2016-10-16 00:27:16 更新

前書き

東方紅魔郷 暗雲は言うなれば第1巻です、まだ続きます。 原作の東方紅魔郷とは違う点がいくつかあります。ご了承ください。


章タイトル

東方紅魔郷 【暗雲】



【常識から隔離された世界】


私達が住み暮らしているこの世界から隔離され、忘れ去られた者たちがたどり着くもう一つの世界、それが幻想郷。外の世界の科学中心の文化に対して、幻想郷では精神・魔法中心の独自の文化が築かれていた。そして外の世界に対して大きく違っている点は、その幻想郷で暮らしているのは人間だけではない、妖怪・妖精・神などの私達が暮らしている世界では存在が確かではない者たちも住み着いている。


博麗大結界制定後、人間と妖怪の関係は大きく変化し、妖怪が人里へ顔を出したり、人間が妖怪の住処へ遊びに行くことも珍しくなくなった。しかし人間と妖怪のバランスを保つため、「妖怪は人間を襲い、人間は妖怪を退治する」という立ち位置は変わっていない。


【紅霧の幻想】


普通、『妖怪は人間を襲い、人間は妖怪を退治する』それがこの幻想郷でのルールだ。しかし、幻想郷の最東端に位置する神社。博麗神社と呼ばれるこの神社には妖怪退治を専門とする巫女が住んでいた。なのに何故かその巫女のところえ妖怪が来ても、一向に退治をしようとしない。


『あら、また来たの。よくこんな何もないところに遊びに来るわねぇ...』


暗茶色したストレートの髪をなびかせながら少し鋭い目つきをしたその茶色の瞳で相手を見ている。袖が無く肩・脇の露出した赤い巫女服、後頭部に結ばれた模様と縫い目入りの大きな赤いリボン。いかにも巫女という雰囲気を出しているこの少女こそ、幻想郷で妖怪退治を専門としている博麗の巫女、博麗霊夢だ。


『相変わらず暇そうだな!れいむ!』


宙を舞いながら元気な声で叫んでいる青い服装に氷の羽根もち、霊夢よりかなり低めの身長の妖精。湖上の氷精チルノ、妖怪も妖精も退治を専門とする巫女の目の前に堂々といる。


『別に暇じゃないわよ、私には妖怪退治をするという大事な仕事が...』


『ならなんで目の前に妖怪、そう私!が入るのに退治しないんだー?』


『うるさいわねぇ...用が無いなら早く帰りなさいよ』


『やだねぇー!暇だもん!』


目の前に退治する標的が入るのに、ごく普通に話をしている。


『あんたら妖怪がいるから参拝客が来ないのよ!


『参拝客なんて最近だれもきてないじゃないかー』


『だからあんたら妖怪がいるからって言ってるでしょうが!!』


そう叫ぶと霊夢は神社の中に入っていった。しばらくするとお茶を二杯運んできた。早く帰れと言っていたのにわざわざお茶を出してくれた、相手は妖怪なのに。


『おう!気がきくな!』


『まったく....』


すると巫女と妖精、二人並んで縁側に座りお茶を飲み始めた。そしてのんきに世間話を始めた。


『あんた他にやる事ないの?』


『私達妖精は自由な生き物なのだ!』


『大妖精やルーミアと遊んでくればいいじゃないの』


『大ちゃんもルミャもみんな忙しいの!』


『妖精は自由な生き物じゃなかったの...』


空を眺めながらそんなのんきな話を最近ずっとしている。チルノも霊夢もどちらとも何もやる事が無く、暇だからだ。するとお茶を飲み終わった霊夢が一度ため息をつくとチルノに向かってこう言った。


『私これから人里に買い物しに行くんだけど、あんたも暇ならついてくる?お手伝いしてくれるならね』


『お、行く行く!れいむ!なんか買って!』


『おだまりっ』


そしてチルノもお茶を飲み終わると同時に勢いよく立ち上がり霊夢の手を掴んで引っ張った。


『れいむ!早く行こー!』


ハイハイとため息をついてから立ち上がり、チルノと一緒に人里目指して歩き始めた。異様な光景である。


『まったく、妖怪のあんたが人里に行っても何も騒がしくなったりしないなんて、変な時代になったわね...』


『いいことじゃないか!みんな幸せに暮らしてるのさ』


『紫が見たら何て言うかね...』


そうこう話している間にいつの間にか人里についていた。 幻想郷の人間の大半が住んでいる場所。人間の生活に必要な物はほぼ全てここで手に入る。

 「妖怪は人間を襲い、人間は妖怪を退治する」という幻想郷のルールの例外的な場所。妖怪退治の専門家も住んでおり、何かあれば霊夢も駆けつけるため、妖怪により人命がおびやかされることは殆ど無い(0ではない)。

