2021-03-05 20:58:55 更新

概要

少年と艦娘とのちょっとしたお話です
(マイルドな、おねショタ)


前書き

オイゲンお姉ちゃんと、思春期な少年とのお話です


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夏の夜


青白く発光する自販機の前で


僕は、あの日彼女と初めて会いました。


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カチ…コチ…カチ…コチ…






時計の音がうるさいって訳でも無いけど…







チラリと部屋の壁掛け時計に目をやる。



木目調の丸いソレは薄く発光しており

暗がりでも時間が確認出来るような仕様になっているらしい。




母さんが、気を利かせて買ってきてくれたものだけど…


携帯があるから別にいいんだけどなぁ。




「…。」





土曜の23時頃


何故だか、土曜日のこの時間帯に目が覚める事が

最近多くなってきた。


別に学校は休みだから良いんだけど

日曜日が割とつらいんだよね。


ゴロンと、寝返りを打って枕元に置いてあるスマートフォンに手を伸ばした。


端末の下部にある丸いホームボタンを

軽く押すと画面に通知の一覧が表示され、

僕が眠っている間にクラスメイトのA君からのLINEや、Twitterのファボ、RTの情報、

アプリで表示されるネットニュースがスクロールされる度に画面上走る。



その中に

『深海棲艦、出現情報』

『タレントの○○、芸能界引退か』

『新規配属艦娘、空母のA衝撃インタビュー』




そして

『艦娘、轟沈リスト 新たに二隻が尊い犠牲に』




来週は

この話題で持ちきりだろうな。


だって、この艦娘が所属しているのって

僕らが住んでいる街にある鎮守府の事だもん。




…ダメだ眠れない。



グッと上体を起こし、ベッドから床に足を落として

ゆっくりと立ち上がった。


すたすたと、普段そこそこに使っている勉強机に

置かれてある、エアコン用のリモコンを片手で持つと

それを空調の方に向けて電源をOFFにする。


ああ、エアコンを最初に開発した人ありがとうございます。


白いTシャツ、パンツという夏の夜に相応しいスタイルではあるものの…


さぁて









息を切らせて、一定のリズムで足を早めに

前後させる


左右の

電柱と街灯が次々に奥に流れていく。



真夜中のランニングは良い。


陸上部のトレーニングも出来るし気分転換にも

なる。


家を出て20分くらい


そろそろインターバルを入れよう。


膝に手を着いて一呼吸、二呼吸…


息を落ち着かせ背を伸ばして

また足を運ぼうとしたその先に

うっすら光を放つソレがあった。




?



走行のために『く』の字に曲げた足を戻し

ゆっくり歩いて近づいてみる。



こんな所に前まで『自動販売機』なんてあったっけ?


暗闇の中で薄く青に発光するディスプレイ

そして陳列されている商品を眺める。


なんだ…これ?





『弾薬風味ジュース!弾ける炭酸!』

『鋼材風味 愛しの紅茶』

『海外直送 ボーキ硬水』…etc






全部、見たこと無いラインナップだ。


それも女子受けしそうな可愛らしいデザインのボトルがほとんど。


…うーん


全部気になるな…。


ところでどこのメーカーが出しているんだろう。


自販機には何にも書いてないな


真っ白いボディには何のプリントもされてないなんて

…こんなのもあるんだなぁ。



とりえあずなんか飲んでみよう…


えっと「鋼材ソーダ」?とか…あ、120円なんだ

良心的。


よいせっと、280mmの缶?


プルタブを上げてっと














な、なんだこれ

味がほとんどしない?


と謎の液体に不信感を抱いていたその時






「それ、あんまり美味しくないよね。」





背後から声を掛けられ

驚いてむせってしまう。





「あぁ!!ごめんねごめんね!暗い所でいきなり声かけたらそりゃ驚くよね!」



体を丸めてせき込む僕の背中をさする

柔らかい何か。


これは手のひら?


