2018-07-20 23:46:45 更新

概要

2年前――――とある鎮守府の破滅とともにぷらずまさんという電ちゃんによく似た謎の鬼畜艦が保護された。

結果、敵ではないとされ――――その特異な身体は巨大かつ重要な戦力として重宝されることとなるものの、その難儀な性格から運用が困難を極めていた。

1年後――――支援施設として再建された彼女の根城は、再び鎮守府として再起を命じられたものの、ぷらずまさんが提督クーリングオフの繰り返し。


2年後――――そんな中、今年で27歳(肉体年齢ではない)になるぷらずまさんは、とあるブラック認定を受けている提督の着任を受け入れたことから物語は始まり、

まず鎮守府のお友達作り(兵隊勧誘)から。

心に傷を負い支援施設に来た艦娘へのメンタルケア(物理)や、

――――海から逃げ出した。

解体されてからそんな感じで病んでたお友達のスカウト(廃品回収)により、ぷらずまさん達は戦力を増強してゆく。

燻る欠陥品どもは深海棲艦とのセンソーに終結を打つことを胸に、再び海へファンファーレ!

※コメディ&シリアス&コメディです


前書き

注意事項
【勢い】
・ぷらずまさんと称しているだけのクソガキな電ちゃんの形をしたなにか。

もう矛盾あっても直せない恐れあり。チート、にわか知識、オリ設定、独自解釈、日本語崩壊、キャラ崩壊、戦闘描写お粗末。SS初投稿、スマホ書きスマホ投稿etc.

ダメな方はすぐにブラウザバックお願いします。


【1ワ●:ぷらずまと呼んで欲しいのdeath】



――――あれが例の鎮守府?

 


クス、クス

 


――――戦場に立てなくなった

 


――――死に損ないの連中でしょ?

 


 司令官も、

 


あの、大戦艦大和を沈めた

 


馬鹿で、無能の

 


 人殺し

 


 だってさ。

 


 同情はするけどさ。



――――司令官と艦娘で、リハビリでもしに来たのかしら。

 

クスクス クスクス

 

――――――よく合同演習に出てくる気になったよね。遠足気分かな。

 


ただでさえ、戦場に出ず、海軍の穀潰しなのに、恥ずかしく、

 

 ないのかしら。

 


――――頭も、

 

 いかれてるからだろ。

 


 死んでも、

 


 いいやつらだよね。



 囮に、最適じゃん?

 

クスクス 

 

 

ぷらずま「●ワ●」ジーッ



1

 


提督「…………」


 

間宮「えっと、大丈夫ですか救急車とか…………」

  

 

提督「いえ、自分、ここに着任することになった……」


 

間宮「あ、あら、ごめんなさい。優れない顔つきをしているものですから」

 

 

提督「……生まれつきです。申し訳ありませんね。肌は青白いし、吹けば倒れるように細いですものね。軍人、のイメージではないとは」

 

 

間宮「加えて言えば目が……虚ろで。長旅でお疲れのようですし、とりあえずお休みになられますか?」

 

 

提督「大丈夫のはずです。鎮守府として機能は徐々に復活させてゆくとして、とりあえず」

 

 

間宮「鎮守府、ですか……」

 

 

提督「今回はその、いち早く鎮守府としての機能を取り戻す、ようにと」

 

 

間宮「噂のブラ鎮による過酷な労働でメンタルケアが必要になった子」

 

 

間宮「解体されて社会復帰するために支援を必要としている元艦娘の子達のための施設として利用されていた、というのはご存知ですよね」

 

 

間宮「今はまだ籍を置いてる子は心身に傷を負った女の子、しかも、いるのはその子1人だけ、というのをご了承して頂けると」

 

 

提督「大丈夫です」

 


間宮「私の目から見て、まだとても深海棲艦との戦いなんて……」

 

 

提督「ご安心を。覚悟さえ確認できれば弾除けの盾として1ヶ月で最前線に立たせてみせますから」


 

間宮「」

 

 

ぷらずま「● ●」

 

 

提督「ところであそこにいる子は」


 

間宮「駆逐艦の電ちゃんですね。1週間前に支援施設の子は卒業していまして、今この鎮守府にいる艦娘はあの子と私だけ、です」


 

提督「あれが、電さん、ですか」


 

間宮「ええ。ひとまず執務室にご案内致しますので……」

 

 

提督「よろしくお願いします」

 

 

ぷらずま「● ●」ジーッ


 

提督「……」



2



提督「電さん、ですよね?」

 

 

電「………なのです」


 

提督「ここ鎮守府と支援施設があるのですけど、艦娘は駆逐艦の電さんと給糧艦の間宮さんだけなのですか?」

 

 

電「………なのです」

 

 

電「鎮守府として復興するので人の受け入れはとうの昔に終わっているのです」

 

 

電「支援施設のほうも三月に4期生が卒業し、社会復帰を果たして空っぽなのです。なので、鎮守府としてはこれからなのですが、今は初期艦の私と、間宮さんの二人だけなのです」


 

提督「そうですか」

 


電「あの、お願いがあるのです」

 

 

提督「なんでしょう」


 

電「そこらの鎮守府みたいに活動するの止めませんか? 今までみたいに病気の人や解体された艦娘さんの支援施設として活動したいのです」

 

 

提督「……」

 

 

電「さきほど、司令官さんカッコカリは戦う力のない私達を1ヶ月で弾除けの盾として機能させるといったのです」

 

 

提督「それがなにか」


 

電「……深海棲艦の打撃を受ける前、この鎮守府はブラックでした。この電も被害者です。弾除けだなんてあなたもあの司令官とおなじなのです」


 

間宮「………」ジロッ


 

提督「……」

 

 

提督「ああ、嫌ってことですか」

 

 

提督「あのー……」

 

 

提督「ここ、施設は残されておりますが、施設のほうの運営は終わり、鎮守府として再起するという説明を事前に受けているのですが……」

 

 

電「私のことは聞いていますか?」

 

 

提督「ええ……」

 

 

電「こちら側で最も強い、と思っていただいて結構なのです。私には司令官を選択する権利が与えられているのです」

 


電「そしてここは私を運用することが目的とされた鎮守府、なのです」

 


電「つまり、私があなたを司令官と認めるまで、立場はあなたより上なのです」


 

電「聞いていませんか?」


 

提督「聞いて、いますけど」

 

 

電「けど、なんなのです」

 

 

提督「いえ……ではしばらく今まで通りに支援施設にしましょう」

 

 

間宮「いいのですか!」パアア

 

 

提督「ずっと、というわけにはいきません。上と掛け合って鎮守府としての機能を取り戻すまでしばらくそのような体で運営してゆくということです」

 

 

電「その前に私があなたを要らないとすればここから飛ばされるのです」


 

提督「その時はその時ということで」


 

提督「時間との折り合いは一部、自分の判断に任されてますので、多少の猶予の引き延ばしは可能、かと」

 

 

提督「ただ受け入れる艦娘はこの鎮守府の戦力として勧誘したいと思います」

 

 

提督「心身に傷を負った挙げ句、厄介払いのようにやってくる艦娘も少なくないと聞きますし、解体されても戦う意思をまだ残している艦娘などは艤装が軍に保管してある場合、この鎮守府の戦力として再起してもらいたいのです」

 

 

提督「さすがに駆逐艦と給糧艦だけでは厳しいですし、人材派遣はすぐには期待できなさそうなので」

 

 

提督「ダメ、ですかね……?」

 

 

電「いえ、悪くはないと思うのです」

 

 

提督「あ、それと、自分のことについて通達は来ていますか?」

 

 

間宮「はい。でも、詳しいことはあまり。ブランクのある提督さん、とか……」

 

 

提督「そうですね。2の年ほどのブランクがあります。ここに来る艦娘達は傷ついているので、なるべく優しく温かく接してゆきたいと思っております」


 

間宮「ありがとうございます」ホッ


 

提督「ゆっくりとがんばっていきましょう。至らぬ身ですが、どうかお力添えして頂ければ幸いです」

 

 

間宮「もちろんです!」ガッツポ

 

 

提督「それと、伝えておきますね」

 

 

提督「自分、黒めでした」


 

提督「自分が指揮を取ると、ここに所属する艦娘達にとって、この鎮守府は更なる地獄、となるかもしれません」

 

 

間宮「……」

 

 

提督「もちろん同じ過ちは犯さないつもりですので、自分、艦娘に命令は一切しません」

 

 

電「命令、しないのですか?」

 

 

提督「はい。自分の作戦が気にくわなければボイコットしてくださって結構ですよ」

 

 

提督「自分、大破進軍決行で良心痛みませんし、場合によっては給糧艦でも照明弾や探照灯を無理やりつけて最前線でアンラックとダンスさせる指示出しますから」


 

間宮「」


 

提督「間宮さん?」

 

 

間宮「ッハ、あまりの鬼ぶりにフリーズしてしまいました。提督さんはご冗談が上手くないみたいで……」

 

 

提督「自分は兵士に囮を強要して沈めたことあります。それがきっかけで暫く海から遠退くことになったのです」


 

間宮「」


 

提督「間宮さんが倒れてしまいました。電さん、医務室はどこでした?」


 

電「マシそう、なのです」ボソッ

 

 

提督「電さん、なにかいいました?」

 

 

電「少し、思うところがあるのです」

 

 

提督「……」

 


3

 


間宮「なんですかあの人ぉっ」

 

 

電「紙束投げ捨ててどうしたのです」

 

 

間宮「大淀ちゃんに、あの人の詳細資料を送ってもらったんです」

 

 

電「そうなのですか?」

 

 

間宮「軍学校での成績は下の上、秀でた資質は見当たりません……」

 

 

間宮「そもそもブラックが原因で傷を負った子達の居場所だったんですよ。なのに、ブラック提督着任だなんて一体上はなにを考えて……」

 

 

電「カウンセラーの資格、持っているのです。それが理由ではないのです?」

 

 

間宮「だとしたら適当過ぎません?」

 

 

電「……まあ、真意はともかく、軍の穀潰しのような人達が集まる場所ですから」

 

 

電「間宮さんくらいですよ。ここの皆に美味しいお料理を食べさせてあげたいだなんて綺麗な理由でいるのは……」


 

電「この人、例の囮問題で処分、そして提督に復帰、ですか」

 

 

電「……ここ、読みました?」

 

 

間宮「えっと……まだ」

 

 

間宮「1/5作戦?」


 

電「電も知っているのです。確か、姫級と鬼級達が従えた100隻程度の深海棲艦が丁准将が何者かに殺されたタイミングで突如現れた、とか」

 

 

電「その撤退作戦において1隻の犠牲でなんとか済ましたようです。それがあの人なのかと……」

 

 

間宮「……もしかして囮って」

 

 

電「姫級の恐ろしさは知っているのです。電も珊瑚で囮、させられているのです。ただ司令官さん(仮)の時の味方戦力は5分の1、背中を守るために艦娘を犠牲にした、ということなのです」


 

電「その囮に使った艦娘は生きた英雄艦です」

 

 

電「いざ、作戦を終えた後、彼の指揮は責められたのです。確かに……囮を使う策はいい判断なのですが、必要性はなかったのです。そのうえで囮として撃沈するよう、仕向けています。その影響は悪い意味でも大きくて、司令官さんカッコカリの責任が追及されているのです」

 

 

間宮「でも、功績自体はすごいですよね」


 

電「ここです。自分の指示にミスはなかったかと。あの兵士はあそこで死ぬべきでした」

 

 

電「こんなこと言えば角が立ちます」


 

間宮「本心、だとしたら正直者、ではあるのかしら?」


 

電「これは馬鹿正直というのです」


 

間宮「電ちゃん、どこに行くのかしら?」

 

 

電「解せない点があるので、司令官さんカッコカリとお話してくるのです」


 

4



電「執務室から行ける地下室なのです」

 

 

提督「へえ。なんでしょう、ここ」

 

 

電「見ての通り拷問部屋なのです」


 

提督「ではあの正面の椅子にいるのは」

 

 

電「市販していた司令官さんの等身大ぬいぐるみなのです」

 

 

提督「電さんが、この部屋を使用しているのですか?」


 

電「電はここで頭の狂った司令官さんに脅されて、様々な拷問に付き合わされました。およそ、あなたの頭で想像できる拷問全てなのです」

 

 

ぬいぐるみ「ウア、ア……」モゾモゾ


 

提督「そんなことより、あの針だらけの椅子に拘束されているぬいぐるみ、動いていませんか?」

 

 

電「……」


 

電「では確認させてあげるのです」ビリッ

 

 

空母棲姫「ア、アア……」


 

提督「説明、願います」

 

 

電「電が捕まえたのです。夜戦だったこと、空母棲姫がなぜか中破状態だったこと。様々な幸運に恵まれました」

 

 

電「司令官さんカッコカリ、電にやれ、と命令して欲しいのです」

 

 

提督「必要ですか?」


 

電「必要? まさか情が?」

 

 

電「深海棲艦を殺したくないと? 電達にとっての敵なのです。もはやゴキブリ見たら殺そうってなるのと同じレベルの連中、なのです」

 

 

電「人類の敵なのです」

 

 

提督「では、トドメをさしてあげてください」

 

 

電「そういえば、命令、しないといいましたね?」

 

 

提督「そう、でしたね。では命令ではなく、お願い、となりますね」

 

 

電「ではそのお願いを聞けば、かわりに電のお願いも聞いてもらえますか?」


 

提督「約束します」


 

電「ではお部屋から出て欲しいのです。2分後にまた入室して欲しいのです」



5



電「慈悲完了なのです」

 

 

提督(空母棲姫の首をお膝に乗せて拷問椅子に座ってる……)

 

 

電「さて。では司令官カッコカリさん、この椅子に座ってもらえますか?」タチアガル

 

 

提督「座っていた意味は?」

 

 

電「特に意味はないのです。さあ、電のお願い、聞いてもらうのです。あ、針は引っ込めてあるので、大丈夫なのです」

 

 

提督「……座りましたよ?」


 

電「お話しましょう」ベルトガチャン

 

 

電「質問に答えない場合、答えても嘘をついていると判断した場合、針で肉刺すのです」


 

提督「……」

 

 

電「上にチクるもよし、この後、電に仕返しするのも、よし、なのです。なにされようが電は大丈夫な心身にされているのです」

 

 

電「まずひとつめ、1/5作戦において囮を使ったタイミングは撤退時のはずです。こちらの戦闘続行可能の艦は中破判定戦艦が3艦、小破判定空母が3艦、小破判定駆逐艦4です。戦艦、空母で殿を務めさせ、彼らの撤退時に備えて駆逐艦をフォローに待機させておけば、全員生還も十分に現実的でした。なのに、あなたが囮を使った理由が知りたいのです」

 

 

提督「囮が最良かな、と。囮艦を選んだ理由は、彼女が最も囮として機能すると判断したまでです」


 

電「………」ブスッ

 

 

提督「痛っ」

 

 

提督「なんですか」

 

 

電「書類での印象は機械みたいな人間でしたね。悲鳴も、そう大して痛そうに聞こえません」

 

 

提督「ちゃんとダメージ受けていますから……」


 

電「次の質問なのです」

 

 

電「良心は傷みましたか?」


 

提督「いえ……あまり」

 

 

電「……」ブスッブスッ

 

 

提督「痛いです。止めてください」

 

 

電「当たり前なのです。司令官さんは苛烈な戦闘時、敗北でも撃沈者を出さないだけで評価されます」

 

 

電「そして、兵士の命をおもんばかるその風潮は歓迎されているのです」

 

 

電「なかにはケッコンカッコカリといって司令官さんと艦娘のケッコンの真似事も流行っているのです」

 

 

ぷらずま「●ワ●」

 

 

ぷらずま「全くもって……」

 











クソ喰らえなのです!!



ドォンドォンドォン!

 

 

提督「空母棲姫の死骸になんてことを……」

 

 

ぷらずま「どいつもこいつも仲良しごっこなのです! 私が世話になった司令官も『絶対に沈ませない』とかカッコつけばっかの優男ばっかで戦局は大して変わらない無能ばかりだったのです!」ドスドスドス

 

 

ぷらずま「センソーはおわるどころか劣勢なのです! どんぐりの背比べ勝利ばかりなのです!」

 

 

ぷらずま「殉職者を出さないだけで評価もらえるのなら、出撃をでっちあげて、お部屋でのんびりしていればいいのです!」ドスドス


 

ぷらずま「壊すのです、殺すのです、この四肢がもげても!」ドスドス

 

 

ぷらずま「もう敵味方関係ないのです!」ドスドス


 

ぷらずま「戦争が終わるのならば味方だって仕留めてみせるのです!」グチャッ


 

ぷらずま「司令官さんカッコカリ」クルリ

 


ぷらずま「『トランス』」



ジャキッ



提督「それが例のトランス現象……」



ぷらずま「この艤装、見覚えは?」


 

提督「駆逐古鬼、のですかね」

 

 

ぷらずま「私は深海棲艦の艤装を装備出来ます。私が純粋な電だった頃に着任した時の司令官は黒の中の黒、もはや闇」

 

 

ぷらずま「この身体で禁忌の人体実験をしていました。ここはその司令官の研究施設でもあったのです」

 

 

提督「興味、深いです」

 

 

ぷらずま「詳しくは分かりません。なぜこのような状態にされたかの過程は分かりません。とにかく深海棲艦の艤装および装備を扱えます。弾薬燃料は自動生成。そして、トランスするまでは、深海棲艦艤装自体が消えている。そしてプチ入渠状態のような再生能力も発現します」

 

 

提督「とりあえずしまいませんか」


 

ぷらずま「質問、なのです」

 

 

ぷらずま「なぜ殉職者を出すことに良心は痛まないのです?」

 

 

提督「……さあ」

 

 

ぷらずま「責められて当然なのです。艦娘を棄てる指示を平気で出せる司令官さんは、ゴミクズです」

 

 

ぷらずま「深海棲艦を倒せる唯一無二の存在なのですから。司令官よりも遥かに貴重な存在なのです」

 

 

提督「深海棲艦を倒せるのは艦娘ですが、正確には代わりはいます。後釜の適性者さえ見つかれば」

 

 

提督「あの時の自分への責は救助した非戦闘員の避難完了までの防衛戦を維持することが勝利でした」


 

ぷらずま「愚直」


 

提督「ですから自分は軍学校時の成績が示す通り、無能かと……(メソラシ」

 

 

ぷらずま「なぜ、勝ちにこだわるのです」


 

提督「相手は人間ではありません。慈悲も情けもないのです。絶対に敗北は許されません」


 

ぷらずま「同感、なのです。生きるか死ぬか。殺されるか殺すか。その渦の中で、敗北は許されないのです」ゾクゾクッ


 

ぷらずま「私は、もう、どちら側でもありません」

 

 

ぷらずま「そんな私を、指揮できるのです?」

 

 

提督「正直、あまり自信は……」

 

 

ぷらずま「は?」ブスッグチュグチュ


 

提督「っ……やってみせます」 

 

 

ぷらずま「なーのです♪」

 

 

ぷらずま「では、最後の質問、なのです」

 

 

ぷらずま「敵も、助けたいと、思えますか?」

 

 

提督「どうでしょう……君は?」

 

 

ぷらずま「電ではなく、ぷらずまと呼んで欲しいのです」

 

 

提督「……ぷらずまさんは」

 

 

ぷらずま「では、一緒にいうのです」

 

 

ぷらずま「いっせーのーで」

 

 

ぷらずま「出来れば」

 

 

ぷらずま「……は?」

 

 

ぷらずま「あ?」


 

提督「で、出来れば。同じく」

 

 

ぷらずま「ここは、どういう場所かはご存じですよね?」

 

 

提督「戦いで傷を負って戦えなくなったもの、海から去ると決意した人達の支援を目的とした……」

 

ドオン!

 

ぷらずま「んな書面上のことじゃねーのです。他のやつからどう思われているかを聞いているのです」

 

提督「……」

 

 

ぷらずま「戦いの傷など入渠で直ります。心のほうの傷で戦えなくなった……だなんて」

 

 

ぷらずま「自らこの戦いに志願しておいて、尻尾を巻いて逃げ出した」

 

 

ぷらずま「中途半端者の吹き溜まり」

 

 

ぷらずま「この鎮守府で戦えるのはそんな私一人、それで戦い抜く覚悟はありますか」


 

提督「まあ、あなたが戦ってくれるのなら」

 

 

ぷらずま「それを望んでいるのです」

 

 

ぷらずま「この壊れた身体を、使い潰して、最後は海の藻屑として捨てて欲しいのです」

 

 

ぷらずま「その時は司令官さんも一緒に、海の底におとも、なのでーす」

 

 

提督「生憎と自分、自殺願望は」


 

ぷらずま「はい?」ブス

 

 

提督「っ。はい、喜んで」

 

 

ぷらずま「何かしらの問題を抱え、戦えないもの、解体されたもの」

 

 

ぷらずま「他の司令官さん、艦娘達が戦いに身を投じるなか」

 

 

ぷらずま「図々しく、ただのうのうと暮らしている軍人(笑)として馬鹿にされて」


 

提督「……」


 

ぷらずま「良い司令官さんに恵まれず、その屈辱に甘んじていたこの身ですが」

 

 

ぷらずま「私はあなたを利用して、戦争を終わらせます」


 

ぷらずま「あなたは私を利用して、戦争を終わらせます」

 

 

ぷらずま「どうでしょう?」

 

 

提督「そのスタンス、気は合いそうです」


 

ぷらずま「ごっこ遊びの生温い連中にセンソーを終わらせる覚悟、とはどういうものか」

 

 

ぷらずま「思い知らせてやるのです」


 

ぷらずま「あなたの素質はまあ、及第点なのです」

 

 

提督「それはありがたい……」


 

ぷらずま「司令官さん、と認めてあげるのです。私を失望させない限りは」

 

 

ぷらずま「●ワ●」ネ?


