2016-09-11 01:32:50 更新

概要

整備士さんと艦娘の日常です。
思いつきで書いてたらラブコメになってた(驚愕)
ほぼ毎日更新しますよ
初ssだから出来ればコメントで指摘やアドバイスを頂けるとありがたいです。


前書き

とある鎮守府の工廠




整備士「なあ夕張」



夕張「なんですか?」



整備士「なぜ俺はこんなにモテないのだろうか」



夕張「知りません、さっさと仕事して下さい」ハァ…



整備士「だってさ、提督って艦娘達からモテモテじゃん」



夕張「そう…なんでしょうか?」



整備士「む、なぜ疑問系なんだ」



夕張「だって艦娘間の色恋沙汰なんて興味無いですし」



整備士「ドライだねえ、そんなんじゃ結婚出来ないぞ」



夕張「うるさいです」



整備士「それでだよ、なぜ俺は鎮守府にいるのにモテない?鎮守府で2人しかいない男だぞ?」



整備士「しかもなぜか妖精や鹵獲した深海棲艦にモテるという」



夕張「なんでモテないか知りたいですか?」



整備士「もちろん」



夕張「整備士さんが艦娘と話さないからですよ」



整備士「だって…恥ずかしいじゃん」



夕張「思春期か」



整備士「コミュ症が女社会で生きているだけでも褒めてもらいたい」



夕張「最早モテようとさえしていませんね」



整備士「だって周りから寄ってくると思ってたもん」



夕張「艦娘をカブトムシと同じにしないで下さい」



整備士「まあでも、まだ若いし大丈夫か」



夕張「そんなこと言っている間におっさんになっちゃいますよ」



整備士「いやいや、まだピチピチよ、最近お酒飲めるようになったし」



夕張「そういえば整備士さんがいくつか知らなかったですね」



整備士「今年で21になるな」



夕張「でも結構昔から工廠にいますよね」



整備士「まあ16で家出してから元首に拾われてここにいるからね」



整備士「昔から機械いじるのは得意でさ、元首のラジオを直したら海軍に来ないかって言われて」



夕張「へぇ、そんなことがあったんですね」



整備士「そのまま居心地が良くてここに根を下ろしちまったのよ」



夕張「それじゃあこれからもここに?」



整備士「そりゃもちろん。他に行く宛も無いしさ」



夕張「そうですか」フフッ



整備士「なんか嬉しそうだな」



夕張「そう見えますか?」



整備士「そう見える」



夕張「じゃあきっとそうなんでしょう」






・・・・・・・






夕張「それじゃあ私は遠征の指揮を頼まれてるので、行ってきますね」



整備士「おう行ってらっしゃい」フリフリ





整備士「さーて何をするかねえ」



吹雪「あの…今お忙しいですか?」



整備士「おや、大丈夫、何の用かな?」



吹雪「実は12.7cm連装砲の調子が悪いみたいで…」



整備士「ふむ、ちょっと貸してみて」



吹雪「はい」ガチャ



整備士「ちょっと道具とってくるから、そこの椅子に座って待ってて」



吹雪「失礼します」



吹雪(また来てしまった…本当は異常なんて無いけど…)



整備士(吹雪ちゃん最近よく来るなぁ。毎回整備不良だから、妖精達に喝を入れんと)



整備士(武器の不良は命に関わる。動作しないならまだしも暴発とかはシャレにならない)



整備士「ふう、待たせたね」



吹雪「い、いえ!時間はあるので大丈夫です!」



整備士「さて、どこから見ていこうか」



ガチャガチャ…



整備士「…………」



吹雪(ああ、整備士さんの仕事する姿 素敵だなあ…)ジー



整備士(あれ?どこも異常は無い…一応部品を磨いて油差しておくか)



吹雪(ずっと見ていたい…)ジー



整備士「吹雪ちゃん」



吹雪「…」ポー



整備士「おーい、吹雪ちゃん?」



吹雪「はっ、はい!」ハッ



整備士「ボーッとしてたけど大丈夫?顔も赤いし」



吹雪「だ、大丈夫です!///」



整備士「体調悪いならきちんと休むんだよ」



吹雪「お、お気遣いありがとうございます!」



整備士「連装砲だけど特に異常は見つからなかった。一通り整備し直しておいたから、何かあったらまたおいで」



吹雪「ありがとうございました!」ダダダダダッ ガチャバタン



吹雪(あ、危ない、見とれちゃってた///)




