2017-01-16 20:31:11 更新

概要

4章です。


前書き

注意事項
【勢い】
・ぷらずまさんと称しているだけのクソガキな電ちゃんの形をしたなにか。
・わるさめちゃんと称しているだけの春雨駆逐棲姫の形をしたノリとテンションの女の子。

もう矛盾あっても直せない恐れあり。チート、にわか知識、オリ設定、独自解釈、日本語崩壊、キャラ崩壊、戦闘描写お粗末、魔改造、スマホ書きスマホ投稿etc.

ダメな方はすぐにブラウザバックお願いします。

章が終わっている場合、更新があっても誤字脱字等々の修整のみです。すみません。


【1ワ●:増える人、変わる人】


 

1

 

 

陽炎「お久ね。よろしくー」

 

 

響「よろしく。響だよ以下略」

 

 

暁「やった。電と雷と一緒の所属ね!」

 

 

不知火「この不知火になんなりと」

 

 

初霜「金剛さん、榛名さん、瑞鳳さん……私もです」

 

 

提督「……見張りもありますよね」

 

 

一同「……」

 


響「お気になさらず」

 

 

瑞鶴「よし、これだけいれば私はそろそろ秘書官を降りていいわよね?」

 

 

ぷらずま「お前、秘書官としてなにかやりましたっけ?」

 

 

瑞鶴「……(メソラシ」

 

 

提督「……」

 

 

提督「龍驤さん、第2艦隊の司令官をお願いします」

 

 

龍驤「え、うち?」

 

 

提督「自分の他にもこの鎮守府に司令官をやれる人が欲しいのです。補佐官ですかね」 


 

提督「艦隊を複数に別けて出撃した場合のことを考慮して、と……」

 

 

提督「わるさめさんの件がありましたし、自分の身になにかあった場合、指揮を取ることのできる人を……」

 

 

龍驤「艦娘との兼任やな。ま、ええよ」

 

 

提督「初霜さんは第3艦隊の司令官をぜひ」

 

 

初霜「私が司令官ですか……?」ポカーン

 

 

提督「龍驤さんと同じく妖精が見えるうえ、必要な課程を修めていますので、就任自体は規則上問題ないかと」

 

 

提督「自分には素質があるように見えましたし……乙中将からは初霜さんは旗艦にしていたのは現場での判断力と分析力が優秀だったからだと」

 

 

提督「自分も同意ですし、龍驤さんのデータを参照してもらえば、その経験は現場でも活きると確信してもらえるかと」

 

 

初霜「提督のご命令とあらば」

 

 

初霜「でも、希望としてあくまで本職は艦娘でお願いしたいのですが……」

 

 

提督「そのつもりです」

 

 

初霜「あの、それと」

 

 

初霜「勉強をさせていただきたいので、秘書官の枠が定かではないのなら私に任せてはいただけないでしょうか?」

 

 

提督「了解です。では初霜さんとぷらずまさんはお残りください。他の艦娘の皆さんは解散で」

 

 

暁「電、雷知らない?」

 

 

ぷらずま「ほこり被ってる施設の場所を掃除しているのです。多分、ここの裏手の建物です」

 

 

暁「分かった。ヨンマルマルに間宮さんのところに第6駆逐隊集合なんだからね?」

 

 

ぷらずま「……分かりました」

 

 

響「それじゃまた後で」

 

 

陽炎「不知火、部屋に行くわよー」

 

 

不知火「荷ほどきですね」ヌイッ

 

 

初霜「私も少し外します。すぐに戻ってきますので」

 

 

2

 

 

初霜「えっと、着替えてきました」

 

 

提督「えっと、なぜ自分の制服の予備らですよね。ダボダボですし……」

 

 

初霜「え? だって司令官って皆さんこの制服、ですよね?」クビカシゲ

 

 

提督「……?」

 

 

初霜「えっと、それにせっかくの機会ですし」

 

 

初霜「……あっ」

 

 

初霜「勝手にお借りしてすみません!」

 

 

提督「い、いえ、そういうことではなく」

 

 

龍驤「多分、着てみたかったんやない?」

 

 

初霜「……」カア

 

 

ぷらずま「司令官さん、ぷらずまも用事があるのです」

 

 

提督「はい?」


 

ぷらずま「あのラブ勢代表格ともいえるエセ英国淑女に釘を差しに」 

 

 

ぷらずま「金剛ですからね。念のためです」

 

 

瑞鶴「うちではおちびがラブ勢じゃん」

 

 

ぷらずま「● ●」

 

 

ドオン

 

 

瑞鶴「……う……え?」

 

 

ぷらずま「今のは殺す」

 

 

瑞鶴「始まったー……」

 

 

提督「ぷらずまさん」

 

 

提督「お願いします。このようなところで瑞鶴さんを失いたくないので」

 

 

ぷらずま「……クソガ」ゲシッ


 

提督「……ああ、本を蹴飛ばして」

 

 

瑞鶴「なんかごめんね……」

 

 

提督「よくあることです……」

 

 

提督「初霜さんは大丈夫だと思いますけど、あの子はあまり刺激しないであげてくださいね」

 

 

初霜「はい。今後のために少々、ぷらずまさん? とのコミュニケーションの方法は考えておきますね」

 

 

提督「ええ。根は悪い子ではないかと。芯が少し邪悪に染まってるだけで」

 

 

提督「初霜さん早速で悪いのですが、夕方からの歓迎会で配るこの鎮守府(闇)の紹介資料を作成してあるので、人数分より少し多目に印刷しておいてもらえますか?」

 

 

初霜「はい、すぐに」

 

 

龍驤「二人、相性良さそうやね。瑞鶴もそう思わん?」

 

 

瑞鶴「そうだね。お互い遊びのない真面目なところが合うのかもねー」

 

 

提督「瑞鶴さん、まだ艦載機の扱いが上手いとはいえないので、鍛練は欠かさないように」

 

 

瑞鶴「わかってるって。ご飯食べたら演習場行くつもりだし」

 

 

瑞鳳「ところで提督、深海妖精が深海棲艦を建造しているという件なのですが……」

 

 

瑞鳳「対策、いや、終わらせる方法はあるのですか?」

 

 

提督「まだなんとも。上の指示待ちです」

 

 

提督「中枢棲姫勢力が何かしらの動きを見せるまでは平和、かもしれません」

 

 

提督「しかし、恐らく中枢棲姫勢力に目をつけられているのはこの鎮守府(闇)であると思われます。そういった意味も含めての皆さんの異動です」

 


提督「この余裕のある間に皆さんの練度上昇、および連携強化と資材確保に励みます」

 

 

3


 

瑞鶴「えー、皆さまこの歓迎会、恐縮ながら私、瑞鶴が」

 

 

雷「僭越ながら、じゃないの?」

 

 

卯月「アブー、あいつあれで大学通ってたらしいぴょん」

 

 

阿武隈「人の失敗を笑ってはいけませんっ」

 

 

瑞鶴「き、緊張してただけだし(震声」

 

 

瑞鶴「間宮さんがご馳走作っての歓迎会だし、無礼講でいいわよね。陽炎とかもう食べてるし」

 

 

陽炎「うんまい。つか歓迎される側の私達が準備してたっておかしくない?」

 

 

不知火「細かいことは気にしてはダメです。色々と特異な鎮守府ですから。榛名さんも手伝ってくれましたし」

 

 

榛名「いえ、構わないのですが、提督の姿が見当たりません……」

 

 

瑞鶴「仕事終わらせてから、行けたら行くってさ」

 

 

金剛「絶対来ないパターンネ!」

 

 

瑞鶴「まあまあ、来ないなら来ないで面白いことできると思わない?」

 

 

龍驤「ま、必要なことやね」

 

 

金剛「……?」

 

 

瑞鶴「うちの提督はあんまり艦娘とコミュしないタイプでねー、まあ、私達との関係をビジネスライクってスタンスなのよ」

 

 

瑞鶴「だけど、こっちとしては提督のこと知りたいわよね。だって命を預けるわけだし、人間的なコミュあってこそ信頼できると思うのよ」

 

 

金剛「意義なしデース!」

 

 

伊58「ゴーヤは一緒にお出掛けしたよ?」

 

 

金剛「デート、したのー?」

 

 

卯月「それ、うーちゃんとアブーのスカウトの随伴だからどっちかというと仕事だっぴょん」

 

 

瑞鶴「うちの提督、現段階でどんな風に思われているかざっくりと投票取ってみていい?」

 

 

瑞鶴「好き・やや好き・普通・やや嫌い・嫌いの4段階評価で、その隣には鎮守府への意見とか提督さんに対しての希望を書くとこあるから」

 

 

瑞鶴「あ、ちなみにこれは提督さんから許可もらってるし、本人も参考にしたいみたいだから遠慮なくー。名前は書かなくてもいいからねー」

 

 

…………………………


…………………………

 

…………………………

 

 

ぷらずま「わるさめさん…………?」

 

 

ぷらずま「好きとか法螺選択してんじゃねーのです……」

 

 

わるさめ「本心だゾ☆」

 

 

わるさめ「あの司令官襲った時に、口説き落とされちゃって」

 

 

ぷらずま「はあ……」

 

 

ぷらずま「妙な好意は抱かないほうが身のためです」

 

 

ぷらずま「あの人、私達をどちらかというと深海棲艦と考えているはずですから」

 

 

わるさめ「あんたも解答が私と同じじゃん?」

 

 

ぷらずま「たりめーなのです」

 

 

ぷらずま「好むところがなければ従いません」

 

 

わるさめ「あー……もちっと年頃の色気をまとったほーがいいっスよ……」

 

 

ぷらずま「そんなことより」スッ

 

 

ぷらずま「お集まりの皆さんに」スタスタ


 

ぷらずま「ぽんこつ空母もよく聞いておくべき話をします」

 

 

瑞鶴「おー、おちびが皆の前でなんかいうことあるの?」

 

 

ぷらずま「初霜さん」

 

 

初霜「あ、はい。このタイミングなんですね」

 

 

初霜「ホワイトボードと水性ペンを借りますね」

 

カキカキ

カキカキ

 

ぷらずま「この鎮守府(闇)の現状、センソー終結について」


カキカキ

 

 

ぷらずま「の」

 

 

カキカキカキ

 

 

ぷらずま「お話をしておくのです」

 

 

キュッ

 

 

4

 

 

ぷらずま「初霜さん、長ったらしいところはお願いするのです」

 

 

初霜「はい」

 

 

初霜「中枢棲姫勢力に大きな動きがありました。偵察隊によると活動海域に分散していた主力が集結しつつあり、中枢棲姫勢力との決着をつける大戦になると予想されます」

 

 

初霜「なぜわざわざ集まるのを待つのか。その前に各個撃破したほうが、というような疑問にはお手元の資料にアンサーがあるかと思いますので、置いておきますね」

 

 

初霜「深海妖精の発見と春雨さんからの提供情報により」

 

 

初霜「深海棲艦との戦争を終わらせる目処が立つかもしれません」

 

 

陽炎「……勝てば」

 

 

阿武隈「平和が訪れる?」

 

 

ぷらずま「…………」

 

 

初霜「春雨さんからの情報からして、深海妖精は特定の深海棲艦の指示で動いている可能性が高いみたいです」

 

 

わるさめ「む、私の情報を信じたの?」

 

 

わるさめ「確かに深海棲艦のアジトで建造っぽいこと行われてるって報告したけどさー」

 

 

わるさめ「まー、わるさめちゃんには妖精とか見えないし、そもそもアジトの内部とか侵入したら半殺しにされたから」

 

 

わるさめ「向こうの信用を得るためにもーって丙少将を襲ったんだゾー」

 

 

陽炎・不知火「……」キッ

 

 

わるさめ「なに? わるさめちゃんの情報提供のお陰で深海棲艦を滅ぼせそうなんだぞ?」

 

 

わるさめ「それに今は仲間だし、水に流してくれないかなー」

 

 

わるさめ「ごめんね☆」キャピッ


 

瑞鶴「右の大砲」ドンッ

 

