk————)



照月「てっていとく!!」ガシッ


初月「い、いや……これは怖いとかそういう訳では無くてな、ただお前を護ってやろうと……」ガクガク スソツマミ


秋月「……///」ポー


提督「……あ、アハハ! なかなか大きかったな~。それに距離もだいぶ近そうだナッ!?」ピカァァァ




ド ォ ォ ォ……ォ ォ ォ ン ン ン ‼ ‼ ‼ ‼




秋月「ヒッ!?」



提督(おお、なんだか俯きっぱなしだった秋月もこれには気が付いたか……ってなんで引っ付くんだお前ら……!?)


提督(じ、状況を説明しよう……私はいま、不意の雷によるものであるだろうが、秋月型の三人によって歩くことすらままならない事になっている……ッ!)



秋月「し、司令……すみません。でも足が、ふる震えて……」


提督「え……? あ、そ、そうだな……えと、部屋まで送っていくよ」


秋月「お、お願いします……」



提督(なんだかこの状態の彼女らをほっぽって行くわけにもゆかず、私は彼女たちを寮まで送っていく事にしたが……これも運命かな、雷光と轟音は終ぞ止むことは無かった……)




~ 「あきづきがたのへや」前 ~




……ド ォ ォ ォ ン ン ! !  ォ ォ ォ オ ン…… ……ォン




三人「」


提督「……止まないな」


秋月「……あ、あの、司令」


提督「……ッ!? い、いや秋月! その続きは……」


秋月「こっ今晩! 私達と一緒に居てくれませんか……?」


提督「」



提督(か、勘弁してくれ……これじゃあ私は「カミナリを盾に同衾を迫る変態」じゃあないか! っく、どうしたらこのピンチを脱出でき……)キョロキョロ



照月・初月「……!」ウルウル



提督(ッ!?)


提督(そ、その眼の真意は何なんだ……? 「早く失せろ」と言ってるのか、そうなのか……?)



秋月「……し、司令」


提督「う、うん」


秋月「お願いします……」ウルウル



提督(……ハッ!)


提督(わ、私は今までなんて酷い事を考えていたんだ……! 彼女たちの涙を、あろうことかこの私が「嘘偽りのモノ」だと思ってしまうなんて!)


提督(私は彼女たちの提督なんだ。彼女たちを見守るべき存在なんだ! それはいつなんどきにあっても、覆ることない心理!)



秋月「……司令?」


提督「……いや、何でもない」


提督「……そうだよな、こんな天気に姉妹だけじゃ、怖いもんな」


秋月「……司令!」パァァ


提督「お前たちが寝付くまで、一緒に居るよ」



提督(私は、あとあとになってこの選択に後悔するのだろうか)


提督(……どうであれ、私は彼女たちを見守ってやらねばな)




~ AM:2:00 「あきづきがたのへや」 ~




提督(そう思っていた時期が私にもありました)



三人「……!!」ギューー



提督(全く身動きが取れん……お察しの通り外も……)チラリ




 ォ ォ ォ ォンン!! …………ォォン




提督(なんとなく遠ざかって行っているのは分かるんだが、いかんせんこの子らは音の大小なんて気にしていない様子だし……音が止んでも解放されなさそうなんだが、私は一体どうすれば……)


提督(……ッ。胃の痛みが過渡期に……!)


提督(……そしてこの流れはァフン)プツン




* 妄想開始 *




窓の向こう < ピカァァァ!



三人「ヒッ!!」ブルブル


提督「……」サワ


秋月「ヒャンッ///」ビクン


照月「ウヒャア!? って、驚かさないでよ秋月ねぇ!!」


初月「……!!」ブンブン


秋月「え? え? だだだっていま、だれ、誰かに触られたような気が……司令ですか!?」


提督「イヤイヤ! 私がそんな事するわけ無いだろう!」


秋月「そ、そうですよね。司令がそんな事……」


秋月「じ、じゃあ一体、誰が秋月のお尻を……」


照月「お、『お尻』って……! 提督でしょ!? エッチ!!」


提督「いやなんで『お尻』でわかるんだy——」



窓の向こう < ピカァ!



