2016-12-15 16:21:41 更新

概要

外の世界でサラリーマンとして働いていた普通の男性が幻想入り

彼が幻想郷で紡ぐ幸せとは


前書き

このssは、東方Projectの二次創作です。

また、筆者はこの作品が処女作となります。
至らぬ点も多いとは存じ上げますが、以下の点にご容赦いただける方は、ぜひ観覧していっていただければと思います。

【注意点】
・筆者はにわか東方ファンかもしれません。原作設定を無視してしまっている可能性があります。

・展開がベッタベタです。(鈍感主人公・どこかで見た展開)そうならないように注意してもそうなってしまう不思議

・直接的な性描写はありませんが、ちょっと匂わせるような展開があったりするかもしれません。一応R-15くらいです。

・一応長編にするつもりで書いてます。現在18話ぐらいまでは書き溜めているので、続きが読みたい!という奇特な方がいらっしゃれば、評価なりコメントなりをしていただけると筆者は大変喜ぶと思います。

以上の点について、何卒ご了承の上、観覧いただければと思います。











「いやっほーーー!!」

魔理沙に連れられ、幻想郷の空をすごい勢いで飛んでいく。

…さすがに危ないから途中で箒の後ろに乗せてもらった。


「なんだ!意外と怖がらないんだなこーすけ!」

どうゆう原理かはわからんが、この速度の中でも意外なほど明瞭に魔理沙の声は聞こえた。


「んーまぁそうだな、怖いっちゃ怖いけど、気持ちいいし怖楽しいって感じかなー」

なんつーかジェットコースターの楽しさに近い、速さは段違いっぽいが。


「なんだ?気持ちいいって、お前さんが抱き着いてる私の感触がか?」

…魔理沙がニヤニヤしながらからかってくる。


さすがに捕まるものがないと危ないから魔理沙につかまってはいるが…はぁ…魔理沙よ、そういうことはせめてアリスぐらいの体になってからだね。いや、アリスの体を見たことあるわけじゃないよ?たぶんの話だよ?


と、思って黙っていると、なぜか箒が天地逆さになってきている気がする。


「ちょちょ、ちょい!魔理沙!」


「…なんか失礼な波動を感じた」

なんでや!俺なにも言うてへんやろ!







そんなこんなのやり取りをしながら、気づけば魔理沙の箒は神社らしきところに到着し着陸した。


「霊夢ーいるかー」

しばらく同じ姿勢だったため体を伸ばしていると、魔理沙は誰かを探しているみたいだった。はて?霊夢?そういえばさっき魔理沙が霊夢のとこがどうこうとか言ってたな。

その人のことだろうな


魔理沙がしばらく呼んでいると、神社の母屋と思われるところから少女が出てきた、


「…なによ…午前中からやかましいわね…」

あまり機嫌はよくなさそうである…


「お、霊夢!実はさー紹介したい外来人がいてな!」

魔理沙はそんな霊夢の機嫌など気にせず話しかけている、大丈夫なんかねあれ…


と、そこまできて初めて霊夢と呼ばれた少女と目が合った。


…いやーこれまた美少女だわ。

艶やかな黒髪に端正な顔立ち、多少不機嫌っぽいがつぶらな瞳である。

というか、幻想郷に来てからいまんとこ4分の4で美少女とか美人としか会ってないんだが…なんだ?ここが天国か?


っと…黙って見てんのも悪いよな…挨拶しなきゃ。

「えーと…初めまして。ちょっと前にこの世界に来た添木幸祐です。いまはアリスの家で世話になってます。

これから世話になることもあるかもだから、よろしくお願いします」


と、握手を求めたとこで、みょーーーな違和感みたいなものを感じた。


「はじめまして、ご丁寧にありがとう。私は博麗霊夢、この神社で巫女をしているわ。

こちらこそ、よろしくね」

割と態度良く返され、握手してもらったところでまた違和感。んーなんだろこれ??