 

わるさめ「ずいずい、いったああい!」

 

 

瑞鶴「仲間だと口にするのなら」

 

 

瑞鶴「その煽りは殴られて当然」

 

 

わるさめ「…………」

 

 

わるさめ「陽炎に不知火、気に食わないのならケンカ買ってやるぞー」

 

 

不知火「望むところです」

 

 

陽炎「今後のためにも白黒つけておこうじゃない」

 

 

初霜「……こほん」

 

 

初霜「わるさめさんの提供情報は甲大将が後日に裏付けを取ります」

 

 

榛名「大将直々、ですか」

 

 

初霜「深海妖精の発見と、深海棲艦発生の仕組みが判明したのはそれほどの快挙、と判断されましたから」

 

 

ぷらずま「上が美味しいところ取りなのです。発表時は真実は変わらず、その手段は表向きに改変され、将校の手柄になるみたいです」

 

 

ぷらずま「まあ、世渡りが下手な司令官さんなのですよ」

 

 

ぷらずま「この鎮守府に着任してからは軍で彼より貢献した司令官はいないのです。叩き出してきた功績は」

 

 

ぷらずま「豚を肥やす餌」

 

 

ぷらずま「まあ、それでもなんとも思ってないのでしょうね。出世欲もなにもない人ですから」

 

 

ぷらずま「この鎮守府(闇)は軍の縛りが薄く、比較的自由に動けていたからこそ、ですが」

 

 

ぷらずま「将校のやつらが楔を打ち込んできた」

 

 

ぷらずま「将校の兵力、そして乙中将との演習予定、結果は勝ちでしょうが、将校艦隊と互角以上に戦える私達はもはや今までのように心身に傷を負った欠陥品から、立派な戦力として数えられるのです」

 

 

ぷらずま「大人しくしてろ、のメッセージなのです」

 

 

一同「……」

 

 

ぷらずま「皆さん、ここの司令官を誤解していると思うのです」

 

 

ぷらずま「確かに丙少将のようにイケメンでも優しくもありません。乙中将のように前向きで明るくもなく、性格もお世辞にも良いとはいえません」

 

 

ぷらずま「ですが」


 

ぷらずま「私達のためを考えてくれる、というのは、沈ませないとか、優しくしてくれる、とか」

 

 

ぷらずま「そういうことじゃ、ないと思うのです」

 

 

ぷらずま「沈むのが怖いのなら、海に出なければいい話。優しくして欲しいのなら海から去って普通の人として友達を作ればいいのですから」

 

 

ぷらずま「それでも海で命を賭ける理由は深海棲艦との戦いで勝ち取るためでしょう」

 

 

ぷらずま「あの人はそこにおいて真摯なのです。それこそ深海棲艦とのラストバトル、だなんて見通しが出てきたのがその証拠なのです」

 

 

ぷらずま「ご安心を」

 

 

ぷらずま「もうすぐ終わるのです」

 

 

ぷらずま「なので、あの人にあまりキツいこと書くのはやめてあげて欲しいのです」

 

 

ぷらずま「変に思考されるのも差し支えますし」

 

 

ぷらずま「後、この鎮守府の現状ですが、資材少ないので遠征ガンバって欲しいのです」

 

 

ぷらずま「以上なのです」

 

 

雷「とりあえず電があの司令官のことすごい好きなのは分かったわ!」

 

 

ぷらずま「?」

 

 

ぷらずま「ああ、妙な方向に誤解されては困るのです」

 

 

暁「恋? 電は恋をしているの?」

 

 

暁「レディーね!」

 

 

ぷらずま「違うのです……」

 

 

ぷらずま「司令官として好きなのです。なので、悪い印象しかなさそうな皆さんに一応、伝えただけなのです」

 

 

響「私は別に嫌いじゃないよ」

 

 

響「改善して欲しいところはあるけれど」

 

 

不知火「不知火もです。合同演習の時からなかなか面白い司令官だと」

 

 

初霜「さて、皆さん書き終えたらこの箱に入れてくださいね」

 


【2ワ●:削ぎ落としたネジを探す旅】

 

  

1

 

 

提督「……」

 

 

龍驤「好きが4人。やや好きが4人。普通が3人に、やや嫌いが3人に、嫌いが2人」

 

 

提督「……キツいですね」

 

 

龍驤「あれ、キミのことやらかいい結果っていうと思ったわ」


 

提督「いえ、そこではなく、その隣の自分への要望、です」

 

 

『どうか自分を許してあげて欲しい』

 

『人としての心を忘れないで欲しい』

 

『もっと私を頼って相談して欲しい』

 

『自殺は思い止まって欲しい』

 

 

提督「なるほど、自分はなにかしらの闇を心に抱えていると思われているんですね……」

 

 

龍驤「ちゃうん?」

 

 

提督「別に闇なんて抱えてませんけどね……悩みは尽きませんが」


  

龍驤「でも、なんかそう見えるで。初対面の人も恐らくそう見えるよ……」

 

 

龍驤「明らかになにか抱えてそうなオーラ出してるもんキミ……」

 

 

提督「由々しき事態です」

 

 

提督「コミュ能力の欠如は自覚していたのですが」

 

 

提督「今後、作戦において信頼が必要になってくる場面が出てくるはずです。その時にお願いを聞いてもらうために」

 

 

龍驤「コミュすればええやん」

 

 

提督「……本とかで勉強しているんですけどね。自分、面白味がないので」


 

龍驤「そんなことはないけどなあ。まあ、相性ってのはあるで」

 

 

提督「特に異性は」

 

 

提督「理解しがたい部分が多く」

 

 

伊58「そういう話をするようになっただけ大分打ち解けた気がするでち」

 

 

龍驤「まー……」

 

 

提督「初霜さんとは相性は悪くないですね。榛名さんともなんとかなりそうですが、金剛さんとは円滑な関係を意識的に築く必要があります」

 

 

提督「自分のところの戦艦ですし、今後この一隻の力は当てにしますから」

 

 

伊58「一隻ではなく一人」

 

 

伊58「そういうところでち。特に金剛とかは気にするんじゃないかなー?」

 

 

提督「すみません……以後気を付けます」

 

 

龍驤「おしゃれしてきたら褒めるとか、そんな簡単なこと心がけたらええねん」

 

 

提督「……質問が」

 

 

龍驤「手帳とペン取り出した……」

 

 

提督「なぜ服装を褒める必要が」

 

 

伊58「え」

 

 

提督「自分が好きな服を着ればいいではないですか。ファッションの娯楽の本質は似合うから着るのではなく、好きだから着るものかと」

 

 

提督「自分に褒められたいから、着飾ってくるわけではないはずです」

 

 

提督「好かれていないはずですし」


 

龍驤「あかん、あかんでえ。瑞鳳、なんかいったって」

 

 

瑞鳳「うーん……そうですね」

 

 

瑞鳳「例えば、ですよ?」

 

 

瑞鳳「ここにお料理があります。別に提督さんに食べて欲しくて作ったわけではなく、お仕事として事務的にお出ししたとします」

 

 

提督「はい」

 

 

瑞鳳「それでも気になるから聞いてみたくはあるんですよ」

 

 

瑞鳳「美味しいですか、って」

 

 

提督「美味しいですよ?」モグモグ

 

 

龍驤「それやそれ! 聞かずともそれをいって欲しい乙女心やねんて!」

 

 

初霜「……」

 

 

伊58「初霜、どうしたんでち?」

 

 

初霜「い、いえ、提督はこのような砕けた話も出来る方、だったんだ、と」

 

 

初霜「あ、いえ、失礼しましたっ」

 

 

提督「いえいえ。自分、別にメリハリつけてるだけで機械人間でもなんでもないつもりです」

 

 

提督「黒や闇気味なのは否定しませんが……」

 

 

龍驤「後、ユーモアも欲しいなあ」

 

 

提督「欲しいですね」

 

 

瑞鳳「そういえば提督さん、名前はなんていうんですか?」

 

 

提督「…………名前、は」

 

 

提督「名字は青い山で、名前は、開く扉と書きます」

 

 

瑞鳳「あおやま、ひらと、さん?」

 

 

提督「……」

 

 

龍驤「なんかボケればよかったやん」

 

 

提督「……なるほど」メモメモ

 

 

初霜「ためになりますね」メモメモ

 

 

龍驤「はっつんも明日、気合い入れた私服にしたらどやー」

 

 

龍驤「褒めてくれるでー」

 

 

初霜「えっと、私服は少なくて……明日はこの制服で」

 

 

提督「似合っていますし、良いと思います」

 

 

初霜「……」ポカーン

 

 

初霜「…………」カアッ

 

 

龍驤「やればできるやんキミ!」

 

 

瑞鳳「この調子ならいけそうですね!」

 

 

提督「よし、そんな気がしてきました」

 

 

2


 

暁「司令官っ、漫画の図書館に行ってきたんだけど……」


 

提督「あー、そんなのありましたね。いかがなされました?」

 

 

響「暁がまだ司令官のことを怖がっているみたいでね、あなたのことを色々と知りたいみたいだ」

 


暁「この本、性格診断のご本をいくつか持ってきたのだけど、色々と質問してもいいかしらっ」

 

 

ぷらずま「●ワ●」ニタニタ

 

 

ぷらずま「暁お姉ちゃんこのサイコパス診断がいいと思うのです」

 

 

提督「……」

 

 

龍驤「よしキミのユーモア見せてみ!」

 

 

暁「そーいうのはいいから! 真面目に答えてもらわないと意味がないじゃない!」

 

 

響「お腹が減ればご飯を食べるといい」

 

 

提督「……なんなりと。どうぞ」

 

 

暁「サンタクロースが少年にサッカーボールをプレゼントしたけど、少年は喜びません。その理、」

 

 

提督「足がなかったから」

 

 

暁「ふえええええええん!!!」

 

 

提督「あれ、泣いて……? 答え知っていたのでサイコパスで答えた、そのユーモア……」

 

 

響「眠くなれば寝ればいい」

 

 

龍驤「それで笑って喜ぶの電ちゃんだけや……」

 

 

ぷらずま「●ワ●」キャッキャ

 

 

響「楽しければ笑えばいい」

 

 

提督「さっきから響さんがちょくちょく当たり前を教えてくるのはなぜ……」

 

 

響「理屈を手放して、当たり前や正直が出来るようになるべきだと思う」

 

 

提督「……、……」

 

 

響「そして私は眠い」

 


響「……zz」

 


龍驤「響これ寝たんか? 立って目を開けながら寝とるけど……」

 

 

龍驤「駆逐寮の寝床に運ぶねー。また戻ってくるわ」

 

 

提督「……お願いします」

 

 

3

 

 

提督「……暁さん」

 

 

暁「なによ、司令官のばーか……」グスグス

 

 

提督「合同演習でぷらずまさんがいった質疑応答内容を覚えていますか。そして自分が同調したことも」


 

暁「一言一句覚えてるわよっ」キッ


 

ぷらずま「……」

 

 

提督「間違っていると思いますか」

 

 

暁「当たり前よ。戦争終わらせる。そのために多くの犠牲者を出すことを躊躇わないだなんて、そんなの、本末転倒じゃない」

 

 

暁「司令官は本当に大事なモノを失ったことがないからそんな理屈をいえるのよ」

 

 

暁「きっとあなたは私より子供」

 

 

暁「いえ、人ですらない。きっと司令官に出来ることは機械にだって出来るわよっ」

 

 

暁「だって、あなたは誰かを本気で愛したことなんてないんだから!」

 

 

暁「『100万回生きたねこ』のご本でも読んできなさいよ、この人でなし!」

 

 

提督「……、……」ゴハッ

 

 

ぷらずま「吐血するほどですか」

 

 

暁「さようなら! もう寝るっ!」

 

 

提督「暁さん、待ってください」ガシッ

 

 

提督「礼をいいたい。ありがとうございます。大変、参考に、なりました」

 

 

暁「なにそれ、ぷんすか!」

 

 

タタタッ

 