夕張「ただいまー」



整備士「おかえり」



夕張「吹雪ちゃんが来てたんですか?」



整備士「よく知ってるな」



夕張「さっき廊下ですれ違ったんです」



整備士「最近よく来るんだ。整備不良ばかりなのは気がかりだな…」



夕張「ふーん」



夕張(最近よく…か…)




ー駆逐艦寮 吹雪型の部屋ー




吹雪(整備士さんの触れた連装砲…)



吹雪(まだあったかい…///)







・・・・・・・・・







夜 工廠裏



整備士「おや、提督お疲れ様です」



提督「そっちもな。整備おつかれ」



シュバッ フゥ〜



整備士「毎晩ここでふかしてますが、何か理由でも?」



提督「秘書官がうるさいんだ、執務室で吸うなと」



整備士「まー副流煙もバカになりませんしね」



提督「いや、俺の体が心配なんだと」



整備士「いい子じゃないですか。やめてあげないんですか?」



提督「数少ない娯楽だからなぁ…どうだお前も吸うか?」



整備士「僕はあまり得意じゃないので、遠慮しておきます」



提督「そうか…」




ス…フゥ〜



………



提督「最近はどうだ?夕張は元気か?」



整備士「夕張は楽しそうにやってますよ。最近駆逐艦の子がよく来ますね」



提督「駆逐艦が…そうか。お前の整備した武器は評判がいいんだ。連射しても命中精度が落ちないんだと」



整備士「それはそれは…整備士冥利に尽きますね」



提督「今まで妖精達にやってもらっていたが、以前より戦果が上がっている。すごいことだ」



整備士「戦果以前に、生き残るために武器は最良のものを使って欲しいですから」



提督「艦娘達も、お前がそういう気持ちだから安心して武器を任せられるんだろうな」



整備士「そんなかっこいいものではありません。自分が出来ることをするだけです」



提督「そうか…」





夕張(ふー、お仕事おわり)



夕張(ん?あれは整備士さんと提督?)



夕張(何を話してるんだろう…)ソー…





提督「ところでお前は身を固める気は無いのか?」



夕張(…!)



整備士「身を固める…結婚ですか?」



提督「そうだ」



整備士「結婚か…ちょっと考えたことないですね」



提督「じゃあ気になっている娘とかはいるのか?」



夕張(………)



整備士「うーん…いるっちゃいますね」



夕張(…!?)