 妖怪も日常的に里を訪れ、人間の店で買い物したり遊んだりする者も多い。中には夜に妖怪専門店として営業している人間の店さえある。


『なぁれいむ、何を買いにきたんだ?』


『んー、今日の夕ご飯の材料かな、冷蔵庫空だし...』


『ほう、で何を作るんだ?』


『カレーにでもしようかしら』


『甘口にしろよな!じゃないとアタイ食べられない』


『何であんたも食べることになってるのよ...』


『別にいいじゃないか、減るものじゃないしな!』


『減るわよ』


幻想郷でも、割と私達が住んでいる世界と同じようなものを食べている。(見たこともない食べ物もあるが。)

すると、いきなり霊夢が止まりだした。


『ん、どうしたれいむ?』


『げっ、アレは...』


霊夢が相手を見ると同時にその相手も霊夢の方を振り向いた。


片側だけおさげにして前に垂らしているロングヘアーの金髪を隠すようにかぶっている大きな魔女のような三角帽子、黒系の服に白いエプロン、そして箒まで所持している。どこからどう見ても完全に魔女だ。すると


『おぉ!霊夢ーー!』


黄色い瞳をキラキラ光らせながら霊夢に飛びかかった。それに対して霊夢は反射的に横に回避した。


『いてて...何で避けるんだよぉ』


彼女の名は霧雨魔理沙。霊夢に飛びかかるほどに仲がいいらしい、実際かなり長い付き合いだ。


『そっちこそなんで人里にいるのよ...』


『どこに居ようと私のかってだぜ!』


魔理沙もチルノとどことなく雰囲気が似ている。明るく元気、そしてうるさい。


『おお!ようまりさ!』


『ん?チルノか、なんで霊夢と一緒にいるんだ?』


『知らないわよ、勝手についてきたの』


『ちがうぞ、れいむに一緒に買い物行こうって誘われたんだ!』


『ほほう、珍しいなぁ』


『余計なこというな!』


そしてチルノの頭を軽く叩く、なのにニコニコしている。


『イッテッ!何すんだよ~、馬鹿になったらどうするんだよー』


『もう手遅れだろ』


霊夢も魔理沙も声を揃えてそう言う、チルノも顔をムーっとするが、すぐに笑顔になり。


『よし!早くカレーの材料買いに行くぞー!』


『ほうカレーか、霊夢、私甘口でなー、じゃないと食えないから。』


『お前まで食べる気かっ!』




【宵闇紛れる妖魔夜行】



人里から霊夢達が神社に帰る頃にはすっかり周りは暗くなっていた。幻想郷での現在の季節は夏、周りがこれだけ暗いとなるの七時か八時程の時間帯だ。


『随分と時間がかかったな』


『あんたたちが全く手伝わないでほっつき歩くからでしょうが...』


『おいれいむ!早く神社に帰ってカレーつくれよ!』


『分かった、少しだまってなさい。』


神社と人里の距離はかなりある。歩いて神社に戻っているので、神社に着くまであと20分はかかる。


カレーの具はどうするとか、明日の夕飯はなにだとか、そんなくだらない話をしながら霊夢と魔理沙、そしてチルノは月明かり照らす夜の小道を歩いていた。今夜は月の明かりがかなり明るく夜にしては見通しがいいほうだ。そして神社に着くと早速霊夢は台所に立ち夕飯の準備を始め、魔理沙とチルノは居間でゴロゴロしている。


『あんたらも手伝いなさいよー』


台所から霊夢が大きな声で呼びかけている。


『だって私客だしぃー』


『あたいも客だしぃー』


『もう突っ込むのも面倒くさいわ...』


霊夢の呆れた声が聞こえたあと、ほんの数秒後にチルノが魔理沙に話しかけた。


『なぁまりさ、アレなんだ?』


『んぁ?アレ?』


チルノが指差すのは襖の間、よく見えなかったので重い腰をよっこらせともちあげ魔理沙が襖を開けに行った。

魔理沙が襖を開けたとたん、冷たい空気が部屋中に流れ込む、そしていつもより明るい夜空が顔をだす。そしてチルノが指さした方向を見ると、確かにおかしかった。

少し明るい夜なのに、その一部分だけ綺麗な円状に真っ黒にそまり宙を舞っている。


『(分かりやすいなぁ...)』


魔理沙がため息をついたあと宙を舞う真っ黒な球体にむかって、


『おーい、なにしにきたんだ?(人喰い妖怪)さんよ』


魔理沙がそう言ったとたん黒い球体は水風船でも割れるかのように破裂し、小さな胞子のようになり消えていった。そしてその中から丁度チルノと同じくらいの身長の少女が闇に紛れるような漆黒色のスカートをなびかせながら空から降りてきた。


