2014-10-27 17:35:27 更新

前書き

pixivでシリーズとして書いていたものを再投稿します。

まだ途中までしか書けていません。

pixiv以外では作品投稿初ですのでいたらないところも多々ありますがおつきあいしていただけたら幸いです。



誰かが人生で最高に幸せになとき、どこかでは必ず人生のどん底に陥っている人もいる。



誰かを想う気持ちが、誰かを不幸にする気持ちなら、その気持ちは美しいといえるのだろうか?



誰もが胸に持つたくさんの想いを、形に残す「アルバム」





私と、あの子と、あいつを繋げた、繋げてしまった、「アルバム」ーーーーーー














Side 真姫





私はこたつに入ってただぼんやり、テレビを見ていた。


特にすることもなく、光る画面を見つめる。


今流行りらしいお笑い芸人が画面には映っていた。


「はぁ、暇ね」


なんて私の小さな嘆き声に、返事は返ってこない。代わりにーーー



「んぅー、、」


こたつに突っ伏して幸せそうに眠っている彼女、矢澤にこの言葉になっていない寝言が返ってくる。


「にこちゃんのばかー、暇よー」


そう言いながら私は彼女のほっぺを軽くつねってみる。


あ、柔らかいなんてありきたりな感想を思い浮かべる。


でも、つねっているうちになんだか癖になってきそうなくらいには気持ちのいい感触。


にこちゃんのお肌、白くて綺麗ですべすべーなんて、本人には絶対に言ってあげないけど。




しばらくして、飽きてきた私はにこちゃんのほっぺから手を離す。



「んー、好きぃ」


なんて、寝言がいちいち可愛くて。


「はいはい、私も好きよ」


なんて、寝言に返事をしてしまう。


「なにかおもしろいものはないかしら」


私は暇を潰すため、なにかないか漁り出す。


幸いにも、ここは彼女の部屋。


さすがに、なんでもかんでも漁るのは気が引けるけど。


にこちゃんがちっさい頃の写真とかないかしら?なんて思いついて本棚のあたりを漁ってみる。


すると、以外にも簡単ににこちゃんの小さい頃の写真が入ったアルバムが見つかった。



そこには、生まれたてのにこちゃんから歩き出したくらいのにこちゃん。外で元気そうに遊んでいるにこちゃん。小学校の入学式でのにこちゃん。


いろんな、私の知らないにこちゃんに溢れていて。


小学校5年生くらいにはもう、見た目は今と変わらないくらい成長していて。


大好きなにこちゃんの新たな一面を知れた気がして、嬉しい反面。








私が知らないにこちゃんがいることに得も言われぬ不安が私の心を襲った。














私は、不安を心から打ち払いアルバムを一通り見た後本棚に戻そうとした。


そのとき、一冊の別のアルバムが私の目に入った。


さっきはこんなアルバムあったかしら?


なんて考えて、何気に、いや『もっとにこちゃんが知りたい』と思ってそのアルバムを取り出した。



そのアルバムの表紙には〜Album〜という文字が記されていた。


見た感じでは最近のもののようだ。




私は、なんとなくこのアルバムの中身を見てはいけない気がした。


けれど、一度見つけてしまったものは気になる。


そう思って、恐る恐る、そのアルバムに私は手をかけた。




ペラッ。



嫌に、私がページをめくる音だけが響く室内。















私はページをめくって絶望した。



え?は?なにこれ、意味わかんない。





本当に私は意味がわからなかった。


というよりは、頭が受け入れることを拒否して考えることができなかった。












だって、だって。


アルバムの中に貼られた、写真の数々。



その中のにこちゃんは、本当に、本当に幸せそうに笑顔を浮かべていた。




希と。


2人はどの写真でも、体を密着させて仲睦まじそうにしていた。





まるで、恋人のように。



私は、意志を持たない人形のようにただひたすらページをめくる。



ペラッ、ペラッ、ペラッ。



そのめくったページのどこにも、幸せそうに笑う2人が映っていた。



そして。最後のページに。












〜にこっちへ〜



17歳のお誕生日、おめでとう!


