2017-12-07 02:00:33 更新

概要

今更流行りに乗っかる(時間軸は違いますが、パロディではないです)。
地の文。
キャラ大崩壊。
謎世界観のパレード。
最初の辺りはそうでもないですが、話が進むにつれspiritualになります。
作者側の都合で内容を変える部分がある可能性があります。
人によってはそこまでシリアスではないかもしれない。ただギャグはあまり入っていないです。
ご注意ください。


前書き

亀更新です。もしかするとpixivにも投稿するかもしれないSS。



久々に投稿しました。
理由は私がちょろいからですね。

本当に久々に手を付けたので、文章の作風が途中から変わってるかもしれないです。


ー 津島 善子の話1ー



善子「……どこ、ここ」


え、待って?

普通に朝起きて早々にだだっ広い部屋。

それに一人にしては少し大きいベッド。

何? 私、サラワレタノ?

服だって私の持ってるものよりはるかに高級感溢れてるし──

認めたくないが、そうに違いないわ。

大丈夫よ……堕天使の身体はタダの器でしかないのだから、その……変なことされたって何ともないのよっ!!

とは言っても、顔が熱くなっているのを感じて、これは夢なのではないのかと思ったわ。


と、とにかく!

誰もいないみたいだし、今がこの部屋を探るチャンスよ!

普段他人の家で家捜しをしてみようかなぁ、と冗談に思っていたが、本当にすることになるとは思ってもみなかった。

ベッドから身を離してヒヤリと足に冷たい床の感触を感じると、やっぱり夢ではないと思った。

夢じゃないのなら、本当に、マ ジ で 、サラワレタのかしら……。


善子「調べるといったら……鞄、そう、鞄ね」


調べよう。

そこまで思って気づいた。

勉強机がある。

家具屋とかでよくある、“高い”勉強机。

棚には自分もお世話になっている高一の教科書。

サラッタのは高一か……度胸あるわね。

勉強机の横には“女子”の鞄がある。

これで生徒手帳でも見れば……。


……ん?


“女子”……!?


……いやいやいや。

そんなワケないわ。

だって女子よ!?

女の子よ!?

私と同い年の女の子よ!?

更に変態になってるじゃないっ!!

それでも、この場の状況を把握するため……頑張るのよ! ヨハネ!!


善子「あれ……」


ない!

生徒手帳がないわ。

……ふふーん。

でも私は次に隠しているであろう場所をストックしてるのよ。

次はーーー


善子「制服ね……」


そう、制服。

細かく言えば制服のポケットの中。

その中にあるはず……!

白き壁に仕組まれた白き扉。

この中にあるわね。


扉を開けると──

何よ、これ……お嬢様?

どれも私服なんだろうけど、タグを見る限りどっかで見たことあるようなブランドばかりじゃないっ!

さっきから身の周りから溢れ出す高級感……マリーかしら。


この部屋の主の人物像が見えだした中で、クローゼットの中から制服があるのを確認した。

この辺りでは見かけない制服よね。

ブレザーって……内浦はもちろん、沼津でもそんな滅多に見るようなものじゃないし……。

でも、どっかで見たことあるのよねぇ……。

そう考えながらポケットの中を探していると、目的のモノを見つけたわ。

中にはもちろん学生証明書があって……。

相手が一体誰かが分かるんだけど……。


これは……。


何なの……!?



善子「西木野……真姫!? ──っ!?」



声を張り上げたところで気づいた。

そう言えばなんか声の調子が変かも。

まるで風邪をひいたような、自分じゃないような声。

いろんな情報が一気に流れ込んで頭の中がパンパンになってきて……。

ふと横を見ると、クローゼットの扉の裏にはめ込まれた鏡があって、人物の姿を捉えている。

そこまでは問題ないのよ。

問題なのはその人物。

その人物は私も知っているけど現実に会うのは堕天使的に、時空空間的に不可能な人だ。


……認めたくない。


でもこれはねぇ……。



真姫【善子】「み、μ'sの『西木野真姫』になってるーーっ!!??」


朝から起きてあれこれして動かしていたのは私だけど私の身体じゃなくて、いやそこは関係ないわよ。


予想外の事に冷静を保てない私に喝を入れて、深呼吸。

吸って…………吐いて。


……これは夢ではないと思い始めていたのに予想外すぎて裏切られた気分だわ。


鏡に向かいあって顔をつねってみたり、身体をちょっと触ってみたり(さすがに胸はムリだった)、短くなった赤毛の髪の毛を触ってみたりと色々するけど、この身体が、この景色が変わることなんてなかったわ。


どうすんの……これ……。



「真姫ちゃん? 大丈夫? さっき大声が聴こえてきたけど」


真姫【善子】「ひゃっ!? は、はい!」


「大丈夫……?」


真姫【善子】「だ、ダイジョウブです!」


「そう? 朝ご飯できたから早くしなさいよ」


真姫【善子】「は、はい! 分かりました……」



…………。


今、心臓バクバクなんですけど!!

