2018-04-18 07:22:20 更新

概要

問題を抱えた艦娘達と提督が、戦力外と蔑まれる鎮守府で共に戦っていく物語。


前書き

初めてSSに挑戦してみました・・・お手柔らかにお願いします(震え声)



ある昼下がりの事。



天候にも恵まれ、気温もいい今日この頃俺たちが何をしているかというと・・・



電「はわわっ、司令官さん!電の竿にお魚さんが来ました!なのです!」グググッ



提督「お、奇遇だな!俺のほうにも反応ありだっ!!」グググッ



電「これは未だかつてない程の手ごたえなのです!」グググッ



提督「ほぉ?じゃあ今から釣り上げる魚の大きさで勝負するぞ!大きかったほうが今日の晩飯の食事当番だ、とっ!!!」



ザッパーンッ



魚「」ピチピチ



提督「よしゃ!なかなかの大きさだ!これは俺の勝ち『ザッパァァァァァンッ』



巨大魚「」ピチピチ



電「は、はわわ!こんなに大きいお魚さんが釣れてしまったのです・・・!」キラキラ



提督「・・・あ~、さっきの話無かった事には」



電「ならないのです!」ニコッ



提督「ですよねぇ~。」



二人仲良く釣りをしてました。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


俺たちが何でこんな真昼間から釣りをしているかというと、ただ単純に生きるためだ。



今、俺たちが所属しているこの鎮守府は本土からも激戦区から最も離れた場所に位置している。



それ故に普段は近隣の海域を哨戒(といっても、滅多に深海棲艦に遭遇しないためただの散歩みたいになっている)したり、近くを通りかかる輸送船の護衛をする事(余程の事がない限りこの海域は遠回りになるので、未だに要請はない)が主な任務となる。



そんな鎮守府として機能しているかどうかも怪しい所に俺みたいな新米提督が着任するものだから、更に状況は悪くなり



この鎮守府は『不要な鎮守府』と蔑称で呼ばれ始めた、もっと口の悪い輩には『ゴミ捨て場』と揶揄されることも珍しくはない。



こういった鎮守府の扱いは想像するのに難はないだろう。資材の配給は無いに等しく食料でさえも雀の涙程度だ。



だからこうして日がな一日あいた時間はこの鎮守府の艦娘達と食材を調達しているというわけなのだが・・・


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


ー執務室ー



提督「ふぃ~、つかれたぁ・・・今日の執務はもう終わりでいいよね~?」ダラーン



電「だ、だめですよ司令官さん!まだ釣りをしただけでお仕事のほうには全く手をつけてません!なのです!」



提督「といわれても、俺らの仕事なんて高々そこら辺の見回り程度だろ?ここら辺なんて平和そのものじゃないか。」



電「ですが・・・。じゃあなんで電達はここにいるのですか?」シュン



提督「・・・ああ、言いたいことはわかるぞ電。だがな電、戦いなんて物は無いにこしたことはないんだ。」ナデナデ



電「あっ・・・」ピクッ



提督「自分の存在意義を間違えるなよ、俺たちは起こるかもしれない『もしも』の為にここにいるんだ。」



提督「だから、お前は安心してどっしり構えときゃいいんだよ。」ニカッ



電「・・・っ!はい!」ニコッ



提督「というわけで、一応見回りにでもいってもらおうかな。手が空いてそうな子達に声かけてくるから、電は準備しておいてくれ。」スタスタ



電「はいっ!なのです!」ビシッ



ー艦娘寮ー



提督「・・・とはいったものの、はてさて一体何人が俺の話を聞いてくれるかな。」



この鎮守府はその成り立ちからして異常だ、ここに所属している艦娘は全員他の鎮守府から追い出された娘ばかりで構成されている。



中には、戦い自体を恐れてこの鎮守府にやってきたこもいるが・・・なんにせよここの艦娘はみんな問題を抱えていることに変わりはない。



提督「『ゴミ捨て場』、か。皮肉なものだが、確かに的を射ているな。」



提督(とりあえずは物腰の柔らかそうな子を中心に話を持ち掛けよう。)



提督「まずはこの部屋・・・榛名からいくか。」コンコン



「・・・はい、どちら様ですか?」



提督「俺だ、提督だ。すこし頼みごとがあってきた、話だけでも聞いてもらえないか?」



「わかりました、少々お待ちください。」



提督(よかった、とりあえずは話を聞いてくれるみたいだ。)



榛名「お待たせいたしました、それでご用件のほうは?」ガチャ



提督「ああ、この後電と共にこの海域周辺の哨戒任務に向かってほしいのだが、頼めないか?」



榛名「またですか・・・お断りします。この周辺の海域は穏やかで敵なんていないじゃないですか、電さんだけで十分かと。」



提督「それもそうだが何かあったときに電だけでは心配だ、その分戦艦である榛名がいてくれたら頼もしいんだ。」



榛名「では、なにかあったときに呼んでください。それでは・・・」バタン



提督「・・・はぁ、だめか。」



提督(まぁ、大体予想はついてたがな。断られるのも慣れてきた。)