照月「キャアアアアア!!」ダキッ



ムニッ



提督「ォフッ」ビクン


照月「あ、ごめんなさい提督……って、変な声出さないで下さい……///」


初月「お前ら……状況を何だと思ってるんだ……」ジトッ



窓の向こう<ピカァ



初月「ウワーーコワヒーー」ダキッ


提督「おっ、オイ初月……!」ビクンビクン


初月「なんだ、止めるのか? 説得力がこれ程ないのに」サワッ


提督「ウフン! お、おい、ホントにこれ以上は……」


照月「むぅ……」ジトー


照月「~~っ♡」ダキッ ムニッ


提督「……て、照月?」ダラダラ ビクビクッ


照月「ん~~? 何か言いましたか~~?」ダキッ ムニュウ


提督「」ギンギン


秋月「!?」ハタ


秋月「ふ、二人とも! 何してるの!!///」


照月「何って、雷が怖いからこうしてくっついているだけじゃん。ねぇ提督?」ギュッ ムニッ


初月「フフ……」ギュッ ムニッ


提督「」ビンビン


秋月「……そ、そう」


秋月「な、なら私も……怖いかな、なんて……///」ギュッ



ムニッ



提督「……お、お、お、お前ら」ビンビン ギンギン


提督「ウオーーーーーッ!!」ガバアッ


三人「キャーーーー///」




【提督と艦娘は強い絆(物理)を結びました】




* 妄想終了 *




提督「……」ボーー


提督「……」チラリ


三人「」ブルブル


提督(また、やっちまったようだけど……今回は聞かれていなかったようだ)


提督(良かった……いや「良かった」じゃないよ、何も良くないよ、結局この状態から抜け出せないことに変わりないじゃんよ)


提督(……寝られるか分からないけど、もう寝よう……)ウトウト




~ 三十分後 ~




提督「」スースー


秋月「……///」


照月「……///」


初月「フフ……///」



三人(聞いちゃった……///)




~ side: 秋月・照月・初月 fin ~






side:Saratoga






~ 執務室 ~




提督(私は常々思う)


提督(鼻腔をくすぐるのはコーヒーの香り。そして、その香りを生み出している長身の女性へ対して)



提督「どうしてそうも『お人好し』ができるのか、と」ボソッ


Sara「What's wrong, Admiral? お身体でも優れませんか?」カチャリ


提督「わ、わ。サラ、ち、近いって」アタフタ


Sara「Oops! これは失礼いたしました」


Sara「コーヒー、こちらに置いておきますね」カチャリ


提督「ああ、ありがとう」カチャ ズズ



提督(慣れたその所作、落ち着いた物腰、極めつけに至極丁寧な口調)


提督(私なんぞよりもよっぽど「人間」らしい彼女は、過日の作戦展開時より以降、我々が戦艦:Iowa と共に"保護"しており、空母:Saratoga と名乗った)


提督(我々と同様、米国においても対深海棲艦に艦娘を充てているらしく、南太平洋における反撃作戦時に戦列からはぐれてしまったそうだ)


提督(……まあ、彼女の出自はそれで留め置くとして、私が気になってならないのはやはり」



Sara「……提督?」


提督「ん? ああ、美味しいよ、このコーヒー。ノンシュガーでも飲みやすくていい」ズズッ


Sara「まあ! それはよかった! 提督は Suger Free でも飲んでいただけるもの、Sara も淹れたカイがあって嬉しいです」ニコリ


提督「それは……褒めた甲斐があった。これからも美味しいコーヒーが頼めそうだ」ズズッ


Sara「まあ……提督ったら。 Sara も張り切って美味しいコーヒーを淹れますね」ニコニコ


提督「うん、よろしく頼む。ああ、それで、頼まれていた『F4F』の改修についてなんだが、そろそろ……」ペラリ


Iowa「Hi, Sara! Admiral! Dinner Time, soon!! I can't wait, so Let's go early!!」ドアバン


Sara「Oh!? ……Iowa!? あなたはもう少しつつましやかにできないの?」アキレガオ


Iowa「What's!? ツツマシー? A-Ha-Ha! I don't know it mean!」


提督「はは……日本語なんて気長に覚えてもらえばいいさ。むしろサラやウォースパイトの順応性が高すぎるだけだ。グラーフなんか別なドイツ艦娘が通訳をしないと日常生活に支障をきたしてしまうほどだしな」


Iowa「Mumm? ソレはミーを accept してくれているってコト?」ワッツ ミーン


Sara「そうね……その理解でいいと思うわ」


Iowa「Wow!! Thanks, Admiral!! やっぱりアナタは紳士ね!!」ムギュウ


提督「——ンおッ⁉ ——ッッ!!」ムググ


Sara「Iowa!? もう、あなたはすぐそうやって……早く放してあげなさい」


Iowa「Ah, sorry. Admiral, Sara! ミーは先に messroom に行ってるから早く来てね!!」ブンブン


Sara「……提督、大丈夫ですか?」ウワメヅカイ


提督「……なんとか、な」ドギマギ




~ 翌日,演習海域 ~




Sara「Sara の子たち、お願いします!」パシュ!



