2016-12-28 17:02:39 更新

概要

紅魔館への挨拶を済ませ、アリスとの穏やかな生活を続ける幸祐
そんなところに紅魔館のメイドの咲夜さんが訪れ…


前書き

このssは、東方Projectの二次創作です。

また、筆者はこの作品が処女作となります。
至らぬ点も多いとは存じ上げますが、以下の点にご容赦いただける方は、ぜひ観覧していっていただければと思います。

【注意点】
・筆者はにわか東方ファンかもしれません。原作設定を無視してしまっている可能性があります。

・展開がベッタベタです。(鈍感主人公・どこかで見た展開)そうならないように注意してもそうなってしまう不思議

・直接的な性描写はありませんが、ちょっと匂わせるような展開があったりするかもしれません。一応R-15くらいです。

・一応長編にするつもりで書いてます。現在20話ぐらいまでは書き溜めているので、続きが読みたい!という奇特な方がいらっしゃれば、評価なりコメントなりをしていただけると筆者は大変喜ぶと思います。

以上の点について、何卒ご了承の上、観覧いただければと思います。


[第十六話]

"招待"









紅魔館に訪問し、レミリアさん達に挨拶してから一週間後のこと。


先週はなんだかバタバタしてたが、今週は久しぶりに何もなくまったりと過ごせていた。


アリスの家で食事作って掃除して薪割して…

あ、そういえば新たな手伝いとして、先週飛べるようになってからは、人里への買い物も一回だけいったな。


とはいえ、アリスに連れられて人里の場所を覚えるついでに荷物持ちをしたぐらいなんだが…



…にしても…いまだに収入がある仕事が見つかってない…幻想郷に来てからほぼ一ヶ月、さすがにそろそろマズイ気がする。


なにがって?俺の心情とか世間体とか色々だよ。


このままだと魔理沙を筆頭に幻想郷の住民に、『外の世界から来たヒモ野郎』とかそんな不名誉な称号を付けられてしまいそうだ。


まぁ、実は先日アリスと人里に買い物に行ったときに、ちょうど求人らしき張り紙が貼ってある掲示板があったから、見てみようとしたんだが…

どれどれと眺めようとしたそばから、アリスに「急ぐから早く来て」と、言われてほとんど見ることができなかった…

別にタイムセールがあるわけでもないんだから、急ぐことなどないと思うんだけど…なんだったんだろうか。


「っと、リビングの掃除はこれで終わりかな」

そんなことを考えていたら掃除が終わった、うーん我ながら見事だ、塵一つない。

…誠に遺憾ながら、順調に主夫の道を極めていっている気がするぞ…


と、その時玄関からドアがコンコンとノックされる音が聞こえた、はて?久しぶりにお客さんかね?


「アリス?いるかしら?」

ん?この声は…

えーとアリスは…自室で研究中だったな。


まぁ俺の想像どおりの人なら俺が対応しても問題ないだろ。


「はーい、いま開けます」

応えて玄関のドアを開ける。


「あら添木さん。お久しぶりね」

そこにいたのはやはり俺の想像通り、紅魔館のパーフェクトメイド、十六夜咲夜さんだった。


「咲夜さん。お久しぶりです。…今日はどうされたんですか?」

なんだろう…咲夜さんとアリスってなんかつながりあったのかな?


「実はね、お嬢様とパチュリー様の命により、添木さんとアリスにお伝えしたいことがあって…アリスはいるかしら?」

…俺にも?

というか、どうでもいいけど咲夜さんこの前より口調がくだけてる?…今はお客さんでないからかね?


