2018-05-06 15:03:29 更新

概要

深海棲姫と提督との間に生まれた子供のお話です。


前書き

初投稿なので文才が無いのは見逃してくださるとうれしいです。


彼は提督である。ただし普通の提督ではない。


深海棲姫と人間の子供、紛い物の人間。


これは紛い物の人間と歪んだ艦娘たちのどこまでも歪な物語。



1、八神さくらのハナシ

彼の名は八神暦。


彼は提督だが普通の人間ではない。髪は白く、目は赤い。


申し遅れた、私は八神さくら。


彼の義理の姉でね、いまは大本営で元帥を務めているんだよ。


おっと、噂をすればなんとやらだ。



提督「入ってもよろしいでしょうか」



声と同時にドアがノックされる。



さくら「ああ、入りたまえ」



ドアが開き、彼の姿が目に入る。



さくら「前々から話していた移動の件だよ。君の移動先が決まった。君は本日より少将に昇進。


タウイタウイ鎮守府へ着任してもらう。」



提督「はっ!了解しました!」



さくら「そんなにかしこまるなよ、私と君の仲だろう。


今、南がかなり危ういのは君も感づいてるだろ。


制海権を取り戻してほしいのさ。


大丈夫、君の頭脳とその(チカラ)があればどうにかなる。」



提督「分かりました。不肖八神暦、精進致します。」



彼は退室した。




2、長門のハナシ

うだるような暑さが嫌になる夏の昼だった、アイツがここタウイタウイ泊地に来たのは。


アイツの姿を見た時、私達は目を疑った。


なぜなら白い髪に赤い目、アイツの見た目は深海棲姫そのものだったからだ。


大本営から提督が着任することは聞かされていたが、こんな深海棲姫紛いの奴が提督だと、ふざけるな!


着任した日の夜、アイツの挨拶のために我々は食堂に呼び出された。



提督「今日付けでここの提督になります、八神暦です。


僕の容姿についてですが、僕の母は深海棲姫でした。


ですが僕は人間である父に育てられ、父の戦死後は今の元帥である八神さくらにそだてられました。


ですから僕は祖国に貢献したい一心で・・・」



聞いてられるか。深海棲姫もどきが我々の提督だと、虫唾が走る。



長門「もういい!