涙目になりつつ、その手の

持ち主の顔を確認する。



「大丈夫?」



さっきから何となく感じてた違和感の正体を

確信した。

『彼女』は『外国の人』だった。


自販機の薄蒼い光を反射する金色の髪。

まとめられたおさげ。


潤みを帯びている蒼い大きな眼。


僕の事を案じているのか八の字に下がった眉。


白い肌と幼い顔。


黒を基調とした赤いラインの入った

若干ミリタリー要素を含んだ珍しい衣服。


こんな綺麗な女の人

クラスにも僕が知っているアイドルにも

いない


あまりにも綺麗で

くちからソーダが垂れているのも

気づかず、ぼうっと見つめている自分がいた。



「ど、どうしたの?」



言われてハッと我に返った。



「あ、いえ!す、すいません!」



グシグシと缶を持ってない方の手で

口元を拭って謝罪。


なんとも情けない。



「あはは、大丈夫そうなら良かった!」


「君は…ここらへんに住んでる…小学生?」



身長が僕よりも頭一つ分ほどに背の高い

お姉さんは、グイッと顔を近づけてきた。



「僕は中学生です!確かに背は、ち、小さいかもしれないですけど…!」



ムッとした顔を浮かべているのは自分でもわかる。

でもコンプレックスを遠回しに言われては黙っていられない。


するとお姉さんは

パッと弾けるように背をのけぞらせ

驚いた顔で、右手で口を覆った


「えー!!?本当に中学生なの!?」


「ふーん?Japanの成人男性も身長は低い方だけど…やっぱり子供も小さいのね!」



お姉さん、それ

笑顔で言う事じゃないです

僕、悲しいです!


少年ハートはぼろぼろです!!


