2017-01-16 00:51:51 更新

概要

【メタルギア×艦これ】のSSです。

【メタルギア×艦これ】ありえないかも知れない一つの物語

【メタルギア×艦これ】天国の外側

【メタルギア×艦これ】グラウンド・ゼロズ

【メタルギア×艦これ】Vが目覚める 復讐の為だけに

【メタルギア×艦これ】Vが目覚める 復讐の為だけに その2

の続きとなります。それらをお読み頂いてからこちらをお読み頂くと、よりこの作品を楽しめます。


前書き

艦隊これくしょん〜艦これ〜 と メタルギアソリッドのクロスオーバーです。
一応R-15(原作:PW基準)
PWからTPPをクロスオーバーでIFストーリー

地の文がふくまれる場合があります

キャラ崩壊があるかもしれません
ん。

オリジナル設定多々あり。

作者は携帯投稿が主流です。

文がおかしくなる事があります。

※重要 この作品は、『艦隊これくしょんー艦これー』と『メタルギアソリッドシリーズ』の二次創作です。実際の出来事、団体や組織、地名には一切関係ありません。


※最重要


このSSは、メタルギアサーガがら大きく外れたものになります。つまり、このSSからMG、もしくはMGS1に繋がることはありません。

以上が許せる方のみ、ビッグボスの新たなる伝説をお楽しみ下さい。







ダイヤモンド・ドッグズ所属艦娘




戦艦

長門、陸奥、金剛、比叡、榛名、霧島、ビスマルク

7隻


正規空母

翔鶴、瑞鶴、赤城

3隻


重巡洋艦

青葉、愛宕

2隻


軽巡洋艦

大井、夕張

2隻



駆逐艦


叢雲、吹雪、睦月、夕立、時雨、島風、不知火、雪風、暁、雷、電


11隻



工作艦


明石


1隻



給糧艦

間宮

1隻



練習巡洋艦


香取


1隻



以上28隻


第45話 Ⅴの終焉




ミラー「スネーク、良いんだな? 日本海軍に手を貸すような真似をして?」


スネーク「あぁ。どちらにせよ、連中とはやりあうことになる。それが早まっただけだ」


ミラー「そうか…………。あれからすぐ、日本海軍に協力要請を取り付けた。おそらくあと10日後。前後2日と違わない時期に連中は来るだろう」


スネーク「その時はどうする? はぐらかすのか?」


ミラー「俺たちの役割を全うできるならどちらでも構わないが………まあ、連中の返答次第だな」






・・・11日後・・・






ミラー「ようこそ。あんたが海軍の使者か?」


大将「日本海軍の大将を務めているものだ。本日は御目通り願い、感謝いたします」


スネーク「用件はなんだ?」


大将「………この度は我々日本海軍との協力を許諾していただき、海軍を代表して私から厚く御礼申し上げるために参上した次第でございます」


ミラー「世間話をしに来たわけではないだろう? なんの用だ?」


大将「………では、単刀直入に言う。貴殿らが所有している前線基地3つのうちの2つ『ブイン基地』と『ショートランド泊地』からの立ち退きを要求したい」


スネーク「なに? 」


大将「もちろんすぐにとは言いません。我々は深海棲艦との来るべき決戦の際に最精鋭の戦力と大掛かりな艦隊を投入し、決戦に挑む所存です。その際に艦隊を停泊させる基地が欲しいのです」


大将「そもそも、ここラバウルを含めた泊地や基地は日本海軍が本来所有していたものです。ラバウルは我々が貴殿らに譲渡しました。ですが、他2つはあなた方が不法に占拠しているに過ぎません」


スネーク「不法占拠? 馬鹿げた物言いはよせ。あれは深海棲艦に占拠されていたところを俺たちが人類側に取り戻した。本来ならば賞賛されてしかるべき行いではないのか?」


大将「御言い分はごもっとも。ですから、今すぐにとは言いません。海軍は近いうちに前線を押し上げ、アジア一帯の海域を取り戻します。最精鋭を差し向けると言っても、1日でカタがつくほど甘くはありませんので、若干の猶予はあります」


大将「さらに、我々の情報によれば深海棲艦は首魁が紅海にいるとの事です。そちら2つの基地を返還していただければ、我々も戦力を駐在できます。そして最後に首魁をあなた方と我々で撃破する」


ミラー「つまり、紅海にいる深海棲艦を潰すための戦力を置く場所が欲しいと。そしてそれがブイン、ショートランドという訳か?」


大将「正しくその通りです。本日伺ったのは説明をするという目的ですので、受諾頂けるかどうかはまた別の機会を設けさせていただきます。今一度熟考を」


スネーク「………わかった」


大将「それでは、これにて失礼いたします」





・・・・・・





ミラー「スネーク、奴らの要求を受け入れるのか?」


スネーク「いや、受け入れない。第一、連中は俺たちを下に見ている。上辺こそ媚び諂っているように見えるが、実質は俺たちを甘く見ている」


オセロット「話はだいたい聞かせてもらいました。ボス、これだけは受け入れてはなりません」


スネーク「オセロットか。もちろん分かっている」


オセロット「連中はこう言いました。『紅海の首魁を潰すための戦力の置き場が欲しい』と。これは裏を返せば、その首魁が居なくなれば引き渡す必要がないということです」


ミラー「海軍に先駆けて、紅海の敵首魁を叩き潰すつもりか!?」


スネーク「なるほど。問題は、今いる戦力で殲滅が可能かどうかだが……」


ミラー「一応、偵察部隊を出しておく。連中の話を聞いてからでも遅くはないだろう」


スネーク「わかった。指揮は任せたぞ」


ミラー「了解だ」



第45話 Vの終焉







第46話 惨劇の生存者 その4



ミラー「ボス、偵察部隊からの連絡だ。9年前の生き残りを見つけた!!」


スネーク「そうか! それで、何処にいる!?」


オセロット「ご安心を。既に長門や陸奥と、9年前にあなたの元にいた艦娘を派遣しておきました。じきに連れて来ることでしょう」


スネーク「誰かは分かっているのか?」


ミラー「あぁ。連中、はぐれ艦隊として世界中を彷徨い続けていたらしいが、今回の紅海への出撃に備えて出していた偵察部隊が見つけ出したそうだ」


ミラー「当時は主力として動いてくれたビスマルクと赤城を筆頭に、愛宕、夕張、時雨、不知火と、俺たちの下に来てくれるだけでもかなりの戦力向上につながる」


スネーク「そうだな。紅海付近を航行していたなら、海域の情報も詳しいだろう」


長門「ボス、いま帰った。お客は待合室にいる。みんな、会いたがっていたぞ?」


スネーク「わかった。カズ、お前も来い」


ミラー「了解」





・・・・・・





スネーク「 お前たち! 無事だったか!」


赤城「ボスの方も、ご無事で………」


スネーク「………お前たちも、変わりないようで何よりだ」


ビスマルク「実際は、そうでもないけれど………」


愛宕「かなり大変だったのよ〜。北はオホーツク海に、南はタスマン海まで、西はカリブ海に東はアラビア海。まさに世界中を縦横無尽に駆け巡ったわ」


夕張「おかげで少しは速力上がったかも?」


時雨「いや、それはないね」


夕張「ちょっとくらいおちゃらけてもいいと私は思うけどなー…………」


ミラー「………お前たちはどうやって今まで?」


時雨「それは僕と不知火から話させてくれないかい? あれから僕たちは、色々な鎮守府や泊地を転々として行ったんだ」


時雨「君たちから教わった術を用いて、まるで皆と居た時みたいに傭兵のような生き方をしていてね。手を貸す代わりに資源を要求して、自分たちが生き残るために、あらゆる戦闘の手伝いをしていたわけさ」


不知火「ですが、それでは埒があかないことに気がついた不知火たちは、敵から奪い取ることにしました」


スネーク「敵から奪い取る?」


不知火「深海棲艦の輸送船団や補給艦を狙って拿捕していき、資源を強奪していきました。そうして何とか生き延びてきたのです」


時雨「傭兵、海賊、何でも良いけど、そういったやり方で生きてきたんだ。おかげで人類からも狙われるようになってね。今じゃお尋ね者だよ」


スネーク「俺たちは海軍と協力体制にある。連中に身柄を差し出すような真似をするとは思わなかったのか?」


赤城「………はい。それくらいは私でも見抜けますから」


スネーク「お前たちの力を、もう一度だけ貸してもらえないか? 連中との戦いも、そろそろ終わらせる必要がある。そのために、お前たちの力が必要なんだ」


赤城「………それは愚問ですよ。私たちはまたあなたの元で戦いたいが為に生きてきたんですよ? 断る理由なんて一つもありません」


スネーク「………ありがとう。早速だが、お前たちに頼みがある」


ビスマルク「何かしら?」


スネーク「実は、紅海に深海棲艦の首魁がいるとの情報を手に入れた。俺たちは連中を消すために、少しでも有力な情報か欲しい」


ミラー「………9年前の仇討ちは済ませてある。サイファーという組織が主謀者だった。そいつは既に亡き者にしているが、連中と結託した深海棲艦はまだ残っている。連中を消さない限り、復讐を終えたとは言い切れない」


時雨「………なら、僕たちの力が必要だね」


不知火「人間相手には気が引けますが、深海棲艦ならば不知火たちの十八番です。お任せ下さい」


スネーク「頼りにさせてもらおう。それで、何か知っていることがあれば教えて欲しいんだが……」


愛宕「あらあら、それじゃあボスにプレゼントよぉ〜!」


ミラー「これは?」


愛宕「私たち、色々なところを彷徨ったって言ったでしょう? だから逐一海域の情報をまとめておいたのよ〜」


不知火「全員で確認して記してきたものなので、分からないことがあれば自由に聞いていただいて構いません」


スネーク「………どうだカズ?」


ミラー「………この情報はいつのものだ?」


時雨「つい最近だよ。紅海に入ったのは5日くらい前だから、一番新しい情報だよ」


ミラー「………これなら、俺たちの戦力でも問題ないはずだ」


赤城「………ボス、指示を」




スネーク「………カズ、皆を集めろ」


ミラー「ボス……」


スネーク「…………決戦だ!」






第46話 惨劇の生存者 その4 完




第47話 自らの在り方





ミラー「これより俺たちは、深海棲艦の首魁を叩き潰す。俺たちの仲間を殺し、沈めていった連中を俺たちは許しはしない」


ミラー「俺たちは連中に多くのものを奪われた。お前たちにも分かるはずだ!!」


ミラー「無くした身体の痛みも、仲間を亡くした痛みも。全て連中が根源だ!!!!!」


ミラー「俺たちは、無くしたものを取り返す。そのために鬼になった! 復讐の鬼に!! 」


ミラー「俺たちは、連中を根絶してこそ解放される。だから俺たちは、9年前の、あの横須賀での一時を模倣した組織を作り上げた!!!」


ミラー「これはリベンジだ。だが、俺たちにとっては俺たちの進退を決める戦いだ。連中を根絶する。連中を海から全て失くす!!!!」


ミラー「これが俺たちの最後の戦いになるかもしれん。いいか! 連中を沈める!! 何があってもあいつらだけはこの世界から滅亡させる!!!!」


一同「わかりました!!」


ミラー「来るべき戦いに備えて、お前達には演習を中心に活動してもらう。長門、演習に関してはお前に全てを託す」


長門「引き受けた。任せておけ」




・・・・・




長門「………というわけだ。あれからずっと演習を行っているわけだが、今回は連合艦隊を編成し、それでもって大演習を行う」


明石「え? あの……私もやるんですか!?」


長門「当たり前だろう。艦娘である以上、戦ってもらわねばな」


明石「ちょっと待って!! 私は工作艦ですよ!?」


長門「それがどうした。砲を積めるならば問題はない」


明石「いやいやいや!! 大アリですから!!! えっ? 冗談ですよね!?」


長門「安心しろ。既に機銃と副砲を換装済みだ。十二分に戦えるぞ」


明石「はぁ!!?!? 何で!? 何で修理施設が外されてるんですか!!?!??!」


長門「あの老人に頼んでおいた。一晩でやってくれたよ」


明石「や、やめましょう? ね? 馬鹿な真似は止しましょうよ? 話せば分かる、話せば分かりますから!!」


長門「いいから、始めるぞ。戦力はしっかりと考慮しているし、演習弾だ。当たっても沈むことはない」グイッ


明石「ちょっとおぉぉぉぉぉ!!!!!」ズルズル




・・・・・・




大井「こんな所で何してんのよ? 海なんていっつも見てるでしょう?」


叢雲「………別に。ちょっと考え事をしていただけよ」


大井「そう…………」


叢雲「…………ねえ、これがもし深海棲艦との最後の戦いになったとして、深海棲艦がいなくなった後の私たちってどうなると思う?」


大井「…………どうしたのよ? 感傷的になって。悪いものでも食べたんじゃないの?」


叢雲「………何でもないわ。ただ気になっただけ」


大井「……………私なら、その時になったら考える。先のことなんて誰にも分かりっこないんだから、今をどうするかだけを考えればいいんじゃない?」


大井「ま、私はそうするってだけで別に押し付けるつもりなんてないから。大体何でそんなことを…………?」


叢雲「………いつか、戦うことを奪われるんじゃないかって思うようになったのよ」


大井「戦うことを奪われる?」


叢雲「私たちは深海棲艦と戦うために造られたようなものじゃない? だから、深海棲艦が居なくなって、戦わなくなったら私たちはどうなるんだろうって思ったのよ。ただそれだけ」