整備士「いきなりどうしたんですか?」



提督「実は艦娘でお前を好いている娘も何人かいるんだ」



整備士「へぇ…艦娘はみんな提督のことが好きなんだと思ってました」



提督「全員がそうというわけではない」



整備士「なるほど…でもここに来る娘はだいたい恋愛相談して帰っていくんですが」



提督「あいつらそんなことを…迷惑をかけるな…」



整備士「いえいえ大丈夫ですよ。艦娘社会を知れて面白いですし」



提督「そうか…それでだ、俺は艦娘に幸せになってもらいたいんだ」



整備士「それで結婚…ですか」



提督「それで、会席の場を設けてお見合いをしてもらいたい」



提督「もちろん強制じゃない。参加しても絶対に誰かと付き合う必要もない」



整備士「僕なんかでいいんですかね…」



提督「お前じゃないとダメなんだよ」



整備士「あらら…口説かれちゃいましたね」



提督「やってくれるか?」



整備士「了解しました」



……





整備士「夕飯どうしようかなー、買って帰るか」



夕張「……」



整備士「ん?夕張まだ帰ってなかったのか」



夕張「あの…」



整備士「…?」



夕張「いえ…なんでもありません…」



整備士「そうだ、夕張もう夕飯食べた?」



夕張「いえ…まだですけど…」



整備士「食べに行こうぜ、奢るよ」



夕張「え…そんな申し訳な…」



整備士「いいからいいから」



夕張「………」



夕張「……フフッ」



整備士「なんかおかしかったか?」



夕張「ええ、おかしいですよ」



夕張「とっても、ね」






・・・・・・・・・・・






朝 工廠横宿舎



整備士「ふわぁぁぁぁぁねみ」



整備士「ってまだ4:30か、朝礼にはかなり早いな」



整備士「身支度して工廠に行こう」





………





カーンカーン…



整備士「ん?誰かいるのかな?こんな早くに」



夕張「……」



整備士「おはよう夕張」



夕張「ひゃっ!お、おはようございます!」



整備士「そんなびっくりせんでも…」



夕張「不意打ちだったもので…」



整備士「こんな朝早くから何をしてるの?」



夕張「これをちょっといじってました」



整備士「ああ、前試作した自動装填装置か。確か強度不足で失敗したはずだけど」



夕張「前のやつをベースに簡略化して信頼性を上げようと思いまして。これ設計図です」



整備士「おぉ、よく破損したリンク機構が無くなってる」



夕張「まずは小口径砲から試作をしてみているんです」



整備士「すごいな…ところで夕張」



夕張「なんですか?」



整備士「寝た?昨日」



夕張「それは…でも大丈夫です」



整備士「とか言ったそばからウトウトしてるぞ」



夕張「うぅ…」



整備士「海に出る艦娘が寝不足で集中散漫とか、やめてくれよ、死ぬかもしれないんだぞ」



夕張「すみません」



整備士「謝らなくていい、ただ自分の身を案じてくれ。夕張に沈んでほしくない」



夕張「えっ…」



整備士「時間になったら起こしてやるから、仮眠室で寝てくるんだ」



夕張「それでは、お言葉に甘えて」




くいっ(裾つかみ)




整備士「ん?」



夕張「その……私は抱き枕が無いと落ち着かなくて…その…」



整備士「あぁ…なるほど…」




………………




夕張「…………」



整備士「…………」



夕張(あったかい///)ギュー



整備士(あわわわわ、どうしてこんな状況に)



整備士(落ち着け、落ち着くんだ俺、ああいい匂いす…いやダメだ何も考えるな)ブンブン



夕張(昨日の提督と整備士さんの会話を聞いて大胆に出てみたけど、言ってみるものね)



夕張(でももう…眠…)スゥ…



整備士(ん?もう寝たか)



整備士(こうして見ると、やっぱりかわい…いや、いかんいかん)



整備士「おやすみ、夕張」



夕張「んぅ…」




………………




整備士「おーい夕張ー起きろー」



夕張「うん…ん?」



夕張「はっ///」



整備士「なんだ…その…顔でも洗ってこい…」



夕張「はい、それでは…」



……………



ジャージャブジャブ



夕張(私は何てことを…寝不足で頭おかしくなってたのかな…)



夕張(でも…幸せだったな…)



……………



整備士「おかえり」



夕張「すみません、迷惑をかけました」



整備士「いや迷惑なんてとんでもない。さ、朝礼に行こう」



夕張「はい!」





・・・・・・・・・・・・





昼 演習場



夕張「さーて、じゃあ自動装填装置のテストしますよ」



整備士「試作したものをテストする時って一番ワクワクするね」



………



ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!