 

 

 

 

後に、ぷらずまさんの『お友達』は増え――――

 

すぐ後に、この少しアレな鎮守府は自らの傷をいとわない外道戦法、演習でのなめプ、必要以上の殺戮を嬉々として行う恐怖の軍団と化し――――

 

 しかして、結果だけは叩き出し。


 周囲から彼らの根城はこう呼ばれ、恐れられることになる。

 

鎮守府(闇)、と。



【2ワ●:魚雷は0距離でお利口にするのです】

 

――――やったよ! 私がMVPだ!

 

 コツコツ コツコツ

 

――――あ、ゴーヤちゃん。提督、出撃させるの?

 


――――いつものお仕事だよ。



――――え、小破のまま、ですか?



――――ああ。君はまだ着任してから日が浅いから知らんか。あいつは中破からしか入渠はさせん。



――――魚雷も全く当てられんし、クルージング以外は成果をあげられん。

 


――――全く、潜水艦着任と喜んだ日が懐かしいよ。

 


――――伊58艦娘の歴代一のポンコツなのは知っていたが、ちっとも成長しないとは。



――――ポンコツの名は伊達じゃないな、ハハ。

 


伊58「提督さん」

 


伊58「101回目のオリョクル行ってくるでち」ビシッ

 

コツコツ

 

――――全く、いい加減に少しは魚雷の命中精度はあがらんかね。

 


伊58「……………ごめんなさい」



――――すぐに頭を下げるよな。

 


――――プライドも、ないのか。



――――まあ、だから伊58は、終戦まで生きてたのかもしれんな。

 


伊58「……………」

 

 ダッ

 

1



間宮「怪我はもう癒えましたか?」


 

提督「はい」

 

 

間宮「電ちゃん悲しんでましたよ。まさか提督さんに自傷癖があるだなんて……相談してくださいね?」

 

 

提督「あっ、はい」

 

 

提督「ところで、これは?」


 

間宮「電ちゃん、最近すごく楽しそうで、めっきり見なくなった笑顔も見せてくれるようになったんですよ。提督さん、気に入ったらしくて」ニッコリ


 

間宮「そんな提督さんのために腕によりをかけましたー」

 

 

提督「……あの」

 

 

提督「バッタと蛇にしか見えませんが……」

 

 

間宮「昆虫食のお勉強をしまして、私は触れても食べるのは無理ですけど、提督さんはお好きなのでしょう?」


 

提督「それで昆虫食を作ってくれるって、間宮さんすごいですね……」


 

間宮「大抵のものは作れますよ」

 

 

提督「ちなみにその情報はどこから」

 

 

間宮「電ちゃんですけど……」


 

提督「ぷらずまさん、ですか」

 

 

間宮「ぷらずま?」


 

提督「……」

 

 

提督「まあ、食事は栄養さえ取れたのならなんでも」モグモグクチュ

 

 

間宮「ウプッ」


 

間宮「食べ終わるまで後ろ向かせてもらいますすみません」

 


2

 

 

提督「そういえば来月に合同演習実施の通達が来ました」

 

 

提督「元帥自ら艦隊演習の視察に訪れるそうです。その合同演習に参加せよ、と。まあ、最低4隻いれば演習に1鎮守府として参加できるそうなので」


 

提督「自分としては相手方の高練度艦隊は高い経験値になるだろうと踏んでいるので前向きに検討しています」

 

 

間宮「来月って、この鎮守府(仮)の戦力は電ちゃん一人ですよ?」

 

 

提督「正確には間宮さん含めて二人です」

 

 

間宮「私の艤装はまあ、見ての通り、古きよき台所。無機質な冷蔵庫等々、そんなものでどう戦えと……」

 

 

提督「艦娘には役割はあれど、間宮さんの場合、1度戦艦や正規空母との矢面に立ってみる、のもありかと。それにこの先、艦が増えるにつれて間宮さんをこのような機会に誘うのも少なくなってゆくでしょうし、今回はプラスに働く貴重な経験になり得ませんか?」

 

 

間宮「強引な理屈づけを……」


 

間宮「……私の戦い方は?」

 

 

提督「夜戦演習の希望を出しておきますよ。囮、体当たり等々。S勝利は難しくても戦術的勝利なら、なきにしもあらず、と自分は見ています」モグモグ

 

 

間宮「私に探照灯つけてアンラックとダンスさせる気満々じゃないですか!?」

 

 

提督「ところで間宮さんは、ぷらずまさんの艤装を見たことはあります?」モグモグ

 

 

間宮「電ちゃんのことですよね? あります」

 

 

間宮「この鎮守府が襲われた時に、姫の艤装で助けてもらいましたから」

 

 

間宮「……提督さんも見たのですね」

 

 

提督「はい。切り札に成り得ます」

 

 

間宮「お言葉ですが、なぜあなたに電ちゃんがなついたのでしょう。私にはまだ素っ気なくて距離を取っているというか、そんな風に思えるんですが、あなたには……」


 

提督「……」

 

 

間宮「お心あたりが?」

 

 

提督「間宮さんみたいなお優しい人を見ると例の提督を思い出してしまうのかもしれませんね。表の顔はそういう優しい女性だったのでしょう?」

 

 

間宮「ごまかされませんよ。それをいったらあなたのブラックな性格はあの提督の裏の顔です」プンスカ


 

提督「……」

 

 

間宮「……」

 

 

提督「嫌われているのでは」

 

 

間宮「」

 


2

 


提督「ぷらずまさん、その子は」

 

 

ぷらずま「大破状態でル級の群れに遭遇して放送禁止のお顔をしていたところをなんとか救出したのです」

 

 

ぷらずま「場所はオリョール海なのです」

 

 

提督「オリョール海……潜水艦」


 

提督「ああ(察し」

 

 

ぷらずま「恐らく他司令官のながら指示による事故なのです」


 

間宮「早く入渠させてあげてください! こんなに血が! この間、電ちゃんが持ってきてくれた高速修復剤があったはずです!」

 

 

提督「ぷらずまさん、入渠施設まで案内してください。高速修復剤の使用はなしで。数が少ないので潜水艦にはもったいないです」

 

 

ぷらずま「さすが機械人間なのです。ここは高速修復剤を使うべきところなのです。ですよね、間宮さん?」

 

 

間宮「もちろんです!」


 

提督「む」

 

 

ぷらずま「使うところ、なのです。司令官さん」ニタニタ

 

 

提督「はい」

 

 

提督「なにを企んでいるのか……」

 


3

 

 

伊58「助かったのでち! 生きている! 夢のようでち!」

 

 

ぷらずま「なのですー。ではさっそく所属している鎮守府、それにあの状況に陥った事情を聞かせて欲しいのです」

 

 

伊58「日をまたがず101回目のオリョクル中に、ハ級の魚雷に被弾して大破したでち。なのに進軍の指示が出て……」グスッ


 

ぷらずま「了解なのです。ではオリョクルの地点まで連れていってあげるのです」

 

 

伊58「も、もう嫌でち! あの海域には二度と行きたくないでち!」

 

 

伊58「潜水艦はゴーヤしかいないから戻ればまたオリョ&バシクルさせられるでち! もうあんな怖い思いは……」

 

 

ぷらずま「ブラック鎮守府、ですか。可哀想に、なのです。私は良い司令官さんの指揮下に入れて幸運なのです」

 

 

伊58「ぐすっ……ここは鎮守府なのでちか?」

 

 

ぷらずま「ええ、鎮守府(仮)なのです。半年前に半壊した鎮守府といえば伝わりますか?」

 

 

伊58「噂の壊滅したブラック鎮守府、でち。復興、したのでち?」


 

ぷらずま「まあ、今は鎮守府として機能させようと奮闘している途中、なのです。艦娘は間宮さん除いて私しかいないのです」

 

 

伊58「実質、一人……なのに、こき使われていないの?」

 

 

ぷらずま「はい、なのです」

 

 

ぷらずま「司令官さんは優しいのです。一人で遠征なんか行かなくていい、と上にかけあって資材の補助を申請してくれているのです」

 

 

ぷらずま「ゴーヤさんを見るやいなや、一つしかなかった高速修復剤もすぐに使っていい、といってくれたのです」

 

 

ぷらずま「本当に、優しくて、まるで、私達を人間の女の子のように、扱ってくれる人なのです」

 

 

伊58「……で、でも、裏でなにか企んでいるに違いないでち。だって、ゴーヤ達艦娘を出撃させて成果を出さないと、提督は階級を下げられて、いずれはクビになってしまうのでち」

 

 

ぷらずま「私もブラック鎮守府にいたので、ゴーヤさんの気持ちは分かるのです」

 

 

ぷらずま「司令官さんは、私達、ブラック鎮守府にいた艦娘の心の傷を治すのを最優先してくれているのです」

 

 

ぷらずま「上はきっとこの人だからこそ、ここの司令官さんとして着任させたのです。私は、とても嬉しいのです」

 

 

ぷらずま「司令官さん」

 

 

ぷらずま「ありがとう」

 

 

ぷらずま「なのです♪」

 

 

ぷらずま「●ワ●」ジーッ

 

 

提督(心の弱味につけこんでここの艦娘にしてしまおうってこと……)

 

 

提督(把握です)

 

 

提督「ゴーヤさん、今現在この鎮守府はブラック鎮守府の被害者のケア施設でもあります。あなたの現状況的に判断しまして、あなたはここの支援施設に滞在し」

 

 

提督「長期休暇を取得できる権利があります」


 

伊58「長期、休暇」ゴクリ

 

 

提督「衣食住はもちろん、街に出掛けるのもよし、部屋の中で休暇を満喫するもよし、お休めできる手段を出来る限り提供致します」

 

 

提督「保護を受けますか?」

 

 

提督「とりあえず手続きは明日にして休んでください。向こうの提督にも通達しておきますので」

 

 

伊58「で、でも、あの提督は世間体のことばかりで、オリョクルの大破進軍によるメンタル療養のために休暇だなんて! そんな周囲に汚点を発表するような真似したら、帰った時に、ひ、酷いことされるでち! オリョクルだって、周りの鎮守府の資材量に追い付くために、させられて!」

 

 

提督「ご安心を。ながらミスは伏せて置きます。ちょうどヒトマルマルマル時は急激に気象も荒れてましたからね。利用しましょう」

 

 

提督「『大破撤退の指示を受け、決行時に予期せぬ気象トラブルにより、流されてきたハグレに襲われた。そこをうちの艦娘が救助、そしてあなたはメンタルに重大な障害をきたした』と、これは例えですが」

 

 

提督「誰も悪くはない」

 

 

提督「とのことで理由を練ります」

 

 

伊58「それでちっ! 最高でち!」

 


4

 


58提督「……なるほど」

 

 

58提督「ゴーヤから、聞いているのだろう?」

 

 

提督「何のことでしょうか?」

 

 

58提督「君、例の鎮守府の提督だったな。君のように上司の顔を立てられるやつは好きだよ」

 

 

提督「ご期待に添えてなによりでございます」


 

58提督「ところで君のところはまだ資材も戦力も覚束ないそうだね」

 

 

58提督「艦娘は無理だが、支援として資材を送らせてもらおう。受け取りたまえ」

 

 

提督「ありがとうございます」

 

 

58提督「ゴーヤが世話になる。あくまで、その礼として、それと後輩の奮闘を願っての贈り物だよ」

 

 

提督「ええ、理解しておりますとも。喜んで、支援、させていただきます」

 

 

58提督「喜んで、か。いい返事だ」

 

 

提督「しかしです。表面上の理由は取り繕っても、ゴーヤさん本人が齟齬のある主張を吹聴する危険は拭えません」

 

 

提督「そして彼女が異動を希望すればこちらは表面上、それを最優先にした言動で対応する必要があります」

 

 

提督「規則上、艦娘に対する権限を保有するためにこちらの鎮守府に籍を変える必要もありますが……」

 

 

58提督「どうにかならんかね?」

 

 

提督「……お力になれずすみません。今の自分では明るみになるよりは、としか申し上げられません」


 

58提督「潜水艦を手放す羽目になるかもしれん、か……」

 

 

58提督「……背に腹は変えられまい」


 

提督「了解しました。全力で対応させていただきます」


 

提督「自分も、上に行きたいので(テキトー」


 

58提督「ふむ。君とは長い付き合いになるかもしれんな」


 

58提督「友にしか贈らんわしのふるさとの酒もつけとくよ。では、よろしく頼む」ガチャン

 

 

ぷらずま「●ワ●」ニタニタ

 


5

 


伊58「食べ物は美味しいし、ごろごろできるし、出撃以外の水浴びなんて久しぶりでち!」

 

 

伊58「提督さんありがとう!」


 

提督「なによりです。無理して艦娘を続ける必要なんてないんですから、ゆっくり今後のことを考えてください」

 

 

提督「ゴーヤさんの意思を最優先しますし、所属鎮守府の提督さんからも了承を得ましたから」 

 

 

ぷらずま「当たり前なのです。この程度の仕事もできない司令官さんは海にしまっちゃうのです」ボソッ

 

 

伊58「そのことなんでち。ゴーヤはやっぱり艦娘として生きていたいのでち。過去の戦いで背負ったモノのため。ゴーヤには戦場に出る理由が、あるのでち」

 

 

ぷらずま「では、ブラック鎮守府に戻るのです?」

 

 

伊58「……」

 

 

ぷらずま「司令官さん」クルリ


 

ぷらずま「ぷらずまは、ゴーヤちゃんともっと一緒にいたいのです!」ニタニタ

 

 

提督「……そのことですが」

 

 

提督「ゴーヤさんの提督からはゴーヤが望むのならばこちらに異動してもらっても構わないとのことです」

 

 

伊58「……今日、ゴーヤの鎮守府からここに資材が届いていたでち」

 

 

伊58「切り捨てられたの?」


 

提督「あなたが療養でそちらの世話になる、とのことで届いたお気持ちの資材です」

 

 

伊58「本当に悪いと思っているのなら、ゴーヤに会うのが、誠意でち」


 

伊58「……ねえ」

 

 

伊58「ゴーヤは、魚雷だって全く当てられないへたっぴで、艦隊に組み込まれてもMVPなんか取ったこともなくて」

 

 

伊58「確かに、弱いでち」

 

 

提督「……」


 

伊58「だから、ただのクルージング要員だったけど」

 

 

伊58「ゴーヤが死に物狂いで集めた燃料や弾薬は皆を支えていたって思って、がんばってた……のに」

 

 

伊58「要らないって、捨てられたんでち?」ポロポロ

 

 

ぷらずま「難しいのです」

 

 

ぷらずま「司令官さん、ぷらずまにも分かるように」ニタ

 

 

ぷらずま「ハッキリとした声で」ニタニタ

 

 

ぷらずま「ゆっくりと教えて欲しいのです」ニタニタニタ

 

 

提督「これは、大破進軍のミスを黙っておくこと、ゴーヤさんをこちらの鎮守府で引き取ってくれ、という意味です」

 

 

提督「戦えないとされたゴーヤさんは」

 

 

提督「見切られたのです」


 

伊58「……」ポロポロ

 

 

提督「諦めますか?」

 

 

ぷらずま「……」

 

 

提督「弱いから、役に立たないから、と誰かの評価で、あなたが海に出たその志の熱は」

 

 

提督「消えるのならこの支援施設で」

 

 

伊58「消えるわけないでち!」

 

 

提督「では、この鎮守府の艦娘として戦う、というのは、どうでしょう?」

 

 

ぷらずま「司令官さんっ!」ニタニタ

 

 

提督「自分達と1からやり直す気はないですか?」

 

 

伊58「ご、ゴーヤで、いいのでち?」

 

 

ぷらずま「私もへたっぴなのです。近距離でも全く当てられません……」

 

 

ぷらずま「ゴーヤちゃんとなら、一緒にがんばれそうな気がするのです!」

 

 

伊58「う、うん!」パアアア

 

 

伊58「ぷらずまちゃんの話を聞く限り、とても良い提督さんだと知っているのでち」

 

 

伊58「伊五十八です。ゴーヤって呼んでいいよ」

 

 

伊58「よろしくお願いします!」

 

 

提督「よろしくお願いします。ともに海の平和を取り戻しましょう」


 

ぷらずま「ゴーヤちゃん! 私は腕がなまっているので、演習に付き合って欲しいのです!」

 

 

伊58「構わないけど、今からでちか?」


 

ぷらずま「はい、なのです!」

 

 

ぷらずま「対潜装備はないですけど、ぷらずまも魚雷撃つの得意なのです! ゴーヤちゃんに負けないから、見て欲しいのです!」


 

伊58「駆逐艦は可愛いでちねー。魚雷オンリーで戦ってきたゴーヤに魚雷の撃ち合いで勝てるなんて思っているとか」

 

 

伊58「いっちょ揉んでやるでち」

 

 

伊58「提督さん、演習場を使わせてもらうでち」

 

 

提督「ええ、許可します」

 

 

ぷらずま「おい」ボソッ


 

ぷらずま「すぐにゴーヤちゃんを書類上、うちの鎮守府所属にするのです」ボソッ

 

 

提督「そのつもりです」ボソッ


 

ぷらずま「私は施設としてのお仕事に」

 

 

ぷらずま「ゴーヤちゃんのメンタルケア、してくるのです」ジャキン

 


5


 

伊58「止めてえええええ! 電ちゃん、ゴーヤはもう中破判定でちいいいい! 演習でも大破は嫌でち!」 

 

 

ぷらずま「さん、をつけやがれなのです、でち公風情が」

 

 

伊58「」

 

 

伊58「く、駆逐古鬼の艤装なんて、反則というか! あり得ないでち!」

 

 

伊58「夢だ! そう、これは夢でち!」

 

 

伊58「あの電ちゃんが、こんな化け物みたいなわけがないよ!」

 

 

ぷら条「ところがどっこい、これが現実なのです」ギョライハッシャ

 

 

伊58「ほぼゼロ距離で!?」

 


ドカーン

 


ぷらずま「これが猿でも命中させられる魚雷の撃ち方なのです」

 

 

伊58「なっ……再、生し、て……」

 

 

提督「中断です」ボートこぎこぎ

 

 

伊58「提督、さん! 痛いよお! 助けてっ!」

 

 

提督「はい。ぷらずまさん、終わりです」

 

 

ぷらずま「……」ジャキッ

 

 

伊58「提督さんに艤装を向けっ!」

 

 

ぷらずま「負けるくらいなら死んだほうがマシとする。この教育はうちの方針にとって必要なのです」


 

ぷらずま「あなたも、ごっこ、ですか?」

 

 

提督「いえ、命令はしないというのが方針ですし、やり方が強引すぎるのです」

 

 

提督「あなたと自分のやり方にこの子が合わせる必要はないんです」

 

 

ぷらずま「……どおん」

 

 

伊58「提督さん! 腕に当たって!」

 

 

提督「かすり傷程度かと。死にはしませんよ」

 

 

提督「可愛らしい、艤装ですね」


 

ぷらずま「黒司令官が趣味で作ったオモチャの五センチ砲、拳銃と対して変わらないのです」


 

ぷらずま「まあ、裏切り、というほどでもないのです。これで手打ちにして従ってやるのです」

 

 

伊58「提督、さんっ」ナミダメ

 

 

ぷらずま「でち公、明日は鎮守府周辺の哨戒任務をするのです」

 

 

伊58「提督さん、顔が青白く! 目も虚ろで……!」

 

 

提督「もともとです」

 

 

提督「自分、血が少ないので、出血するとすぐに目眩が……」


 

ぷらずま「でち公、返事がねーのですよ……?」ジャキッ

 

 

伊58「は、はい! 鎮守府周辺の哨戒任務! 了解でちいい!」

 

 

ぷらずま「司令官さんを運ぶのを許可するのです。司令官さんが死んだら」


 

ぷらずま「各地の伊号潜水艦を沈める旅に出るのです。命に代えても、沈めるのです。あなたは、最後、誰よりも、惨くほふってやるのです」


 

伊58「ひいっ」


 

提督「あー……ちょっと、倒れます、自分」

 


6

 


提督「……うん?」

 

 

間宮「起きましたか!」

 

 

提督「間宮さんが、治療を?」

 

 

間宮「かくかくしかじかがみがみがみ」

  

 

間宮「詳しく聞かせてもらいますよ。傷が癒えてから、で結構ですけど」

 

 

提督「艤装の暴発事故です」


 

間宮「…………」ジトッ


 

提督「ということにしておいてください。ぷらずまさんに撃たれました」

 

 

間宮「……薄々、気付いてはいたのですが、あの子は……」

 

 

提督「提督は辞める気がないので、辞めさせられるか、死ぬまで、続けるつもりです。この鎮守府で、です」

 

 

提督「あの子、自分みたいなタイプじゃないと、やっていけないと思うので」


 

間宮「優しい、んですね」

 

 

提督「いえ、自分がそういう意味で優しいのなら、あの子に司令官とは認められていないと思います」

 

 

提督「ビジネスライク、です」

 

 

提督「あの子は私に、私はあの子に求める特異な代価があります」

 

 

間宮「あの、私も協力、します」

 

 

間宮「もともと、優しい子だったんです。責任は、私にあります。あなたよりも、あの子の側にいた大人です」

 

 

間宮「私、あの子のために、ここにずっといるんです」

 

 

提督「……はい、分かりました」



鎮守府周辺海域にて


 

ぷらずま「ゴーヤちゃん、魚雷は絶対に当ててください」

 

 

伊58「ル、級……!」キッ


 

ぷらずま「まだゴーヤちゃんは小破なのです。打てます。そして、撃つ限り」

 

 

ぷらずま「外すな」


 

ぷらずま「当て方、教えましたよね」

 

 

伊58「血が! 血がこんなに!」

 

 

伊58「ゴーヤは生きているのでち!」

 

 

伊58「戦えるのでち!」


 

伊58「ゴーヤ、潜りまーす!」スイー

 

 

伊58「魚雷は……」

 

 

ル級「っ!」

 

 

出血公「0距離でお利口にするものでち」

 

 

ル級「」

 

\ドカーン/

 


ぷらずま「●ワ●」ナノデス♪



【3ワ●:同じ過ち犯しちゃダメですよ?】


――――聞こえるか。もう一度いうぞ。捜索を打ち切る。



――――諦めるの早くない?



