2019-02-15 20:47:57 更新

概要

用心棒はたまに思い出す。
幼き日の思い出。
かつて愛し、愛された人。
彼をこの道へと押し進ませた人。
今回はそんなお話。
に、しようと思ったんですが、構想の途中で予定が変わり、ただ用心棒の過去を振り返るだけになりました。ごめんなさい。許してください、何でも島風。


前書き

大したことじゃあないが、一つ話をしてみよう。悲しくもないし、面白くもない、ただのどこにでもあるお話だ。まあ、聞きたい奴は聞いて行けよ。


※r-18的な表現があります。グロ的なのもあります。極力控えるようにしますが、嫌いな方は見ないようにお願いします。








かつてのいつか





少女「お~い、早くおいでってば!」


少年「待て、俺とて体力は無限ではないのだ。少しは加減せよ。」


少女「やーだもん、トンくんってば、おじいちゃん見たーいw。クスクス。」


少年「小娘・・・、貴様、俺を老体と嘲ったな。よかろう、この俺の本気を見よっ。」


少女「え、ちょっと、はや、ちょ、いきなりなんてずるーい!」


少年「この東郷、もはや手加減せん!」


少女「まってーーーー!」







少女「ぜい・・・ぜい・・・・。トンくん、早すぎるよお。」


東郷「当然であろう。貴様と俺では、そも、基礎的な能力に爆発的な差があるのだ。」


少女「ふん!別にいいもん。私だって博士に頼んでもっと強くしてもらうもん!」


東郷「ハハハ!あの小男がそんなばかばかしい頼み、聞くものか。ハハハハ!」


博士「ほう、君にとって私はそんなに狭量な男に見えたかね。」


少女「あ、博士ー!」


東郷「いやいや、そんなことは言っていない。ただ、その生まれた理由からして、これ以上の強化は許されないことは明白であるからそういっただけのこと。」


博士「やはり、君は逸材だね。」


少女「えー、博士。私はトン君みたいに強くなれないのー?」


東郷「・・・なあ、最前から気にしていたのだが、その、トン君とはどういうことだ?」


少女「東郷だとー、一番初めの文字がヒガシでしょー?だから、東を中国語にすると、トンだから、トンくん!いいでしょ?」


東郷「いや、別に悪くはないが・・・、どうにもトンという響きは、豚畜生ともとれるから、あまり好かん。いや!別に、貴様がそれを気に入っているなら別にかまいはせんのだが。」