大井「…………」


叢雲「ごめんなさい、変なこと聞いたわね。それじゃあ」スタスタ


大井「……………戦うことを奪われる、か。戦うこと以外に何かを見つけることができるのかしら?」


大井「平和を望んだ人類が、戦うことに手を出した。それが全ての過ちの始まり始まりか……………」


大井「戦いの向こうにあるのは平和なのか、それとも混沌とした時代なのか…………なんてね。私らしくもない」


大井「さてと、また駆逐艦連中に雷撃の何たるかを一から叩き込んでやらないと」




・・・・・・





スネーク「カズ、大きく出たな」


ミラー「何のことだ。あんたが決めたんだろう? 遅かれ早かれ連中とはやりあうことになると」


スネーク「そうだ。俺たち………まぁ、あいつらの事も考えてだがな」


ミラー「スネーク、エメリッヒが作ったあの兵器についてだが………」


スネーク「バトルギアのことか?」


ミラー「そうだ。あの兵器は今回の戦闘で是非とも実戦に投入したいと考えているんだが、あんたの意見を聞きたい」


スネーク「………確かにあいつも一度くらいは使ってやらなければな。あれに関しては俺が動かすつもりだ」


ミラー「なっ!? 正気か!? あんたが使っていたあの時に観させて貰ったが、あれを使って大井らと海に出るにはあいつらに引けを取らない動きを取らなきゃならない」


ミラー「どう考えても、あれは協働兵器とは言えない。あれは正しく凶器だ」


スネーク「なら、俺があれを扱えるようにすればいいだけの話だ」


ミラー「そんな簡単な話じゃない。済まないが、あんたがあれで出て行けば奴らに迷惑がかかる。戦術を一から組み直さなければ成らなくなる。やめてくれ」


オセロット「ボス、エメリッヒが作ったバトルギアについてですが………」


スネーク「どうかしたか?」


オセロット「まずは、あなたの依頼通りにバトルギアに搭載する酸素魚雷と砲台は完成しました。取り付け作業に入っているので、出撃には問題ないかと」


ミラー「いつの間に………」


オセロット「ですが、やはりあの兵器は無人で動かすべきかと…………」


スネーク「何故だ?」


オセロット「以前エメリッヒに聞きましたが、無人機にする際には、AIに艦娘の思考を組み込みます。砲撃に於いては長門を、雷撃に於いては大井を、航空機を飛ばすのであれば翔鶴にでも。兎に角、艦娘に行動パターンを監修してもらい、バトルギアの思考ルーチンを組む事になります」


スネーク「…………それで?」


オセロット「………無人機にすれば、思考は彼女らに近いものになりますので、自ずと彼女達に動きを合わせられようになるかと。ですが、万が一の出来事が起きた際には適切な対応が出来なくなる可能性があります」


オセロット「有人にするれば、彼女達があなたに合わせなくてはなりません。彼女たちの本来の能力を発揮することが難しくなりますが、緊急の際には柔軟な対応が可能となります」


スネーク「戦闘力を取るか、行動力を取るかということか?」


オセロット「えぇ、そうなります。それと、コードトーカーから興味深い話を聞きました。スカルフェイスが動かそうとしたメタルギアが突然動き出した理由についてですが、もうお聞きになられましたか?」


スネーク「いや、まだだ」


オセロット「そうでしたか。では私からーー」


コードトーカー「その必要はない。私から直接伝えさせてもらう」


ミラー「あの時、スカルフェイスが起動させたサラマンダーは見境なく攻撃を始めていた。その理由もわかったのか?」


コードトーカー「勿論だ。あの兵器を分解したその一部を観させて貰ったが、分かりやすく言えば突然変異だ」


スネーク「突然変異?」


コードトーカー「深海棲艦を生み出す負の感情。それがあの兵器に取り憑いたのだ。結果、艦娘が深海棲艦へと姿を変えるようにあの兵器も深海棲艦へと成りかけていた」


ミラー「そういえばあの時、翔鶴にも異常が見られた。まあ、自身の妹である瑞鶴があんな目に遭ってれば無理もないが、そのことにも関係が?」


コードトーカー「彼女に纏わろうとした負の感情が行き場を失い、あの兵器に流れ着いたのだと私は考える」


コードトーカー「あの場は負の感情が入り交じった空間だ。まるで瓶の中に詰め込めたように負の感情が濃縮された状態であり、少しの精神の変化でも取り憑かれやすい危険な場所であったのだ」


コードトーカー「私から言わせて貰えば、あの場で無事だったのは奇跡に近いだろうな。だが彼女は一度深海棲艦に成り掛けている。抗体が出来ていたのだろう」


ミラー「…………ともかく、海は連中に任せて置けばいいんだ。領分を超える訳にはいかないだろう?」


スネーク「…………カズ、今の話を聞いていたのか? 奴は無人機にした結果があのザマだ。今度は俺たちが被害を被ることになるぞ。それに万が一今日明日で深海棲艦の首魁を見つけられたとしよう。お前だったらいつ攻める?」


ミラー「今直ぐにでも」


スネーク「お前は?」


オセロット「同じく」


スネーク「だとしたら、今から無人機にするのには時間がかかりすぎるんじゃ無いか?」


ミラー「っ…………」


スネーク「それに、無人機にしたならそれなりのテストが必要だ。それにも時間がかかる。俺が事前に試乗は済ませてある。そう考えれば、このままであるのが一番じゃ無いのか?」


オセロット「…………確かにそうですがーー」



DD兵「ボス! 偵察部隊が帰投しました!」


ミラー「ご苦労。それで?」


DD兵「事前の情報より大差ありません」


スネーク「さて、諜報班の連中も戻ってきた。お前は言ったな「見つけ次第すぐにでも攻める」と。文句はないな?」


ミラー「…………わかった。あんたに従う。これより紅海に侵攻、あんたはあのバトルギアに乗って奴らと一戦交える。それが俺たちと奴らの最後の戦いだ!」




第47話 自らの在り方 完







第48話 発動! 第一次西方海域掃討作戦






・・・バトルギア格納庫・・・





ミラー《ボス、深海棲艦は紅海に集結している。さらに首魁の姿も確認されており、これを殲滅すれば俺たちの勝ちだ》


オセロット《私はこのままラバウルにて後方のバックアップを。彼女たちは第一から第三まで艦隊を編成。残りの第四艦隊はラバウルで防衛用として使わせていただきました》


ミラー《あんたはバトルギアに乗って、長門らが率いる第一艦隊と共に出撃してもらう。既に先遣隊は紅海に到着して奴らとやり合っている》


スネーク「わかった」


システム《Main system, normal mode actived.》


オセロット《既に第一艦隊の出撃準備はできています。あなたの指示があれば、いつでも出撃可能です》


スネーク「わかった」


システム《New weapon acquired abilities.》


オセロット《ボス、機体に不備はございませんか?》


スネーク「良好だ」


オセロット《少し調整を加えましたので軽くテストをお願いします》


スネーク「いや時間がない。省くぞ」


オセロット《………分かりました。これよりあなたには長門率いる第一艦隊と共に紅海へと向かって頂きます。よろしいですか?》


スネーク「わかってる。いくぞ!」


DD兵《ゲート解放します。格納庫内部に注水開始します》



システム《Main system activated Combat mode.》


スネーク「カズ! 奴らを出せ!!」


ミラー《第一艦隊! 出撃だ!!》


長門《了解! 行くぞ!!!》




・・・・・・




ミラー《第二艦隊、いまどこに居る?》


金剛「もうアラビア海デース!」


比叡「何度か戦闘はありましたが、全員損傷はありません」


ミラー《たった今、第一艦隊が出撃したところだ。ボスもあの兵器に乗って同行している》


榛名「聞いた話では、危険な兵器だと伺ってますけど……」


ミラー《それは本人にも伝えた。だがボスが直々に願い出たんだ。あれだけ押し切られては断るわけにもいかないだろう?》


ビスマルク「だったら、私たちだけで潰しちゃいましょう。別に自惚れているわけじゃないけど、それくらいは出来るわ」


ミラー《その意気込みは認めるが、お前たちだけでは無理だ。第一、第三艦隊の到着を待て。お前たちにはデカイ仕事がまだ残っているからな》


霧島「お任せください。金剛お姉様の為とはいえ、ボスには反旗を翻しました。その汚名を返上するつもりで此処に来ていますから!」


赤城「私もです。今まで遅れていた分、きっちり取り返さないと!」


榛名「水上電探が敵艦隊を感知! 前方、距離30程に敵艦あり!! ご注意下さい!!」


赤城「偵察機からの報告です。敵艦隊は戦艦を旗艦に、軽空母と重巡で編成された艦隊とのこと。まずは私が爆撃を仕掛けます。皆さんは対空警戒を!!」


霧島「現在の武装では対空攻撃も皆無です。このまま輪形陣に変更して、防御を固めましょう!!」


金剛「No! このまま複縦陣で突撃デース!! 比叡、霧島は赤城をカバー! 榛名とビスマルクは私と突撃ネ!!」


全員「「了解!!」」



赤城「航空隊、発艦準備完了しました!! いつでも行けます!!!」


金剛「タイミングは任せマース! 比叡、霧島ー!!」


霧島「はい! お任せ下さい!」


比叡「お姉様もお気をつけて!!」


赤城「各機、発艦始め!! 」


比叡「対空電探に敵艦載機を検知しました!! 衝突まであと40秒です! 榛名! お姉様に怪我させたら許さないからねー!!」


榛名「もちろん、精一杯頑張ります! お姉様、行きましょう!!」


ビスマルク「私の名前がなかなか上がらないけど、忘れて貰ったら困るわ!!!」


比叡「敵航空隊と衝突まであと20秒です!! 警戒を!!!!」


金剛「Look!! 艦載機ネ!! 」


ビスマルク「赤城、あなたあれだけの数を落とせると思う?」


赤城「やれるだけのことはやります!! 第二次航空隊発艦! 第三部隊も発艦準備を!!」


霧島「敵艦隊が迫っています。航空戦を制した後は、敵艦隊への防備を! じきに邂逅します!!!」


赤城「第三次航空隊発艦!! 第一次攻撃隊、戦闘態勢に移行! 二次隊と共に制空権を確保して下さい!!!」


榛名「敵の艦載機がどんどん墜ちていってます!!」


金剛「That's great! さすが赤城デース!!」


比叡「墜落機がこっちに向かってきます!! 避けて!!!」


榛名「霧島!! 前!!!!」


霧島「えっ!? 」


ビスマルク「よそ見してんじゃないわよ!!!!」ガン!!


比叡「ちょっ! 手の甲で受け止めて大丈夫なの!?」


ビスマルク「Hurraaaa!!!!」 ヒュン


霧島「大丈夫ですか!? ごめんなさい、よそ見をしていたばかりに………」


ビスマルク「このビスマルク、ボスの下から9年ぐらい離れていたけど衰えたわけじゃないわ。これくらい大丈夫よ。ふぅ〜痛かった………」ブンブン


金剛「長門がやりそうなことデース…………」


赤城「航空隊から入電、制空権を確保しました!このまま敵艦隊に攻撃を仕掛けます!! 第三次攻撃隊、敵艦隊に接近したら爆雷を投下して下さい!!」


比叡「凄い爆発じゃない!? 大丈夫なのあれ!?」


榛名「かなり爆撃隊を投入しましたね……。大丈夫ですか?」


赤城「制空権はこちらにあるので、多少は問題ないと思われます。偵察機からの報告! 敵艦隊の軽空母、重巡各一隻が轟沈! 戦艦を小破、残りを中破まで追い込みました!!」


金剛「Nice!!! 一気に攻め込みマース!!!」


ビスマルク「やってやろうじゃないの!!」


榛名「全力で参ります!!!!」


比叡「霧島、先に行ってお姉様達を手伝って! 赤城さんが艦載機を格納するまで私が見てるから!!」


霧島「わかりました! ご武運を!!!」


赤城「私は大丈夫ですから、比叡さんも先に」


比叡「いいのいいの。対空装備は私だけが持っているから、多少は一緒にいたほうが安全でしょ?」


赤城「………ありがとうございます」





・・・・・・




霧島「金剛お姉様! 」


金剛「霧島!? Why?」


霧島「比叡お姉様が、先に行って姉様達を手伝えと。これより、私もお供いたします!!」


榛名「比叡お姉様お一人で大丈夫なのかしら………?」


金剛「Don't worry! 比叡ならちゃんとやってくれマース!!」


ビスマルク「敵との距離はあとどれ位かしら?」


霧島「間も無く、目視可能な距離になると思われます!」


金剛「Is in sight!! 皆さん、ついて来てくださいネー!!」


ビスマルク「見えた! やってやろうじゃないの!!」


榛名「砲撃準備は万全です!!」


金剛「ドンドン撃っちゃってクダサーイ!!」


ビスマルク「分かりやすい指示で助かるわ! Feuer!!!!!」ダァン!!!


金剛「Fire!!!!」ダァン!!!


霧島「距離、速度、共に問題ありません! 全門斉射!!!!」ダァン!!!


榛名「全砲門解放済みです! 砲撃開始!!!!」ダァン!!!




バシャーン!! ドーン!!