夕張「熱っ!」バッ



整備士「大丈夫か!?うわ、火傷してる…」



夕張「その…大丈夫ですから」



整備士「大丈夫なもんか、嫁入り前の女の子を傷つけられん」



…………



………



夕張「いやー高速修復材って便利ですねー」



整備士「何でも一瞬で治っちゃうんだもんな、装備も直してくれないんかね」



夕張「でもそれをされると私達の仕事が無くなりますよ」



整備士「それは困ったなぁ」



夕張「さて、新しい自動装填装置ですが、まず高レートで連射をしたために本体が異常に発熱しました」



整備士「あとこの砲身だけど、曲がってる。ライフリングも歪んでる。もう使えんな」



夕張「はぁー、この案は却下ですね」



整備士「でも装填装置自体はうまくいってたよ、すごいすごい」ナデナデ



夕張「むむ、私は駆逐艦じゃありませんよ」



整備士「ハッハッハ!すまんすまん」



夕張「はあ…もういいです」



整備士「………」ニコニコ



夕張「…?なんですか?」



整備士「いや、なんでも」



整備士「なんでも…あるかな」







・・・・・・・・・・・・・







夜 執務室




…コンコン



整備士「どうもー整備士でーす」



提督「ちゃんとスーツを着てきたか」



整備士「本当はツナギがいいんだけどなぁ…」



提督「さすがにお見合いでツナギはマズいだろう」



整備士「冗談ですよ」



提督「そうか…もう店は予約してある、早速向かおう」




……………



………




整備士「なんか高そうなお店」



提督「居酒屋やカラオケが良かったか?」



整備士「いやー、嫌いじゃないですよ、こういうの」



提督「なら良かった」



店員「他のお客様は既にお見えになられています。あちらの席です」




…………




整備士「………」カチコチ



提督「じゃあ最上から」



最上「どうも、最上です。増設バルジの時にはお世話になりました」



整備士「ああ、あの時の…バルジの調子はどうだい?」



最上「全体的に防御力が上がって続けて戦えるようになりました」



整備士「そりゃ良かった」



提督「はい次」



春風「春風です。よろしくお願いします」



整備士「待って駆逐艦って大丈夫なの?お見合いとか」



提督「艦娘に年齢はない。ゆえに規制もない」



整備士「えぇ…」



提督「はい次」



吹雪「吹雪です!いつもお世話になっています!よろしくお願いします!」



整備士「吹雪ちゃん、もっと肩の力抜いていいんだよ」



吹雪「す…すいません…」



提督「えーでは、お見合いを始めます。私はまとめ役なので主役は整備士さんです」



整備士「あ、どうも」



提督「って固く始めても仕方ないか…」



提督「まあ適当にやってくれ」



…………



最上「整備士さん整備士さん、整備士さんの過去を教えてよ」



整備士「俺の過去?聞いてもつまらんぞ」



プリンツ「そう言われると気になりますね」



春風「あまり詮索は好きではありませんが…興味はありますね」



吹雪「私も知りたいです」



整備士「そっかぁ〜、じゃあ話すかね」



整備士「俺の父は地主だったんだけど、すーごい厳しかったさ」



整備士「でも俺は勉強よりも機械が好きで、ラジオ店とかに通って機械を触らせてもらってた」



整備士「でも父はそれに気付いて、外出を禁止してきたんだよ」



整備士「しばらくは我慢した。けどやっぱ我慢できなくて家を飛び出した」



整備士「無一文でしばらく放浪してたんだけど、妖精達と遊んでると、変なおっさんが困ってたさ」



整備士「高級外車に積まれてるラジオが壊れて、直したいんだけど日本に技術者がいないんだって」



整備士「どうせラジオの仕組みなんか決まってるから、妖精達と一緒に直してあげたんだよ」



整備士「そしたら、見えるのか?とか言ってきて、そのまま事情を聞かれて海軍に保護された」



整備士「そのおっさんが実は元首だったんだよね」



整備士「それが16の時、それからずっと工廠にいるよ」



最上「す…すごい人生だね」



提督「まあ元首は提督にしたかったみたいだけどな」



春風「ならなかったのですか?」



整備士「提督になったら機械いじれないじゃん」



春風「あら、一途なんですね」



整備士「それしかできないってのもある」



プリンツ「貴重な才能だよ。艦娘の装備を弄れる時点で普通の人じゃない」



整備士「え?そうなの?」



プリンツ「…え?」



提督「そもそもアレの仕組みを知る人間は皆無だし、弄れるなんて以ての外だよ」



整備士「でも夕張は弄れてるし…」



提督「だって夕張は艦娘だし」



整備士「俺って凄かったの…?」



提督「気付いてなかったのか」



整備士「名誉も金も興味ないですからね、楽しければそれでいい」



提督「とか言って、モテたいとか言ってたんだろ」



艦娘達「え?」



提督「こいつさ、昨日夕張に…」



整備士「ストップストップ、なんで知っているんですか?」



提督「だって夕張が話してたし」



整備士「あいつ…」



提督「まあ悪気があったわけじゃない。あのぐらいの年の子はみんな噂好きだよ」



整備士「怒る気はありませんよ、ただ下手なことを言えなくなっただけで」



提督「そいつは残念だ」



吹雪「…あの…」



整備士「ん?」