博士「良いじゃないか。トン君。いい響きだよ。」


少女「ほら!」


東郷「む、むう・・・。」


博士「それで、西郷君はこれ以上強くなれないのか、という事だったね。」


西郷「うん。」


博士「それはムリだね。残念だけど。」


西郷「えー、なんでー?」


博士「君はPSY(サイ)の才能を持って生まれてきたからね、その才能を伸ばすことにしているんだ。」


東郷「・・・。」


西郷「むうー、わかった・・・。」


東郷「博士、ちょっと話が。」


博士「なんだね。」


東郷「奴の実験は・・・もう少しどうにかならんのか?」ヒソヒソ


博士「どうにか、とは?」ヒソヒソ


東郷「その・・・あの機械が、結構うるさくてだな・・・。」ヒソヒソ


博士「ああ・・・。」


東郷「どうにか、頼むぞ!」


博士「わかったよ。」









数年後


キィィイイイイーーーーン・・・・・


東郷「・・・。」


東郷「(またこれだ。)」


東郷「(この耳鳴り、うっとうしいことこの上ない。)」


東郷「一体何が原因なのやら。」


西郷「ただいま~・・・。」


東郷「おう。」


西郷「あー、疲れたー。」ボフ


西郷「何を難しい顔をしてるの?」ムク


東郷「最近、耳鳴りがひどくてな。」


西郷「ふうん。」


東郷「ドクに相談してみようか。」


西郷「そうしてみたら。」


東郷「お、直ったぞ。」


西郷「あたしもう寝るわ。」







博士「さあ、今日も身体能力のテストをしてみようか。」


東郷「またか。いい加減一㌧強の牛を屠るのも飽きたぞ。」


博士「まあ、そういわずに。」


東郷「・・・。」


博士「・・・。」


東郷「始めよ。」


博士「テスト開始。」


「ほら、出番だぞ。」


「しっかり働け。」


猛牛「ブルルルルゥゥゥ・・・・。」


東郷「いつもと比べて強そうだな。」


博士「特に気性の荒いやつを選んだからね。」


猛牛「ブォォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


東郷「・・・。」


青年は肩幅より少し大きい程度に足を開き、腰を深く落とす。

二百メートル先から爆走する猛牛に対して真正面に構え、その眼は牛の眉間をまっすぐとらえている。

青年も突進し、猛牛との相対速度がぐんと上がる。

激突。

金属同士を打ち合わせたような硬い音が周囲に響く。

その叩音の中心には互いにかみ合って一歩さえも引く様子はない青年と雄牛。


東郷「(軽い。)」


青年は雄牛を強くつかみ、そのまま天頂まで持ち上げる。はたから見る者には、太陽の中に雄牛の猛々しい姿が影となって見えている事だろう。

瞬間、雄牛は地面にあおむけで叩き付けられた。大地を驚愕させ大気を震え上がらせるほどの剛衝。


東郷「こんなものか。」


博士「Wunderbar!(素晴らしい)Wunderbar!(素晴らしい)」


博士「予想外の成長性だよ!いやあいいデータが取れた。」


東郷「俺も自分自身で己の成長に驚いているところだ。まさかこれほどとはな。」


博士「ところで、角の傷は何ともないのかい?」


東郷「ああ、とうとう奴の角さえ刺さらなくなった。俺の皮膚が固くなりすぎたらしい。」


博士「ふむ、そんな段階まで進化していたのか。」


東郷「そのようだな。」


博士「ところで、西郷君から聞いたのだが、耳鳴りに悩んでいるとか。」


東郷「うむ、このところずっとなのだ。」


博士「ふむ、少し検査してみようか。」


東郷「ああ、また今度で頼む。」


博士「わかったよ。」


東郷「頼むぞ。」







用心棒「(そのあと、とうとう耳鳴りの正体はわからなかった。)」

用心棒「(というのも・・・。)」







翌日



東郷「出頭命令?」


博士「東郷君と西郷君にもみたいだね。」


東郷「唐突だな。」


博士「教えてなかったけど、今の日本には徴兵制があるんだよ。出頭命令が来るのは基本的に男子だけなんだけど、例外的に何らかの強力なまたは特     殊な能力を持っている女子に限り出頭命令が来るんだ。」


