2015-01-25 22:10:08 更新

放課後 部室


絵里「あら、今日は穂乃果休みなの?珍しいわね」


海未「なんでも体調を崩したそうです」


にこ「自己管理もできないなんてアイドルとして失格ね。まだまだ意識が低いわ」


凛「にこちゃんもこの間ラーメンを食べてお腹壊してたにゃー」


にこ「あ、あれはアンタたちがデカ盛りなのを教えてくれなかったからでしょーが!//」


花陽「明日は休みだから、週明けには穂乃果ちゃんも戻れそうだよね?」


海未「そうですね。穂乃果のことですから、それだけあれば回復するでしょう」


――

ことり「それにしても、今日の練習はどうしよう?次は穂乃果ちゃんがセンターだよ」


絵里「確かにセンター抜きでの全体練習は難しいわね」


海未「パートごとに分けてメニューを調整してはどうでしょう」


真姫「まぁ、それが妥当ね」


希「ちょっと待った。いいこと思いついたで」


花陽「希ちゃん、何か考えがあるの?」


――

希「こういう時のためにええもんがあるんよ」ゴソゴソ


海未「練習用具ですか?」


希「これや!」スッ


凛「紙…?」


花陽「紙人形…ですか?」


希「そや。これで穂乃果ちゃんがいない分を埋めるで」


――

にこ「はぁ?そんな紙人形で何をするってのよ」


希「まぁまぁ、見てればわかるで」キュッキュッ


【高坂穂乃果 練習熱心】


海未「紙にメモを?」


希「これで完成や」


モクモクモク


花陽「ピャア!?急に煙が!」


真姫「ちょっと、どうなってるのよ!?」


――

海未「げほっ、げほっ。とりあえず窓を開けましょう」ガラッ


にこ「あーもうっ!希、冗談にしてもこれはないわ…よ?」


穂乃果「やっほー!」


ことり「ホノカチャン!?」


海未「ほ、穂乃果!?今日は休みではなかったのですか?」


穂乃果「何のこと?それより練習始めようよ!」


――

絵里「希、どういうことなのこれは?」


希「ここいるのは本物の穂乃果ちゃんじゃあらへんよ」


海未「そんな…どう見ても穂乃果です!私の眼に狂いはありません」


ことり「そうだよ!100%本物の穂乃果ちゃんだよ!」


希「見た目はそうやな。けどな、この穂乃果ちゃんの正体はさっきの紙人形や」


凛「本当かにゃー!?」


――

希「さっきの紙人形は型依式神(かたよりしきがみ)ゆうてな。生命が込められた特別な紙人形なんよ」


真姫「なんでそんなもの持ってるのよ…」


希「うちの実家の蔵から見つけてな。紙に名前を書くと、その本人と同じ姿になるんよ」


絵里「ハラショー…」


希「おまけに、性格も書き込めばその通りになるんや」


花陽「す、すごいです…」


にこ「スピリチュアルにこ…」


穂乃果「みんなー、さっきから何の話してるの?早く練習始めないと時間がもったいないよ!」


――

凛「なるほどー。だからこの穂乃果ちゃんは練習熱心なのかにゃー」


海未「確かに普段の穂乃果は怠け癖がありますからね…」


希「さ、これで9人そろったことやし、練習始めよか?」


絵里「そうね。せっかく希がとりなしてくれたことだし、始めちゃいましょう」


穂乃果「張り切っていくよー!」


――

3時間後


凛「もう疲れたにゃー」グダッ


穂乃果「凛ちゃん、ファイトだよ!ラブライブまで手は抜けないよ!」


海未「普段の穂乃果とは真逆の態度です…」


ことり「穂乃果ちゃん、今日は休憩中もステップの確認してたもんね」


絵里「穂乃果。熱心なのはいいことだけど、今日は遅いからお開きにしましょう」


穂乃果「そっかぁ。それじゃあしょうがないね。続きは明日にしようか!」


凛「凛はこの穂乃果ちゃんは厳しすぎて嫌だにゃー…」


花陽「でも、今日は穂乃果ちゃんのリードで練習がとっても捗ったよ」


海未「いつもこうありたいものです」


――

穂乃果「それじゃあ、みんな。帰っても各自振り付けの確認を忘れないようにね!」キラキラ


真姫「まるで別人ね」


にこ「穂乃果にアイドル魂を見たにこ…」


ことり「穂乃果ちゃん本人じゃないけどね」


絵里「ところで希。この穂乃果はどうしたらいいの?」


希「あぁ、それなら簡単やで」ヨット


海未「コップ…ですか?」


希「これに水を入れて、塩を混ぜるんや」サッー