お前の心意気はよく分かった。


だがな、ここへ来たなら我々の指示に従ってもらう、深海棲姫もどきの指示など聞かん。


我々からはそれだけだ。」



そう言い切って我々は食堂を後にした。




3、あきつ丸のハナシ

あきつ丸「おやおや、これはまた見事にフラれましたな。」



執務室で落ち込む提督を横目に自分はコーヒーをすする。


自分はあきつ丸、提督と共にここタウイタウイ泊地に派遣されたのであります。



提督「からかうなよ、あきつ丸。


明日からのことを思うと胃が痛いな。


こんな見た目だから陰口とか嫌がらせには慣れてるけど、ああもはっきりと拒否されるとね。」



提督は軽くため息をつき、大本営への書類をしたためると執務室をあとにした。


ここは思ったよりも闇が深そうでありますな。



提督着任の翌日から提督へのイジメが始まりました。


命令無視や陰口は日常茶飯事、なかには提督殿に暴力をふるう者まであらわれました。


提督が孤立するのは自分にとって好都合なのでありますが、ここまで来ると少し目に余るであります。


仕切っているのは長門でありますな。


どれ、少しこらしめてやりましょうか。


そう思い執務室を発とうとした時であります。



提督「おい、どこへ行く気だ?」



あきつ丸「これは随分とデリカシーの無い質問をされますなぁ。


お花摘みでありますよ。」



提督「嘘はつかなくていい。


君のその顔は僕のために怒ってくれてる時の顔だ。


何年一緒に居ると思ってる、そんなことも見抜けない程僕は間抜けじゃないよ。


おおかた長門に殴りこみといったところだろ。」



秒でばれましたな。



提督「でもこれは彼女が悪い訳じゃない。


もともとこの鎮守府は前提督の敵前逃亡、連日連夜の戦闘でかなり荒んでいたんだ。


でも彼女達は独自の指揮体制をつくることによりそれらを乗り越えてた。


そんななか本部から深海棲姫もどきの姿をした僕がやって来た、


彼女達が拒否反応を示すのは当然のことだよ。」



あきつ丸「随分と呑気でありますなぁ。


まぁ、提督殿がどうなろうと知ったことでは無いですが。」



提督は優しすぎるのであります。


慈悲深いのは素晴らしいことでありますが、あなたへ仕打ちは日に日に酷くなっているのであります。


このままでは・・・。




4、天龍のハナシ

オレは天龍。


内地の鎮守府に所属してた。


けどそこの提督がどうしょうもないクズでな、駆逐艦のガキに手を出そうとしやがったのさ。


それを発見したオレは提督をぶん殴った。


それで人生パーだよ。


オレは鎮守府から追い出された。


そんで各地を転々としてたんだが、ある日集積地棲姫とやりあってボコボコにされてな。


命からがら逃げ出したのは良いものの倒れちまって、気付いたら病室にいた。



天龍「えっと・・・ここどこだ?」



目が覚めるとベッドの脇に男の姿があった。



?「ここはタウイタウイ鎮守府だよ。」



天龍「誰だお前?」



?「僕はここの提督の八神暦。

提督に着任してから二週間になるかな。」



天龍「お前が提督だと?