東郷「なるほど。しかしまて。その特殊な能力とかはどうやって見分けるのだ。」


博士「これも教えて無い事なんだけど、この施設はそのためにあるんだ。」


東郷「ほう。」


博士「日本に生まれた新生児は漏らさずこの施設にいったん預けられ、特筆すべき能力なしと認められた子供は両親の下へ返される。」


博士「何かしらの能力があると認められた子供はそのまま施設で預かり、その能力を成長させ、十分に成熟させたのち、徴兵される。」


東郷「横暴だな。」


博士「まあ、そんなものだよ。」


東郷「ならば拒否する。」


博士「無理だよ。」


東郷「だろうな。言ってみただけだ。」


博士「・・・。」


東郷「いつまでに来いとある。」


博士「明日。」


東郷「そうか、ならば今日の内に準備してしまおう。」


博士「・・・。そういえば、君に一つ言っていなかったことがある。」


東郷「艦娘とやらの司令官の適正か。」


博士「・・・。やはり、何から何まで御見通しか。」


東郷「俺の情報網をなめるな。」


博士「・・・ふふ。」


東郷「・・・。」


東郷「そういえば、俺も貴様に一つ言っておらんかったことがあるな。」


博士「なんだい、それは。」


東郷「俺には二つ三つ特殊な能力が備わっているようだ。」


博士「ほう。」


東郷「まあ、そんなに大きな声で語ることでもないし、一つだけ教えておいてやる。」


博士「・・・。」


東郷「俺は前世の能力をそのまま次の生に受け継ぐ、所謂゙強くてニューゲーム゙ができるらしい。」


博士「なんとなく、そんな気はしていたよ。」


博士「確証が、なかったからね。はっきりは言わなかったけど。」


それ以上何も言わずに立ち去った。何も言うことはなかったし、これ以上うだうだ会話する必要もない。

その夜、俺はやつにこのことを伝えた。やつも驚きはしたようだが、兵役に服することに概ね反対はしなかった。ただ、俺の特殊な力に関してだけは、


西郷「なにそれ、ずるい。」


といっていた。


次の日、俺たちは軍学校へ出頭し、そのまま軍学校で一年過ごすことになった。

軍学校で叩き込まれる知識は、奴は初めて知る知識に目を輝かせていたが、俺としては別段大したことは言っていないので、まあ、こんなものかと思っていた。

軍学校で過ごす間、奴が告白されたり、俺が告白されたり、それを巡って修羅場になったりいろいろあったが、めんどくさいので語らん。

軍学校を卒業する際、奴は懸命に勉学に励んでいたこともあって、首席で卒業していた。卒業式の日、奴はぼろぼろ泣いていたらしいが、俺は知らん。

俺は当初の予定通り、艦娘の司令官として就任することになった。奴は、PSYの能力をかわれて特殊部隊に入ることになったと言っていた。

これからは、俺が提督となってからのことを語ることにしよう。










用心棒:提督期







※ここからは、東郷→提督という風に表記が変わりますが、中身は変わりません



提督「まったく、上層部の連中も頭が固くて器の小さい奴らばかりよな。いくら俺は軍学校生時代に元帥の孫とその取り巻きをギッタンギッタンのメタンコの[ピーーーーーー]にしたからいって、何もこんな辺境に飛ばすことない。というか、される方が悪い。」


俺が配属された島は、沖縄本島と宮古島のちょうど中間あたりに位置する、地図に載らないような周囲一キロ程度の小さな小さな島だった。

樹木は一本もなく、バスケットボール大のでかい岩がごろごろしている。いくらなんでも無茶だと思うのは俺だけではあるまい。


提督「司令塔なし、艦娘寮なし、港湾施設なんぞあるはずもない。」


提督「横暴が過ぎる。あの[自主規制]ども、今度あったら頭がもげるまで普通の人間位の力でひっぱたいてやる。」


提督「さて・・・。」


提督「おい、そこの。」


??「!?」ビクッ


提督「さっきからこそこそと怪しいぞ。用があるならば姿を現せ。」


??「・・・。」ソーッ


提督「・・・。」


??「・・・エ、エット・・・。」


提督「・・・俺は三代目東郷平八郎。貴様の名はなんという。」


??「ム、ムラクモ・・・デス・・・。」


提督「なあにい!?声が小さすぎて聞こえんなあ!もっとでかい声で言え!」


叢雲「ぴっ!・・・・む、叢雲です!吹雪型5番艦!叢雲です!」


提督「よろしい。やればできるのだろうが、最初からそうすればよいのだ。自信を付けよ。」


叢雲「は、はい・・・。」


提督「声が小さい!」


叢雲「は、はい!」


提督「どもるな、はっきり喋れよ、できるな!間違っていたら正してやる!」


叢雲「は、はい!!」


提督「直っていないッ!もう一度、いいな!」


叢雲「はい!」


提督「よろしい。これから俺とともにこの島を発展させていくのだ、もっとしゃんとせよ。」

叢雲「あの・・・聞いてもよろしいでしょうか。」


提督「許可する。」


叢雲「なぜ、こんな草の一本もない島が我々の拠点なのでしょうか。」


提督「さあ?」


叢雲「へ?」


提督「俺にもわからん。期待されているのか試されているのか、それとももとよりここに捨て置くつもりだったのか。真偽は定かでないがな。」


叢雲「ですが、この島ではあまりにもハンディキャップが大きすぎるのではないでしょうか。」


提督「普遍的な思考しかできんものにとってはな。」


叢雲「どういうことでしょうか。」


提督「少しばかりこの島を調べてみた。すると、海岸線の土は痩せ衰えて、もはや砂と同じほどで復活させるのに時間を要するが、島の中央あたりの土は海岸線と比べて幾分かましだった。」