凛「塩水にゃー」


希「ほんでこれをかければ完成や!」パシャッ


穂乃果「ひゃあっ!?」


モクモクモク


――

花陽「あっ!穂乃果ちゃんが紙人形に戻ってます!」


絵里「便利な紙人形ね…」


希「これなら人数不足の時でも、練習できるやろ?ほんま、ええ使い方思いついてよかったわ」


凛「希ちゃん、その紙人形ほしいにゃー!もっとないの?」


希「えっ、この紙人形をかいな?」


ことり「希ちゃん、私もほしい!」


希「まぁ、ええけど?ぎょうさん持っとるし、みんなにも分けたるわ」


凛「やったー!」


ことり「ちゅん!」


――

希「人形は使い捨てやから、書き込みは一体につき一回までや。使い終わったらちゃんと塩水かけて戻しといてな。まぁ、数時間放置しても自然と戻るんやけど」


凛「わかってるにゃー!」


ことり「ありがとう、希ちゃん!」


にこ「便利だとは思うけど、何に使う気よ?」


凛「それは秘密にゃー」


ことり「えへへ…//」


海未「の、希!私にも同じものをください!お願いします!」


絵里「私にもお願い!」


真姫「そ、それなら私も…//」


希「はいはい。数はあるから慌てんといてや」


――

夕方 通学路


にこ「遅くなったし、早く夕飯分の買い物していかなきゃ」


にこ「え~と、今日買う分は…」


にこ「けっこうあるわね。スーパーで買わないと」


――

近所のスーパー


にこ「こ、これは!」


本日特売セール 卵40%OFF おひとり様2パックまで


にこ「しまったにこ…こころたちも連れてくればよかった…」


にこ「なによ!こんなときにかぎって、他のも安いじゃない~!」キィー


にこ「あっ、そうだ」


にこ「こういうときこそ、さっきのを使えばいいんじゃない!」キュッキュッ


【西木野真姫】 


モクモクモク


真姫「…なによ?」


にこ「真姫ちゃん。はい、このカゴ持って」グッ


真姫「はぁ?何で私がそんなことを…」


にこ「今日は特売日なの!一人より二人の方がお得に買えるのよ!」


真姫「私は便利屋じゃないのよ…」


にこ「いいでしょ、お金は私が出すんだから。はい、卵2パック!それと、北海道産じゃがいも3袋に缶詰4個ね」ドサドサ


真姫「しょうがないわね…」


にこ「やっぱり真姫ちゃんは頼りになるにこ!」


真姫「な…しょうがなく付き合ってあげてるだけよ!勘違いしないで!//」


――

絵里の部屋


絵里「うふふ…これはいいものを手に入れたわ」キュッキュッ


【高坂穂乃果 妹】


モクモクモク


穂乃果「絵里お姉ちゃん!」


絵里「は、ハラショー!かわいすぎるチカ!//」


穂乃果「穂乃果、絵里お姉ちゃんと遊びたい!」


絵里「えぇ、いいわよ。穂乃果のやりたいこと、何でも言ってみなさい」


穂乃果「わーい!お姉ちゃん、だ~い好き!」ギュッ


絵里「チカー!//」


亜里沙「お姉ちゃん…」


――

夜 海未の部屋


海未「ふふふ…首尾よく手に入れました…」ゴクリ


海未「私の使い道は…当然こうです」キュッキュッ


【高坂穂乃果 甘えん坊】


モクモクモク


穂乃果「海未ちゃ~ん」スリスリ


海未「うひょっ…。だ、ダメじゃないですか、穂乃果。はしたないですよ…//」


穂乃果「海未ちゃん…穂乃果のこと嫌い?」グスッ


海未「そんなわけありません!穂乃果のことは世界一愛しています!」ハァハァ


穂乃果「それじゃあ…一緒に寝よう?穂乃果、寂しくて海未ちゃんと一緒じゃなきゃ眠れないよ…」


海未「やりました」グッ


――

ことりの部屋


ことり「希ちゃんと友だちで本当によかったぁ」キュッキュッ


【高坂穂乃果 従順】


モクモクモク


穂乃果「ことりちゃん…」


ことり「穂乃果ちゃん。ことりのお願い聞いてくれるかなぁ?」


穂乃果「穂乃果はことりちゃんの言うことなら何でも聞くよ」


ことり「ギュっとしてもいい?」


穂乃果「うん!」


ことり「ふふふ…穂乃果ちゃんあったかい…」ギュッ


穂乃果「穂乃果もことりちゃんと一緒で幸せだよ」


ことり「ねぇ、穂乃果ちゃん…」


穂乃果「どうしたの、ことりちゃん?」


ことり「ことりと…キスしよう?」


穂乃果「…ことりちゃんが望むなら//」


ことり「ん…むぅ…」


穂乃果「むぐっ…」