にこっちと出会って二回目のにこっちの誕生日です。


今まで、いろんな思い出を作ってきたね。


うちの大切な記憶にはいつもにこっちが欠かせません。


うちは、小さな体で一生懸命にいつも前を向いてひたすら努力するにこっちのことが大好きです。


これから、ケンカすることもあるかもしれん。けど、そんなときこれを見てほしい。


うちは、いつでもにこっちの味方なんよ。


ずっとずっと、にこを愛しとるから。


なんて、普段は言えないから。


日頃の愛を込めて。


改めて、にこっち誕生日おめでとう。


この世に生まれてきてくれて、ほんまにありがとう。











そして、アルバムの背表紙のポケットみたいになっているところには一つのプリクラが挟まっていた。






時代を感じるその画質。


日付は、6年前の7月22日だった。



そこには。







『ずーっと一緒』


なんて、ありきたりな言葉が書かれてて。



2人は、唇をくっつけていた。












私は、いきなりにいろいろなことが起こりすぎて頭がパニックになっていた。



とりあえず。



私は、自分でも驚くぐらいの早さでアルバムを元の位置に戻す。


はぁ、はぁ、はぁ。



息が荒くなっていく。



そして、はっ、と気づいた。


にこちゃんは、寝てるわよね?


そーっと、彼女の方を見る。


幸い、彼女は寝息をたてていた。


しかし、


「ぅん、、、んん」


苦しげに唸っている。






急な事態に慌てて私は彼女に近づく。



「に、にこちゃん?大丈夫?」



私は、あくまでも平静を装って彼女に問う。


けれど、ますます唸り声は大きくなる。



「ふぇ、、んぅ、、」



それと同時に、彼女は涙を。



その瞳から一筋の涙を流した。



「にこちゃん、大丈夫?」


またそう言って、彼女の手に自らの手を重ねて。


優しくさすってあげる。



すると、彼女は私の手を握りしめてくる。




「ふぇ、やだ、やだやだ」


今だ唸り続ける彼女。




「大丈夫、大丈夫よにこちゃん」



そう、宥めながら彼女の背中をさする私に聞こえたのは



















「おねがい、のぞみ、いかないで」







その声を聞い瞬間。



私は一気に胃から、なにかが込み上げてくる感覚に襲われてトイレへと駆け込んだ。









Side にこ



私は、なんだか長い長い夢をみていた気がする




それはそれは、遠い昔のことのーーーーー














私が高校一年生だったころ。



私はμ'sに入る前に、一度スクールアイドルをやっていた。



けれど。一緒に夢を追いかけ、練習を重ねてきた仲間は一人、また一人と私の周りから消えていった。



私は、本気でアイドルをしていた。



スクールアイドルは、しょせんプロには敵わないしょせんお遊び。


そんな風に思う人も多かった。


けど、私はどんな形でもアイドルがしたかった。


けれど、そう思っていたのは私だけだったみたいだ。


だんだんと、減っていく部員。


反対に、だんだん広がるにこに関する根も葉もない噂の数々。


『あ、あの子があのスクールアイドルの?』


『そうそう、なんか部員にハードな練習を強要させてたらしいよ』


『なにそれー、スクールアイドルなんてしょせんただの部活なのに』


『ムキになって、見てたらイタいわー』


『あのキャラ、なんなの一体気持ち悪い』


どんな言葉を浴びせられても、私はなんとも思わなかった。



いや、もう悲しいだとか悔しいだとか、考えることもできなかったんだ。



それでも、私はアイドル研究部で居続けた。


周りからみればただ、意地を張っているだけにみえただろう。


でも、私には。


人を笑顔にする。


この夢があったから。


走り続けることができた。












そんなある日。



私は教室で、いつものように陰口を叩かれていた。



『あの子さぁ、ちょっとかわいいからって調子乗りすぎでしょ』


『どーせ、1人だけのアイドル研究部ーなんて思って自分のこと哀れに思ってんじゃないの』


こんなことは、もう言われ慣れた。


『今時、アイドルになるなんて非現実的にもほどがあるでしょー』