提督「落ち込んでいたって仕方がないよな、つぎは・・・睦月のところにでも行くか。」



提督(睦月は大人しいし、頼めば引き受けてくれるだろう・・・)スタスタ



提督「たしか・・・ここだな。」



提督「おーい、睦月。俺だ、今大丈夫か?」コンコン



「あ、提督!ちょっと待っててくださいね今開けますから!」パタパタ



睦月「こんにちわ、提督。睦月に何か御用ですか?」



文月「・・・」ギュッ



提督「あ、ああ。少し頼みたいことがあったんだが・・・」



提督(しまった、今は文月が一緒だったか・・・。)



確かに、俺が頼めば睦月『は』引き受けてくれるだろう。



だが、それはあくまで睦月の服の裾を握っている少女・・・文月がいないという前提に基づいた話だ。



睦月「頼みたいこと、ですか?睦月でよければ力になりますよ!」



提督「で、その内容なんだが・・・電と一緒に周辺海域の哨戒任務へ出てほしいんだ。」



文月「・・・っ!!!!」ギュゥゥ



その言葉を聞いた瞬間、文月が顔を青くし先ほどよりも断然に強い力で睦月の服を握った。



提督「・・・」



そんな動作を見た俺は、頼みごとが失敗に終わったという事実を悟る。



睦月「ふ、文月ちゃん・・・大丈夫だよ。」ナデナデ



文月「ぃや・・・おねぇちゃん・・・いかないで・・・?ふみつきを、お、おいていかないで・・・」ギュゥ



睦月「・・・」



睦月はチラリとこちらの様子を窺うように顔を向けてくる。



その顔があまりにも痛々しく思えた俺は、首を横に振り肩を竦めるてみせることで睦月の意思を汲んだ。



提督「わかった・・・また今度頼むよ。」



睦月「ごめんなさい・・・提督。」ペコリ



提督「いや、いいんだ。文月も、ごめんな?」



文月「・・・」ジロッ



提督(はぁ、嫌われてるなぁ。そりゃあ唯一の姉を危険かもしれないところに連れ出そうとしてりゃ嫌われるのも当然か。)



提督「それじゃあ、俺はこれで。」



睦月「はい、では失礼しますね。」バタン



睦月が申し訳なさそうな顔で扉を閉めたことを確認してから、俺は小さくため息をついた。



提督「ふぅ、まずいな・・・あと話ができそうで残ってる子といえばもう彼女しか・・・。」



提督「だが彼女は・・・危険な気がする。やはり電一人で・・・」



提督(・・・いや、ここはあえて話をしに行ってみるべきじゃないか?最近あまり様子を見にいけてないし。)スタスタ



提督「まぁ・・・正直、気は進まないんだがな。・・・ここか。」



提督「おい、島風。いるか?」コンコン



島風「ん?あれ、提督!どうかしたの~?」ガチャ



提督「あ、相変わらず早いな。島風は・・・いやなに、少し頼みごとがあってきたんだ。」



島風「え~!?提督からの頼み事~!?やるやるやらせて~!」ピョンピョン



提督「返事も早すぎる・・・!てかちゃんと話聞いてから答えろよ!」



島風「おう~?じゃあ、私に何してほしいの?」



提督「電と一緒に、この海域周辺の哨戒任務に当たってほしいんだ。・・・頼めるか?」



島風「うん!もちろんだよ~私に任せてっ!」



提督「あ、ああ。よろしく頼む、それじゃあ早速で悪いが執務室まで一緒にきてもらうぞ。」



島風「は~い!」



提督(・・・だめだ、やはり島風といると落ち着かない)