ことり「はぁっ…し、幸せちゅん…//」


――

翌日 昼 真姫の部屋


真姫「よし、準備万端ね…」キュッキュッ


【矢澤にこ 真姫ちゃん専属アイドル】


モクモクモク


にこ「にっこにっこにー!」


真姫「にこちゃん!こっち向いてー!」


にこ「にこっ☆」


真姫「ま、眩しい…!さすがにこちゃん、世界一輝いてるわ!」


にこ「今日はにこにーの特別ライブにようこそにこ!」


にこ「真姫ちゃんのために、最高のパフォーマンスを魅せるにこー!」


真姫「に、にこちゃん…//」


――

校舎裏


凛「早速使ってみるにゃー」キュッキュッ


【園田海未 いじめられっ子】


モクモクモク


凛「海未ちゃん、ようこそにゃー」


海未「こ、ここはどこですか?」オドオド


凛「校舎裏だよ」


海未「どうしてこんな所に…」


凛「それはね…」ニヤリ


海未「な、なんですか…!?」ガタガタ


凛「こうするためだよッ!」


パシーン


――

海未「…っ!」


凛「あははは!なんて顔してるにゃ!」


海未「い、痛いです!」


凛「当たり前だよ。叩いたんだから」


げしっ


海未「あうう!」


凛「ほらほら。もっといい声で泣きなよ!」


海未「や、やめてください!」ヒィッ


――

凛「ざまあないね。海未ちゃん」


海未「どうして…どうしてこんなことをするんですか?もうやめてください…」グスッ


凛「嫌だよ」


ぼこっ


海未「かはっ…」ガクッ


凛「やめるわけないじゃん。こんな楽しいこと」


海未「た、助けて…。凛、どうしてこんな…」


凛「まだわからないの?」


ゴッ


――

海未「あぁっ!」ドタッ


凛「こんなの当然の報いだよ」


海未「わ、わかりません。私が何をしたというんですか…」ヒクッ


凛「自分の胸に聞いてみれば?」


バシッ


海未「ひぎぃいぃっ!」


――

凛「海未ちゃんはどうしようもない馬鹿だから特別に教えてあげる。これは全部海未ちゃんが凛にやったことのお返しだよ」


海未「そ、そんな…私は凛に暴力なんか…」ハァハァ


凛「言い訳しないでよ!」


パァン


海未「うっ…」


凛「いっつもいつも…海未ちゃんは凛に厳しすぎるんだよ。何様のつもりなの?」


海未「そ、そんなことは…」


凛「練習のたびに凛のことばっかり注意して…もううんざりなんだよ」


海未「そんなつもりはありま…」


ガッ


海未「あぐぅっ!」


凛「海未ちゃんは不公平だよ。穂乃果ちゃんがサボっててもやんわり言うだけなのに、凛が休みたいって言っただけでやる気がないとかなんとか言いだして…」


海未「す、すみませんでした…。ゆ、許してください…」


凛「この場所を選んだのはね、前に海未ちゃんが凛に意地悪した場所だからだよ」


海未「うぅ…」


凛「凛がステップを覚えられないからって、一人でいつまでも居残らせたよね?」


凛「挙句の果てに、練習もできないようなメンバーはμ’sにいらない…だっけ?」


凛「凛ね、家に帰ってからずっと眠れなかったんだよ」


凛「海未ちゃんにそんなこと言われて、悲しくてずっと泣いてたからなんだよ…」


海未「凛…」


――

凛「もうね、μ’sなんてやめてもいいんだ。凛にとっては苦痛でしかないから」


海未「凛…私が悪かったです。だから…そんなことを言わないでください」


凛「安心して。凛はμ’sをやめない。やめられないんだ」


凛「9人そろわないとμ’sじゃない」


凛「かよちんがいつも言ってるんだ」


凛「かよちんの想いは裏切れないよ…。だから、凛は海未ちゃんのことがどれだけ嫌いでも、μ’sを続けるから…」


――

海未「凛…ごめんなさい…許してください…」グスッ


凛「それにね、この場所を選んだのはもう一つ理由があるんだ」


げしっ


海未「あがぁっ!」


凛「ここはただでさえ目立たないからね。まして、休みの日ともなれば、誰もこんなところに来ないよ」


海未「り、凛…許してください…お願いです…」


凛「だからね…思う存分、海未ちゃんを痛めつけられるよ」


バキィ


海未「ぎゃあぁあ!」


――

15分後


海未「ゆ…許じでぐだざい…」ビクンビクン


凛「この程度で…この程度で自分のしたことが許されると思ってるんだ?おめでたいね、海未ちゃんは」