――――あいつはあんたが着任してからずっと支えてもらった子でしょ?

 


――――まあ、比較的適性者のいる駆逐艦だしな。

 


――――お前ら空母の消費資材も馬鹿にならん。

 


――――死んだもんは仕方ねえだろ。そういう運命だっただけだし。

 


――――あんたのあほな指揮に従って沈んだのよ?

 


――――こっちは皆、泣きそうな顔で、泣いて名前を呼んでいる子もいる。

 


――――冗談いっていい時じゃないわよね。

 


――――そう、カッカするなよ。

 


――――切り替えは大事だろ。

 


――――つーか悲しいのは俺も一緒なわけで。

 


――――帰投したら尻撫でさせて

 


――――あんた、いっつも私達にそうやってセクハラしてさ。



――――もう、いい。

 


――――艦載機

 


――――発艦。

 


――――目標、指令室の提督

 


――――おい。冗談で済まないぞ?

 


――――冗談いう時じゃないのは分かってるから。

 


――――仲間の仇、見つけたー。

 


――――くたばれクソ野郎。

 


1

 

 

ぷらずま「おはようございます。次のお友達候補を適当に見繕ってリストアップしておいたのです」

 

 

提督「ゴーヤさんになにかしましたね?」

 

 

ぷらずま「ル級に仕返しする方法を教えただけなのです」

 

 

ぷらずま「そんなことより、ここから選ぶ子を秘書官にするのです」

 

 

ぷらずま「ゴーヤちゃんは馬鹿なので向いていないし、ぷらずまは秘書官などやりたくないのです」


 

提督「全部、自分がやるので」

 

 

ぷらずま「今後のことも考えて欲しいのです。社交性もあって軍のお偉い豚にぶひぶひ威嚇させない程度のことが出来る」

 

 

ぷらずま「お友達が欲しいのです」

 

 

ぷらずま「鎮守府と海を行き来するだけのお友達ではなく、街で人民と暮らしているお友達のほうが、いいと思うのです」


 

ぷらずま「ここの支援施設から巣だった艦娘のリストがあるので、選ぶのです。3日以内に連れてくるのです」

 

 

提督「了解です。艤装が保管してある子で……戦力的に欲しい子は……」


 

提督「この子、ですね」

 


2

 


??「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」

 

 

??「ワンテンポ遅れてるわよー」

 

 

提督「すみません」

 

 

??・提督「「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」」

 


3 学食にて

 


瑞鶴(仮)「たかが4分のダンスに誘っただけなのに死にそうね……」


 

提督「瑞、鶴さん、おっ、返事は」

 

 

瑞鶴(仮)「その名前で呼ぶのは……まあ、いいか」

 

 

瑞鶴(仮)「その件は考えたんだけど、お断りね」


 

瑞鶴(仮)「私は艦娘を辞めてから、自分の未来ってのを考えたのよね」

 

 

瑞鶴(仮)「この先、戦争が終わったら艦娘なんてお払い箱よ。ばらまいた税金の回収に走るだろうし、海軍の規模は縮小、艦娘だって深海棲艦復活ってならない限りはね。海の戦いにおいて艦娘の艤装を使う必要性がなくなるし、年頃の少女を好んで戦いに狩り出すような運営展開になるとは思えないわ」

 

 

提督「了解です。お時間を取らせましたね」


 

瑞鶴(仮)「ちょっと待って」

 

 

瑞鶴(仮)「諦めるの早くない? そんなんでスカウト成功すると思ってるわけ?」

 

 

提督「粘れば心替わりの可能性が?」

 

 

瑞鶴(仮)「今のはノーの理由」

 

 

瑞鶴(仮)「イエスの答えも用意してあるのよ」

 

 

瑞鶴(仮)「私が解体された経緯は知ってる?」

 

 

提督「書類上では提督に艦載機で爆撃し、大怪我を負わせたと。それで解体申請を出され、受理された。あなたも了承してうちの支援施設に来たのですよね」

 

 

瑞鶴(仮)「そうそう。ついカッとなっちゃった」

 

 

瑞鶴(仮)「過去の全てのセクハラについて真実は私の味方だったけど、提示できる証拠はなかったし、あいつとの舌戦で勝てる気がしなかったから」


 

瑞鶴(仮)「もういいやって、解体を受け入れたわ」


 

提督「…………」

 

 

瑞鶴(仮)「提督さんも、男の人よね」

 

 

提督「しません、と断言できますね」

 

 

瑞鶴(仮)「それを断言とかなーんかウソくさいわね……」

 

 

提督「必要性を感じません」

 

 

瑞鶴(仮)「あいつは男の本能だって」

 

 

提督「自分は提督です。自分の職務にセクシャルハラスメントがあるとは聞いたことがありません」

 

 

提督「そもそも私にとって男性機能は不必要なものだと」

 

 

提督「自分が勧誘しているのは艦娘としての戦力であり、女性のナンパではありません」

 

 

提督「あなたが応じてくれるのなら、誠意としてこの場で潰しても構いませんが、いかがいたしましょう」

 

 

提督「医者は呼んでくださいね。決して事件沙汰にするつもりはありません。慰謝料治療費の要求も決して」


 

瑞鶴(仮)「やだ、なんかこの人怖い……」


 

提督「誠実と解釈していただければ、幸いなのですが……」


 

瑞鶴(仮)「閑話休題で」

 

 

瑞鶴(仮)「なぜ私なの?」

 

 

瑞鶴(仮)「空母が1隻もいないのは事前連絡で聞いたし、瑞鶴の艤装も残ってるってのは知ってるけど」

 

 

瑞鶴(仮)「瑞鶴艤装の適性者を探して艦娘にすればその子が瑞鶴よ。こんな問題起こして解体処分になったやつ引き入れても、あなたの評判が落ちるだけじゃない?」

 

 

提督「経験者を求めています」


 

提督「欲しいのは評判ではなく、勝利です。深海棲艦を滅ぼすことです。この事実だけが、至上であり、その結果に付随する全ての栄光は自分にとって」

 

 

提督「空虚、です」


 

瑞鶴(仮)「艦載機の扱いだって並み以下の落ちこぼれで、名ばかりの正規空母だったって、知らない?」


 

提督「申し訳ありません。初耳です。こちらのリサーチ不足でした」

 

 

提督「この話はなかったことに」ガタッ

 

 

瑞鶴(仮)「」



4

 


瑞鶴(仮)「ちょっと待ってってば!」

 

 

提督「なにか?」

 

 

瑞鶴(仮)「今ので理解したわよっ! あんた、ほんっとうにただ戦力増強したいだけなのね!」


 

提督「はい。なので増強になり得ないあなたは必要ありません」


 

瑞鶴(仮)「っ」プルプル


 

提督「……失礼」

 

 

提督「来てくださるのならもちろん歓迎しますよ」


 

提督「自分はどんな艦娘でも、艦隊の勝利に貢献させてみせます」


 

提督「艦娘としてのやる気と覚悟は要求しますが、それに応えてみせます」

 

 

提督「あなたには、それがおありでしょうか」

 

 

瑞鶴(仮)「私だって覚悟を持って艦娘になったんだから」

 

 

瑞鶴(仮)「あんな終わり方、納得がいくわけないじゃない……」


 

瑞鶴(仮)「でも私はもう新しい生活も初めて、それに慣れていて、平和を受け入れている自分に幸せ感じて」

 

 

瑞鶴(仮)「同時に」

 

 

瑞鶴(仮)「終わっていない戦いに、ともに戦った仲間を差し置いて」

 

 

瑞鶴(仮)「甘受している平和に、嫌気も差してる。分かんないのよ」

 

 

瑞鶴(仮)「どっちに傾くべきなのか」

 

 

提督「平和、といいましたね」

 

 

瑞鶴(仮)「なによ。その平和は誰のお陰で感じていられるか、って、海軍が負けたらこの平和はないんだぞ、っていいたいわけ?」


 

提督「……いえ」

 

 

提督「平和なのでしょうか、と」


 

瑞鶴(仮)「はあ?」

 

 

瑞鶴(仮)「あんた、このキャンパス内のどこに戦争している人がいるの? 戦友の死に涙している人がいるわけ?」


 

提督「戦争の痛みが最も辛い、のでしょうか」

 

 

提督「痛みの感じかたも傷の深さも人それぞれ。悪口1つで死んでしまう人も、います」


 

提督「自分には、誰もが、兵士に見えます。スーツを着ている彼らも、シャーペン片手にテストと向き合う彼らも、戦っています」

 

 

提督「誰もが、悩み、苦しみ、戦うことを運命づけられている」

 

 

提督「気楽に、楽しく、だなんてほど人生は甘くないです」

 

 

提督「だから、人間はきっと生きているだけでがんばっているんです」

 

 

提督「この世の全ての人間は人生を戦い抜く」

 

 

提督「心身の病気と戦い、怪我に耐え、己と戦争し、息絶えてゆく」

 

 

提督「この世、全ての人間は」


 

提督「誰もが戦死を遂げるのです」

  


瑞鶴(仮)「……」


 

提督「だから、かつての戦友を差し置いて逃げたのではなく」

 

 

提督「あなたの戦場に移っただけで、戦いから逃れたわけではありません」


 

提督「艦娘達もまた自分の意思で海にいるのと同じこと」


 

提督「あなたがこの街に幸福を感じるように、彼女らは海に特別を見出だしているだけ、です」


 

提督「負い目を感じる必要はありません」

 

 

瑞鶴(仮)「……」

 

 

提督「とまあ、戦場を選択できるのはまだ我々に余裕がある証拠です」


 

提督「その選択した戦場で、我々は深海棲艦を侵入させません」

 

 

提督「どうかあなたが、この街で」

 

 

提督「理想の散り様に殉じられるよう」

 

 

提督「海から応援しております」


 

瑞鶴(仮)「……、……」

 

 

提督「3日、待ちたいと思っています。どうか、よく考えてください」

 

 

提督「色好い返事、期待させていただきますね。それでは失礼します」

 

 

瑞鶴(仮)「……感情」

 

 

瑞鶴(仮)「こもってればかっこよく聞こえるのに」ボソッ

 


5



提督「ん、演習、ですかね?」

 

 

ぷらずま「ゴーヤちゃん! そこなのです!」

 

 

出血公「魚雷は0距離でお利口になるもの出血!」ドカーン

 

 

ぷらずま「これで百発百中なのです♪」キャッキャ

 

 

提督「」

 

 

伊58「提督さーん! ゴーヤのお利口な魚雷、見てくれたー?」ゴハッ


 

提督「……ええ、早急に101回目の入渠をお願いしますね」

 

 

提督「ぷらずまさん」

 

 

ぷらずま「なにか」ジーッ

 

 

提督「一応、聞きますが……」


 

ぷらずま「合同演習では使えるのです」

 

 

ぷらずま「演習で殺されはしないのです」

 

 

ぷらずま「とか思ってるから、使えるのです」


 

提督「自分の評価が轟沈します」

 

 

ぷらずま「これは意外なのです。評価なんて気にするのです?」

 

 

提督「深海棲艦との戦いでは気にしません。しかし、見せ物の一面もある演習ではある程度の品位がないと、角が立ちます」

 

 

ぷらずま「出過ぎた杭は打たれるのです?」


 

提督「それで済むのなら構いませんが」

 

 

提督「引っこ抜かれて新しいのと交換されたり、叩かれて真っ直ぐに矯正されたりするかもしれません」

 

 

ぷらずま「たかが演習のようなお遊びで面倒ごとに巻き込まれるのは嫌、と」

 

 

提督「本末転倒はごめんです」

 

 

ぷらずま「了解なのです」ニタニタ

 

 

提督「了解してない顔です……」

 

 

ぷらずま「それで例の瑞鶴はどうなのです」

 

 

提督「どうでしょう。まだ分かりません」

 

 

ぷらずま「司令官さんはスカウト向いていなさそうなので、最悪、間宮さんを出向かせようと思っていたのですが」

 

 

ぷらずま「分かりません、ですか」

 

 

ぷらずま「まあ、ほめてやるのです」


 

提督「ありがとうございます」

 


6

 


瑞鶴(仮)「お世話になります!」

 

 

提督「ようこそ」

 

 

ぷらずま「我が鎮守府に、なのです♪」

 

 

瑞鶴(仮)「やっぱりあんたいたのね」

 

 

瑞鶴(仮)「猫はかぶらなくていいわよ」

 

 

ぷらずま「また会えて嬉しいのです」

 

 

提督「顔見知りなのはおかしくないですが、裏の顔を知っていたんですね」


 

瑞鶴(仮)「偶然その先にある例の部屋を見つけちゃったのよ」


 

瑞鶴(仮)「すぐに卒業だったし、海軍の面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだったから、そこにいたそいつごと見なかったことにしたからね」


 

ぷらずま「なぜまた海に?」

 

 

瑞鶴(仮)「色々考えたけど、海に思い残すことが多すぎるから」

 

 

瑞鶴(仮)「なにかしらの終わりを見つけないと、気持ちよく第2の人生歩んでいけないって、そんな性格しているんだって気付いたのよ」


 

ぷらずま「では、秘書官としてガンバって欲しいのです」

 

 

瑞鶴(仮)「それだけど、秘書官は断りたいのよねえ。アウトドア派だから事務作業好きでもなければ得意でもないし」

 

 

ぷらずま「は?」ジャキン

 

 

瑞鶴(仮)「……っ!」

 

 

瑞鶴(仮)「穏やかじゃないわねえ!」

 

 

ぷらずま「というか瑞鶴さんカッコカリ、あなたの服装は私服ですが、最初くらいは正装で来るべきなのです」

 

 

提督「それは自分が許可してますので」


 

ぷらずま「うるせーのです」

 

 

提督「すみませんでした……」


 

ぷらずま「私達は毎日汗水垂らすのです。あなたの艤装が届くのは一ヶ月後なのですよ。それまでドラム缶でも担ぎますか?」

 

 

瑞鶴(仮)「分かったわよ! やればいいんでしょやれば!」

 

 

ぷらずま「どぉん」

 

 

瑞鶴(仮)「ひっ……」


 

ぷらずま「遊び、じゃねーのです♪」

 

 

提督「ぷらずまさん」

 

 

ぷらずま「ごめんなさいなのです。少しかっとなってしまったのです」

 

 

ぷらずま「瑞鶴カッコカリさん、今度の艦娘人生は」

 

 

ぷらずま「同じ過ち犯しちゃダメ、ですよ」

 

 

瑞鶴(仮)「りょ、了解です!」ケイレイ

 


7



瑞鶴(仮)「間宮さん、おっひさー♪」


 

間宮「瑞鶴ちゃああああん(T-T)」


 

瑞鶴(仮)「ちょっ、泣きながら抱きついてくるって、どうしたの?」

 

 

間宮「提督さんが来月の演習までに4隻そろわないと、私を出すっていうものですから!」

 

 

瑞鶴(仮)「給糧艦を演習に?」

 

 

提督「……ええ」

 

 

提督「瑞鶴さんの艤装が届いて、健造し、彼女が艦娘となるまで一ヶ月以上かかるので参加していただきます」

 

 

間宮「そんなあ……」

 

 

瑞鶴(仮)「提督さんさー、間宮さん戦わせるとか馬鹿なの? 実戦で給糧艦が沈むってこと、戦況への致命打になるし、いくら演習とはいえ間宮さんがメンタルケア必要になったら笑えないし」

 

 

瑞鶴(仮)「運営のほうは認めたの?」

 

 

提督「リストを作成して無理だと報せるたのですが、なぜか許可が降りたので……」


 

提督「あ、1隻はこの演習時に限って助っ人を用意していただけるみたいなので、ぷらずまさん、間宮さん、ゴーヤさん、その助っ人で4隻です」



間宮「私にも拒否権があるはずです」

 

 

ぷらずま「●ワ●」チェンジ


 

電「間宮さん」

 

 

電「電は演習に出て、少しでもお役に立てるように、成長したいのです」

 

 

電「間宮さんがいなければ出られないのです」ナミダメプルプル

 

 

間宮「……う。で、でも、足を引っ張るだけ」


 

電「間宮さんといるだけで、力が湧いてくるのです!」


 

電「電が護衛艦として守ってあげるのです!」

 

 

電「だから大丈夫なのです!」

 

 

提督「すみません。直にこの編成で参加しろ、と謎のお達しも」ショルイピラー

 

 

間宮「」

 

 

瑞鶴(仮)「あっちゃー……」

 

 

瑞鶴(仮)「提督さん、私の艤装どうにか融通利かせない?」

 

 

提督「無理でした。なぜか元帥直々に折り返しかけてきて、認めない、とぶちキレされました……」

 

 

瑞鶴(仮)「覚悟、決めるしかなさそうねえ」

 

 

瑞鶴(仮)「まあ、戦場に出たことないってことはないんだし、適当に逃げ回っていればいいのよ。一定時間過ぎたら継戦拒否すれば終わりだし。まあ、戦艦や空母だらけでしょうけど」

 

 

間宮「い~や~あ~……」ウズクマリ

 

 

瑞鶴(仮)「ま、でも、このおちびがなんとかしてくれるっていってるんだし」ニタニタ

 

 

ぷらずま「保証するのです」

 

 

ぷらずま「間宮さん、私が回避の特訓に付き合うのです」


 

提督「探照灯、どうします」

 

 

間宮「夜戦装備はホント止めてください」

 

 

ぷらずま「まあ、演習というお遊びの場ですが、将校も見に来るのです」

 

 

ぷらずま「私達の復活ののろし」

 

 

ぷらずま「生温いゴミに戦いに勝つという覚悟はどういうものか、を叩きつけるいい機会なのです」



間宮「……」


 

ぷらずま「司令官さん、そうですよね」


 

提督「ええ、4隻で」

 

 

提督「勝ちに行きます」



【4ワ●:さすがお遊びの場、相応のダボどもがたむろってるのです】

 

 


――――あれが例の鎮守府?

 

クス、クス

 

――――戦場に立てなくなった

 

――――死に損ないの連中でしょ?

 

 司令官も、

 

あの、大戦艦大和を沈めた

 

馬鹿で、無能の

 

 人殺し

 

 だってさ。

 

 同情はするけどさ


――――司令官と艦娘で、リハビリでもしに来たのかしら

 

クスクス クスクス

 

――――――よく合同演習に出てくる気になったよね。遠足気分かな。

 

ただでさえ、戦場に出ず、海軍の穀潰しなのに、恥ずかしく、

 

 ないのかしら。

 

――――頭も、

 

 いかれてるからだろ。

 

 死んでも、

 

 いいやつらだよね。


 囮に、最適じゃん?