『なんで分かったんだー?』


『あんなもん、見たら誰でも分かるさ...』


霊夢とも魔理沙ともチルノとも違った深紅色した大きな瞳で魔理沙に問いかける。


『よう!こんな夜中にどうした!ルーミアよ!』


金髪ショートヘアーに赤いリボンを付けた少女の名はルーミア、魔理沙が言うとうり可愛らしい見た目に対して、人喰い妖怪という恐ろしい肩書きを持ち、闇を操る能力までもっている強力な力を持った妖怪だ。


『たまたま近くによったら何だかいい匂いがしてねー』


『なんだ、お前もカレー食べたいのか?』


『そのとうりー!』


『おういいぜ!上がれ!』


ルーミアは両手を広げながらおじゃましまーす!と言い入ってきた。


『いいのかまりさ?、れいむに言わなくて』


『大丈夫だろ、減るもんじゃないしな』



そして霊夢ができたわよーと言いながらカレーを入れた大きな鍋を担いできた。そして次に霊夢は、



『.......なんか、増えてね?』




【始まり出す悪夢】


いつも通り、霊夢は暇そうにお茶を飲みながら縁側に座っている。


『平和すぎてひまねぇ...』


霊夢はこんな暇な日は嫌いではなかったが、今日に限って少し疑問を抱いていた。


『(.....こないわね...)』


いつもなら、これくらいの時間になるとうるさい奴らが神社に遊びに来るが、全く来る気配が無い。



『ひ、人里にでもいこうかな、』


いつもなら歩いて行ってるが、今日は空を飛んでいった。ルーミアが闇を操る能力を持ち合わせているように、幻想郷の大抵の住民は皆特別な能力を持ち合わせており、霊夢は(空を飛ぶ程度の能力)を持ち合わせている。 空を飛ぶ程度の能力とは単に浮遊する能力ではなく、何事にも縛られないという能力。重力も重圧も脅しも、霊夢に対しては意味が無い。


歩いて行くと30分程かかるが、飛んでいくと5分程度で着くことができる。


霊夢が人里に着き、周りと見回すといつもならかなりの人盛りで賑わっていたが、今日はやけに静かだ、人も全く歩いてない。

不思議に思った霊夢は偶然近くを歩いていた人に声をかけた。



『あの、すみません、今日いつもより人が少ない用ですが何かあったんですか?』


そう霊夢に聞かれたその人は霊夢に対して、


『人間は、今外に出られないらしいぞ、なんでも外に出るだけで視界が歪んで倒れるとか』


そう言われた瞬間、霊夢の頭には沢山の疑問が浮かんだ、(なぜ外に出るだけで倒れるのか)、(なぜ人間にだけなのか)、(なぜ、私霊夢も人間なのに、外でも平気なのか)、そんな疑問の中、霊夢が最初に発した言葉は、