凛「まぁ、凛も疲れたからちょっと休憩しようか」


凛「凛は飲み物買ってくるから。海未ちゃんはそこで無様に倒れていなよ」


凛「逃げたら承知しないよ。もっとひどい目に遭ってもらうからね」ガシッ


海未「あ…あうぅ…」


――

学校前


凛「さてと、さっさと飲み物買ってこよう。気分がスカッとしたからおなかもすいちゃったにゃあ」


花陽「あれ、凛ちゃん。どうしたの、こんなところで?」


凛「かよちん!いいところで会ったにゃあ。お昼、まだ食べてないよね?」


花陽「うん。まだだけど…」


凛「新しくできた熊本ラーメンのお店があるから一緒に行こうよ!ランチタイムはコシヒカリ替え飯が無料だよ」


花陽「そうなの!?今から行っても間に合う?」


凛「大丈夫にゃあ。それじゃ、行こうか」


――

校庭


穂乃果「は~やれやれ」


穂乃果「週末分の課題を机の中に忘れてきちゃうなんて…」


穂乃果「プリントと一緒に届けてもらえばよかったよ」


穂乃果「せっかくのお休みなのに学校に来るはめになるなんて」ムスー


穂乃果「でもでも!無事に回収できたわけだし、一件落着だね!」


穂乃果「課題は海未ちゃんかことりちゃんにでも見せてもらおうっと」


穂乃果「さぁ、午後はたっぷり遊ぶよ!」


――

校舎裏


穂乃果「ん?」


穂乃果「何だろう、誰かの声が聴こえるような…」


穂乃果「こんなところ、誰もいないよね?」


穂乃果「もしかして幽霊?」


穂乃果「そういえば、音ノ木坂七不思議で校舎裏に幽霊が出るって聞いたような…」


穂乃果「もし正体を突き止めたら一大スクープだよ!」


穂乃果「さっそく見に行ってみよう!」


――

穂乃果「どこかなどこかな~。多分このあたりから聴こえてくる気がするんだけど…」


海未「ごめんなさい…ごめんなさい…」


穂乃果「ひゃあっ!?海未ちゃん、どうしてこんなところに…」


穂乃果「って、ひどい怪我だよ!いったいどうしたの!?」


海未「ゆ、許してください…」


穂乃果「海未ちゃん、大丈夫?いま手を貸すよ」


海未「うぅ…」


穂乃果「立てそう?」


海未「はい…」


穂乃果「どうしてこんな怪我を…誰にされたの!?」


海未「…」


穂乃果「あ…ご、ごめんね。言いたくないなら言わなくていいよ。早くここから離れよう」


――

穂乃果の部屋


穂乃果「とりあえず海未ちゃんを連れてはきたけど…」


穂乃果「海未ちゃん、本当に大丈夫?病院に行ったほうがいいんじゃないかな…」


海未「いえ、もう大丈夫です…」


穂乃果「いま、救急箱を取ってくるね」


――

穂乃果「少し沁みるけど、消毒だから我慢してね」


海未「ううっ…!」


穂乃果「ごめんね。もうすぐ済むから…」


海未「はい…」


穂乃果「包帯と絆創膏で応急処置しておくね」


――

穂乃果「これでよし…と」


海未「穂乃果、何から何まですみません」


穂乃果「海未ちゃん…いったい何があったの?」


海未「…」


穂乃果「無理には聞かないけど…穂乃果、海未ちゃんの役に立ちたい。海未ちゃんが一人でつらい思いをしているなら、穂乃果が支えてあげたいんだ」


海未「穂乃果…」


穂乃果「海未ちゃん…」


海未「これほど心配してくれる穂乃果に嘘はつけません。すべて話します…」


――

穂乃果「えっ、凛ちゃんが…」


海未「はい。しかし、元はといえばすべて私が悪いのです」


穂乃果「でも…海未ちゃんがいつもしっかりしてくれているから、μ’sはまとまってるんだよ」


海未「穂乃果…」


――

穂乃果「とにかく…凛ちゃんと話をしないと」


海未「ま、待ってください穂乃果。穂乃果に話したことがばれたら、私は…」


穂乃果「大丈夫だよ。海未ちゃんに意地悪するなら、たとえ凛ちゃんでも私が許さない」


穂乃果「…もし素直に謝らないようだったら、μ’sを辞めてもらうことも考えてるから」


海未「…」


――

穂乃果「とりあえず電話してみよう」ピピピ


穂乃果「…出ないね」


穂乃果「海未ちゃん。さっき凛ちゃんは、すぐに戻って来るって言ったんだよね?」


海未「は、はい。そう言いました」


穂乃果「それなら私が校舎裏まで行くよ。海未ちゃんはここで待ってて」


海未「…わかりました」

 