金剛「Shit! 外しマシタ!! 」


霧島「お姉様、全員でタイミングを合わせて一斉砲火で仕留めましょう! 」


金剛「That sounds good!! その作戦で行きマショー!!」


ビスマルク「わかったわ。装填準備!!」


霧島「敵艦隊からの砲撃を確認しました! 着弾地点は前方5メートル、回避を!!」


金剛「Oh my god! 間に合いマセーン!!」


榛名「姉様、こちらです!!」グイッ


ビスマルク「ちょっと! 私だけ残して行かないでよ!! 」


霧島「掴まって!!」グイッ



ド-ン ドポ-ン ドカン!



金剛「Phew, that was close! 危なかったネー。thanks 榛名!」ヒュン  ドポン


榛名「ご無事で何よりですお姉様!」


ビスマルク「ありがと、助かったわ」ヒュン  ドカン


霧島「これで先ほどの借りは返しましたからね?」


ビスマルク「言ってくれるじゃない。じゃあ次はその倍くらいの貸しを作ろうかしら?」


金剛「霧島ー! ビスマルクー! 」


榛名「敵艦の数が減ってます。榛名の砲撃は外れましたが、先ほどの誰かの砲撃が当たったみたいです!」


ビスマルク「準備は出来てるわ。指示を頂戴!」


霧島「私も準備できています!」


榛名「榛名も大丈夫です! お姉様に合わせます!!」


金剛「OK! 私の合図に合わせてサーイ!!」


全員「了解!!」


霧島「距離、速度、良し!」


榛名「全砲門開門!!」


ビスマルク「敵艦隊、捉えたわ!!」


金剛「撃ちます! Fire〜!!!」ダァン ダン ダァン


榛名「て……敵艦隊の轟沈を確認しました!!」


金剛「Congratulations!! 流石デース! 皆さん、怪我はありまセンカー?」


ビスマルク「ちょっと掠ったくらいよ。問題ないわ」


霧島「私も、問題ありません」


榛名「榛名も同じくです」


霧島「ところで、比叡お姉様はご無事でしょうか……?」


ビスマルク「そういえば、あれから一度も連絡が来てないわね……」


榛名「まさか………」


比叡《金剛お姉様ー!!》


金剛「比叡!! Are you OK?」


比叡《ひえぇぇぇ!!!! 助けてくださーい!!!!》ドカン ド-ン ヒュウゥゥ


ビスマルク「何があったの!?」


比叡《航空隊が敵に見つかって、いま20隻くらいに追われてるんです!! 危ない!!》ド-ン


赤城《そして、追って来た敵に砲撃を加えたら爆音で更に寄って来て30くらいまで増えてしまいましたー!》ドカン! ドンドンドン!!!


霧島「こちらまで来られそうですか?」


比叡《五分五分ってところかっ……危なっ!!》ド-ン!!!!