————ォオン!! ドドォォン!! ————ン



Sara「——キャァーーッ!!」大破


AKG「鎧袖一触ね」キリ


KG「やりました」キリリ


提督「——はい、そこまで」


Sara「うぅ……」ションボリ




~ 執務室 ~




Sara「ごめんなさい、提督……戦力になれなくて……」ショボン


提督「いや、アレは避けようもないだろう。赤城と加賀も意地汚いよな」アハハ


Sara「うう、Sara の爆撃は軽々と避けられたのに……」


提督「……まあ、大方彼女たちだけで賭博行為でもしていたんだろうな」


Sara「そんな薄っぺらい motivation で避けられたなら私って一体……」ガクゼン


提督「いやいや、そんなことはない。こと食に関するアレらの執念を舐めてはいけない」


Sara「その大小に関わらず、結果的には Sara の完敗である以上、この落胆は上塗りされるだけですよ……」アハハ


提督「そ、そうか……」


Sara「——ッ!」パンパン


Sara「さぁ、お仕事に入りましょう! 気持ち入れ替えて、Sara 、がんばりますね!」フンス


提督「——うん、そうだな。今日も美味しいコーヒーを頼むよ」


Sara「はい!」ニッコリ



提督(アイオワもそうだが、サラもそうだ)


提督(その場へもたらしてくれる明るい雰囲気、中心点で輝く太陽のような彼女の振る舞いには脱帽するしかない)


提督(ポジティブ精神、と言うのかな、米国艦娘がみなこうなら、毎日がとても目まぐるしそうだ)


提督(それに事務作業も手馴れているようだし、彼女が秘書艦なら私の悪い癖も——)



————ピュウ! ——ウウウゥゥ(えっちな風)



Sara「キャッ!?」ギリギリパンチラナラズ


Sara「……これが『榛名一番』という風なのかしら」スカート オサエ


提督「——は、はは。それを言うなら『春一番』、だぞ」ドギマギ



提督(!!??????????)




* 妄想開始 *




 いつからか意識が遠のいていたのだろう。


 はたと目を覚まし、首を持ち上げたその視界の前にはいつもの光景が広がっていた。


 ただ時刻は大分先を告げており、執務室の灯りは仄かに明るいという具合いで点けられていた。


 これに大した意味はない。ただ執務室の灯りで艦娘たちの睡眠が阻害されてしまうのを防ぐためだ。


 私は一瞬、自分がどこか全く知らない世界に飛ばされたような、そんな錯覚を覚えたがために焦り気味にしてしまったのだが、どうもそういうわけではないらしい。


 その"憶測"に安堵のタメ息をつき、改めて床に就こうとして立ち上が————



提督「——ぁ?」


提督「…………さ、サラ。そんなカッコで、一体」ダラダラ


Sara「——あら、目が覚めましたか? おかしいですね、『分量』は間違えていないはずなのに、予想以上にグッスリとされていましたもの。待ちくたびれてしまいました」


提督「……え、ぶ、ぶん? いやそれより、どうして——」ムグ



 視界が暗転した。


 なんだこれ、いや、これはアレか。しかし、い、息が……。



Sara「——これで気付いてもらえましたか? これは、まごうことなき私の気持ちなんですが」ギュッ



……なんだ。何を言——


 いやまさか。だとしても、コレがサラだなんて、到底信じられない。


 待ってくれ。心の整理が追い付かない。どうして私は今まで眠っていて、そして今、こんな状況に直面しているんだ?