『なんでアイドルなんか目指してんだろうねー』







言われ、慣れた。



だけど。なぜだか、その日は。

急に泣きたい気持ちになった。


それがどうしてかは分からない。


けど、こんなところで泣いたら、周りにはバカにされるだろう。


私の意地がそれは許せなかった。


でも、どんどんエスカレートしていく陰口。


『てかさー、あのいつも言ってるにっこにっこにー?ってやつ?あれ、超寒いんだけど。』


『やっぱ、あんなの自分のこと可愛いと思ってなきゃできないでしょ。』


『自意識過剰ー』





やめてやめてやめてやめて。



私のことがバカにされるのはまだ我慢できる。


でも、にっこにっこにーは、これだけは私の大切な人がくれた1番の贈り物。








私は、堪えきれずその場で涙してしまいそうになった。


そんなとき。






「そのへんにしときぃや」









私は、なんだか長い長い夢をみていた気がする




それはそれは、遠い昔のことのーーーーー














私が高校一年生だったころ。



私はμ'sに入る前に、一度スクールアイドルをやっていた。



けれど。一緒に夢を追いかけ、練習を重ねてきた仲間は一人、また一人と私の周りから消えていった。



私は、本気でアイドルをしていた。



スクールアイドルは、しょせんプロには敵わないしょせんお遊び。


そんな風に思う人も多かった。


けど、私はどんな形でもアイドルがしたかった。


けれど、そう思っていたのは私だけだったみたいだ。


だんだんと、減っていく部員。


反対に、だんだん広がるにこに関する根も葉もない噂の数々。


『あ、あの子があのスクールアイドルの?』


『そうそう、なんか部員にハードな練習を強要させてたらしいよ』


『なにそれー、スクールアイドルなんてしょせんただの部活なのに』


『ムキになって、見てたらイタいわー』


『あのキャラ、なんなの一体気持ち悪い』


どんな言葉を浴びせられても、私はなんとも思わなかった。



いや、もう悲しいだとか悔しいだとか、考えることもできなかったんだ。



それでも、私はアイドル研究部で居続けた。


周りからみればただ、意地を張っているだけにみえただろう。


でも、私には。


人を笑顔にする。


この夢があったから。


走り続けることができた。












そんなある日。



私は教室で、いつものように陰口を叩かれていた。



『あの子さぁ、ちょっとかわいいからって調子乗りすぎでしょ』


『どーせ、1人だけのアイドル研究部ーなんて思って自分のこと哀れに思ってんじゃないの』


こんなことは、もう言われ慣れた。


『今時、アイドルになるなんて非現実的にもほどがあるでしょー』


『なんでアイドルなんか目指してんだろうねー』







言われ、慣れた。



だけど。なぜだか、その日は。

急に泣きたい気持ちになった。


それがどうしてかは分からない。


けど、こんなところで泣いたら、周りにはバカにされるだろう。


私の意地がそれは許せなかった。


でも、どんどんエスカレートしていく陰口。


『てかさー、あのいつも言ってるにっこにっこにー?ってやつ?あれ、超寒いんだけど。』


『やっぱ、あんなの自分のこと可愛いと思ってなきゃできないでしょ。』


『自意識過剰ー』





やめてやめてやめてやめて。



私のことがバカにされるのはまだ我慢できる。


でも、にっこにっこにーは、これだけは私の大切な人がくれた1番の贈り物。








私は、堪えきれずその場で涙してしまいそうになった。


そんなとき。






「そのへんにしときぃや」












なんて、癖のある関西弁が私の耳に入ってきた。



「はぁ、あんたなに、あの女のことかばうつもり?」


さっき陰口を言っていたうちの1人が、強気な口調で言い返す。




私は突然の出来事に、ぽかーん、としていると



「あ、ちょうどいいところに!先生ー」



と、叫び出す関西弁の少女。



「はぁ?なに先生呼んでるの、行こう」






と言って彼女達は去って行った。












その場に残されたのは、にこと



「うちは、東條希やっ!」





そう言ってニカッと笑う、希だけだった。