提督「……まさか暁さんにいい負かされるとは」

 


ぷらずま「●ワ●」ニタニタ

 

 

ぷらずま「ま、少なくとも暁お姉ちゃんのは暴論です」

 

 

ぷらずま「私にはあんなことをいいません。それが暁お姉ちゃんのずるいところです」

 

 

ぷらずま「司令官さん、お友達と仲良くするのはいいですが間違った成長しちゃダメですよ?」

 

 

ぷらずま「それではおやすみ、なのです♪」


 

4

 

 

間宮「……あなたは」

 

 

間宮「子供を泣かせて楽しいですか?」

 

 

提督「そんな趣味は、ありません」

 

 

間宮「無自覚でやらかしているんですね。あまりこういうこといいたくないのですが、あなたは提督に向いていないと思います」

 

 

提督「軍学校時の教官からも、そういわれました。精進、します」

 

 

雷「司令官、見ていたけどすごーく頑張ってるわね、偉いと思う!」

 

 

間宮「……はあ、情けない人」

 

 

提督「……」ゴハッ

 

 

 

 

瑞鳳「瑞鶴ちゃん、提督と間宮さんって何かあったんです?」ヒソヒソ

 

 

瑞鶴「知らないけど……間宮さんの笑顔が怖すぎて……」ヒソヒソ

 

 

瑞鳳「提督さんがゾンビのような足取りで外の闇夜に……」

 

 

瑞鶴「あいつなりに頑張ってるみたいだし、フォローしてあげよっかな。それじゃお先ねー」

 


5

 

 

阿武隈「あの、なにか……?」

 

 

金剛「実はネ、乙ちゃんから頼みごとれてマース」

 

 

榛名「あの提督について、です」

 


阿武隈「といいますと」

 

 

金剛「この鎮守府を変えるために全力でバーニングラブしろとのことネ」

 

 

榛名「しかし金剛お姉様がバーニングラブするためには提督に対する愛情が必要不可欠です」

 

 

金剛「あの提督のいいところ教えて欲しいデース!」

 

 

榛名「人間的な魅力をぜひ!」

 

 

阿武隈「人としていいところ……ですか」


 

阿武隈「……、……」

 

 

阿武隈「宿題にしてください」キリッ

 

 

榛名「隙のない提督なんですね……」

 

 

卯月「聞いても分からないのなら、自分で見つければいい話ぴょん!」

 

 

卯月「悪戯してきました」

 

 

卯月「あいつは生真面目なやつでな、仕事終わりに大浴場でどっぷり風呂に漬かって考え事をするぴょん」

 

 

卯月「そこで入渠施設とは別にある大浴場の男と女の暖簾をすり替えて参りましたびしっ!」

 

 

卯月「ぷっぷくぷ!」ゲラゲラ

 

 

榛名「なるほど、ラブコメ的展開から裸の付き合いですね!」

 

 

金剛「卯月、攻めすぎネ……!」

 

 

阿武隈「卯月ちゃん……」



阿武隈「今すぐもどしてきなさい。そういう心に傷を負わせかねない悪戯をするのなら」



阿武隈「私は卯月ちゃんと仲良くしません」



卯月「ぷ、ぷっぷくぷ……」



卯月「了解びしっ……」



6


 

陽炎「ねえ不知火」

 

 

不知火「なんでしょう?」

 

 

陽炎「この鎮守府の説明もらったけどさ、ホワイト過ぎない? 想像していた実態と全く違うわよね?」

 

 

不知火「確かに想像以上にホワイトですね。ここの鎮守府はスケジュールこそありますが、遠征も出撃も任意、加えて哨戒すらも」

 

 

不知火「司令の『お願い』」

 

 

不知火「我々が拒否する場合のみ電さんとわるさめさんが全てを行うとのことですが……さすがにそこまで甘えるわけにも行きません」

 

 

不知火「のびのびと休暇を過ごしているかのような。確かに支援施設の側面もあるわけですが、鎮守府としては」

 

 

不知火「油断し過ぎではないか、と」

 

 

陽炎「丙さんのいっていたような場所ではないわねえ……ある意味怖いけど」

 

 

初霜「それで陽炎さん、用件は一体なんです?」

 

 

陽炎「暁型は置いといて、私と不知火、金剛さんに榛名さん瑞鳳さんに初霜さん、それと龍驤さん」

 

 

陽炎「みんな、この鎮守府を監視したり探り入れるよういわれてるわよね?」

 

 

龍驤「うちはまあ、元帥ちゃんに頼まれてるけど、そんな大した報告してないで。ここの提督はヤバい案件は上に報告しっかり入れとるし」

 

 

瑞鳳「確かに想像していたような人ではないかも?」

 

 

瑞鳳「龍驤さんがそういうのなら、まあ、悪い人ではないんでしょうし」

 

 

瑞鳳「龍驤さんはストレートに顔に感情出す人ですし」

 

 

龍驤「司令官向いてなかったんかな」

 

 

瑞鳳「愛嬌です愛嬌」

 

 

龍驤「それはそれで子供に見られとるみたいで傷つくんやけど……」

 

 

龍驤「でも、探りは入れたいなあ。正直あの子は結果を出しすぎてる」

 

 

金剛「執念ってセンソー終わらせることじゃないノー?」

 

 

金剛「合同演習の時に龍驤もあの場で聞いたはずデース」

 

 

龍驤「それの動機が気にならん?」

 

 

金剛「確かに本心とも限らない? センソーは良くないことだからとか、建前はいくらでも用意できるネ」

 

 

榛名「あの」

 

 

榛名「間宮さんは最古参と聞きました。なにか知らないのでしょうか?」

 

 

間宮「うーん、特には」

 

 

間宮「聞けば答えてはくれそうな気もしますけど……」

 

 

陽炎「なにか気になることとかは?」

 

 

間宮「あの提督さんが着任した時から1つありますね」

 

 

間宮「電ちゃんがなつき過ぎてるというか……」

 

 

間宮「ゴーヤちゃんが異動してくる辺りに、提督さんに聞いてはみたんですよ」

 


龍驤「そこらのことはうちも知らんとこやなあ……」

 

 

間宮「私にはまだ素っ気なくて距離を取っているというか、そんな風だと思っていますが……」

 

 

間宮「あの人には本当に、なんだか一目見た時から電ちゃんが楽しそう、というか、そんな感じが漏れてました、といいますか……」

 

 

間宮「今でもすごく気になっています」

 

 

不知火「司令官に好意を抱くというのは珍しくはないと思いますが」

 

 

龍驤「せやね。あの子はあーいうタイプが好きなだけやないの?」

 

 

間宮「いえ、皆さんもあの子のこと、知っていますよね」

 

 

間宮「あの手の人が着任したのは初めてではないんですよ。それこそ電ちゃんと春雨さんが一緒にいた提督は人体実験して、あの身体にしたようなので……」

 

 

金剛「何度か提督をクーリングオフしていたとかいう話は知っていマース」

 

 

榛名「今の提督みたいなタイプも来ましたが、クーリングオフされたと?」

 

 

間宮「はい。でも、あの人のようになついていたわけでもなく、むしろ嫌っていた節がありますし」

 

 

間宮「ええ……あの人に関しては1つだけいえます。なにか『特別』です」

 

 

間宮「今の提督は確かに有能な面もあると思います。でも、あの人体実験方法的に」

 

 

間宮「素晴らしいとは口が裂けてもいいません。深海妖精も電ちゃんがいたからこそ、発見できたわけですし」

 

 

間宮「深海棲艦との戦いを終わらせるのにすごく貢献はしています。でもそれは追々の話です」

 

 

間宮「電ちゃんの重要性は上も理解していたようで、運用のために、優しい、有能、黒い、色々な提督が派遣されたんですよ」

 

 

間宮「くどいようですが、今の提督に対しては、本当になついているように見えて」

 

 

間宮「それも着任した瞬間から」

 

 

一同「……」

 

 

榛名「一目惚れですね!」

 

 

金剛「榛名のその発想はなくもないケド。むしろロマンチックで私は大好きデース!」

 

 

陽炎「でも思考停止よねー」

 

 

榛名「榛名はそれでも大丈夫です!」

 

 

初霜「では着任以前から交流があったという線はどうでしょう?」

 

 

龍驤「作戦でもなんでも着任以前から二人が一緒になったことはないはずやよ?」

 

 

不知火「……そう言えば」

 

 

不知火「駆逐艦電はかなりの古参ですよね」

 

 

陽炎「19……何年? そんな浸水日早かったっけ?」

 

 

不知火「軍艦ではなく艦娘としてです」

 

 

不知火「第6駆は世間でも提督からも人気の高い駆逐艦です。どこに誰がいるかも耳に入ってくるほどに」

 

 

不知火「あの電は不知火が兵士になった時すでに色々な作戦に参加していたかと」

 

 

龍驤「15年前、うちより6年も前やで。あの子が妙に子供らしくない一面があるのはやっぱ歳月なんかなあ」 

 

 

金剛「……、……」

 

 

金剛「ちょっと待つネー……」

 

 

金剛「提督は何歳でどこ出身?」

 

 

金剛「電ちゃんと同じ○○とかは」

 

 

龍驤「出身は覚えとらんけど、歳は27やったかな……」

 

 

龍驤「あの時」

 

 

龍驤「…………あれ」

 

 

龍驤「電ちゃんは12歳やけど」

 

 

初霜「15年前から電艤装をつけていたわけですから」

 

 

不知火「我々は建造されると解体されるまで体は老いませんね」

 

 

陽炎「27-15で12ね」

 

 

瑞鳳「12+15で27でも」

 

 

榛名「同じ歳ですね!」

 

 

間宮「まさか昔馴染み……」

 

 

間宮「でも二人にそんな素振りは……」

 

 

陽炎「うーん、私と不知火が調べるわ」

 


金剛「私も調べたいデース!」


 

陽炎「間宮さん、提督の個人データなんとかならないかな?」



間宮「は、はあ。前に大淀さんからもらったものなら取ってあります」



陽炎「ありがとー。初霜も秘書官だし、聞いてみてくんない?」

 

 

初霜「私はその、あまり疑うような言動は控えますし、諜報のような真似も……」

 

 

初霜「信用したい、と思いますので」

 

 

瑞鳳「気に入ったんですねえ」

 

 

初霜「えっと、その」

 

 

初霜「……」コクン

 

 

瑞鳳(かわいい)

 

 

7

 


瑞鶴「おっす、嫌われてるわね。そんなところで壁に背中預けて座ってると風邪引くわよー」


 

提督「……」ビクッ

 


瑞鶴「別に追撃入れに来たわけじゃないから。ほら、チューハイ缶」



提督「それはどういった趣向の攻撃でしょうか……」

 

 

瑞鶴「攻撃じゃないわよ……あんたさー、コミュ能力というか人を理屈でしか理解していなさすぎ。だから齟齬が出る。暁のいった通りね」

 

 

瑞鶴「でも確かに納得したよ」

 

 

瑞鶴「あんたは私達を物扱いしたほうが優秀に戦える提督だ。思うところはあるけど、別に私はそれでもいいわ」

 

 

瑞鶴「戦争を終わらせる。皆、その過程のための方法に文句いうけどさ」

 

 

瑞鶴「別にこの戦争で人が死んでも、街で死ぬ人間の比じゃない。私に声かけたあの時、あんたがいった通り」

 

 

瑞鶴「どこ行っても人は戦って己と戦い抜いた挙げ句に殉職する。同感したわね。確かにそう。皆だって自分の意思でこの戦いに参加してる」

 

 

瑞鶴「あんただってそう。戦争を終わらせるため。じゃあさ、何のためにそうするの?」

 

 

瑞鶴「平和のためじゃないわよね。私は理論派じゃないけど、戦争が平和を養わないことくらい分かるよ?」

 

 

瑞鶴「誰かのため、っていえるようなやつならこんなに拗れてないだろーし。自分のため?」

 

 

提督「誤解しないで欲しいのですが」

 

 

提督「自分は誰かに憧れたことも、女の子に見惚れたこともあります……」


 