 

クスクス 


1

 


提督「……」コツコツ

 

 

ぷらずま「……」コツコツ

 

 

伊58「……」コツコツ

 

 

瑞鶴(仮)「……うっざ」


 

間宮「歓迎、されてないですね」

 

 

提督「妥当な評価ですが、気に病む必要はありません」

 

 

瑞鶴(仮)「というか提督さんが例の撤退作戦の指揮官だって初耳なんだけど?」

 

 

提督「すみません」

 

 

瑞鶴(仮)「……ま、とりあえず置いとく。私は別に今のところは悪いやつだとは思ってないし」


 

ぷらずま「さすがお遊びの場だけはあって、相応のダボがたむろしているのです」

 

 

伊58「こういうのは結果で語るしかないでち」

 

 

提督「ところでみなさん」クルリ

 

 

提督「この遠足が終わった後」

 

 

提督「お話しておきたいことがあります」

 

 

瑞鶴(仮)「今じゃダメなの?」

 

 

提督「……まあ、今でも構いません。が、この遠足が終わるまでは忘れていてください」

 

 

提督「深海棲艦との戦争に終止符を打ちたいと」

 

 

提督「その作戦についてお話したいと思っています」


 

ぷらずま「……」ゾクッ


 

間宮「大きく出ましたね」

 

 

瑞鶴(仮)「……それが出来たらあんた子供でも知ってて当たり前の人物になるわねえ」

 

 

提督「この作戦において指揮は自分でなくても、可能だと思います。しかし、我々だからこそ、できるとも」

 

 

ぷらずま「~~~っ」ゾクゾクッ 

 

 

??「キミィ、久し振りやね」

 


2

 

 

ぷらずま「壁から声がしたのです」

 

 

??「こんな可愛らしい壁があるわけないやろ?」

 

 

ぷらずま「背中向けてしゃべってんじゃねーのです♪」

 

 

??「正面向いとるやん!? 顔真っ直ぐ向けながら背中も向けるとか怖すぎやろ!? なんでそんな刺々しいの!?」

 

 

提督「すみません。教育がなっておらず大変失礼致しました」

 

 

提督「それでは」

 

 

??「キミも大概やん。同期なのに挨拶もせずに素っ気ないなあ」

 

 

??「覚えてないんか?」

 

 

提督「龍驤さんですよね」

 

 

提督「自分の世代では非常に優秀な方でした」

 

 

瑞鶴(仮)「龍驤って、あの歴戦の空母の?」

 

 

瑞鶴(仮)「なんで司令官さんと同じ制服を着ているわけ?」

 

 

龍驤(仮)「瑞鶴か? なんか提督を爆撃して解体されたっちゅう」

 

 

龍驤(仮)「うちはね、三年前に解体を希望したんよ」

 

 

龍驤(仮)「あんたが新しい道に旅立ったみたいにうちもそのためや」

 

 

瑞鶴(仮)「まさか、提督になったわけ?」

 

 

龍驤(仮)「そう。支援施設は行かずにそのまま軍学校に入り直してな。せやからそこの提督君とは軍学校の同期やね」

 

 

ぷらずま「お友達、ではないですよね?」

 

 

龍驤(仮)「まあ、何回かしゃべったことはあるよ」


 

龍驤(仮)「せやけど顔見知り程度や。人間味がないというか、機械的というか、会話も弾まんし、おしゃべりで仲なんて深める隙がなかったわ。変わっていたから印象には残ったけどな」

 

 

提督「すみません。自分、こういう性格、なかなか直せなくて」

 

 

龍驤(仮)「責めとるわけやないで」

 

 

龍驤(仮)「……ところで対戦表は確認したんか?」

 

 

提督「いえ、これからです」

 

 

龍驤(仮)「うちのとことやでー」


 

提督「そうでしたか。よろしくお願いいたします。勉強させてもらいます」

 

 

龍驤(仮)「そっちはどういうつもりで参加したのか分からんけども、うちは手加減するつもりないで」

 

 

龍驤(仮)「本気やでー」

 

 

間宮「あのー……つかぬことをお聞きしますが」

 

 

間宮「そちらの艦隊の編成は」

 

 

龍驤(仮)「伊19旗艦に、他は戦艦の武蔵、長門、陸奥、空母の瑞鳳と赤城やね」

 

 

間宮「」マッサオ

 

 

瑞鶴(仮)「あちゃー……」

 

 

龍驤(仮)「覚悟は決めてきたんやろ。手加減せえへんけどさ、勝敗はどうなっても、お互いにとって生産的な試合にしような」

 

 

提督「もちろんです。では、失礼します」

 

 

龍驤(仮)「それとゴーヤちゃん」

 

 

伊58「なんでち」

 

 

龍驤(仮)「うちのイクが会いたがっとったで。良かったら久し振りに構ったってーな」


 

伊58「わかったでちー」

 

 

ぷらずま「…………はぁ」

 


3

 


提督「自由時間なのでぷらずまさんも皆と同じく外出しても構いませんよ」

 

 

提督「確か姉妹艦がいたはずです」

 

 

ぷらずま「ぷらずまの?」

 

 

提督「電さんの」

 

 

ぷらずま「どうでもいいのです」

 

 

ぷらずま「そんなことより、今回のお遊びですが、ちょうどいいのです」

 

 

ぷらずま「私は司令官さんの指揮を実際に見たことがありません」

 

 

ぷらずま「今回は、お願い、を聞いてあげるのです」

 

 

ぷらずま「作戦、ありますよね?」

 

 

提督「ええ、自分もぷらずまさんの戦闘をこの目で見たことないですしね」 

 

 

提督「作戦は……、……です」

 

 

ぷらずま「なるほど、なのです」

 

 

ぷらずま「本当に無能なのです。褒めるところがないのです」ニタ

 

 

ぷらずま「でも私にとっては、最高の指揮官なのです」ニタニタ

 

 

提督「自分、運営委員からお呼びがかかっているので、出かけますね」

 

 

伊58「じゃーゴーヤもイクに会ってくるでち」

 

 

提督「ああ、そうだ。ゴーヤさん」

 

 

提督「演習が始まる前に必ず工廠へ」

 

 

伊58「どーして?」

 

 

提督「ゴーヤさんの元提督から頂いた資材と交換に装備を入手しました。届く期限がギリギリだったので直でこちらに配送してもらっています」


 

伊58「んー、分かったでち」



4

 


大淀「皆様、この度はお忙しいなかご足労いただき感謝します」

 

 

丙少将「構いませんよ。後輩の視察も仕事の一環です。それより大淀さん、この演習の趣旨は理解したものの、解せない点があります」

 

 

乙中将「僕も」

 

 

甲大将「…………」

 

 

大淀「ああ、この鎮守府(仮)についてはご説明いたします。よろしいですか?」

 

 

元帥「……頼む」

 

 

大淀「深海棲艦による壊滅的な打撃を受け、しばらく支援施設として活動しておりましたが、駆逐艦電運用のため、鎮守府として再起を計るべく」

 

 

丙少将「知ってます。あの電は2年、特異な身心を徹底的に調べあげましたからね。私も、あの子の身心のこと、戦闘力が高いことはデータで知っています」

 

 

丙少将「着任した提督のほうです」

 

 

丙少将「あの大和を捨てた狂人ですよ。それにあそこにいる艦娘達の精神衛生上、あのような指揮を躊躇なく取ることのできる彼が適任とはとても思えないのですが……」

 

 

乙中将「ブラックで壊されて、元ブラック司令官が来たわけ、だよね」

 

 

甲大将「…………」

 

 

大淀「あの撤退作戦は結果だけを見れば勝利です。姫級10隻を含む100体の深海棲艦から救助対象者、艦娘を含め、被害は1名だけなのですから」


 

丙少将「……その1名が問題です」

 

 

大淀「お言葉ですが、1名だけ、というのが、こちらの見解です」

 

 

乙中将「ま、僕はその作戦についてなら彼を支持するかな」

 

 

丙少将「乙さんまで」

 

 

乙中将「丙さんも深海棲艦の姫級に知能あることは知っているでしょ。そして艦娘を前にした時のその傾向も」

 

 

丙少将「足を止めて殲滅にかかる、ことですか?」

 

 

乙中将「うん。思考能力がある姫級ですらその傾向がある。電ちゃんから取ったデータからして、もう本能だね」

 

 

乙中将「だとすれば、姫級とか鬼級はその本能をある程度抑える理性を持っているってことで、囮として機能させるには艦娘であること以外の要素も必要だったの」

 

 

乙中将「殲滅戦を仕掛ければ負ける。時間稼ぎでも大敗北濃厚。でも囮を上手く成功させれば一隻が犠牲になるだけで済む。何回報告書を見直してもその状況だよ、あれ」

 

 

乙中将「以上を踏まえた上でさ、あの撤退作戦にいた艦娘のなかで最も囮として機能するのは」

 

 

乙中将「姫級すら怖れる大戦艦大和」

 

 

乙中将「向こうにとって大和を確実に沈めるチャンスだ。足を止めてあの場の他の命全てを見逃すに値すると判断するのは妥当だよ」


 

丙少将「分かってはいるのです」

 

 

丙少将「せめて、悔しそうな顔や声をしてくれたのならば」

 

 

乙中将「何の後悔も躊躇もありませんでした、だもんね。でも、もう殴っちゃダメだよ。あーいうタイプは割り切らなきゃ」

 

 

甲大将「……」

 

 

丙少将「今回の演習に元帥自ら足をお運びしたのは彼を御自ら測るためでしょうか?」


 

元帥「彼の艦隊の旗艦は間宮だ」

 

 

丙少将「ええ、全く持って解せません」

 

 

元帥「目的の1つだ。見たくないのか?」


 

元帥「わしの秘蔵コレクションにすらない間宮さんの大破した姿を」 


 

丙少将「!?」

 

 

乙中将「な……!」

 

 

甲大将「んー、そうだな。見たことないから見てはみたいな」

 

 

大淀「」

 


後に大淀は語る。


この時の3名は

深海棲艦の戦いに終止符を打ったあの勝利の時を越える

 

見事な敬礼をしていた、と。

 


5

 


提督「戦力をお貸ししていただける、と」

 

 

元帥「ああ、無理をいって参加してもらっからな。瑞鶴の艦装は間に合わなかったが、事前に教えた通り、空母を貸し出そう。相手の龍驤君にも了承はもらっている」

 

 

元帥「拒むかね?」

 

 

提督「いえ、ただ自分の指揮は問題視されており、自分の艦隊と組ませることで、元帥殿のご厚意を不本意にも汚してしまう恐れが懸念されます」

 

 

元帥「例の電君のことは知っている。電君は私も認める立派な戦力だ」

 

 

元帥「今回の演習が実戦に限りなく近づけた仕様なのも、電君の艤装を使用可能にするためであり、その視察も兼ねている」

 

 

提督「はい。その旨は通達で確認しております」


 

元帥「では、翔鶴」

 

 

翔鶴「はい。提督さん、よろしくお願いいたします」ペコリ

 

 

提督「はい。よろしくお願いします」

 

 

提督「もう1隻お借りして、間宮さんを編成から外すとか……」

 

 

元帥「え? 殴るよ?」

 

 

提督「!?」



6

 


提督「とのことです」


 

間宮「」


 

瑞鶴「翔鶴姉ええーっ」ダキッ

 

 

翔鶴「まあ、瑞鶴ったらもう。変わってないのね」ナデナデ

 

 

ぷらずま「お偉い豚からの好意の品でも、特別扱いはしないのです。私の指示に従ってもらうのです」

 

 

翔鶴「ご安心を。独断での出過ぎた真似は自重させていただきます」

 

 

ぷらずま「指示には?」

 

 

翔鶴「もちろん従います。なんなりと」

 

 

瑞鶴「おちび、いっとくけど翔鶴姉に酷いことしたら許さないわよ!」

 

 

ぷらずま「戦況次第です」

 

 

提督「はい、ではまた自由時間です。そろそろ第一線の演習が始まりますのでやることがなければ、観戦してくださいね」

 

 

提督「得られるものはあるはずです」

 

 

瑞鶴「翔鶴ねえ、お茶でもしよー。面白い話たくさんあるし」

 

 

翔鶴「興味はあるけれど、提督さんのいう通り、演習の観戦をしなくちゃダメよ」

 

 

瑞鶴「えー、提督さんは別にいいでしょ?」

 

 

提督「もちろん。自分の指示は全て、お願い、ですから」


 

瑞鶴「さっすが! もうブラック司令官どころか超ホワイト司令官ね!」


 

翔鶴「す、すみませんね。少しお暇をいただきます」


 

提督「遠慮なさらずに。英気を養うもまた正しい選択ですから」


 

翔鶴「そういってくださると、助かります」


 

ぷらずま「あの瑞鶴を引き入れたの失敗かも、なのです。秘書官の立場を完全に忘れて旅行気分なのです」


 

??「す、すみませーん」ドアコンコン

 


7



提督「どうぞ」


 

暁「失礼します……っひ」

 

 

暁「暁型一番艦の暁でしゅ!」

 

 

響「噛んでるよ」


 

提督「いらっしゃい……電さんに会いに来たのですよね」

 

 

暁「は、はいっ!」

 

 

暁「お手紙はしていたんですけどっ、なかなか電と直接会える機会がなくて……」


 

暁「電、久し振りね!」


 

電「なのです♪」

 

 

暁「思った通り、元気そうでなによりね。見ない間に少しレディーになったように見えるわっ」


 

暁「ちょっとお散歩しながらお話しない?」

 

 

響「提督さん、電を借りても構わないかい?」

 

 

提督「ええ、どうぞ。姉妹艦水入らずでお過ごしください」

 

 

暁「ありがとうございます! それじゃ電、行こっ!」オテテトル

 

 

電「ひ、引っ張らないで欲しいのです。電はちゃんと自分で行けるのです」

 

 

提督「響さんは行かないのですか?」

 

 

響「私は、少し電のことで提督さんと話がしたい」

 

 

提督「なんでしょうか?」

 

 

響「電のことはどの程度、知っているんだい」

 

 

提督「ブラック鎮守府で拷問紛いの人体実験を受け、心身に重大な傷を負い、深海棲艦艤装を装備できると」

 

 

提督「その他には深海棲艦に対して、味方を道具扱いできる程に敵視していること、くらいですね」

 

 

響「……あなたのことは知っている。電の司令官になったと聞いて、眠れない日々が続いたよ」

 

 

響「でも電のお手紙のやり取りであなたを好いているって分かった。そういう風にされているのかもしれないと思ったけど」


 

響「思い過ごしかな」

 

 

響「あの手紙の文面からは、おかしくなってしまう前の電を、感じられたんだ」

 

 

響「とても優しい司令官さんだって」

 

 

提督「まあ、自分、優しいといわれた試しがありませんね。でも、自分なりに優しくあろうとしているつもりです」

 

 

提督「そして、申し訳ありませんが、響さんの期待には応えようとは思いません」


 

響「……電の期待には?」


 

提督「善処しています」

 

 

響「それならいいんだ」

 

 

響「電が苦しんでいることに気づかずにのうのうとしていた私達に電に優しくする資格があるのかは分からないけど」


 

響「近くにもいられないから」

 

 

響「電のこと、よろしくお願いします」ペコリ

 

 

提督「はい。お任せを」

 

 

提督「響さん、少し目に隈がありますよ。部屋に戻って少しお休みになられたらどうでしょう」

 

 

響「あなたこそ。全体的に青白いし、目に生気がなくて、でも目力はあって、怖いよ。休んだほうがいいんじゃないかな」

 

 

提督「デフォです。自分、限界が来ると分かりやすく体に信号が出ますので……」

 

 

響「信号、出ているんじゃないかな」

 

 

響「最初、暁が悲鳴をあげただろう?」

 

 

提督「っひ、と漏らしていましたね」


 

響「提督さん、キラークイーンのような目をしているよ」

 

 

提督「……少し休むことにします」

 

 

丙少将「邪魔をする」


 

8


 

提督「お疲れ様です」ビシッ

 

 

丙少将「急な訪問、申し訳ない。楽にしてくれて構わないよ」

 

 

提督「お心遣い、感謝します」


 

丙少将「ん? 響、ここにいたのか」

 

 

響「うん。用事は済んだから、暁と電のところに向かうかな。お邪魔したね」


 

響「後、この人は大丈夫そうだ」

 

 

丙少将「そうか。ふむ」

 


丙少将「少し話、いいかな?」

 

 

提督「もちろんです。どうぞ、粗茶ですが」

 

 

丙少将「……秘書官はいないのか?」

 

 

提督「瑞鶴さんですが、翔鶴さんとのお茶会を許可しましたので、今は出払っております」

 

 

丙少将「……このカップ」

 

 

提督「はい。用意していただいたこの部屋にあったものですが、いかがなされました?」

 

 

丙少将「爆発しないだろうな」

 

 

提督「……しません」

 

 

丙少将「相変わらずつまらない返しをする男だよ、君は」

 

 

提督「? ご期待に添えず申し訳ありません」

 

 

丙少将「あの時は殴ってしまって申し訳なかった」

 

 

提督「いえ、応答に対して不備をもたらしてしまった自分の責任です」

 

 

丙少将「電はどうだい?」

 

 

提督「周りのお陰で元気そう、ではありますね。その真偽は電さんと直接、お会いになられるのがよろしいかと」

 

 

丙少将「電をうちにスカウトしても構わないか?」

 

 

提督「自分としては、電さんがそれを望むのなら止める理由はありません。むしろ丙少将の指揮下に入るなど、喜ばしいことです」


 

丙少将「そうか。うちには暁と響がいるのでな、ある程度回復したのなら、あの子逹といさせてやりたいんだ。電君の手紙には二人と離れて寂しいと書いてあったようだしな」

 

 

提督(ほぼ確実にぷらずまさんの嘘……)

 

 

丙少将「演習は見させてもらうよ」

 

 

丙少将「電の精神状態も回復しているようだし、演習での指揮によっては、お前に対しての評価を改めようと思う」

 

 

丙少将「あの時……お前の指揮は間違ってはいなかった。ただ歓迎されるものではない」

 

 

丙少将「民衆は美しい勝利を求める。殺しあいにおいて、創作の勇者のような美談を、だ」

 

 

提督「……出した」

 

 

丙少将「相手もモンスターのようなものだしな」

 

 

提督「……指示は」

 

 

丙少将「失礼した」

 

 

提督「期待に応えられるようなものではありません」

 

 

丙少将「弱気だな」

 

 

提督「自分の艦隊は脆弱です」

 

 

提督「その艦隊で、自分の足りない頭を捻り、勝利をもぎ取れる確率の高い方法を選んだだけです」

 

 

提督「結果、あの頃と遜色ありません」

 

 

丙少将「それも踏まえて楽しみにしておくよ」

 

 

丙少将「健闘を祈る」



【5ワ●:リスタートのための生け贄】

 


1 龍驤陣営

 


龍驤(仮)「作戦の確認は以上」


 

瑞鳳「龍驤さん」


 

龍驤(仮)「なんやの瑞鳳、まさかこういいたいんやないやろな」

 

 

龍驤(仮)「相手は参戦のために給糧艦を編成に組み込まざるを得ないほど、貧弱。その他のメンバーも心身にハンデを負ってるのに容赦なさすぎる、と」

 

 

瑞鳳「……いえ、向こうがここにいるということの意味は理解しています」

 

 

瑞鳳「海に出る以上、むしろあの子達のために叩いたほうがいいです。それで折れるのなら、戦場に出ないほうが身のためです。私は良心が痛みますが、深海棲艦に慈悲はありませんから」


 

龍驤(仮)「うん、その通りやね」


 

瑞鳳「向こうの司令官、ちょっと怖くて」

 

 

武蔵「……」


 

龍驤(仮)「武蔵、どうしたん?」


 

武蔵「……いや」

 

 

龍驤(仮)「……大和の件か? 司令官のほうか? そういえば武蔵はあの撤退作戦におったんやったね」


 

武蔵「そうだな」


 

武蔵「あの男は勝ちに来る」

 

 

武蔵「演習でも、勝てない勝負に挑むような男ではないと私は見ている」

 

 

龍驤(仮)「あの男をなめるわけやないけど、才覚は全くなかったはず。物覚えもいいほうでなく、秀でたところはない。なにもかも並みかそれ以下やね。努力家やったのは好きやったけど」

 

 

龍驤(仮)「ただ強いてあげるなら、分かるやろ」

 

 

武蔵「情に流されない、か?」

 

 

龍驤(仮)「その当たり前やけど、誰でも最初は躊躇うもんや。自分の指示に命かかってるんやからな。成長して乗り越えてゆくところやね。ま、指揮官続けとれば当たり前になっていくことや。冷静なとこも、指揮官にとって当然」

 

 

龍驤(仮)「せやからあの男に特別秀でたところはないといってんねん。特技もない」

 

 

龍驤(仮)「軍学校のお祭りでも必要性がー、とかいって、屋上の階段で読書しとったわ」


 

長門「龍驤には、底が見えた、と?」


 

龍驤(仮)「見えているのが底がどうか分からんよ。なんせ、あいつ感情出したところ見たことないし、なに考えとるかよー分からへんし」

 

 

龍驤(仮)「ま、軍学校時代も、それからのデータ見てもその場その場で機械的に成功率の高い指示を出す色気のない傾向やで。絶対競馬とかで本命にベッドし続けるやっちゃ」

 

 

龍驤(仮)「最も警戒するのは電」

 

 

龍驤(仮)「所属鎮守府に攻めこんできた駆逐古鬼旗艦隊に1隻で応戦してS勝利収めとる化けもんやで。運じゃ説明できへん」

 

 

陸奥「その電ちゃん、さっきから私のほうを見ているのだけど」

 

 

ぷらずま「●ワ●」ジーッ


 

陸奥「なぜか第3砲塔に不穏を感じるわ……」


 

龍驤(仮)「……最初のウェーブで仕留めるで。夜には持ち越さへん。電もおれば、ゴーヤもおるし、運も考慮すると万が一が色濃く出てくる」

 

 

龍驤(仮)「制空権争いでは負けへん。翔鶴から多少もらうかもしれへんけど、戦艦3隻もいる。制空権争い終わったら始めは弾着で確実に早期で退場させい」

 

 

赤城「龍驤さん、伝えておきましたが」


 

赤城「私は間宮さんを狙えません。私にとって、神様のような存在です」

 

 

赤城「そんなことをすれば」

 

 

赤城「罪悪感のあまり、向こうのケア施設にお世話になる、かも?」

 

 

龍驤(仮)「間宮さんとこにお世話になるのも本望やもんな……ま、作戦通りでええよ」

 

 

伊19「イク、帰ってきたのね!」

 

 

龍驤(仮)「おー、お帰り。ゴーヤちゃんと遊んで満足したんか?」

 

 

伊19「満足なのね!」キラキラ

 

 

龍驤(仮)「おし、イクも戦意高揚しとるな。準備万端や。各自、抜錨準備に入り」

 

 

龍驤艦隊「「(ω・*ゞ!ビシッ」」


 

2

 


瑞鶴(仮)「提督さん、おちびにどんな指示を出したのよ?」

 

 

提督「好きにやれ、です」

 

 

瑞鶴(仮)「たったの5文字。しかもそんなの指揮とは呼べないし……」

 

 

提督「ぷらずまさんに、全てを自分が指示したことにしろ、との指示を受けました。自分もなにかしらの形で利用するみたいですね」

 

 

瑞鶴(仮)「嫌な予感が……」

 

 

提督「予想はできます。ええ、責任は自分が。精神安定剤持ってきて正解でした」

 

 

瑞鶴(仮)「間宮さんも服用してたわね……」

 

 

提督「地獄絵図になると思うので……」

 

 

瑞鶴(仮)「実弾、使うみたいだしね。思い切りすぎよねー……」

 

 

提督「そろそろ、始まりますね」

 

 

瑞鶴(仮)「うん、参加しない私がいうのもなんだけど」

 

 

瑞鶴(仮)「私達がまだ戦えるってこと、証明してやりたいわね」


 

3

 


ぷらずま「翔鶴さんは烈風ガン積みなのです」

 

 

ぷらずま「出来れば制空権を確保されるのは避けて、優勢取られる程度に留めて欲しいのです」

 

 

翔鶴「赤城さんと瑞鳳さん相手にいってくれますね……でも、最善を尽くします」

 

 

ぷらずま「司令官さんの指示です。戦艦2隻が翔鶴さんを潰しに来るとのことなのです。私とゴーヤちゃんと間宮さんは前に出ますから、護ってあげられないのです」

 