Sara「私には、いや私にも気が付けました。あなたが底なしの奥手な殿方だと。なのに徹頭徹尾、そう徹底してあなたは私に尽くしてくれた。Sara と Iowa を助けてくれた時からそう。ふつう、見ず知らずの Sara たちへ向けられないようなもてなしを、あなたはそれを平然としてくれた。Iowa の……スキンシップ? を見てきたでしょう? ああ見えても彼女、誰にだってそうしているわけではないのですよ?」



 いや。いやいや、さっきからなんなんだ。私が奥手だとか、尽くしてくれただとか。


 さっきから、気持ち、とか、この状況、とか。


 これじゃあまるで——



提督「私がヒロインみたいじゃあないか……」


Sara「Heroine……そうですね。あなたは今、heroine です」フフ


提督「なんてことだ……遂に少女願望まで生まれてしまったと言うのか……?」クラリ


Sara「…………言いたいことはよく分かりませんが、



 今夜は、逃しません。


 大人しく、そういつものあなたのように、この気持ちに呑まれて下さい。



Sara「Sara たちの Native に見られたら鼻で笑われてしまいそうですが、ここは違う。郷に入っては郷に従え、ですものね」ギュッ


提督「……日本的というわけでも、ない、と思うが……サラ、君の気持ちはよく分かった。顔を見せてくれ」


Sara「……はい」スッ


提督「——私は」




* 妄想終了 *




提督「私は————ッ!!」


Sara「て、提督!? どうされたのですか!?」シンパイカオ


提督「——え?」キョトン


Sara「——え?」キョトン


提督「ッ!!」マドノホウヲアオギミル



提督(雲一つない、青空……)



Sara「ど、どうされたのでしょうか? お身体の具合いが優れないのでしたら早くご自室に!」アセアセ


提督「……………………いや、なんでもない」ゲッソリ


Sara「Really? 心なしか、顔色が悪いように見えますが……」シンパイゲ


提督「はは、大丈夫だよ。ちょっと寝落ちしてしまっただけだ」ハハ


Sara「……そこまで言うのでしたら」シンパイゲ


提督「うん、むしろ少し休めて身体は軽いよ。さあ、早いうちに仕事を片付けよう。サラ、コーヒーを淹れてくれるかな。いつものより深めの味がいい」


Sara「——はいっ、かしこまりました!」パタパタ



提督(——そうだよな。"あんな"夢、現実なわけがない。元より私はしがない人間だ。そんな結末、私の中で処理してしまった方がいい)


提督(……そうか。そのためのこの癖だと思えば、案外とこれは悪癖と呼ぶ必要はないかもしれないな)


提督(……そう。これでいい。これで——)



————これで、あの人も、きっと。




【提督と艦娘は強い絆を結びました(事後報告)】




~ side:Saratoga fin ~






side:古鷹






ドン! ドドドン! ドドォン!



提督(誰だったか忘れたが、こんなことを言っていた)


提督(一番好きなのは硝煙の匂いだ、と)



ドォォォォォン!! ドンドン——ン



提督(私は……到底そうとは思えん、むしろ嫌いだと言ってもいい)


提督(人を、生き物を殺すための臭いだ。例えそう考えずとも、身体は自然と逃避に走る)


提督(もちろん軍人としてはあり得ぬ考え方だから、私はこれをひたすらにつぐんで生きてきた)


提督(今となってはこれを押し黙っている必要なんてないが……聞かれぬ限り口外することはないと思う)



————ォォォン!



提督(……終わったか。残念だろうが、さて、どう声を掛けたものか……)



提督『……そこまで。ご苦労だった、帰投してきてくれ』


古鷹『……了解です』




~ 工廠 ~




古鷹「……ハァ、改装したてだって言うのに、こんなのばっか」タメイキ


古鷹「新しい艦も次々と発見されて、どんどん強い娘たちで溢れていっているのに、こんなので、重巡洋艦のいいところなんて分かってもらいっこないよね……」ガックリ


提督「あー……いや、そんなこともないと思うぞ」コホン


古鷹「てっ提督!? 聞いてたんですか!?」ビクッ


提督「……スマン」


古鷹「い、いえ、怒っているわけではないのですが……」アセアセ


古鷹「私、必死でした。提督に私達重巡洋艦の、いや、私の強さを、私は役に立つってことを思ってほしくて」


古鷹「けど、そんな私の傲慢、全部神様に見られていたんでしょうね。こんなみっともない姿を、よりにもよって一番見られたくない人に見せてしまったんですもの」ニガワライ


提督「古鷹。だから私は——」


古鷹「いいんです。分かっていますから」フルフル


古鷹「……すみません、変な話を聞かせてしまって。もう、戻らせていただきますね」タタタッ


提督「ぁ……。……やはり、私と艦娘は違いが多すぎる」ボソリ



提督(私はどうしてやればいいのやら……)フゥ



??「……」




~ 古鷹型居室 ~




古鷹「ああ……」フトンニ カオヲ ウズメテ



古鷹(ああああああああああああああああああ!!!!!!!)カオマッカ


古鷹(言ってしまった、言ってしまった!!)


