2017-01-05 23:37:56 更新

兵士3「上手く 行ったか」


兵士3「今 行く 俺の分も残しておけよ」


兵士はトラップを解除すると獲物が居る場所まで駆け出した。その目に写るのは、夥しい血痕が地面に拡がっていた。


兵士3「死体がねぇな もしかしてヤってんのか? それにしても随分派手に派手にやったな… 引きずった跡がある…」


兵士は引きずられた先に目をやるとその先には、息を切らしながら血まみれになっている本田未央がそこにいた。


兵士3「クク… コイツの血か コイツ残してもう一人は逃走… 奴がいたぶりながら追跡してるって事か…」


兵士3「少々悪知恵が働くぐらいで調子に乗った自分らを恨むんだな」


兵士は本田未央に近づき、傷物にしようとした矢先後ろから足音が近くのを感じた。


兵士3「おっ 早いな 上手くヤったのか?」


兵士は味方の姿を確認しようと振り向いた先にいたのは

・・・・・・・

凛「面白いほど 上手くやったよ」


凛「いいもんだよ 悪知恵が働くってのも」


そこには自分の額に銃口を突きつける悪魔がそこにはいた


兵士3(な…何で後ろから… あいつはどこに行った…)


渋谷凛は兵士を跪かせインカムを取り上げると諸星に


凛「おーい じいさん聞こえてる? 」


凛「もう少し本気になってくれないと…」

・・・・・・・

凛「喰われちゃうよ」クスクス


と言い残しインカムを踏み壊した


兵士3「お前ら一体どうやって…?」


凛「タブーなんだよ」


凛「あんたらみたいな考えはギャンブルでは絶対のタブーだよ」


凛「赤が連続で来たら次は黒で来るとか まあ思い込みってやつ?」


凛「あんたらが私達を追う時 すでにある事を決めつけてたんだ」


兵士3(……決めつけてた?)


兵士の目先には目を凝らさなければ見えない程の線が張られていた


兵士3(あれはワイヤーか …!!)


兵士3(そうか!! そういう事か 入り口近くの数本の罠を解除しただけで奥の通路は解除してると思い込んでいた)


兵士3(いや…それでも慎重に進めば気がついたかもしれんがこいつらの銃を発見した時…その慎重さも吹き飛んだ)


兵士3(その後姿を現しての挑発で見事に俺達は罠に引っ掛かった)


兵士3(何なんだ? あんな一瞬で…)


兵士3(これだけの権謀術数を張り巡らせる事が可能なのか?)


兵士3「お前は一体 どんな世界を生きてきたんだ」



諸星「カカカカカッ 面白いのぉ~」


諸星「さすが高木さんが推してるだけはあるますな」


諸星「高木さん 彼女の事を知ってるような口ぶりじゃったが 彼女の名前を教えて頂けますかな?」


高木「彼女の名前は渋谷凛 今は隆盛を極めているアイドル業界の立役者の一人だった人物です」


高木「そして今は嘘喰いと言われています」


諸星「嘘喰い…? 」


諸星「あの…嘘喰いか?」


諸星 「弱冠17歳にして賭朗メンバーを蹂躙し尽くし 神の頭脳と悪魔の冷徹さを有し賭朗史上最高と言われた女」


諸星「あの嘘喰いか!?」


諸星「カカカッついとる! 儂はついとるぞぉ!」


諸星「高木さんが高く評価するのは当然だの 当時賭朗の頂点に最も近い存在として位置付けられていたあの嘘喰いに勝てば…」


諸星「そうなれば賭朗の頂点に立つのも夢ではない!」


諸星「そうとわかれば遊びは終わりよ!!」


諸星「高木さん あなたが希望していた切り札ここで出させ貰うよ」


そう言うと傍にいるきらりに軽く頭を叩くときらりは今まで眠っていたのか我に返ると


きらり「あれ…ここはどこ」キョロキョロ


諸星「このきらりは少しどんくさくてのぉ…」


諸星「使い物にならんのじゃ…用があるのはもう一人の方」


諸星の手に持っているのは空の注射器 それをきらりの首に刺すと全身に巡る血管が一つ一つが張り散らし、息は絶え絶えに激しく呼吸を繰り返し、温厚そうな彼女の瞳は猛禽類特有の夜目が浮かび上がってきた。