「ああ、アリスならいまは自室で研究してるはずです。ちょっと呼んでくるんで、上がって待っててください」


「それじゃ、お邪魔するわね」

咲夜さんをリビングに連れて行く、リビングでは吉がソファのいつもの定位置でくつろいでいた。


「あれ?主人?お客さん…ってあなたは」


「お久しぶり猫ちゃん。ちょっとお邪魔するわね」


「じゃあちょっと座って待っててください」


「わかったわ」


うん、やっぱりくだけてる。まぁ俺もこの方が楽だからいんだけどね。


アリスの自室まで来てドアをノックする。

「アリス?いまいいか?」

すると中から「入っていいわよー」と返ってきた。


「邪魔して悪い。アリスにお客さんみたいだよ」

アリスが手を止めてこちらに振り返る。


「客?誰かしら」


「咲夜さん。ほら、紅魔館のメイドのさ。いまはリビングで待ってもらってる。

というかごめん、勝手にあげちゃったけど、大丈夫だった?」


「ああ、咲夜ね。彼女なら別に問題ないわ」

アリスが席を立ちこちらに歩いてきた。


「にしても、珍しいわね。いったい何の用かしら」


「さぁ…なんでもアリスと俺、両方に用みたいだよ」

そこでアリスがぴたりと止まる。あれ?アリス?どうした?


「…幸祐にも…ね。なんか嫌な予感がするわね…」

アリスが小声でなんか言ったが、よく聞こえなかった。


「え、なんだって?」


「なんでもないわ。とりあえずいきましょう」


「お、おう」


とにもかくにも、アリスを連れてリビングに戻ると…

「咲夜さんすいません。お待たせしました、アリス連れてき…」

「ふふ、ここが気持ちいいの?ほれ~ワシャワシャ~」

「ゴロゴロゴロ」


咲夜さんがニヤニヤしながら吉を撫で繰り回してた…

ほんでもって吉も喉を鳴らしてなされるがままだ。


「…さ、咲夜さん?」


「はっ…コホン。いえ、待ってないから気にしなくていいわ」


…いや、いまさらクールに戻っても遅いというかなんというか…

まぁでも普段クールな咲夜さんだから、あんな感じもそれはそれでギャップ萌えというかなんというか…ゴニョゴニョ。


「…幸祐…?」

ひっ!アリスから不穏な気配が!

な、なんだよー!俺なにも悪いことしてないだろ?!










「で、今日はどういった用かしら?」

俺が淹れてきた紅茶を飲みながら、アリスが咲夜さんに尋ねる。


「実はね、お嬢様とパチュリー様からあなた達三人…正しくは二人と一匹かしら…を、紅魔館に呼んでくるように言われてきたのよ」


「…私も?珍しいわね…でも、幸祐と、ってことは幸祐絡みってことよね?」


「まぁ…ね。実は先日、魔理沙が今まで盗んでたパチュリー様の蔵書を返しに来てね。で、添木さんと、幻想郷での添木さんの宿主であるあなたに礼をしたい…って話ね」


あー例の約束か。魔理沙、ちゃんと守ったんだな。

うんうん、えら…いや偉くはないな、もともと盗んだもんだしな…


「ちょ、ちょっと待って!あの魔理沙がわざわざ盗んだものを返しに来たの?」


「あら?あなた、添木さんから聞いてないの?」


「…幸祐?どういうことかしら?」

あ、やべ。アリスにその件話してなかったか…てかアリスさんちょっと怖くなってません?


「あーえーと別に隠してたわけじゃないんだけど…特に話すことでもないかなぁ~…なんて、あはは…」


「…で、何があったの?」

や、やっぱりちょっと不機嫌?なぜなのか。


「えーとまぁ、かいつまんで話すと、魔理沙が本を盗もうとしてるところに遭遇して、止めようとして、弾幕ごっこして、勝てた?

…だいぶハンデもらってだけど」

「そ。で、それで添木さんが勝負の精算に『いままで盗んだ本も返すこと』としてたから、魔理沙は返しにきた…ってわけ」

咲夜さんが途中から補足してくれた。


「ふーん…なるほどね。まぁ幸祐の師匠としては、勝ってくれたことは嬉しいけどね」


「お、おう?あ、ありがとう??」

ありがとうは違うか?


「でも…話してくれたって…いいじゃない…」


…え?なんて?


「アリス?」


「なんでもない!だけど!あんまり自分からそーゆーのに首を突っ込まないこと!