榛名「榛名が向かいます!!」


金剛「ワカリマシター! 比叡達を連れて来てくだサーイ!」


霧島「気をつけて!」


榛名「では、行ってきます!!」


ミラー《おい、大丈夫か!?》


ビスマルク「いまひと段落ついたところだけど、また新しい問題が降りかかって来たところよ」


ミラー《どんな状況だ?》


霧島「赤城さんの艦載機が敵に見つかって追いかけられていたところを、護衛していた比叡お姉様が追撃した結果、更に敵を引き寄せてしまったところです」


ミラー《そうか。いまお前達の近くに第三艦隊が近づいている。報告によるとそいつらも追われているらしい。合流して始末できるか?》


金剛「任せてくだサーイ!」


ミラー《なら任せた。第三艦隊に指示を送る。お前達はそのまま比叡たちと応戦しろ!》


ビスマルク「わかったわ」


霧島「お姉様………」


金剛「霧島、言いたいことくらい分かりマース。そして、私の言いたいことも分かるはずデース」


霧島「………私も、覚悟はできています」


ビスマルク「あら、お生憎様。私もちょうど同じことを考えていたわ」


金剛「………まずは比叡たちと合流しまショウ」




・・・・・・




比叡「こんなに居るなんて聞いてないよー!!」


赤城「砲撃が来ます!!」


比叡「ひえぇぇぇ!!!! 今までの攻撃で一番やばいかもー!!!」


赤城「くっ………比叡さん! 二手に別れましょう! そうすれば少しはマシになります!」


比叡「冗談じゃない! 囮なんて絶対にやらせないからね!!」


赤城「でも、私のせいでこんな目に……」


比叡「悔やむ暇があったら生き延びることに専念して! 何が何でも生きてあそこに戻るって、全員で決めたでしょ!?」


赤城「比叡さん………」


比叡「それに、ソロモン海に比べたらこんなのまだマシな方! 今はお姉様もいるし、榛名や霧島もいる! ミッドウェーと比べても、まだ易しい方でしょ!?」


赤城「……はい! 戻りましょう! 必ず!!」


榛名「比叡お姉様! 榛名が参りました!!」


比叡「遅いってばー! 早く手伝ってー!!」


榛名「お任せ下さい! こちらは全て終わりましたので、後々にお姉様方も来られると思います!」


比叡「よし! そろそろ反撃開始って所かな!」


赤城「艦載機も全機帰投しました。発艦可能です!」


榛名「あそこに見えるのは何でしょうか?」


比叡「ん? あれは第三艦隊かなぁ?」


金剛「比叡! 榛名!!」


比叡「金剛お姉様! ご無事でなによりです!」


霧島「第三艦隊がこちらに近づいていますが、敵に追われているそうです。第三艦隊では対処できないので………」


金剛「私が決めたことデス! ケド、このままよりかはこっちのが良いと思いマース!」


比叡「金剛お姉様が決めたことなら、異論はありません!」


榛名「皆さんが宜しいなら、榛名も同じくです!」


赤城「…………わかりました。私も異論はありません」




・・・・・・




愛宕「もう、何でよりによって追ってくるのよー!」


青葉「いやー、本当に申し訳ないです。ちょっと気になったことがあったので近づいてみたらこんな事になってしまいました。あはは………」


不知火「笑い事ではありませんが……まあ、笑うしかありませんね」


時雨「とにかく、第二艦隊がこの先にいるみたいだ。まずはそっちと合流しよう」


雪風「でも、このままだと危ないです!」


愛宕「確かに埒があかないのも困りものよねぇ………。誰か先に行って先導してくれないかしら?」


島風「だったら、島風に任せて!!」


時雨「それじゃあ、任せたよ」


不知火「では、私たちは敵の隙を作りましょう」


青葉「待って下さい! あれは………」


雪風「前にも深海棲艦がいます!」


島風「前にも後ろにも深海棲艦か………」


比叡「おぉーい!! こっちこっち!!」


青葉「あれは……比叡さんですね!!」


不知火「先行していた第二艦隊ですね。どうやら敵に囲まれているようですが……」


比叡「このまま私たちの前を通って!!!」


金剛「私たちがそっちの敵を引きつけマース! 皆さんはそのまま進んでくだサーイ!!」


愛宕「こんな数が相手じゃ無理よ!!」


榛名「私たち、覚悟はできています!」


青葉「だったら、青葉だけでも残ってーー」


ビスマルク「ダメよ! そのまま全員で進みなさい。何も私たちは死ぬつもりじゃないのよ?」


赤城「私たちで殿を務めます。早く行って下さい!!」


時雨「………どうする?」


不知火「行きましょう。皆さん、ご武運を!」


青葉「お願いします!!」


ビスマルク「頑張りなさいよ!」


愛宕「大丈夫よ。時雨ちゃんと雪風ちゃんが居れば不幸な目には遭わないでしょうから」


雪風「勿論です! 皆さんをお守りします!!」


島風「何かあったら、私が一目散に駆けつけるから!」


金剛「Thank you! さあ皆さん! Go ahead!! 早く行ってくだサーイ!!」




ビスマルク「…………さて、1人でどれくらいの数を沈められるかしら?」パシッ パシッ


霧島「それじゃあ、少しくらい張り合ってみましょうか?」クイッ


榛名「数が増えましたね。気を抜いたらダメですよ?」キリッ


赤城「もちろん。慢心は致しません」グッ


比叡「お姉様、指示を!」


金剛「Follow me! 皆さん、始めまショー!!!」





第48話 発動! 第一次西方海域掃討作戦 完




第49話 突入! 第二次西方海域掃討作戦




・・・アラビア海・・・




青葉「いやー何とかここまで来れましたねー」


ミラー《おい、お前たち今どこにいるんだ?》


雪風「第二艦隊が私たちを追っていた深海棲艦を食い止めてくれました」


ミラー《おい、勝手に何をやってるんだ!》


不知火「あの状況ではこれが最善の選択だと判断したので、そのようにしただけの話です」


ミラー《………まあいい。そのまま進むと敵艦隊とぶつかる。連中、過敏になっているからな。むやみな戦闘は避けるんだ。いいな?》


時雨「勿論わかってるよ。すでにあんな数に追われていたわけだし……」


ミラー《だったら構わないが…………なん…………むせ………つなが………》ザザッ


愛宕「電波が悪い見たいだけどどうしたのかしら?」


ミラー《まず………ジャミ………うけ……》ビ-


青葉「ちょっと! どうしたんですか!?」


島風「ねえ! 何あれ!?」


愛宕「あれは………」


青葉「…………なるほど、間違いなく深海棲艦ですねぇー。恐らく通信不良の原因かも?」


雪風「見つからないように進みましょー!」


時雨「速度を落としてひとまず迂回しよう。僕たちが視認できるんだから、それは向こうも同じだよ?」


不知火「そうですね。なるべく大回りで行きましょう」





・・・・・・




愛宕「…………ふぅ、何とかやり過ごせたわねぇ」


時雨「そうだね。でも、このままだときりがない。なるべく進んで第一艦隊の航路を確保しておきたいところだけど………」


雪風「あまりにも敵が多すぎます!」


不知火「確かにこの近海は警備が厳重というか、先程から敵の往来が激しいように見受けられます」


青葉「ふむふむ………どうやらこのあたりは第二艦隊が戦ったところみたいですねぇ」


時雨「…………どうかな? 少しこの近海を索敵してみたらどうだい? 艦隊を3つに分けて調べるんだ。そうすれば、何か分かることがあるかもしれない」


不知火「確かに、多勢に無勢過ぎます。それに、何もしないで手をこまねいているよりかは何かをして居た方が良いかと」


愛宕「そうねぇ…………」


島風「なになに? 索敵?」


時雨「うん、艦隊を分けてそれぞれでやってみようかって話」


島風「だったら、私は1人で遠くの方まで見てくるよ?」


雪風「1人では危険です! 雪風も行きましょう!」


島風「ダメだよ! 私だったら何かあってもすぐ戻って来れるけど、一緒に来たら置いていっちゃうことになるもん!」


愛宕「だったら、お願いしようかしら?」


島風「わかった! それじゃあ! いって来まーす!!」


青葉「じゃあ、時雨さんは青葉と一緒に来てください!」


時雨「了解。行こう」


愛宕「よし、私たちも行きましょう」


不知火「わかりました」


雪風「りょーかいしましたー!!」





・・・・・・




青葉「うーん…………」


時雨「どうかしたのかい?」


青葉「何の前触れもなくあんなに集まるのは不自然だなぁって思ったもので………」


時雨「第二艦隊、金剛さんたちが戦ったからって言っていたじゃないか?」


青葉「それにしても集まり過ぎっていうか………現に通信妨害も受けているわけだし…………」


愛宕《もしもーし、聞こえているかしら?》


青葉「えっ!? 繋がってるんですか!? 」


愛宕《どうやら復旧したみたいなんだけど………何か見つかった?》


青葉「青葉たちは特には何にも。皆さんはどうでしたか?」


愛宕《凄いのよ敵さんたち。ここ一体全部囲っているみたいなの》


時雨「えっ!? 」


愛宕《一体何十の数がいるのか。数えるのも億劫よ》


雪風《かごめかごめみたいです!》


不知火《それだったら何億………いえ、何兆倍良かったことか。それくらい居ます》


島風《ちょっとみんなー!! さっきのところに一旦集まってー!!》


青葉「どうかしましたか?」


島風《深海棲艦の大群がこっちに向かって来てるよー!! しかも鬼とか姫がいっぱい!!》


青葉《本当に!? 嘘じゃないですよね!?》


島風《本当の本当に本当だって!! この後に及んで嘘つくほど私は性格悪くないよー!!》


雪風《ひとまず戻りましょう!》


青葉「まずい! まずい!! まずいですよ!!! このままだと航路の確保なんか二の次三の次の話ですよ!!」


時雨「ひとまず戻ってから、全員で作戦を立てよう。通信が繋がれば、何か指示を仰げるかもしれない」


青葉「通信…………繋がった!! もしもし!!」


ミラー《おい、お前たち何をしでかした? 妨害電波を送り込むなんて奴らでもやらないと聞いているぞ!?》


青葉「それは後で、いま私たち絶体絶命のピンチです!!」


ミラー《何!?》


時雨「隊を3つに分けて偵察をしたんだけど、僕たちはどうやら知らないうちに大量の深海棲艦に囲まれているみたいなんだ。しかも後詰に鬼や姫が大量に流れ込んでいるって」


ミラー《何だと? 冗談のつもりか!?》


時雨「ここまで来ておちゃらけるほどの余裕はないかな。ともかく、今は全員ど合流するところだけど、これからどうしたらいいかな?」


ミラー《お前たちだけでは無理だ!! やはり、失敗か………。早急過ぎたかもしれんな………》


時雨「第一艦隊だけでも敵の中枢に送れればいいんだ! 僕たちの事は後で!」


ミラー《………そうだ! ちょっと待ってろ!!》




・・・・・・




ミラー《ボス! 聞こえるか?》


スネーク「何だ? トラブルか?」


ミラー《第三艦隊が、敵の包囲を受けて動けない状態だ。しかも、最深部の方から鬼や姫といった上位個体が押し寄せている!!》


スネーク「本当か!?」


長門「不味いぞ。第三艦隊は愛宕と青葉を中心に、駆逐艦で構成された艦隊だ。鬼や姫との対決は想定して居ない」


ミラー《金剛たちが殿を踏んで後方を守っている。それがここに来て響いたな………。あんたは今どこにいる?》


スネーク「第二艦隊とすれ違ったところだ。あのまま敵を堰き止めておくと言っていた」


ミラー《すぐ近くだ………ボス! 第三艦隊に手を貸してやってくれないか!?》


陸奥「あらあら、それじゃあ殴り込みは中止?」


スネーク「いや。カズ、第三艦隊に伝えてやってくれ。緯度45° からなるべく離れろとな!!」


大井「何をする気よ!!」


スネーク「直線上にこいつのレールガンを撃つ。どうだ?」


叢雲「随分と思い切ったことするじゃない。私は好きよ? そういうの」


ミラー《よし! ぶっ放してやれ!!》


システム《Charging.》


翔鶴「前方に多数の敵艦隊を確認しました!」


瑞鶴「ありゃ? あれが第三艦隊だ。ここから40くらいだね」


スネーク《カズ!!!》


ミラー《わかった! 第三艦隊! 緯度45°から全速力で退避だ!!!》


長門「退避だ!! こっちも巻き込まれるぞ!!」


叢雲「本当に面倒な兵器ね。作ったやつの性根が知れてるわ」


大井「別に彼は悪いことしたわけじゃないでしょう? これに関していえば」


叢雲「私からすれば、ここから降りるって事が信じられないのよ。中途半端は嫌いなの!」


システム《Full charge.》


ミラー《よし! スネーク! ぶちかませ!!!!》


スネーク「行けぇ!!!!」




・・・・・・




青葉「一体、ボスは何をする気なんでしょうか?」


愛宕「………危ない!!!」


島風「ひゃっ!?」


雪風「何なんですか今の! すごいです!!」


時雨「凄い稲妻だったね……」アブナカッタ


不知火「電?」ナノデス!


時雨「いやそっちじゃなくて。遠くからボスが何かしてくれたのかな」アマリニテナイヨ?


不知火「ですが、おかげで直線上の深海棲艦は轟沈しました。恐らく後から来ていた鬼や姫もただでは済まないでしょう」 ナニカオチドデモ?


長門「第一艦隊の長門だ。大丈夫か!?」


青葉「はい! 助かりました!!」


叢雲《このまま援護するわ。さっさと倒して進みましょ?》


愛宕「大丈夫よぉ、私たちなら。さっきの攻撃で姫級も殆ど深手を負ってるみたいだし、連中がいなければどうにでもなるわ!」


青葉「今から私たちで航路を開きます! 皆さんはそのまま直進してください!!」


島風「敵艦隊ね、どうやら紅海に回している守備艦隊も回してここで抑えようとしているみたい」


雪風「つまり、最深部はガラ空きって事です!!」


時雨「だったら、ここで主力を疲弊させるくらいだったら」


不知火「不知火たちが敵を引きつけましょう。その間に最深部へ」


陸奥「あなたたち、沈むつもりなの?」


青葉「まさか、そんなつもりは毛頭ありませんよぉー」


不知火「ここには幸運の女神が2人もいますから、沈むなんて事はあり得ません。それに、戦の神もついているでしょうから」


翔鶴「戦の神に守り神ですか。誰も手を出せそうにありませんね」


瑞鶴「………しっかりやんなさいよ!!」


スネーク《よし、俺たちはこのまま突き進むぞ!》


第一艦隊「「了解!!!!!!」」


愛宕「それじゃあ、私たちは第一艦隊の海域離脱の援護を始めるわ!!」


青葉「探照灯照射しまーす!! ほらほら!こっちこっち!! 」パチ パチパチ


時雨「そんな………危ないよ!!」


青葉「こっちで引きつけた敵は愛宕さんと青葉で手懐けておくので、そっちはお願いしまーす!!」


島風「それじゃあ私も少し遠くまで引きつけておくねー!!」


不知火「さて、不知火も少し本気を出しましょうか。全員沈めてしまっても良いのですね?」


時雨「構わないよ。でも、指をくわえてむざむざ手柄を受け渡すのは僕は嫌だけどね」


雪風「雪風、いきます!!」


ミラー《ボス! 今の内だ!!》


スネーク《わかってる!! 》


大井《ったく! しつこい連中ねぇ、本当に!!!!》


ル級《!!?!??!!》


雪風「雪風が相手です!!」


ル級「ーーー!!!!!」



不知火「時雨! 雪風が!!」


時雨「任せて。けど、少し手を貸してくれるかい?」ガシッ


イ級「!!?!???!!」ジタバタ


不知火「ええ、わかりました。このまま空中に放り投げるので後はご自由に!!!」ブンッ


時雨「ありがとう! さて、僕からのプレゼントだ。受け取ってくれるかな?」ガンッ!! グリグリ


イ級「〜〜〜〜!!!」




スネーク《あいつは何をやってるんだ?》


大井《イ級の口内にある砲塔をへし折って、魚雷を押し込んでるみたいね》


叢雲《普通にグロくないあれ? 黒い液体が漏れてるし………》




時雨「さて、プレゼントをあげたんだからお礼を貰わないとね。そのまま飛んで行ってもらうよ!!」ブンッ!!


イ級「〜〜〜!!!」


不知火「雪風! 避けなさい!!!」


雪風「 (あれは………時雨さんの魚雷! 雪風、わかりました!!) 」ダァン!!


ル級「っ!!!!!」ドカン


雪風「あっ! 艦載機!!」


ル級「!?」クルッ



ドカーン!!!!



ル級「〜〜〜!!!」轟沈


イ級「〜〜〜〜!?!!?」轟沈



不知火「お見事です」


時雨「まあね。これくらい面白みがあったほうがいいかなって」


雪風「チームプレーの勝利です!!」



翔鶴《幼いゆえのこと恐ろしさってあるわよねぇ………》


瑞鶴《あれは幼さとか関係なく怖いと思うけど………》


大井《どう見ても、回天とかあれの類よね………》


叢雲《 (トラウマ抉られたんだ………。別に本人が積んだわけじゃないけど、まあどっちにしてもいい思い出じゃないわよね) 》


時雨「って、実況はいいから早く行きなって」


長門《わかってるんだが………前方で敵が待ち構えているな………》



重巡棲姫《「ドイツモ……コイツモ……ヤクタタズ………ニガサナイ………ニガサナイ!!!!」》



瑞鶴《厄介な………》





ドーン!!!




重巡棲姫《「クッ………ドコカラ……ドコカラウッテキタァァァ!!!」》



不知火「申し訳ありませんが、あなたの相手はこの不知火です」


重巡棲姫《「ウゥ………ウァァァァァァァァァァアッッッ!!!! ジャマヲスルナァァァ!! 」》


不知火「それはこちらの台詞です。流石の不知火も、怒りを抑えられそうにないので覚悟して下さい!!」ダァン!!!


重巡棲姫《「ウヴァァァァァァ!!! イマイマシイ!! ウラメシイ!! ニクラシヤァァァァァ!!!!!!」》ドカン!!!!!



不知火「 (目に当たったようですね。このまま接近してトドメを加えましょう) 」



ミラー《》



重巡棲姫《「ダレデモイイ! ヤツラヲニガスナ!! ダレカ! アイツラヲシズメーー」》


不知火「生憎ですが、沈むのはあなたの方です」ガシッ パシャ-ン


重巡棲姫《「イツノマニ………ハナセ!!!!」》ゴボボポ


不知火「沈め!!」ガコン


重巡棲姫《「ウヴァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」》




ドーン!!!




愛宕「ちょっ! 何なのよあの爆発!!」


青葉「確か、あっちでは駆逐艦の子たちが!!」



ミラー《第一艦隊が海域を突破した。よくやった》



愛宕「大変よ!! 不知火ちゃんが!!」


ミラー《どうした!?》


青葉「不知火さんの近くで大爆発が!!」


不知火「………お呼びですか?」ゴホゴホ


青葉「何があったんですか!?」


不知火「近距離で砲撃を加えただけです。砲塔を敵の体にねじ込んでから撃ったので、危うく不知火も大怪我を負うところでしたが、ひとまずは大丈夫です」


愛宕「全く………何でいつもいつも無茶ばかりするのよ!」


青葉「何でこの艦隊って駆逐艦がやけに惨たらし攻撃をするんでしょうか…………?」


不知火「それより、そちらは?」


愛宕「ひとまずは落ち着いたわ。第一艦隊も無事に突破したみたいよ」


金剛《Look!! 第三艦隊デース!! 愛宕ー、青葉ー、ぬいぬーい!》


不知火「ぬいぬいは止めて頂きたいのですが?」


金剛《細かいことは気にしたらダメデース! いまそっちに行きマース!》


愛宕「大丈夫なの!?」


ビスマルク《見くびられたものね。あれくらいで沈むほど柔じゃ無いわよ》


霧島《こちらに残った敵も協同で静めましょう。その後に第一艦隊に合流ということで》


愛宕「わかったわ」


青葉「りょーかいです!!」





第49話 突入! 第二次西方海域掃討作戦 完





第50話 決戦! 第三次西方海域掃討作戦




・・・紅海・・・




ミラー《紅海で主力の防備に当たっていた敵艦隊も、第二、第三艦隊の尽力で数が減っている。防備に当たるものも、随伴するものもいない。ここを突破できれば、俺たちの勝ちだ》


ミラー《この戦い、俺たちダイヤモンド・ドッグズの総力を挙げてボス、それにお前たちに全面的にバックアップする。既に戦闘ヘリや、対深海棲艦に作られた武装を持たせた兵士を派遣している》


ミラー《時にボス、俺もそっちに向かう手筈を整えてある。待っていてくれ》


スネーク「それは構わんが、指揮の方は大丈夫なのか?」


ミラー《大丈夫だ。ヘリに一通りの機器も詰めてあるし、指揮ならどこでも出来るしな。それに………ーー》





大井「どうしたの? さっきから心ここに在らずみたいた感じだけど?」


叢雲「……………」


大井「………まだ気にしてるの? 」


叢雲「…………まだ終わったわけじゃないけど、近づいてきてるから余計にね」


大井「………悪いけど、私にはどうしようも出来ないわ。前に言ったことが私の考えだから」


スネーク「何だ? どうした?」


叢雲「…………私たち、深海棲艦と戦うために造られたような存在だから、もし深海棲艦が居なくなったらどうなるんだろうって思っただけよ」


スネーク「………それで?」


大井「まずその話を聞いたのが私。先のことなんかわからないんだから、その時になったら考えればいいって答えただけよ」


スネーク「…………」


叢雲「私たちは深海棲艦と戦うために造られた。戦うことしかできないから、それが奪われたらどうなるんだろうって」


スネーク「………なるほどな。俺から言わせて貰えばだ、俺たち傭兵は政府や誰かの道具じゃない。確かに俺たちには戦うことしか出来ない。それでしか自分を表せることができないからな」


スネーク「だが周りが何と言おうと、俺たちは何時も自分の為に、自分の意思で戦ってきた。誰のためでもなく、俺たちの為に」


叢雲「誰の為でもなく、自分の為に…………?」


長門「ボス、前方に見えるあの建物のようなものは何だろうか?」


陸奥「何かの施設みたいだけれど………」


ミラー《そんなものが有るとは聞いていないが………》


翔鶴「な………何ですかあれ………」


瑞鶴「海底から何かが出てくるわ!!!!」


叢雲「海が…………!?」


大井「大波が来る!! 注意して!!」


長門「くっ…………あれは…………」


陸奥「飛行場姫ね。なんて大きさ………あいつが親玉なのかしら?」


スネーク「あの建物を取り込んでいるのか? いや、あの建物自体が奴なのか?」


翔鶴「ひとまず、航空隊を発艦させます! 行くわよ、瑞鶴!!」


瑞鶴「9年ぶりにひと暴れしようか! 全機発艦!! やっちゃって!!」


長門「私と陸奥は奴に砲撃を加える! 叢雲と大井はひとまず翔鶴の護衛に!!」


大井・叢雲「了解!!」


スネーク「こっちでも砲撃はできることはできる。同行するぞ」


長門「……了解!!」


陸奥「あらあら張り切っちゃって………」ボソッ


翔鶴《艦載機が接敵しました。これより爆撃に移行します》


長門「こちらも敵に近づいた。砲撃準備!!」


陸奥「はいはい」



システム《Wait for reload. 》



瑞鶴《爆撃は殆ど当たったわ。けど、効果は薄め》



スネーク「大丈夫だ。お前達は次に備えて準備を進めろ!!」


翔鶴・瑞鶴《了解!!》



システム《Completed.》



長門「装填完了した! 陸奥は!?」


陸奥「私も丁度終わったところよ。いつでも行けるわ」


スネーク「行くぞ! 撃て!!!」 ダァン!! ダンダンダン!!!