・・・

諸星「起きろ ロデム… 狩りの時間じゃ」


きらりの変貌が終わると

渋谷凛一行に襲いかかる暴が目覚めた。

ロデム誕生の叫びは罠に引っ掛かった兵士の悲鳴とは比べにならないほどにビル中に響き渡った。


兵士1「おい 待て!? そいつを引っ込めてくれ これじゃ俺まで殺される!!」


6Fに待機してる兵士は老人に怪物の停止を懇願したが老人は鼻で笑うと兵士のインカムを切ってしまった。


諸星「では高木さん 本物というのを見せましょうかのぉ」


諸星「ロデム 屋上と6Fに獲物がおる」


老人が号令を出すと怪物は体に風を纏い

長針が一目盛り動く前に怪物は6Fに着き足を切断され壁にもたれている兵士の首に手持ちのナイフで一線を画すと兵士の首元には救助が不可能な程の血液が噴出した。

怪物は一仕事終えるとすぐに屋上に向かい ドアを蹴り飛ばすと目の前に呑気に気絶してる兵士に走った勢いを殺さず脳天を踏みつけ頸椎を外すと柵の外に身を投げだした。


その頃渋谷凛達はもう一人の兵士と交渉していた。


凛「…ふーん 協力ってなんでさ?」


兵士1「ごちゃごちゃ言うな!! 早くここから出ないとヤバいんだ!! 奴が来る!!」


未央「罠だよ 渋谷さん 何を言ってるのかよく分からないけど」


渋谷凛は銃口を突けつきてる人質に


凛「あんた この人が何で脅えてるかわかる?」


兵士3「あぁ ここには怪物がいるんだ」


凛「怪物? 何ソr-」


渋谷凛が言い終える前に人質の真横にあるドアからガラスが割れる音が聞こえ皆が一斉に振り向くとドアは猛烈な速度で壁に叩きつけられ、人質は壁の染みと化した。

渋谷凛の目の前にいるのは圧倒的な暴だった。


凛「未央っ!! 走って!!」


未央「!? わかった!!」


二人はロデムを背に走り出したその時に渋谷凛はただ一言…呟いた


凛「待たせたね」


未央「ええっ 何!?」


本田未央の呼び掛けに渋谷凛は黙秘したが、彼女の顔は焦りの顔ではなくこの場に相応しくない慈愛の顔であった。



諸星「おぉ ロデム着いたか よし嘘喰い達は最後じゃ まずはこのグズを始末しろ」


兵士1(こうなったらやるしかねぇ)


兵士1「死ね! 化け物!!」


兵士はマシンガンをロデムに向け、弾をありったけ発射した。弾は火薬と銃身による物理が働き秒速300mで動き、底鉄の機能は一秒間に五発も撃ち出せる優れ物である。普通なら兵士の取った行動で人間なら絶命は避けれないのだが怪物を仕留めるには文字通り物足りなかった。


兵士1(先に動いたとはいえマシンガンを避けるか! あいつ出て来た部屋に逃げ込みやがった!)


兵士1(このまま殺ってやる)


兵士は直ぐ様壁にもたれ息を整えると

部屋の前に現れると四方八方に部屋に弾丸の雨を降らせた。


兵士1「何処に行きやがった…?」ハァハァ


兵士1「いない…? 隠れてるのか?」


兵士1「窓から逃げたのか…」


兵士1「よし まずは追い払えたな」


兵士の安堵のつかの間兵士がまだ着けてるイヤホンから老人の声が聞こえた。


諸星「愚か物め 多少の危険を感じるとすぐに逃げ出す そんな事では人生は拓けんぞ…」


諸星「苦汁を舐め業火で身を焼くほどの苦痛の果てにこそ本当の生よ」


諸星「お前は今日までの生を悔い改め 生まれ変わるのじゃ」


老人が言い終えると怪物は兵士の後ろからやって来た。但し移動してきた場所は地面ではなく天井であった。兵士は直ぐに振り向き怪物に引き金を引いたが出てくるのは、弾切れを伝える音だった。