いくら飛べるようになって弾幕が撃てるようになっても、あなたは基本的に普通の人間なんだからね!

…もし、怪我でもしたら…心配するじゃない…」


うぅ…そんな悲しそうな顔されると罪悪感が…まぁでも、ちょっと過保護な気もするが、アリスの言うことも一理あるしな…


「…ごめん。今度から気をつけるよ。あと、もしそういうことがあった時はちゃんと言うから、な?」


「わかってくれたなら…いいけど」


「……」

ん?なんか咲夜さんがアリスをじっと見てる…どうしたんだろ…


「えーと咲夜さん。途中で話切っちゃってすいません。で、その礼に俺達を紅魔館へ招待してくれるんですか?」


「…ええそうよ。ちょっと急だけど、明日の夜、紅魔館でパーティを開くから三人とも来てくれないかしら?」


「アリス?俺は行こうと思うんだけど…どうかな?」


「そうね…せっかくの好意を無碍にするのもなんだしね、参加させてもらうわ」


「吉もいいよな?」

ソファにいる吉にも声をかける。


「う…い、いいわよ」

あ、そういえばこいつ、吸血鬼が怖いんだっけ…まぁ大丈夫だろ、たぶん。


「ありがとう。場所は当然紅魔館で、時間は明日の18時から。あと、ドレスコードってほどじゃないけど、一応それなりの格好で来てくれると助かるわ」

一応パーティだしね、と咲夜さんはウィンクした。…なんつーか、いちいち絵になるな…


「なにか持って行った方がいいかしら?」


「手ぶらで来てくれて構わないわ。今回は添木さんへの礼と、この前出来なかった歓迎が目的だからね。

私と美鈴と小悪魔が腕を振るわせてもらうわ」


「そう。ありがとう。楽しみにしてるわね」


…咲夜さんの料理かぁ…この前はお茶菓子だけいただいたけど、美味かったからなぁ…どう考えても美味いんだろうな

美鈴さんは…なんとなくだけど中華かな…見た目の問題で。

小悪魔さんて人はこの前は会えなかったからわからないけど、というか小悪魔って名前なのか?


「じゃあ、私はそろそろ帰るわね。明日に向けてパーティの準備もしなきゃだし…」


「ええ、誘ってくれてありがとう。それじゃまた明日ね」


「楽しみにしてます。また明日」


咲夜さんを玄関まで見送り、別れを告げる。


さて…楽しみだけど飲みすぎて恥かかないように気を付けないとな…




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[第十七話]

"約束"









昨日、紅魔館の咲夜さんに誘われ、本日は夜から悪魔の城で吸血鬼とパーティとあいなった。

で、現在の時刻はというと…17時半…そろそろ出発しないと約束の18時に間に合わない時間だ。


すでに俺と吉は用意は済ませ、いまはアリスの着替えを待っている。


ちなみに吉は猫なのでお洒落っていっても首にアリスがつくってくれた真っ赤なリボンをつけているくらいだ。


俺はというと、いつも着ている白いシャツに、幻想郷に来たときに着ていたダークグレーのスーツ。

それに、いくらなんでもそのままじゃ寂しいからと、アリスが急遽作ってくれたリボンタイと赤い宝石をあしらった小さいブローチをつけている。

…たぶんなんとか正装っぽくはなっているだろう。


…にしてもアリス遅いなぁ…まぁ女性はこういう時は時間がかかるもんだけどもね。とはいえ、さすがにそろそろ急がないとやばいぞ。


「アリスー?そろそろ急がないとまずいぞー?」

「い、いまでるから!」

アリスの部屋から返事が返ってくる、そしてそのすぐ後、アリスが部屋からでてきた。


「…おぅふ」


「ど、どうかしら?」


「いや…その…すごく綺麗だよ」


「そ、そう…ありがとう…その…幸祐もかっこいいわよ」

アリスの格好は、薄い赤色の…なんて言うんだろう?肩出しドレス?に、半分透けてる黒のストールを肩に羽織り、そして髪をいつもと違い、後ろでまとめていた。


いや、冗談抜きで綺麗だ、いつものアリスも可愛いけど…ちょっとびっくりしてしまった。


そんな感じで二人で照れあっていると。


「はいはい御馳走様。急ぐんじゃないの?」

と、吉に言われてしまった。


「わ、わかってるよ。じゃあいこうか、アリス」


「え、ええ。あ…その、幸祐?」


「ん、どうした?」


「あの、えっとね…」


??なんだろ、アリスがなんかモジモジしてる。


…あ、そうか…そりゃこういう時はそういうのも必要だよな…つってもどうすりゃいいんだ…?