瑞鶴「ほう……あえていおう」

 

 

瑞鶴「なんか意外だ」

 

 

瑞鶴「そんで提督さん、お酒飲ますと割とペラペラ喋ってくれるタイプなのねー」

 

 

提督「……そう、かもしれません」

 

 

提督「ただその時のことをもう思い出せません。あまり大して気にかけていなかったのだと思います。それが本当に好意だったのかも、分かりません」

 

 

提督「背が大きくなるにつれて、自分はどこか浮き彫りになっていきました。皆のことが理解できなかった」

 


提督「どうしてそれで泣くのか。どうしてそれで怒るのか。どうして笑うのか。なぜそこまで本気になれるのか」

 

 

提督「理屈としては分かります。がむしゃらになにかに打ち込んでも、彼等のような熱は灯らなかった」

 


提督「段々と生きている気がしなくなりました。人生を模索していく十代によくある悩みです」

 

 

提督「心で理解できないから、せめて理屈で知ろうとするようになっていきました」

 

 

提督「本を、読み漁りました」

 

 

提督「著者の人間性が出ますから。その人のいる場所、自分のいる場所を繋ぐ道標です」

 

 

提督「それもまた理屈でしかなくて、周りとの溝は埋まらず、退屈なやつだと、面白くない、と時に非道だと、批難され、浮いていった」

 

 

提督「自分からしても彼等は同じだった。面白くなく、退屈だ。ですが、受け入れるよう勉めました」

 

 

提督「まずなによりも、相手の全てを受け入れることができない」

 

 

提督「自分の器の小ささを恥じてきたつもりです」

 

 

提督「本当に苦しみました。この本気の苦しみのお陰で、得たものもあります。その代償に削がれていったのは、自分のこの亡霊のような容姿が表している、と思います」

 

 

提督「死にたくなった。死は救いなのではないか、とすら思った」

 


提督「この深海棲艦との戦争の本に出会いました。そのきっかけは身近な女の子がこの戦場に駆り出されたのが切欠で、手に取ったものです」

 

 

提督「なんて素晴らしい出来事なのか、と。これは自分を生かす場所になり得るのだと」

 

 

瑞鶴「……?」

 

 

提督「この戦争は確かに人が死にます。しかし、街と人口と照らし合わせ、その死亡理由を比較した場合」

 

 

提督「格段に」

 

 

提督「自殺現象が少ない」


 

瑞鶴「待て待て待て」

 

 

瑞鶴「あんた、もしかして死にたくないからって理由でこの戦争に身を投じたの……?」

 

 

瑞鶴「それ、おかしいよ……」

 

 

提督「ぷらずまさんとはまるで逆です。街で自殺しないために、この海へと身投げしました」


 

提督「思えば、阿武隈さんをスカウトした時の言葉と同じです」

 

 

提督「がむしゃらに雨の中を駆けて進みました。この乾いた心身に潤いを与えるために」


 

提督「そして唯一、否定し、受け入れるのを拒むことが出来た」

 

 

提督「この戦争が続けば自分は自殺しないでいられるのだ、と思うスタートの甘えきった自分を拒む」

 

 

提督「ならば戦争を終わらせることこそ否定となる」

 

 

提督「その否定こそが自分が人生で初めて持った確かな熱量なのです」

 

 

提督「この輪廻戦は終わらせます」

 

 

提督「正直、理屈でしかあなた達の心を理解できません。この先、自分は心から謝ることはあっても」

 

 

提督「本気で礼をいうことは難しいかも、しれません」

 

 

提督「あなた達が要求しているものは、この戦争において兵士と司令官の信頼関係を深めるための相互理解」

 

 

提督「それは作戦完遂までの過程を効率的にする要素のそれ以上でもそれ以下でもない。それならば必要性がある。だから自分はそうします。その価値観を受け入れ、歩み寄りましょう」

 

 

提督「歩み寄ろうとして突き放され、理解しようとして罵倒を浴びる」

 

 

提督「分かりません。どこをどうすればいいのかも……分かったのは」

 

 

提督「自分は義務教育からやり直すべき欠陥品であるということ」

 

 

瑞鶴「別にあんたは間違ってはないよ。好まれるもんでもないわ。それは分かっている風ね。それがあんたの場合は……」

 

 

瑞鶴「ドストレートにこっちに伝わんのよ」

 

 

瑞鶴「ふっつーに考えて物や駒扱いされて喜ぶやつなんて希少でしょーが」

 

 

瑞鶴「あんたもうダメだ。亡くしたそのネジはもう作れないわね」

 

 

瑞鶴「せめて思い出すしかない」

 

 

瑞鶴「あんたのその見惚れた女の子は今どこにいるのよ。会って話でもすれば。なんかあの頃の気持ち」

 

 

瑞鶴「思い出せるかもしれない」

 

 

提督「無理だと思います。会っても、気付かなかった。そんな頃の気持ちは全く覚えなかった」

 

 

提督「彼女は27年、生きてます。成長を止めても自分と歳は同じ」

 

 

提督「15年も前になります」

 

 

提督「先の戦いで『運命を感じました』といわれて」

 

 

提督「彼女だと思い出した」

 

 

瑞鶴「……誰?」

 

 

提督「あの日、海へと駆り出されたんです」

 

 

提督「駆逐艦電として」

 

 

瑞鶴「お、ちび……?」


 

瑞鶴「マジかよそれ……?」

 

 

瑞鶴「なら、あいつに……」

 

 

提督「それは許しません。彼女の言葉を聞きましたね。解体不可能の彼女の信念を」

 

 

提督「あの時の思い出なんて、ないに等しいです。たまたま当番が同じで1週間程度、花壇に水やりした程度」

 

 

提督「そんな昔話をしてどうするというのです。あの時、確かに自分は彼女に欠片の好意を抱きましたが」

 

 

瑞鶴「提督さんあの時さ、なんとかしてあげたいっていった言葉、そうしたいからっていったけど」

 

 

提督「今の彼女に言葉として伝えることがどれ程残酷なことか、瑞鶴さんにも分かるはずです」

 


瑞鶴「そうあろうとしているんだと解釈したわ。それでも大きな1歩じゃないかと思った」

 


提督「もしも彼女が今患っている『クソガキの欠陥』を治したその時、ああ、そんなこともあったね、と、その程度の会話になるべきことです」

 


瑞鶴「違った」

 

 

提督「今の彼女にそれを伝えても返ってくる言葉が予想できないあなたではないはずです。普通として生きていた頃の話はぷらずまさんにとって……」

 

 

瑞鶴「……、……!」

 

 

瑞鶴「提督さん!」グイッ

 


提督「胸ぐらつかみあげないでください。息が出来なくて苦しく……」

 

 

瑞鶴「知ってるんじゃねーか」

 

 

瑞鶴「それだよ」

 

 

提督「瑞鶴さん、なにを……」

 

 

瑞鶴「その気持ちが!」



瑞鶴「愛しいって! 思いやるって!」

 

 

瑞鶴「気持ちなんだよ!」

 

 

提督「……、……」

 

 

提督「………、………?」

 

 

提督「よく分かりません」

 

 













めんどくさ! 右の大砲!



 

 

ドガン!

 

 

提督「ぶっ……」バタリ

 

 

瑞鶴「今の話は内緒にしとくけど」

 

 

瑞鶴「そこで寝て風邪でも引いてろ馬鹿野郎!」



8

 

 

提督「……」

 

 

『愛してる byいかづち』

 

 

雷「(*ノ▽ノ)」

 

 

提督「このお手紙はなんですか」

 

 

雷「だって愛してるとか言葉にすると恥ずかしいじゃない」テレテレ

 

 

提督「……」

 

 

雷「あのね司令官、一人で悩むことはないのよ。人の愛は世界を救うの。あなただって例外じゃない」


 

雷「まずは素直な気持ちを伝えることが大事。そうでしょ?」

 

 

雷「だからね、甘えてもいいのよ。その全てを私は受け入れる覚悟があるわ」

 

 

提督(今世代の第6駆怖いなー……)


 

雷「今日はたまの休みでしょ。私が初霜と執務を少し片付いてあげるから、瑞鶴さんと街に行ってきなさい」

 

 

提督「お言葉に甘えて。ですが、少しだけ自分しか片付けられない仕事があるので、早起きしたんです」

 

 

提督「今日は龍驤さんも休みですからね。阿武隈さん達の遠征部隊のお見送りも……」

 

 

ガチャ

  

 

初霜「あ、提督と雷さん、おはようございます。今朝は早いのですね」

 


提督「おはようございます」

 

 

雷「おはよう。初霜さんはここでもずっと鉢巻きしてるのねえ」


 

初霜「魂の象徴ですから」キリッ

 

 

提督「ここのルールの通り比較的緩いですから、服装は風紀を乱さない程度にご自由にどうぞ」

 

 

提督「お分かりかと思うのですが、決してこの鎮守府は任務において生易しくはないので……」

 

 

初霜「お構いなく。伊達に乙中将の第2艦隊旗艦を務めてはおりません」

 

 

初霜「なんなりと」

 

 

提督「……」

 

 

提督「ここの棚に確か……これですね」

 

 

雷「あ、それは私に頼って作ったデータね」

 

 

初霜「雷さんが……?」

 

 

提督「うちのやり方です。乙中将のところとは明らかに違い、別方向だと思うので、参考程度に」

 

 

初霜「これは、乙中将の第1鉢巻き艦隊、の……?」

 

 

初霜「個人データ……?」

 

 

初霜「あ、演習に備えて、ですね」

 

 

提督「はい。夕立さん、神通さん、扶桑さん山城さん、飛龍さん蒼龍さん」

 

 

提督「個人の趣味嗜好、経歴、今までの戦闘記録、その他もろもろです。兵士となる前の情報もあります」

 

 

提督「例えば今世代の山城さんは艤装を身に付ける前、ヤンキー経歴が。なかなかケンカっ早い人です」

 

 

初霜「……?」

 

 

提督「扶桑さんとは実姉妹。艤装効果も加わり、扶桑さんに対して甘いです。そして怒りっぽい。なので」

 

 

提督「例えば扶桑さんを捕まえて盾なり脅しなりクラッシュトークなりするのはそれなりに効果的です」

 

 

初霜「」

 

 

提督「その反応がまだ甘いんです。これはルール違反ではありません。スポーツでもラフは立派な技術の1つとして確立されています」

 

 

初霜「し、しかし、そんな真似……」

 

 

提督「暴力はダメなことです。しかし1部例外です。あえて大袈裟に言わせてもらいますね……」

 

 

提督「親の愛の鞭や、スポーツにおいては違います。相手の足をひっかけ転ばしフリーキック。服をつかんでフリースロー。格闘技においては」

 

 

提督「相手の命を殺めても罪に問われないケースさえあります」

 

 

提督「それがこの鎮守府(闇)のやり方です。そうですね、スポーツマンシップに則りますと」

 

 

提督「ルール内で形振り構わず全力を出して勝利をもぎ取りに行く」


 

提督「初霜さん、その思考回路に切り替えて乙中将との演習において作戦を考えてみてください」


 

提督「殺し合いの実戦におきましては正々堂々に凝り固まる頭はあなたの命はもちろん、仲間の命も、作戦自体を危険に晒します」

 

 

提督「ましてや中枢棲姫勢力は会話が可能で人の心にも知識があります」

 

 

提督「軍学校も兵士の若さや、今の世の中の風潮を無視できず、ここらの教えが教官によっては甘いです。自分はそれが貴重な兵士の殉職に関係する部分だと考えます」

 

 

提督「ですので演習から徹底します。ここにおいてぷらずまさんの思想は間違っておりません」

 

 

提督「戦闘において、初霜さんのタメにもなると自分は思います」

 

 

雷「私は別にいいと思うわよ。乙中将だってその辺り対策しない人ではないし、なにより全力で相手しないと失礼だし」

 

 

雷「そういう人でしょ?」

 

 

初霜「一理、ありますね」

 