古鷹(私を認めてもらえた上で言おうと思っていたことを、どうしたってあんな場面で!)


古鷹(うう、恥ずかしい、みっともない……明日からお天道様を見ていられない……)



加古「……どうしたんだよ古鷹」アキレガオ


古鷹「加古ぉ……」ナミダメ


加古「ん? ……あぁ~、そういうことか」ニヤリ


加古「フラれたな?」ニヤニヤ


古鷹「なっ!?」


古鷹「まだ誰もそんな話をしていないでしょ!?」プンプン


加古「え、『まだ』って、アタリだったのかよ……」ヒキ


古鷹「あ、当たってもない! そんなこと言ってない!」プンスカ


加古「あー、ハイハイ。んで、何があったのさ」アキレガオ


古鷹「……うう」




~ 事情説明中 ~




加古「ギャハハハハハハハハハハハハ!!」ゲラゲラ


古鷹「~~!!」カアアア


古鷹「そうよ! どうせ私は笑い者にされるのが請け合いだって言いたいんでしょう!?」ギャンギャン


加古「アヒャヒャヒャヒャ! ハヒッ! フヒュゥ、フッ、フフフ……クハッ! ダメ、ダメ、笑いが……ッ」ゲラゲラ


加古「ハァ、ハァ……」


古鷹「」ナキネイリ


加古「あー、ようやく収まった」フゥ


加古「冗談交じりで言っただけだってのに、見事にストライクゾーンにめり込むんだからまったく、笑わせてくれるよな」


加古「はぁ、笑ったから疲れた、アタシゃ寝るわ」モゾモゾ


古鷹「……ちょっと、人の話を聞いておいてどうしてそんな反応ができるのよ」ボソリ


加古「あー? 無理無理。そんなお門違いな相談されたって、アタシなんかに答えられるわけがないでしょ」テヲ フリフリ


古鷹「……そう」ナキネイリ



加古(あーー、食いつかない、こりゃ相当重傷だな)ガシガシ



加古「そういった話がしたいなら青葉にでもしてやれよ、この手の話題のタネに一番敏感だしな」ハァ


古鷹「……どうせ記事にされてお終いよ」ボソボソ


加古「……ッアーーー! 胸糞悪い!」ガバッ


加古「そんなので明日の秘書艦任務がこなせられるのかよ!? しつこいくらいの底意地があって、努力を怠らなかったあの古鷹はどうしたよ!? いつもは日陰で大人しくしてるくせに、いざとなったら最前線で堂々とした姿を見せてくれるあの古鷹が! クソみたいなしょうもない理由で寝込むな!! こっちまで寝付けん!!」ウガアアア


古鷹「……秘書艦は夕張ちゃんに代わってもらう、出撃任務はどうせ一切なくなるし、私の存在価値はなくなって終いよ」ボソボソ


加古「(ピコーン)……そんなんじゃあ提督は一生振り向いてくれんわな」ケッ


古鷹「~~~~じゃあ何よ! 私はこれからもひとり艦隊の隅っこでウジウジしているのがお似合いだって言うの!?」ゲッコウ


古鷹「私に大それた活躍なんてできっこない!! なのに私は何もできない!! 私にどうしろって言うのよ!?」カオマッカ



加古(……計画通り)ニヤリ



加古「ハァ!? んなもん知るか!! そんな簡単なことひとつできないくらいでメソメソするな気色悪い!! 鳥肌モンだわ!!」ウデヲイダク


古鷹「~~~~加古のくせにぃ!!!!!」ムキィィィ


加古「その加古サマに舐められてるのはどこのどいつですか~~~~?」ベロベロバー



ギャースギャース ドッタンバタンオオサワギ




~ 執務室 ~




提督「ハァ……どうしたものか……」ズズ



提督(古鷹の不振については以前から気付いていたが、ああまで気にしていたとは)


提督(かといって、いま以上に私が干渉するのも危うい気がする)ウムム


提督(艦娘の精神状態を良好な状態に保たせてやるのは重要な仕事なんだけどな。これも私が不甲斐ないせいか)ハァ


提督(さて、私はどう動くべきか……)