――

ラーメン屋


凛「いやぁ、ここのラーメンもなかなか深みがあるにゃ」


花陽「やっぱりコシヒカリは美味しいね。これで替え飯無料なんて、夢みたいだよ…」


凛「かよちんに気に入ってもらえてよかったにゃあ」


花陽「ところで、凛ちゃんは学校で何してたの?」


凛「(あっ、そういえば海未ちゃんをほったらかしにしてたにゃ)」


凛「(でも、時間が経っても消えるみたいだし…。このままにしていてもいいよね?)」


凛「(本当ならもっと仕返ししてやりたかったけど、また希ちゃんにもらえばいっか)」


凛「何でもないよ。ただ散歩してただけにゃあ」


花陽「それなら午後はうちに来ない?」


凛「そうするにゃ!」


――

夕方 校舎裏 


穂乃果「凛ちゃん…来ないね」


穂乃果「海未ちゃんがいなくなってるから、探しに行ったのかな?」


穂乃果「まぁいいや。休み明けに会ったら、直接問いただすまでだね」


穂乃果「今日は帰ろう。あんまり海未ちゃんを待たせても悪いし」


――

高坂家


穂乃果「あれ、海未ちゃんどこ行ったんだろ?」


穂乃果「ねー、雪穂。海未ちゃん見なかった?」


雪穂「海未さん?さっきまでお姉ちゃんの部屋で待ってたはずだけど…」


穂乃果「遅くなったから帰っちゃったのかなぁ?」


穂乃果「海未ちゃん、そっとしておいてほしかったのかな。学校でも今日のことは話題に出さないでおこうかな…」


穂乃果「けど、凛ちゃんのやったことは許せないし…。放課後、海未ちゃんがくるまでに話をつけておこう」


――

月曜日 放課後 部室


ことり「穂乃果ちゃんに似合う衣装を考えてみたよ。今はスケッチの段階だけど、こんな感じでどうかなぁ?」


真姫「穂乃果のイメージに合った、エネルギッシュな感じね」


絵里「私もいいと思うわ」


ことり「穂乃果ちゃんはどうかな?」


穂乃果「え…うん。いいと思うよ」


ことり「あれ?もしかして穂乃果ちゃん、あんまり気に入らなかった…?」


穂乃果「そんなことないよ」


――

真姫「穂乃果、どうかしたの?何か、今日はいらいらしてるみたいだけど…」


穂乃果「別に…」


凛「みんな、もう集まってるかにゃー?」ガラッ


穂乃果「…!」ピクッ


――

凛「かよちんは遅れて来るって言ってたよ」


穂乃果「…」ツカツカ


真姫「穂乃果?」


穂乃果「…」


凛「にゃ?穂乃果ちゃん、どうしたにゃ?」


穂乃果「…凛ちゃん。何か言うことはないの?」


凛「え?」


――

穂乃果「とぼけないでよ。全部わかってるんだから」


凛「な、何のことにゃあ?」


穂乃果「いい加減にして!」


凛「にゃ!?」ビクッ


真姫「ど、どうしたのよ穂乃果?」


穂乃果「ほら、早くしてよ。何か言うことがあるでしょ」


凛「な、何言ってるの?凛、よくわからないな…」


穂乃果「ふざけないで!」パシン


凛「あうっ!」


――

真姫「穂乃果、何するのよ!」


穂乃果「止めないでよ!私は…」


真姫「何があったかは知らないけど、いきなり暴力を振るうなんて…」


穂乃果「それは間違ってるよ。暴力を振るったのは凛ちゃんの方だから」


真姫「ど、どういうことよ」


穂乃果「出て行ってよ!凛ちゃんなんかμ’sにいらないよ!」


凛「…!」


――

ことり「ほ、穂乃果ちゃん…」


真姫「何を言ってるのよ穂乃果。まずは落ち着いて…」


凛「…わかった。出て行くよ」


絵里「ち、ちょっと凛…」


凛「もういいよ!海未ちゃんも穂乃果ちゃんも大っ嫌いだよ!」ダッ


真姫「凛!?」


穂乃果「放っておこうよ。これでμ’sもうまくやっていけるよ」


――

真姫「穂乃果、いったいどうしたのよ?どうして凛にあんなことを…」


穂乃果「みんなは知らないと思うけど…私、見たんだよ」


真姫「何を見たっていうのよ?」


穂乃果「この間の休日、海未ちゃんが校舎裏で傷だらけになって倒れてるのを」


ことり「海未ちゃんが!?」


穂乃果「私、びっくりして、海未ちゃんに聞いてみたの。誰がこんなことをしたのかって…」


絵里「まさか、その相手が…」


