2019-11-25 22:19:07 更新

概要

結花と美空ちゃんが獣人となる話をします。




今日の講義はお昼までだったから妙な時間に外を歩いてる。

私の名前は荻野真那。大学二回生。

真っ直ぐ家に帰ってもいいのだけど私の1つ年下の松村美央と飼い猫の美空ちゃん、二人の同居人にはまだ居ないだろうしとりあえず歩いてはいるんだけど暇だわ。


『キャン!』


中学生1 『ぎゃははは!変な泣き方!』


中学生2 『つーかへらへら気持ち悪いっつーの。』


『わう…わん!』


中学生3『まじかよー気持ち悪っ帰ろーぜ!』


とある公園の前に差し掛かると遠くから聞こえる声に近寄れば数人の中学生男子とすれ違う。


『わん!』

にこにこと笑う犬獣人。獣人とは見た目は人間だけど、頭にはその動物の耳腰辺りには尻尾が生えている。

うちの美央は美空ちゃんを飼っているんだけど。因みに美空ちゃんは猫の獣人。


『なんて酷い。言葉はわかるのか?』


『わん!』


『そう。ちょっと待っててね?』


獣人はあくまでも動物扱い。ペットにしたり話し相手にしたりと飼う人間によって変わってくるけど明らかににこの子の前の主人はこの子をペットとして…いえ

ストレスの捌け口として使われていたのか?

泥だらけで、カビカビになった血の跡身体には赤黒く変色した痛々しい痣に左目は潰されたのか血まみれ、右耳の付け根が切られて…生々しい傷はさっきの子が?

そう思えば沸き々と沸き上がる怒りを抑え込みにこやかに警戒させないように話しかける。

「お、荻野です。今空いてますか?至急見てもらいたい子がいるんです。はい。

はい。解りました。」


掛かり付けの獣医に電話してその子を抱き上げて駆け出す。


「わう……。」


不安そうにしているその子に大丈夫と目線を送り獣医に診て貰ってる間に美央に電話する。


『はい、荻野先輩ですか?』


「うん、今大丈夫?」


『はい、。で何の用ですか?』


「実は公園で虐待を受けてた犬の獣人を拾って。まだ小さいから放っておけなくて…。」


『なるほど…今何時もの病院ですよね?もうすぐ最寄りなので直接向かいますよ?』


「美空も連れてきて欲しいんだよ」



『解りました。では失礼します。』

「お願い」


通話を切り手術が終わるのを待つ。


「荻野先輩!」


「美央、美空まだかかってるみたい。」


「そうですか」


少し荒れた様子で病院に駆け込んでくる美央と美央の腕の中に抱えたまれた美空

獣人は獣にもなれるために基本的に持ち運ぶ時は動物形態だ。


「はい美空ちゃん」


「ありがとう美央ちゃん」


黒い毛にアメジストの瞳の子猫から美央が用意した服に埋まり変身すると美央たちくらいの女の子に早変り

ワンピースをひらひらさせて美央に隠れてしまう。


「相変わらず美央になつくね」


「慣れては来たんですけどね」


すると奥から獣医が現れて私たちはベットに寝かされている美空ちゃんと同じくらいの女の子を囲む。

「なんとか一命を取止めました。相当、酷い目に遭ったようですね。どこもかしこもぼろぼろで。後、この子どうするのですか?」


「美央ちゃん」


「わかってるよ。でも美空ちゃんこの子と仲良く出来る?」


「美央ちゃんが言うなら」


「だそうです」


「飼います。この子うちの子にします。」


「なら予防接種と入院費いただきますね?飼うのは大変でしょうか頑張って」


その日は1日病院に居て翌日、異変に気がつく。


病院のベットに突っ伏して寝ていたが、朝になると起き上がる。


「わん!」


「おはよ」


「わんわん!」


ベットの隅っこで丸くなって震えて目を伏せる。


「人間の言葉でいいんだよ?」


「わん!」


こちらを伺いにこにこと笑うけど耳と尻尾が全く動いてなく。


「美空、ごめん何を言ってるか教えてくれる?」


「わかった。にゃーにゃんにゃ?にゃ、にゃにゃ。にゃあ。」


「わう!わんわん、わぉーん!わんわん、わんわん、わんわん、わん!」


何だか女の子二人で話してるって和むわぁ。


美空ちゃんは途中顔を曇らせて難しい顔になると


「この子、名前はゆかちゃん、後、前の主人から笑ってても酷い事をされたみたいだけどもっと笑わないともっと酷い事をされたみたい。でも日常茶飯事で当たり前って感じだね。考えられないよ」美空ちゃんが怒り尻尾をパタパタさせる確かにそうだ。

前の主人は何を考えているの?