吹雪「モテたいっていうのは、彼女が欲しいってことですか?」



整備士「んー…そうだね」



吹雪「それじゃ…あの、私っ…!」



最上「ちょっと待って、フライングは良くないな」



プリンツ「それはみんな同じよ」



春風「もういっそ、本題に入りましょうか」



最上「本題?」



春風「ええ、整備士さんに、私達の気持ちを」



プリンツ「まあ、うだうだしてても仕方ないわね」



春風「同意をいただけて良かったです。吹雪さんも、よろしいですか?」



吹雪「…はい」



春風「それでは最上さんから」



最上「僕かあ、そっか…それじゃあ」



最上「整備士さんはさ…僕と初めて会ったときのことを覚えてる…?」



最上「僕は実践テストをしていた整備士さんの新武装で、敵の砲撃を受けて壊しちゃったんだ」



最上「けど整備士さんは、それを見て『強度不足か、これでは使えん。作り直しだ』って言ったんだ」



最上「笑っちゃったよ、けど理由を聞いたら笑えなくなった」



最上「『艤装がダメージを受けて艦娘本体を守るんだから、砲撃程度で壊れるようじゃダメだ。装備よりも君達が傷つく方がずっと怖いって』って」



最上「きっと優しい人なんだと思った。誰よりも艦娘のことを考えてる。もちろん提督もだけどね」



最上「だから僕は…整備士さんが好きになっちゃった」



最上「えへへ…なんだか恥ずかしいね。さ!次へ行こう次!」



プリンツ「次は…私ね、分かったわ」



プリンツ「私は最初唯一のドイツ艦だった。今でこそ姉様やグラーフもいるけど、最初は凄く寂しかったの…」



プリンツ「何より言葉の壁が立ちはだかった。誰とも話せなかった」



プリンツ「けどメヒャニカ(整備士)だけはドイツ語を話せたのよね」



整備士「すごい機械や工具って大体ドイツ製だからね」



プリンツ「そう…それだけ、たったそれだけだけど、とても嬉しかった」



プリンツ「今はあなたのおかげで日本語を話せるし、みんなと仲良くできる」



プリンツ「だからとっても感謝もしてるし…とっても…慕っているわ」



プリンツ「私は…あなたが好き」



プリンツ「終わりよ、次は春風ね」



春風「私ですね…」



春風「整備士さんと初めて会ったのは執務室でしたね」



春風「私は提督が外に出ている間、秘書官として執務をしておりました」



春風「そんな時、あなたはノックして返事を待たずに入ってきたもので、最初は何という人だ。と訝しんだものです」



春風「正直言って、あまりいいイメージではなかったのです」



春風「そして私の初出撃の時、装備の整備をしてもらおうと工廠に向かいました」



春風「そこには曙さんと整備士さんがいました」



春風「整備士さんは、整備をしながら曙さんの話を楽しそうに聞いていました」



春風「曙さんの話は…悪いですがあまり聞き心地の良いものではありません」



春風「しかしあなたは曙さんの真意を汲み取って、自然と正直にさせていました」



春風「だから今は提督と曙さんがケッコンしているのですね」



春風「そして私の装備を整備して頂いたとき、私の装備には御守りが付いていました」



春風「『初出撃は最も危険だ。それ以降は比較的安全になる』と、だから必ず付けている、と」



春風「正直私はとても不安だったのですが、その御守りが凄く心強かったのです」



春風「作戦後帰投して、私を見た整備士さんは凄く喜んでくれました」



春風「私はそれに何とも言えない温かさを感じました」



春風「この心地よさに、ずっと浸っていたいと思いました」



春風「この想いは、きっと…」



春風「私はずっと、あなたを想い続けています」



春風「フフ…次は吹雪さんですよ」



吹雪「わ…私は…」



吹雪「私はとてもドジで、いつも迷惑ばかりかけていて…」



吹雪「だから迷惑をかけたくないと、演習場で必死に練習してて…」



吹雪「でも自分の体力の限界を知らなかった私は演習場で疲れ果てて、立てなくなった挙句、溺れそうになっていました」



吹雪「どんどん水面が遠くなっていって、怖くてもがこうとするんですが、全く体が動かなくて…」



吹雪「こんな所で死ぬなんて、って泣き出しそうになっちゃって、でも水中だから涙も消えちゃって」



吹雪「そんな時、プールに飛び込んできた人がいました」



吹雪「その人は、兵器試験に来ていた整備士さんでした」



吹雪「そして整備士さんは私を抱えて、水中から助けてくれたんです」



吹雪「その時の整備士さんの体がとても頼もしくて、温かくて」



吹雪「その後整備士さんは、私のために特殊な艤装を作ってくれました。普段のものより数段楽に海上を駆けることができました」



吹雪「それは今でも駆逐艦の教育用に使われていますね」



吹雪「整備士さんのおかげで私は第一艦隊にいます。感謝してもしきれないくらい感謝しています」



吹雪「そして私は整備士さんなら何をされてもいい、整備士さんに全てを捧げたい。そう思ったんです」



吹雪「私は整備士さんが好きです。世界中の誰よりもずっと好きです」



整備士「…………」



整備士「そうか……」



整備士「実はな君達が好意を抱いてくれていることは既に知っていた」



整備士「今、君達の意見を聞けて、率直に嬉しいと思った。非常に光栄だ」



整備士「だから俺は言わないといけないことがある…」



整備士「俺は……君達の思いに応えることはできない…」



整備士「俺は…もう好きな人が……」



吹雪「……………」