青葉「どうやらお困りのようですねぇ、司令官」ドモ


提督「うお!? ……って、青葉か。ノックはしたのか?」アキレガオ


青葉「青葉を一体なんだと思っているんですか……ノックくらいしましたよ、返事がなかっただけですよぉ」


提督「そうか……というか、相変わらずのタイミングでやってくるな。感嘆を通り越して気色悪さすら感じる」ハハ


青葉「……」ジッ


青葉「いやいや! それは司令官には遠く及びませんよ! あはは!」


提督「これは……お互い人のことは言えんな」アハハ


提督「それで、私の悩みの種はもう知っているんだろ? 果たしてあの時、私はなんて言ってやるべきだったんだろうな……?」


青葉「あー、そうですねぇ……青葉としては、あれがベストな気がしたんですけどぉ……って、古鷹の話ですよ!?」ブンブン


提督「言われなくてもそれくらい分かるさ。にしても、そうか……なら古鷹を苛んでいるものとは?」


青葉「うーん、考えずとも思いつくはずなんですけどねぇ……」クショウ


青葉「司令官が悪いなんて、青葉はこれっぽっちも思っていないんですけど、最近、司令官は空母や潜水艦の艦娘を重点的に育成していますよね?」


青葉「だからだと思いますよ。古鷹は『焦っている』んです。自分を認めてほしくて。それ以上に、自分を受け容れてほしくて、彼女は際限なく自己研磨に奔走しました」


青葉「艤装の大幅な改装にも耐え得る練度を獲得した古鷹は、だけどその彼女以上の実力を持つ艦娘のみなみなさんと比べてしまうと、どうしても見劣りしてしまいます。苦心の末に自身の高みに至ったつもりでいたはずなのに、それはなけなしのお駄賃しかもたらしてくれなかった。『挫折』、と言い換えられますかねぇ。まったく、そんな難しく考える必要はないと思うんですけど、どれもこれもなるようになると言うのに」ヤレヤレ


青葉「ねぇ、司令官?」


提督「……そうか」


提督「とりあえず、お前みたいなお気楽さは古鷹には似合わないよ。それはお前が持ってこそのものだと思うしな。だから古鷹は、そうだな、できれば彼女の力でそれを乗り越えてほしいな。そうしたならば、もう二度と、そんな気持ちに陥ることもなくなるだろうしな?」


青葉「…………そう、ですか」ボソ


提督「……青葉?」


青葉「え? なんですか?」キョトン


提督「……いや、気のせいだったみたいだ」


提督「ありがとうな。これで古鷹にも、もう少しまともに応対できそうだ」ニコ


青葉「やだなぁ、そんなカタイ言い方せずに、お・つ・き・あ・い、って言えばいいじゃあないですかぁ!」コノコノ


提督「なっ、お、お前なぁ……」クショウ


提督「……ありがとう」


青葉「……は、はい」


青葉「で、ではでは、青葉はこれで! しっぽr、あ、しっかりやってくださいね!」バタン


提督「あっコノ!」バッ


提督「もういないし……引き際の戦術眼だけは一等級だな……」ハァ


提督「ふぅ……」ギッ


提督「明日の秘書艦にも聞いてみようかな……衣笠あたりだったら話も早そうだ」


提督「……ん、時間か。オイ赤城、そろそろメシに……」


赤城「…………んん」ムニャムニャ


提督「寝てるし……」




~ 翌日,執務室 ~




提督「んん、睡眠時間は八時間」ノビノビ



提督(寝ることである程度は心身が楽になるからな、睡眠は侮れん)



提督「今日の秘書艦は、衣笠だ。きっと衣笠……」スタスタ


提督「おはよう、今日は一日よろしく——」ガチャリ


古鷹「あっ、提督! おはようございます!」スクッ


提督「——古、鷹」アゼン



提督(まさかの張本人のおでましとは……いや私はともかく)



提督「古鷹。その、昨日のことは——」


古鷹「大丈夫です!」


提督「——え?」キョトン


古鷹「私、いちいち挫けたり、弱気になったりなんかしません!」


古鷹「そんなことしてたら、きっとますます差が開いちゃう……」


提督「……」


古鷹「だから私! もっともっと頑張って、一刻も早く提督のお力になれるようになりますね!」ニコリ


提督「…………そ、そうか」


提督「無理は、してくれるなよ」ホッ


古鷹「はいっ!!」ニコ



提督(立ち直るの、早いな……)


提督(いや、これが古鷹の長所なんだろうな)


提督(一途で、めげずに努力できて、それをおくびにも出さないところ)


提督(私は尊敬するぞ、古鷹)