深海棲姫みたいな見た目のお前がか?」



その時、扉が開きあきつ丸が病室に入ってきた。



あきつ丸「随分と無礼な輩でありますなぁ。


瀕死の貴官を砂浜から拾って来たうえに、手当てまで施したのは提督殿なのでありますから、


礼くらい述べるべきでは?」



天龍「そうだったのか。


すまねぇ、命の恩人に失礼なことをした。」



提督「べつにいいよ、慣れてるし。


それに困っている人を助けるのは当たり前だろ。」



天龍「お前は優しいんだな。」



提督「傷も大丈夫そうだし、僕は執務に戻るよ。」



あきつ丸「了解しました。」



その後、オレはあきつ丸から説明を受けた。


提督が艦娘達に嫌われていることや提督の母が深海棲姫だったことなど、この鎮守府と提督に関するだいたいの情報を把握した。


こいつの第一印象は狡猾な雌狐って感じだ。


獲物を虎視眈々と狙う狐、おそらく頭のキレも相当のものだろう。


それに提げている刀は艦娘の標準装備ではない。


一部の優秀な艦娘はそいつ専用の艤装の携帯を許可されるらしいが、おそらくこいつもその一人なのだろう。



天龍「おい、道場で一戦やんねぇか?

あるんだろ、道場?」



強そうなヤツを見るとすぐにつっかかってしまう。


オレの悪い癖だ。



あきつ丸「なぜ?

まぁ、別にかまいませんが傷は大丈夫なのでありますか?」



天龍「提督のやつが大丈夫って言ってたろ?


それにもう痛みはねぇよ。」



あきつ丸「・・・提督に対してずいぶんと・・・。」



あきつ丸は小声でなんかつぶやいたが、オレは聞き取れなかった。



天龍「ん、なんか言ったか?」



あきつ丸「いえ、なんでもないであります。


早く道場に向かいましょう。」




道場へ向かう途中、道場の裏でオレは曙と夕立の会話を聞いた。




曙「ねぇ夕立、アンタ今日も命令無視したの?」



夕立「当たり前っぽい。


提督さんは悪い人だから指示を聞くなって長門さんが言ってたっぽい。」



曙「そう、まぁどうでも良いけど。

・・・長門さんにはあまり関わらないほうがいいわよ。」



夕立「・・・長門さんがあんなになったのは、陸奥さんを守れなかった夕立達に責任があるっぽい。」



曙「そうね。


でもクソ提督をいじめることが本当に長門さんのためになるのかしら。


長門さんが本当に嫌ってるのはクソ提督じゃない。


何もできなかった自分自身よ。」



夕立「・・・。」



曙「じゃあね。

私はこれから遠征の報告に行くから。」




曙は執務室に向けて走っていった。




夕立「・・・じゃあ夕立どうすればいいの?


教えてよ曙ちゃん・・・。」




夕立は涙を浮かべ膝をついた。




オレ達は夕立にばれないようにその場を後にし、道場に入り防具をつける。




天龍「なぁ、お前さっきの見てどう思った?」



あきつ丸「・・・別にどうとも思わないであります。


提督がいじめられていて、その首謀者が長門。


そしてその長門を含めた加害者側にも複雑な事情がある。


それだけのことであります。」



天龍「お前、提督に対して冷たくねぇか?