他の人が島風を見れば、明るくて元気溢れる普通の少女だと思うだろう。



だが、そんなのは『普通の鎮守府』で見たならばという話だ。ここで見るのとはわけが違う。



そう、あり得ないのだ。彼女の明るさ、快活さ、素直さは・・・はっきり言って『この鎮守府』では異常だ。



この鎮守府には問題を抱えた子達が所属している。これは俺を含めた全員が承知している事実だ。



電は戦闘センスが無く、敵を労わる優しさを持ってしまったために戦力外と蔑まれてここにきた。



だが俺は彼女の信念も、覚悟も、優しさも知っているから敢えてそこは言及しないと決めている。



榛名は戦いに対する意欲が全くない為、この鎮守府に左遷されてきた。



その態度は先ほどのやりとりを繰り返しているので把握している。俺自身彼女が戦った姿を一度たりとも目にしたことはない。



睦月と文月はお互いがお互いの存在に依存しているため現実出撃不可能とみなされ、この鎮守府に左遷されてきた。



睦月はまだ軽いほうだが、文月のほうが致命的に手遅れだ。つまり、睦月は文月に付き添うといった形でこの鎮守府にやってきたということになる。



そして島風なのだが・・・彼女の素性だけがわからない。



この鎮守府に左遷される時、その艦娘の経歴を記した書類が前もって送られてくる。当然、俺も目を通した・・・



しかし、島風の前の鎮守府での生活は記録として残ってはいなかった。いや、まるで奇麗に切り取られたかのような・・・そんな不自然な白さだった。



白々しく書かれた戦績と、彼女の名前を何度も見返したのを今だって鮮明に覚えている。



だが、俺は彼女を拒むことができなかった。大本営からの圧力もそうだが、何よりも・・・彼女の在り方が不安定であまりにも脆いと不憫に思えてしまったからだ。



だから受け入れた、『ここ』はそういう場所なんだという言い訳を花として考えることを放棄した。



島風「えへへ~!ひっさしぶりにはしれる~!」タッタッタ



提督「あんまりはしゃぐと転んじまうぞ。」



その結果が彼女にとって最適であったかどうかなんてもうわかりはしない。



債は投げられた、今更悔やむことなんて許されないのだから・・・



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



ー執務室ー



島風「やっほ~!とーっちゃくぅ!」ガチャ



電「はにゃっ!?し、島風ちゃん?」ビクッ



提督「ぜぇ・・・ぜぇ・・・コイツ早い・・・」



電「司令官さん・・・その、大丈夫ですか?」



提督「あ、ああ。どうにかな・・・」



島風「電ちゃん!今から海域哨戒いくんでしょ~?一緒にいこう!」ガシッ



電「えっ!?ま、待ってください!明石さんのところで艤装を受け取らないと!」



島風「わかってるよ~っだ!じゃあね~提督ぅ!」タッタッタ



電「なのですぅぅぅぅぅぅ!?!?」



提督「いってらっしゃ~い・・・」



提督(この調子なら大丈夫・・・だよな?)



提督「俺も行くか。」



ー工廠ー



島風「と~ちゃくだよ!ほらっ、電ちゃん!起きて起きて!」ツンツン



電「し、島風ちゃん・・・早過ぎなのです・・・」グッタリ



明石「あら、島風ちゃんに電ちゃんじゃない。二人ともどうしたの?」



島風「今日は提督に頼まれて出撃しにきたんだよ~!」ピョンピョン



明石「へぇ・・・出撃ねぇ。珍しいわね、なにかあったの?」



電「私の、その・・・我儘で司令官にお願いしたんです。何もできないのは嫌なので・・・」



明石「・・・そう。」



明石(何もしないのがこの鎮守府の仕事だというのに、電ちゃんは奇特な子ですねぇ。)



明石(まぁ、私は自分の仕事をするだけですが・・・。)



明石「事情はわかったわ、艤装はきちんとメンテナンスしておいたから問題ないわよ。そこに置いてあるから持って行ってくださいね。」



電「ありがとうございます!」ペコリ



島風「もうっ!電ちゃん遅いよ~!早くいこ~!!」タッタッタ



電「あ、ちょっと!待ってくださいなのです!」タッタッタ



明石「あら、元気がいいですね。二人とも頑張ってください!」



島風「うんっ!いってきま~す!」



電「はい、なのです!」



明石「・・・本当に、おかしな子達。」



提督「あはは、やはり明石もそう思うか?」



明石「うえっ!?て、提督・・・!いらっしゃっていたんですか?」



提督「おう、今来たところだ。それにしても、艤装のメンテナンスしていてくれたんだな?心配していたんだが杞憂で済んだみたいだ。」



明石「ええ・・・『一応』この鎮守府の工作艦ですからね、工廠を預かる身としては当然です。」



『一応』、明石のその言葉はきっと俺を遠回しに責めているようにしか聞こえなかった。



この鎮守府には工作艦が不在だったため、工廠が使えず装備の点検や作成ができなかった。



そんな状態では鎮守府運営に支障がでると思った俺は、大本営に必死で交渉し、なんとか明石に来てもらうことになったというわけだ。



提督「・・・ごめんな明石、こんな所にいさせてしまって。俺も早く君を返してあげたいんだが・・・」



明石「冗談ですよ、私これでもココのこと気に入っているんです。落ち着きますからね」ニコッ



提督「そういってもらえると助かるよ。」



提督(彼女の笑顔に少し罪悪感を覚えるが・・・今は明石の優しさに甘えておこう。)