お、落ち着きなさいヨハネ!

この程度で怯んでいたら堕天使失格よ!

如何なる時でも冷静沈着、クールに行くのよっ!


今のは彼女──西木野真姫の母親かしら。

朝ご飯って言ってたわね。

となると着替えなきゃいけないわね。

着替え……。

見る……ってこと、よね……。

このままじゃ私が変態になるじゃないっ!

いや……これは“私”の身体よ。

“私”のなんだから、自分の裸を見てもうっかりヘブン行きにはならないわ!

そもそも女の子のじゃない!

大……丈夫よ……っ。


しかし、他人の──あのダイヤとルビィがあれほど愛していたμ'sの西木野真姫の身体だと思うと、思うように服が脱げなくて……。

そこにまた追い討ちが掛かってくるように壁が現れる。


真姫【善子】「ブラ、どうすんのよ……!」


やっぱり避けられないことなの!? これ!!

くっ……こうなったらヤケクソよっ!

一生かけても着られないであろうパジャマに手をかけて、滑らすように脱いでいく。

“西木野真姫”の顔は真夏のトマトのように赤くて、“私”の顔が太陽に焼けるように熱くなるのを感じるわ。


脱ぎ終えて改めて鏡をみると、驚いたわ。


真姫【善子】「綺麗……」


なだらかな双丘、身体の側辺のライン。

これがμ'sなのかと。

これがラブライブで優勝した人の身体なのか、と変な風に思考してしまった。

それと同時に再び鼓動が速くなるのを感じた。

止めよう、それこそ変態だわ。


これからどうすればいいのよ……。

このまま私はこの人になって過ごさなきゃいけないのかしら……。


不安と緊張が膨張してくるが、今の私は裸である。

今はしなければいけないことをしなきゃいけないわ……。

考えるのはあとよっ!


何も考えず……気にせず……。


自分に暗示をかけているうちに、音ノ木坂学院の制服を身にまとっていた。

やっぱり身体が他人だと気が狂うわね。


鏡から目を逸らし時計の針を見ると6時50分を指している。

あの学院までどれだけあるか分からないから、慌てる時間なのか余裕が持てる時間なのか全く分からないわ。

仕方がないから、朝ご飯を食べることにしましょ。


部屋の扉をそっと開け、階段を恐る恐る降り、音を殺してリビングルームの扉を開ける。

ふわっと漂う香り。

その香りにつられて顔を覗かせれば、ウチのよりも美味しそうな朝ご飯。

マリーもこんなの食べてるの……?

くっ……貧富の差が……。


真姫母「おはよう。そう言えば、今日はいつもより遅いけど、部活は大丈夫なの?」


真姫【善子】「えっ? あ……」


そうよ。

そうだったわ!

彼女はスクールアイドルのμ'sよ。

朝練がないワケないじゃない!!

しかも、いつもより遅いって……。


真姫【善子】「い、急がなきゃ!」


そんな会話を他人としていたところに。

ピンポーン。


真姫母「あ、はーい」


家のインターホンらしき音が鳴り西木野真姫の母親はそれに応じる。


真姫母「真姫ちゃん、お友達が来てるわよ」


そう言うとなんなり、私に受話器を渡してきて手に取ると、誰かの声が聴こえてきた。


『真姫ちゃんまーだー?』


真姫【善子】「え、あ、ちょっと待ってて!」


誰だか分からないけどそう答えておくことにして。

朝ご飯は飲み込めないくらいに押し込んで。

鞄を持てば玄関まで早歩き。

まだ綺麗な革靴を履けば、ノブに手をかけ。


真姫【善子】「行ってきます」


真姫母「あ、ちょっと待って」


ドアを開けよう。

そこまでの動作を行おうとすれば、この親は私に近づいてきて。


真姫母「ママは真姫ちゃんの味方だからね」


そう言って私を見送った。


真姫【善子】「……? はい」


前文から読み取れない会話でちょっと戸惑うけど、彼女にも昨日があったワケだし、いっか。

重たいドアを開けたら驚いたわね。

全く知らない世界がそこに広がっていたのよ。

当然のことなんだけど、なんだか新鮮な気分ね。


「もー! 真姫ちゃん遅ーい!」


「……おはよう、真姫ちゃん」


門口にはどっかで見たことあるような。

というかμ'sの星空凛と小泉花陽じゃない!