徹底的にペット化で結花は話すことは出来ない。

それところが酷いことを当たり前、殴られて当たり前と教育されてきたと言う。

普通ペットとして飼うことにしても人並みの扱いをするのが当たり前だ。それが嫌なら本来的な意味のペットを飼えばいい話だ。


私は言い知れぬ怒りが沸き々と沸き上がる。


「美空ちゃんありがとう。」


それを伝えてくれた美空ちゃんの喉を撫でて可愛がり、ゆかに近寄ると、


「う~っ!」


「イタッ(>_<)」


がぶりと親指の根元を思いっきり噛まれて血が滴りシーツを濡らしていて紅い雫がポタリポタリ


「真那ちゃん⁉こらー⁉」


フーーッと威嚇する美空を制して


「美空大丈夫だから」


血が滴る手を押さえてゆかから目線を逸らして何気なく隣にしゃがみ、貴女の敵じゃないと暫くじっとする。


最初は戸惑い牙を剥いていたけど数十分とじっとしていると鼻をヒクヒクさせて一頬り嗅いで寄り添ってくれた。

少しはなれていたのかな?


「わう」


「くすぐったいよ~」


頬っぺたを舐められて目を細める。

これからもっと愛を込めて貴女を守ってあげる。元はきっと好奇心旺盛なのだろう。少しだけ揺れた尻尾に微笑み頭を撫でて可愛がってやる。


「ゆか、美空とお留守番しててね。」


私が着ていた上着を預けて美空に任せて私は病室を出る。


「お、荻野さん手酷くやられましたね」


看護師さんに言われて苦笑いして病院を出る。それから、なるべく空いてる病院に行き手当てしてもらいゆかの元に戻ると………。


「真那ちゃん、おかえり」


「まな……」


「真那だよ声の出し方教えたでしょ?」


「ま…わ。」


私の服を握りしめてふにゃりと笑うゆかの尻尾は揺れてない。

なるべく側に居てやろうと隣にしゃがみ様子を見る。すると頭をスリスリ擦りつけて安心したのか少しだけ尻尾が揺れる。


「真那ちゃん本人がいいみたいだね」


「ありがとう美空。」


優しく美空ちゃんの頭を撫でてやる。

尻尾をみればピンとして喜んでくれているようだ。


「尻尾は不便だよ…。」


ムッとしている美空ちゃんにふわりと微笑み、


「お陰でコミュニケーションがとれるから私はうれしいけど」


「むぅ。」


「あぅ」


「あ、ごめん。」


美空ちゃんにばかり構うからゆかが私の頭に乗る。


「私には美央ちゃんがいるから平気だよ。」


「なら良かったよ。荻野先輩、美空ちゃんただいまです。荻野先輩その手は?」


「ゆかに噛まれちゃってね」


「そうだったんですか。」


美空の後ろから美央が現れて美空ちゃんを抱き上げる。私の手に巻かれた包帯に理由を説明をしていると。


「うー!ぐるる。」


慣れない匂いにゆかは敵意を剥き出しにして美央に向かい唸り声をあげる。


「匂いを覚えさせないとですね。」


美央は目線を合わさずに然り気なく横にしゃがみじっと待つ。

すると暫く唸り続けていたゆかだったけど美央の匂いを一頬り嗅いで頭を擦り付ける。


「わふっ」


「そう言えばこの子の名前は?」


「ゆかだよ。後ね。」


「そんな事が…なんてこと。」


美央も大層悲しみゆかを撫でる。


「せっかくだから漢字を当ててみたのけど…結花。結ぶに菜の花の花。」


「お…あ…?」


「そう、ゆか」


「ゆ…かゆか。」


「そう!そうだよ結花!」


目一杯ほめてあげて撫で回す。


「ゆか、ゆか!」


「結花、私は真那だよ、まなだよ!」


「真那ちゃ!」


「ふふっ、そう真那だよ。」


結花をほめると最初は戸惑いうれしいのにうまく表現出来なかったのが少しずつ尻尾を揺らして喜びを伝えてくれる。

それが堪らなく幸せで美央が私の肩を抱いて


「私はみ・おだよ!」


「みおちゃ!」


「はい、いい子だね~」


痛まないように撫でる美央は美空ちゃんを抱き上げ


「この子は美空ちゃんだよ。み・く。」


「に…う…みくちゃん!」


「結花ちゃん。」


尻尾をピーンとさせて喜びを露にする美空ちゃんの頭を撫でて可愛がる美央に擦り寄る姿に微笑み。


「これからもよろしくね!」


「真那ちゃん!」


まだまだ幼いこの子をちゃんと愛情を込めて育てよう。そう決めた。


おしまい。


後書き

続きもよろしくお願いします‼


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