吹雪「……………」




ガタッ!タッタッタッ




整備士「吹雪!どこへ行くんだ!」



吹雪「…………ッ!」



整備士「ま、待ってく…行ってしまった」



春風「…整備士さん、追いかけてあげてください」



整備士「ああ、もちろんだ」




バタン タッタッタッ




最上「フラれちゃったね…」



春風「……」



プリンツ「私知ってたんだ」



プリンツ「私の想いが叶わないこと」



プリンツ「整備士さんに思い人がいること……」




………………………



………………



………







鎮守府周辺海岸




吹雪「うぅ……グスッ…」




……おぉーい




吹雪「…?」



整備士「吹雪ちゃん!探したよ」



吹雪「探しても…意味ないですよ…」



整備士「女の子が泣いているんだ、探さないわけがない」



吹雪「…………」



吹雪「本当に、罪な人…」



吹雪「本当は分かってたんですよ」



吹雪「私はずっとあなたを見てきましたから」



吹雪「整備士さんは、私を見ていない」



吹雪「整備士さんが見ているのは、きっと……」



整備士「ああ、そうだ…俺は君の気持ちに応えることはできない…」



整備士「すまない…」



吹雪「謝らないでください。整備士さんは悪くありません」



吹雪「ただ…一度だけ…」



吹雪「一度だけ…夢を見せてもらえませんか…?」



吹雪「そしたら…私も諦めがつくと思うので…」



吹雪「こっちへ…来てください…」






夕張(整備士さんいないと暇だなぁ…)



夕張(夜の海…街灯が反射して、綺麗だな…)



夕張(って、あれ?整備士さんと…吹雪ちゃん…?)



夕張(なんでここに…)



夕張(……!?…何して…)



夕張「あれ…?おかしいな…なんで涙が…」






吹雪「……」



吹雪「…ありがとうございました」



吹雪「大好きですよ!整備士さん!おやすみなさい!」



整備士「ああ…おやすみ吹雪ちゃん」




タッタッタッ




吹雪「…グスッ」



………



……




整備士「さて、工廠にでも戻るかな…」



………



……







整備士「なんか、大変なことになっちゃったな。疲れた…」




カーン…カーン……




整備士「あれ、誰かいる。夕張かな?」



整備士「おーい夕張!」



夕張「……」



整備士「夕張?」



夕張「あ…整備士さんですか…」



整備士「どうしたんだ?ボーっとして」



夕張「整備士さんは…」



整備士「俺がなんだ?」



夕張「いえ、なんでもありません!それじゃあ私は帰りますね!」



整備士「そうか…」



夕張「お疲れ様です!」



整備士「………」



整備士「…………待て」



夕張「なんですか?私はもう帰りたいんですが…」



整備士「明らかに様子がおかしい」



夕張「やだなあ、そんなわけないじゃないですか…」



整備士「………見たのか?」



夕張「…ッ!」



整備士「夕張…あれは…」



夕張「私は知ってたんですよ」



整備士「………」



夕張「昨日の提督との話を聞いちゃったんです」



夕張「ずっと整備士さんの隣は私だと思ってました」



夕張「だけど、昨日整備士さんが身を固めると聞いて、頭が真っ白になりました」



夕張「しかもお見合いを承諾してしまいました」



夕張「だけど、まだ誰かと付き合う事になるわけじゃないと、自分を落ち着けました」



夕張「でも…さっき海岸で…」



夕張「吹雪ちゃんが整備士さんを好きなことも知っていました」



夕張「かわいい娘だし…整備士さんにはお似合いだなと…それで…グスッ…うぅ……」



夕張「…私は…グスッ…選ばなかったんだって……それで…」



整備士「………」




スタスタスタ




整備士「………」ギュッ



夕張「…!」



夕張「やめてください…」



夕張「それ以上優しくしないでください…」



整備士「夕張」



夕張「…なんですか?」



整備士「俺は…」



夕張「………」



整備士「俺は夕張のことが好きだ」



夕張「…え…?」



整備士「だから夕張が好きなんだよ」



夕張「でも…吹雪ちゃんが…」



整備士「吹雪には断ってきた」



夕張「…じゃあ吹雪ちゃんとなぜしたんですか?」



整備士「一度だけ…夢を見せて欲しいと…」



夕張「そう…ですか…」



整備士「吹雪と付き合ったわけじゃない」



夕張「本当…なんですね…」



整備士「ああ…」



夕張「…っ…うわあああああああああああん」



整備士「うおっ、ビックリした」



夕張「…グスッ…すみません…しばらくこのままで…」



整備士「ああ」



………



……



整備士「落ち着いたか?」



夕張「はい…もう大丈夫です」



整備士「ごめんな、勘違いさせて」



夕張「本当ですよ!もう!」



整備士「許してくれ、なんでもするよ」



夕張「なんでも?言いましたね」



整備士「ああ、言ったぞ」



夕張「じゃあ……私にも夢を見せてください」



整備士「……!…分かった」



整備士「じゃあ、目を閉じてくれ」



夕張「あ、待ってください」



整備士「?」



夕張「…大好きですよ、整備士さん!」














・・・・・・・・・












ーーーーここはー?