自分の弱さを誤魔化すために、胸ポケットに入った煙草を取り出し口に咥え火をつける。



こうしていると少しだけ前向きになれるような気がするから、やめられない。



そんな俺を見た明石は苦笑いを浮かべたのちに、口を開いた。



明石「それにしても、本当によかったのですか?」



提督「・・・電の事か?」



明石「ええ、あの子戦闘に適性がないからこの鎮守府に来たんですよね。島風ちゃんが一緒とはいえそんな子を海域に出してしまってもいいのですか?」



提督「ふぅ・・・本当は出したくはない。だが、戦いが嫌いな彼女が自ら進もうとする意思を見せたんだ。」



提督「艦娘の抱える問題を解消してやって、もとの鎮守府に戻してやるのもこの鎮守府の提督としての仕事だろ?」



明石「ちゃんと艦娘達の事、考えているんですね。」



提督「当然だ、そうしないと俺もここから解放されないからな。」



明石「解放されない・・・?どういうことですか、望んで提督になったわけではないということですか?」



提督「・・・それは」



明石「・・・話したく、ないんですね?では今は無理に聞きません。」



提督「すまないな、明石。本当に迷惑をかける。」



明石「いえいえ。でも、いつかちゃんと教えてくださいよ。」



提督「ああ、いつかな。」



明石「約束ですからね。それと提督、電ちゃん達もうすぐ出撃する準備が終わりそうですよ?」



提督「そうか・・・そろそろ執務室に戻らないとな。」



明石「提督、今更ですけど鎮守府内は喫煙禁止ですよ。ちゃんと消していってください。」



提督「ああ、悪い。忘れてたよ。」ジュッ



明石「では、頑張ってくださいね。」



提督「・・・ありがとう。」スタスタ



◇ ◇ ◇ ◇ ◇


ー執務室ー



提督「よし、二人とも準備はできたな?」



電『はい!』



島風『もっちろ~ん!いつでもいけるよ!』



提督「いい返事だ。今回は電を旗艦として、島の周りを哨戒してもらう。」



提督「そこまで遠くに行く必要はないからな。」



島風『えぇ~!せっかくだからもっと遠くに行きたい行きたぁ~い!』



提督「駄目だ、遠出をするには人数が足りなさすぎる。また今度にしてくれ、すまないな。」



島風『むぅ~、わかった!じゃあまた今度だよ?約束したからね~!!』



提督「よし、作戦概要は以上だ。電、島風、任せたぞ。なにかあったら連絡してくれ。」



電『了解しました!なのです!』ブツッ



島風『はいは~い!』ブツッ



提督「・・・ふぅ。」



提督(また今度、ね。我ながら心にもないことをいったもんだ・・・島風には悪いが、その日は来ないだろうな。)



提督「・・・考えたって仕方がないよな、とりあえずは俺も執務でもしますかね。」



執務とはいっても、俺がするのはこの鎮守府の資材の出納をメモするぐらいしかないのだが・・・今日は少し違う。



提督「はぁ、最近滅多に来なかったから安心していたのに・・・」



今、俺の手元にある封筒にはここに左遷が決まった艦娘の経歴書が入っている。



綺麗に包装されたそれを見るだけで頭がいたくなる、だがこのままこうして握りしめているだけじゃ何も始まらない。



提督「今回は・・・どんな娘が来るのだろうか・・・」



意を決し、封を開ける。中には幾つかの書類が入っていた。俺はその一枚を取り出し、目を通す。



提督「・・・正規空母、加賀。正規空母なんて珍しいな、一体なにをやらかしたんだ?」



続けて書類に目を落とす、戦果は上場で器量もいい。加賀がいるだけで艦隊の士気も戦果も向上していただろう。



ここまで見れば非の打ちどころのない優秀な艦娘だ・・・ここまではな。



問題は左遷理由だ、俺に言わせれば戦果よりもこちらのほうが大切だ。



提督「・・・上司に対する不敬、暴言、暴力、か。」



提督「よ、よかった・・・この程度か。ならまだ何とかなりそうだ」



提督(正直ほっとした、自殺志願者だったり生きる気力がない娘じゃないならこの鎮守府でもやっていけるだろう。)



提督「しかも、ここまで行動的な艦娘ならウチの戦力になるかもしれない。これでなにか変わってくれるといいんだが・・・」



提督「早速、大本営に電話しなくちゃな。」



一縷の希望を胸に、俺は机に置かれた受話器に手を伸ばした。




ー鎮守府周辺海域ー




電「・・・やっぱり、この辺りは何もなさそうなのです。」



島風「そ~だね!お昼寝できそうなほど平和だよ!」



電「平和なのはとてもいいことなのです・・・。」



島風「・・・ふぅ~ん?その割には暗い顔してるみたいだけど、何かつらいの?」



電「い、いえ!そういうわけではないのです、ただ・・・平和だったら私たちはいらないんじゃないかって思ってしまって・・・」



島風「存在理由ってさ、そんなに大切なことなのかな?」スゥ



電「えっ?」



島風「私たちは自分の意思で生まれてきたわけじゃないでしょ?なら、今更気にしたってそんなの後付け・・・ウソになるじゃん。」



島風「だからさ、気にしないほうがいいよ。そういうの、面倒くさいから。」



電「島風ちゃん・・・」



島風「・・・なんちゃってね~!本気にした?大丈夫だよ~!」ギュウ



電「はわわ・・・っ!///」



島風「電ちゃんがいないと私も提督もさみしくなっちゃうからここにいてほしいな~!それじゃ・・・だめ?」



電「・・・っ!ありがとうございます!」



島風「よしっ!いいこいいこ~!もうこの辺りには何もないってことがわかったし早く帰ろ~!」



電「そう、ですね。」



きっと、さっきの言葉は島風ちゃんの本音だと思った。



その言葉は私に向けられていたのか、それとも島風ちゃん本人に向けられていたのかはわからなかったけれど・・・



島風「ん?どうしたの電ちゃん?はやくかえろ~よ~!」ニコッ



そう言って無邪気に笑った彼女の笑顔には、少し影がかかっているような気がした。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