ドカン!!!!





長門「どうだ………?」




飛行場姫《「ウフフフフフ………」》


長門「なっ!? 効いていない………?」


陸奥「長門、弾を三式弾に替えましょう。硬さが尋常じゃないわ」


スネーク「オセロット!!」


オセロット《バトルギアにも三式弾や徹甲弾、その他諸々は搭載してあります。端末は繋いでありますか?》


スネーク「あぁ、繋げてある」


オセロット《端末のMenuタブから『Battle Gear』の画面に変えていただき、『Weapons』を開いて三式弾を選択してください》


スネーク「こうか?」ピッ ピピッ


システム《Exchange the weapons. Wait or reload. …………Complete.》


スネーク「終わったぞ!」


長門「よし、タイミングを合わせて一斉砲撃を行う! 」


陸奥「3、2、1、0! 撃ぇ!!!」 ダァン ダンダンダン


翔鶴《航空隊、敵上空に展開。爆雷の投下に入ります》


瑞鶴《一番、二番は対空警戒! 三番、四番は翔鶴姉ぇの爆撃隊に随伴! 援護と同時に随時投下!!!》


叢雲《敵は飛行場姫一体だけ?》


陸奥「ええ、それ以外は此方からも確認できないわ」


大井《雷撃できなかったら私たちの居る意味がないじゃないの………》


スネーク「そういうな。お前達にしか出来ないこと少なからずあるはずだ」


大井《わかってるわよそれくらい》


パイロット《こちらピークォード! 作戦展開海域に到着! ボス、援護します!!》


スネーク「わかった!!」


パイロット《敵影を確認。攻撃を開始します! 退避を!!》


スネーク「長門! 陸奥! 一旦下がれ」



長門・陸奥「了解!!」



ドカン!! ドーン!!!



飛行場姫《「キカナイ………キカナイワ………ソノテイドナラ……ワタシハ……タオレルワケニハ………イカナイモノ…………!!」》



長門「くっ………」


スネーク「身体中に穴を開けながらまだ生きているのか………」


陸奥「ねぇ、なんか気になるものが………」


スネーク「なんだーー」


長門「っ!! ボス! 危ない!!」


飛行場姫《「ナンドデモ………シズンデシマエ……ハイアガッテクルタビニ……ワタシガ………シズメテヤル………!!!」》


スネーク「なんだ……あの艦載機の数は……」


陸奥「長門!! 艦爆がボスに向かってる!!!!」


長門「くっ………」バッ



ドーン!!!



陸奥「空中で爆発!?」


スネーク「大丈夫か?」


長門「なっ、どうやって!?」


スネーク「ははっ。一応機銃も積んでいるからな。ギリギリだが撃ち墜とせた」


長門「はぁ………上手くいったからいいものの、下手をすれば死ぬところだぞ! 」


スネーク「それは悪かったな」



飛行場姫《「シズメテヤル……オマエタチダケハゼッタイニ…………」》ズ-ン


長門「動きが止まった………?」


陸奥「とりあえず、場所を変えて作戦を立てましょう。無闇に戦うのは不利よ!!」



・・・・・・




スネーク「それで陸奥、お前が気になったといっていたのはなんだ?」


陸奥「うーん、気のせいかもしれないけれど………あの飛行場姫に攻撃を加えた時、当たった場所に別の深海棲艦が見えたような気がして………」


長門「それはつまり、あの飛行場姫の体内に吸収されているということか?」


陸奥「気のせいであってほしいけどね………」


スネーク「それは不気味な話だな」


翔鶴「お待たせしました!」


瑞鶴「艦載機は何とか収容できたわ。こっからどうするよ?」


叢雲「砲撃戦には加わってもいいんだけど…………」


大井「生憎とああいったタイプの深海棲艦には魚雷攻撃が出来ないんですよねぇ………ったく、重雷装艦の持ち味奪ってくれてどうすんのよ」


スネーク「お前たち、奴の体の中に妙な物が見えなかったか?」


瑞鶴「………見えたわよ。見間違いかと思ったけどね。深海棲艦みたいだった」


長門「これで確証が出来てしまったわけか………。あんなものを吸収してどうする気なのだ………?」


翔鶴「どちらかと言いますと、体内に埋め込まれているといった方が正しい気がしますが………」


ミラー《ボス! 聞こえるか!?》


スネーク「何だ?」


ミラー《さっき翔鶴から連絡を受けてな。深海棲艦の身体にまた別の深海棲艦が埋め込まれていると》


ミラー《コードトーカーによれば、そいつは恐らく体内で深海棲艦を作り上げようとしているのではないか、と》


スネーク「そんなことが可能なのか!?」


コードトーカー《正確に言えば、そいつは寄生虫のようなものだ。母体を強力な個体とすることで、より多くの戦闘知識や行動などを学習する》


コードトーカー《さらに強力な個体に寄生することで糧となるものを容易に得ることもできよう》


コードトーカー《要は、短期間で戦闘知識を学習するために作られた存在であり、深海棲艦が編み出した苦し紛れの策ということだ》


スネーク「そんな奴を今ここで倒して平気なのか?」


コードトーカー《私はこの個体を見たことがない。その中から亜種が生まれるのか、はたまた別個体が生まれるのか》


コードトーカー《いまお前の目の前にいる深海棲艦を倒すとどうなるのか、私にもわからない。無闇に手を出すのも気がひけるが、そのままでは死ぬしかないぞ。嫌なら倒すしかない》


スネーク「そうか。だがどうやって奴を倒す?」


コードトーカー《お前の目の前にいる深海棲艦、飛行場姫は本来であればその大きさはあり得ない。恐らく短期間で膨大な能力を経て、それを扱うために生まれた特別な個体だろう。恐らく体内に寄生した深海棲艦によるものだ》


コードトーカー《つまり、その寄生している謎の深海棲艦こそが弱点といえよう。そいつを直に攻撃し、母体から引き離す。この時間は早ければ早いほど良い。時間がかかるとその分、体内で寄生している深海棲艦が完成して動き出すかもしれん》


スネーク「わかった。話は聞いていたな? あいつの中にいる深海棲艦にありっけの攻撃を加える。行くぞ!!」


全員「了解!!」


飛行場姫《「フ……フフ……フフフ……ワタシハシズマナイ………ナンドデモタチアガル………シマツサレルノハ………オマエタチダ!!!!!」》


長門「くっ……動き出したか………」


陸奥「見て!! 攻撃箇所が再生されている!?」


翔鶴「本当にとんでもないものと戦っているんじゃないかって思います……」


瑞鶴「だけど、やるしかないよ。これが終われば、全部が終わるんだから!!!!」



スネーク「計画を変えよう! 長門、陸奥。奴にありったけの砲弾を喰らわせろ! 翔鶴と瑞鶴は爆撃を始めろ。ただし、全員がなるべく一箇所に集中できるように全員で息を合わせるんだ!!」


スネーク「大井と叢雲は俺に付いて援護してくれ。奴に砲撃をしつつ、俺に攻撃が及ばないように敵の気を引いて欲しい」


長門「何をする気だ?」


スネーク「こいつのレールガンで奴の中にいる深海棲艦を直接攻撃する。チャージに時間がかかるから、それまで奴の気を引いて欲しい」


陸奥「危険よ! 奴があなたの方を見て、何をしようとしているのかバレたら………」


スネーク「………これしか方法はない。貫通力で言えばこのレールガンに勝るものはない。奴を飛行場姫ごと撃ち抜くしかない!!」


叢雲「…………わかったわ。私たちが奴の気を引く。それで良いのよね?」


スネーク「あぁ、頼む」


大井「無謀な作戦……。でも、貴方のために戦ってあげます。北上さんとの約束ですから」


スネーク「行くぞ!! 」


全員「了解!!!!」




長門「陸奥! 遅れるなよ!!!」


陸奥「はいはい。少し落ち着きなさい?」



翔鶴「瑞鶴、私たちは艦載機で撹乱よ!」


瑞鶴「任せて! ………ねえそれって七面鳥絡みで言ってる?」


翔鶴「……どういうこと?」


瑞鶴「ううん、何でもない」


翔鶴「………あっ! そういう意味じゃないのよ!? ごめんなさい瑞鶴! だからそんな怒らないで〜!」



叢雲「そのチャージっていうのは動きながらでも出来るの?」


スネーク「移動しながらは可能だが、その分時間がかかる。それに他の武器との併用も不可能だ」


大井「便利なんだか不便なんだか分かんないわね、その兵器」


スネーク「ともかく、今から準備は始める」



システム《Exchange the weapons. Set on the Rail gun. Start charging》


スネーク「今から発射準備に入る。援護してくれ」


大井・叢雲「了解!!」



金剛《Hey! 皆サーン、無事デスかー?》


スネーク「金剛か! そっちはどうだ?」


金剛《Support があったので何とか勝てマシター……》


スネーク「サポート?」


ビスマルク《上空からヘリが飛んで来て、狙撃や爆撃で援護してくれたのよ。なかなかにいい腕している兵士が多いわね。流石と言ったところかしら?》


パイロット《こちらクィークェグ。ボス、後方の備えは我々にお任せを。既に数十機のヘリが作戦海域に到着しています》


スネーク「すまん、助かった」


ミラー《ボス、朗報だ! アラビア海に展開していた深海棲艦が粗方沈んだ。そっちに何隻か艦娘を向かわせるように指示を送る》


スネーク「わかった。長門! 陸奥! 作戦決行だ!!」


長門《了解した。陸奥! その深海棲艦を見たのはどの辺だ?》


陸奥《そうね………心臓辺りかしら? 確かその辺だったわ》


翔鶴《私たちも確認しています。胸の中心から凡そ500メートル左側です!!》


瑞鶴《艦載機で辺りを旋回させているからそこに目掛けて撃って!!!》


スネーク「叢雲、大井。お前たちも長門に合流しろ!!」


叢雲「でも……」


スネーク「大丈夫だ」


大井「…………わかったわ。行きましょう!!」



スネーク「……………」




・・・・・・




大井「お待たせ!」


長門「大井!? ボスはどうした?」


叢雲「そっちに合流しろって。あのレールガンって言ったかしら? あの弾頭には徹甲弾を模したものを使ってるとはいえ、直に当てた方が威力は高くなるから………」


大井「私たちの砲撃、爆撃で飛行場姫の身体に穴を開けます。そこにボスが撃ち込む。いいですね?」


長門「あぁ、わかってる」



飛行場姫《「チョコマカト………コザカシイマネヲ………」》


長門「いくぞ! 撃てぇ!!!」ダァン


陸奥「撃ぇ!!!」ダァン


叢雲「当たれぇぇ!!!」ダン


大井「チッ……何で魚雷が撃てないのよ……」ダン



飛行場姫《「キャア!!!! ナゼダ……ナゼワタシガココマデノフカデヲ………!!!!」》


長門「ボス! 今のうちに!!!」


スネーク「わかってる!!」


システム《Full charge.》チュイィィン


スネーク「行くぞ!!!!」チュド-ン


飛行場姫《「キャアァァァァァァァ!!!!」》


長門「よし、効いている!」


スネーク「まだだ!!」チュド-ン


飛行場姫《「ウゥゥゥゥ………ウワアアァァァァァァァ!!!!!」》ブンッ


大井「ボス! 避けて!!」


叢雲「あのままじゃ潰される!!!」


スネーク「まだだ、まだ終わってない!!!」


システム《Exceed charge. System in jeopardy. Recommending immediate termination of use. (チャージ限界値を突破。システムに深刻な異常が発生。速やかに使用を停止して下さい)》チュイィィィン


スネーク「行けぇ!!!」チュド-ン



飛行場姫《「キャアァァァァァァァ…………」》ズド-ン


長門「奴が倒れるぞ! 大波に飲み込まれるなよ!!」


陸奥「っ………どんだけ巨大になったのよ………2度と戦いたくないわこんなのと……」


スネーク《聞こえるか? 》


長門「ボス、いまどこにいるんだ?」


スネーク《奴の膝下の施設の方に向かって見たが、つい最近まで誰かがここに暮らしていたのかもしれんな》


陸奥「いつの間に………」


叢雲《あぁ、安心してちょうだい》


大井《私たちがちゃんと付いていますから。でも妙な話ですよね………》


長門「あぁ、ともかくーー」



飛行場姫《「………フフフ……コレデ………スベテガオワル………スベテガ………ハジマル………フフフ………アトハ………コノコガスベテヲ………フフフ………フフフフフフフフフフフフ!!!」》