ヤシの木…?南の方か…




エンジン音…近いな…




これは…滑走路?鎮守府には飛行場は無いが…




というか何処だ?鎮守府じゃないのか





……ぉーい…




……おーーぃ…




「おい!」




整備士「……!は、はい!」



整備兵「何ボーっとしてんだ!仕事無いからって寝てんなよ!」



整備士「すいません…」



整備兵「まったく…」



整備士「あ…あの…」



整備兵「あん?なんだ?」



整備士「ここって…どういう場所でしたっけ?」



整備兵「何言ってやがる?ここはサイパン島泊地の飛行場だ」



整備士「…え?ど、どういう…」



整備兵「まだ寝ぼけてんのか?あっちで顔洗ってこい!」



整備士「はい…」




………




整備士(どういうことだ?なぜ俺はサイパンに…)



整備士(というかこの服…何故白いツナギなんか…)



整備士(……!?いや、これは日本兵の整備服だ!)




???「ふぁ〜…出撃ねえのかなぁ…」




整備士(誰かいる…?話しかけてみよう)



整備士「あの…」



???「ん?あんた誰?」



整備士「整備士…です」



???「階級は…まぁ…いいか、私は河野茂上飛曹だ」



整備士「変な質問をしますが、今日は何年ですか?」



河野「本当に変だな、今日は皇紀2604年 3月30日だ」



整備士(皇紀…?確か660年引けば…1944年だと!?)



整備士「今日はどんな用事がありますか?」



河野「そういえば輸送船団が来てたな」



整備士「輸送船団というのは…?」



河野「東松船団というそうだ、確か…夕張…?という巡洋艦がいた」



整備士「………ッ!」




ダダダダダッ




河野「おい!どこ行く…って行っちまったよ…」




…………



……




整備士(なんで俺はこの時代に…?)



整備士(夕張…きっと船の姿か…)



整備士(そういえば夕張が沈んだのは確か…)




整備士「これが、夕張か…」



整備士「入ってみるか…」




………







整備士「すごい…やっぱりここは1944年なんだ…」





…ー♪




整備士「歌?」




ーー〜♫




整備士「ここは…機械室か…」



整備士「失礼します」




???「〜〜♩」




整備士(緑色の髪…緑色のリボン…)




整備士「君は…夕張なのか?」



夕張「ふうん、私が見えるのね」



夕張「そうよ、私は夕張」



整備士「………」



夕張「どうしたの?鳩が豆鉄砲くらったような顔して」



整備士「君は…何者だ?」



夕張「うーん、説明が難しいけど、あえて言うなら船の魂かな」



整備士「艦娘…ではないのか…」



夕張「艦娘?何それ?」



整備士「いや、何でもない、忘れてくれ」



夕張「ふーん…そう…」



整備士(そりゃ何十年も前なんだ。知るわけがない)



夕張「そういえば、あなたの名前は聞いていなかったわね」



整備士「整備士だ」



夕張「整備士さんね、よろしくね」



整備士「よろしく」






……



………



夕張「そういえば、あなたはどうしてここに来たの?」



整備士「ここ…というのは?」



夕張「この船のことよ」



整備士「説明すると長くなるな…」



夕張「…いいよ、説明して」



整備士「…この船は俺にとって特別なんだ」



夕張「特別?よく分からないけど、大事にされてるのはありがたいことね」



整備士「夕張は…これからどうするんだ?」



夕張「4月23日に出港を予定しているわ。パラオに行くの」



整備士(史実とまったく一緒なんだな…)