提督「ただあくまで敬意を持って、です。人間を明らかに道具だと判断するのは控えましょう」

 

 

提督「そこら辺を考慮しないがために瑞鳳さんには……(メソラシ」

 

 

雷「あれはダメね。ダメの中のダメ。私が司令官のところに来ようと思った理由だもの」

 

 

提督「左様ですか……」

 

 

提督「それではちゃっちゃと執務を片付けますか」

 

 

9

 

 

提督「夜通しやってたのですね」

 

 

陽炎「おはよ……」



不知火「ございます……」

 

 

提督「おはようございます。自由には責任がつけます。そこら辺、駆逐艦といえど容赦はなく。陽炎さん、不知火さん」

 

 

提督「わるさめさんと夜通し戦うのは構いませんが、今日の遠征任務は変わらず9時からです。後、3時間30分程ですが、睡眠をお取りください」

 

 

陽炎「大丈夫よ。3時間も寝れたら余裕。駆逐艦のあるあるよ……」


 

不知火「はい。しかしわるさめさんに……」

 

 

陽炎・不知火「100回やって1回も勝てなかった……」

 

 

提督「夜戦装備があるとしても、夜のステルスギミックを二人で相手するのが間違いでしょうね……」

 

 

陽炎「空が白みかけてもそうよ。あいつの駆逐棲姫艤装の速度と回避性能、本家越えよ。イカれてる……」

 

 

不知火「射撃精度がおざなりでしたが、補って余りある性能……」

 

 

提督「ぷらずまさんの同種ですからね。クールタイムにさせればガクッと戦闘能力は落ちるんですけど……」

 

 

陽炎「司令、私達でわるさめに勝てる?」

 

 

提督「演習形式、しかも二人だけでも可能です。どんな手段を使っても、というのならいくつか考えがあります」

 

 

提督「同士討ちは禁止」

 

 

提督「なので勝つまでやる。それだけです。わるさめさんは気分屋なところがありますので、いつか勝ちの目が出るはずです」

 

 

提督「回数こなすのが嫌なら鬼畜艦の精神に堕ちてもらう必要はありますけどね……」

 

 

不知火「それは難しいです……」

 

 

陽炎「くそー……さすがに人の心は失いたくないわね……」

 

 

わるさめ「気分によっては普通に負けたり帰ったりするっス……」

 

 

わるさめ「つーかカゲカゲとヌイヌイはザコすぎなー。お前ら丙んとこでも遠征とかばっかやらされてたろー」

 

 

陽炎「まあ、確かに暁と響も含めて遠征や哨戒メインだったけど……それなりに深海棲艦も沈めてきたわ」

 

 

不知火「将校の第3艦隊です」

 

 

わるさめ「丙少将のところだし、どうせ安全重視してトラブルもそう大して見舞われていなさそ。いいことだけど、死線を潜らなきゃねー」



わるさめ「1発で砕ける駆逐は特に」

 

 

わるさめ「お前ら中枢棲姫勢力幹部とやればすぐにあの世行きだゾ☆」

 

 

陽炎・不知火「後3時間やれ」

 

 

提督「お二人とも大丈夫ですか?」

 

 

陽炎「全く問題ないわ。それに司令の指示は全て『お願い』だって聞いたけど?」

 

 

不知火「司令の指示に従わないわけではありません。しかし、今回は不知火の裁量で引き続きやらせていただきたい」

 

 

提督「そうですか。ではご自由に」

 

 

わるさめ「3時間だけなー……やべ、テンション落ちてきたから負けるかもしれねっス……」


 

提督「ところでわるさめさん、鹿島さんの件ですが、協力していただけますね」

 

 

わるさめ「うん、わるさめちゃんがんばるー」ヒャッハー

 

 

わるさめ「練巡は要るしね。香取のやつはかなり先になるみたいだし、鹿島っちはこの鎮守府(闇)の、いや」

 

 

わるさめ「司令官のためになるからね、任せなさーい」


 

提督「助かります」

 

 

不知火「あ、瑞鶴さん来ました。おはようございます」

 

 

瑞鶴「はよー。あんたらはまさか夜通しわるさめとやってたの。根性あるわねー」

 

 

陽炎「私服なのね。サイドポニーだと雰囲気変わってて可愛い」

 

 

わるさめ「羨ましっス。わるさめちゃんも街に行ってお買い物したーい」

 

 

瑞鶴「提督さんからはー?」

 

 

提督「……、……!」ハッ

 

 

提督「とてもよくお似合いだと思います。魅力のあまりつい言葉を忘れておりました」

 

 

瑞鶴「その淡々とした事務的口調を止めてよね……」

 

 

わるさめ「さすがとしか。こいつ本当にモテないタイプっス……」

 

 

提督「ところで現地集合の時間は午後からなのに、お早いですね。街に用事が?」



瑞鶴「確か提督さん、午前は講習会行くんだっけ。どうせ暇だしついでに乗せてってもらおっかなって」

 

 

提督「構いせんが退屈ですよ?」

 

 

瑞鶴「モーマンタイ。そんな何時間もかかるもんじゃないわよね。スマホでも弄って待ってるわよ」

 

 

10

 

 

瑞鶴(やば、そういえば充電不十分だ。スマホの電池なくなりそう)

 

 

瑞鶴(そーいえば、市民会館って、成人式で来たんだっけ)

 

 

瑞鶴(つっても、艤装つけてると、成長止まるし)

 

 

瑞鶴(はあ、翔鶴姉に会いたい)

 

 

瑞鶴(色々と犠牲払うのよねえ)

 

 

瑞鶴「……ジュースでも買ってこよ」

 

 

11

 

 

『自動車免許講習会場→』

 

 

瑞鶴(ん、ざわついてるな。終わったのかな。覗いてみるくらいなら怒られないよね……)

 

 

通行人「やっと終わったー」

 

 

瑞鶴(終わったんだ。じゃ入ってもいいよね)

 

 

チラッ

 

 

婦警さん「田中秋晴さーん」

 

 

瑞鶴「……あれ? あの最前列で座ってる後ろ姿」コツコツ

 

 

瑞鶴「龍驤じゃん?」

 

 

龍驤「!?」

 

 

龍驤「ず、瑞鶴。お前、なんでここに……」

 

 

瑞鶴「いや、提督さんが鹿島との待ち合わせ時間より早く出て、講習会に出るって。私は電車代ケチって乗せてきてもらった」

 

 

瑞鶴「あんた免許取ってたんだ?」

 

 

龍驤「ま、まあね。この空間に、て、提督さんもおるん?(震声)」

 

 

瑞鶴「どこかにいると思うけど」

 

 

龍驤「のど乾いたから飲み物買ーて来てくれん? 奢るからさ」チャリン

 

 

瑞鶴「いきなりパシるんじゃないわよ……まあ、いいけど」

 

 

婦警「みるくせーきさーん」

 

ザワザワ

 

瑞鶴「……」

 

 

瑞鶴「名前w」

 

 

龍驤「人の名前を笑ってはあかんでー」

 

 

瑞鶴「あんた、提督さん張りに顔色悪いけど」

 

 

婦警「みるくせーきさーん」プルプル


 

婦警「み、る、く、せ、え、き、さーん!」

 

 

婦警「いませんかー!」

 

 

龍驤「……」ダラダラ

 

 

瑞鶴「…………」

 

 

瑞鶴「まさか」クルッ

 

 

龍驤「瑞鶴」ガシッ

 

 

龍驤「自販はそっちやないで」ニコ


 

瑞鶴「……」ダッ

 

 

龍驤「待ち! そっちには!」

 

 

龍驤「悲しみしかあらへんよオ!」

 

 

瑞鶴「龍驤、あんた……」

 

 

龍驤「……」プルプル

 

 

瑞鶴「飲み物ミルクセーキでいい?」

 

 

龍驤「うああああああ!」

 

 

瑞鶴「静かにしなよ、迷惑じゃん」

 

 

龍驤「誰にもいうなや! いうなよ!」

 

 

瑞鶴「はいはい。そういえばあんた司令官時代も龍驤って呼ばれてたわね。あれ、もしかして本名で呼ばれるのを嫌……」

 

 

龍驤「うるさいうるさい、うちは龍驤さんや!」


 

瑞鶴「まあ、私は可愛い名前だと思うわよ?」

 

 

龍驤「……」

 

 

瑞鶴「みるくせいき」

 

 

瑞鶴「ぷっ、くっ」プルプル

 

 

龍驤「笑い堪えてるやん!」

 

 

瑞鶴「っふ……ふう。抑えたわよ。それで提督さんはどこだろ」

 

 

瑞鶴「確か青山だっけ?」

 

 

龍驤「そやなあ」

 

 

龍驤「下は開く扉と書いて」

 

 

龍驤「ひらと、やったかな」

 

 

婦警「青山……」

 

 

龍驤「お、来たんちゃう?」

 

 

婦警「オープンザドアさーん」ップ

 

 

龍驤「(゜ロ゜;)」

 

 

瑞鶴「これはさすがに無理w」

 

 

瑞鶴「ぷっ……オープンザドアは……」プルプル

 

 

瑞鶴「みるくせいきを耐えた婦警さんが追撃の餌食に」プルプル

 

 

提督「……」ソソクサッ

 

 

提督「瑞鶴さん、来るなといったのに……」

 

 

提督「それにまさか龍驤さんまでいたとは……」

 

 

提督「……」

 

 

瑞鶴「いつまで扉の前で立ってるのよ」

 

 

瑞鶴「ハリアップ」

 

 

瑞鶴「オープンザドア」プルプル

 

 

提督「知られたくはありませんでしたが、自分は散々ネタにされてきたので動じません」

 

 

龍驤「瑞鶴、お前覚えとけや……」

 

 

龍驤「分かるよ。うちはキミの気持ちがすごく……」

 

 

瑞鶴「ごめん、ほんとにごめん。っぷは」プルプル

 

 

瑞鶴「鹿島のスカウト全力で協力するから」

 

 

瑞鶴「今は許して……」プルプル



【3ワ●:鹿島艦隊の悲劇と中枢棲姫勢力】

 


瑞鶴「龍驤も乗ってくの?」

 

 

龍驤「練巡は必要やからね。それにうちも休みやし、哨戒は暁響ゴーヤ瑞鳳金剛榛名がやってくれてるし」

 

 

龍驤「鎮守府には初霜とわるさめと電のやつがおるし、大丈夫や」

 

 

龍驤「アブー卯月陽炎不知火雷は遠征やったかな。ま、キミと瑞鶴だけじゃ鹿島の要らん傷えぐりかねんから」

 

 

龍驤「ここに加わるわー」

 

 

提督・瑞鶴「失礼な」

 

 

提督「しかしなきにしもあらず。お二人方、自分は少し発言に配慮が欠けてしまう時がありますので」

 

 

提督「フォローお願いします」

 

 

提督「彼女が解体を希望した理由はその悪評ゆえです。精神的外傷により、現役から引いた人です」

 

 

提督「彼女が練巡として鍛えた艦娘」

 

 

提督「1年間で撃沈率40%」

 

 

提督「あの鹿島さんは死神の練巡、とか、身内の深海棲艦と、揶揄されていたそうです」

 

 

瑞鶴「噂は知ってるわね……」


 

龍驤「うちも知ってる。あれは鹿島のせいじゃなく、不運が重なった結果」

 

 

龍驤「現場での撃沈は(仮)も含めて司令官の責任や」

 

 

龍驤「鹿島がいまいち練巡として結果を出せずにいたから、責任が飛び火したようなもんやん」


 

提督「それはあくまで事後処理で」

 

 

提督「実にきな臭い事故です」

 

 

提督「練習航海中、旗艦を鹿島とした艦隊は鎮守府正面海域でレ級、ネ級を含めた艦隊と遭遇した模様です」


 

瑞鶴「……」


 

提督「そこからは鹿島さんを除いた艦隊の全滅、そしてその間にどういった内容で全滅したのかはわるさめさんの証言ですが」

 

 

龍驤「本人は鹿島っち殺すって脅されたから拉致られたんやろ?」

 