『...貴方、人間じゃないの?』


確かにそうだ、人間が外に出れないのなら今外に出ているのは人間じゃない、または霊夢と同じく何故か何も影響がない人間。


『さすがじゃな、博麗の巫女さんよ』


『貴方名前は?』


『儂の名は二ッ岩マミゾウ、お前さんの想像どうり妖怪さ』


霊夢はキョトンとしていた、マミゾウなんて名前の妖怪、退治したことも聞いたこともない、初対面だ。


『ひとつだけ言っておこう、コレは異変じゃ、状態が悪化する前に解決することを進めるぞ、博麗の巫女はそれが役目であろう?』


『ちょっと、貴方...』


霊夢が何かを言う前にその妖怪は霧の様になった瞬間消えていった。


『何かしらアイツ...』


しばらくその場に立ち尽くすと、すぐに霊夢はあることに気づく。

あの妖怪はこの現象を異変と言っていたとこと。


『異変解決は私の仕事だけど、急に解決しろなんて...、それにまだ私が完全に異変だと信じてないし、本当だとしても何からすればいいんだろう...。』


そして霊夢は、とりあえず空を飛んで見回りに行くことにした。



【幼きデーモンロード】


霊夢が外を飛びながら地上を見渡していると何だか騒がしくなっているところを見つける。

そこは霧の湖と呼ばれている大きな湖だ、昼間は霧に包まれているためそう呼ばれている。

霊夢が霧の湖の近くに降りると、そこには沢山の(妖怪)があつまっていた。

するとそこには魔理沙とチルノとルーミアも居合わせていた。


『!、霊夢もきたのか!』


『おそかったな!れいむ!』


『霊夢も野次馬なのかー?』



『あんたたちこそ、どうしてこんなデカイ湖しかないところにあつまってるのよ』


『ほらあれだよ、霊夢も見てみろよ、霧が多くて見づらいけど』


霊夢は湖の向こうをジーーと見つめた。


『んー、なんか、紅い...家?』


本当にうっすらだか確かに見える、家というよりは館かなにかだ、かなりの大きさの真っ赤な館が見える。


『あんな目立つ建物、霧の湖の近くに建ってたかしら?』


『いや、なかったぜ、今日、突然現れただとよ』


『ふーん...』


霊夢はこの真っ赤な館が人間が外に出出られなく異変とは関係のないものとおもっていたが、謎の異変も紅い館もどちらとも今日起きた事件だ、異変と少しでも関係のありそうなものはこれしかないと思い、霊夢は館にむかうことにした。


『魔理沙、行くわよ』


『えっ、行くの!?』


『あったりまえでしょ!異変解決が私達の仕事なんだから!』


『私は異変解決が仕事だなんていってないぜ!あとあの館は異変なのか?』


『異変かどうか確かめるためにいくんでしょーが!』


そうして、霊夢は魔理沙を半強制的に連れて、館に向った。


『行っちゃったな...』


『どうするー?チルノー』


『れいむ達が帰ってくるのを待つ!』


『そーなのかー』



近くにいくと、一層不気味さが増した。とてつもなく大きく深紅色に染まった悪魔が住んでいそうなこんな館、霊夢も魔理沙も初めて目にした。


『で、どうやって入るんだ?』


『窓があるからそこから潜入するわよ』


『はいよ~』


少ないが窓は多少ついている。霊夢達はそこから潜入する事にした。

そして、窓をそっと開け、誰もいないことを確認すると中に入って行った。


『中も真っ赤だな...』



『とりあえず、その辺りを探索するわよ』



『okだぜ』


霊夢と魔理沙は警戒しながら先が見えない長い廊下を歩いて行く。後ろを振り向くも、先が見えない、どこに行けばいいか分からないのでとりあえず前を突き進む。



『お、おい霊夢!あれ!』



『扉...かしら?』


何か見えたかと思うと、そこには大きな扉がたたずんでいた。


『どうする?入るか?』



『それしかないわ』



霊夢と魔理沙は呼吸を整えたあと、せーのっ、と小さな声で言い、扉を開けた。そこは更に真っ暗な空間が広がっていた、本当になにも見えない。


『な、なんだここ...』



『お客様ですか?』



突然暗闇の中から声がきこえる。


『っ!誰!』


霊夢と魔理沙は臨時態勢に入る。


『そう身構えないでください、なにをしに来たんですか?』


足音と共にその声は近づいてくる。


『あ、貴方達がこの変な異変を起こしていたの?』


『異変?』


突然、前から聞こえてきていた声が後ろから聞こえてきた。

霊夢はすぐに後ろを向いたが、なにも無い事を確認するとまた前を向いた。


『人間が外に出られなくなってるっていうあれよ!!何か関係があるんでしょ!』


『あれはただの前兆にすぎません...』



『とにかく!貴方達が原因なんだったら、迷惑だから早く取り消しなさい!』


『それはできません、貴方達はあの異変を解決しようと此処え来たのですか?』


『ええそうよ』


『なら、お帰り願います』


突然入ってきた扉が勢いよく閉まった。霊夢と魔理沙はすぐに後ろを振り向く、


『な、なんだ!?』


次、前を振り向こうとした瞬間に目の前の真っ暗だった光景がガラリと変わった、目の前には空がみえた、しかしその空もいつもとは違った。その空はけして空と呼べるほど青くなかった。真紅色した霧が空全体を覆い隠し、太陽の光さえも防ぎ、昼とは思えないほどに薄暗かった。

そしてそのまま空を飛ぶことなく真下の霧の湖の中えと落ちていった。


後書き

次回作東方紅魔郷 〔紅霧〕も宜しくお願いします。


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