彼女達からしたら何の変哲もない日常かもしれないけど、これはっ!


真姫【善子】「おぉおおおはよう!!?」


つい声がひっくり返ってしまった。


凛「んー? 挨拶にしては随分慌ててるにゃ。さては何か隠し事があるのかにゃ~?」


真姫【善子】「か、隠し事なんかしてないよ!?」


凛「ホントかな~?」


真姫【善子】「ホントだってば!!」


凛「んー? 怪しいにゃ~」


真姫【善子】「も、もう! 早く行くわよ!」


凛「はいはい」


よかった。

怪しまれてないみたいね。

どうかどうか、このヨハネに守護を……。

堕天使が女神に崇めるカオスな状況。

でも、本当に、純粋な気持ちで、この身を捧げたいくらい、何も起きてほしくないわ。


花陽「──真姫ちゃん!」


真姫【善子】「ひゃっ、な、なに?」


そこはフラグ回収しなくてもいいところよっ!!


花陽「大丈夫……?」


真姫【善子】「だ、大丈夫よっ!」


初めて目の前で見るμ'sの小泉花陽だけど、そこまで緊張していなかった。

なのに、こんなに鼓動が速いのは別の意味でなっている。

バレたらどうしよう、私はこれからどうなるのだろう。

そんな感じの思考が過ぎては折り返してまた過ぎるの繰り返しだったからだ。


花陽「本当に……?」


ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。


真姫【善子】「ホントだってば……」


花陽「そっか……なら、いいんだけど……」


小泉花陽は眉をひそめて。


凛「おーい早く~!」


花陽「あ、待って凛ちゃん! 真姫ちゃんも早く行こ?」


普通の顔に戻って先に行ってしまったわ。


絶対怪しまれてるって……。


っていうか、自分の名前で呼ばれないって結構切ないわね……。


見知らぬ路地、家、人、空気。

唯一一緒なのはあの空だけ。

他のところを見るのもシャクなので、あの空をぼんやり眺めていた。

そんな空も自分を攻め立てているように見えた。


私を知る人は誰もいない、ってことか。

本当の意味で孤独よねぇ。


そう言えば今私が西木野真姫の身体の中に入ってるってことは、本物の西木野真姫はどこにいるのかしら?



─────────



Aqoursの部室とは違って、μ'sの部室は校舎の中なのね。

静寂に包まれた初見の校舎に狼狽しつつ、二人の後について行く。

そして少し廊下を進んだ先に木製のドア。

はめ込まれたモザイクガラスの下には小さくアイドル研究部の文字。

星空凛はその部屋のドアを開けた。


凛「おっはよーにゃー!」


穂乃果「あ、凛ちゃんに花陽ちゃんに真姫ちゃん! おはよう!」


海未「少し遅いですよ。遅刻は避けるようにと昨日言ったばかりではないですか」


凛「凛はちゃんと朝早く起きたよー! 遅かったのは真姫ちゃんにゃー!! ねー、かよちん 」


花陽「そうだね。凛ちゃんは今日はいつもより早かったよ」


凛「えへへ、でしょー? 凛、頑張ったんだから!」


な。

なななな!

何これーーー!?

ほ、本物のμ'sが、全員……いる。

液晶画面から飛び出してきたように実体感があって手を伸ばせばその実体に触れることが出来そうだ。

ダイヤやルビィ程ではないとはいえ、冷静になってなんかいられない。


にこ「しかっしぃ? あの真姫ちゃんがお寝坊、ねぇ? たるんでるのは真姫ちゃんの方じゃないの?」


真姫【善子】「」


凛「ん? おーい、真姫ちゃーん?」


真姫【善子】「」


絵里「固まってるけど大丈夫かしら?」


花陽「……」


穂乃果「おーい? 真姫ちゃん?」


真姫【善子】「──はっ。──っ!?」


高坂穂乃果に手を仰がれ我に返るも、注目はこちらに浴びている。

本物を目の前に冷静に喋ってられる状態ではないわ。


穂乃果「大丈夫?」


真姫【善子】「だ、大丈夫ですううっ!!」


全員「……?」


思わず声に出てしまった酷い失言に部室内は沈黙に襲われる。

皆、首を傾げじぃっと見ている。

今度こそマズイかもしれないわね。


穂乃果「……本当に大丈夫? なんだか真姫ちゃんっぽくないね」


ひやり、背筋に凍る何かを感じた。

それは今の私にとって禁句である。

何とかその言葉を撤回しなければならないわ。


真姫【善子】「大丈夫よ!」


穂乃果「うーん、そこまで言うならそうなのかな……?」


真姫【善子】「そ、そうよ!」


お願いします。

どうかこの状況を回避するに望ましい雰囲気になってください……っ!

