2017-11-14 04:26:11 更新

概要

復活逆転系です。
明石がいい味出しますよ。
赤城尊い…。
ラスボスは〜そう…まぁ…そうねぇ〜

誤字、脱字がありましたらご指摘くださいませ。
更新はローペースです。


「提督?寝ているのですか?」


あぁ、まただ。これで何度目だろうか…。


「ほら、寝ぼけてないで食堂に行きましょう!今日はカレーの日ですよ。」


無邪気な表情を向けたきた彼女。


「わわ!?急に泣いてどうしたんですか?」


夢の中でしか会えない…そんな存在。


「大丈夫、なんでもないよ。目にゴミが入っただけさ。」


「もう大丈夫ですか?ほら、早く行きましょう?」


手を差し出す彼女。でも決して温もりに触れる事は出来ない。


なぜなら彼女は…


〜執務室〜


「提督?…提督、起きて下さい。」


寝惚け眼を擦りながら目を開いた。

そこには声の主、加賀が心配そうな目をして私の事を見ていた。


「…すまない。どうやら眠っていたようだ。」


加賀が来たということは、もう朝か。


「だいぶ魘されてましたよ。また彼女の夢ですか?」


そう言うと加賀は返答を待たずに給湯室に向かった。


「…我ながら女々しいよ。」


私の返答は呟きに変わり虚空に放たれた。


と思われた。瞬間、左頬に熱気。


「提督、こんな小部屋で背後を取られるなんてどうかと思うわ。」


「それと、緑茶よ。少し濃いめに煎れてあるわ。これでも飲んで目を覚ましてちょうだい。」


「すまない。頂くよ。」


「あと数分でマルロクマルマル、総員起こしかけてくるわね。」


「あぁ、頼んだよ。」


ここ最近、頻繁に彼女の夢を見る様になった。

深海棲艦との長年の戦争が集結を終える一歩手前…。

最終作戦で私は最愛の彼女を失った。


周りは誰も私を責めなかった。

逆に「仕方ない。」と「最小の損害で最大の戦果を挙げた。」とそんな風に私を讃えた。


あの加賀ですら「たった1隻の損失で敵本拠地を制圧出来たわ。そんな貴方を誰も責めないわ。」と言われた。


せめて彼女には罵詈雑言を浴びせて欲しかった。


知らず知らずのうちに私は最終作戦の戦績表を手に取った。

表いっぱいに綴られている鬼、姫クラスの撃沈数。

目で追っていくと最後に自軍の喪失艦に「赤城」の文字。


「赤城…どうして…。」


あの局面、敵本拠地が陥落すると希望が見え始めた頃に微かに緩みが見えた。

制空権はあった。対空射撃も万全。

たった一機、死すら恐れない狂気に満ちた1発。

かつて大日本帝国の常軌を逸した一撃。

 