 

ぷらずま「だから翔鶴さんはそこで大破してくれていいのです。ただ大破する場合は出来れば、どちらかを道連れにはして欲しいと」

 

 

翔鶴「っ」

 

 

ぷらずま「そして、大破しても離脱意向信号を運営委員に出してはダメなのです。その許可があるまでは死んだふりをしても、相手の情に訴えかける恥を晒してまでも、その場に留まるのです」


 

翔鶴「それは……」


 

ぷらずま「司令官さんの指示なのです」


 

翔鶴「……了解、しました」

 

 

間宮「…………」

 

 

伊58「間宮さん、ずっとフリーズしてるでち」

 

 

間宮「っは、少し意識が飛んでました」


 

間宮「き、来ましたね」

 

 

ぷらずま「翔鶴さん、旗艦の間宮さんを狙う艦載機だけは落とすのです。ゴーヤちゃんは狙われないし、ぷらずまには当たってもかすり傷程度です」

 

 

翔鶴「はい! 艦載機、発艦!」

 

 

ぷらずま「さあ」



ぷらずま「お友達のみなさん、出るのです」

 

 

伊58「イクの相手は任せろでち!」

 


6

 


ぷらずま「さすがは元帥の贈り物だけあってガラクタではないようなのです。制空権は劣勢、止まりなのです」


 

リュウセイ「旗艦間宮をやれ!」ガガガ


 

スイセイ「ナメんなよ」ドドドド



間宮「カタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ」


 

間宮「電ちゃああん……」

 

 

ぷらずま「一ヶ月前に司令官さんからいわれていたことのはずなのです」

 

 

間宮「で、でもぉ」

 

 

ぷらずま「はあ。給糧艦とはいえ艦娘なのにこの体たらく。私達はこれが普通なのに……」

 

 

ぷらずま「だから私は」

 

 

ぷらずま「お前が嫌いだったのです」

 

 

間宮「っ」

 

 

ぷらずま「守ってあげるのです」

 

 

ぷらずま「ただ」

 

 

ぷらずま「守り抜けるかは分からないのです」


 

ぷらずま「敵艦隊の単縦陣の切り込み先のあのゴミ戦艦2隻のうち1隻だけ、ぷらずまが相手するのです」

 

 

長門・陸奥「…………」

 


7

 


陸奥「電ちゃんすごいわねー」


 

陸奥「あの標準駆逐艦装備で、姉さんを上手く引き付けているなんて」 


 

陸奥「で、退いてはもらえないかしら。大人しくしていてくれるのなら数分は撃たないから。できればもう少し切り込みたいのよね」


 

陸奥「予定よりそっちの翔鶴さんに制空権取られちゃった」


 

間宮「……いえ、ここは退きません」

 

 

陸奥「そう。でも脚が震えているし、戦える艤装なんてないじゃない。その背負った冷蔵庫から料理でも出して、もてなしてくれるのかしら?」

 

 

間宮「なら、長門さんの加勢に行けばいいじゃないですか」

 


間宮「それをしないってことは他に優先するべき任務を受け持っているということ、です」

 

 

陸奥「……」

 

 

間宮「なぜ給糧艦である私が前に出たのか、分かります?」

 


陸奥「龍驤、聞こえる?」

 

 

龍驤(仮)「長門から状況は聞いとるでー」


 

陸奥「旗艦間宮に遭遇しました。こらより砲撃に入ります」


 

陸奥「第3砲塔、目標、間宮に照準を合わせて」

 

 

陸奥「第1砲塔、第2砲塔ともに弾着観測射撃の準備に入ります」

 

 

龍驤(仮)「ええ判断や。陸奥の練度なら間宮に割く弾は一発で十分すぎるわ」 


 

陸奥「なにする気か知らないけれど、向かってくるのは蛮勇よ」

 

 

間宮「近距離での回避訓練はぷらずまちゃんに極意を伝授してもらいましたから!」

 

 

陸奥「避けるだけでは勝てないわ」

 

 

陸奥「第1砲塔!」

 

 

間宮「……激流を制するは」スルッ


 

第1砲塔「ヨケラレタヨ」


 

陸奥「外した!?」


 

間宮「静水」スイイー

 

 

陸奥「!?」



8

 


龍驤(仮)「あの動き……トキ!?」

 

 

龍驤(仮)「なんやねん! あの最低限の回避で流れるような接近は!」

 

 

間宮「よしっ! 射程距離に入りました! 食らいなさい!」

 

 

陸奥「ちょっと! 冷蔵庫で殴りかかってきたわよ!?」

 

 

龍驤(仮)「そんなギャグでペース狂わせるな!ビッグセブンを自覚せい!」

 

 

間宮「悠長に通信ですか! 油断しましたね! 奥の手です!」

 

 

間宮「30cm……!」

 

 

陸奥「分かりやすい……はったりね!」

 

 

龍驤(仮)「せや! 間宮には積めん!」

 

 

龍驤(仮)「辺りを確認せえよ!さっきから間宮は油断させたり意識向けさせたりしとる! 何かする気や!」

 

 

陸奥「さすがね。反応あり……潜水艦!」


 

陸奥「間宮は、囮、みたいね」

 

 

龍驤(仮)「ほんま馬鹿の一つ覚えな司令官やで!」


 

間宮「30cm刃渡三連砲!」ドスドスドス

 

 

陸奥「包丁を投げて……キャアアアアア!!」

 

 

龍驤(仮)「」

 


8

 


龍驤(仮)「元帥ちゃん! あんなのありなん!?」

 

 

元帥「ふざけるなよ……間宮だぞ」

 

 

龍驤(仮)「その通り! やっこさん酒でも喰らってんちゃうかってレベルや!」


 

元帥「ふざけるなよ」


 

元帥「龍驤オオオオッ!!」

 

 

龍驤(仮)「え、うち!?」

 

 

元帥「戦艦陸奥だぞ! 護衛艦も離れた間宮くらい初撃で仕留められんのか!」

 

 

龍驤(仮)「いや、仰る通りやけども!」

 

 

陸奥「っ、どう報告すればいいのかしらこれ……」


 

龍驤(仮)「陸奥、どないした!」


 

陸奥「だって弾じゃなくて刃物よ。被弾じゃないわよね。なんていうの?」

 

 

陸っちゃん「被、刃………? 分からないわ……ふええ」


 

龍驤(仮)「陸奥うううううッ!」



9



ぷらずま「余所見するとは余裕、なのです」

 

 

長門「電、この距離はお前の領域だろう。だが、当たらない。まるで、数打てば当たる、だ」

 

 

長門「それでこの長門に勝てると思っているわけではあるまい」

 

 

長門「例の深海棲艦艤装を使え。今のお前では演習にもならん。私は駆逐艦と遊びに来たわけではない」

 


ぷらずま「電は」

 

 

ぷらずま「いえ、私は遠距離、中距離、近距離、その全てにおいて雷撃戦も砲雷撃戦もへたっぴなのです」

 

 

ぷらずま「電としての状態で深海棲艦の体に犯されているせいで、電としての装備も、深海棲艦の装備も、しっくり来ないのです」


 

ぷらずま「でも、精一杯、やっているのです」

 

 

ぷらずま「なのにあなたは仁王立ちして余裕をかまして挙げ句にトークなのです。深海棲相手にもそんな風にするのです?」

 

 

ぷらずま「遊び気分は」

 

 

ぷらずま「そっちなのです」


 

ぷらずま「あなたも私達を馬鹿にするのですか」


 

長門「……」

 

 

ぷらずま「恥を承知で参戦したこちらの覚悟も知らずに」


 

ぷらずま「あなたに勝って、証明、するのです」スイイー

 

 

ぷらずま「私達は戦えると、せめて一矢報いてでも……」


 

ぷらずま「進むのです」スイイー

 

 

長門「……46cm」


 

ぷらずま「真っ直ぐに」


 

長門「三連装砲」


ドオン!


ぷらずま「っ………」


 

長門「直撃で沈まないか。聞いていた通り、ただの駆逐艦ではなさそうだ」

 

 

長門「こい。もう少しでたどり着くぞ?」

 

 

長門「46cm三連装砲」



ドオオン!

 


ぷらずま「っ、私は、遠距離も、中距離も、近距離も得意では……っ!」

 

 

長門 「15.5cm三連装副砲」

 


ドオン!



ぷらずま「ないけど……」グラッ

 

 

長門「……見事だ。この長門の懐まではたどり着いたこと誇るといい」ガシッ

 

 

ぷらずま「あなたにできない至近距離の自爆戦法は得意なのでーす」



ジャキン



ぷらずま「――――え、私に、砲口、が」


 

長門「そんなことだろうと思ったよ」

 

 

長門「そういうのは駆逐艦をなめているやつにやるといい」


 

ドンッ!

 


ぷらずま「……、……」バチャン

 

 

長門「こちら戦艦長門」


 

長門「至近距離での砲撃代償でこちらも中破だ……副砲もイカれた」

 

 

長門「そして、駆逐艦電の戦闘不能を確認した」


 

龍驤(仮)「長門はまだ行ける?」

 

 

長門「ああ」

 

 

龍驤(仮)「翔鶴は中破して置物や。武蔵と、陸奥も根性見せてくれたわ。翔鶴に弾着命中させてくれたよ」

 

 

龍驤(仮)「間宮はちと予想外やったけど」

 

 

龍驤(仮)「このまま予定通りの地点で武蔵と合流して旗艦の間宮を確実に沈ませや。赤城もそっちの支援に向かわせとる」

 

 

龍驤(仮)「あ、それと、間宮にしてやられてゴーヤに抜けられたんやけど、瑞鳳とイクに命令出したから、間宮優先な」

 

 

龍驤(仮)「陸奥はうちの判断で離脱させた」


 

長門「精進が足りん」

 

 

龍驤(仮)「そういうてやるなや。役割は果たしてくれたで。それじゃ、残りの掃討戦は任せたでー」

 

 

長門「さて……」

 

 

ぷらずま「だから、あなたは、まだまだお遊び程度の存在なのです」ジャキン

 

 

長門「っ!?」

 

 

ぷらずま「戦闘不能?」



ぷらずま「その判断が私をなめている証拠なのです。深海棲艦が死ぬのは嫌なのですって、離脱意向信号は出すとでも」

 


長門「その玩具で……」

 

 

ぷらずま「軍艦の性能を有し、人間の形をしている」

 

 

ぷらずま「戦艦でも装甲空母でも、装甲耐久関係なしに、弱点がいくつかある」



ぷらずま「一つは、おへその奥なのでーす♪」



ドォン

 

 

長門「ぐあっ……!」

 

 

ぷらずま「●ワ●」

 

 

ぷらずま「面白いのです」

 

 

ぷらずま「体内で弾の軌道が逸れて、右肩辺りから弾が飛び出たのです♪」

 

 

ぷらずまは「長門さん、私の時は」


 

ぷらずま「脇腹だったのです♪」



ドォンドォンドォンドォンドォン……ガチッ

 


ぷらずま「悲しいのです。5cm連射砲君が、ジャムりやがったのです」

 

 

長門「~~っ!」バチャン

 

 

ぷらずま「●ワ●」ジー

 

 

ぷらずま「情けで信号発信させといてやるのです」ポチ

 

 

ぷらずま「精々、屈辱に思うのです」



【6ワ●:少しだけ本気を見せてやるのです】

 


1



伊19「瑞鳳さん、ゴーヤが!」

 

 

伊19「射程距離に入っても魚雷を全く打ってこなくて、ただ向かってくるのね!」

 

 

伊19「イクの魚雷と瑞鳳さんの艦載機で、もう大破してるのにっ!」

 

 

瑞鳳「イクちゃん、落ち着いて」

 

 

瑞鳳「向かって来る限り、油断してはダメよ」

 

 

伊19「これ以上、撃てばゴーヤが死んでしまうのね! そんなの絶対に嫌なの!」

 

 

瑞鳳「最初の地点まで下がります。警戒を怠らずに距離を取りつつ様子を見ましょう」


 

伊19「りょ、了解なのね!」


 

瑞鳳(分からない。だって、演習だよ?)

 

 

瑞鳳(実弾使用演習とはいえ、それはあくまで実戦に近づけるための要素で、各自に離脱意向信号があるし、それを出した相手には攻撃は反則だもの。動いているということは伊58はその信号を出せるはずなのに)

 

 

瑞鳳(演習で撃沈なんかさせるはずがない。皆、きっとこう思ってる)

 

 

瑞鳳(だから、意表を突かれたともいえるけど、向こうの提督のことを龍驤さんはこういってた)

 

 

瑞鳳(ただ機械的に勝利をもぎ取りに来る色気のない司令官だって)


 

瑞鳳(少し甘かったかな、私)

 

 

瑞鳳(でも、異常だよ)

 

 

瑞鳳(確か、ゴーヤちゃん……オリョクルでの事故で大破して沈みかけて)


 

瑞鳳(心に深い傷を負ったんだよね)

 

 

瑞鳳(なのに、大破したゴーヤちゃんが自分の意思で好んでこの戦力差に向かってくるとは思えない)


 

瑞鳳(向こうの司令官がゴーヤちゃんに、大破進軍の指示を出してるってこと、だよね……?)


 

瑞鳳(それに従うなんて、酷い脅され方をされているとか……?)


 

瑞鳳(ゴーヤちゃんの背後には武蔵さんと赤城さんがいる。あの二人に応戦している間宮さんと雷ちゃんの支援を期待しているとは思えないし、それなら時間稼ぎとして大破してまで向かってくるのは疑問だし)


 

瑞鳳(魚雷を射出できなくなった潜水艦)

 

 

瑞鳳(ゴーヤちゃんを進軍させる意味は……)

 

 

瑞鳳(自爆、特攻)

 

 

瑞鳳(……とか)

 

 

瑞鳳「嫌だよ」


 

瑞鳳「怖いよ」


 

瑞鳳「理解不能、だよ」

 

 

瑞鳳「……こんな、戦い方」

 

 

瑞鳳「悲し過ぎるもん……」



2


 

伊58(あー、しんどい、でち……)

 

 

伊58(でも、あの提督さんのこと、嫌いじゃない)

 

 

伊58(ま、ゴーヤにクルージングさせないし、遠征も、出撃も、なに一つ命令はしないでち)

 

 

伊58(前の鎮守府で落ちこぼれだったゴーヤはオリョクルしかさせてもらえなかったけど)

 

 

伊58(ここでは第1艦隊の立派な主戦力でち)

 

 

伊58(……軍の、穀潰し)

 

 

伊58(絶対に、見返してやるでち)

 

 

伊58(あの提督さん、笑うかな。喜ぶかな)

 

 

伊58(ゴーヤを、誉めてくれるかな。想像すると、なんでか楽しいでち)

 

 

伊58(あ、捉えた!)

 

 

伊58(というか、止まったでち)

 

 

伊58(なにもしてこない)

 

 

伊58(電ちゃんのいう通りでち)

 

 

伊58(艦娘を沈める度胸はない)


 

伊58(イクの優しさにつけこむようで、情けないけど、ゴーヤは未来を勝ち取るために来た)

 

 

伊58(今回はゴーヤが、勝たせてもらうでち)


 

天山「……スマン」ドォン


 

伊58(……あ、れ?)

 

 

伊58(動か、ない?)

 

 

伊58(攻撃、された)

 

 

伊58(直、撃)

 

 

伊58(ってことは、ゴーヤ、は)

 

 

伊58(……沈むの?)

 

 

伊58(息が、お腹がっ)

 

 

伊58(浸水が、収まらない……)


 

伊58(嫌だ)

 

 

伊58(これから、でち)

 

 

伊58(これから、やっと、始まって)


 

伊58(戦争に、勝って)

 

 

伊58(イク達と一緒に、遊んで)

 

 

伊58(恋、とかしてみたりして)

 

 

伊58(まだ、沈み、たく、ない)


 

伊58(……あー)

 

 

伊58(沈むわけ、でち)

 

 

伊58(仲間と、背中の景色を守るために戦いを、始めたのに)


 

伊58(いつの間に、か)


 

伊58(自分のこと、ばっかり)

 

 

伊58(周りのこと、見えなく、なってる)

 

 

伊58(海の色が、黒く……)


 

伊58(泣ける、でち)

 

3

 

瑞鳳「艦載機、発艦させます」

 

 

伊19「瑞鳳さん、ゴーヤを沈める気なの!?」

 

 

瑞鳳「向こうは決死の覚悟です」

 

 

瑞鳳「伊58に言葉は要りません」

 

 

瑞鳳「イクはそれが嫌なら離脱してください。もしくは伊58を守るため、私と敵対してください」

 

 

瑞鳳「持ってきた覚悟が違ったんです。私達は相手を見誤り、そして、なめすぎていました。実戦形式の演習ではなく、演習形式の実戦、と認識を改めます」

 

 

伊19「龍驤さんに指示を仰いでっ」

 

 

瑞鳳「すでにさきほど受けています。龍驤さんは、絶対に勝て、と、伊58を相手しろ、と」


 

瑞鳳「状況が変化したわけでもないです」



瑞鳳「わざわざ、殺せ、といわせるつもりですか」

 

 

瑞鳳「それとも、命令されたから、という逃げ場となる理由を確認したいのですか?」

 

 

伊19「~~っ」ナミダメ

 

 

瑞鳳「ごめんね、きついこといっちゃって」


 

瑞鳳「でも、イクちゃんのその躊躇いと涙は、絶対に間違っていないから。戦争が終わった後まで、なくさないでしっかり持っていて欲しい、かな」

 

 

伊19「……イク、龍驤さんに、連絡する、のね」

 

 

瑞鳳「そう」


 

伊19「この報告と、この次の、指示を、聞くの」

 

 

瑞鳳「さすが、うちの旗艦だね」

 

 

瑞鳳「少し下がって」

 

 

瑞鳳「念のために旗艦のイクちゃんは伊58の射程距離外に」

 

 

伊19「了解、なのね!」ビシッ


 

瑞鳳「……艦載機、発艦!」

 


4

 


瑞鳳「……、………」


 

瑞鳳「命中をっ、確認」

 

 

瑞鳳「潜水艦伊58の反応、消失を」


 

瑞鳳「伊、58のロスト、を、確認っ」

 

 

瑞鳳「………う、あ」ポロッ

 

 

瑞鳳「ああああああああ!!」


 

瑞鳳「なんでなんでなんでなんで!?」

 

 

瑞鳳「なんでなのよおおおお!!」


 


 …………

 

…………

 

 

 

伊58「海の中からこんにちはー」

 

 

瑞鳳「――――ふぇ?」

 

 

瑞鳳「確かに、ロスト、を確認、へ?」

 

 

伊58「うん。ゴーヤは撃沈したよ?」



瑞鳳「お、おば、っけ……ひぃっ」


 

伊58「まあ、盲点だよね」

 

 

伊58「撃沈しないが基本の演習に」

 

 

伊58「女神装備させるとか」


 

瑞鳳「……」

 

 

伊58「……」 


 

瑞鳳「…………あっ」


 

出血公「魚雷は0距離で以下略ドオオオン!」キャッキャ

 

 

瑞鳳「イヤアアアア!!」

 

\ドカーン/

 


5



伊19「大変なのね」


 

龍驤(仮)「イク」

 

 

龍驤(仮)「ゴーヤは気を失った瑞鳳を鹵獲していったんやな」

 

 

伊19「うん」


 

伊19「追ってこないでって、瑞鳳さんを、人質に、されたの」ナミダメ

 

 

伊19「ゴーヤ、変わっちゃったの」

 

 

伊19「イクが、追っていい?」

 

 

龍驤(仮)「あかん、出した指示通りの進路を通って赤城のとこに行きや。瑞鳳には悪いけど、大丈夫、絶対に撃沈はさせられへん」

 

 

龍驤(仮)「旗艦のイクがやられたら負けるけど、まだうちらが優勢やで」

 

 

伊19「でも、こっちは離脱意向信号出した長門さんと陸奥さんは撃沈判定なのね。瑞鳳さんも大破で、向こうはゴーヤちゃんが大破判定、翔鶴さんが中破判定……」


 

龍驤(仮)「なー、イク。深海棲艦と交戦したら、司令官はその結果を報告書で提出するやろ」

 

 

龍驤(仮)「だけど、完全勝利Sと勝利S以外はこっちが思っていたのと違う判定判断が送られてくることがあんねん」

 

 

龍驤(仮)「疑惑の判定とかいうやつ」

 

 

龍驤(仮)「どうも戦闘内容を評価するに当たって、ほんの少しお偉いさんの思考が混ぜられる余地が許されとるみたいやね」

 

 

龍驤(仮)「つまり評価下すやつによって、少し変わってくる」


 

龍驤(仮)「向こうの陣営のふざけた戦術は運営委員の心証を確実に悪くしてると思うわ」

 

 

龍驤(仮)「うちの龍驤の経験からして、まだこっちが判定で勝っとる範囲やと思う。これ以上落ちたら、厳しくなってくるけどなー」


 

龍驤(仮)「皆のお陰やで」


 

龍驤(仮)「旗艦に伝えとくで。向こうの作戦」


 

伊19「?」スイイー


 

龍驤(仮)「いくつか運の要素に任せ過ぎなとこがある」

 

 

龍驤(仮)「向こうの司令官はそんな賭博性の高い指示出さへんと思っとったから逆手に取られた、とも思ったんやけど」

 

 

龍驤(仮)「やっこさん、一度も連絡のやりとりしとらん。これは武蔵と陸奥が気付いたんやけどな。始まってから今まで、や」

 

 

伊19「それって……」スイイー


 

龍驤(仮)「自由にやれ、とか、お前らに任せる、とかそんな投げっぱの指示出して静観しとる」

 

 

龍驤(仮)「それが最も勝てる作戦やと判断したんやろな」


 

龍驤(仮)「イクにうちから問題や」

 

 

龍驤(仮)「大破しても撤退しない。味方を道具のように扱い、敵を倒すためなら自らの傷もいとわない」

 

 

龍驤(仮)「覚えあるやろ。ゆうてみ」

 

 

伊19「……………深海、棲艦」


 

龍驤(仮)「せや。やっこさん、演習ではあるけどさ、深海棲艦みたいに動いとる」

 

 

龍驤(仮)「狙っているのか無意識なのかは知らんけど」

 

 

龍驤(仮)「よく見とき」

 

 

龍驤(仮)「ああなったらあかんよ」

 

 

龍驤(仮)「ミイラ取りがミイラにってやつやん?」

 

 

龍驤(仮)「ゴーヤちゃんのためにも勝たんとな」

 

 

龍驤(仮)「うちらには友のような仲間がいる。助け合い、支え合える。悲しい深海棲艦とは違って、そういう綺麗な強みが力になるもん」


 

龍驤(仮)「今のあいつらに誰が安心して背中向けられるっちゅーねん」


 

龍驤(仮)「ま、電の経歴的にそこまで堕ちてもしゃーないし、きっと気付けんような道を歩んできたんやろなー……」


 

龍驤(仮)「そんなん、間違ってるよって」

 

 

龍驤(仮)「負けんと分からん馬鹿に」


 

龍驤(仮)「うちらが結果で教えてやるで!」


 

伊19「イクに任せるのね!」ビシッ


 

伊19「あっ……敵影発見したのね!」

 

 

間宮「(´⌒`。)ドコココー」スイイー


 

伊19「」

 

 

伊19「間宮さんが遭難しているみたいなのね……」

 

 

龍驤(仮)「魚雷でええよ。なんか可哀想やからもう退場させたろ?」

 

 

伊19「魚雷、発射なのね!」

 

 

間宮「……激流感知」

 

スルッ

 

ドカーン

 

スイイー

 

間宮「静水処理完了」


 

伊19「!?」

 


6 



武蔵「なぜだ」

 

 

武蔵「なぜ離脱意向信号を出さない」

 

 

ぷらずま「……負けられ、ません」ボロッ


 

武蔵「あの男の指示か?」

 

 

ぷらずま(あー……そういえばこいつあの撤退作戦の参加メンバーなのです)

 

 

武蔵「大和を使い潰したあの時から、まるで成長してないな」

 

 

ぷらずま(……艦娘相手に攻撃をためらいがちなのは、あの時の後遺症とか?)