そんな違和感を感じいると、どうやら霊夢と名乗った少女も妙な表情をしている。


「…はじめまして…よね?」

そのはずである、というかこんな美少女だらけの人が空飛ぶ世界には、到底縁がない。


「お、なんだ?知り合いだったのか?」

魔理沙が興味深そうに聞いてくるが

「いや、それはないよ」

と、俺の方から訂正しておいた。まぁ実際ありえないしねー。


…その間もずっと妙な顔をしている霊夢が気にはなったが…







霊夢と挨拶をした後、いまは母屋でお茶をいただきながら今までの説明をしている。

まぁ、内容的には先ほど魔理沙に話した内容と同じだが。


ちなみに魔理沙はお茶請けの饅頭を食べた後ゴロゴロしていた、自由か。


「というわけで、いまはアリスの家でお世話になりながら幻想郷での生活について、どうしていこうか考えているんですよ」


「なるほどねぇ…つまり現状幸祐さんはヒモ…と」

「う…」

またヒモって言われた…結構ソレ傷つくからやめてくれ…


「冗談よ。生活のために必要なものを一から揃えるって大変だものね、しばらくはしょうがないわ」


おお!理解がある人だぁ…最初はちょっと不機嫌だったけど普通にいい子みたいだなぁ。


「それより」


「ん?」


「あのアリスがねぇ…ただ外来人を助けるってだけじゃなく、その後もそこまで面倒みてくれてるなんて…」


え?そうなん?アリスは普通に優しいが…


「そうなんですか?特に違和感なく良くしてもらってますが…」


「ああ、誤解が無いように言っておくと、アリスは普通にいい奴よ。この幻想郷では珍しいくらいに常識人だしね」

常識人が珍しいって、それはもう逆にここの常識がまずいんじゃ…


「なら特になにもないんじゃ…?」


「だとしてもね?どこの誰とも知らない人間をそんな簡単に家にあげて、しかもしばらく住ませてあげるとか、

そんなこといままでのアリスならとても考えられないわ」


「だろ?私もなんか変だなって思ったんだよ」

魔理沙がゴロゴロするのに飽きたのか会話に入ってきた。


「そうね。幽々子やレミリアのところなら館も広いし、面白がって飼うとか言い出す可能性も無くはないし、

それか人里の寺子屋や命蓮寺の連中なら面倒を見ることもあるでしょう。だけど、アリスが自分の家に、っていうのはちょっと不自然ね」


「私もなんでそうゆうところに連れてかなかったんだ?って聞いたんだがな。なんかアリスのやつ歯切れが悪かったぜ」


「…妙ね」

「お、異変か?」

なんか急に魔理沙がワクワクしだしてる。


「まだそこまでかはわからないわよ。っていうか、楽しそうにしてんじゃないわよ、毎回めんどくさいんだからね」


うーん、見事に話に置いていかれてるなぁ…

とりあえず、アリスはいい人なのは確かだけど、そこまでやるのはいくらなんでもアリスにしてもやりすぎってことかね??


と、そんなことを考えていると

急に俺たちが囲んでいるちゃぶ台の中央に裂け目が現れ、金髪美人さん、もとい八雲紫さんが現れた。


「はぁい。霊夢に魔理沙、それと幸祐もお久しぶりね」

…うん、やっぱりこの登場のされ方は心臓に悪いぞ。

「なによ紫、今回の件もまたあんたが関わってるの?」

と、霊夢さんが紫さんを睨む。


「そんな顔しないのよ、霊夢。それに私は確かに関わってるけど、これは『まだ』異変ではないわ。」

「…『まだ』ってのがすごい引っかかるんだけど」


「…えーと霊夢さん、少しいいかな?」

「ん?どうかしたの?幸祐さん」

とりあえずちょっと思ってたことを聞いてみよう。


「さっきから出てくる『異変』ってやつってさ、なんなんですか?」


「お、異変に興味があるのか!いいぜーこの私が説明してあげようじゃないか!」

また、魔理沙が割り込んできた。魔理沙よ…君はもう少し落ち着きなさい…


「異変ってのはだなぁ、幻想郷にいる妖怪や神、鬼とかが幻想郷全体を巻き込んでドンパチしだすことだ!」

ド、ドンパチ…えらい不安な単語が出てきたんだが…


「ちょっと魔理沙、説明するならちゃんとしなさいよ」


「なんだよ霊夢、間違っちゃいないだろうが」


「はぁ、まったく。いい、幸祐さん?魔理沙がアレだから私から説明するけど…

異変っていうのはね、妖怪や鬼が幻想郷の中で原因不明の怪現象を起こすことを言うのよ。

きっかけは気まぐれとか興味本位とかだったり…まぁちゃんとした理由もあったり色々あるんだけどね」


「ふむ…?」


「そうね。例えばいままで起きてきた異変っていうと、吸血鬼が紅い霧を幻想郷全体に発生させたり、亡霊が春を来させなくした、

なんてのがあったわね。どう?紅い霧に春が来ない、立派な『異変』でしょ?」


「なるほど…たしかに」

というか、吸血鬼に亡霊って…そんなもんまでいるとかさすがに怖いんだが…

この調子だと、某有名RPGみたいにドラゴンとか魔王まででてくるんじゃなかろうな…



「で、紫。改めて聞くけど幸祐さんが外の世界から来たことも含めて、あんたが起こした異変じゃないでしょうね?」


「まったくもう…だから『まだ』違うって言ってるじゃないの…

でも、そうねアリスの件に関しては、幸祐の力が関係はしているわね」


は?俺の力…?いやいやそんなこの歳で厨ニ病じゃないんだから…

というかそんな漫画の主人公みたいなもん俺にはないぞ…


「やっぱりね、妙だと思ったのよ」

だというのに霊夢さんはなぜか納得していらっしゃる。


「いや、俺にそんな特殊な力なんてないし、それにそんな力なんて感じたこともないんですけど…」


「そうね、あなたの力は自分自身がわかりやすいものでもないし、自分で意識して使っているものでもないからね」

むぅ、その口ぶりだと俺の力とやらがあるとして、それは常に発動しているというのか…

でもわかりづらいってどうゆうことだろうか。


「あなたの力はね『幸せを紡ぐ程度の能力』よ」

はい?幸せを…紡ぐとな?