その狂撃に赤城は散った。


奴のら攻撃で沈めば以後、強大な力を持ち人類を脅かす存在となる。


だから赤城は言った。


「提督、ごめんなさい雷撃処分してください」


もちろん私はその申請を受け入れなかった。

いや、受け入れたくなかった。


航行困難だったとしても曳航でもなんでも、どうにかして帰って来てくれと懇願した。


しかし、赤城の状態は一目瞭然。

炎上し誘爆を繰り返しながらみるみる内に沈んで行く。


奴らの手に堕ちるのならと、心に刻む事で雷撃の許可を下した。


その後、深海棲艦は反撃してくることなく作戦はトントン拍子に進み現在の掃討作戦に移行した。


「提督、戻りましたよ。」


「またソレ見ていたんですか?」


「あぁ、ちょっとな…」


「はぁ…提督。貴方はもっと誇っていいんですよ。」


「貴方の挙げた戦果によって、今や全海域の安全性は99%保たれています。」


「それでも、深海棲艦を根絶やしに出来たとは限らないだろう?」


「ですが半月前の報告以来、深海棲艦を発見していません。それに今年はもう海開きだってしました。もう、深海棲艦が残っているとは思えませんよ?」


確かに半月前に夜間哨戒班の報告から深海棲艦に遭遇した者は一人もいない。


それに国内便であれば艦娘の護衛なく航行出来るまで回復した。


「ダメなんだ!!気を抜いた時が一番危ないんだ!あの時だってそうだった…」


「提督!…少し落ち着いて下さい。」


「すまない。」


気付いたら私は声を荒らげていた。


「提督もういいんですよ。もう憎む相手もいないんですよ。」


「彼女のためと思うなら、この世の誰よりも幸せになって下さい。」


加賀の言葉を聞いて堰が切れた


「無理だ…。無理だよ…。彼女のいない世界は私には考えられない。」


言葉に出来ないほどの思い出が込み上げてきて知らずのうちに熱いものが頬を伝った。


「貴方がどれほど彼女を想っているのかは、私も理解しているつもりです。」


加賀は椅子の後ろに立ち、慈愛に満ちた包容をする。


「ですが、貴方を慕っている他の娘達の気持ちも考えて下さい。」


「今の提督を見ている私達も辛いんですよ…。」


そう耳元で囁かれた。


私の心の中はめちゃくちゃに混ざっていく。

赤城への贖罪のつもりで深海棲艦への怨み。

周りの事も気にせず心を閉ざした罪悪感。

すべてが涙と共に流れ出していく。


涙や鼻水で汚れた顔を加賀は緑児をあやす様に抱きしめる。

赤城が沈んだ時は一滴も零れなかった涙がとめどなく溢れる。


私は自然と加賀を抱き締めていた。


「提督、落ち着けましたか?」


何故だろ。泣いたせいかスッと心も体も楽になった気がする。


「あぁ、こんな情けない姿を見せて申し訳ない…。」

 

「ふふ、そうですね。私の袴もこんなに汚して。仕方のない提督ですこと。」


「そ、それは…嫌なら引き剥がせばよかっただろう!」


「あら?そんな事を仰るの?しがみついて来たのは貴方よ?」


「いや…その、なんて言うか…」


完璧、加賀に一本取られた。

返答に詰まった所で加賀はこう続けた。


「情けない姿なら彼女から山ほど聞いたわ。」


「なっ!?」


「例えば貴方は、大規模作戦前には必ず眠れなくなて彼女に抱き締められながらじゃないと寝付けない。とか」


「とかって、まだ聞いているのか!?」


「山ほど聞いたわ。他にも…」


「まて、分かった。もう恥ずかしくて死にそうだ。」


自分でも分かるほど顔が熱い、恐らく耳まで真っ赤になっているであろう。


「特に、あの話は傑作だったわね。」


まだ続けるのか…!?