知り合いなんだろ?だったら・・・」



あきつ丸「・・・ずいぶんと知ったような口をききますなぁ。


あなたに提督と自分の何が分かるのですか?」



天龍「それは・・・。」



あきつ丸「二度と提督殿のことに関して知ったような口をきかないでください。」



天龍「たいしたことも知らねぇのに生意気なことを言ったのは謝る。


けどよ知り合いが困っているのに助けないのは、やっぱおかしいぜ。」



あきつ丸「・・・わかりました。


今から行う剣の稽古で白黒つけるであります。


あなたが勝ったら、なぜ自分が提督殿を助けないのかお教えしましょう。」



天龍「いいぜ。


もしオレが負けたら?」



あきつ丸「二度と提督に近づかないでいただきたい。」



天龍「了解、腕がなるねぇ。」



あきつ丸とオレは向かい合って竹刀を構える。


まともに打ち合ったらオレは負けるだろう。


だが居合いで一瞬にして勝負を決めれば話は別だ。


竹刀を胴の前から鞘に納めるような形で腰の横に持ってくる。


一般的な居合いの型だ。



あきつ丸が踏み込んでくる。


速い、がなんとか見切れる。


胴への一閃を抜刀して払いのけた。


そしてあきつ丸の胴を横薙ぎに打つ。


当てることだけを目的とした最速の一閃。


わりぃな、本当は本気でやりあいたかったんだけど知りたくなっちまった。


お前が提督に冷たい理由をな。


オレの放った、一撃というにはあまりにも弱い一閃はあきつ丸の胴をわずかにかすった。


せこいが判定上はオレの勝ちということになる。



あきつ丸「・・・自分の負けでありますな。


潔く話すとしましょうか、自分と提督の関係を。」




5、思い出の中の実験室

自分と提督殿は八年前に海軍の実験施設で出会いました。


当時は深海棲艦が現れたばかりで艦娘の数も多くなかったため、戦況はあっという間に悪化し、南海と西海の制海権を深海棲艦にうばわれました。


この状況を打破するために作り出されたのが第七研究所、通称悪魔の住処。


そこでは艦娘の身体能力を強化するために地獄のような研究が毎日行われていました。


自分と提督殿はそこで肉体の強化をうけた者の一人です。


自分は毎日基礎能力を上げるための虐待を受けていました。


生物は傷ついた箇所が補強されてより強靭になることを利用した肉体強化です。



あきつ丸「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」



研究員1「おい鎮痛剤切れてるぞ。


早く打て、うるさいったらありゃしねぇ。」



研究員2「んなもんもうねぇよ。


上層部のアホ共が麻薬として横流ししてるからな。」



研究員1「なんでこんなクソみたいな所に配属されたかなぁ。


陸軍のエリートコースまっしぐらだったのによぉ。」



研究員2「しょうがねぇよ。


艦娘達のせいで陸軍は仕事なくなったんだから。


ま、ストレスはこいつで発散しようぜ。」



研究員1「そうだな。


次は何で痛めつける?」



研究員2「電ノコで腹に穴開けんのは飽きたし・・・」



研究員達が次に使用する拷問器具について話していた所、午後12時を知らせる時報が鳴りました。



研究員2「おっと、もうこんな時間か。


もう宿舎に帰ろうぜ。」



研究員1「了解。


艦娘を地下室につっこんだら帰ろう。」



自分を地下室に入れると研究員達は去っていきました。



あきつ丸「うぅ、今日も辛かったであります。


一体いつまでこんなことが・・・」



こぼれ出てくる涙を手でぬぐい、ふと顔をあげると前方の部屋に一人の少年がいました。


歳は11くらいでありましょうか。


不思議なことにその少年は深海棲艦のような見た目をしています。


そして不思議なことにとてもきれいな肌をしていました。


ここの艦娘達はたいてい基礎能力を上げるための虐待をうけているので夜は傷だらけなのであります、まぁ翌日には治っていますが。



あきつ丸「あの、肉体の補強実験は受けていないのでありますか?」



少年「受けてないよ。


深海因子の定着実験はうけてるけどね。」



あきつ丸「深海因子の定着実験・・・


なぜそんなことを?」



少年「見てのとうり僕は深海棲艦と人のハーフでね、人間としての意識を保ちながら深海棲艦の力を使えるように血液中の深海因子の割合を


調整されているんだよ。」




自分は一回だけ強化のため深海因子を注射されたことがあります。


その時は痛くて苦しくて死ぬかとおもいました。


後にですが、艦娘への深海因子の摂取実験は被験者の九割が死亡することが判明し中止となりました。



あきつ丸「・・・深海因子でありますか。


深海棲艦から国を守るはずの我々が深海の血に頼るとはなんとも皮肉でありますな。」



少年「・・・君は自我を保ってる強い艦娘みたいだね。」



そう言うと少年は周りに人がいないのを確認しました。



少年「クーデターの計画があるんだよ。


乗ってくれないかい?