外の世界で平々凡々な社会人してた俺にはハードルが高すぎるんですけど!


…あーわからん!ええいままよ!


「…どうぞ」

アリスのそばに寄り、手を差し出す。


「!…うん…ありがとう」

アリスはそっとその手をとり、軽く握ってきた。


…あー心臓バックバクですよ…

や、嬉しいのは嬉しいんですけどね。








幻想郷の夕空をアリスと共に飛ぶ。お互い手をつないでるし、空を飛んでいることを考えなければ普通のデートみたいだ。


「……」

「……」


が、しかし、だ。

か、会話が生まれない…なんぞこれ、なんで俺はこんな緊張してるんだ…そりゃたしかに今日のアリスはいつもと雰囲気が違って…

その、とてつもなく魅力的だが…いやしかしだからといってだね。


そんなことをグルグルと考えていたら、肩に乗る吉に


「…ちょっと主人…!なにやってるの…!男なら気の利いたことの一つや二つ言いなさい…!」

と、耳元で小声で怒られてしまった。


「…いやそうは言ってもだな…」

「いいから…!」


…はい、すいません頑張ります…


「…あー…にしてもあれだな」


「ど、どうしたの?」


「いや、この前紅魔館にお邪魔した時、咲夜さんが作ったお茶菓子食べたけど、すっごく美味かったんだよ。

きっと今日の料理も美味いんだろうな~って。楽しみだな?アリス」


「…そうね」

あ、あれ?ま、間違えた?なんかアリスが見るからに悲しそうにしてるんだが…って痛い痛い痛い!肩に爪が!


「なにやってるの…!どこの世界に女と手をつないでる時に他の女を褒める男がいるのよ…!

馬鹿なの?死ぬの?!」

…すいません…ここにいました…でもそこまで言わんでも…


い、いやそれより!はやく挽回せんと!


「い、いや、でもまぁ正直アリスが作ってくれる料理が一番安心するんだけどな!

この前食べたサンドイッチも絶品だったし!」


「…ほ、ほんとに?」


「ほんとほんと。また食べたいぐらいだよ。そうだ!今度は二人でこんな風に飛んでピクニックでもいこうぜ!サンドイッチ持ってさ!まぁ、夜のピクニックってのはさすがにあれだから昼間にだけど。」

あははーと笑う。…ど、どうだ?!適度にアリスを褒めつつ、話題転換も兼ねる!完璧じゃないか?!


「…え、えと…」

「…ん?」

なんかアリスがちょっと恥ずかしそうにしてる、あれ?悲しんではいなそうだから間違ってはないんだろうが…


「…こ、こんな風にって…こうやって手をつないで…ってこと…?」


…へ?

あれ?おかしいぞ…そういう意図は全くなかったんだが…そういうことになっちゃいます?


「ち、ちがうわよね!ご、ごめんなさい…忘れてちょうだい…」


……


左手に力をこめ、アリスの手を少しだけ強く、ぎゅっと握る。

「…いや、アリスさえよければ…よかったら、またこうやって出かけないか?」


「!…うん、楽しみにしてるわね」

アリスはそう言って微笑むと、きゅっと手を握り返してきた。


…我ながらクサいし、こっ恥ずかしいけど…

まぁアリスが嬉しそうだしよかった…かな?