「貴方の性癖が袴や着物系なのが彼女にバレて神風型の娘が着任した時や縁日の度に毎晩こってりシボられていたのよね。」


「あと…あか」


「参った!!完売だ。」


「はぁ、やっとマシな顔つきになりましたね。」


「赤城はいったい何処からどこまで話したんだ…。」


「それは隅から隅までですよ?」


「だが加賀、訂正が一つある。」


そう 、ここで私は一つ訂正したいことがある。

確かに着物を纏っている女性に惹かれることは否定しない。

しかし、性癖では断じてない!ただ古風な女性が好みなだけだ。


「知っているわ。着物系は性癖では何でしょう?」


「なにっ!?」


「貴方は、ただ好みが古風な女性なだけ。違うかしら。」


「本当に隅々まで把握されてるみたいだな。」


「そうよ、私は彼女から貴方を託されたもの。」


「はは…流石、片翼になっても一航戦は健在か…。」


「それに、古風な女性…と言うことは私も対象に含まれるのかしら?」


いたずらっぽい笑みを浮かべた加賀と彼女が重なって見えたのは言葉に出さなかった。


「それはノーコメントだ。」


「ふふ、それで良しとしましょう。でも罰ゲームは受けて下さい。」


「ばっ、罰ゲーム?聞いてないぞ。」


「大丈夫、簡単な事です。今度こそ朝食は食堂で食べますよ。」


彼女はそう言って手を差し出してくる。


一瞬、その光景に心臓を掴まれた感覚に陥った。

恐る恐る手を伸ばし、手を握る。

確かに伝わる温もりに安堵した。


「分かったよ。その罰引き受けようか。」


思えば、掃討作戦が始まってからずっと執務室に籠りっぱなしだ。

睡眠も執務室、食事も執務室、入浴も排泄も執務室に備え付けてある。

食事に関しては加賀に取ってきてもらっていた。

だから彼女が沈んだ日から加賀と任務旗艦で報告しに来る娘、以外との接触がほぼ無かった。


つまり、何が言いたいかと言うと気まずいのだ。


しかも、加賀は「誰かさんが胸元を汚して気持ち悪いので着替えてきますね。」とバッサリ見捨てやがった。


だから、こうして食堂で近くの喫煙所で身を潜めることにした。


「ん〜、こいつは珍しい奴がいるな〜。」


バッドタイミング。

全く持って面倒臭い奴が来やがった。


「なんだ、お前も一服しに来たのか?」


「まぁ〜、そんな感じだな。あっ、いっけね〜」


「どうかしたのか?」


「部屋に忘れちった。しれーかん、一本くれくれ〜」


「仕方の無い奴だな。ほれ、くれてやるよ。」


「さんきゅ〜」


「さてさて、司令官。少しは顔色が良くなってるけどその反面何か隠し事はしてないかね?」


「隠し事…?何が言いたい望月?」


「いやね、噂…と言うかー加賀から直接的聞いたんだけどさ机の三段目の引き出しの書類…」


「な!?…加賀にも見られていたのか…と言うかどこまで知ってる?」


あそこには辞任願いが認めてある。赤城が轟沈した日に決意し、深海棲艦の掃討完了を持って提出する。


「そんなに声荒らげるなって、加賀がチラッと見ただけだって言ってたからさ。でも何でさ?辞める理由が分からないんだ。」


「何も、すぐに辞めるわけじゃないさ。」


「そうだとしても、私は司令が辞めるのは嫌だな…」


これには少し驚いた。普段おちゃらけて人の事を馬鹿にしてくる望月がこんな風に思ってくれていることに。


「そう言ってくれるやつが、1人でも居て安心したよ。でも、これは決めた事なんだ…。」


「多分、ここに居る艦娘全員が私と同じ考えだと思う。だから…せめて、そいつらと話してからでもいいんじゃないの?」


「すまない…。さぁ、もうすぐ食堂が空く行こうぜ望月。」


「この頭でっかち、分からずや。」


〜工廠〜


提督が喫煙所で望月と会話をしている同時刻。


「明石、ちょっといいかしら?」


「加賀さん!こんな早朝にどうしたんですか?」


「あなた、医学も学んでいたでしょう?」


「まぁ、それなりには。加賀さんどこか痛めたんですか?」


「その…提督の事なのだけれど…」


「提督?う〜ん…そう言えば最近あまり執務室から出て来てませんね。」


「赤城さんが殉職してからずっと、いつの間にか寝ていてその度に赤城さんの夢を見るそうです。」


「ずっと、ですか!?」


「はい、なにか心当たりはありませんか?」


「心当たり…心当たり…睡眠障害ではありそうですが、夢ですか?とりあえず少し調べてみますね。」


「宜しくお願いします。」





…あれ、ここは…食堂か。確か望月と一緒に来たんだが。


「提督、お持ちしましたよ。今日はカツカレーみたいですね!」