整備士「夕張は…もし俺が未来から来たと言ったら、信じるか?」



夕張「……!…そうね」



整備士「そうか、信じてくれるか…」



夕張「じゃあ…未来を知っているのね…」



整備士「知りたいか?」



夕張「正直、知るのは怖い…けど…あなたがいるということは、国がまだあるのね」



整備士「もちろんだ」



夕張「…夕張は…この国の未来は…どうなるの?」



整備士「この戦争は…」



夕張「………」



整備士「負ける」



夕張「…そう…」



整備士「そして君は沈む」



夕張「………」



整備士「パラオにに貨物を届けた後…潜水艦に…」



夕張「…そっか」



整備士「…意外と落ち着いているな」



夕張「なんだかそんな気がしてたの」



夕張「けど恐怖はないわ」



整備士「それは…どうしてだ?」



夕張「役目を終えるだけだから…あくまで私は船」



整備士「でも君には意思がある」



夕張「そうね、でもこの意思は借り物なの」



整備士「どういうことだ?」



夕張「船…いや、船に限らず乗り物の魂って何かわかる?」



整備士「分からない…」



夕張「そうでしょうね。船の魂っていうのは搭乗員の意思の融合体なの」



整備士「そんな…君は君だろう…」



夕張「ただの鉄の塊には魂は宿らない。人に乗られて初めて魂が宿る」



夕張「だから私は搭乗員の士気がある限り弱気にはならないわ」



整備士「夕張、君の意思はないのか」



夕張「無いわ…私達は兵器だから」



整備士「でも君は人に見える。感情もある」



夕張「それでも…事実は変わらない」



整備士「俺は君に死んでほしくないんだ」



夕張「………」



整備士「この泊地も6月には滅びる」



夕張「…整備士さん…」



整備士「…?」



夕張「んっ……」チュ



整備士「…!?」



夕張「整備士さん、あなたには為すべきことがある」



整備士「為すべき…こと…」



夕張「あなたは生きなければならない」



整備士「………」



夕張『もう一人の私に…よろしくね』






………


…………




夕張「あ、整備士さん起きたんですね」



整備士「ここは…?」



夕張「工廠の仮眠所ですよ。まったく作業中に眠っちゃって」



整備士「すまない…」



整備士(さっきのは夢だったのか…)



整備士(それにしては生々しい…)



整備士(為すべきこと…もう一人の私…どういう意味だろうか…)



夕張「整備士さん」



整備士「なんだ?」



夕張「なんだかずっと考えこんで、嫌な夢でも見ました?」



整備士「…いい夢ではなかったな…」



夕張「…整備士さん」ギュッ



整備士「…!夕張…」



夕張「今の整備士さんはどこかに行ってしまいそうです」



整備士「………」



夕張「私の側からいなくならないでください…」



整備士「夕張…」



夕張「なんですか?」



整備士「お前は…沈まないよな…?」



夕張「当たり前です…整備士さんを置いて行ったりしません」



整備士「そうか…」



夕張「信じられませんか?」



整備士「いや…信じよう」



夕張「フフッ、もう夕食の時間です。食堂に行きましょ」



整備士「…、ああ、そうだな」





……



………



…………



……




ーー数日後





提督『夕張、至急執務室に来るように』




夕張「あら、なにかしら」



整備士「作業の続きは俺がやるから、行ってこい」



夕張「では任せました」







……



………



提督「急に呼び出してすまない」



夕張「いえ、大丈夫です」



提督「実は緊急で任務がある」



夕張「任務…ですか…」



提督「南方海域を守っているサイパン泊地は分かるな」



夕張「はい」



提督「実は輸送船が物資を届けるために使っている海路が襲撃され、泊地が孤立した」



夕張「それは…大変ですね…」



提督「すぐに輸送船団を送りたいが生憎他の艦娘が出払っている」



提督「そこで君が旗艦で如月と共に泊地に向かってもらいたい」



提督「輸送船団を襲撃した深海棲艦いるかもしれない。危険な任務だ」



提督「受けてくれるか?」



夕張「了解しました」



提督「ありがとう。重ねて言うが危険な任務だ。注意を怠らないように」



夕張「はい!」







……



………








夕張「それでは、行ってきます」



整備士「あ、待ってくれ、渡すものがある」



夕張「渡すもの?」



整備士「ああ、これだ」



夕張「見たことない砲弾ですね」



整備士「まだ信頼性に欠けるが…きっと夕張の身を守ってくれる」



夕張「数日前様子がおかしくなってからずっと何かに没頭してると思ったら…」



夕張「ありがとうございます」



整備士「夕張…沈まないでくれよ…」



夕張「ええ、沈みませんよ。」



夕張「あなたの為に」







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1: Sh1Gr3 2016-08-30 00:55:45 ID: LLLo2p9c

夕張さんがヒロインですか!いいですね〜^ ^

吹雪ヤンデレに堕ちないかお兄さんちょっと心配・・・

2: SS好きの名無しさん 2017-03-17 20:52:32 ID: jHBCh9MP

パーフェクト


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1: SS好きの名無しさん 2017-03-17 20:51:41 ID: jHBCh9MP

パーフェクト

2: SS好きの名無しさん 2017-05-31 01:15:54 ID: MvfJG1Y1

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