穂乃果「そう、凛ちゃんだった。海未ちゃん、泣きながらごめんなさいって謝ってたのに、それなのに凛ちゃんは…」


――

真姫「ちょっと待って。どうして凛が海未に暴力を振るうのよ?」


穂乃果「練習の時に海未ちゃんに怒られるから…要するに、仕返しだよ」


ことり「そんな…」


穂乃果「まったく…逆恨みもいいところだよ。そんなことで暴力を振るっていいと思ってるのかな?」


絵里「で、でも。だからといって、凛をμ’sから追い出すなんて…」


穂乃果「…海未ちゃんは私の大切な友だちなの。絵里ちゃんだって、希ちゃんが誰かに暴力を振るわれたら、黙っていられるの?」


絵里「そ、それは…」


――

穂乃果「…とにかく、私は凛ちゃんにμ’sから出て行ってもらわないと気が済まない」


真姫「穂乃果、気持ちは分かるけど、決断を急ぐのはよくないわ」


穂乃果「…わかった。それじゃ、希ちゃんや花陽ちゃんの意見も聴こう。それで、みんなが凛ちゃんが出て行くことに賛成なら、決まりだね」


ことり「穂乃果ちゃん…」


穂乃果「はぁ…。凛ちゃん、最後まで謝らなかったね。私、気分が悪いから、今日は先に帰るね」ガラッ


真姫「ちょっと、穂乃果…」


穂乃果「希ちゃんたちも賛成なら連絡ちょうだい。新しいμ’sになったら、すぐ練習に合流するから」バタン


絵里「穂乃果…」


――

ことり「どうしよう…」


絵里「どうするって言われても…」


ことり「穂乃果ちゃんがあんなに怒ってるの、私初めて見たよ…」


真姫「…参ったわね。これじゃあμ’sはバラバラよ」


ことり「絵里ちゃん、何かいい考えはない?」


絵里「…思いつかないわ」


――

にこ「にっこにっこにー☆みんなのアイドル、矢澤にこちゃん登場にこ!」ガラッ


花陽「すみません、遅くなりました」


希「みんなもう集まっとる?うちら、さっき下で会ってそのまま来たんや」


海未「おや?穂乃果と凛がいませんね」


ことり「う、海未ちゃん!大変だよ!」


海未「どうかしましたか?」


――

ことり「穂乃果ちゃんと凛ちゃんがケンカして…穂乃果ちゃんは凛ちゃんにμ’sから出て行けって…」


海未「何ですって!?」


にこ「何よ、またケンカ?よくあることよ、放っておけばいいじゃない」


絵里「そんなものじゃないわよ。穂乃果、ものすごい剣幕だったわ…」


海未「いったい原因は何なのですか」


ことり「それが…凛ちゃんが海未ちゃんに暴力を振るったって…」


海未「え?私にですか?」


――

真姫「海未、怪我の具合は大丈夫なの?」


海未「あの、私は怪我などしていません。第一、凛から暴力を振るわれたことはありませんよ」


絵里「え?どういうことなの?」


ことり「穂乃果ちゃん、嘘をついてるようには見えなかったよ」


海未「解せません…。とにかく、私は穂乃果に会って直接話を聞いてきます!」ダッ


――

絵里「わからないわ…。穂乃果はいったいどうしてあんなことを…」


真姫「ことりの言うとおり、穂乃果が嘘を言っているようには見えなかったわ。穂乃果は休日の校舎裏で怪我をした海未を見たって言ってたけど…」


ことり「誰か海未ちゃんとよく似ているひとと間違えたのかなぁ?」


にこ「はぁ?そんなわけないでしょう。あの紙人形ならともかく、そんなそっくりさんがいるわけ…」


真姫「それよ!」


にこ「へ?」


――

真姫「きっと穂乃果が見たのは紙人形の海未だわ。それなら、海未の話とも辻褄が合うわ」


ことり「そ、それじゃあ凛ちゃんは、紙人形を海未ちゃんにして暴力を振るってたの…?」


花陽「そういえば…あの日、凛ちゃんは学校の近くにいました」


希「そんな…。うちの渡した紙人形のせいで、こないなことになるなんて…」


絵里「希のせいじゃないわ」


――

真姫「そうなると、凛は本物の海未に暴力を振るったわけじゃなさそうね」


ことり「でも穂乃果ちゃんはあの紙人形のことを知らないし…。知ったところで、凛ちゃんを許さないと思うよ」


絵里「あぁ、どうしたらいいのかしら?」


花陽「あ、あの。私に考えがあります」