君は信用できる。」



あきつ丸「クーデターなら自分も考えました。


ですが、仮に研究員達を殺し逃げれたとしても施設の地図がないであります。


道に迷ってる間に警備隊が駆けつけ皆殺しにされるのがオチであります。」



少年「警備隊の隊長と話はつけた。」



あきつ丸「警備隊の隊長が協力する理由がみつかりません。」



少年「その人は海軍へのクーデターを計画しているんだよ。


この研究所を潰すことにより海軍の信用をなくしたいのさ。


それにより生じた混乱の内に海軍上層部を粛清、大本営を乗っ取るのさ。」



あきつ丸「なぜその人と知り合ったのでありますか?」



少年「僕の父がその人の知り合いだったんだよ。


僕の父は海軍大佐だったんだけど、二年前に病死してね・・・


その際に僕は捕まりここに収容された。」



あきつ丸「・・・貴官の父は何者なのでありますか?」



少年「・・・夜神 豪。」




自分は耳を疑いました。


夜神 豪は深海棲艦から北海を取り戻した英雄だったからです。


彼は北海奪回作戦の際腕を失い本土に戻ったという話を聞いたことがあります。


まさかそのご子息に会えるとは・・・


しかしなぜこんな場所に捕まっているのでしょうか・・・


おそらく二年前の八・一五事件の折に危険分子として捕らえられたのでありましょう。


八・一五事件とは当時の陸軍参謀部が指揮した一連の粛清運動であります。


戦況悪化の原因は海軍参謀部にあるとして多くの海軍将校を粛清し、陸軍は何食わぬ顔で海軍を乗っ取りました。


もちろんそれに賛同しない者も多く、各地では反対運動が起こされました。


自分もその一人ですが反対運動の際に捕まってしまいここに収容されたのであります。



あきつ丸「警備隊の隊長の名前を聞いても?」



少年「八神さくらっていう海軍将校だよ。


粛清運動を逃れてここに転属したんだとさ。」



八神さくらは確か十二騎士のひとりでしたな。


十二騎士とは海軍のなかで特に優秀な者、特別な功績を残した者達十二人の総称であります。


八神さくらの他に夜神豪もその内の一人であります。



あきつ丸「計画の概要を教えていただいても?」



少年「二日後のマルロクマルマルに警備隊が僕らを解放する。


その後警備隊に続いて研究員達を殺害、その後上層階に上がり管理者達の身柄を押さえる。」



あきつ丸「大本営に抑えられるのでは・・・」



少年「押さえられる前に大本営を抑える。」



あきつ丸「・・・正気でありますか?」



少年「大丈夫。


警備隊五百名、ここに収容されている艦娘四十名でならここを抑えられる。


さらに大本営内部にも協力者がいる。


僕の知り合いの提督だよ。


艦娘を指揮して大本営に爆撃を行う手筈となってる。」



あきつ丸「・・・了解しました。


全面的に協力するであります。」



少年「ありがとう。


もう遅いし二日後にそなえて寝よう。」



あきつ丸「・・・おやすみなさい。」



少年「おやすみなさいか・・・


随分ひさしぶりに聞く言葉だな。


・・・うん、おやすみ。」




待ち望んでいた決行の日が来ました。


その日はいつもよりせわしなかったのを覚えています。


いつもは研究員が来る時刻に警備隊が来て鍵を開けていきました。




警備隊「暦さん、あきつ丸さん御武運を。」



あきつ丸「了解。」



暦「うん、そっちもね。


死ぬなよ。」




自分と少年は通路を進む。




あきつ丸「暦という名前だったのですか。


では本名は夜神暦ということでありますか?」



暦「んー、ちょっと違う。


夜じゃなくて八。


八神暦だよ。」



あきつ丸「なぜでありますか?」



暦「簡単な話さ。


捕まる前に八神家の養子になったんだよ。


八神家の養子になったら陸軍も殺しはできまいっていうさくらさんのアイデアでね。


おっと、ここからは艦娘の遺体安置所だから臭いに気をつけろよ。」




遺体安置所に入った瞬間に異様な臭気が我々を襲う。




あきつ丸「うっ、うぇぇぇ。」




自分は臭いに耐えられずもどしてしまいました。


ビチャビチャという液体が床に垂れる音がする。




あきつ丸「・・・申し訳ないであります。」



暦「気にするな。


確かにこの臭いはキツイ。」




しばらく進むと深海棲艦化して死んでいる艦娘の遺体を発見しました。


おそらく深海因子の摂取実験に耐えられず死亡したのでありましょう。




あきつ丸「・・・我々は何のために戦っているのでしょうな。」



暦「分からない。


たぶん戦争自体に意味はないんだよ。


人間は肌の色、使う言語が違うっていうだけで争い始める生き物だからね・・・」




あきつ丸「・・・ここを出たら何をするつもりなのでありますか?」



暦「随分と唐突だね。


・・・さくらさんのクーデターの後処理をするつもりだよ。」



あきつ丸「クーデターの後処理というと?」



暦「・・・不穏分子の暗殺とかかな。」



あきつ丸「自分も協力するであります。」



暦「やめたほうがいいよ。


さくらさんに他の鎮守府への紹介状を書いてもらうから、これからは普通の艦娘として生きていくほうがいい。」



あきつ丸「ここで実験を受けた以上、自分はもう艦娘ではありません。


ただの生物兵器であります。」



暦「・・・分かった。


君の協力を受け入れよう。」




なんとか遺体安置所を抜けると非常用のエレベーターと階段が見えました。




暦「エレベーターに乗ればもう出口だ。


出口はさくらさんが確保してるはず。」



あきつ丸「・・・おかしいと思いませんか?