耳に残る砲撃の音、鼻孔を霞める硝煙の匂い。



『ハァ・・・ハァ・・・っ!』



それが私が今、知覚できる地獄そのものの風景だ。そしてそれは決して覆ることのない現実でもあった。



だが、ここで倒れるわけにはいかない。例え、全身が引き裂かれるような激痛に襲われていたとしても私は進まなければならない。



なぜなら、私の後ろには私の命以上に大切な仲間たちがいるのだから・・・。



『皆さん!あと少しの辛抱です!』



声を出し仲間を、自分を鼓舞するように叫ぶ。



・・・しかし、帰ってきたのは悲痛な叫び声と水しぶきの音だけだった。



『え・・・?』



信じたくない、信じたくない・・・っ!そんなことがあっていいはずがない!私はまだ立っている!戦っている!誰も死なせていいはずがない!!!



先ほどの音がどのような結果に繋がっていたかなんてとっくに分かっていた。でも、心は、感情はそれに追いつくことができない。



何かに急かされるように私はゆっくりと後ろを振り向く。



そこには、炎上している艤装が幾つも水面に浮いていた。・・・その持ち主たちは何処にもいなかった。




『・・・・・嗚呼っ』



守れなかった、死なせてしまった、ごめんなさい・・・なんて、当たり前な事を考えることができないほど。



『ハハッ・・・アハハハハッ!!』



私の中は真っ黒な絶望で埋め尽くされていた・・・。






榛名「っ・・・・!!!」ガバッ



気付けば、勝手に体が飛び起きていた。



榛名「はぁ・・・はぁ・・・っ」



背中の嫌な汗を振り切るように、私は浅い呼吸を繰り返し思考を逸らす。



榛名「また・・・この夢ですか・・・。」



意味もなくそうつぶやき、ゆっくりと立ち上がり窓の外に視線を移す。



外はまだ少し暗い、日の光が差し込むまでにはまだ少しだけ時間がある。



榛名「・・・」



それを確認した私は、少し急いで身支度を済ませ部屋をでる。



鎮守府は静寂に包まれており、まだ誰も起きていないという事がわかる。この状況は好都合だ。



そんなことを考えているうちに私の足は工廠の前で足を止め、中にいるであろう人物に声をかけていた。



榛名「明石さん・・・起きて、いますか?」



明石「・・・ええ、起きていますよ榛名さん。今日も、行くのですか?」



榛名「はい。」



明石「そうですか・・・、わかりました。艤装のメンテナンスは済ませてあります。どうか・・・ご無事で。」



榛名「ありがとうございます。」



当り障りのない感謝の言葉をかけ、足早に去ろうとする。



明石「あの、待ってください・・・。」



しかし、明石さんのその一声に私は足を止め振り返る。



榛名「・・・なんでしょうか?」



明石「何故、皆さんに秘密で・・・一人で出撃を繰り返すのですか?」



・・・そんな事か、決まっている。



榛名「私はもう誰も、私の目の前で失いたくないんですよ。」ニコッ



この願いはあの日から変わっていない。あの日から私はこんな『どうでもいい理由』に捕らわれている。



私の答えを聞いて少し呆けている明石の視線を振り切り、私は艤装を身に着け海に出る。



榛名「私はいつになれば・・・いつに、なれば・・・っ」



歯を噛みしめ、私は独りで戦場へ赴いた。



これは許されざる後悔の記憶、決して忘れてはならない罪の記憶・・・。



ー少し離れた海域ー



榛名「・・・こんなものですか。」



顔に付いた返り血を袖でふき取り、今日の戦果を確認する。



榛名「駆逐艦6、軽巡4、重巡2・・・そして」



そして今回の一番の獲物を仕留めた事に口の端を歪めつつ、確かめるように声に出す。



榛名「戦艦タ級・・・1っ!ふふふっ・・・」



榛名「みなさん・・・!見ていてくれましたか!?私やりましたよ!!!皆さんの仇を!敵を一人で屠って見せました!!!!!」



ボロボロになった体なんてお構いなしに空に向かって叫ぶ。嗚呼・・・っ!本当にいい気分だ、爽快だ!



勝利の余韻に酔いしれていると、日が高くなり始めていることに気づく。



榛名「・・・そろそろ帰らないと、提督にバレると面倒臭いですしね。」



すっかり気分の冷めた私は、できるだけ早く鎮守府に戻る為に上り始めた日を背にして進み始めた。



工廠



明石「・・・榛名さん」



この場にはもう居ない彼女の名前を呟く。



榛名さんは、毎朝遠くの海域に一人で出撃している。今まで見てきた限り、私が来る前も同じことをしていた。



私がこの鎮守府に来て、初めて榛名さんのこの行為に気づいた時を思い出すだけで身体が震えてしまう・・・。



ボロボロの艤装に、返り血と彼女自身の血で真っ赤に汚れてしまった服。それを気にしないほど生気のない顔をしていた榛名さん・・・。



そんな彼女の姿を見たくないという自己中心的な考えで、私は彼女に力を貸すと申し出た。



最初は渋られたが、提督に絶対に内緒にするという約束をしたことで、今では艤装のメンテナンスや服の新調を任せてくれている。



明石「・・・でも」



榛名『私はもう誰も、私の目の前で失いたくないんですよ。』ニコッ



それも、もう終わりだ。彼女の痛々しい笑顔が・・・どうにも忘れられそうにない。



明石「もう、あんな顔で笑ってほしくない・・・ですね。」



口に出して、自分に勇気を出すように促す。・・・幸い、身体を襲う震えはもう止まってくれていた。



明石「あの人なら・・・提督ならきっと、きっと榛名さんも救ってくれるはずです。」



最後は結局人頼みな自分に嫌気がさしながらも、私は執務室に足を進めた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇



ー鎮守府港ー



提督「よっ、待ってたぞ。榛名。」



榛名「・・・」



帰ってきた私を待っていたのは、明石さんでも静寂でもなく・・・陽気に釣竿を片手に持ち、こちらに笑いかけてくる提督だった。



榛名「・・・バレてしまいましたか。」



提督「ああ、明石から全部聞いた。全く、不甲斐ないな。」ギリッ



少し、怒気をはらんだ声でそう言った提督の顔は今まで見たことないほどに苦渋に満ちていた。



・・・当然だ、提督からの任務をすべて断った挙句に独断行動で海域に出撃して、勝手に資材を使われていたのだ。気分のいい話ではないだろう。



榛名「では、私を罰しますか?」



気休め程度に、今後の私の処遇について尋ねる。



榛名(大方、解体当りが妥当ですかね・・・まぁ、そうなればこの提督を殺せばいい話ですが・・・。)



そうかんがえ、少し身を構えた。



提督「・・・いや、なぜ俺がそんなことをしなくちゃいけないんだ?むしろ、罰を受けるのは俺のほうだ。」



しかし、帰ってきた返答は自分が思っていたものとは全く違っていた。



提督「すまなかった。隠さなければならないような状況を作ってしまって・・・」



榛名「・・・何故、提督が謝るのですか?この場合、落ち度があるのは私のほうだと思いますけど。」



提督「違うんだ、それは違うんだよ榛名。俺は君の事をよく知らないのに勝手に戦う意思がないと決めつけてしまっていたんだ。」



榛名「それが、なにか?」



提督「だからこれから、腹を割って話そう。榛名の事を教えてくれ。俺も・・・自分の事を話そうと思う。」



真剣な顔で、釣竿を見せてくる提督・・・はぁ、本当に面倒臭い。



榛名「お断りします、私にそれをする理由がありません。」



きっぱりと断る。別に私の事を知ってもらおうとは思わないし、提督の事を知りたいとも思えなかった。



提督「なら、これは罰だ。いいから、一緒に行こうぜ榛名。」ニコッ



・・・気が変わった、この男に私の辛さをすべてぶつけてやろう。そうすればもう私に話しかけてくることもなくなるはずだ。



榛名「わかりました・・・罰というのなら仕方がありません。」



提督「よし来た、とっておきの場所があるんだ。そこで話そう。」



差し出された釣竿を掴み、ゆっくりと歩き始めた提督の後ろについていった。



ー古びた桟橋ー



提督「ここだ。」



榛名「・・・こんなところ、あったのですね。」



この周辺には用がないため訪れる機会はなかったが、少し新鮮な気分になる。



提督「ああ、俺が初めてこの鎮守府に来たときに散歩してたら偶然見つけたんだ。」



榛名「そうですか。」



提督「そうなんだ、ここ鎮守府からも少し離れていて考え事をする時とかによく使っている。」



聞いてもいない話をしながら、提督は桟橋に腰を降ろした。



榛名「・・・」



私もそれに倣い、提督から少し離れたところに腰を降ろす。



提督「じゃあ・・・始めようか。」ヒュッ



提督が釣竿を振り、水面に波紋が広がったのを合図に私は忌々しい過去を語り始めた。



榛名「・・・私は、仲間を死なせてしまったんです。」



提督「死なせてしまった・・・?」



榛名「いえ・・・実際私が殺したようなものです。どちらにせよ、彼女たちを死へと追いやってしまいました。」



提督「・・・」



話しながらチラリと提督の顔を見る、予想通り提督の顔はつらそうな顔をしていた・・・いい気味だ。



榛名「以前の鎮守府は、戦果が命でした。・・・戦艦や空母ならともかく、軽巡や駆逐艦はその大義の前では風前の灯のような命です。」



榛名「様々な作戦で盾として使われ、捨てられるのも当たり前。盾にすらならなかったら即解体。言葉通りの地獄でした。」



なるべく表現が大げさになるような言葉を選び、提督を揺さぶる。



提督「なんて、酷いことを・・・っ。」



やはり、いい反応をする。もう少し話そう・・・