長門「何だ!? 何が起きている!?」


陸奥「見て! あれ!!」


翔鶴「飛行場姫が飲み込まれてる………?」


瑞鶴「こんなの………現実な訳ないよね………?」


???《「アァ-----…………」》


コードトーカー《どうやら覚醒してしまったようだな。そうなった以上、もはやお前たちで斃すほかに道はない》


大井《対抗策も分からないのにどうしろっていうのよ………》


金剛「皆サーン! お待たせしまシター!!」


愛宕「後方は全部仕留めておいたからねー」


榛名「あとは目の前にいる深海棲艦だけです!!」


コードトーカー《なんと禍々しい………だが、どうやらそいつは未発達だ。勝てる見込みはある》


長門「どうすればいい?」


コードトーカー《ここまで来たら後はお前たちの役目だ。いつもと同じようにやるしかない》


ビスマルク「なるほどね。私たちらしいじゃない!」


コードトーカー《残された時間は奴が力を取り戻すまでだ。何らかの方法で奴は力を取り込もうとするはずだ。それを防ぎつつ、斃す必要がある》


長門「………わかった。全員、私に続け! ここで全てを終わらせるぞ!!!!」


金剛「Yes! これ以上戦う必要なんてありまセン! 私たちで最後にしまショウ!!」




・・・・・・




ラバウル基地 司令室




オセロット「ご老人。あなたが話していた、その深海棲艦だが、今まで見たことがないと言っていたが、そんなものが昨日今日で生まれるものなのか?」


コードトーカー「奴らとて生き物だ。進化の過程は幾らでも掴める。因みに訂正しておくが、奴らが最初に観測されてから今日に至るまで凡そ15年だ」


オセロット「……そうだったな」


コードトーカー「決して長くも短くもないが、常軌を逸した奴らならばその期間で新たな生命のあり方を見つけたとしても不思議はないだろう」


オセロット「ああ、まさしくその通りだ。俺の考えが足りなかったな」


コードトーカー「…………今回の戦い、恐らくお前達が勝つだろう。そうなれば、私も生きてはいられまい」


オセロット「どういうことだ?」


コードトーカー「私も中に鬼を飼っている。深海棲艦という鬼をな。私は本来であれば寿命で死んでいてもおかしくはない程の歳だ」


オセロット「……………」


コードトーカー「私は最早、鬼に ”生かされている” と言ったほうが正しい。だからこそ、私は死ぬかもしれんのだ」


オセロット「それは、本気で言っているのか?」


コードトーカー「もちろんだ。鬼によって延命されたこの体は、奴の死と同時に朽ち果てるだろう。山猫よ、カズヒラに話をつけることはできるか?」


オセロット「ちょっと待っててくれ…。……………ミラー、コードトーカーから話があるそうだ」


ミラー《何だ爺さん、俺も暇じゃないんだが………》


コードトーカー「私から頼みがある。私はもうじき死ぬ。そこでだ、せめて死ぬとき位は1人にさせて欲しいのだが、基地にはお前達の仲間がいる」


コードトーカー「よければ、私をボートにでも乗せて海へ放り出しては貰えぬだろうか? 最期は海を見ながら生を享受したい。私からの最期の頼みだ。受けてくれ」


ミラー《………オセロット、これを聞いているのか?》


オセロット「ああ。だが少し待ってくれ。スタッフを連れて部屋を出る。2人きりにしてやるよ」


コードトーカー「すまぬな。…………さてカズヒラよ。受けては貰えぬか?」


ミラー《1人で死にたいから海に放り出せか? 悪いがそれは出来ない。あんたの部屋があるだろう?》


コードトーカー「私の死体を、誰にも見られたくはないのだ。朽ち果てた姿を晒すことになる。それが私は我慢ならないのだ」


ミラー《…………基地の一角に空室がある。そこは誰も使っていないから、見回りの兵士もいない。後でそこには誰も近づかないように伝えておく。それで良いか?》


コードトーカー「………すまぬなカズヒラ。大きな恩を作らせたな」


ミラー《生憎だが、俺は恩を感じられたら返してもらいたく人間だ。死ぬ奴に恩を感じられたら、いつになっても返ってこない。だから、老人の最期の我儘ってことにしておいてやるよ》


コードトーカー「感謝するぞ。カズヒラ、陳腐な言葉に聞こえるかもしれんが、お前との時間は楽しませてもらったぞ? お前が作ったハンバーガー、良い冥土の土産だ」


ミラー《ほう、そうかい。俺もあんたが居なくて清々する。きみ悪い老人が近くにいたらいつ命を奪われるか堪ったもんじゃないからな》


ミラー《だから、俺を怯えさせた仕返しに、お前の墓に有りっ丈のハンバーガーを埋めておいてやる。覚悟しておけよ、死人に口なしとは言わせないからな》


コードトーカー「そうかそうか。楽しみにしておるぞ。ではな………」





・・・・・・






オセロット《ボス、よろしいですか?》


スネーク「どうした?」


オセロット《コードトーカーが、逝きました》


スネーク「………そうか」


オセロット《厳密に言えば、逝くことを望んでいたので、彼の言う通りに事を進めました。いずれ自分の身も朽ち果てる。その姿を見られたくないため、1人にさせてくれと》


スネーク「大体察しはつく。奴らには話すなよ」


オセロット《わかっています。彼は死ぬ決意をしました。彼女らが奴らを倒さなければ、それも無駄になりますから》


スネーク「……頼むぞ?」


オセロット《お任せ下さい。時に、今はどちらに?》


スネーク「奴の麓にあった水上にある建物を調べて見たんだが、誰かが此処を使っていた痕跡があるな。しかも最近だ」


オセロット《…………どういうことでしょうか?》


スネーク「さあな。だが奴らと添い寝をするとんだもの好きも居たもんだな」


叢雲「そんなことは後でいいのよ。先ずは奴らを倒すために合流する必要があるわ」


スネーク「わかってる。そこでオセロット、爆発物系の兵装を一通り送って貰えないか?」


オセロット《すぐに準備させます。バトルギアは?》


スネーク「回収してくれ」


オセロット《わかりました》


スネーク「少し離れてくれ。こいつを回収させる」カチッ


オセロット《準備完了しました。すぐに送らせます》




長門《ボス!! 砲撃がそっちに向かってる!! 》


スネーク「なに!?」




ドカ-ン!!!! ド-ン!!! パチッ!!! バ-ン!!!!



スネーク「っ!! バトルギアに当たったか……!!」


叢雲「ボス、危ない!!!」




ザクツ!!!!



叢雲「うあ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!」



スネーク「叢雲!?」


大井「叢雲!!」


叢雲「来ないで!! ぐぅっ………」ズキッ


スネーク「大井! 動くな!!」


大井「えっ!? きゃあ!!」




ガシャ-ン!!! ガランガラン………



スネーク「バトルギアが一撃でこのざまか………奴はどれだけの力を………」


大井「叢雲!! 何処にいるのよ!! もう邪魔くさいなこの鉄骨!!! 」ガンッ!!


スネーク「落ち着け! ほら!」グイッ


大井「叢雲!! 返事しなさいよ!! 叢雲!!!!」ユサユサ




叢雲「ちょっと………やめてよ………傷口に………ひびくじゃない………」


大井「何よ………これ………」


スネーク「バトルギアのパーツの一部だな。奴に狙われて破損した一部がこいつの脇腹に刺さったか…………」


大井「少し待ちなさいな。直ぐに抜いてあげるから」グッ


叢雲「い゙っ………!!! 待って………触らないでよ………。すごく痛いから………」ハァ ハァ


大井「あぁ……ごめん……」


スネーク「こいつに自分で抜かせるしかないが………歩けるか?」


叢雲「…………」フリフリ


スネーク「俺が抜いてもいいんだが………出血が酷すぎるな………」




ダァン!!!!!




大井「………ボス! 後ろ!!」


スネーク「 ! 」


大井「くっ……」ドン


スネーク「大井!!!」




ドカン!! ビチャッ!






大井「う……うああ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ!!!!痛い……いたい…………」ボタボタ



スネーク「大井! しっかりしろ!!」



大井「腕が………わたしの……うでがぁ………」


スネーク「大丈夫だ、落ち着け」


大井「………ねえ、わたしのうで………どうなってるの…………?」ハァハァ


スネーク「ちょっと見せてみろ………二の腕の肉が半分以上持ってかれているな………皮一枚で繋がってるようなものだ」


大井「………ひどいすがたね。………ボス、わたしたちをおいてにげて………。あなただけなら……にげららるから………」ハァハァ


叢雲「……ボス、早く……逃げて…………」ゴホッ



スネーク「…………初めてだな。お前たちが弱音を吐いているところを、初めて見た」



大井「なによ……それ………」


叢雲「いいから……私たちのことは置いていって……。あなたは………ビッグボスは……ここで死んだらいけないのよ………」


スネーク「馬鹿なことを言うな。ラバウルに全員で戻る。今の俺には、お前たちが必要なんだ」


叢雲「………いま………なんて言ったの………?」






スネーク「お前たちが必要だ。俺にはあいつを倒せない。だから、お前たちの力が必要なんだ………」









大井「……ふふっ……なによそれ………」


叢雲「本当にあんたは………」






大井・叢雲「世話の焼ける人ね」








叢雲「わかったわ。私たちが………助けてあげる………。動ける………?」


大井「あたりまえよ………ボスのたのみだもの………」


叢雲「ふふっ………」グッ


グググ………



叢雲「うっ………ぐぅ………」




グッ…… グッ……




叢雲「っ〜〜〜!!!」




ブシュッ!! ポタ…… ポタ………




叢雲「ゴホッ! ゴホッゴホッ!!」ピチャ



スネーク「行けるか?」



叢雲「あたりまえでしょ………。あんたの為に体張って戦ってやるって言ってんだから………」



大井「もうしわけないですけど………ちぎれそうなほうを………すこしだけもってくれますか………?」


スネーク「…………わかった。ほら」


大井「ありがとうございます…………」ガブッ



大井「腕が千切れそうなくらい何よ………袖を咥えて落ちないようにすればいいだけじゃない!!」


大井「腕が無くても、足があれば動けるし、四肢が無くても這いつくばってやる!!」


叢雲「大井………」


大井「行きましょう………私たちが気を失う前にね」


スネーク「……わかった。お前たちは先に合流しろ。俺は後から追いつく」


大井・叢雲「了解!!!!」




スネーク「オセロット!!!」



オセロット《支援補給だ! 急げ!!》





・・・・・・





???《「アナタタチノコエヲキカセテ………?」》


???《「シズミタクナイ………タスケテ……ッテ………」》


???《「アハッ! アハハッ!! アハハハハッ!!!」》




瑞鶴「何なのよこいつ………全然歯が立たない………」


陸奥「そろそろ厳しいわね………」



長門「っ!! 叢雲! 大井!!」



叢雲「そっちは……どう……?」



翔鶴「均衡状態でしたが、押し込まれてきています………それより………」


大井「……なによ?」


瑞鶴「ちょっとちょっと!! 大丈夫なの!? やっぱり撤退した方が……」


大井「馬鹿なこと言わないで貰えますか………? まだ腕が千切れそうなだけよ………。腕一本なくたって戦うわ!!!!」


スネーク《Venceremos! その意気だ! ここから押し返すぞ!!》


長門「ボス!! 無事なのか?」


スネーク「もちろんだ。ヘリ部隊がこっちに向かっている。翔鶴、こいつらと同行させることはできるか?」


翔鶴「………やってみます!! 瑞鶴!!」


瑞鶴「うん! 任せといて!! 最初で最後の大盤振る舞いよ!!!」


金剛「Here we go!! 私たちも行きマース!!」


比叡「はい! お姉様!!」


赤城「加賀さん、北上さん、沈んでいった方々への弔い合戦です! 」


青葉「第三艦隊も突撃しまーす!!」


時雨「うん、ここで全部終わらせるんだ。これ以上、誰も不幸にならないように………!!」


雪風「誰も傷つかなくていい世界……、雪風もお手伝いします!!」


陸奥「長門、あなたが旗艦でしょう? あなたが皆に指示を出しなさい?」


長門「………よし!! これより前方の深海棲艦を一気に叩く!!」


長門「赤城、翔鶴、瑞鶴は航空隊を敵直上に展開! あるだけの火薬を投入するぞ!」


赤城・翔鶴・瑞鶴「了解!!!」



長門「金剛率いる第二艦隊は、この長門率いる第一艦隊と共に敵に殴りこむ!!」


金剛「任せてくだサーイ! 」


長門「青葉率いる第三艦隊は空母に随伴。隙があれば構わず砲撃をしろ!!」


青葉「了解しましたー!!」




長門「よし、突撃だ!!」


スネーク《翔鶴、聞こえるか?》


翔鶴「はい、何でしょう?」


スネーク《ヘリ部隊が待機中だ。指示をくれ》


瑞鶴「北緯20、東経38! 目標敵一体!! 」


パイロット《了解、こちらは先に仕掛けて撹乱に徹する》


スネーク「奴の上空を旋回してくれ。スナイプで応戦する」


パイロット《わかりました。ですが、敵の対空攻撃が激しいので時間は限られます。長くて60秒ほど………》


スネーク「60秒あれば十分だ! 行け!!」


パイロット《了解! 高度下げます!!》


パイロット《攻撃開始。巻き込まれないように注意しろ!!》




ババババ ヒュュュ ド-ン ドゴ-ン




???《「………テツノトリガ、ヒバナヲチラス………?」》



長門「主砲構え!! 撃ぇ!!!」ダァン


金剛「Fire!!」ダァン



???《「テツノカーテンガフッテクル………フフフ、ソウイウコトカ………」》グググ



ブチッ ブチブチッ!!! グチュッ!