叢雲「どういうことでしょうか・・・。」


提督「育てようと思えばいくらでも育つ、樹木はな。」


叢雲「ですが、それでは足りないのでは・・・。」


提督「無論だ。なので、洞窟を掘る。」


叢雲「洞窟を・・・。人力ででしょうか。」


提督「無論だ。」


叢雲「つるはしはおろかシャベルすら見当たりませんが。」


提督「素手でやる。」


叢雲「・・・。」


提督「おい、俺は普遍的な思考しかできないものでは、と言ったはずだぞ。俺にとってはこの程度造作もない。」


叢雲「・・・。」


提督「俺は断じて異常ではない。しいて言うならば、素手で洞穴さえ掘りぬけぬ貴様らの方が弱すぎるのだ。」


叢雲「はあ、まあかまいません。ですが。ほら穴を掘りぬいて何に使うのでしょう。ついでにどこから掘りぬくのでしょう。」


提督「島の中央から直下彫りする。ある程度掘ったら横に少し広げる、また少し掘ったら広げるということを繰り返していけば、いずれドーム状になるはずだ。」


叢雲「何に使うのですか。」


提督「無論、執務棟だ。」


叢雲「・・・。」


提督「おい、そんな、ここに来たのは間違いだったか、みたいな顔をするんじゃない。いや、確かにそうではあるが。」


叢雲「まあ、いいです。この際、私もお手伝いしますよ。」


提督「おまえ、なんだかこの短時間にずいぶん神経太くなったんじゃないのか・・・。」





数日後・・・


提督「完成だ。」


叢雲「まさかほら穴を掘りぬくだけで五日かかるとは思ってもみませんでした・・・。」


提督「ま、ひたすら岩を砕いてそれを地上へはこぶを繰り返しただけだがな。」


叢雲「ところで、あまりに必死なので気にしていませんでしたが、この縄梯子はどこから入手されたのでしょう。」


提督「沖縄本島へ行って買ってきた。」


叢雲「いつの間に・・・。」


提督「お前が眠っている間にだ。」


叢雲「そういえば、出撃はしないのでしょうか。」


提督「無理だ。」


叢雲「なぜでしょうか。」


提督「出撃するための施設がないのだ。」


叢雲「は。」


提督「港湾施設は一切なし。倉庫もないし、執務棟だって今掘りぬいたほら穴がそうだ。」


叢雲「」クラ


提督「おい、大丈夫か。」


叢雲「いえ・・・、お先真っ暗すぎて、少し先行きが不安になっただけです。」


提督「フフフ。」


叢雲「何がおかしいのですか。」ジト


提督「いや、なんでもない。」


叢雲「はあ・・・。「ただ、」」


提督「不安がったところで結局何も変わらない、結果はなるようになるだけだ。我らは、それをどうするかの舵を取るだけよ。」

叢雲「・・・。」


提督「どうした。」


叢雲「いえ、ただ、少し・・・。」


提督「まあいい。詳しくは訊かん。」


叢雲「・・・。」


提督「さて、執務棟ができたは良いのだが、いかんせん腹が減ったな。」


叢雲「私たち艦娘に空腹のあまり餓死と言ったことはありませんが、確かにそうですね。」


提督「先ずは何よりも食糧問題を解消すべきか。」


叢雲「そうですね。」


叢雲「・・・。」


叢雲「・・・。」


叢雲「あ。」


叢雲「育てればいいのか。」


提督「ほう。では、どうしてそういう考えに至ったのか説明してもらおうか。」


叢雲「そうですね、まず、食糧問題は、沖縄本島から持ち運べばいい話ですが、それでは長く持ちません。」


提督「そうだな。」


叢雲「そこで、さきほどの提督のおっしゃったことを思い出しました。」


〘提督「島の中央の土は比較的肥えている。」〙


叢雲「多少の違いはあれ、概ねこのようなことを言っていたように思います。」


提督「そうだな。」


叢雲「なので、その土をここに持ってきて、他の土や肥料も買ってきて混ぜて、野菜などは育てればよいという発想に至りました。」


提督「うむ、そうだな。しかし、野菜だけか?」


叢雲「贅沢をいえば米や肉類も欲しいところですが、今のところは・・・。」


提督「・・・。」


叢雲「どうでしょう・・・。」


提督「合格だ。俺もおおむね同じことを考えていた。」


叢雲「そうでしたか。」ホッ


提督「ただ、それには二つ問題があってだな。」


叢雲「なんでしょうか。」


提督「第一に、地下は日当たりが悪い。」


叢雲「あ・・・。」


提督「第二、この島はそんなに広くない。」


叢雲「もっともです・・・。」


提督「うむ、ここまで思い至れば、満点であったな。」


叢雲「力不足でした・・・。」


提督「もっと精進したまえ。」


叢雲「はい。」


提督「さて、叢雲。」


叢雲「なんでしょうか。」


提督「先ほどあげた大きな二つの問題、どうやれば解消できるね。」


叢雲「・・・。」


提督「・・・。」


叢雲「島自体の面積を広げる、でしょうか。」


提督「百点だ。」


叢雲「ホッ・・・。」


提督「それをこれからやる。」


叢雲「いえ、その前にお昼にしましょう。」


提督「む、そうだな・・・。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・








少女から見た場合





三代目東郷平八郎。

これは正式な名前ではなく、いわば芸名のようなもので、本名は不明。私の幼馴染。

地球の歴史を全て把握していて、超宇宙的身体能力を持ち、この地球上に存在するすべての事象を理解する。

その理由は、何度も何度も生まれ変わり、歴史の移ろいとともに歩んできたかららしい。

博士にも知らせていないことらしいけど、彼がもっとも初めに生まれたのはもっとも最初の人間が生まれるさらにさらに遠い頃らしい。

その時彼はただの人間だった、と言っていた。何のとりえもない、ただの人間だと。






記者「本日は、三代目東郷平八郎海軍特将の幼馴染であり、陸軍超常大隊大隊指揮官である、四代目西郷隆盛陸軍特佐に取材したいと思います。本日は、どうぞよろしくお願いします。」