提督「さあ、今日も……ああ、多いな、おい……」



\書類の山/



古鷹「あ、アハハ……」ニガワライ




~ side:古鷹 fin ~






side:古鷹 after story






提督「ところでさ、古鷹」カリカリ


古鷹「はい! なんでしょうか?」カチャリ


提督「ああ、ありがとう」カチャ


提督「もうそろ加古にも大規模改装を施そうと思案しているんだが、姉のお前から見たらどうだろう? 結構な痛みを伴うとも聞くし、出来るだけ万全を期した状態でおこないたいんだよ」ズズ



提督(やはり、古鷹は甘党だな)アマイ



古鷹「えっ、ええと……そうですね」


古鷹「提督から見たら、確かにあれは不安を抱かせてしまうかもしれないですけど、加古は私に負けないくらい強いです!」フンス


古鷹「だからきっと、提督の言う『万全』は満たしていると思います!」


提督「……そうだったのか」ビックリ


提督「そうか……古鷹のこと言い、私はやはり、もっと艦娘のことを見てやらなければな」ハァ


古鷹「……!」


古鷹「そんなことはありません!」


古鷹「私、青葉に聞かされました。提督が私のことについて相談してくれたってこと。それに、いつも提督は私達のことをよく見てくださっています!」


古鷹「ザラさんも言っていました。『提督はジェンティルオーモですね』って! 日々の執務だけでなく、私達のことをそうして気にかけてくださるだけでもったいないくらいです! むしろもっとご自愛してください……」フルフル


提督「!」アゼン


提督「お、おい、どうしてそこで古鷹が泣く必要がある……」スッ



ズルッ(〇〇〇トじみた転倒)



古鷹「ヒャッ……」カイヒ


提督「」キゼツ


古鷹「てっ提督!?」



提督————!!




* 妄想開始 *




提督「ウッ」ドサッ


古鷹「……」ギシッ


提督「ふ、古鷹……?」オソルオソル



————古鷹の目は、私は当初からきれいだと思っていた。


 古鷹本人は恥ずかしいとか、目立つのは嫌だと毛嫌いしていたフシがあったが、私の目にはとても幻想的に映っていた。


 ただ、今は不気味だ。


 目そのものだけの話ではないが、それがこの不気味さを助長していたのは確かだ。


 一体何が古鷹をこうさせたのか。私はその嫌な雰囲気を少しでも和らげたく、当の古鷹の動きを待つしかなかった。



古鷹「——私に思いつけたのは、これだけでした」



 多分、一分ほどの静寂を含ませた後に古鷹は語り始めたと思う。私の感覚が、おかしくなければ。



古鷹「だってそうですよね? 正攻法で努力しても、得られたのは子供だましみたいな心配だけ。どうしようもなく情けなかったです。嘘をつかれているようには見えませんでしたけど、ただ、それ以上も以下もないってことははっきりしていました」


提督「…………ぁ」


提督「わ、私はひとえに——」


古鷹「分かっています。でも私は、——」



——そんなひとえな気配りだけじゃ、満たされないんです。



提督「…………」


古鷹「……分かってもらえたようで嬉しいです。そうです。『古鷹』は、これ以上ないってくらいたくさん、たくさんの心を注いでくれないと渇きで飢えてしまうんです。ちょうどいまの私みたいに」