比叡「待って下さい! 様子がおかしいです!!」


金剛「Whet!? 」


榛名「な……何ですかあれ……何か生えてきて………」



???《「フフフッ。コレガ……ニンゲンドモノ……フノイサン!!」》


???《「デモ……ワタシタチニハ、キボウノヒカリ……!! フフフフフ! アハハハハ!!!」》


スネーク「なんだあれは!?」


オセロット《っ!! 核弾頭!?》


スネーク「何!?」


オセロット《間違いありません! まさか……スカルフェイスが!?》


スネーク《長門!! 奴を撃つな!! あれは核弾頭だ!!!》


長門「なっ! 核弾頭!?」


スネーク《奴を撃てばここ一帯が吹き飛ぶぞ!!》


翔鶴「何でそんなものを!?」


瑞鶴「翔鶴姉ぇ! 一先ず艦載機を戻して!! 近くにいたら危険だよ!!」


翔鶴「……そうね。各隊、一時着艦して下さい!」


スネーク「くそっ! ここに来てどうすれば………」


コードトーカー《………蛇よ、聞こえるか?》


スネーク「あんた、死んだんじゃなかったのか?」


コードトーカー《手短に話す。奴をこの場で撃つのだ》


スネーク「馬鹿な! そんな真似をしたら」


コードトーカー《海上であれば被害は僅かに抑えられる。奴がもし核を撃てば、それこそ取り返しのつかないことだ》


スネーク「…………」


コードトーカー《躊躇うな。奴を撃てばいいのだ!》


スネーク「………」


長門《………ボス、指示を!!》


スネーク《お前たちは撤退しろ。俺はここに残って、奴と戦う》


陸奥《冗談言わないで! 私たちも戦うわ!!》


スネーク《奴をこの場で撃つ。あいつごと、ここ一帯を吹き飛ばす。お前たちは巻き込まれない様にさっさと逃げろ!!》


叢雲《そんなことさせないわ!! だったら私たちがここに残る!! 言ったでしょう? ビックボスは世界に必要な人間なの! ここで死んだらいけないのよ!!》


金剛《Stop!! ………皆、そんなことで悩む必要はありまセン!! 私がここに残りマース!!》


スネーク《馬鹿なことを言うな! 早く撤退しろ!!》


金剛《私たちの速力じゃ、今から逃げても間に合いまセーン! ボスは空からみんなを連れていってくだサーイ!》


スネーク《…………》


比叡《だったら、私も残ります!!》


榛名《私も!》


霧島《では私も残ります!》


ビスマルク《しょうがないわね。なるべく少ない方が早く逃げられるものね、私も残るわ》


赤城《私も、最期まで務めを果たします。加賀さんの為にも………!!》


青葉《………青葉も残りましょう! 最期の瞬間まで、バッチリとカメラに、そしてこの目に焼き付けておきますから!!》


愛宕《それじゃあ私も!》


雪風《………雪風も居れば、きっとみんなを助けられます!!》


時雨《………そうだね。僕もそう思うよ》


不知火《やれやれ、仕方ありませんね。不知火も同行しましょう》


島風《別に何かあっても、私の速さならすぐ逃げられるもん!!》




スネーク《………いいのか?》



金剛《もちろんデース!! Hurry up please !! ここから離れてくだサーイ!!》


大井「みんな………やめてよ………私が残るから……。この怪我じゃ、いつまで保つか分からないし……だったら私が………」


叢雲「…………」


長門「………駄目だ。金剛たちの勇気を無駄にするわけにはいかないだろう………?」


大井「もう……嫌なのよぉ…………置いていかれるのも………見捨てるのも………もう嫌なの……」


陸奥「見捨てるわけじゃないわ。あの子たちが、私たちの為にしてくれているのよ」


翔鶴「ですから、私たちは生き延びるんです。そして私たちが見て来たことを後世に伝える義務が、私たちにはあります」


瑞鶴「………そうだよ。今は辛いかも知れない。けど、私たちにはこうするしかないの」





・・・・・・





金剛「…………」


比叡「…………みんな、無線を切って」


榛名「…………何だか、吹っ切れました!」


霧島「不思議ですね。清々しいというか………」


ビスマルク「嫌な感じが全くしないわ」


赤城「寧ろ、誇らしく思います」


青葉「本当に良かったんですか? 何も第三艦隊全員が残らなくても………」


不知火「別に、不知火は死ぬつもりはありませんから。死ぬのではなく、守るのでは?」


島風「………そうだよね。ここでみんなとお別れは寂しいけど、きっとまた逢えるよ!」


雪風「最後に、皆さんに幸運を分けてあげられたかな………?」


愛宕「大丈夫よ、心配しないで。だって、あんなにも素晴らしい提督に出会えたんだから!」


時雨「僕もそう思うよ。そうじゃなかったら、今日まで生きていこうなんて思わなかった」


金剛「………私も同じ気持ちデース。さあ! 撃ちマスヨー!!!」


比叡「………はい! お姉様!!!」


榛名「ええ! 榛名は………大丈夫です!! だって、お姉様たちや霧島も居ますから!!!」


霧島「………狙い良し!! お姉様、指示を!!」





金剛「………ボス。 I'll never forget you. あなたを決して、忘れまセン………」







金剛「Fire!!!!!」












第50話 決戦!

   第三次西方海域掃討作戦 完






最終話 伝説の始まり




紅海に本拠地を置いていた深海棲艦は、ビッグボスと彼の率いる部隊。また彼の下にいた艦娘たちの尽力により殲滅。


また、同海域に出現した深海棲艦が隠し持っていた核弾頭の発射を食い止める為に同艦隊の艦娘たちが自らの命と引き換えにし、その場で核弾頭を破壊。


紅海は放射能に汚染され、また彼の艦隊の殆どが散っていった。これを受け、日本海軍ではビッグボスの健闘を讃えるとともに、犠牲になった艦娘たちに対する弔いを盛大に執り行うことになった。





大将「………と、記録をするとともに国内で大々的に報道いたします」


スネーク「………それだけか?」


大将「………と、申しますと?」


スネーク「奴らの首魁を討ったことによって、深海棲艦がこの世に生まれることはなくなった。現に世界中でその姿を見るものは居なくなったはずだ」


大将「ええ、その通りです」


スネーク「それに関してはどうするつもりだ?」


大将「それに関しては、一切の報道を致しません」


スネーク「何だと?」


大将「お考え下さい、我々日本は軍隊を持たない国だ。それはあなたもご存知でしょう? それに故にこの国は危険なのですよ」


大将「幾ら平和条約が結ばれているとはいえ、周りの国々はいがみ合っている。そうでなければ戦争など起こるはずもない」


大将「現に北では領土問題、西には未だに核を持ち続ける国もある。いま我が国は疲弊し切っているのですよ? その中で万が一、隣国にことを起こされては対処ができない」


大将「我々の国を守る為に、艦娘はまだ必要なのですよ。ですが、国内には艦娘をよく思わないものもいる。そういった者たちの口を塞いだのが深海棲艦の存在なのです」


大将「いまそれが居なくなったと知れば、水を得た魚のように彼らは声を大にして発しましょう。艦娘を解体しろ。軍を畳めと。そうなれば、我々の明日はどうなるというのですか?」



スネーク「…………」




叢雲「さっきから黙って聞いていればさぁ、結局のところ自分たちの保身の為じゃないの」


大井「そうね。別に私たちはあなた達みたいな人間のために戦っていたわけじゃないわ。あいつらに苦しめられていた人たちを助ける為に戦って来たのよ」




大将「貴様らには話をしていない。戦うことしか能のない貴様らに、何がわかる。貴様らに政治の何がわかるというのだ? あァ?」




長門「政治か………。確かに私には何もわからない。だが、私たちを馬鹿にしていること、下に見ていること、そしてお前たちがどれほど汚い奴らなのか。それくらいは私にもわかる」


陸奥「そうねぇ。そういうのを政治とは言わないわ。身勝手っていうのよ」




大将「…………ともかく、そのことに関してはどうか口を噤んでいただきたい。それと以前から申している通り、ショートランドとブイン基地は返還させていただきますよ?」


スネーク「………何だと?」


大将「おや? 何かご不満でも? 艦娘を必要としないあなた方にはもう必要ないでしょう? 必要とする者の手元にあってこそ、それらは活かされるのですからな。ああどうかご安心を。ラバウルはそのままで結構ですので」


大将「それでは、これにて失礼させて頂きます」




翔鶴「本当に………ごめんなさい………。私たちが守ってきたのが、まさかあんなにも醜いものだったなんて………」


スネーク「………気にするな。お前たちにはどうにもならない」


瑞鶴「私………悔しいよ………悔しい………。金剛さんたちが命がけで、私たちを、世界を救ってくれたのに………。まさか、あんな奴らにいい顔される時代を作ることになるなんて………」




「何のために犠牲なったのよ………」






スネーク「……………」





あの戦い以来、ダイヤモンド・ドッグズでは大きな変化が訪れた。その中でも一番は、カズがここから降りたことだ。



ーーー


ーーーー


ーーーーー





ミラー「ボス、済まないが俺をここから降ろしてくれないか?」


スネーク「なに!? ちょっと待ておい! カズ!!」



ミラー「あんたとの時間、悪くなかったよ………」




ーーーーー


ーーーー


ーーー




流石に急な出来事だ。俺でも驚いている。だが、それ以来やつは一度もここに戻ってこない。どうやら本気だな。



オセロット「ボス、こちらにおられましたか」


スネーク「オセロット、カズがここから降りた理由を知らないか?」


オセロット「………いいえ。存じません」




ーーー


ーーーー


ーーーーーー







ーー3日前ーー




オセロット「なに? ここを降りる? ちょっと待てミラー、ここはあんたが作った部隊だろう? そんな勝手なことをーー」



ミラー「俺は気づいたんだ。そもそもこんな目にあったのは、スカルフェイスやサイファーのせいじゃない」






ミラー「スネーク。ビッグボスのせいだ」



オセロット「おい、いい加減しろ! 幾らあんたでもそんなふざけた事を言えると思ったら大間違いだ!!」


ミラー「あの時、日本海軍。いや、当時は海上自衛隊だったな。あいつらの依頼を請けたのが間違いだったんだ!」


ミラー「そしてその依頼を受けたのはスネーク自身だ!! 」


オセロット「それ以上口を開いてみろ。あんたをこの場で撃つぞ」


ミラー「よく覚えておけ。俺はビッグボスを必ず討つ。あんたが側にいても容赦しない。俺は次の時代に備える。お前たち殺す準備だ」





ーーーーー


ーーーー


ーーー





オセロット「…………話すわけにはいかないな」


スネーク「どうした? なにかあるのか?」


オセロット「いえ。………ボス、実は貴方にご相談が」


スネーク「………何だ?」


オセロット「殆どの艦娘が居なくなり、ミラーも姿を晦ました。いっそ、ここを解散させては?」


スネーク「…………」


オセロット「そして貴方は、新たな部隊を作り上げる。兵士たちの本当の楽園を。新しい国家を」


スネーク「………お前は?」


オセロット「………もしあなたがそうされるのならば、私も手伝います。ですが、共にはいられません」


オセロット「まずは私が裏で手を引きます。世界の目を貴方に向けさせない策を講じて、あなたが新たな部隊を作り上げるまでの時間稼ぎを致しましょう」


スネーク「どうやって?」


オセロット「………貴方を歴史から消します。ビッグボスにまつわる全ての事を、この世から消します。記録しかり、足跡しかりーー」





オセロット「人の記憶も、全て消します」





スネーク「…………それはつまり、いや、何でもない。だが、本当にいいのか?」





オセロット「ええ。私にお任せを。もちろん、私も貴方を忘れます。貴方の事を意識にも登らせない『ダブルシンク』です」





スネーク「…………そうか」












スネーク「なら任せたぞ、ジュニア」






オセロット「………はい、ジョン。お任せを。私は一度もあなたを忘れたことはありませんが、いま一度、私は貴方を忘れます」


オセロット「………それでは、まず貴方にやって頂きたいことがあります。それを今からお伝えしますので、どうか実行に移して下さい」








・・・・・・







スネーク「なあ、1つ聞いてもいいか?」


叢雲「なによ? 私たちを集めて、改まって……」


スネーク「お前たち、ここを降りるとしたら、どこに行く?」


叢雲「はぁ!? なに言ってんのよ、そんなことするわけーー」


スネーク「答えろ」


叢雲「………どこにも行かない。ここを降りるくらいなら、ここで死ぬ。そうじゃなくても、絶対に私たちは戦わない。解体されるのを待ち続けるわ」


大井「全員に聞いても無駄よ。だって同じだもの」


全員「」コクッ


スネーク「…………そうか。実はな、カズがここから降りた」


大井「………知ってるわ。あの人に聞いたから」


スネーク「オセロットか。それでな、ものは相談なんだが………」











スネーク「お前たち、ここで解体されてくれないか?」







大井「………えっ?」



スネーク「この部隊を解散させる。いまお前たちは言ったな、絶対に降りない。降りるくらいなら死ぬか解散されるのどちらかしかないって」


叢雲「そ、そうだけど………」





スネーク「だから、解体されてくれ。ちなみに残っていたもの達は解体済み。間宮も日本海軍に送り返した。ここにいるのはお前たちだけなんだが………?」





長門「な、なぁ、せめて理由だけでも教えてくれ! 何か欠点があったのか? 何か不満でもあったのか? そうなら以後気をつける。だからーー」



スネーク「俺とお前たちとは進む道が違いすぎる。俺は傭兵だ。人を殺して当たり前の生き方だが、お前たちには人が殺せるか? 深海棲艦はもう居ない。お前たちが手伝えることは何もないんだ」