なんだろ、語感的にはすごいハッピーな能力なんだが…


「えーと、と言われましても、結構俺も不幸だったりしてるんですが…」


「それはね、あなたのその能力はあくまであなたの周りに対して効果があるものだからよ。

まぁ結果として、あなたが幸せにした人によってあなたの幸せが紡がれる可能性ももちろん高いのだけれどね」


「なんだこーすけ。すごい良い能力じゃないか」

「そうね、弾幕ごっこにはあまり役には立ちそうにないけど、素敵な能力だと思うわ」


と、魔理沙と霊夢さんが褒めて?くれる。うーん、まぁたしかに良い能力っぽいけどな。


「良い能力…たしかにそうね。幸祐の周りにいる人にとっては、とても良い能力だと思うわ」

でも、幸祐自身に関してはそうとは限らないの、と紫さんは続けた。


「なんでだ?こーすけの周りの人が幸せになれることで、幸祐がなにかあるわけじゃないんだろ?」

魔理沙が紫さんに尋ねた。


「幸祐の能力はね…『幸福を与える程度の能力』じゃないの…

『幸せを紡ぐ程度の能力』…つまり、あくまで紡いでいるのは幸祐なのよ」


「??どういうことだ?それがなんか違うのか?」


「なるほどね、なんとなくわかってきたわ」

魔理沙はまだよくわかっていないようだが、霊夢さんはわかっているようである。ちなみに俺もよくわかってない。


「例えばの話だけど、幸祐と関わりのある人間が…悪意のある人間だとして」


「悪意…」

俺は外の世界にいたころ、一人で悩んでいたことを思い出した。


「その悪意のある人間の幸せを、幸祐が紡いであげるとするとどうなるかしら?」

そこまで言われてなんとなく俺もわかってきた。


「悪意を…向けられる」


「そう、例えば人を騙して幸せになろうとする人がいた場合…あなたがその人間の幸せを紡ごうとした結果、あなたにその悪意が向けられ騙される可能性もあるのよ」


「…」

そう言われると、なんとなくだが心当たりがある。


「悪意なんて人の中にいくらでもあるわ、それを一身に受けて幸せを紡ぐ幸祐は、果たして幸せになれるのかしらね」

そういうと紫さんは悲しそうに目を伏せた。


「…なんか、良い能力とかいってごめんな…」

…魔理沙…


「…いや、そんな気にしないでくれよ、俺自身もよくわかってなかったしさ。

…でも、なんとなく心当たりはあったから納得はできるよ」

ちょっとだけ苦笑いで答えて見せた。


「でも紫、それだけじゃないんでしょう?」

霊夢さんが紫さんに問いただす。


「もちろんそうよ。幸祐のことを悪からず思っている人間、もしくは幸祐に好意を抱いている人間の幸せを紡ごうとした場合、

それは幸祐自身の幸せにつながることも多いわ」


「なるほどね…アリスの件も読めてきたわ」


「そういうこと。アリスには、人を騙してやろうとか貶めてやろうとするような悪意なんてもちろんない。

つまり幸祐と出会った時点ではニュートラルな状態だったわけね」


「そして、幸祐さんとそれから生活していく中で、なんとなくささやかだけど幸せだと感じるようになった。

…幸祐さんがアリスの幸せを紡いでいたから」


「そうね、幸祐の能力で得られる幸せは今はそれほど大きなものではないわ、それこそささやかな幸せでしょう。

でも、アリスもそれが居心地良く感じていたんでしょうね」


「なるほどね、だからアリスは別に幸祐さんが居続けることに対して肯定的だった…ってわけね」


「そういうことよ。で、幸祐?あなたはアリスといる生活は、不幸だったかしら?」


そんなわけはない。まだ3週間足らずの生活ではあるが、外での暮らしよりもとても落ち着いた心持ちでいられたことはたしかである。


「そんなことないです。アリスにはとても感謝していますし…その、とても落ち着けていました」


「そう。この場合がまさにあなたの能力がお互いにとっていいものとなっている場合ね」


「…ふぅ、わかったわ。ひとまず異変ではないみたいだし、幸祐さんの件に関しても力がわかってなんとなく理解したわ」

霊夢さんが一息つき、居住まいを正して俺の方を向いた。


「幸祐さん」

「ん?霊夢さんどうかした?」

「私は幻想郷の巫女よ。だから幻想郷で何か困ったら言ってみて、聞けることなら聞くから」

協力するわ、と霊夢さんが応援してくれた。


「お、私もこーすけの手助けぐらいしてやるぜ!」

楽しそうだしな、と魔理沙は言った。


「どう、幸祐?私の愛した場所は…とても素敵な楽園でしょう?」

こんなに素敵な人たちがいるんですもの、と紫さんは微笑んだ。


「…そうですね、とても…とても素敵な場所だと思います」


…この素敵な楽園で一からまた頑張っていこう、この時俺は改めて胸に決意したのだった。


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