 すぐには終わりませんから、覚悟してください。


 古鷹は、こう言って私に————ぅぁ。



古鷹「ハァ…………ぁぁ……」コウコツ



『提督? 重巡洋艦のいいところ、たくさん知っていただけましたか?』




* 妄想終了 *




提督「~~~~!!」ハタ


提督「ぅおおっ!?」ガバッ



\ゴンッ!/



提督,古鷹『いったァ……』ウズクマリ


提督「あ、ああ…………大丈夫か、古鷹」サスサス


古鷹「え、ええ。それより、提督は……」


提督「そんな強くぶつけたわけではないし、問題ない。それより、私は一体どれだけ気絶していたんだ?」


古鷹「えっと、五分ほど……あ、その、その時も私のせいで……ごめんなさい!」ペコリ


提督「いや、それはただ私がドジを踏んだだけだ。というより、それを言うなら謝るべきは私の方だろう? お前に要らぬ心配を掛けさせてしまって」


提督「本当に悪かった」ペコリ


古鷹「や、やめてください……私、また……」


提督「そ、それは困る。また気を失ってしまいそうだ……」オロオロ


古鷹「……ふふ、冗談ですよ」クス


提督「……冗談って、なんだ、青葉にでも弟子入りしたのか? 迫真がかっていて分からなかったぞ」ハハ


古鷹「あー……青葉だったら確かに、これくらいのことは仕込んでいそうですね」フフ


提督「ああ、だよな。あぁ、アイツにも感謝しないとな。私一人だったらこんなにいい方向には話が行かなかっただろうし」


古鷹「……私は恥ずかしい話をされたのでよくは思ってません」ムス


提督「そう言ってやるな。古鷹だって、この話をいつまでも引きずっていたくはなかったろう?」


古鷹「……それはそうですけど。なんか癪に障ります」ムスー


提督「だったら、青葉の言われたら恥ずかしい話を聞かせてくれよ。それだったらおあいこだろ?」


古鷹「あ! それでしたら——」




~ ~




提督(この翌日、鎮守府の掲示板一面に、気を失っていた私に覆い被さっているように見えるアングルから撮られた古鷹の写真が貼り出され、一日を通して古鷹のものらしき絶叫と砲撃音が止まなかった)


提督(そのとちゅう、私は珍しく怖い顔をした青葉に詰め寄られ、『きのう古鷹が話したことは黙秘すること』を強要された)


提督(事の顛末としては物々しくなってしまったが、これはこれでいい結末になったと思う)


提督(何せいま、私は両手に華を携えているのだから)




【提督と艦娘は覆しえない絆を結びました】




~ side:古鷹 true end ~






後書き

更新、したわけじゃありません! ただおかしなところがないかと一通りチェックしていただけです! 可笑しなとこだらけだったので挫折しましたが! 話は変わりますが、たぶんしばらく更新できません! イマジネーションが湧きません。SPYAIRの『イマジネーション』を聴いても! だから勘弁してください! それでいて、C92は当サークル「伊号の航跡」をよろしくお願いします! 1日目(金曜日,8月11日)東 I-50aです、詳報はツイッター(@_110er)から!

(7/08:更新)


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2019-01-13 20:03:16

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1: SS好きの名無しさん 2016-10-08 11:03:07 ID: ugnNMhod

Aiban totta, kunpa olisivat kaiken maailman tyhjäntoimittajat kuten esimerkiksi DaVinci, Mozart, Einstein tai Hawkins ymmärtäneet vain juosta sen pallon perässä koko aikuisen ikänsä sen sijaan, että olisivat tuhlanneet aikaansa taiteen, tieteen ja muun turhanpäiväisen löpinän kanssa. Olisi ihmiskunnan sivittyshissoriakin paljon paremmalla tolalla. :D

2: 伊10 2016-10-09 06:19:38 ID: U_J8kdHD

>>1

Käytä Englanti ;D

3: SS好きの名無しさん 2017-04-10 17:26:38 ID: wEylIJKv

皆可愛い… 続き楽しみに待ってます

4: 伊10 2017-04-11 13:49:29 ID: cWbT1TkV

>>3

ありがとうございます、励みにさせていただきます!

5: SS好きの名無しさん 2017-04-14 21:38:39 ID: 5_7tvrHa

この提督キザすぎてキモい

6: 伊10 2017-04-15 00:43:17 ID: dMIpq5SJ

>>5
キザ以外で何を提督に求めているのでしょうか?

7: SS好きの名無しさん 2017-04-16 16:28:53 ID: cPeV27nH

>>6
うわぁ…

8: 伊10 2017-04-16 20:10:56 ID: 7a_dhFhy

>>7

はい、根本的な見解を異にしているようなので、これからは私の作品を読まない方がいいですよ。

9: SS好きの名無しさん 2017-07-18 17:17:19 ID: pD5hMEJ7

話自体は嫌いじゃないけど※6や8は何言ってんだコイツ感がすごい

10: 伊10 2017-07-19 00:05:28 ID: lyG-PBAO

>>9
6に関しましては提督という役職上、フランクな態度は似つかわしくはないと考えた上でのコメントです。
8に関しましては、上記を理解するつもりも感じられない返答を受けましたので、この方にそれ以上を期待するのは無意味と判断した次第です。

11: SS好きの名無しさん 2017-11-08 00:49:14 ID: eHo2KFm4

合わなきゃ読まなきゃいいってのには同意。
不特定多数の読者に作者が合わせるとかw 不可能だろ
ほならね、自分で書いてみろって話ですよ、私はそう言いたい
てか、自分で書けば不満のない提督が見られるじゃん、書きなよ


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