あの後。

私は初対面の希の前で泣きじゃくった。



「ふぇ、ふぅ、うわぁーーん」



それは、もう小さな子どものように。


「大丈夫、大丈夫やからな」



そい言って、希はひたすら私の頭を撫でながら体を強く、強く抱きしめてくれた。








それ以来、希はなにかと私に構ってくるようになった。



最初こそ、面倒くさそうにしていた私もついには希の好意を素直に受け取っていた。







ある時、私は希に尋ねたことがあった。


「ねぇ、希。私といたら普通のあんたまで変な目でみられるわよ?」


私が1番、心配していたことだ。


すると、希は造作もなく


「ん?そんなん気にしてたん、にこっち。何言ってるんや、うちはただ友達と仲良くしよるだけやで?」



なんて。


見惚れるぐらい綺麗に微笑んで言うから。



ドキッ。


なんて、すごくありきたりな表現だけれど。


私は、この時から。


希を意識しだしていたのだろう。











そして、それから。


私達が恋人になるのにそう時間はかからなかった。


私が、普通に希やに「好き」って伝えて、そしたら希は「うちもやで」

って答えてくれて。



それだけで、幸せだった。


休日は、2人でデートして。


手をつないで、キスをして。

それ以上もーーーーー



あの頃の私には、希のことが大好きで大好きでたまらなかった。



だから。




それは高校2年生の冬。


「にこっち、うちら別れた方がいいと思う」






私は、意味が分からなかった。


けれど最終的には、私達は別れた。


話し合って別れたので、私達の関係は付き合う前の、友達という関係に落ち着いた。




だけど。


触れ合うことがなくなった手と手。


もちろんキスやその他のことも。



私は希と別れてから毎晩のように夢をみた。



希が、私の前からいなくなる。













月日は流れて、あれから六年後。



どうして、こんなに経ったのに私はあの夢をみたのだろう。



それに、今では私だってもっと大切な人がーーー




そう思って罪悪感にかられる。












今日夢をみたのは、別になんてことない。





別に、希が結婚をすることなんて、全く関係ない。





ーーーーーーーーーーーーー



















Side 希



「んぅ..」


うちは寝苦しさから目を覚ます。



「はぁ、寝てしまってたな」


リビングの机に突っ伏して寝ていたためか体の節々が痛む。





そこで、ふと。



うちの頬が濡れていたことに気づく。




「なんや、寝てたからよだれでも...」



かいてしまったんかな、という言葉が発せられることはなかった。




どんどんうちの頬は濡れていく。



あぁ、そうか。


「うち、泣いてるんや」


そう、うちは涙を流していたのだ。



「これが、マリッジブルーってやつかな?」



なんて、呟いてみる。



そんなわけ、無いのにーーーーーー












「うちは、いつもいつも気づいた時にはもう遅いんやな」



その声は、誰にも聞かれることなく静寂に飲まれていく。



そして、うちは。






「ずーっと、好きやよ」


と、誰に対してか分からない言葉をこぼして、昔のことを思い出す。












さっき、夢でみたーーーーーーーーーーーー














ーーーーーーーーーーーーーーーー


高校1年生だったうちは、いつものように一人で帰宅しようとしていた。


友達がいないわけではない。


ただ、本当に心から親友と思える人をつくるのが苦手だっただけだ。



だから、うちは友達ともどこか距離をとってしまっていた。




そんなことを考えながら、廊下を歩いていたとき。




通り過ぎた教室の中からなにやら声が聞こえてきた。




なんとなく。ただ本当にその教室を覗いてみればーーー












陰口をあからさまに言う、女の子達と。


俯いた少女が一人。


状況的にどうみても、少女が陰口のターゲットだった。


見過ごすこともできたけれど、その少女がふと顔をあげたとき。












少女の顔は、年齢には見合わない幼さで。


病的なほどの白い肌。