 

提督「みたいですが、わるさめさんはそこ以外あまり覚えていないみたいで、鹿島さんは頭が真っ白でなにも覚えておらず、思い出せもしない、と」

 

 

瑞鶴「さすがにそれはないんじゃないかな。自分を除いた味方が全滅でしょ。わるさめのやつは置いといて」

 

 

瑞鶴「うちの阿武隈と卯月がキスカでのこと忘れたっていってるようなものよね。むしろ一生忘れない最悪な記憶よ」

 

 

提督「そうです。あのレ級とネ級との会話をし、なにか隠している可能性が高いです。レ級とネ級は割と幼稚な面があるようなので、なにか中枢棲姫勢力の機密を口走った可能性も」

 

 

提督「まず、そのレ級とネ級は中枢棲姫勢力幹部。確定的です」

 

 

提督「ぷらずまさんやわるさめさんの司令官と繋がっていたと思われます。しかし、なぜあの時あんな場所に彼等が現れたのか。これは相手があの知能レベルであることを考えると」


 

龍驤「偶然ではなさそうやね」

 

 

提督「はい。しかしわるさめさんと鹿島さんを除く4隻、」

 

 

瑞鶴「怒るわよー」

 

 

提督「……失礼。4名が轟沈です。先の阿武隈さん達のキスカ戦でも4名が殉職です。あの司令官ならそれが不味いことだと分かるはず。鎮守府をかなり徹底的に調査され、全てが明るみになる危険が出てくる、と」

 

 

提督「あの司令官は自分よりも頭は回りますが、自分と違ってかなり保身的な傾向が見受けられます。そんな彼女があそこで4名を沈めるのをよし、としたわけではないでしょう」

 

 

龍驤「中枢棲姫勢力にしてやられたってこと?」

 

 

提督「ええ、中枢棲姫およびリコリス棲姫の知能レベルは天才の類です。先の戦いで乙丙連合軍の探り、そしてわるさめさんの証言であの二人が核であることも分かりました。ここは将校の間でも意見に食い違いはなかったようです」

 

 

提督「あの中枢棲姫幹部にだけ焦点を当てますと、人間自体を傷つけるのを嫌っています。周りの深海棲艦を使ってそれを隠し、誤差の範囲だと我々を上手く騙していました」

 

 

提督「あのわるさめさんはこちらを試すための刺客だと断定。そして『わるさめさんを裏切らせる』ことを目的とした襲撃です」

 


提督「彼女の目的を知っていて、それを可能とする情報をこちらが有しているかの探りのためだと思われます」

 

 

提督「ではわるさめさんという情報の塊を与えてどうするのか」

 

 

提督「わるさめさんから向こうの幹部の人柄も大体判明しました。深海棲艦の形をした人間と捉えるべき存在です」

 

 

提督「そこの判断、今までの中枢棲姫勢力、ぷらずまさんが語ってくれたように、あの司令官と情報の交換をしていた足跡からして」

 

 

提督「何のためかは知りませんが、こちらサイドと協力関係を結びたがっている可能性があります」

 

 

龍驤「断定は出来んね。向こうがなに考えているか分からん以上、それこそ巧妙な罠の危険性もあるやん」

 

 

提督「ええ。なのでしばらくの安息。向こうから何らかの意思表示を待つために設けられた時間でもあります」

 


提督「わるさめさんは本当に肝心なところを覚えていない様ですが、恐らく鹿島艦隊の悲劇は」

 

 

提督「あの司令官最大の『してやられた』です。中枢棲姫勢力が取引相手との立場を明確にするために証拠品そのものであるわるさめさんを確保したのだと思います」

 

 

提督「そこから完全に保身や情報の隠蔽レベルがかすかに下がっている、焦りと受け取れる言動もあります」

 

 

瑞鶴「なるほどなるほど……」

 

 

提督「深海妖精はいました。彼等は主に深海棲艦側に与する存在です」

 

 

提督「中枢棲姫勢力は深海棲艦。そしてわるさめさんいわく中枢棲姫とリコリス棲姫には妖精可視の才がある、と。恐らく自らの建造行程を目撃、その瞬間から深海妖精の存在を知っていたと思われます」

 

 

龍驤「そのことなんやけどさ」

 

 

龍驤「君の説やと『艤装に人間を適応させる』で深海棲艦の知能レベルは比較的、低いんやろ?」


 

龍驤「あのレベルの知能を持つ深海棲艦が産まれる可能性はあるの?」

 

 

提督「なにしろ深海妖精自体が未知の部分があるので可能性はありますが、かなり低い、と自分は」

 

 

提督「自分の論に穴があるか、それとも中枢棲姫勢力幹部は深海妖精以外の原因で知能が覚醒した存在ではないか、と自分は思います」

 

 

提督「ここらは深海妖精の調査で後々判断できます。陸地に誘える方法が分からない今、甲大将率いる江風さんが出動して深海妖精に探りを入れるみたいですね」

 

 

瑞鶴「それで鹿島艦隊のことだけどさ、わるさめを鹵獲するのが目的だったのなら、あの場で4人を沈める必要はなかったよね?」

 

 

龍驤「そやな。口封じなら鹿島だけ見逃したのもおかしいし」

 

 

提督「こう考えるのが妥当です。まず深海棲艦艤装を展開したわるさめさんは強い」

 

 

提督「なので鹿島さんを殺さない、の取引により、わるさめさんの抵抗を封殺した。しかし、戦って自らの力を示しておかねばわるさめさんが抵抗してくる危険性があるので、4名を贄とした」

 

 

提督「まあ、いつも通りの自分の説ですが」

 

 

提督「4名は深海棲艦化したゆえに死体が見つからないのではなく、資源として中枢棲姫勢力に回収されていることもあり得ます。あの勢力が4名も殺す、という手段を取ったのは少し疑問です。他にやりようはあります」

 

 

提督「その疑問を思考しますと」

 

 

提督「彼等は通常の深海棲艦とは違います。中枢棲姫勢力と複数回戦っていた丙少将の報告書ではあの深海棲艦の一部は通常よりも治癒のレベルが高いと」

 

 

提督「中枢棲姫勢力は特異です。そこのネタも個体差による偶然と切って捨てるべきではありません」

 

 

提督「恐らく再生、自己治癒とはまた別にあなた達と同じく入渠のシステムのような手段を使える」

 

 

提督「あなた達が艤装を直すのと同じ。しかし、あなた達は人をベースにしているので艤装は資材で直せ、肉体は自然治癒はもちろん入渠で格段に効率的な速度で戻る」

 

 

提督「艤装をベースとした彼等は艤装に治癒力があり、ある程度は資材で直せます。しかしあなた達が頭を吹き飛ばされたら死ぬのと同じく限界があるかと」



提督「そして彼等の肉は、艦娘でいう艤装の外付けであるため、必要なのは」

 

 

提督「『人間』という資材」

 

 

瑞鶴「なにそれ……虫酸が走る」

 


提督「深海棲艦についている肉部分でも可能ではあると考えますが、そこはあくまで深海棲艦。兵力的にこちらサイドを使う判断をすることに不思議はありません」

 

 

提督「ここらは中枢棲姫のやり方でしょうかね……リコリス棲姫はママと呼ばれるほどに命を慈しむ深海棲艦みたいですから」

 

 

提督「中枢棲姫のほう、こいつはかなり性格が自分と似ている気がしますね……」

 

 

提督「……鹿島さんは深海妖精や中枢棲姫勢力に関しての有力な情報を持っていると、自分は見ています」

 

 

瑞鶴「鹿島のトラウマをえぐるみたいで気が進まないスカウトね……」

 

 

龍驤「しゃーないよ。その情報にはこちらの兵士の命はもちろん、戦争の勝敗にすら関わってくるかもしれへんのやし」

 

 

龍驤「上手くやらんとあかんね」

 

 

提督「そうですね。今回、自分は鹿島さんにかける言葉が少なすぎます」

 

 

龍驤「今は鹿島なにしとるんー?」

 

 

提督「マンションの管理人と、そのマンションに併設されているコンビニで働いているみたいです」

 

 

瑞鶴「世間話から始めるかー」

 

 

龍驤「そやね。まず本題に入る前に空気を軽くしなあかんよね」

 

 

提督「お願いします」

 

 

提督「では出発しますか」

 

 

ガゴッ

 

 

提督「……ギアを間違えて」

 

 

瑞鶴「運転下手かよ……」

 

 

龍驤「乗り上げたで……」



【4ワ●:欠陥鹿島(仮)「うぷぷぷぷ」】

 

 

1

 

 

――――ありがとう、ございますっ。

 

 

――――鹿島さんの指導のお陰で

 

 

――――私、砲雷撃戦で活躍できるように、なりました!


 

――――それはよかったです。

 

 

――――みんなが、生きて帰って来ることが、すごく――――

 

 

――――私は嬉しいんです。

 

 

鹿島(仮)「……」ポケー

 

 

常連さんA「おっと、ごめんよ」サワッ

 

 

鹿島(仮)「い、いえ……」

 

 

鹿島(仮)(おしり触って……)

 

 

店員さんA「か、かっしー、レジのお客様のお相手お願いします」

 

 

鹿島(仮)「はい、ただいまー」

 

 

不良君「鹿島さん」ズイッ

 

 

不良君「今日、何時上がりっすか」

 

 

鹿島(仮)「ええと、そういうのは、ちょっと、困ります……」

 

 

不良君「LINEだけ教えて? ね? しつこくしないからー」

 

 

鹿島(仮)「い、いえ、ですから……」

 

 

鹿島(仮)(この人は、本当に毎日来て……)

 

 

鹿島(仮)「ええと、私、夜からお昼までなので……」

 

 

不良君「すごく静かでいいお店知ってるよー。空くのは夕方からで」


 

鹿島(仮)(つ、疲れます……)

 

 

2

 

 

鹿島(仮)「買い物も終わり、もうすぐ、家に」フラフラ

 

 

通行人A「お前、なに見てんの?」

 

 

通行人B「いや、深海棲艦の誕生の仕組み、判明したんだってさー」

 

 

鹿島(仮)「…………」

 

 

鹿島(仮)(そういえば、商品の新聞の見出しにあったなあ……疲れて手が伸びなかったけど……)

 

 

鹿島(仮)(センソーの終わりを叩きつけた)

 

 

鹿島(仮)(快挙、です)

 

 

ジムトレーナー「右!」

 

 

パアアアン!

 

 

ジムトレーナー「次!」

 

 

鹿島(仮)(ジム……トレーナー)

 

 

鹿島(仮)(ああ、練習巡洋艦時代の私はあんな風に、皆を導いて……)ウルッ

 

 

――――この役立たずめ。


 

――――君と、姉の香取が教鞭を取った二ヶ月のデータ。


 

――――艦隊の練度数値が40も違うのはどういうことかな。

 

 

ジムトレーナー「次の試合のセコンドだけど、俺がつくから」

 

 

鹿島(仮)「……セコンドみたいに」

 

 

――――ハッキリいうとだね。

 

 

――――君が艦隊にいてもいなくても

 

 

――――まるで変わらないんだ。

 

 

――――鹿島の適性者は稀少ではあるから長い目で見てきたが

 

 

――――次の派遣先の育成艦隊が同じ結果なら――――

 

 

鹿島(仮)「練習巡洋艦時代も」

 

 

鹿島(仮)「今と大して変わりません……」

 

 

鹿島(仮)「眼がグルグルしてきました……」

 

 

鹿島(仮)「うふふ……うふ、ふ」

 

 

トゥルルル

 

 

鹿島(仮)「はい鹿島です」

 

 

店員さんA「かっしー助けてー! Bさんが今日休むって連絡が来たので、他の子にかけてみたんですけど、誰も入れないみたいで!」

 

 

店員さんA「店長も来られないみたいで。かっしーはマンションのほうは大丈夫です?」

 

 

鹿島(仮)「ええ、大丈夫です。分かりました。戻ります」

 

 

鹿島(仮)(これからの時間は、よくクレームつけてくるおじさんが来ますね)

 

 

鹿島(仮)「ああ、私はトレーナーでもセコンドでもなく、ましてや選手でもなくて……」

 

 

鹿島(仮)「あのサンドバッグだあ……」ウルウル

 

 

2

 

 

――――そう、悪いけど。

 

 

――――この子達の死体、もらうわね。

 

 

鹿島(仮)「っ!」ガバッ

 

 

チュンチュン

 

 

鹿島(仮)(……朝です)

 

 

鹿島(仮)「目覚めが、悪いです……」

 

 

――――鹿島さん、朝ですよ!