 

ぷらずま「司令官さん、は」

 

 

ぷらずま「悪くない」

 

 

ぷらずま「弱い艦娘が、悪いの、です」

 

 

武蔵「お前は、強いと思うが」

 

 

武蔵「長門を倒し、私を小破させている」


 

ぷらずま「……弱い、です。怨みを、買うような、真似して、駆逐古姫の装備で、やっと、小破なのです……」


 

武蔵「弱いことが罪と軍規にあるか?」

 

 

武蔵「弱いことで割りを食うことはある。だから強いていうのなら」

 

 

武蔵「強くなろうとしない心こそ罪なのだろうよ」


 

武蔵「その病に犯された体を解放し、命を燃やし、魂を削る」

 

 

武蔵「演習で、だ」

 

 

武蔵「お前はこの会場にいる誰よりも、強い覚悟を持っている」


 

ぷらずま(…………はあ)

 

 

ぷらずま(この色黒眼鏡、単純な兵士として見るなら弱くはないんですけどね)

 

 

ぷらずま(大和の件がある限り、その弱いことが罪ではないという発言)


 

ぷらずま(自分にいい聞かせてるように思えて憐れなのです)


 

ぷらずま「●ワ●」イナズマチェンジ

 

 

電「ありがとう、ございます」ポロポロ

 

 

電「でも、司令官さんは電に、いうのです」


 

電「弱いやつは強いやつの盾になってでも勝利に貢献して当然って……」

 

 

武蔵「あの男……」

 

 

電「電は、最悪、ですよね」

 

 

電「盾になりたくないから、盾になってもらうために」

 

 

電「強く、なりたい、だなんて」ポロポロ

 

 

電「嫌、なのです。もう、死んでも、いいのです」

 

 

電「おかしく、なってるのです……」

 

 

電「……おかしい、ですよね」

 

 

電「戦争には、勝ちたいけど」

 

 

電「命は助けたい、だなんて」ポロポロ

 

 

武蔵「間違っているものか……」

 

 

電「なら、撃ってください」

 

 

電「電が間違ってるって、証明してください」

 

 

電「電も、全力を出すのですっ……」

 

 

武蔵「ああ、この武蔵が敬意を表し、全霊で応えよう!」ジャキン


 

7

 


電「……みんな……電、弱くて……」フラッ

 

 

電「ごめん、なさい……」バチャン

 

 

武蔵「……」

 

 

武蔵(離脱意向信号は出さない。いや、出せない。あの司令官なら、それを事前に強いているのもあり得る)

 


武蔵(分かる)

 

 

武蔵(長門はこの選択で間違えた)

 

 

武蔵(まだ余力を残しているかは分からんが……)


 

武蔵「電、まだ最後の1滴残しているのだろう」

 

 

ぷらずま「…………」


 

武蔵「それでもなお、私は助けよう」

 

 

武蔵「お前は強いが、この武蔵も同じだ」

 

 

武蔵「ゆえに、可能であると今から証明してみせよう」

 

 

武蔵「戦争の勝利に貢献してなお、命を助けられる、とな」

 

 

電「…………」ジャキン

 

 

武蔵「潜水棲姫の……」

 

 

武蔵「痛々しい……」

 

 

電「司令官さんから教わり、ましたから……」

 

 

電「猿でも当てられる」

 

 

電「魚雷の、撃ち方……」

  

 

武蔵「……可哀想に」ギュッ

 

 

武蔵「辛かったろう?」ギュウウウ


 

ぷらずま「…………」



7

 


ぷらずま「…………」ボロッ

 

 

ぷらずま(再生が鈍くなってる、のです)


 

ぷらずま「……もっと、精進、するのです」スイイー

 

 

ぷらずま「で」

 

 

ぷらずま「なぜ近くにいながら支援せず、あほみたいに敬礼しているのです」

 

 

ぷらずま「赤城」

 

 

赤城「手を出さなかったのは、武蔵さんの意を組んだだけです」

 

 

ぷらずま「その行動を許すほど、龍驤さんは甘いのですか?」

 

 

赤城「後方支援を命令されましたね」


 

ぷらずま「あなたもなめているのですね……」


 

赤城「ただ龍驤さんが下した後方支援命令を恣意的に解釈しました。相応の覚悟を決めて」

 

 

赤城「戦艦武蔵の勝利条件はただ勝つことだけではない、と判断したので」

 

 

赤城「最後、武蔵さんに抱き締められた時」

 

 

赤城「ふふっ、電ちゃんの顔をしていましたよ?」


 

赤城「そちら側から戻ってこれますね。自分の足では無理そうですか?」

 

 

赤城「砲口を向けるあなたに、情を持って抱擁した武蔵さん、その抱き締めた武蔵さんを解せずに砲を撃ったあなた」

 

 

赤城「演習、相手は仲間です」


 

赤城「どちらを勝利とするべきか、まだ分かりますか?」

 

 

ぷらずま「もちろん、分かっているのです」

 

 

ぷらずま「ですが悲しいことに、赤城さんは分かっていないようなのです」


 

赤城「まあ、武蔵さんの離脱意向信号を押したのは実に電ちゃんらしかったですね」


 

ぷらずま「予想外の行動に素が出ただけなので、見当違いの深読みは不要なのです」ジャキン


 

赤城「なるほどなるほど、そちらが素なのですね」

 

 

ぷらずま「うっとーしい給食センターのババアなのです」

 

 

ぷらずま「勝利より優先するものがあるのなら、勝利くらいはこっちに譲りやがれなのです」

 

 

赤城「いえ、あなたがそういうからこそ、戦って勝つ必要がありますから」

 

 

赤城「まあ、私は意外とスパルタなので、武蔵さんのように優しくはできないです。ごめんなさいね」


 

赤城「正規空母赤城、これより戦艦武蔵の意図を汲み」

 

 

赤城「支援という名のお仕置きを、開始しちゃいます」ニコ


 

ぷらずま「● ●」ジーッ

 

 

赤城「いっておきますけど」

 

 

ぷらずま(あ、これ少しヤバイ気がするのです)

 

 

赤城「1航戦の誇りにかけて、です」

 

 

ぷらずま「!」クルッ、スイイー

 

 

赤城「あらあら、得意だという至近距離まで行ってあげようとしたのに、逃げ出すなんて」

 

 

赤城「吹雪ちゃんとお喋りする時みたいに笑ったつもりなんですけど……」


 

赤城「そんなに怖いですかね、私……?」



8

 


ぷらずま「赤城さん……」


 

ドオン

 


ぷらずま「さすがっ、なのです」


 

ドオンドオン!



ぷらずま「この私が、彗星ごときを1度足りとも、避けさせてもらえない、のです」

 

ドオオオン

 

ぷらずま「なの、ですっ……」


 

伊58「あ、ぷらずまちゃん!」チダラケ

 

 

ぷらずま「大破……巻き添え食らうし邪魔だから、潜ってろ、なのです」

 

 

ぷらずま「●ワ●」ジーッ


 

瑞鳳「」

 

 

ぷらずま「その瑞鳳さんは」

 

 

伊58「向こう、撃沈させる覚悟あったでち」

 

 

伊58「イクには悪いけど、とりあえず、逃げ切るために……仕方なく……」

 

 

瑞鳳「」


 

伊58「離脱意向信号の許可、欲しいでち」

 

 

ぷらずま「ん、離脱意向信号許可するのです。ぷらずまが見誤っていたようなので、ごめんなさい、なのです」

 

 

ぷらずま「やはり指揮は苦手なのです」シュン


 

伊58「気にするなー、でち」

 

 

ぷらずま「なんかまだ元気そうなのですけど、一応、大破、なのです」

 

 

ぷらずま「指示は好きにやれ、なのです」

 

 

ぷらずま「……司令官さん、聞こえますか」


 

ぷらずま「現状況を伝えるので」

 

 

ぷらずま「勝利できる指示を」 

 

 

提督「了解しました」

 


9



ぷらずま「翔鶴さん、よく留まっていてくれたのです。被害は……」

 

 

翔鶴「提督さんに伝えた通り、飛行甲板損傷、中破、判定ですね。艦載機発艦不可です」

 

 

ぷらずま「少し見させてもらうのです」

 

 

ぷらずま「●ワ●」ジーッ

 

 

ぷらずま「矢はまだありますね。弓の代わりとなるものがどうにかできれば発艦可能なの、です」


 

ぷらずま「聞こえていますか?」


 

提督「はい」

 

 

ぷらずま「今の1航戦赤城は『1航戦の誇り』を口にした戦場では、データからして爆撃の命中率があがる妙な空母なのです」


 

提督「それはすごいですね」


 

ぷらずま「……知らなかったのです?」


 

提督「すみません」

 

 

ぷらずま「……司令官さん指示を」


 

提督「1つ質問、です」


 

提督「ぷらずまさん、どの程度戦えますか?」

 

 

ぷらずま「底を見せたくはないので判定通りの大破として扱って欲しいですが、艦載機のないカカシ赤城と潜水艦程度なら相手してやるのです」


 

提督「ではお願いします」

 

 

翔鶴「しかし提督さん、この状況で、なにをどうすれば、赤城さんを無力化だなんて……」


 

提督「翔鶴さんに弾はあります」

 

 

提督「ですが、発射する銃がない」


 

提督「難しいことだとは思いますが、翔鶴さんならきっと出来ると思います」

 

 

ぷらずま「いっておくのですが、瑞鳳艤装は翔鶴さんには扱えないのです」


 

提督「いえ、艤装ではなくて」

 

 

提督「艦娘というのは建造で艤装を身に付けるため身体そのものが軍艦パーツ。中破や大破は損傷して機能に制限が出る状態」



提督「でも、軍艦には代わりないですし、ほら瑞鳳さんの体は五体満足でしょう」



提督「翔鶴さん、瑞鳳さんに弦をくくりつけてください。少しでも矢が前に飛べばいいです」

 

 

提督「理論上、行けるはずです。誰もやったことはないでしょうけど」

 

 

ぷらずま・翔鶴「」

 


10


 

ぷらずま「あー、司令官さんの指示通り用意してあげたのです」

 

 

ぷらずま「瑞鳳に弦をくくり、つけたのです」

 

 

ぷらずま「っく、この飛行甲板女、持ち上げるの、手伝い、ます」 


 

翔鶴「飛行甲板だなんで、失礼、です。瑞鳳さんと呼んであげてください」ミギウデプルプル

 

 

翔鶴「っあ、ダメです。瑞鳳さん重すぎます……!」ヨロッ、バチャン

 

 

ぷらずま「もう1度なのです」

 

 

ぷらずま・翔鶴「せーのっ!」

 

 

ぷらずま・翔鶴「なのですっ!≧ ≦」

 

 

翔鶴「妖精さん、どう、ですか?」


 

妖精さん「( *˙ω˙*)و グッ!」

 

 

ぷらずま「支えるのでさっさと構えるのです」

 

 

翔鶴「この弓、ちゃんとしなるか心配ですっ、けど」ハアハア


 

ぷらずま「妖精さんがイエスっといえば、イエス、なの、ですっ」ハアハア



ぷらずま「早く弓を引いて矢を……」

 


翔鶴「艦載機っ、発艦してくださいっ」

 


11

 


提督「できました……すごいです。翔鶴さんの弓のセンスを褒めるべきですかね」 

 

 

瑞鶴(仮)「あんたが命令したんじゃない!」


 

提督「出来るものなのですね……」

 

 

提督「今後に生かしたいと思います」

 

 

瑞鶴(仮)「来週には今の翔鶴姉のポジは私でしょ!? 生かす状況にならないように指揮を取りなさいよ!?」

 

 

提督「……仰る通りです」

 

 

提督「それより、演習終わった後、自分はどうなるのでしょうか。ここまでぷらずまさん達が使った戦術は……」

 

 

瑞鶴(仮)「囮」

 

 

提督「不意打ち」

 

 

瑞鶴(仮)「騙し討ち」

 

 

提督「自爆特攻」

 

 

瑞鶴(仮)「人質」

 

 

提督「艦娘を艤装扱い」

 

 

瑞鶴(仮)「……クビが飛ぶわね、物理で」

 

 

提督「せめて」

 

 

提督「勝たなければ言い訳もできないですね」


 

瑞鶴(仮)「勝っても言い訳すらさせてもらえないと思う(真顔」

 

 

提督「まあ、なんとかなりますよ。多分」

 

 

瑞鶴(仮)「……マジですかい」


 

提督「収穫はありました」

 

 

提督「意外でした。ぷらずまさん、見た目相応に可愛いところあるんですね」


 

瑞鶴(仮)「どこにあったのよ……」


 

提督「赤城と対峙した時、『1航戦の誇り』と聞いた瞬間、尻尾を巻いて逃げ出したそうです」

 

 

瑞鶴(仮)「ああ、おちびも人の子ってことね」


 

提督「潜水棲姫にメタモルフォーゼ、いや、トランスですか。トランスして潜れば、赤城さんの攻撃は回避できたはずです」

 

 

瑞鶴(仮)「いわれてみれば、そうね」


 

提督(仮)「赤城さんに負けたんですかね。心で。命中率の高い爆撃機を前に、怖くてただ逃げ出した。子供みたいに」


 

提督「潜水棲姫になる余力がないとは思いきや、元気そうですし、怖いのではなく、混乱、しているのでしょうか」

 

 

提督「まあ、お願い、として指示を出しておきとしましょう」



13

 


赤城「……おかしいですね」

 

 

赤城「龍驤さん、応答願います」

 

 

龍驤(仮)「どうしたん」

 

 

赤城「敵艦載機が来ています。烈風が26機です。制空権、維持できません」

 

 

赤城「加えて駆逐艦電の姫化を待機地点より確認、あれは潜水棲姫ですね。私では撃破できません」


 

赤城「仕留め切れなかった私のミスです」


 

龍驤(仮)「……間宮は撃沈判定やで」

 

 

龍驤(仮)「なんか演習指定海域を自分から出て、離脱意向信号自動作動したみたい……」

 


赤城「間宮さん……」


 

赤城「まあ、現段階では我々の勝利、といえますね。B……でしょうか」


 

龍驤(仮)「赤城はどうしたいん?」

 

 

赤城「……」


 

龍驤(仮)「ごめん。いわせることやなかったわ」

 

 

龍驤(仮)「電はイクがやる。翔鶴を頼むわ。それぞれ1発、直撃させて離脱意向信号出さんかったら判定勝ちでええ。時間まで引くで。どーせ追ってくる体力もないやろ」

 

 

赤城「翔鶴さん、壊れた弓代わりに瑞鳳さんを使ってますので、大破の瑞鳳さんを巻き添えにする恐れがあります」

 

 

龍驤(仮)「え、瑞鳳の艤装を使って?」


 

赤城「いえ、瑞鳳さん自身を腕にくくりつけて、弓を打つ仰天技を敢行してます」

 

 

赤城「確かに私達の身体は軍艦としての機能があるとはいえ」

 

 

赤城「同じ艦娘にあんな真似が出来るだなんて信じられませんよ……」


 

赤城「下手したら盾にされるので」

 

 

赤城「幻覚であって欲しかったです」

 

 

龍驤(仮)「……、……」

 

 

龍驤(仮)「……、…………、……」ブチッ


 

龍驤(仮)「ふざけるのもええ加減にせーよおおおおお!!」


 

龍驤(仮)「~~~~!」バキバキバキ

 

 

赤城「龍驤さん?」

 

 

龍驤(仮)「大丈夫やで……うち自身を落ち着けただけやし」

 

 

伊19「赤城さん! イク、合流なのね!」

 

 

龍驤(仮)「よっしゃ!終わりにするで!」

 

 

伊19「~~~! 赤城さん!」


 

赤城「! 駆逐艦電……空母棲姫に変化しました」


 

伊19「こ、怖い……の、ね……」


 

龍驤(仮)「構わん! ぶっ潰したれ!」

 


ドオオン

 


伊19「……え?」ボロッ

 

 

赤城「……っ」

 

 

赤城「イクさん、捕まって!」


 

赤城「龍驤さん、旗艦伊19が大破しました!」

 

 

龍驤(仮)「イク、応答できるか!?」

 

 

伊19「は……い」

 

 

伊19「……警戒を怠った、のね」

 

 

伊19「空母棲姫のフォルムで……潜水棲姫の魚雷、撃ってきて……た」


 

龍驤(仮)「…………っ」



14


 

ぷらずま「●ワ●」ジー

 

 

ぷらずま「……見せるのは癪ですが、司令官さんが勝つために出した指示」

 

 

ぷらずま「司令官さんの指示通り、やはり愚かでした。潜水艦を、海面に引き揚げたのです」

 

 

ぷらずま「司令官さん、分かっていると思うのですが、弾着観測射撃。ぷらずまはこの距離からでは当てられません」

 

 

提督「弾着観測射撃が当たるかどうか、は向こうに判断できません。そもそも至近距離以外が苦手、というぷらずまさんの言葉を真に受けるほど浅慮ではないでしょう」


 

提督「このような状況では、当たったら、と最悪を予測するのが人の心理です」

 

 

提督「赤城さん、龍驤さんのような歴戦の空母なら、戦ってきた相手も組んだ仲間も相応の強さです」

 

 

ぷらずま「だからなんなのです」


 

提督「弾着観測射撃は、必ず当たり打撃を与えるもの」


 

提督「そこの心理がほぼ必ず自分達にとって有利に働きます」

 

 

ぷらずま「……!」

 

 

ぷらずま「加えて、ぷらずまならやるかもしれない、と思考するのです」


 

ぷらずま「大破の伊19を狙う、と」

 

 

提督「ですね……」

 

 

ぷらずま「向こうは優秀ですから。この状況でも仲間を沈ませない覚悟があるのです」


 

提督「仲間を想う気持ち、お見事ですよね」



提督「ゆえに自分達の勝利かと」

 

 

16 



赤城「駆逐艦電、再び姫化しました」

 

 

赤城「戦艦棲姫の姿です」


 

赤城「……弾着観測射撃の準備に入っています」

 

 

龍驤(仮)「っ! 二人とも離脱意向信号を出せ!」

 

 

龍驤(仮)「はよ!」


 

龍驤(仮)「頼むから!」

 


龍驤艦隊


旗艦伊19、空母赤城、離脱意向信号を確認。

 

駆逐艦電に警告――――

 


ぷらずま「……っち」

 


では

演習結果の発表に移ります。

 

鎮守府(仮)艦隊

 

旗艦 給糧艦 間宮 撃沈(仮)

 

駆逐艦 電 大破

 

潜水艦 伊58 撃沈(仮)

 

正規空母 翔鶴 大破

 

 

龍驤艦隊


旗艦 潜水艦 伊19 撃沈(仮)

 

戦艦 武蔵 撃沈(仮)

 

戦艦 長門 撃沈(仮)

 

戦艦 陸奥 撃沈(仮)

 

軽空母 瑞鳳 撃沈(仮)

 

正規空母 赤城 撃沈(仮)

 


演習結果は――――

 

鎮守府(仮)艦隊の

 

戦術的勝利Bです


 

 これにて演習を終了いたします。



【7ワ●:司令官も撃沈させてこそ、完全勝利Sなのですよ】

 

 

1 ギャラリー群


 

夕立「悪夢は優しいっぽい」

 

 

時雨「夕立、どうしたの?」

 

 

夕立「だって、覚めるっぽい」

 

 

夕立「夕立、怖いっぽい時雨ええ~……」

 