ロデム「コイツ… 撃った… 3…2発」


諸星「おおー偉いのちゃんと数えとったか それに比べてなんじゃお前は無様に乱射しよって」


兵士1「も…諸星さん」


兵士1「悔い…改めます」


兵士1「こ…これからは生まれ変わりますから…」


兵士1「だから命知らずだけは!!」


諸星「フムフム わかってくれればいいんじゃ ではまずはお前がやった後始末からじゃ」


諸星「目の前にゴミ箱があるじゃろう? それを持て!」


兵士1「はい わかりました 持って来ました」


諸星「違う違う 両腕でゴミ箱を抱き抱えるのじゃ」


兵士1「こうでしょうか?」


諸星「いいぞ これで後は後ろにいるロデムを見ろ それでお前の罪は償なわれたぞ!」


兵士1「どういう事で?」クル


兵士の視界に写り込んだのは怪物の顔それと視界の末端に見える戦闘服 自分が今どうなっているのか兵士は理解できなかったが絶命する瞬間に兵士は自分が首を跳ねられゴミ箱に落ちた それだけは理解した。



高木「何という暴力…」


高木「これが噂に聞く凶兵ロデム 諸星様の持つ切り札というわけですな」


諸星「カカッ…ロデムを兵器扱いとは…あながち間違っておらん」


諸星「わしは傭兵時代に軍の機密情報に触れる機会があっての…」


諸星「内容は脳の体性感覚野に存在する身体地図の配置を変える 「再配置」その再配置を投薬により誘発し人体に眠る能力を極限まで引き伸ばすある実験が記されていた」


高木「再配置… 幻肢などの原因とされる…」


諸星「いかにも! 肉体の一部を失った人間が無いはずの部位の感覚を錯覚するという幻肢」


諸星「腕を無くせば体性感覚野に反応する脳細胞は停止しその周辺にある他の部位を司る脳細胞に取り込まれる」


諸星「例えば腕の神経を取り込んだのが肩と顔を司る脳細胞だとしよう すると肩と顔に触れる事で無いはずの腕の感覚を感じるわけじゃ」


諸星「別の例では事故で脳にダメージを負ったにもかかわらず人並み外れた能力を獲得する事もあった!」


諸星「軍の実験で獲得する能力は全てを凌駕する暴力じゃった」


高木「それをあのロデムと呼ばれている娘に実験を施した…という訳ですな」

・・・

諸星「正確に言えば施したのはきらり…わしの娘じゃ」


諸星「実験で身体能力は向上したがその代償としてきらりからは知能や倫理観は失われていった」


諸星「それに伴いきらりはわしの命令にも従わなくなっていった」


諸星「そしてある日 それまでのストレスからかはたまた実験の副作用なのか… 投薬の為に注射器を刺すという行為を引き金に別の人物が顔を覗かせた…」


諸星「わしが望んでいた ロデムの誕生じゃった」


高木(…なるほど脳の再配置と二重人格による肉体への作用 これがあのふざけた暴力の正体か…)


高木(確証の取れない実験を我が子に施す…

この男はただの外道…)


高木(だがこの外道は強固な暴力を保持している!!)


高木(さぁ嘘喰い お前はこの状況をどうやってかいくぐる?)


ロデムが前菜を諸星に届けている頃に渋谷凛達は


未央「逃げ…きれたね」ハァ ハァ


未央「ヤバいよ 早く逃げ出さないと…」


凛「ねぇ未央… 逃げるのもいいけどさ そろそろ見たくない?」


未央「えっ 何を?」


凛「あのジジイが人生を悔い改め…」


凛「私に懺悔する瞬間をさ」フフフ


続く


後書き

生きているうちに帝都タワー編までは書き終えたい


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