今まで研究員も囚われていた艦娘も見当たらないなんて。」



暦「・・・・そうだね。


多分これは罠だ。」




その時後ろから拍手が聞こえた。




大淀「御明察です。


エレベーターに乗ってくれていたらしかけた爆薬で殺せていたのですが・・・


面倒ですねぇ。」




彼女は大淀。


ここ第七研究所の責任者でありますな。


彼女は八・一五事件の折に陸軍に協力することで今の地位を手にした裏切り者であります。




あきつ丸「裏切り者が・・・」



大淀「私は強い者の味方ですからねぇ。」



暦「・・・あきつ丸、階段を使って逃げろ。」



あきつ丸「自分も戦えます!」



暦「艤装が無いだろう。


・・・足手まといだ、早くいけ。」



あきつ丸「伊達に強化されてはいないであります。


足は引っ張りますまい。」



暦「・・・分かった。


けど、やばいと思ったらすぐ逃げろよ。」



大淀「与太話はそこまでですよッ!」




大淀が一瞬で暦の後ろに回りこむ。


そして抜刀し切りかかる。


暦は間一髪かがんでかわし、その姿勢から大淀の顔にキックを叩き込む。


ひるんだ大淀の腹にすかさずアッパーを入れる自分。


大淀は吹き飛び、壁に激突する。




大淀「・・・チッ。


これは本気でかからないといけないようですね。」




大淀の髪が白く染まっていく。




あきつ丸「これは・・・」



暦「これは深海化だな。


どうやらコイツは自分で深海因子を取り込んだらしい。」



あきつ丸「なぜそんなことを・・・」



深海化大淀「・・・強クナル為二決マッテルジャナイデスカ。


モットモットモットモットモットモットモットモット強クナラナキャイケナイノォ!」



あきつ丸「・・・狂人め!」



深海化大淀「オアソビハオシマイデス。


マトメテ消シ去リマス!」




言い終わると同時に大淀は切りかかってきました。


自分はそれを避けることができず、腹を貫かれてしまったのであります。




あきつ丸「うっ・・・」



暦「あきつ丸、大丈夫か!」



深海化大淀「邪魔ダ!」




駆け寄ってきた暦も胴を裂かれてしまいました。




暦「クッ・・・」



深海化大淀「アキツ丸、マズハアナタカラ始末シテアゲマスヨ。」




もう駄目だ、そう思った時であります。


一瞬で大淀の胴が離れました。


大淀の後ろには黒い鎧のような物を纏った誰かの姿。




あきつ丸「・・・は?」



?「・・・チッ、仕留めそこねたかな。」



あきつ丸「・・・貴官は何者でありますか?」



?「何者って・・・


八神暦だけど。


・・・あぁ、この姿を見るのは初めてか。


一時的に深海化したんだよ、僕も。」



あきつ丸「・・・」




驚きのあまり言葉を失ってしまった自分をよそに、暦は大淀と対峙します。




深海化暦「・・・もう治ったのか。


再生早いな。」



深海化大淀「・・・痛イデスネェ。


フレームハ1デスカ。」




深海化した者はその強大すぎる力を抑える為に血中の深海因子の濃度を保つ必要があります。


ですからフレームと呼ばれるナノマシンを投与することにより自我を保っているのです。


フレームは深海因子の活動を抑えます。


そのナノマシンの名前にちなんで血中で活動している深海因子の割合をフレームと数字で表し、


フレーム1は深海因子の濃度が20%、2は40%、3は60%、4は80%、5は100%を示します。


ちなみに今までフレーム4を達成できた者はおらず、フレーム3でさえ達成した者の八割が自我を保てず暴走した後、殺処分されました。




深海化大淀「摘ミトリマス!」



深海化暦「うるせぇ・・・よっ!」




暦に跳びかかろうとした大淀をカウンターで蹴り上げる。


その衝撃にたえられず大淀は天井に激突する。


そして大淀が床に落下する。




深海化大淀「ウゥ・・・


コンナハズジャナイ。


私ハモットモット強クナレル。


強クナラナクチャ・・・・


強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク強ク・・・ッ」




深海化大淀「ウワァァァァッ!」




大淀が咆哮をあげると彼女の体が禍々しい気体で包まれます。


そして彼女の体を包んでいた気体は鎧をなしました。




深海化大淀「・・・これがフレーム2ですか。


なんだか清々しい気分ですね。」



暦「・・・あきつ丸、下がってろ。


トばすぜ。」






つづく





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TomoHashiさんから
2018-05-11 21:13:32

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1: SS好きの名無しさん 2018-04-25 23:10:09 ID: 5ihYD3ii

個人的には名作の予感…!

2: ごーや 2018-04-29 04:02:18 ID: l6y9KR5z

ありがとうございます。そういうコメントもらえると作者が泣いて喜びます。

3: SS好きの名無しさん 2018-04-29 21:31:56 ID: i9zj76hP

続きが楽しみです。

色々とあるかもしれませんが、完結させてくれると嬉しいです。
ゆっくり待ってますね。

4: ごーや 2018-04-29 22:09:53 ID: l6y9KR5z

ありがとうございます。遅筆ですが絶対に完結させますので最後までお付き合い下さると嬉しいです。

5: SS好きの名無しさん 2018-04-30 04:49:51 ID: 7kbJlQRu

うぽつです!
深海棲艦と人間のハーフか・・・
斬新な設定ですね!
個人的に深海勢の中では戦艦水鬼が大好きです!

6: ごーや 2018-04-30 13:13:02 ID: vweEXA8_

ありがとうございます。戦艦水鬼も後々登場させる予定ですよ。

7: ごーや 2018-04-30 13:23:55 ID: vweEXA8_

ありがとうございます。戦艦水鬼も後々登場させる予定ですよ。

8: ごーや 2018-04-30 15:59:24 ID: vweEXA8_

ミスりました。すみません。

9: SS好きの名無しさん 2018-04-30 17:10:08 ID: gseemW83

八・一五事件って見たときてっきり、宮城占拠事件のことかと思ってしまった。
ひょっとしてなぞらえてるのかな。

10: ごーや 2018-04-30 20:22:29 ID: vweEXA8_

宮城占拠事件になぞらえたつもりは無いです。なんか記念日みたいなのにあわせたら面白いのではと思い、終戦記念日を選びました。


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