 

 

――――毎日、夜遅くまで勉強しているから、寝坊しちゃうんですよっ。

 

 

――――おにぎり作ってきたので、どうぞー

 

 

鹿島(仮)「……」

 

 

鹿島(仮)「静かなのは、嫌いです」

 

 

鹿島「うふ、うふふ」

 

 

鹿島(……テーブルの上に郵便物、置きっぱなしでした)スッ

 

 

鹿島(仮)「……えっと、これは……」

 

 

鹿島(仮)「対深海棲艦海軍、から……?」

 

 

鹿島(仮)「復帰の、お誘い……?」

 

 

鹿島(仮)「いまさら」

 

 

トゥルルルル


 

鹿島(仮)「うふふ♪」

 

 

 

 

 

 

 

鹿島(仮)「うぷぷぷぷぷ」グルグル

 

 

2

 

 

ぷらずま「わるさめさん、どこに行くのです?」

 

 

わるさめ「うーわ、正面玄関でわざわざ張ってたの?」

 

 

ぷらずま「お花を眺めていただけなのです」

 

 

わるさめ「電みてーなこといいやがってー。お花が好きとか可愛い駆逐艦を演じてるわけ?」

 

 

ぷらずま「虫です」

 

 

わるさめ「?」

 

 

ぷらずま「蕾から花に移って蜜を吸う虫を眺めていたのです」

 

 

わるさめ「うーわ、不思議ちゃん属性がついたんだー……」

 

 

ぷらずま「で、わるさめさん、私達が勝手に外に出て問題でも起こせば」

 

 

ぷらずま「司令官さんのクビが飛びますが?」

 

 

わるさめ「ちょーといいや。見張りとしてあんたも来れば。問題を起こさなきゃいいんでしょ?」

 

 

ぷらずま「●ワ●」ハ?

 

 

わるさめ「●ω●」ア?

 

 

ぷらずま「兵器ですよ。生かされているだけでもありがたく思えなのです」

 

 

ぷらずま「私達が出ないのが最も良策なのですよ?」

 

 

ぷらずま「はわわ、もしかしてわるさめさんは」

 

 

ぷらずま「頭が悪いのです?」

 

 

わるさめ「鹿島さんでしょ?」

 

 

わるさめ「私達あの人の指導を受けたことあるよねー」

 

 

わるさめ「色々あって私は失踪したし、今もかなり情報操作されてるし、あんたと違って言動の規約もあれば誓約書も書かされたぞー」

 

 

わるさめ「あの人、わるさめちゃんのこと死んだと思ってるゾ☆」

 

 

わるさめ「直接会って話したほうがいいんじゃない?」

 

 

ぷらずま「ダボが」

 

 

ぷらずま「んなの司令官さんが伝えますよ。それでなにか思うところがあるのなら向こうから来るのです」


 

ぷらずま「一応聞いてやりますが、外出許可証は?」

 

 

ぷらずま「なければ通さないのです」

 

 

わるさめ「とう!」

 

 

わるさめ「はい、あんたも1歩だけど、門の外に出たー」

 

 

ぷらずま「……」

 

 

ぷらずま「こういうセンソーをなめた態度はヘドが出るほど嫌いなのです」

 

 

ぷらずま「どうせわるさめさんはもう情報も隠していないので、殺しても阻止します」

 


わるさめ「調子に乗るなよー」

 

 

わるさめ「やってみるか……?」

 

 

初霜「はいストップです!」

 

 

初霜「提督からわるさめさんを出さないようお願いされていますし、鎮守府(闇)が壊れるためぷらずまさんの暴走した場合、なんとか止めるよういわれています」

 

 

初霜「同士討ちは禁止。無駄な出費をなくすため、艤装展開してケンカもダメです。この鎮守府(闇)のルールは頭に入っていますね?」

 


ぷらずま「●ワ●」

 

 

ぷらずま「分かっているのです。このダボがなにもしなければなにもしないのです」

 

 

ぷらずま「ですが初霜さん、秘書官だからといってあまり調子に乗った口を叩くのは止めて欲しいのです♪」ジャキン

 

 

初霜「了解」ビシッ

 

 

わるさめ「あー、もうだっるー……」

 

 

わるさめ「あいあい。私が大人になるよ。はっつーん、わるさめちゃんは大人しくお留守番してるっス……」

 

 

わるさめ「間宮さんに飯の作り方教えてもらおっかな。ぷらずまも来るか。お前も女の色気でも出すために家事のひとつくらい覚えればー?」


 

ぷらずま「……」

 

 

わるさめ「はいスルー……つまんねーよー。司令官さっさと鹿島っち釣り上げて帰ってこねーかなー……」

 

 

ぷらずま「つまんねーのは私も同じです。司令官さんがいればなにか私にやること寄越すのですが……」

 

 

わるさめ「司令官の部屋、行かね?」

 

 

わるさめ「意外とむっつりで、えろ本とかあったりしてー。キャハハ☆」

 

 

ぷらずま「断言します。ねーのです」

 

 

わるさめ「でも男じゃーん。男はオープンかムッツリのどちらかだと思うんだよね」

 

 

わるさめ「ある、に賭ける」

 

 

わるさめ「100万」

 

 

ぷらずま「ない、に賭けます」


 

ぷらずま「200万」

 

 

わるさめ「テメー、払えよ?」

 

 

ぷらずま「わるさめさんこそ」

 

 

わるさめ「まあ、そんなに持ってねーから司令官にねだって払うネ☆」

 

 

ぷらずま「構わねーですが、私の取り立ては帝愛グル真っ青です」

 

 

初霜(提督……なんて苦労人)

 

 

初霜(秘書官である私が、あの人の力になってあげないと)フンスッ

 

 

初霜(まずは提督を信じることっ)

 

  

初霜「ないに賭けますっ!」フンスッ

 

 

初霜「全財産っ!」


 

3

 


龍驤「高そうなお店やけど、大丈夫なん?」

 

 

提督「まあ、なんとか。一見高くつきそうな料亭ですが、自分のような庶民の懐にも優しいお値段です」

 

 

龍驤「へえ、今の世の中は色々せな生き残っていけへんのやなぁ」

 

 

龍驤「街中も戦場やで」

 

 

瑞鶴「まー確かに海と鎮守府の行き来生活は色々と疎くなることもあるわね。龍驤もラフな格好止めてファッションに気使えばいいじゃん?」

 

 

瑞鶴「もとは可愛らしいんだし、着飾ればかなりのものだと思うのよね」

 

 

龍驤「興味ないといえば嘘になるけど今は止めとく。可憐過ぎて提督が惚れて恋愛してまうやん?」

 

 

瑞鶴「口を開くと服が死にそうだけどさ」

 

 

龍驤「一言余計や……」

 

 

提督「さてお二方、気を引き締めてください。仕事です」

 

 



 

鹿島(仮)「すみません。お待たせ、しました」

 

 

4

 

 

龍驤「龍驤さんやで」

 

 

瑞鶴「5航戦の瑞鶴でーす!」

 

 

鹿島(仮)「はい。鹿島、です。本当の名字なのでそう呼んでいただいて構いません。よろしくお願いいたします」

 

 

提督「提督の青山です」

 

 

提督「鹿島さん、まずは4名も轟沈した鹿島艦隊の悲劇、黙秘していることを教えてはいただけ、」

 

 

瑞鶴「しばらく寝てなさい。右の大砲」バキッ

 

 

龍驤「今のは褒める。ようしばいた」

 

 

瑞鶴「鹿島さーん、私も解体してさ、この提督さんに声をかけてもらってまた海に戻ってきたのよねー。この龍驤は司令官に転向してまた艦娘にね」

 

 

龍驤「そやね。阿武隈と卯月は知っているんちゃう? 二人もまた艤装を身につけて一緒に戦ってくれとるでー」

 

 

鹿島「知ってはいますが、私はお二人が解体申請をした後に配属されたもので、交友自体はあまり……」

 

 

瑞鶴「あ、そうなんだ」

 

 

龍驤「色々あった鎮守府みたいやね」


 

鹿島(仮)「軍に申し上げた通り、覚えていないんです」

 

 

龍驤「……いや、それは嘘やね」

 

 

瑞鶴「重苦しくない? もっと和んでから……」

 

 

龍驤「いや、鹿島がええなら必要ないわ。うちに任せとき」

 

 

瑞鶴「あんたは我が強いわねえ……」

 

 

龍驤「効果的な口止めを行えるほどの知能を持った深海棲艦やね?」

 

 

鹿島(仮)「お答えできません」

 

 

龍驤「いーや、答えられるはずやで。鹿島が黙秘するのは深海棲艦をかばってのことではないはずやし」

 

 

龍驤「誰かのためやろ?」

 

 

龍驤「鹿島以外は轟沈とのことやけどさ、死体が見つからないことの多いうちらの死亡判定が正確性に欠けるのは、まあ、鹿島も知るところ」

 

 

龍驤「遭遇した深海棲艦は1名を拉致していったんやね」

 

 

龍驤「それを口外すれば身の安全は保証しない、とかなんとか適当な脅しに屈したんちゃう?」

 

 

鹿島(仮)「……」

 

 

瑞鶴「拐われた子はすでに保護されているわよ?」

 

 

鹿島(仮)「……え?」

 

 

瑞鶴「駆逐艦春雨よね?」

 

 

龍驤「めっちゃ元気やで」

 

 

瑞鶴「あいつは元気過ぎるわね……」

 

 

鹿島(仮)「ほ、本当ですか!?」ガタッ

 

 

龍驤「事情があってあいつのことは大事にされてないねん。一般には公表されてもいない。知らないのは当然やね」

 

 

瑞鶴「特異な深海棲艦化をしているから、あの春雨がその春雨であるかどうかは鹿島さんが会って確かめてみてもらうのが確実ねー」

 

 

龍驤「少なくとも妖精はあの春雨を駆逐艦春雨とは認識しておらんから、春雨艤装は新造されて保管されとるよ」

 

 

鹿島(仮)「……ええ、よろしければ彼女に会いたい、です。謝らなければならないことが、あまりにも」

 

 

鹿島(仮)「多すぎます」

 

 

鹿島(仮)「軍は深海妖精を、発見したのですよね」

 

 

鹿島(仮)「この戦いは終わる、のでしょうか?」

 

 

提督「もちろんです」ムクリ

 

 

鹿島(仮)「私、春雨さんの生存を聞いてオーケーのお返事をしようと思っていたのですが」

 

 

鹿島(仮)「やはり断らせて、いただきます」

 

 

提督「……む?」

 

 

鹿島(仮)「……練巡なら、香取姉をお薦めします。例え何ヵ月待ってでもあの人の教えのほうが結果は出ます」

 

 

鹿島(仮)「本心を申し上げますと私は暁の水平線を、やはり海で見たいです」

 

 

鹿島(仮)「ですけど、あなた達が戦争終結に真摯であるのなら、私の勝手な望みで足を引っ張るわけには行きませんから」


 

鹿島(仮)「強い人達をさらに強くするのは、私には荷が重いです」

 

 

提督「いえ、まあ、確かに……」

 

 

提督「個々に目を見張る能力はあるんですが……(メソラシ」

 

 

龍驤「うちらは強いで(メソラシ」

 

 

瑞鶴「卯月と龍驤や将校兵士の即戦力加入で大分マシになったとは思うけど、方針的に胸を張れない強さはあるわよね(メソラシ」

 