 

時雨「……はいはい」

 

 

時雨「怖くて当然だよ。理解できない。したくない。しなくていい」


 

時雨「……あの人達は仲間のはずなのに、そんな風に思ってしまうなんて」

 

 

時雨「僕も怖いよ、夕立……」ギュッ

 


2



比叡「ヒエエエエエ!」


 

金剛「……」


 

霧島「金剛お姉様どうかしましたか」

 

 

比叡「ピギャアアアアア!!」


 

金剛「……電ちゃんが赤城さんから逃げた時のことネ」


 

比叡「ウオオオオアアアアヽ( 'ω')/アアアアアッッッッ!!!!」


 

金剛「比叡! うるさいネ!」


 

比叡「す、すみません、金剛お姉様。叫ばないと気が触れてしまいそうで」

 

 

金剛「気持ちは分かるけどさー。うるさいから、私の手でも握って落ち着くネー」


 

比叡「は、はい!」ギュー

 

 

金剛「霧島、赤城から電ちゃんが背を向けて逃げた、ネ」

 

 

霧島「……はい」


 

金剛「電ちゃんが潜水棲姫化して潜れば、正規空母の赤城さんから被弾しなかったはずデース」

 

 

金剛「それなのに逃げた」

 

 

金剛「そして最後の電ちゃんの本気、霧島も見たはずデス……」

 

 

霧島「……ええ、私達が束になってかかっても、勝てる、とは断言できません」

 

 

金剛「終わらせる方法はいくらでもあったはず。砲雷撃戦で猛威を振るう長門陸奥武蔵すら、策はあっても単独で真正面から退場させたんだから」


 

金剛「でも、被弾してまでも、逃げを選んだ。あえて続行することを選んだとしか思えないネ……」

 

 

金剛「現に楽しそうに瑞鳳をおもちゃのように凌辱していたデース……。電ちゃん、壊れちゃったの?」

 

 

金剛「電ちゃんとは1年前にお喋りしたことがありマース……」

 

 

金剛「深海棲艦艤装のこと、知ってはいたけど」


 

金剛「花壇でお花にお水を毎日やってて、天使のよーに笑いながら、お花が咲くのを楽しみにしてるのですって、いって」

 

 

金剛「そんな優しい子が、あんなになるわけないネ。理由があるんだって、それを探すのに、私、必死デース……」


 

霧島「金剛お姉様……」


 

金剛「変わったの? いや……」

 

 

金剛「変えられたの?」

 

 

金剛「今の」

 

 

金剛「提督に」

 

 

比叡「金剛お姉様、手が震えて! 怖いのでしょうか! 大丈夫です!」

 

 

比叡「比叡がもっと強く握って震えを止めてみせますから!」ギュギュー

 

 

比叡「っは、もしかして寒いのでしょうか! それでも握れば解決ですね!」ギュギュギュー


 

金剛「痛いネ!?」

 

 

榛名「榛名、ただいま戻りました……」マッサオ

 

 

金剛「顔が真っ青デース! 医務室に行ったほうが……」

 

 

榛名「いえ、榛名はっ」ポロ

 

 

榛名「榛名はっ、大丈夫です」ポロポロ

 

 

金剛「榛名!? 力になるからなにがあったか教えて欲しいデース!」

 

 

榛名「……さきほど、例の鎮守府のお部屋の前を通った時に……聞こえたんです」

 

 

榛名「……電さんが」


 

榛名「『全て、司令官さんのいう通りにしたのです』って、泣きそうな声で」

 

 

榛名「一緒にいた女の子は『このおちび、バカじゃないの!』って電さんを責め立てて……」


 

金剛「……私、用事ができたネ!」ガタッ

 

 

比叡「比叡! 気合いっ! 入れてっ! おともします!」

 

 

霧島「比叡お姉様、大人数で押しかけるのも迷惑です。ここは金剛お姉様にお任せしましょう」

 

 

3 演習会場施設、二階廊下にて

 

 

提督「……」コツコツ

 

 

不知火「…………」戦艦クラスの眼光

 

 

提督「…………」キラークイーンクラスの眼光

 

 

不知火「し、不知火の、落ち度を認めます」ペコリ

 

 

陽炎「不知火ッ! あんた死にたいの!? 私、本気で怒るわよ!?」

 

 

提督「…………あの」

 

 

陽炎「っひぁ! 申し訳ありません! この子はちょっと生まれつき目付きが悪いだけで、決してあなたに眼を飛ばしていたわけではありません!」

 

 

陽炎「妹なんです! どうかご慈悲を!」

 

 

提督「いえ、怒ってはいません。こちらのほうが誤解させるようなことをしてしまったようで、どうか、土下座は辞めていただれば」


 

陽炎「っ! 目立つ真似をしてしまったようで、申し訳ありません! この一件は陽炎型一番艦のこの陽炎が全身全霊の誠意で重く受け止めさせていただきたく!」

 

 

陽炎「つきましては、そちらの鎮守府のほうに、三日後に改めて謝罪に伺わせて頂きます!」

 

 

提督「いえ、だから……」

 

 

陽炎「あ、二日後、いえ、明日には! 明日にはこの星が墜ちようとも! 必ずや伺わせていただきます!」 


 

提督(これ、普通にしゃべっても無理なパターンかな……)

 

 

提督「いえいえ、そんなにうちに来たがるなんて、もしかしてうちに異動したいとか、ですか?」←ジョークのつもり

 

 

陽炎「目を~~~つけられっ!」バタッ

 

 

不知火「陽炎が気絶してしまいました」ヌイッ

 

 

提督「自分が医務室まで運び……」

 

 

黒潮「とんでもないです! うちと不知火でやりますから!」


 

黒潮「不知火! はよしてや! 頼むから陽炎型の、いや、駆逐艦皆の命に関わる状況やって気付いてくれ!」

 

 

不知火「はい」ヌイッ

 

 

提督「行ってしまいました……」

 


4 演習施設会場ガーデン


 

利根「ちくまー、ちくまー」

 

 

筑摩「利根姉さん、なぜ顔を隠すのですか」


 

利根「あそこに魔王がいるのじゃー」


 

提督「あれは重巡の……」

 

 

筑摩「利根姉さん、あれはただの大木ですよ」

 

 

利根「ちくまーちくまー、聞こえんのか。魔王が何か言ってるぞ」


 

筑摩「葉が揺れる音しか聞こえませんが……」

 

 

利根「おかしいのう」


 

提督「今、お時間ありますか?」

 

 

利根「ちくまー」

 

 

筑摩「え? 私には、なにも見えませんが……」


 

利根「………ちく、ま」

 

 

提督「お疲れのようならぜひ我が支援施設に」


 

筑摩「利根姉さん」

 

 

筑摩「なにも見えない聞こえない」

 

 

筑摩「ですよね?」ハイライトオフ

 

 

利根「とのことじゃ」

 

 

提督「…………あ、はい」

 


三階廊下にて

 

 

提督「……」コツコツ

 

 

曙「ちょっと待ちなさいよ」

 

 

曙「さっきの演習見たわよ。あんなふざけた戦い方するなんて、この……」

 

 

曙「クソ提督っ!」

 

 

漣「ぼの様ア! どなたにどんな口叩いてんだ今日も元気に調子のってんじゃねえぞオラア! 艦娘が陸で轟沈するだなんて死に恥を晒したいのか貴様は!」


 

漣「今すぐ謝るorこの漣に介錯される! 選べ!」マジギレ


 

曙 「わ、わ、悪かったわよ」


 

漣「私・じゃ・ね・え・ダ・ロ?」

 

 

曙「クソ提督……様」

 

 

漣「多分この子なりの最上級の謝罪ですそれでは失礼しますねー!」タタタタッ

 

 

提督「…………」テヲフリフリ

 

 

漣「ああああ! シアーハートアタックは勘弁っすー!」



  ┣¨┣¨┣¨

  ┣¨┣¨┣¨

 

 提督(キラークイーンを意識してポーズ中)

 

  ┣¨┣¨

 ┣¨┣¨┣¨

 

 

漣「にぎゃああああ! めっちゃそれっぽえええ!」ピュー

 

5


 

提督「…………」コツコツ

 

 

金剛「ヘイ、やっと見つけた。ちょっと待って欲しいネ」

 

 

提督「……すみません、急いでおります」

 

 

提督「元帥からのお呼びですので」


 

提督「……」コツコツ

 

 

金剛「……」コツコツ

 

 

提督「鎮守府(仮)艦隊、提督です」コンコン

 

 

元帥「入りたまえ」

 

 

提督「失礼します」

 

 

金剛「失礼するネ」

 


提督(普通に入ってきた……)

 

6

 

ぷらずま「●ワ●」ジー

 

 

瑞鶴(仮)「……うん、がんばろう」

 

 

元帥「二人には先に話してもらっていた」

 

 

武蔵「………」

 

 

龍驤(仮)「ようきたなー。度胸ある男は龍驤さん嫌いやないでー」

 

 

丙少将「……」

 


響・暁「…………」キッ

 

 

元帥「まあ、楽にしたまえ。軍規だ品位だのと堅苦しい叱咤をするつもりはない」

 

 

元帥「ああ、金剛君も適当に。どうせ皆と同じことが気になっているだろうしな」

 

 

金剛「そうさせてもらいマース」

 

 

提督「では、この位置で」

 

 

提督「皆、私に思うところがあると思いますので中央に……」

 

 

元帥「我々は組織ではあるが、砕けていうと仲間だ」

 

 

元帥「腹を割ってくれ。飲むか?」

 

 

提督「お気遣いありがとうございます。しかし、応答に問題はありません」

 

 

元帥「そうか。では早速いくつか聞かせてもらおう」

 

 

元帥「先程の演習、全て君が指示したことかね?」

 

 

提督「はい、全て自分の指示です」

 

 

元帥「……まあ、わしは君のことをよく知らん。ハッキリいって、駆逐艦電になつかれている以外にあまり気にかける資質がない。先程の演習内容も酷いもので、わしの翔鶴もあの有り様で、悪印象だらけだ」

 

 

元帥「ここにいる皆は君を機械のような男だという」

 

 

元帥「ただ一人、瑞鶴君を除いて」

 

 

瑞鶴(仮)「だって私は提督さん直々の口説き文句でスカウト受ける気になったし」

 

 

瑞鶴(仮)「いや、感情は感じなかったんだけどなんというか、とにかく私は感じ取ったの」



瑞鶴(仮)「機械的なコピペみたいな台詞じゃノーにしていたわ。提督さんの熱なのかな? 上手く言葉にできないけど、確かに感じたのよ」

 

 

ぷらずま「昼間から提督さんの熱を感じるとか、盛ってんじゃねーのです。うちにはラブ勢とかいう色ボケ軍団はいらねーのです」


 

ぷらずま「そもそもへっぽこ空母なんてガラクタ来なくても良かったのです。ガラクタ空母なんていうピンポイントな粗大ごみのリサイクルなんかしてねーのです」

 

 

瑞鶴(仮)「そっちが私を選んだんでしょーが!」ガルル

 

 

提督「ぷらずまさん、素が……」

 

 

ぷらずま「さすがのぷらずまも元帥のマジには従うしかないのです。だから、全てを伝えてあるのです」

 


提督(嘘臭い……)



ぷらずま「鎮守府の執務室地下のことも」

 

 

ぷらずま「先程の演習のことも」

 

 

ぷらずま「ぷらずまの性能も、ゴーヤちゃんのことも、全部なのです」

 

 

ぷらずま「今度は司令官さんの番」

 

 

元帥「ということだ」

 

 

元帥「最後の瑞鳳君の扱い以外は電君の指示だと、瑞鶴、伊58、間宮からの聴取で真実だと判断した」

 

 

元帥「君は、自分の指示だといったがね。それを皆がどう受けとるかは勝手だが、今、わしの心証は悪いぞ?」

 

 

元帥「さあ、次だ」


 

元帥「なぜ、自分の指示だと偽った」

 

 

提督「自分のような1提督と、艦娘では価値が違いすぎます。自分がそうであったように提督の代わりは比較的、用意がたやすい。しかし、艦娘は違います。情けない話ですが、自分の鎮守府が証明していることかと」


 

提督「艦娘は海に出て戦う刃です。その刃が足りない以上、倫理道徳を考えず、扱う自分が責を負うのが戦いにプラスに働くと判断しました」


 

元帥「ふむ。実に心に響かんなー」

 

 

元帥「あの作戦で大和君を囮にし、轟沈させたことについて君の想いを語ってくれたまえ」

 

 

提督「前に説明した通り、囮にしたことに後悔はありません」

 

 

提督「あの場で自分が指揮を取ることになった。特殊な状況でしたが、自分が指揮を取ったのです」

 

 

提督「その指揮に戦艦大和に従ってくれました。彼女の殉職は私の責任であり、彼女には非はない。彼女の勇姿のため、守った命からの言葉、そしてあの場に戦った兵士は正しかった。そのためにそう主張する必要があると感じたからです」

 

 

武蔵「………」

 

 

提督「そしてその姿勢はあくまで海軍が戦争に勝つためです。自分の感情的思考による判断ではありません」

 

 

元帥「少し、出てきたな。次だ」

 

 

元帥「深海棲艦との戦いをどう思っているのか」

 

 

提督「戦争です」

 

 

元帥「それだけかね?」


 

提督「…………1つ欲を出してもよろしいでしょうか?」


 

提督「その質疑に対するぷらずまさんの答えを聞いてみたいのです」

 

 

元帥「構わんよ」


 

ぷらずま「●ワ●」ジーッ


 

ぷらずま「響お姉ちゃん」

 

 

響「なにかな?」

 

 

ぷらずま「ぷらずまを殺せますか?」

 

 

響「無理だね」

 

 

ぷらずま「司令官さんは」

 

 

提督「その必要性があれば」

 

 

ぷらずま「響お姉さん、ぷらずまは艦娘ですか?」

 

 

響「……ああ。駆逐艦電だよ」

 

 

ぷらずま「司令官さん」

 

 

提督「深海棲艦です。いつそちら側になるか分からない以上、自分はそう思っています」

 

 

暁「電がそんな風になるわけじゃない! だって暁達がいるんだから!」

 

 

ぷらずま「戦争は殺し合いなのです」

 

 

ぷらずま「お姉ちゃんズにとっての電、その誰かにとっての電を、殺し続けているのです」

 

 

ぷらずま「深海棲艦の正体は知っているはずなのです」


 

ぷらずま「なぜ、犠牲を出さないだけで殲滅勝利に優るとも劣らない評価を、くれるのか」


 

ぷらずま「……まあ、ここらは置いておくのです」


 

響「でも深海棲艦と艦娘では」

 

 

提督「人間の自分から見たら艦娘も化け物ですけどね。近代兵器がなぜか通用しない化け物を殺す化け物です」

 

 

暁「私達、解体すれば普通の女の子なのよ!」

 

 

提督「……暁さんと私では、普通の認識に齟齬があるようです」


 

ぷらずま「私が司令官さんを気に入った理由であり、お姉ちゃんズと袂をわかったわけですけど」

 

 

ぷらずま「司令官さんは戦争を終わらせるために深海棲艦と戦う」

 

 

ぷらずま「お姉ちゃんズは幸せになるために深海棲艦と戦う」

 

 

暁「そ、そうよ! 電もまとめて私達が幸せになるために戦うのよ!」

 

 

響「戦争を終わらせるためだけに戦うよりもいいと思うけど……」


 

ぷらずま「司令官さんを選んだのはぷらずまと価値観が似ているからです」


 

ぷらずま「だから、分かるのです」

 

 

ぷらずま「戦争を終わらせるというのは深海棲艦を滅ぼすという意味ではないのです」


 

ぷらずま「この戦争は、終わるのです」

 

 

ぷらずま「そして痛みを知るのでしょう」

 

 

ぷらずま「そして時が優しく癒すのでしょう」

 

 

ぷらずま「そして、痛みに鈍くなるのでしょう」

 

 

ぷらずま「そして、痛みを忘れるのでしょう」

 

 

ぷらずま「そして、戦争はまた繰り返されるのでしょう」

 

 

ぷらずま「戦争に英雄がいてはならない」

 

 

ぷらずま「殺し合いに美談があってはならない」


 

ぷらずま「そのくらいしないと分かんないのです」

 

 

ぷらずま「馬鹿ばっかだから」

 

 

ぷらずま「だからこの戦争は司令官さんのような歓迎されない人間が仕切るべきなのです」

 

 

ぷらずま「この戦争がもたらした美しさはあってはならない。ましてや仲間同士のキズナなど、最たるものなのです」

 

 

ぷらずま「見渡す限りの傷痕野原にし、誰がどんな命が見ても何の利益も見出だせず、欠片の綺麗もなく、再び武器を取ることを躊躇うほどの最悪の烙印を刻まなければ、ならないのです」

 

 

ぷらずま「必要ならば、兵士は全て戦場で使い捨てる。必要ならば民衆さえも」


 

ぷらずま「必要ならばここにいる全てをも」 

 

 

ぷらずま「殺し合いに、安全な場所など作らせません。逃げ場は、ない」


 

ぷらずま「そして、必ず勝つ」


 

ぷらずま「この星全ての人類が、私の支援施設に収用されてしまうかのような」

 

 

ぷらずま「最悪な終わり方が最良です」


 

ぷらずま「以上なのです……が」


 

ぷらずま「司令官さんもそう思いますよね?」


 

提督「……ええ、自分は、そんな指揮を取りたいと、軍学校へ」

 

 

提督「実に馬鹿で、無能、です」

 

 

提督「歴史にいくつも最悪はありますが、戦争はまるで自然のように芽吹いてきます」


 

提督「自分からは以じょ…………う」



ぷらずま「●ワ●」キャッキャッ 



提督「なのです」

 

 

ぷらずま「!?」ビクッ

 


7



暁「考え方……怖い、わ……」


 

響「まあね。戦争に参加したやつ全滅しろ、だもんね。幸せを勝ち取るべく戦う私達が、電達の世界ではそれを赦してはもらえない」

 

 

響「戦争を終わらせる道具として幸せを感じなければ艦娘止めろってスタンスだし」


 

暁「……ふぇ」

 

 

暁「ふええええええん」グスグス

 

 

響「……」ヨシヨシ


 

ぷらずま「泣かないで欲しいのです。暁お姉ちゃんを悲しませる意図はなかったのです」

 

 

暁「だって、だってえ……」

 

 

提督「涙は人の資材です」


 

ぷらずま「泣ける元気があるのなら単艦出撃でもして深海棲艦の1隻でも沈めてきて欲しいのです」

 

 

暁「」

 

 

元帥「まあ、大体わかったよ」

 

 

元帥「あの鎮守府で提督、続けたまえ」

 

 

元帥「はい、解散」

 

 

提督「ありがとうございました」ペコリ

 

 

元帥「心にもない言葉をいうな」

 

 

提督「……失礼」

 

 

元帥「まあ、それが君なのだろうがね」

 

 

瑞鶴(仮)「……」ツンツン

 

 

提督「なんですか頬をつついて」

 

 

瑞鶴(仮)「それじゃお先に戻るからー」ニシシ

 

 

響・暁「私たちも戻るね。司令官は?」

 


丙少将「戻るよ。用は済んだ」

 

 

丙少将「電の勧誘はやめておく」

 

 

ぷらずま「たりめーなのです。お前みたいな駆逐艦を海に出しても子供とかどこかで思っちゃう野郎はガッコのセンコーにでも転職しちまえなのです」

 

 

丙少将「悪かったよ。大和の一件で君の司令官さんを殴ったのは」

 

 

ぷらずま「…………っち」


 

丙少将「それとお前には秀でているところがあったよ」

 

 

提督「……お聞かせ願えますか」

 

 

丙大将「今まで、どんな司令官を送っても、その子は心を開かなかった」 

 

 

提督「開いてはいません。断言します」

 

 

提督「それに艦娘の形をした深海棲艦ですよ。開いた、と仮定して考えると、マイナスにも思えます」


 

丙少将「人は簡単にわかりあえないものだよ。それでは、失礼」

 

 

金剛「電ちゃん、この人でいいの?」

 

 

ぷらずま「金剛さん、ぷらずまです。私は問題はないのです」

 

 

金剛「了解デース!」


 

金剛「後、なんかつっかかっちゃってごめんネー?」


 

提督「バーニングバーグ」

 

 

金剛「意味が分からないネ……」


 

元帥「あー、いいわすれていたが、今回の演習の件で罰はあるからな。後日に通達する」

 

 

提督「……はい」

 

 

龍驤(仮)「キミ、もっと明るくできんの?」

 

 

提督「難しいです」


 

龍驤(仮)「この話、今度にでも酒飲みながらしよやー?」ツンツン

 

 

提督「止めていただけますかね」

 

 

龍驤(仮)「いやー、さっきの瑞鶴が可愛いかったからなー、真似してみたんよ」

 

 

龍驤(仮)「乙女心分かれへん?」ツンツン

 

 

提督「謎です。皆さんに好印象を与えるような応答内容ではなかったはずです」

 

 

龍驤(仮)「そう思うのは、キミ、やろ?」

 

 

提督「別に……普通に感情はあるし、見せてはいるつもりなんですけどね」

 

 

龍驤「色々、悪いこといってごめんな」



提督「全く気にしていません」



提督「それでは、失礼します」

 

 

ぷらずま「…………」

 

 

提督「自分の服の裾をつまんで、どうしたのですか」

 

 

電「一緒に行くのです」

 

 

電「電を、置いていかないで欲しいのです」

 

 

提督「ごっこ、ですか」

 

 

ぷらずま「●ワ●」キャッキャッ

 

 

ぷらずま「大抵の司令官は電アピをしておけばよい顔するのですが……」


 

ぷらずま「さすがなのです」

 


提督「…………」

 


8

 