ここで私が『西木野真姫』ではないことが分かってしまえば、彼女達から何と言われようか。

その言葉を考えてしまうと恐ろしくて仕方ない。

だから、だから……。


穂乃果「そっか。……よーぉし! 気を取り直して、今日も練習頑張るぞー!!」


凛「おーっ!」


絵里「じゃあ早く着替えて屋上に集合ね」


海未「分かりました」


………。

免れた、みたいね。

よかった……。

朝から心臓に悪いことしか起こっていない。

だからこの瞬間が一番落ちつける時だった。


しかし、そう。

そうなのよ。

『だった』のよ。

それは今現在では異なった状況になっているという表れでありまして。

その状況というものが。


真姫【善子】(そうだった! 練習着……忘れてた!!)


……この状況である。

自分でも呆れたものだわ。

せっかく落ち着いた心情も、これじゃあとんぼ返りじゃないのよ。


凛「ん? 真姫ちゃん着替えないの?」


心配そうに私を、『西木野真姫』を見つめる星空凛。


真姫【善子】「えーあーいやーぁ……」


凛「んー?」


緊張と不安で声が篭もり、さらに星空凛の疑問符を増やす。

私は何をやってんだか。

早くこの状況、切り抜けなければ!


もうここは正直に言った方が最善かもしれない。


真姫【善子】「練習着を忘れたのよ!」


凛「……えーーーっ!? 忘れたぁぁぁーーっ!?」


凛の驚嘆の悲鳴に再び周りの視線は私の方に向くことになり。

周囲はざわめいてる。

凛は私の肩をがっちり掴んで激しく揺らしてくる。

目が回る……!!


凛「こういう時に練習着を忘れるってどういうことにゃーーー!!」


真姫【善子】「えっと、いや、その」


凛「真姫ちゃんが何たる失態……! これは事件にゃ! 真姫ちゃんの頭ふやかし事件にゃ!」


真姫【善子】「は、はあ……」


真面目なのか馬鹿なのか、彼女がどう受け取っているかはともあれ、何とかなっているのかしら?


絵里「練習着忘れたの? もう……もうすぐラブライブ予備予選なんだから。次から気を抜かないようにね」


ラブライブ予選……そっか。

本当はAqoursのヨハネとして出るべきものだったのに。

まさかμ'sの西木野真姫になって出ることになるなんて、思ってもみなかったわ。

本当はあってはならないことなんだけどね……。


海未「体操服で代用出来ませんか?」


凛「今日は体育の授業はないよ」


ことり「うーん……私たちのクラスもないよね」


希「残念だけどウチらの方もないんよね」


絵里「そう……だったら今日は──」


何か嫌なフリになりかけたけど何とかなったみたいね。


ふぅ……。


何かこう、改めて。

ずっと憧れだけで会ってみたいなぁなんていう冗談な気持ちを持っていたけれど、実際に会ってみると頭が挙がらなくなるというか。


絵里「──って言うことで、いいわよね?」


真姫【善子】「………」


不快、というか。


凛「またぼーっとしてる」


絵里「やっぱり今日のあなた──」


希「はーい、ここはウチに任せて、皆は練習に行ってて~」


絵里「ちょ、希」


希「これ以上練習時間は削れんよ? ささっ、早く行った行った」


穂乃果「う、うん」


随分長いこと思考を巡らせているといつの間にか一人の人物しかいなくて。


真姫【善子】「──はっ」


希「お、やっと気づいてくれた。ウチ待ちくたびれたやん」


どういうことなんだろうか。

私はこの人と話をするべきなのか……。


突然二人きりになり、狼狽えて目が泳ぐ。


希「さて、お話しようか」



──あなたのことを。



真姫【善子】「っ!!」


な、何!?

バレた!?

誤魔化さないと!!