その見た目とは裏腹になにか意志を宿した大きな真紅の瞳。


ふっくらと、だけれど薄く小さな唇。




彼女の全てのパーツに。


私は思わず見惚れた。





それと同時に、真紅の瞳から涙が流れそうになっていることに気づく。












その時。うちは本能的に、



「そのへんにしときぃや」





と、叫んでいた。












これが、きっと。



うちがにこっちに恋をした瞬間。













ーーーーーーーーーーーーーーー



それから、あの後。




にこっちはうちの腕の中で泣きじゃくった。



その小さな体を腕に収めたとき。


あぁ、なんて愛おしいんだ。


なんて、初対面のにこっちに対して思った。






それからうちは放課後、アイドル研究部の部室に通うようになった。





そんなある日。


にこっちがうちに聞いてきたことがあった。




「ねぇ、希。私といたら普通のあんたまで変な目でみられるわよ?」



その瞬間、うちの中で一瞬にしてその言葉を否定する思考が生まれて。


「ん?そんなん気にしてたん、にこっち。何言ってるんや、うちはただ友達と仲良くしよるだけやで?」


なんて、思い返せば少し恥ずかしくなるようなセリフを返していた。



その日は、にこっちが頻繁にうちのことをみてきてくれて嬉しかったことが今でも忘れられない。












ーーーーーーーーーーーーーーーー




それから。


しばらく経って。



うち達は付き合い始めた。



いつものように二人で過ごしていた放課後。


にこっちからうちに告白してくれて、喜びを抑えながら、でもあくまで笑顔で「うちもやで」と答えた。












にこっちと過ごす毎日は。


本当に本当に幸せだった。


二人でいっぱい、写真やプリクラも撮った。










今でも忘れられない。


6年前の、7月22日。






この日はにこっちと過ごす二回目のにこっちの誕生日だった。


うちは何をプレゼントにしたらいいか迷って迷って、迷った末。



今でうち達が撮ってきた写真をアルバムに貼って、それをプレゼントすることにした。


誕生日当日。



「にこっち、これプレゼントや」


「希!ありがとう」


そう言って笑顔で受け取ってくれた彼女は


「これ、開けてもいい?」


なんて、愛おしい笑顔で尋ねてくる。


「えー、えぇけどちょっと恥ずかしいわぁー」


と答えたら。


「ま、だめって言っても開けるんだけどねー」


そう言ってラッピングを開封しだした。








「これって...」



「うち達の、アルバム」



そう言った瞬間。




「いったぁ、にこっちどしたん?」


うちはにこっちに飛びつかれた。



「こんなの、こんなの反則よ」


そう言いながらにこっちはうちの胸元に顔をうずめ、泣いていた。




「にこっちとの思い出が、たーくさん詰まってるんやで」


そう言いながら彼女の背中を撫でる。



「希」



「ん?」



「大好きよ!」



ーーーーーーーーーーーーーーー



その日はそれからプリクラを撮った。


にこっちに不意打ちでキスしたら怒られてしまったけど。






本当に、本当にうちはこの日々が幸せだった。


だから、いつまでもこの日々が続いて欲しいって願っていた。

















ーーーーーーーーーーーー




きっかけは、些細なことだった。



にこっちはうちのことを『恋』の意味で好きなのではなく『友達』の意味で好きなのではないかと思いだした。





キスもして、それ以上もする。



だけれど、にこっちの行動になんとなくの不安をうちは抱え出した。



ましてや、うち達は同性。


そんないろいろが重なってうちはどんどん不安に陥っていた。





そんなあるとき。


にこっちとうちはデートに出かけていた。





ショッピングモールを二人で歩いていると、



「うぇーん、ふぇ、んん」


泣いている女の子をうち達はみつけた。



慌てて二人でその子のもとに駆け寄った。



すると、にこっちは



「どうしたの?迷子になっちゃった?」


しゃがんで、優しそうに女の子に尋ねた。



「うん、ママがいなくなっちゃったの」