榛名「・・・それでもですね、当たり前になってくるんですよ。生きるために、私は偽りの忠誠を捧げ続けました。」



辛かった日々を自ら掘り起こしていく苦痛が襲ってくる。



榛名「そんな日を過ごしていれば、誰も必要最低限の言葉以外交わさなくなりました。」



榛名「当たり前ですよね、仲良くなってしまえば・・・沈んだとき、後悔だけが残ってしまいますから。」



そうだ、仲良くなってしまってもどうせ後でいなくなる。なら、最初から親しくなどしなければいい・・・けれど



榛名「それでも、ある日・・・ある駆逐艦の子が私に喜々として話しかけてきたんです。」



榛名「その子は私に憧れている、尊敬していると言ってくれました。でも、私は上手く言葉を返すことができていなかったと思います。」



榛名「それでも、その子は駆逐艦の友達を何人も連れてきて私のところへお話をしに来てくれました。」



あの子たちはちがった。私に、仲間といる楽しさと安心を教えてくれた。冷たくあしらった私をずっと気にかけて尊敬してくれていた。



榛名「あの鎮守府の中ではそんな私たちは目立ってしまいました・・・そこの提督に目を付けられるほどに。」



自然と拳に力が入る、そうだ・・・アイツが、アイツが私の幸せを・・・あの子たちを奪った。



榛名「私たちは風紀を乱す存在と一方的に咎められ、ある海域に出撃させられ、ました・・・」



・・・いやだ、いやだいやだ・・・思い出したくない・・・あの子たちの散り様なんて思い出したくない・・・



榛名「その後は・・・その後・・・に・・・」



だめだ・・・言葉がまとまらない・・・こえに、だせない・・・



榛名「その後は・・・もう、言いたく・・・ないです。」ニコッ



でも泣いてしまっては、みんなの死の苦しみを流してしまうような気がして流せなかった私は言葉を殺して笑うことしかできなかった。



提督「わかった・・・もういい、もういいよ・・・榛名。」ギュッ



榛名「・・・っ!?」



気付けば、提督が私を抱きしめていた。



榛名「い、一体何を・・・?」



なれない人の温かさに困惑しながらも行為の真意を提督に問う。



提督「辛いことを聞いてしまった、救われない話をさせてしまった・・・本当にすまない・・・!」



榛名「・・・提督、困りますよ・・・こんなこと、されても・・・」



・・・本当にずるい人だ。本当は傷つけるはずだったのにこんなことされたら・・・もう何も言えなくなる。



提督「わかっている、これは俺の自己満足だ、本当に榛名にも迷惑をかける・・・。」



榛名「全くですよ・・・もう、なんで私よりも・・・提督のほうが泣きそうなんですか。」ギュゥ



私はゆっくりと提督の背中に手をまわし、すこしだけ力を込め抱きしめ返す



・・・優しい、彼の本当の姿が少しだけ見えた気がした。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


提督「じゃあ・・・俺の話も、聞いてもらおうかな。」



榛名に回した腕を離しながら、俺はまた釣竿を拾い直し先ほどの位置まで戻って腰を降ろす。



榛名「・・・ええ、まぁいいですけど。」



提督「あはは、ありがとう榛名。」



不承不承とは言った様子だが、俺の話を聞いてくれるようだ。・・・心なしか、座る位置は先ほどより近くなった気がする。



提督「榛名、俺がここに来るまで何してたと思う?」



榛名「え・・・?そ、そうですね・・・曲りなりにも提督になれるぐらいですから・・・」



少し意地悪な質問をしてしまったが、榛名はそれを気にしていないのか真剣に考えてくれているようだ。



榛名「やはり、海軍の中でもそこそこ優秀な人として働いていたのでしょうか?」



そこそこ、ね。答えをあえて曖昧にすることで俺に気を使ってくれたのか・・・こんなところに飛ばされてるくらいだからな、そりゃあいい扱いをされていたとはいいがたいだろう。