希「花陽ちゃん、何か思いついた?」


花陽「私、まだこの紙人形を使ってなくて…。これでもしかしたら解決ができるかも…」


――

屋上


凛「穂乃果ちゃん…あの日、学校に来てたんだ。それで海未ちゃんを見て…」


凛「…それにしても、どうして凛ばっかり責めるんだろ。悪いのは海未ちゃんなのに…」


凛「そうだよ、いつもそう。海未ちゃんは穂乃果ちゃんをかばって、穂乃果ちゃんは海未ちゃんをかばう」


凛「悪いのはいっつも凛」


凛「もうやってられないよ。μ’sなんてどうでもいい。海未ちゃんも穂乃果ちゃんも、大っ嫌いだもん!」


――

花陽「やっぱり…凛ちゃんならここに来てると思った」


花陽「お願い、海未ちゃん。凛ちゃんと穂乃果ちゃんが仲直りするのに力を貸して」キュッキュッ


【園田海未】


モクモクモク


海未「どうしました、花陽。浮かない顔をして…」


花陽「海未ちゃん、実はこういうことになっていて…」ゴニョゴニョ


海未「…なるほど、わかりました。私が責任をもって解決します」


――

海未「凛。こんなところにいたのですね」


凛「海未ちゃん…!」


海未「探しましたよ」


凛「…よかったね、海未ちゃん。凛みたいな邪魔者がμ’sからいなくなって。後は穂乃果ちゃんと一緒に楽しくやればいいよ」


海未「凛…」


凛「何?まだ凛のことをバカにし足りないの?」


海未「申し訳ありませんでした」


凛「…!」


――

海未「私が…私が間違っていました。凛のことをそこまで傷つけていたことも知らずに…」


凛「…いまさら遅いよ」


海未「悪いのはすべて私です。μ’s全体のことばかり考えて、凛の気持ちを考えることもせずに…」


凛「どうせ、凛は物覚えの悪い役立たずだよ。μ’sの足手まといだよ」


海未「そんなことはありません!」


――

海未「凛は…μ’sで誰よりも強い輝きを持っています」


凛「口先だけでなら何とでも言えるよ」


海未「これは本心からです。凛は私にないものを…μ’sの他の誰にも持っていない輝きを持っています」


海未「同じスクールアイドルのメンバーとして羨ましくなるほど…」


海未「凛の才能は磨けば磨くほど輝きを増します。だから…私はあえて凛には厳しくしてしまいました」


海未「凛にとっては迷惑でしかなかったと思うと…申し訳ない気持ちでいっぱいになります」


――

凛「…本当なの、海未ちゃん?凛のことが嫌いだから、きつく当たってたんじゃないの?」


海未「凛のことをそのように思ったことは一度もありません。そう思わせてしまった非は私にありますが…」


凛「そんな…そんなこと言われても、信じられないよ…」


海未「…次回のセンターは穂乃果ですが、私は凛に投票しました」


凛「…えっ?」


海未「確かに穂乃果にも素晴らしい才能があります。しかし私は…凛の才能と努力を一番間近で見てきたつもりです」


凛「海未ちゃん…」


海未「…凛を傷つけてしまったことは事実です。私はせめてもの罪滅ぼしにμ’sを去ります。ですから、凛は…μ’sに残ってください。お願いします」


――

凛「…海未ちゃん、悪いけどそのお願いは聞けないよ」


海未「…そうですか。申し訳ありませんでした。私のせいで、凛の才能を潰してしまって…」


凛「だって、凛は…海未ちゃんと一緒にμ’sを続けていくから」


海未「凛…!」


凛「ごめんね、海未ちゃん。ずっと誤解してたよ。海未ちゃんは…凛のことが嫌いで意地悪してるんだって」


凛「でも、ようやく誤解が解けた。海未ちゃんは…誰よりも凛のことを見ていて…」


凛「誰よりも凛のことを信じてくれていたって…」


――

凛「海未ちゃん、ごめんなさい。海未ちゃんの気持ちも知らないで、あんなひどいことをして…」


海未「もういいんですよ。凛のつらい気持ちに気付けなかった私が悪かったのですから」


凛「ありがとう、海未ちゃん…。でも、どうしよう。凛、穂乃果ちゃんを怒らせちゃったよ…」


海未「大丈夫です。穂乃果には私から言って聞かせます」


凛「海未ちゃん…」


――

花陽「良かったね、凛ちゃん。誤解が解けて」