 

鹿島(仮)「……?」

 

 

提督「自分の鎮守府の艦娘のデータです。色々と抱えている子達なので、それを見て答えを考えて欲しく……」

 

 

鹿島(仮)「気になりますけど……」

 

 

瑞鶴「そうね、ゴーヤは知ってる?」

 

 

鹿島(仮)「伊58ですよね?」

 

 

瑞鶴「魚雷の命中率は90%以上」

 

 

鹿島(仮)「すごいじゃないですかっ!」

 

 

瑞鶴「主に0距離で発射するから」

 

 

鹿島(仮)「」

 

 

龍驤「演習では撃沈させてこない、というマナーを逆手に取って沈むまで戦わせて隙を作ったり、沈んだと見せかけて背後から奇襲、そして騙し討ちや……阿鼻叫喚やったで……」

 

 

龍驤「瑞ほ……同じ艦娘を人質に取ったりな」

 

 

瑞鶴「私は空母だけど、どちらかというと殴り愛が得意ね。艦載機ではなく、素手で」


 

鹿島(仮)「!?」

 

 

提督「……結果は出しています」

 

 

提督「基礎の部分で劣っているところは形振り構わずで補っているせいです」


 

提督「後日、乙中将と演習があります」

 

 

鹿島(仮)「あの乙中将、ですか」

 

 

提督「来ていただいても構いません。実際に確かめてもらえれば……」

 

 

提督「自分はまこと勝手ながら鹿島さんを調べたうえでお願いしております」

 

 

鹿島(仮)「ならばご存じのはずです」

 

 

鹿島(仮)「私は歴代鹿島のなかで断然トップの欠陥を所有していると」 

 

 

鹿島(仮)「練巡として機能、しないんです。私の教鞭は毒にはなっても薬にはなりません」

 

 

提督「ご心配なく。あなたの指導内容も把握しております。その指導方法はメンタル的な部分にこそ効力を発揮すると思います」

 

 

提督「それに失礼ですが、あなたが欠陥であることは承知のうえ。ならばあなたに意志があるのなら」

 

 

提督「鎮守府(闇)こそが、相応しいと思います。この自分も含め」

 

 

提督「共に歩んでいけると思います」

 

 

提督「この先の海へ進むためにあなたの情報提供と、練習巡洋艦鹿島としての力を必要としています」

 

 

鹿島(仮)「……」

 

 

提督「あなたがこちらを思っての辞退なら、このデータを参考のうえもう1度のご一考を願いたい」


 

鹿島(仮)「……仮に私がなにか隠していて、その情報を渡したとして」

 

 

鹿島(仮)「それが軍法会議ものの内容ならばどうします。私は、すぐにお払い箱になるのでは?」

 

 

提督「その場合、乙中将に協力を申し出て了承いただいております」

 

 

鹿島(仮)「もしも」

 

 

鹿島(仮)「その情報を渡すことで」

 

 

鹿島(仮)「戦争が終わるとしたら?」

 

 

瑞鶴・龍驤「……!」

 

 

提督「……」

 

 

 

 

 

 

 

鹿島(仮)「我々の、敗北で?」



鹿島(仮)「青山さん、あなたはなかなか頭の回る方だとお見受けしました。それだけにその可能性も考えてはいますよね?」

 

 

提督「……?」

 

 

 

鹿島(仮)「私についた死神の練巡の通り名は伊達ではありません」

 

 

鹿島(仮)「あなた達も」

 

 

鹿島(仮)「味方同士で」

 

 

 

 

鹿島(仮)「殺し合う羽目になるかもしれませんよ……?」

 

 

瑞鶴・龍驤「……」


 

 

 












 

割と日常的に味方に殺されかけてるわよね。


 

 

せやな。陸で何回も死を覚悟したわ。

 

 

 

 

鹿島「」

 

 

 

提督「鹿島さん、脅しは結構です。そのような悲劇ではなかったはずです」


 

鹿島(仮)「うふふ……」グル

 

 

鹿島(仮)「うぷぷぷぷ」グルグル

 

 

瑞鶴「鹿島さーん戻ってきてー……」

 


鹿島「……!」ハッ

 

 

鹿島「すみ、ません」

 

 

提督「かくなる上は誠意をお見せしたく。あなたを引き入れたい、その本気の度合いは」

 

 

提督「自分の身体の一部を千切ってでも、と」

 

 

瑞鶴「鹿島さん、お分かりいただけたでしょうか?」

 

 

鹿島(仮)「ええ……どうやら欠陥、こほん、なにかがあるみたいで……」ヒキッ

 

 

龍驤「キミ、鹿島にドン引きされとるよ。割と珍しいと思うで」

 

 

提督「……む、本当にあなたを引き入れるためなら差し上げても良かったのですけども」

 

 

龍驤「それこそ脅しやろ……」

 

 

鹿島「では、乙中将との演習で敗北したら私を雇うというのはいかがでしょう?」

 

 

提督「……それは」

 

 

鹿島「乙中将に勝てるような艦隊ならば、私なんか必要ありませんよ。そうでしょう?」

 

 

鹿島「負けたのなら、私はもう1度鹿島艤装をこの身にまとい、お力添えさせていただきます」


 

瑞鶴「それは飲めないわね……うちのおちびが発狂しかねないわ……」

 

 

龍驤「それ以前にわざと負けるとか乙ちゃんでもさすがにキレるし……」

 

 

鹿島「わざと負ける必要なんてありません。私はそれを願ってはおりませんし、そんな鎮守府には行きたくありません」



鹿島「ノーの返事をした私をそれでもなお、と仰るのなら、の条件です」

 

 

鹿島「いかがなされますか?」ニコ

 

 

提督「…………」

 

 

提督「ええ、了解です。日時は追って伝えるのでぜひ見に来て頂けると」

 

 

鹿島「はい、お言葉に甘えさせていただきますね。その時に春雨さんにもお会いしたいと、思います」


 

提督「お忙しいところ時間を割いていただき、ありがとうございました」ペコリ


 

瑞鶴「鹿島さん、私と連絡先交換しない?」

 

 

龍驤「あ、うちも」

 

 

鹿島「はい、構いませんよ」


 

5

 

 

瑞鶴「どうするの?」

 


龍驤「負けるわけには行かんやろ」

 

 

提督「勝ちます。あの言い方なら勝敗は差して重要ではなさそうです」



提督「鹿島さんの基準で練巡の力が必要と判断してもらえる試合内容ならば勝利でも大丈夫そうな気がします」

 

 

提督「後はわるさめさんに口添えしていただいて、鹿島さんを引き込みます。そのやり方で行きます」

 

 

提督「そしてある程度、試合内容を鹿島さん向けに贔屓する必要があります」

 

 

提督「そしてなお勝ちに行くための艦隊を編成します」

 

 

龍驤「電ちゃんは出すん?」

 

 

提督「今回は出しません。あの子は恐らく6名編成で出せば最悪、乙中将の艦隊を数分で蹂躙する危険性がありますので」

 

 

瑞鶴「そこまで?」

 

 

提督「ええ。わるさめさんとドンパチしてた時、観察していましたが、あの耐久装甲ギミックは」

 

 

提督「海月艦載機を破壊することによりその効力が解除されますが」

 

 

龍驤「なるほど、あのふざけた数の艦載機に混ぜるんか。木を隠すなら森のなか、やね」


 

提督「やりようによってはもっと性格の悪い隠し方もできるので、最悪、演習にすらなりません」

 

 

提督「今回はわるさめさんを出します」

 

 

提督「将校から送りつけられた皆さんも完成度が高いので、鹿島さんにアピールするためにも今回は出しません」

 

 

提督「わるさめさん、ゴーヤさん、瑞鶴さん、龍驤さん、卯月さん、阿武隈さん。この6名で挑み、勝ちます」



提督「わるさめさんは気分屋のところがありますので、あまり当てにしないでください。そのように動かします」

 

 

龍驤「わるさめのやつはキミの指示なら従うやろ」

 

 

提督「怪しいところです。あの子は決して自分のために命を捧げるような動機でここに来たわけではないですし」

 

 

提督「大淀さんからも言動には適当なところがあり、ノリとテンションによって活動能力に激しいムラが出る、と教えてもらっています」

 

 

提督「あの子の性格は大体分かったので考慮のうえ作戦を立てますが、100%上手く運用できるかは分かりません」

 

 

提督「空母のお二人と卯月さんにかなり負担がかかります」

 

 

提督「帰れば乙中将の第1鉢巻き艦隊のデータを渡すので頭に叩き込んでくださいね。出来る限り緻密に艦載機を動かしてもらいたいので」

 

 

龍驤「任せとき。得意分野や」

 

 

瑞鶴「私は自信ないけど、うん、出来る限りがんばる」

 

 

提督「よろしくお願いします」



【5ワ●:提督のお家へ】

 

 

1

 

 

陽炎「金剛さん、なによー……」

 

 

陽炎「駆逐艦のなかでは大人なほうなんだけどなー。そもそも輸送任務とかで遠出するし」

 

 

不知火「なにか不知火に落ち度でも……」

 

 

金剛「まあ街だから常識とかマナーとか、海とは違うから仕方ないネ」

 

 

金剛「大屋さんとか、色々と挨拶しなきゃデース。下手な真似して警察に補導されるかもだから、子供だけでは心配ネ」

 

 

陽炎「金剛さんもこっち側じゃない」

 

 

金剛「心外デース!」

 

 

2

 

 

陽炎「このアパートか。洗濯物が乾きづらそうよね」

 

 

不知火「そうですね」

 

 

金剛「大家さんに挨拶してきたデース」

 

 

陽炎「部屋はここよー。青山で会ってるわよね」ガチャリ

 

 

不知火「お邪魔します」


 

3


 

陽炎「汚なっ。足の踏み場がないわ」

 

 

金剛「男性の独り暮らしの部屋は汚ないというイメージがあるケド、あの提督は綺麗にしてそうなイメージがあったネ」

 

 

不知火「しかし、よく観察すると物が多いだけで整然としています」

 

 

不知火「ゴミではなさそうですね。この紙束は海図、それと本です」


 

金剛「海……深海棲艦と、私達に関わる本ばっかりデース……」

 

 

金剛「勉強家デスカ。乙ちゃんは確かあの提督は軍学校での評価はよくなかったと言ってた気がしマース」

 

 

不知火「…………」ペラ


 

不知火「本のこの汚れかた、恐らく読み込まれているゆえですね。あの司令官は、物覚えが悪いからそうやって覚えたのでは?」

 

 

金剛「努力家ネ。でも」

 

 

金剛「量がおかしいデース……足の踏み場もなくて、私の背より高く積み上げられて……」

 

 

金剛「なにかしらの執念を感じマース……」

 

 

陽炎「……」

 

 

不知火「陽炎、アルバムを見つけたのですか?」

 

 

陽炎「タンスの引き出しにアルバム類はまとめてあったから見つけやすかったわよ」

 

 

陽炎「…………」ペラペラ

 

 

陽炎「ビンゴ」

 

 

陽炎「これ、電ね。顔も似ているし、調べといた本名とも一致」

 

 

陽炎「小学校、しかも学年も同じ。クラスは違うけど」

 

 

陽炎「にらんだ通り接点はあったわねー」

 

 

不知火「といっても、別に仲がよかったとは限りませんし」

 

 

金剛「寄せ書きのところは?」

 

 

不知火「真っ白です」

 

 

陽炎「泣いた」

 

 

不知火「……あまり卒業アルバムの写真には写ってませんね。電さんも同じく少ないです」

 

 

陽炎「こちらのアルバムは多分お父さんと一緒ね。子供の時代は感情豊かみたいだね」

 

 

不知火「む」

 

 

不知火「……六年生からですね」

 

 

陽炎「なにがよ?」

 

 

不知火「表情が乏しくなっています。中学生からはどちらかといえば今のような雰囲気ですね」

 

 

不知火「…………」

 

 

不知火「金剛さんはなにを見ているのです」

 

 

金剛「ノートとファイル、ネ」