希「あ、そう身構えんでもええよ。何にも言わないから。それに……」


希「辛かったやろうね、ずっと」


真姫【善子】「え……?」


予想だにもしなかったことを言われて、ただ唖然とするしかなかった。

だけど、それ以上に──


希「びっくりしたんやない? 急にこんな所にきて」


真姫【善子】「あ……」


その包容力のある微笑みのせいなのかもしれない。

緊張の糸が切れ、床にストンと落ちるかのように安心して。

目に涙が溜まる。

それはまばたきもしないうちに零れ落ちる。


希「大丈夫だから。ウチに話してみ」


堕天使が泣くなんて……この翼を切断しなければならないわね。

それにこの話はしてはいけないことなのに。


でも──


真姫【善子】「うぅっ……私、怖くて……ひっぐ」


希「うんうん」


──本当に、ずっと、怖かったから……。


真姫【善子】「もしバレちゃったらどうしようって……うっ……」


希「そっかそっか」


始まってまだ1時間30分余り。

私の恐怖心は素晴らしいほど膨れ上がっていたことは前文からして明らかだ。


何故、いつバレたのか何て考えるヒマなんてなかった。


希「ゆっくり、落ち着いてね。ウチに今までの経緯、話してみ?」


真姫【善子】「うん……」


小さな堕天使は静かに頷いた。



────────



非日常な1時間30分を語り、ふうとため息をする。

一回じゃあ足りないわね、ともう一回。


希「どう? スッキリした?」


真姫【善子】「はい」


彼女は私の言葉一つ一つに耳を傾けてくれてとても話しやすかった。

例えると何だろうか、信頼する友達が一番近いのかしらね。


希「そっかぁ……5年後の未来から来たんかぁ……」


真姫【善子】「そういうことになりますね……」


ここの時間と元いた時間を照らし合わせてみると、どうやら私は5年前まで遡ってしまっていたらしいのである。

そして月日も違う。

向こうでは晩夏だったけど、こちらでは初秋との事。

もちろん、何でこうなったか、なんていう事はお手上げだ。


希「未来からとなると、真姫ちゃんの方とは連絡がつきようもないね。恐らくやけど、真姫ちゃんの方は未来にいる『善子ちゃん』の中にいるんやろうし……」


真姫【善子】「やっぱりそう思いますよね……」


希「とにかく、今日一日は『真姫ちゃん』として過ごして貰わなきゃウチも何ともできんね」


ダイヤからは『のんたんはとてもスピリチュアルなお方なんですのよ。もしかしたら善子さんと話が合うかもしれませんわね。』とかいうことを小耳に挟んでいたが、そんな人でも分からないことがあるのね。



とりあえず、素朴な質問になるけど。


真姫【善子】「あの、何で分かったんですか? 私が『西木野真姫』じゃなかったことが」


希「真姫ちゃんの様子が明らかにおかしかったからね。もしかしたらって思ったら本当にそうやったって感じやね」


真姫【善子】「結構賭けに出るんですね。しかも、普通じゃありえないことなのに」


希「ウチはギャンブル関係とか勘で負けたことはないからね。いつもおみくじは大吉!」


真姫【善子】「うわぁ……」


なんて強運の持ち主なんだ。

化け物なのか、化け物なのだろうか。

……とにもかくにも、不運ヨハネからすれば、羨ましい限りのお話ってことですね……。


希「しっかし……どういうご縁があったんやろうか? 善子ちゃんのこととか、未来のこと、ちょっと教えてくれる?」


真姫【善子】「わ、私はえっと……さっきも言ったように浦の星女学院の生徒でAqoursっていう9人のグループでスクールアイドルをやってるんです」


希「学校を守るためにスクールアイドルを、それも9人で……ふふっ、まるでウチらみたいやね」


真姫【善子】「え? あ、そっか。μ'sも──」


希「そうそう。このグループも廃校を阻止するために結成されたんよね。最初は3人だけやったけどね」


真姫【善子】「あぁ、なんかダイヤとルビィから聞いたような聞かなかったような……」


あの二人、愛を込めすぎなのか話が長すぎて、かなり流し聞きしたのよね。

まったく、あの二人は話の大事なところを話してくれないから、こういうときに役に立てないのよ。


……って、こういうときってどういうときよ!

本人達を前にして、あんな事とかこんな事とかあったりして大変で……。

こんなの、ほんっとにありえないんだから!