元帥「……話は分かってるか?」

 

 

龍驤(仮)「あー……うん」

 

 

元帥「長門、陸奥、武蔵、赤城があの相手に敗北する。これは見過ごせんよ」

 

 

龍驤(仮)「向こうは間宮を旗艦にした4隻。いくら電ちゃんが規格外といえども、倒せるし、勝てる範囲ではあった……かな」

 

 

龍驤(仮)「……分からへん」



龍驤(仮)「指揮官のうちのせいやなー。ほぼずーっと後手に回されとった」


 

元帥「敗因は分かるかね?」

 

 

龍驤(仮)「覚悟、やね」

 

 

龍驤(仮)「勝つ。向こうはそのためになにもかも捨てられる覚悟あるから」


 

龍驤(仮)「誰も沈ませない、なんてうちの指揮ではあそこから先の海へは行かせられへんかった」

 

 

龍驤「艦娘時代の時もあったから、皆を必ず帰らせる指揮を執ろうと思ってた。それは間違いやないと今も思ってる」



龍驤(仮)「けど、あいつらちゃうねん」



龍驤(仮)「なりふり構わず、どこまでも進む」



龍驤(仮)「こっちからしたらとんでもない大波やで。船を操舵して前に進んどる思ってたけど、その実、波風に弄ばれていただけやから」



龍驤(仮)「向こうの作戦と同じ、自由な艦隊やね。好きにやれ、その指示は最適やとうちも思う」



龍驤「…………」

 

 

龍驤「……向こうの連中、みんな過去になんかあったんやろね」


 

龍驤「まあ、どちらが正しいのかは置いといても、うちの力量不足や」

 

 

龍驤(仮)「やっぱり……うちの処分、重い?」

 

 

元帥「君は優秀だった。それだけに演習とはいえ評価を改める必要がある程度だ。無論、悪い意味でな」


 

元帥「でも別に特になにか処罰があるとか出はないから安心してくれ」

 

 

元帥「それとは別にわしからお願いがある」

 


龍驤(仮)「うちに、元帥ちゃんがお願い?」

 

 

元帥「軽空母龍驤に戻る気はないかな」

 

 

龍驤(仮)「重いやん……司令官クビかい」

 

 

元帥「純粋なお願いだよ。断るのなら今まで通りわしのところで下積みすればいい。君が決めればいい」


 

元帥「もともと君が兵士時代にいた鎮守府は、あれだ。わしの口からいうとあれだが」

 

 

龍驤(仮)「まあ、アレな鎮守府やったねー。提督やろうと思ったきっかけやね。不満しか出なかったわ」

 

 

龍驤(仮)「うちならこうするのにー、とか、ここはこうやろなんでやねん、とか、命令違反もしたし」


 

龍驤(仮)「まあ、我が強すぎるんよ。しかも、直らへん。だからうちは艦娘として欠陥を自覚して解体希望出したんやけどね」

 

 

龍驤(仮)「海に背中向けたくないから司令官してたんやけどさ」


 

元帥「あの男は電ちゃんに気に入られているようだが、わしの目から見ても丙少将と同じ意見だよ。今のところ、そこだけだ」

 


元帥「今のところ、はな」


 

龍驤(仮)「……そう?」


 

元帥「興味あるな。どう見えた?」



龍驤(仮)「司令官として電ちゃん使えることやなく、人間的可能性。電ちゃんにいい影響与えられるで」

 


龍驤(仮)「負けたからいうわけやないけど、あの提督はかなり優秀やと思う」

 

 

元帥「……だが、あの性格だぞ」

 

 

龍驤「非情さはあるけど、誤解されやすいタイプなだけやと思うで」



龍驤(仮)「というか、せやからうちに龍驤戻ってくれんかーって、お願いしとるんやないの?」


 

龍驤(仮)「うちにあいつんとこ行ってフォローして欲しいっていわれとるかと思ったんやけど違うんかい。あそこ戦力残念やし、ぷらずまちゃん手に余りそうやし、監視してもおきたいやろ?」

 

 

元帥「…………」

 

 

龍驤(仮)「…………」

 

 

元帥「それ採用」


 

龍驤(仮)「ちょい待ち。本来の理由はなんやの?」

 

 

元帥「龍驤の艤装が残っていることによる単純な戦力増強のために、選択肢をね。君、やはり海で戦場に立つほうが性に合ってるように見えたし」


 

龍驤(仮)「……せやね。今日、気づいたわ」

 

 

龍驤(仮)「でも龍驤艤装の適性者は比較的多いやろ。うちは何年前に解体されたと。まだ龍驤おらへんって、謎やで」

 

 

元帥「適性者は確かに比較的多いのだが」

 

 

龍驤(仮)「今の子は軽空母龍驤のあの渋さが分からんか。悲しいなあー」

 

 

元帥「あの艤装には呪いがあると噂されているらしい」

 

 

龍驤(仮)「はあ? 呪い? あほくさっ」

 

 

元帥「今からいうことはセクハラの意図はないよ?」

 

 

元帥「龍驤として建造されると」

 

 

元帥「生涯、胸が成長しなくなる」

 

 

龍驤(仮)「………」


 

元帥「………(目そらし」


 

龍驤(仮)「せやな! うちが身をもって証明しとるからな!」


 

龍驤(仮)「って、あほか!」バァン

 

 

龍驤(仮)「それやったら大鳳とか瑞鶴とか葛城とか瑞鳳の艤装やって、呪いあるんとちゃうの!?」


 

元帥「歴代の彼女ら、解体した子でも調べてみるといい」

 

 

元帥「龍驤として建造された子だけな。何年経っても平らっぷりが」

 

 

元帥「マジ半端ないから。神の意思を感じるほどだ」

 

 

元帥「火のないところに煙は立たないというやつ」

  

 

龍驤(仮)「まあ、確かにうちもそうやし。確かにあの元瑞鶴は多少成長しとった気ぃする……」

 

 

元帥「失うものがもともとないし、やっちゃえよ」

 

 

龍驤(仮)「腹立つわー……」

 

 

元帥「どうせわしが間宮さんの大破見るために、人数合わせに入ってもらっただけだ」

 

 

龍驤(仮)「元帥ちゃんのところに泥塗った。だから、そのお詫びを兼ねて、うちまた艤装つけさせてもらうことにするわ」

 

 

龍驤(仮)「艦載機、空に舞わせる」



龍驤(仮)「今度はずっと。そんなことする必要がなくなる日まで」



龍驤(仮)「艤装なんかなくても、どこまでも行ける海を見たくなったよ」



元帥「うん。いい顔だ。じゃ話は終わり」



9 演習施設バイキング会場


 

食道に来た!

ひいっ! こっち来るよお!

きっと私達が食材なんだ!

冷蔵庫にしまわれる!

慌てないで!

おはしを実行しながら

避難しなさい!

 

 

提督「食事はバイキングですが」コツコツ

 

 

ぷらずま「S極にS極を」コツコツ

 

 

瑞鶴(仮)「近付けたかのように」コツコツ

 

 

間宮「人が」コツコツ

 

 

伊58「掃けていくでち」コツコツ

 

 

提督「というか厨房の料理人が失神して」

 

 

ぷらずま「食材はあるのです。間宮さんが料理人やればいいのです」

 

 

間宮「仕方ないですね。作りましょう……」

 

 

四十分後

 

 

マーミヤン「ご飯にお味噌汁、豚のしょうが焼き、麻婆豆腐、鳥ももの唐揚げ、回鍋肉、フライドポテト、シーザーサラダ、デザート各種」

 

 

マーミヤン「黒餃子にも挑戦しましたー」

 

 

マーミヤン「みなさん、たくさん作ったのでこのままバイキング形式で各自お好きなものをよそってくださいね」ニッコリ


ガヤガヤ

マミヤサンダ!

ショウキミタイ!

オイシー

ガヤガヤ

 

 

提督「食欲が恐怖を押し退けましたか。良かったです」

 

 

赤城「いただきます」

 

 

提督「いつの間にこのテーブルに……」

 

 

赤城「なぜお一人なのですか?」


 

提督「食事は一人で静かに取りたいので……」


 

赤城「あえて居座り続けます」

 

 

提督「自分になにか用件でも」

 

 

長門「失礼」

 

 

武蔵「同じく」

 

 

提督「……先程の演習ですか?」


 

長門「いや、違う。龍驤が司令官を引退することになった」

 

 

武蔵「お前のせいではないぞ。あいつなりの決断のようだ」


 

提督「分かっております。自分のせいではありません。どちらかといえばあなた達のせいかと」

 

 

赤城「……ズバズバいいますね」モグモグ

 

 

提督「?」

 

 

提督「あなた達は自分の存在価値を見誤っていました。死にもの狂いで勝ちにいくべきはむしろあなた達のほうでしたから」

 

 

提督「給糧艦旗艦の4隻編成に、この場の3隻が敗北するということは司令官の質を疑われて当然でしょう」

 

 

武蔵「……ああ、我々の奢りのツケを龍驤に押し付ける羽目になってしまった」

 


提督「勝敗の結果、とはいえ申し訳ありませんが」


 

武蔵「気にしなくていい。龍驤は臨時司令官だ。私達が演習に出たいと将校に申し出たところ、それなら、と、期待されていた龍驤が指揮官に任命それただけで」

 

 

赤城「皆もともと所属は元帥さんのところです。人数合わせの急遽参加で、その指揮を龍驤さんが元帥に交渉して執ることになりましたね」


 

提督「そうだったんですか。自分、色々と勉強不足でしたね……」

 

 

長門「いい演習内容とはいえんが、勉強になった」

 

 

提督「ええ、こちらも」


 

武蔵「例えばだが、お前は我々の指揮をどう取る?」

 

 

提督「執りませんし、執れません。自分では貴方達を操舵することは難しいと思います。宝の持ち腐れですね」

 

 

赤城「……下手ですねえ。褒め言葉のつもりかもしれませんが、物扱いというところに本性が見えています」

 

 

提督「…………む」

 

 

武蔵「だから今の電には好かれているのだろうが」

 

 

武蔵「前の電に戻れば、お前とは馬が合わんだろうな。もともと電は優しくて戦いを好まない女の子だ」

 

 

提督「いつかそうなる日が来ることを自分も願っております」

 

 

長門「心にもないことをぬけぬけと……」

 

 

提督「……話は終わり、ですか?」


 

赤城「いえいえ、これからが本題です」

 

 

提督「……」


 

赤城「貴方は矛盾しています。そこをどうお考えなのか、と」

 

 

長門「これから共に戦う仲間として戦線に出る機会も考えられる」

 

 

長門「だというのに、ああまでして演習に勝つ必要があったのか甚だ疑問だ」

 

 

長門「周りにどんな影響を与えたのか分かっていないとは言わせない。勝利と引き換えに失ったものは大きいとは勘定しなかったのか?」


 

武蔵「先程の召集の場では戦争を終わらせるといっていたが、ならば他鎮守府から不信感を買うのはマイナスだろう」


 

武蔵「お前は自分を無能というが、まさか自分達だけで深海棲艦を倒せると考える程ではあるまい」


 

赤城「さっきの演習のせいで他鎮守府の駆逐艦の子達から鎮守府(闇)って呼ばれていますよ……」



提督「こちらの鎮守府は方針は勝つ、です。まあ、指揮したといえないくらいお粗末ですけども」



提督「自分の命令は全てお願い、としています」

 

 

提督「艦隊において一人でも指示を聞かない駒がいれば、その指示の成功率は格段に下がります」

 

 

長門「電、か」

 

 

提督「お察しの通りです。自分にあの子は手に余るのです。駆逐艦、とは違いすぎますからね。この演習を行うまではどのくらい戦えるかも、知らなかった状態でした」

 

 

赤城「なるほど……だから好きにしろ、という指示で様子を伺ったのですね」


 

提督「加えていえば、あの子のほうが自分より立場が上でして」

 

 

提督「長門さん武蔵さんに形振り構わない戦法を使ったこと」


 

提督「これは勝利に対する執念と、あなた達の態度に思うことがあったのだ、と」


 

提督「赤城さんに一対一で勝てる策があるにも関わらず、逃げ出したこと」

 

 

提督「これは一時的な恐怖に対しての逃げ、かと。年相応です」

 

 

提督「そして敗けが色濃くなると、自分に指示を求めたこと」

 

 

提督「またそのすっとんきょうな指示に従ったこと。瑞鳳さんには悪いことをしました」

 

 

提督「まあ、演習をお遊びだといったのに、最後には全力を出してくれたこと」

 

 

提督「あの子のこと、少し分析できた気がします」


 

提督「自分は、あの鎮守府の司令官なので持ち駒のことを把握しておきたかったのです」

 

 

提督「まあ、周りの評価は追々、回復させていきたいと」


 

提督「あの子達のことをよく知らないがために無為に沈めてしまっては元も子もないです」


 

提督「以上が返答です」

 


10

 

  

龍驤「まあ、手に余るというのなら好都合やね。言質取ったでー」


 

提督「龍驤さん、いつから後ろに」

 

 

龍驤「長ったらしい返答始めた辺りからやね」

 

 

龍驤「うち、軽空母としてキミのところに行くわ。元帥ちゃんからの命で後々から通達あると思うで」


 

提督「拒否権は……」

 

 

龍驤「なんやの冷たいなー。うちじゃ不満なん?」

 

 

龍驤「こんな可愛らしくて強くてお酒も飲めて頼りになるお姉さんなかなかおらんよ?」


 

提督「先程の演習の相手であるあなたなら嫌悪して当然の自分の指揮下に入りたがる理由に見当がつきません」

 

 

龍驤「あの瑞鳳の時の指示は正直、まあ、思うところがあるんやけどね……」


 

龍驤「うち、負けたし」

 

 

龍驤「負けた相手なら納得はできるよ。理解もしとるつもりやー」


 

龍驤「それに、うちは我が強過ぎる欠陥持ってた艦娘やねん。それで解体されとるよ。もともと気質的にはそっち側なんやで?」

 

 

提督「では龍驤さん……」


 

ぷらずま「●ワ●」ジー

 

 

提督「ぷらずまさんと折り合いをつけていただけますか」

 

 

提督「うちの王様ですので……」


 

龍驤「おー、電ちゃん、お姉さんのとこにきいやー。びびらんでええよ」

 

 

ぷらずま「話は聞いていたのです」

 

 

ぷらずま「龍驤さん、司令官辞めさせられた、と」

 

 

ぷらずま「この度は取り繕ってきた無能がこのような場で露呈してしまったこと、まことお悔やみ申し上げるのです」ニタニタ

 

 

ぷらずま「でも司令官さん、敵司令官も撃沈させたとか完全勝利Sですね」ニタニタ

 

 

龍驤「っく」プルプル

 

 

ぷらずま「そして負け犬の皆さん、よってたかってこちらの司令官さんとお仲間ごっこ、ですか」ニタニタ

 

 

ぷらずま「勝者に取り入ろうなどと恥はないのですか。いや、その筋肉の脳みそではなにも学べないのですね。道理で弱いわけなのです」ニタニタ

 

 

提督「触れるもの皆傷つけるナイフなのは構いませんが、自分から傷つけにいく真似は自重してくださいお願いします」


 

ぷらずま「まあ、司令官さんに免じてこの辺りで弱いもの虐めは止めておいてやるのです」


 

龍驤「そういえばこの司令官さんな、軍学校の時に聞いたんやけど空母loveなんやって」

 

 

龍驤「せやろー?」


 

ぷらずま「冗談は胸囲だけにしやがれなのです。そんな人間味のある嗜好がこの人にあるはずないのです」

 

 

提督「まあ……空母の人達も、お綺麗ですよね」

 

 

ぷらずま「!?」


 

龍驤「ほらなー、うちもこの提督さん気に入ったし、仲良くしようやー」ダキッ


 

提督「龍驤さん……そろそろ」


 

ぷらずま「おい風俗驤」ジャキン

 

 

ぷらずま「離れたほうが身のためなのです」

 

 

龍驤「なんでー?」ニヤニヤ

 

 

ぷらずま「その人の価値が揺らぐのです」

 

 

ぷらずま「その人はそこらの司令官さんとは違うのです。艦娘をあくまで兵士としか見ていない」


 

ぷらずま「あなた達のような余計な絡みは司令官さんの長所を潰す恐れがあるのです。まあ、そのような馴れ合いで情が芽生えるような人ではないと思いますが、念のために控えやがれなのです」

 

 

ぷらずま「司令官さん、あなたの目的は空母とイチャイチャすることですか違いますよね?」

 

 

提督「……」


 

電「……っ」プルフル

 

 

提督「…………」

 

 

ぷらずま「き"ら"い"な"の"で"す"!」クルッ、タタタタ-


 

赤城「これは意外な1面が」


 

武蔵「見れたな」

 

 

ながもん(かわいい)

 

 

提督「自分もお話いいですかね?」

 

 

龍驤「お? なんやの?」

 

 

提督「深海棲艦の正体が艦娘ということについて、これは信じていますか?」


 

龍驤「あー、まあな。電ちゃんのデータから見て、そうらしいなあ。沈んだ艦娘が化けるんやったか」


 

龍驤「せやから犠牲出さないことへの評価が改められたんやろ?」

 

 

龍驤「戦争が長引けば長引くほど頭数で劣勢になってくし、艦娘艤装は妖精さん、すでに存在してる艦娘は沈んで艤装が失われるか、完全に壊れないと新しく作ってくれんみたいやし」 

 

 

提督「……沈んだ艦娘が深海棲艦になると分かったのはまだ記憶に新しいです」

 


提督「深海に沈んだ艦娘だけが深海棲艦に変わる。陸ではあり得ないです。ぷらずまさんのような実験で敵は増えているわけではないので」

 

 

提督「深海には、なにかある、と自分は見ています」

 

 

赤城・武蔵・長門「……」


 

提督「自分、子供の頃に海に沈んだことがありまして」

 

 

提督「誰も信じてくれなかったので、もう胸に秘めていることなのですが、深海で、妖精を見ました」

 

 

龍驤「軍が調べとるやろ。聞いたこともないわ。意識、混濁してたんちゃう?」 

 

 

提督「かも、しれませんね」

 

 

提督「まあ、今回の演習は」

 

 

提督「反感を買うような内容なのは承知ですが、敵ではありません。あの子達も戦いを終わらせるために必死なだけということ」

 

 

提督「念のために伝えておきたく」

 

 

赤城「あら、意外と優しいところが」

 

 

長門「まあ、いわれなくても分かっているから、安心してくれ」

 

 

武蔵「敵にはなるなよ?」

 

 

提督「ぷらずまさんの手綱は握りますのでご安心を」

 


提督「あの子を利用するために、この鎮守府に来たようなものなので」


 

提督「それでは失礼します」



…………


…………



間宮「………最、低」







【●ワ●:一章終】


後書き

1章終わりです。

ここまで読んでくれてありがとう。

・2章のお話

【1ワ●;お前もう解体されるしか幸せになる道がねーのです】

【2ワ●:2日で浮くぞ! ぷっぷくぷー!】

【3ワ●:キスカで司令官に見捨てられたのです】

【4ワ●:ぷらずまの本気を龍驤さんと見るのです】

【5ワ●:死にたくなかったから、敵を押し付けた】

【6ワ●:うっそぴょん♪】

【7ワ●:海を跳ねるウサギ】

【8ワ●:深海棲艦鹵獲作戦&ポンコツ修理任務】

【9ワ●:長ったらしいファンタジーのお話】

【10ワ●:中枢棲姫勢力】

【11ワ●: 丙少将鎮守府にて】


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このSSへのコメント

7件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2016-12-16 02:00:27 ID: 03sD3Rd-

面白いやん!続き期待しとるで。

2: 西日の友人 2016-12-16 22:06:01 ID: xDObpLjc

ありがとうございます。
続きの投下予定や修正については活動報告を利用したいと思いますので、よろしければ気が向いた時にでもご確認くださいまし。

3: SS好きの名無しさん 2016-12-17 18:09:52 ID: ksp2l9lb

戦争に英雄がいてはならない。
騎士王のマスターも言ってましたがその通りだと思います。
悲惨なほど、再発しにくくなると思いたい。

4: SS好きの名無しさん 2016-12-17 18:11:05 ID: ksp2l9lb

プラズマさん面白可愛いので
応援してます!

5: SS好きの名無しさん 2016-12-23 01:53:22 ID: JpFYgIN_

大丈夫、死んだ後に再評価されて英雄化したり、生前無能であっても戦意向上のために英雄化する人もいるから、英雄がいなくなることはないんやで。

シリアス路線でいくのかと思ったらギャグが混ざってたから肩透かしをくらいました。セクハラ元帥は裸体を見たがる上にノリが軽かったり、最後プラズマデレてましたし。
正直そのような描写がある世界観のため、プラズマ達の行動が執念に基づく行動と言うより、子供のワガママに見えてしまいます。

6: SS好きの名無しさん 2016-12-23 01:59:24 ID: JpFYgIN_

先ほどの発言すいません。あえてそうしているのであれば大変よく描写されています。

7: 西日の友人 2016-12-29 01:43:28 ID: VAB8xVLa

<3 しかして歴史は繰り返す。ですけどその言葉で第一に思い浮かぶのがハッピーな事になる、そんな世界カモンです。


<4 このプラズマさんは面白可愛いと意識して書いてなかった……だけに、ありがとうございます。更新は頑張っていきます。リアルユウセンデ(∀`*ゞビシッ


<5 ご期待に添えず申し訳ありません……。内容についてのコメントは止めときますね。貴重なご意見ありがとうございます。


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1: SS好きの名無しさん 2016-12-17 18:11:28 ID: ksp2l9lb

良い

2: SS好きの名無しさん 2018-07-25 17:26:45 ID: rR42iYAL

かなり続いてるので、読みごたえあります。

泣けるシーンもあるので、オススメです。


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