彼女の目の前には山盛りをさらに盛ったカツカレー。


「これはアレですね。さすが気分が高揚します。ですねぇ!」


なんて愛くるしいのだろうか…。しかし、気になる事が、疑問が浮かんだ。


何故、食堂には俺と赤城しか居ないのだろうか。


「なぁ赤城、なんで食堂には…」


〜食堂〜


「提督!…提督、提督!」


凄く切羽詰まった呼びかけに目を覚ますと目の前には顔面蒼白で呼びかける明石。

担架を持って走ってくる加賀。

食堂の床に寝転がっている私の手を握っている望月。

その他、多数の艦娘が心配そうに私の事を覗き込んでいた。


全く状況が飲み込めなかった。


「明石、とりあえず落ち着いてくれ。」


「提督…良かった…。」


「加賀、状況確認を頼む。」


「その前に専門機関に行きます。移動しながら説明するわ。」


体に異常はないが、拒むとあとが怖そうなので素直に従う事にした。

それに何となく状況も掴めてきた。


「望月、大丈夫だから手を離してくれないか?」


「あ…あぁ、ごめん」


「そんな心配そうなツラするなよ。」



〜医務室〜


加賀の説明曰く、望月含めその他の艦娘達と会話をしてる最中、頭を抑えながら自ら「少し、睡魔が…」と苦しみだし意識を途絶えたらしい。


そして、明石から検査を受けその結果を待っている。


「検査結果ですが、どこにも異常は見つけられませんでした。」


「みんなに心配かけて申し訳ない。」


「提督は最終作戦から掃討作戦それに今日までちゃんとした休息を取れていませんでした。秘書艦として情けないわ…。」


「加賀…お前が負い目に思わないでくれよ。」


「そうですよ。提督が悪いんです!久しぶりに執務室から出てきたと思ったらアホみたい倒れて私だって心配したんですよもぉー。」


ぐうの音も出ない…。


「とりあえず大丈夫なんだろ?なら、しつ」


「ダメです!おそらく、睡眠不足と疲労が重なったのでしょう。しばらく病人らしくベットで横たわってて下さい。」


「そうですよ。休息も仕事の内です。それとも、また倒れて秘書艦の私に恥をかかせるつもりですか?」


病人って…。でもここで下手に抵抗しても先が分かるな。


「分かったよ。加賀、執務は任せた。」


「分かればいいんです。」


「あ、提督少し調べてみたい事があるのでコレ頭に貼らせて貰いますよ。」


そう言って明石は私の頭に電極を付けていく。


「好きにしてくれ。とりあえず何か疲れがどっと出て来たから寝るよ。」


そう言えばこんな事前にもあった様な気がするな…。

それにしても、朝飯時を過ぎた所だと言うのに急に疲れと睡魔が襲ってきた。


「何かあったら私の端末がすぐに鳴るのでご安心を」


「執務が終えたら顔見せます。それでは」


「「おやすみなさい」」



と2人の言葉を聞き、そう言えば朝ごはん食べてないやと考えてる間に眠ってしまった。


〜執務室〜


「明石、本当はどうなの?」


問いかけた明石は端末を弄りながら執務室のお茶請けを貪っていた。


「ぅっんん、モガモガ…」


「飲み込んでからでいいわ。」


「ふー、んと検査結果自体は本当に問題はないですよ。ただの睡眠不足とずっと緊張しっぱなしだった疲れからでしょう。」


「私の思い過ごしならいいのだけれど…」


そう言って提督がよく見ている戦績表を眺めて見る。


「思い過ごしですか?」


「提督が今にでも消えて終いそうな表情でこれを眺めてるの。」


「あーその戦績表は…やっぱ心の問題ですかねぇ〜」


明石は執務室のソファから立ち上がり持っている戦績表覗き見る。

時計を見ると正午になって執務室の扉が叩かれた。


「大淀です。」


「どうぞ。」


「正午の定時報告です。М拠点、A拠点共に異常なし。哨戒班、鎮守府、両拠点共に異常なし。」


「ありがとうございます。」


「もう、2週間くらい前か会敵しませんね〜。平和宣言出しましょうよ〜。」


再びソファー座り込みお茶請けを手に取る。


「明石、あんまりダラケたらダメです!提督に叱られますよ!」


「そう言えば大淀には伝えてませんでしだが今朝、提督が倒れました。」


「えぇ!?提督は大丈夫なんですか?」




〜???〜


ここは…?どこ…?

冷たい…身体が…痛イ…


冷タい…寂しイ…帰リたいイ…


カエりたイ… ドコに?

あのヒト…の…トコろに…帰リタイ…


アの人…ハ…どこ…?


私…ハ…ダレ…? モウ、イイ…


ヨクナイ…カエリタイ…カエリタイ…


カエリタイ!!




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