提督「ん~、半分あたりで半分はずれかなぁ。」



榛名「なんですか・・・ソレ。」



呆れたような声で俺を少し睨んでくる。そんなことをされても少し困る・・・本当のことなのだから。



提督「俺はね、海軍お抱えの『殺し屋』だったんだよ。」



榛名「・・・・は?」



割りと本気で驚いているような声が帰ってきた・・・そうだよな、当たり前の反応だ。



提督「笑えるだろ、人を殺すのが生業の俺が人を守るためにここにいる。・・・出来の悪いブラックジョークにも程がある。」



釣竿を握っていた左手が無意識に胸ポケットを目指していることに気が付き、なんとかそれを堪えて釣竿へと戻す。



榛名「それは・・・ほんとうの、本当ですか?」



余程信じることができないのか、榛名は念を押すように確認してくる。



提督「ああ、本当の事だよ。・・・実際にもう何人も殺してしまっている。」



提督「海軍のお偉方に指示されるまま、殺して、殺して・・・気付けば、真っ当な感覚なんて消え失せていたよ。」



榛名「今の提督を見る限り、とてもそうは見えませんけどね・・・それに、海軍が殺し屋を抱え込む理由が見つかりませんし。」



榛名は尚もあり得ないと言っているが・・・それは彼女たちの無知からくる純粋さなのだということを今一度再認識させられた。



提督「なに、簡単な話だよ・・・敵は海の向こうにいる奴さんたちだけじゃないってことさ。」



榛名「どういうことですか・・・?」



提督「軍の秘密を外へ持ち出そうとするもの、職権を不当に行使しようとするもの、艦娘の力を使って反旗を翻そうと企んでいるもの・・・数えればきりがないな。」



榛名「でも、待ってください・・・。それぐらいなら、何も殺す必要までは無いんじゃ・・・?」



提督「『疑わしきは罰せよ』だ、本当に日本は怖い国だよ。・・・可能性があるってだけで排除したがるのさ。」



言葉にするだけで体が鉛のように重くなってしまう、いつから俺は・・・こんなにも弱くなってしまったのだろう。



目が少しだけ鋭くなってきている感覚があるが、俺はまだ話をやめるわけにはいかなかった。



提督「当然、そんな海軍を快く思わない奴は出てくるだろう。そいつらが、海軍に打撃を与えるには・・・一体だれに協力を仰げばいいと思う?」



榛名「・・・陸軍、ですか?」



これは流石にわかるか、わざわざ本土の問題を提示したのはこの答えを彼女自身から聞きたかったからだ。



敵は深海棲艦だけではない・・・海の敵ばかりを追いかけていては背中から撃たれてしまう。



・・・そんな可能性がある『これから』の事に対処していけるようになってもらう為に。



提督「正解だ。陸と海は仲が悪いわけではないが、陸軍は最近の海軍の待遇の良さは不満に思っているそうだ。仕方のないことだとはわかってはいるだろうがな。」



榛名「それじゃあ・・・提督は、その・・・陸軍の人たちも・・・?」



榛名は勘付いてはいるのだろう、問うてくる声は微かだが震えていた。



提督「・・・ああ、もちろんだ。」



榛名「そう・・・ですか。」



提督「だが、そんな行為の重さを思考を止めていた俺は理解することができなかった。」



今度は、ダメだった。左手は気づけば煙草を握りしめ、封を開けていた・・・右手はそれを止めることをしなかった。



提督「海軍はそんな俺と、その所業を秘匿する為に・・・俺を殺す事にした。」



榛名「ひどい・・・、今まで散々殺させておいて・・・」



この少しの間で、大分榛名の心情は変わっているようだ。やはり、お互いに苦しい境遇を語り合っていることが大きいだろう。



・・・その度合いの大きさには目をつむっていることを除けば、だが。



提督「ありがとう、榛名。・・・でもね、どうであれ俺は人の命を奪ったんだ。そんな終わり方をするのが俺の本望だったんだからさ。」



提督「・・・だが、そんな願いも叶うことはなかった。上層部は死体の有効活用だと言って、俺をこの鎮守府に連れてきた。」



提督「海軍に『この鎮守府』で死ぬことを義務付けられた、それが俺がここにいる本当の意味なんだよ。」



榛名が息を飲むのを横目で見届けてから、いつか明石に言った時の真意を煙と共に吐き出した。



提督「此処は・・・この鎮守府はね、『俺が救われない為』にあるんだよ。」



・・・そう、此処は俺の墓標。暗殺者の俺はもうこの世には存在していない。そんな奴、遠の昔に死んでいる。



此処にいるのは普通の『俺』、ただの死者の成れの果てだ。そんな俺が幸せになれるなんてことは・・・絶対にない。



榛名「そんなことないです!」



・・・そうです、そんなことはない。絶対にあってはならない。



提督「・・・榛名」



榛名「私は提督に話を聞いてもらえて、その・・・っ、少しですが楽になりました」



なんで提督がこんな目にあっているのでしょう?何人も殺したとはいえ、何も知らない子供にナイフを握らせるような行為をしたのは大本営の連中だ・・・



提督「だが、俺は無理やり榛名から話を「それでも・・・っ!」・・・」



駄目だ、ここで提督の考えを肯定してしまえば・・・きっと提督も『あの子達』のようにまってしまう・・・っ!



榛名「私は初めて人のぬくもりが知れたんです!こんな私が、急にこんなことを言っても何言ってるんだって思うかもしれませんが・・・それでも・・・」



それだけは阻止しなければ、なにも知らなかった提督を・・・守らなくちゃ・・・



『あの子達』は守れなかったけれど・・・提督は、提督だけは・・・



榛名「貴方に少しでも希望を、幸せをもってほしいんです。・・・ほかでもない、この鎮守府で。」



この鎮守府でずっと・・・ずっと・・・迷わないように・・・守ってあげなくちゃ・・・



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



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1: Abcdefg_gfedcbA 2018-04-06 16:13:55 ID: QZNDfxqj

名作の予感...期待大です

2: 志貴 2018-04-07 05:15:28 ID: Ad_vI3Nt

1≫ほ、本当ですか!?ありがとうございます!頑張ります!

3: SS好きの名無しさん 2018-04-13 21:03:08 ID: okxPeLMZ

面白い、応援してるザマス!!

4: 志貴 2018-04-14 07:51:48 ID: 1Z6W83iE

3≫ありがとうございます!コメントを頂けるだけで中々モチベーション上がります( *´艸`)

5: SS好きの名無しさん 2018-04-19 18:59:06 ID: ZD3oSoas

あぁ~続きが気になるんじゃ~。


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