2017-06-23 22:45:12 更新

前書き

いよいよラストです!今まで読んでくれた方本当にありがとうございました!
 それではどうぞ!


[卒業式]

 今日は卒業式。送辞も無事完成し、平塚先生の許可も得た。後はこの気持ちを伝えるだけ…一番大切な気持ちは伝えられずに終わってしまうけど、もう後悔は何もない。

「…うん。大丈夫」


 そして式は始まった。校長、来賓の方々からの祝辞および祝電祝文などが述べられ、いよいよわたしの出番。

 

 司会進行を務めていた平塚先生から声がかかる。

「送辞。在校生代表・2年一色いろは」


「はい!」

 

 来賓席等に礼をして、ステージに上がる。いよいよだ。

(すー…はー…よし!)


「冷たい風も少しずつ暖かくなってきた今日、卒業式を迎えられた卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。在校生を代表し心よりお祝い申し上げます。

 思い返せばわたしは先輩方にもしかしたら一番お世話になったかもしれません。

 私事ですが、わたしは尊敬できる先輩に囲まれ、支えられこの総武高校の生徒会長になりました。

 最初は正直嫌でした。手違いで推薦されてそんなめんどくさい事誰がするもんかって思ってたんです…

 それで生徒会に直談判しに行ったら、平塚先生と当時の生徒会長に連れられて奉仕部っていう所に連れていかれたんです」


 そう。始まりはあの嫌がらせからだった。


 「部員は3人の先輩だけでそこは一種のお悩み相談所みたいな所でした。どうやったら生徒会長にならないで済むか相談してみたんです。

 そしたら意見が割れて、なんかとてもギスギスしてて最初は怖かったんです。

 そしてその中の一人の先輩に騙されてわたしは生徒会長になる決意をしました。生徒会長になったらこんなメリットがあるとかなんとかとにかく酷い理由でしたが、変に納得できたんです」


 ほんと酷かったですよね…わたしも先輩も…



 「生徒会長になってからも3人にはお世話になりっぱなしで、正直小生意気でわがままな後輩だったと思います。でも、3人はそんなわたしとちゃんと向き合ってくれたんです。そのおかげでわたしは大切な事を3人から学びました」

 

 本物と向き合うということ。


 「今思えばあの日騙されていなかったら、生徒会長になっていなかったら、今のわたしはありません。こうして学校に通う日々を楽しいと思う事も出来なかったと思います。」

 

 それからわたしは変わった。本物を見つけるために。


 「だから最後にその3人に感謝を述べたいと思います」


 だから言うんだ。わたしが見つけた本物を。


 「結衣先輩。結衣先輩はいつもわたしに優しくしてくれて、奉仕部に来ないときは必ず今日は来るの?といつも気を使ってくれていました。そんなメールがとても嬉しかったんです。わたしの居場所はここにもあるよと言ってくれている気がして…」


 結衣先輩はすでにぼろぼろと泣いていた。


 「雪ノ下先輩。雪ノ下先輩は厳しくいつもわたしを諭してくれました。でもそれはいつもわたしのためで、本当に辛い時は優しい言葉で慰めてくれました。二人ともわたしのお姉ちゃんって感じです。」


 

 雪ノ下先輩はこちらを優しい笑顔で見てくれている。



 「そして先輩。先輩には本当にお世話になりました…生徒会選挙の時からずっと…今日のわたしがあるのは先輩のおかげです。先輩がこの学校を卒業すると同時にわたしも先輩を卒業します…本当にありがとうございました。『ひきがや』先輩」


 うん…これでいいんだ。わたしは先輩を困らせたいんじゃない…笑顔で送り出してあげたい…わたしはたくさんのものを先輩からもらったから。それだけで十分。

 

 「最後になりましたが、私達在校生は先輩方が教えてくださった事を受け継ぎ、後輩の見本となるよう、精一杯精進します。それでは卒業生の皆様のこれからのご活躍とご健康をお祈りし、送辞といたします。在校生代表 一色いろは」





 

 『ありがとう。先輩。わたしに恋を教えてくれて。そして…さようなら』








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[さよならのゆくえ]


 その後卒業式は滞りなく終了し、わたしはとりあえずの役目を終えた。


 ここからの主役はわたしじゃない。


 わたしは家へ帰ろう…


 この気持ちを誤魔化すためにイヤホンを耳に着けて、スマホの再生ボタンを押す。


 昨日少し聞いていたため一番大好きなフレーズから流れ出す。



 

 『ため息も白くなっていく帰り道

  君に話したい事が溢れる

  耐えられない孤独も 抑えきれない不安も

  君なら一秒で変えてくれたはずなのに


  あの日の二人の笑い声が聞こえる

  ずっと隣になんてもう言わない

  退屈な日々君が

  蹴り飛ばしてくれてた

  自分が空っぽになるほど 好きだった人』



 切ないラブソング。ずっと隣にいたいけどでも言えない…まるで今のわたしのようだった。

 


 タイトルは『さよならのゆくえ』


 

 この曲の二人はこの後どうなったのだろう。



 さよならの『行方』はどこに続いていたんだろう…



 わたしの行方はどこに続いているんだろう…




  

 その行方の答えはきっと、わたしの腕を掴むこの感触だけが知っている。


―完―


後書き

以上で『さよならのゆくえ』とりあえずの完結です!
いやー初めて書いた作品を完結させられてとりあえず満足!最後はどうやって終わらすか悩んだけど、結局こうなりました。
 最後の一文のゆくえは読者様の希望があれば書くかどうか決めたいと思います!
まぁそんなに希望ないでしょうけど…(笑)
 とにかく読んでくれた方、最後までこんな駄文に付き合っていただきありがとうございました!
 次はオリジナル小説を書こうかと思ってますのでもしアップされたら読んでやってください!
 


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2020-06-28 06:32:51

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2020-01-09 06:58:14

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2017-06-28 23:24:05

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