西郷「はい、よろしくお願いします。」

記者「まず、単刀直入にお聞きしたいのですが、最近失踪した東郷提督は、ずばりどのようなお方でしょうか。」

西郷「そうですね・・・。彼を一言で言い表すのは、いかなる人間でも無理でしょう。」

記者「ほう、というと。」

西郷「ただ、一つ言うとするなら・・・。」

記者「するなら。」

西郷「・・・。」

記者「・・・。」

西郷「ごめんなさい、やっぱり何でもないです。(笑)」

記者「そうですか。(笑)」

西郷「代わりと言ってはなんですが、彼と私にあったことを振り返りながら、彼について話していきましょうか。」

記者「お、お願いします。」

西郷「そうですね、では初めに・・・。」













私が彼と出会ったのは、たぶん生まれて間もないころだったと思います。ただ、私が覚えている限りでは、幼稚園に入るくらいからはすでに一緒だった気がします。

私の彼の第一印象は、頼りがいがありそうな人、でした。

記者「幼稚園に入るころというと、3,4歳くらいですか。そんな年齢で、頼りがいがあるだとか、本当にわかるんですか。」

ええ、自分でも信じられませんけど、でも、確かにそう思ったんです。

実際、彼は頼りがいがありました。

クラスや彼の近くで喧嘩が起こると、真っ先に飛び込んで行って、あっという間に治めてしまう。周りの大人が口をはさむ暇もないくらいさっと治めてくれて、学校中から頼りにされてましたよ。

記者「やはり、幼少のころから貫禄がたっぷりだったんですね。」

そうですね。

実は、私、一度いじめられたことがあるんですよ。

記者「え、言っていいんでしょうか、それは。」

ああ、かまいませんよ。

中学校はそれぞれ別だったんですけど、彼ったらわざわざ私の学校に怒鳴り込んできてまでいじめを止めてくれたんです。

記者「ほう、それはどういう風に。」

その時は馬鹿なんじゃないかと思いましたけど。私のクラスまで来て、クラス全員を睨み付けてから、私をいじめていた連中を全員呼び出したんです。決闘だって。

記者「え、ちょっと待って下さい。名前や見た目は事前に伝えていたんですか。」

いいえ、まったく。

記者「では、東郷提督は、事前に知ってもいない名前をいいあてたんですか。しかも、西郷特佐をいじめていた人たちを。」

はい。すごいと思いましたよ、私も。でも、今考えればそんなに不自然なことじゃないと思いますよ。

記者「どういう事でしょう。」

私、何度か彼に叱られたことがあるんですけど、一目見ただけで何をしたか言い当てたんです。

記者「ほう、たとえば。」

彼のお気に入りの茶器を割ってしまって、それを隠したり。

記者「幼いころから茶道をたしなんでおられたのですか。」

え、そっち聞きますか。

記者「ああいえ、なんでもありません。」

そういう時に、彼の目はすごく怖くなるんです。まるで心の中を見透かされてるみたいで、悪意のある人ならまず間違いなく直視できないような眼光でした。それを見た瞬間、謝らなくちゃってわかってるんですけど、どうしても言い出せなくなってうつむいちゃうんです。たぶんそれを見てるんでしょうね。

記者「なるほど。」

それで、話を戻しますね。

記者「はい。」

そうやって、一時間か二時間くらいそこで待っていると、彼は無言で戻ってきたんです。両手に気絶したいじめっ子を数人抱えて。それを無造作に放り投げて冷淡に告げました。

東郷『所詮貴様らはその程度だ。』って。

記者「どういう事でしょうか。」

たぶん、所詮大した望みもないからこんなことをするようになる、その程度のことしかなせんのだということだと思います。


後書き

思いつきで始めた奴の方が筆が速いぞー?
本業を疎かにするな。


次回は少女視点、博士視点、叢雲視点の順で上げていきます。





またしても激遅更新ペース。ゆっくり待っててください。


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