まだ朝なのに、無性に帰りたくなってきた。


希「ダイヤとルビィってそちらのグループ……Aqoursだっけ? のメンバーなの? 宝石の名前なんやね」


真姫【善子】「あ、そうです」


希「そっかあ、未来のグループかぁ、なんか気になる! メンバーのこと、教えてよ」


真姫【善子】「え? え、ええと、誰から話していけば……まあ、誰からでもいいか」


希のペースに流されるがままに緊張した言葉が解けていく。

メンバーの紹介は春の弾みのように賑やかだった。

その異様な光景は、今までのことはフィクションだったのではないのかと感じるもの。

それは私と希の距離は縮まっているという意味を示すもの。


真姫【善子】「──って感じですね」


メンバー全員のことを憎まれ口を添えながらも話終え、ひと息つく。


希「えっと……何となく分かったけど……いや! やっぱり人数多すぎてよく分かんなかった!」


確かにAqoursの人数は9人とやや多めよねうんそれは私も分かる。

だがしかし!


真姫【善子】「どっち!? っていうか、人が頑張って話したのに最初の一言がそれですかぁっ!?」


希「いやぁ、あっはっは。ウチ物覚えはそこまでいい方じゃないからね~、しゃあない!」


真姫【善子】「あんまりだ……」


希「あ、言い忘れてたことあったやん。善子ちゃん」


改め直すように声のトーンを落とし。


希「ここでは先輩後輩もないから、善子ちゃんもμ'sのみんなにタメ口でいいんよ? 気持ちは分かるんやけど、せめて今日はこのままやろうし、練習として、ね?」


と、そのように言った。

確かに筋は通ってるわね。

納得できるわ。

しかし、指摘されて初めてそれができない理由を思い出した。


真姫【善子】「いや……無理ですよ……だって私──だけじゃないけど、Aqoursのみんな、μ'sを尊敬してるんですよ。あ、そりゃもちろん皆さんの前ではそうしますが……」


希「え、そうなん? もしかして5年後もウチらμ'sやってるんかな」


真姫【善子】「いや、流石にやってないんですけど、μ'sはラブライブでゆう──」


そこまで言って、はっとなった。

これ以上、喋ってはいけない、と。

そう感じた。


真姫【善子】「5年後でも有名なんですよ」


苦しいかな……。

でも希はへぇーと感心を持って、疑いを持たなかった。


その時、ガチャリという音が聞こえ、驚いてドアの方に顔を向けた。

ドアから顔を覗かせたのは、朝からテンションがやたらと高かった星空凛だった。


凛「もう! 希ちゃん来るの遅いにゃ! 早く来ないと練習終わっちゃうよ」


希「ありゃ、もうそんなに時間経ってたんか~。ごめんごめん、今行く」


凛「真姫ちゃんも曲作り終わったの? 早くしないと予備予選の締め切り過ぎちゃうよ?」


真姫【善子】「え、あ、ごめん。ちゃんと考えておきます……あ」


ついうっかり敬語と失敗したという証明になる言葉を漏らしてしまった。

やっぱり、真の姿を晒してしまった希相手にもタメ口で行く必要があるのかしら……。

心配気に星空凛の顔を覗く。

星空凛は私の発言になんの異変も感じていないようではあった。

だけど、少し不安げな顔で──


凛「もう……」


そう、言った。


頑張れ、と口パクをする希と明るい表情に戻った凛を最後に、私は2時間ぶりの一人きりになった。


不安だ。

希に自分の正体を打ち明けた。

だから、バレるかバレないかのことは和らいだんだけど。

私はこれから『西木野真姫』を演じきれるだろうか。

──っていうか。


真姫【善子】「西木野真姫って確かμ'sの曲を作曲してたんだっけ……」


さっき星空凛は、まるで西木野真姫が次の新曲が出来上がっていないかのような言いぶりをしてたわね。


真姫【善子】「これって……つまり……」


いやーなものを察知してしまった。


私は残念ながら作曲などという概念には、あまり触れたことはない。

そりゃあ、やってみたいなって思ったことは何度かあったけどさ……。


ヨハネは事の重大さを、マジで今更過ぎるくらいに、知ってしまった。


後書き

自分の推しを入れ替えた結果がコレである。

最新更新日 11/22
次更新……来月くらいを目標に。


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1: SS好きの名無しさん 2017-08-27 19:11:01 ID: 0YRoeBhI

更新待ってます!

2: SS好きの名無しさん 2017-08-28 20:32:20 ID: QyycTzCl

支援。

3: SS好きの名無しさん 2017-08-29 20:42:27 ID: c2wGPdpx

はよ更新してくれ


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