すると、さっきまで泣いていた女の子は少し泣き止みながら答える。












それから、うちはすることなくほとんどにこっちに任せっきりで着いていくことしかできなかった。



そして、無事女の子はお母さんのもとに帰ることができた。





女の子は別れ際に、



「いやだー、まだにこにーと離れたくないよー」



と、ずっと言っていた。



にこっちは短時間でとても懐かれていた。



そのときは、にこっちは子供の扱いがうまいんやなーなんて思って。



ただ純粋に、


「にこっちは子供の扱いうまいなー」


って言ったら。


「まぁねー、わたし以外かもしれないけど子供好きなのよ」



なんて、笑顔で返されて。












その瞬間。


意図がなかった会話が、うちの中で途端に意味を持ち出す。





にこっち、将来はいいお母さんになりそうやなーーーーーーー








その言葉は決して紡がれることはなかった。




けれど、一度思ったことは私の中からはずっと、ずっと。



消えなかった。



ーーーーーーーーーーーーーーー












あれから、しばらくして。



うちらは別れた。


別れ話を切り出したのはうちから。


最初はにこっちもなかなか理解してくれなかったけれど、うちは。



お得意の上辺だけの仮面をかぶって。


結果的ににこっちの友達というポジションに落ち着いた。





今、思えば。うちは本当にバカや。


一人で不安に陥って、結局は安心できる『友達』という位置でいたかっただけの臆病者。



そして、うちはにこっちの将来のことも考えて、その結果別れた。










けれど。



うち達が、高校3年生になって。





うちら9人は運命に導かれるように太陽のようなあの子によって集められた。




にこっちと別れてから、毎日家で泣いて、悪夢をみて。



にこっちが遠くへ行ってしまう。


そんな日々を最高の日々に変えてくれたあの子。



あの子がいなければ、うちの青春は最悪だったと思う。



だから、今でも本当に感謝している。












けれど、この出会いはにこっちと、赤髪の少女が出会うきっかけにもなってしまったーーーーーーーーーー












μ'sに入って、楽しい反面。



うちは、にこっちの知らなかった面をたくさん発見してしまう。




うちじゃない、人の手によって。





にこっちが真姫ちゃんと付き合うのに、そう時間はかからなかった。



うちも、祝福した。













心の底から、ではないけれど。




うちはにこっちのことを考えて別れた。


けれど、にこっちが次に選んだのは、同性の真姫ちゃんだったのだーーーーーーーーーーー














今でも、うちは後悔している。



どうしてにこっちと別れてしまったのか。



六年経った、今でも。




あぁ、でももう遅いんや。




何もかもが。




そう思ったら、また頬に涙が伝ってきた。












ブーッブーッ




うちの気分に反して明るいメロディが、なり響く。




自分のケータイの画面に目をみやるとーーー






そこには、〜×××〜



「あぁ、はよ出んと」












式について、かな?


そう思いながらケータイに手を伸ばす。



涙で歪むディスプレイに表示された名前をみてーーーーー












あぁ、やっぱり手遅れやんな、と思った。




































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SS好きの名無しさんから
2015-01-13 02:07:01

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2015-01-13 02:06:57

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1: SS好きの名無しさん 2016-06-15 02:31:02 ID: 5Lgtecsl

早くかけよ。かす


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