そういえば…



「や、やーぱん??…お姉さんは…えっと、誰?ですか?」




驚いた顔から

徐々にニコニコと笑顔に変化

しつつ悪意が無いであろうおそらく日本男児

への批判をつぶやいたお姉さんは




『あ、そうだった』という表情に最終的には

落ち着いた。





そして-






「初めまして!私は-」



「プリンツ・オイゲン!!艦娘です!」



「よろしくね少年!」



そうやって

ニッコリと笑顔を浮かべるお姉さんは

お姉さんなんだけど、年下にも見えるし


こんな雰囲気の女性に会ったのは初めてだった。







気が付くと僕たちは自動販売機近くのガードレールに腰をかけて並んで座っていた。

彼女、良くニュースで耳にする『艦娘』さんとお話をするのは初めてで緊張したけれど


なんだか


「でね!そのときビスマルクお姉さまがね!!こうっ…びゅばーんって!そしてずどーん!って!」



腕をぶんぶん振り回しながら話す彼女はどこか危なっかしくって


少し変わっていて




「そしたらAdmiralさんがねぇ!」



いつしか真夜中という特別な空間に彼女と僕だけとういう雰囲気にすっかり飲まれていた。




…………




「あ!!」



そう声を発したのは寒さがツンと鼻をつく

深夜帯になびく金髪だった。


「ごめんね!そろそろ鎮守府に帰らないと!」



慌てた様子で両手をぶんぶん振ったかと思うと



「なんかちょっとのど乾いちゃった・・・」


「そうだ!」



喉を押さえてせき込んだかと思った矢先に

僕が手にもっていた飲みかけの不思議な飲料の入った缶はいつの間にか彼女の手に移動しており



コクコク



ーーーー初めての間接キスというものだった






「っぷはぁ!んーまっずい!」


「はい!Danke!」




そういうと彼女は僕の手に

半ば押し込むように缶を戻した。




白い肌にプクリと浮かぶ紅い唇をさらに赤い舌で

なめずった後に意地の悪い顔を僕に向けた。




突然起きた事に僕の頭はついて

いけずただ缶と彼女の顔を繰り返し見返すだけしか出来なかった。




「あれー?もしかして恥ずかしかった?」




な、なな・・・と

脳がオーバーヒートしそうな僕の耳元で

プリンツ・オイゲンと名乗る艦娘は


「もう一回する?」



と囁いた



ゾワゾワする感触を僕はどうしようもなくなってしまい

変に意地を張ってしまっていた。


ボーッとしてるうちに

プリンツと名乗るお姉さんは遠く

暗闇へと走り去っていた


…………

……



憎たらしいほどに

執務室の窓から見える青空が

綺麗だ


「それで?何か言い訳する事は?」



ため息まじりにビスマルク姉様が

私に問い詰める


最近、鎮守府を抜けている事がバレたのだ



「え、えーっと…息抜き!…みたいな感じに…ならないかなーって」



ビスマルク姉様が額を抑えて酷いため息をついた


その光景をみたのち、少し目深にかぶった帽子を

少しかぶり直した。



「確かに!」


「この鎮守府には、もう少し息抜きやそういったものが必要かもな!」


「真面目すぎってのも考えもんよ!」



そう声を 発したのは提督だった



「他の提督の考えなんざわからんが、女の子が任務を終えてからの事なんざに口出しすんのは度量が低いってもんよ」



「まぁなんだ…」




提督は帽子を取り困ったように頭をかいた。


眉を潜めながらもどこか嬉しそうに




「次はばれないようにな」



意外な一言を私に放った。

いたずらっ子のようにウィンク、そして左手の人差し指で

唇に一本線をひいた。



「アドミラール!!それじゃ他の艦娘に示しがつかないじゃない!!」



食いつくようにビスマルク姉さまが反応した

それはそうだ夜な夜な抜け出す軍人がいてどこが

許されるだろう。


再び私は委縮してしまう、呼吸が浅くなってしまっていた。


冷汗が額からにじみ頬を伝う。



しばらくの重い沈黙がその場を制した






―が



「ビスマルク?君は―」




先に言葉を発したのは提督だった。




「自分の姉妹艦にも等しい彼女の楽しみを奪うことが許されるとでも?」




それはあまりにも意外すぎる一言だった。




「なっ…!」



あまりにも唐突な反応でさすがのビスマルク姉さまも面食らったようでした。



「確かに我々軍人は規則が絶対さね?」



提督は少し微笑んでそれを口に出しました


やはり私のしたことは…鎮守府を抜け出して勝手に

一般人と会話をしたことは…



「でもそれはあくまでも人間として、思考する生き物としての休息やストレスの発散ができることが

前提だ。」



その声音は責めるどころか

まるで幼子に諭すかのように柔らかなものでした



「軍人でも、人は機械じゃないんだ」



帽子を目深に被りなおすと




「きちんと自分の考えがあって、感情があって…個性をもっている」



コツコツを革靴を執務室に響かせながら窓辺に足を運んでいた。




「君たち艦娘は人間となんら変わらない女の子なんだ」


「自分の好きな事だってしたい事だってあるだろう?」



窓の外を眺めながら彼はそう口にしていた

ちらりと見えた窓の向こうには駆逐艦の子たちが追いかけっこをして

遊んでいるのが見えた。



「あくまでも俺の考えだけど、すべきことを成しているのであればそこまで責める必要はないよ」



それに、と提督は言葉をつづけた




「君たちが問題を起こしたら、それに対応するのが俺ら提督の、上司としての役目さ」


「だからここの鎮守府にいる限りは伸び伸びと過ごしてほしい」


「俺は君たちを信じているよ」



窓辺から振り返って私とビスマルク姉さまを前にした彼は

とても柔らかい笑みとともにそう言葉を放った。



「~!!」



ビスマルク姉さまのほうに恐る恐る目を向けるとうつむいていたせいか

目元は確認できなかったけど、唇をきゅっと閉じて拳をワナワナと震わせていた。




「どうして…」


「どうして貴方っていう人は…」



ボソッと口にした彼女は俯いたまま執務室のドアまでやや早歩きで向いドアノブに手をかけた。



「失礼しました」



そう冷たく言い放つと、やや乱暴にドアを開けそして

そのまま退室した。



バタンという大きな音を最後に提督と私が残された部屋には沈黙が重くのしかかった




「はは…嫌われちまったかな」



こまったような乾いた笑い声をあげたのは彼だった。



しばらくドアを注視して自分のしたことを悔いていたとこだったが

その声に現実に意識を戻された。



「…提督」


「あのっ…私…」



申し訳なさと自分の浅はかさに打ちひしがれてしまっていた

大好きなビスマルク姉さまにあれだけ失望されてしまっていて

私は心の行きどころをなくしてしまっていた。



「なぁ…プリンツ?」



提督はその大きな手を私の頭にやり2度ほど浅く撫でまわした後



「その友達を大事にな」


小さくそう言いました


後書き

続くよ!


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3件評価されています


がっくらさんから
2020-03-11 20:53:50

SS好きの名無しさんから
2018-11-29 21:56:38

SS好きの名無しさんから
2018-11-06 21:47:40

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2020-03-16 13:57:17

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2020-03-11 20:53:52

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2018-11-29 21:56:25

SS好きの名無しさんから
2018-11-06 21:47:40

このSSへのコメント

5件コメントされています

-: - 2018-11-06 21:49:55 ID: -

このコメントは削除されました

2: SS好きの名無しさん 2018-11-07 06:30:16 ID: S:qer_MY

更新乙です!

3: SS好きの名無しさん 2019-07-28 14:45:36 ID: S:UYXrPz

誤字と思われる個所を見つけました。「ふーん?Japanの成人男性も慎重は低い方だけど…やっぱり子供も小さいのね!」慎重→身長

4: SS好きの名無しさん 2020-02-14 08:26:40 ID: S:6TMJ1x

今でも待ってるでー、早く更新されないかな?

5: SS好きの名無しさん 2020-02-27 22:48:47 ID: S:b9emjw

良かったー!生きてたw
ぼちぼちでいいので頑張って下さい


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-: - 2018-11-06 21:43:07 ID: -

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