凛「かよちん…」


花陽「海未ちゃん。穂乃果ちゃんのこともお願い」


海未「わかりました。それでは、私は穂乃果を説得してきます」


凛「かよちん、凛が間違ってたよ…。海未ちゃんが…一番凛のことを見ていてくれたのに…」グスッ


花陽「大丈夫だよ。海未ちゃんは優しいから…凛ちゃんもわかるでしょう?」


凛「うん…」


――

穂むら


穂乃果「まったく、凛ちゃんがあんなに性格が悪いとは思わなかったよ!」


穂乃果「海未ちゃんにあんなひどいことして…絶対にμ’sから出て行ってもらうんだから!」


海未「ここにいたのですね、穂乃果」ガラッ


穂乃果「う、海未ちゃん!」


――

海未「穂乃果、凛を許してください。私が悪かったのです。凛の誤解は解けました」


穂乃果「そ、そんなこと言っても…。海未ちゃんは優しすぎるよ!」


海未「穂乃果。穂乃果は私のことが…大切ですか?」


穂乃果「え?そ、そんなの当たり前だよ!海未ちゃんは私の一番の友だちだもん!」


海未「それでは、一番の親友である私の頼みを聞いてください」


穂乃果「うぅ…だってぇ、凛ちゃんはあんなひどいことしたんだしぃ…」


――

海未「凛はずっと悩んでいました。私に嫌われて、つらく当たられていると感じていたのです」


海未「私にそんなつもりはありませんでしたが、凛は深く傷つきました」


海未「それは私の責任です。先ほど凛と二人きりで話し合いましたが、凛は誤解を解いてくれました」


海未「凛は私の大切な友人で、後輩で…かけがえのないμ’sの仲間なのです」


海未「ですから、凛のいないμ’sなど考えられません。9人そろって、初めてμ’sなのです」


海未「穂乃果…どうかお願いします…」


――

穂乃果「あぁー、もう!わかったよ!」


穂乃果「海未ちゃんにそんな風にお願いされたら断れないの、わかってるよね!?」


穂乃果「恥ずかしいけど、凛ちゃんに謝ってμ’sに戻って来てもらうよ!」


海未「ありがとうございます、穂乃果」ニコッ


――

花陽「どうやら一件落着のようですね」ホッ


花陽「凛ちゃんからも穂乃果ちゃんに謝るよう言っておいたし…明日にはすべて解決しそう」


花陽「それにしても、やっぱり海未ちゃんは海未ちゃんだなぁ。何も性格を付け足さなくても、みんなのことを一番に考えてくれるんだもんね」


花陽「μ’sの絆は9人の絆…。海未ちゃんがいて、凛ちゃんがいて、穂乃果ちゃんがいる。みんながいて初めてμ’sになれるんだから」


花陽「海未ちゃんにはこれからもみんなをリードしてもらわないとね!」


その頃…


海未(本物)「穂乃果ー!どこですかー!?出て来てくださーい!」


おわり


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SS好きの名無しさんから
2019-06-20 09:43:21

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2019-06-06 11:58:42

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2015-06-04 00:31:57

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2015-01-27 03:33:09

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2015-01-26 03:26:31

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このSSへのコメント

2件コメントされています

1: ゆっけ 2015-01-27 00:23:59 ID: KactYUmS

凛ちゃんやりスギィ

2: SS好きの名無しさん 2016-02-19 15:08:18 ID: J3-099DT

おもしろかった


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