時刻は17時50分。ようやく紅魔館が見えてきた。何とか間に合ったか…

と、門前まで行き地面に降りると、咲夜さんと美鈴さんが礼をしてきた。


「本日は当家のパーティにおいでくださいまして、ありがとうございます。添木様、アリス様」

あ、咲夜さんがすでにメイドモードだ。使い分けすごいよな…


「いらっしゃいませ添木さん、アリスさん!私と咲夜さんでたっくさんおいしい料理作ったので、一杯食べて楽しんでいってくださいね!」


「お招きいただきありがとうございます。…一応二人ともそれなりの格好で来たつもりなんですけど…大丈夫ですかね?」


「お二人とも素敵ですよ」


「そうですよ~アリスさんも、とっても綺麗です!」


「だってよ、アリス」


「あ、ありがとう」


「ではこちらへどうぞ…」

咲夜さんと美鈴さんに伴われ、紅魔館の中へと入る。


「そういえば…お二人はパーティには参加されないんですか?」

二人の格好は、咲夜さんはメイド服だし、美鈴さんも前にみた中国っぽい服だ。


「いえ、私たちもお嬢様に許可をいただいておりますので、お二人と猫ちゃんをご案内したら着替えて参加させていただきます。

すでにパーティの準備は済ませてありますので」


なるほど…二人ともスタイルいいから、ドレスとか似合うだろうなぁ…


「…もう何度目かわからないけど…主人、顔」


はっ…いや、でもそれぐらいは想像してもいいんじゃなかろうか…いかんのか?


「はぁ…さっきはちょっとだけかっこよかったのに…幸祐の助平」

ア、アリスまで…く、くそぅ…なんで何にもエロいことしてないのにこんな評価なんだ!






…いや、してなくもないか…反省します…




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[第十八話]

"酒宴"









咲夜さんと美鈴さんに案内され、テラスと思わしき場所に案内される。


「では、こちらでお嬢様と妹様、パチュリー様がお待ちです。

私共もすぐに準備してまいりますで、少々お待ちください」


「はい。案内ありがとうございます。咲夜さん、美鈴さん」

「いえ。…お嬢様、添木様とアリス様をお連れしました。失礼いたします。」


咲夜さんが扉を開ける。すると…


「…ぉぉおーーーーにーーーーちゃぁぁぁああん!」


扉を開けた咲夜さんの横をすり抜け、金色の物体が俺に飛び込んできた。


「モルスァ!?」

そしてその勢いのまま廊下に転がり出される。

「こ、幸祐?!」


…ふ、ふふ…アリス…俺はもうだめだ…吉のことは任せたぞ…がくっ…


そんな具合に安い芝居を楽しんでいたら、ぶつかってきた物体X(悪魔の妹)にゆすり起こされた。

ちなみにいま物体Xは俺の腹の上で馬乗りになっている。


「もう!お兄ちゃん何寝てるの!」

「…ああ、ごめんごめんフランちゃん。こんばんは」

「こんばんは!…はっ!じゃなくて!私、怒ってるんだからね!」


え?…はて?俺なんか怒られるようなことしたっけかな…


「こ、幸祐?!大丈夫?!」

あ、アリスがこっちに駆け寄ってきた。うんうん、アリスは相変わらず優しいなぁ…


「む。…あなた誰?お兄ちゃんはいま私とお話ししてるの!」


「ま、またお兄ちゃん?!というか何幸祐に乗ってるの!そこをどきなさい!」


「もーうるさいなぁ…どかしたいなら力づくでどかせば?」


「…言うじゃない…後悔してもしらないわよ」

前言撤回…アリスもやっぱりバイオレンスでした…


というか、お二人ともなに臨戦態勢に入っちゃってるんですか?この状態でバトられると俺の命が危ないんですけどぉ?!


「さ、咲夜さーん!」


とりあえず、恥も外聞も捨ててパーフェクトメイドに助けを求める。

この二人をどうにかして止めるなど俺には無理だ!