叢雲「そんなことないわ! 貴方がやれというなら、私たちは何だってやる。人を殺すことも躊躇わないし、何なら核をどこかに撃ち込んだっていい。だからお願い、私たちも一緒に戦わせて…………」




スネーク「……………この際はっきり言うが、お前たちは邪魔なんだ。お前たちにして貰うことは何もない」



瑞鶴「………ちょっと待ってよ、邪魔ってなによ! アンタのために一体どれだけの艦娘たちが犠牲になったか分かってるの!? みんなアンタの役に立ちたかった。だから私たちも、あのとき金剛さんたちと同じように死ぬつもりだったのよ!?」


瑞鶴「それなのに………金剛さん達が………ボスを支えてあげてって………言ったから………今日まで…………」


瑞鶴「酷いよ………それは余りにも酷すぎるよ!!!」



ビスッ




瑞鶴「……………え?」ゴフッ


翔鶴「っ!! 瑞鶴!?」


瑞鶴「何で……よ………どう………し……て………」バタン


スネーク「………黙って従え」


翔鶴「ボス………! 貴方、何で瑞鶴を撃ったのよ!!!! あなたのために、今日まで生きてきた娘に、何てことするんですーー」




ビスッ




翔鶴「ーーかっ」




バタン







スネーク「…………これ以上撃たせるな。弾の無駄だ」



長門「………分かった。分かったから、もう銃を降ろしてくれ。あなたが望むなら、私はそうする。だから………」





長門「………死んで金剛たちに詫びを入れろ!!!」スッ


スネーク「っ!」ビスッ


長門「っ、かはっ!」バタン


陸奥「長門!!」


長門「どう……して……何故………私……たち………を………」カクッ


陸奥「ぁあ………ああぁ………」


スネーク「お前はどうする? ここで死ぬか、解体されるか。どちらか好きな方を選べ」


陸奥「っ〜〜〜」スッ



パァン



バタン




スネーク「………」ビスッ



陸奥「うっ!!」ビクン



叢雲「っ!!!」



スネーク「小賢しい真似をするな。空砲と本物の見分けくらいはつく。俺を甘く見るな」




叢雲「………やめて。やめてよ……こんなのおかしいよ………なんでこんなこと………」ジワッ


スネーク「喋るな。お前たちは? ここで死ぬつもりならじっとしてろ。楽に殺してやるし、話くらいは聞いてやる。解体された方がいいなら両手を挙げろ。俺が連れて行ってやる」


大井「ねえ………何があったのよ………あなたがこんな事するなんて………おかしいじゃない…………?」


スネーク「お前たちが襲いかかってくるからだ。命令違反に加えてな」


叢雲「…………私たちを必要だって言ってくれた。あの言葉は嘘なの? 苦し紛れの……その場凌ぎの………ことばだったの…………?」グスッ


スネーク「……………」



叢雲「あのとき、言ったじゃない。お前たちが必要だって。生きて帰ろうって。それなのに……あんまりよ……あまりにひどすぎるわ………」ポロポロ


大井「…………金剛さんも、北上さんも、あなたのことを………さいこうのしれいかんだっていってました………」ジワッ


大井「でも………今のあなたはちがいます…………」グスッ










大井「さいていの………しれいかんで………、さいあくの………うらぎりものです………!!!!」ポロポロ





スネーク「………それで終わりか? よし、動くなよ。動けばその分苦しむことになるぞ。狙いがズレると心臓や肺に当たってな。そうすると息が残るから楽には死ねない」


スネーク「だから頭を狙えるようにじっとしてくれ………」





叢雲「…………あなたとのじかん、とってもたのしかったわ。ありがとう」


大井「…………いろいろぶつかりあうこともあったけど、わたしはあなたがいちばんだいすきなしれいかんだったわ」



叢雲・大井「さようなら…………」






















「わたしたちをうらぎった、さいていなしれいかんさん」














スネーク「…………」



オセロット「ボス、お疲れ様でした」



スネーク「………済まないな。予定が少し狂った」


オセロット「いいえ。さほど影響はありません」


スネーク「最後に、頼まれてくれるか?」


オセロット「何でしょうか?」


スネーク「お前は、『彼女』のいる場所を知っているか?」


オセロット「ええ、もちろん」


スネーク「こいつらを『彼女』と一緒に埋めてやってくれ。それがせめてもの手向けだ。だが、なんなら『彼女』の前でも構わない」


オセロット「………わかりました」


スネーク「頼むぞ。最後の手筈は、俺がやっておく」


オセロット「ですがーー」


スネーク「いいんだ。俺も地獄から這い上がった死者だ。覚悟もなにもない」


オセロット「…………わかりました」







・・・・・・






DD兵1「なあ、最近ボスの姿を見ないな………」


DD兵2「そういえば、あの艦娘たちも見なくなった。なんかあったのか?」


DD兵1「さあな。だがーー」






ド-ン ドゴ-ン ド-ン 




「何だ!? なにが起きた!?」


「爆発だ!! うわっ!!」


「逃げろ!! 巻き込まれるぞ!!!」


「ボス!! ボス!!! どこに居るんですか! ボス!!!」


「ヘリで逃げろ! 急げ!!」


「なっ! ヘリにも爆だーー」





ド-ン バゴ-ン パチ… パチ…





スネーク「…………俺を恨むなら恨め。俺も人間の面を被った鬼だ」











1985年




ラバウル基地において何者かによる爆破事件が発生。基地にいた全ての兵士たちが死亡した。




1986年


各国の政府の要人。主に軍人や政治家達が狙われた殺人事件が数多く勃発する。容疑者は不明。



1980年代後半


南アフリカを拠点に、武装要塞国家『アウターヘブン』設立。



1995年



アウターヘブン蜂起



1999年



ザンジバーランド騒乱



2005年



シャドーモセス島事件




マクドネル・カズヒラ・ミラー死去



2007年



マンハッタン沖タンカー沈没事件




2009年



ビッグシェル占拠事件




2014年



ガンズ・オブ・ザ・パトリオット事件



リボルバー・シャラシャーシカ・オセロット死去



ビッグボス死去







最終話 伝説の始まり 完


























ーービッグボス死去の数分前ーー





ピ----   カチッ





スネーク「あんたも、無に還るのか?」


ビッグボス「…………スネーク。お前は、艦娘というのを聞いたことがあるか?」


スネーク「………確か、あんたと一時期ともに居たと記録が残っていたな。深海棲艦と呼ばれた存在と戦うことのできた、唯一の存在だと。それがどうかしたのか?」


ビッグボス「………いま此処には、2つの魂と6つの死体がある。魂とは、私とお前。残りはゼロ、『彼女』ーー」



ビッグボス「そして、艦娘達だ。彼女たちは、『彼女』の前にある」


スネーク「…………」


ビッグボス「アウターヘブン蜂起。あれを起こしたのは私ではない。オセロットが用意したファントム、私の影武者だ」


ビッグボス「そして、ザンジバーランド騒乱でお前が出会ったビッグボスこそがこの私だ。このことは知っているな?」


スネーク「………ああ」


ビッグボス「ここに至るまで、私は多くの犠牲を伴ってきた。中でも一番悔やまれるのが、彼女達だ」


ビッグボス「彼女達は、最後まで私を慕ってくれた。その好意を、私は払い除けたのだ」




・・・・・・





彼女達は、私と共に深海棲艦を斃した。深海棲艦を倒すためだけに作られた彼女達はお払い箱も同然だ。


深海棲艦を斃すときに、奴らは核を用いてきた。撃たせることを防ぐため、多くの艦娘が犠牲になったのだ。


その姿を見て、生き延びた艦娘たちは不安に駆られて過ごしていた。戦うこと以外を知らない彼女たちにとって、平和というのは地獄以外の何物でもなかった。


当時率いていた部隊はその戦いでほぼ壊滅していた。そこで私は、オセロットと共にある計画を立てていたのだ。


私が再起を図るために、私の名前を歴史から消す。そのためにあらゆる記録。ひいては、人の記憶さえも消していこうと考えたのだ。


その中で私は、彼女たちも消す事になったのだ。方法は2つ。1つは私が殺すこと、もう1つは解体という選択肢だ。


彼女達はそれを聞いて、何でもするからと懇願してきた。人も殺したことの無いような女子供たちだ。だが、私のために人も殺す。核を武装しても構わないと言ってきたのだ。


あの時、出来れば私は解体の道を選んで欲しかった。それがお互いに苦しまずに済むからな。だが彼女たちはそれを拒んだ。


いや、拒んだのではない。死にたくなかったのだ。戦いに明け暮れていて、生死の感覚も麻痺していた彼女たちは、平気で死も恐れない。


そんな彼女たちは、平和というものを己の目で見たときに苦痛を感じていた。であれば、快く受け入れてくれると思っていたが、頑なに拒んだ。




たが、彼女たちは生きてみたかったのだろう。平和に絶望しながらも、新たな道を掴み取ろうと希望を抱いていたのだろう。だが私はそれを砕いた。


私は彼女たちを殺した。姉妹を殺されて激怒する者もいれば、下手な芝居を打って私を殺そうともしてきた。生き延びる事に必死だったのだ。


彼女達を殺した後は、彼女たちをここに埋めた。それをオセロットに任せ、私は最後の作業に取り掛かった。


私を知る者たちを殺す。私と共にしてきた部隊の兵士たちを、私はまとめて殺したのだ。


オセロットが彼女たちを連れて基地から離れたのを見計らって、私は基地に仕掛けておいた爆弾を起動させた。あそこで生き延びたのは、私とオセロットだけだ。





・・・・・・





ビッグボス「それからオセロットは各地に存在する、私を知る者たちを暗殺していった。そして私の影武者を立ててことを起こし、後はお前が知っていること、私が先に話した通りのことだ」



スネーク「今更そんな話をして何のつもりだ。罪滅ぼしか?」



ビッグボス「ふっ。私ももうすぐ、死ぬ事になるのだ。お前の体内にあるFOXDIEによってーー」


ビッグボス「ぐうっ………!!!」


スネーク「おい! しっかりしろ」





・・・・・・





ビッグボス「ーーその目で、外の世界を見ろ。……その身体も、その心も……お前のものだ……。私のPhantom (ドッペルゲンガー) ではない………。ましてや……お前は彼女たちとは違う………」




ビッグボス「私たちのことは忘れて、自分のために生きろ…………。そして………新しい………余命を探せ………」




ビッグボス「お前たち………済まなかったな………許してくれとは言わない………。だが………私も………楽しかったよ………」






ーー叢雲《ふん。だったら、ボスって呼んであげるわよ》ーー


ーー大井《煙草は身体に悪いでしょう! もう! ………ふふっ♪》ーー


ーー長門《ビッグセブンの力、侮るなよボス!》ーー


ーー陸奥《無事でよかったわ。ボス。長門も心配していたから》ーー


ーー翔鶴《ありがとうございます。貴方のために私たち、精一杯頑張りますね》ーー


ーー瑞鶴《どうどう? 私たち、結構強いでしょ? 加賀なんかにも負けない……って! 待ってやめてー!本人に言わないでー!!》ーー







ビッグボス「今になっても………思い出せる………。彼女らの……笑顔が………笑い声がな…………」


ビッグボス「ボス………済まなかったな………。随分と騒がしかっただろう? 元気が取り柄の奴らだからなぁ………」



ビッグボス「ボス………蛇は1人で………いや………」









「蛇も………ボスも………もういらないな」














後書き

メタルギア×艦これシリーズ

これにて完結とさせて頂きます。一通り自分の書きたい物が書けたので満足していると共に、初めてだった作品を面白いとコメントしていただいた方、並びに評価やオススメなどをしていただいた方、また今日に至るまで読んでいただいた多くの方々。感謝の念が絶えません。

凡そ2年掛かってしまい、更新も遅くなり、最初から見ていただいた方は少なくなってしまったかもしれませんが、ご愛読下さり誠にありがとうございました。

また、コメントしていただいた

MGS4のエンディングに〜

を、このような形で採用させて頂きました。予想していたものと違っていたら申し訳ありません。

皆さま、本当にありがとうございました。


このSSへの評価

12件評価されています


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2019-04-25 05:51:28

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2018-06-04 06:00:36

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5件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2017-01-02 14:21:31 ID: oGIvuKVm

メタルギアソリッド4のソリッドスネークとビックボスの再会のシーンに艦娘を混ぜたお話し

2: SS好きの名無しさん 2017-01-17 02:06:20 ID: 3TPEExh-

脳内ボイス余裕で、最後泣けました…

3: SS好きの名無しさん 2017-01-23 21:35:43 ID: ihlvThzC

綺麗にまとまった感じになってるけど自分の再起の為に仲間皆殺しって・・これならバイクで走り去った本編の方がまだまともじゃん。

4: SS好きの名無しさん 2017-02-19 04:34:52 ID: Jd8qGTH2

衝撃のラストでしたけどこんなんもありですな笑
おつです!

5: SS好きの名無しさん 2019-03-20 12:59:33 ID: S:a3B7tG

愛国者達に対抗する為に全てを棄てる...辛い結末だ...
ただ、DD兵はアウターヘブンの兵にそのまま転用すればと思ってしまう。
アウターヘブン内っていう限られた環境なら情報も漏れなかったのでは...?
まあこの結末もIFだけど()


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