「ここに。妹様、それぐらいにしておかないと、後でお仕置きですよ」


「えー…むぅ。わかった」

フランちゃんが渋々といった感じで俺から降りる。


「まぁまぁアリスさんも。妹様もお兄さんが出来たみたいではしゃいでるだけですから。ね?」


「…そ、そうね。大人げなかったわ。ごめんなさい」

そんでもってアリスの方は美鈴さんが宥めてくれていた。ふぅ…助かった。


「全く…あなた達何をしているの」

と、そんなことをして廊下でバタバタとしていると、俺達がいつまでたっても部屋に入ってこないからかレミリアさんが扉から顔を出してきた。


「ああ、レミリアさん。こんばんは。すいませんドタバタして…」


「こんばんは。いい夜ね。…ドタバタしてるのはあなたじゃないから謝る必要はないわ」


「あはは…」


「さて、料理の準備はもうできているわ。冷めてしまう前に食べましょう。

咲夜、美鈴、早く着替えてきなさい。フランも、早くなさい」


「かしこまりました。美鈴、行くわよ」


「はーい。お兄ちゃんいこ?」

フランちゃんが俺の手を握り、引っ張っていこうとする。


「む」

と、思ったら反対側にアリスが腕を組んできた。


「あら幸祐。両手に花ね」

そんな俺たちの様子を見て、レミリアさんがクスクスと笑いながらそう言う。


「からかわないでくださいよ…」

まぁ男冥利に尽きるっちゃそうなんだが…

はて、アリスが秋桜で、フランちゃんは…蒲公英って感じかな、イメージ的に。


そんなことを考えていると


「はぁ…幸祐はいったい幻想郷にあと何人の妹をつくるのかしらね…」

と、アリスにちくりと言われてしまった…

お、俺のせいじゃないんだが…


ま、まぁ気を取り直して…せっかくのパーティを楽しませてもらおうっと。











あの後、ドレスに着替えてきた咲夜さんと美鈴さんが合流して、いよいよパーティの開始の時間となった。

この前見なかった赤髪の女性がいるが、おそらくあの人が小悪魔さんなのだろう。


「さて、皆グラスは持ったかしら?」

皆、それぞれにグラスを掲げ、いきわたっていることを示す。


「いいみたいね。…さて、じゃあまずは、乾杯の前に簡単に挨拶をさせてもらうわ。

幸祐、アリス。今日は紅魔館のパーティへようこそ。先日は大したもてなしもできなかったからね。

今日は先日出来なかった幸祐の歓迎と…パチェ?」


レミリアさんに呼ばれ、パチュリーさんが前にでる。


「ええ…この前は幸祐の機転で、魔理沙に盗まれていた私の大切な本を取り返すことができたわ、ありがとう。

咲夜から聞いてると思うけど、今日のパーティはそのお礼も兼ねているから、楽しんでいってほしいわ」


「いえそんな…俺は大したことはしてませんよ」

と、言うと


「いいのよ。あなたは私への礼儀も欠かさず、かつ私の友人であるパチェのことを助けた。

そしてフランの世話までしてくれたのよ。

ここまでされて何も恩を返さないようじゃ、吸血鬼としてのプライドが許さないわ」

と、レミリアさんに返された。


ホントにそんなに大したことはしてないんだがな…

なんて少し困っていると、隣のアリスが


「幸祐、こういうのは黙って恩を返されるのが、恩を返されるものの礼儀よ」

と、言ったきた。


うーん、そんなもんなんかね…まぁ確かにここまでしてもらって受け入れないって方が、レミリアさん達の顔に泥を塗ることになるんだろうな。


「そういうことなら…今日は目いっぱい楽しませてもらおうと思います」


「それでいいのよ」

レミリアさんが満足そうに笑う。


「それじゃあ改めて…紅魔館の良き友人となった幸祐へ、感謝と歓迎を込めて…乾杯」

「「「乾杯!」」」


…みんないい人たちだな…


よし!せっかくなんだし、宣言通り目いっぱいこのパーティを楽しもうかな




後書き

※十八話までご覧いただきまして、ありがとうございます。
今回は三話の更新となります。
定期的に見てくれている方がいらっしゃるのか、PVがちょっとずつ増えてて嬉しいです。

では今後ともよろしくお願いいたします。


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