2015-05-01 08:50:18 更新

概要

筆者のもう1つのSSとはまた趣の違うお話。

これはとある鎮守府にて、提督補佐官として勤めている男の視点から見た鎮守府の日常を描いていく物語。

変わり者だらけの、そして女だらけの鎮守府で唯一まともな彼の運命や如何に。
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*諸注意*

登場するキャラの性格や口調(方言など)がゲーム内のものと違う恐れがあります。

出来る限り原作に準ずる形で進めて行きますが、ダメだった場合は笑って許してやって下さい。
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*お知らせ*

コメントにてリクエストも随時募集しております。

見たいキャラやシチュエーション等、お気軽にリクエスト下さると筆者が喜びます。


筆者のもう1つの物語


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プロローグ

初めまして、提督補佐官です




《ワイワイ ガヤガヤ》



補佐官「……」


女提督「――あっ、補佐官くん、ちゃんと食べてる~? 今日は補佐官くんの着任祝いだから、遠慮せずに食べて良いんだよ~?」


補佐官「エエ、マァ、ハイ…」



補佐官『……おかしい』


補佐官『自分の中では、挨拶が済んだ後に軽く艦娘達と会話をして…あくまでも厳かに終わるはずだった』



隼鷹「おーい補佐官!そんなんじゃダメだぜ~もっと飲まなきゃ!」


千歳「そうですよ、今日はお祝いなんですから、何もかもを忘れて楽しんで良いんですよ?」


那智「辛気臭い顔をしているな、貴様……ほら、早く飲め」


補佐官「アァ、ハイ、イタダキマス…」



補佐官『――なのに今では宴もたけなわ、無礼講のどんちゃん騒ぎ…』



暁「あかちゅきは~!れでぃなにょよ~!」


雷「ちょっと!暁姉さんにお酒飲ませたの誰よ!完全に酔っ払ってるじゃない!」


響「吹雪だよ……その活躍ぶりからエニックスの呼び名もあるよ」


電「はにゃ~……なのですぅ……」



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翔鶴「五航戦、翔鶴!」


瑞鶴「同じく五航戦瑞鶴!一発芸いきます!」


飛龍「よっ!面白いの頼むよ~!」


蒼龍「2人共頑張れ~!」



翔鶴「一航戦、矢矧!出ます!」


瑞鶴「二航戦の子なんかと一緒にしないで」



蒼龍&飛龍「何で私達!?」


加賀「っ……くくっ……」


大鳳「あっ!加賀さんがツボって震えてる!」


赤城「翔鶴さん、そこはもっとこう…腕を前に出す感じじゃないと」


雲龍「……Zzz」


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補佐官「――どうしてこうなった…」


舞風「補佐官さん!踊ろ?踊ろうよー!」


野分「こら舞風!補佐官さんに迷惑掛けないの!」


初風「妙高姉さーん…」


黒潮「初風ちゃーん?ウチは妙高さんやあらへんでー?」


不知火「不知火に…何か…落ち度でも……うっぷ」


陽炎「わー!わー! 不知火がヤバい! 落ち度が! 落ち度が出る!」


雪風&時津風「「しれぇ!しれぇ!しれぇ!」」


天津風「雪風と時津風うるさーい!」


浜風&磯風&谷風「「もうどうにでもなーれ」」


秋雲「阿鼻叫喚…イイねぇ…ネタに困らないわ」



補佐官『ドウシテコウナッタ…』



提督さん(艦娘達)は変わり者?



――歓迎会の惨事から一夜明け、時刻は04:30。



補佐官「つつ…頭痛い…」


補佐官「今は…4時半か…起きなきゃ…」



あの後散々飲まされ、酔い潰れた重い身体に鞭を打って着替えるために起き上がる。



補佐官「フラフラする…どれだけ飲んだんだ昨日…」


補佐官「着替える前にシャワー浴びよう…少しはマシになれば良いけど…」



まだ酔いが残っているのだろう、若干ふらつきながらもシャワーを浴びに行く彼だった。



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補佐官「ふぅ…少しはマシになったかな」


補佐官「もうすぐ総員起こしの時間か…急がないとな」



シャワーを浴び終え着替えを済まし、軽く身嗜みを整える頃には既に04:58だった。


幸い、彼に与えられた部屋は点呼を取るらしいホールから比較的近い場所にあるので、急げば間に合う距離だった。


遅れる訳にはいかない、と軽く呟いた彼は小走りでホールへと向かう。



≪鎮守府内 総合寮:中央ホール≫



補佐官「……」


補佐官「………」


補佐官「……誰も来ない」



彼がホールに来てから10分が過ぎた頃。


一向に誰も来る気配が無い為、思わずそう呟いてしまう。



補佐官「士官学校だったらあり得ないな、これは…」


龍田「――あら~?補佐官さん、どうかしたの~?」


補佐官「ん…? ああ、龍田さんですか」



不意に後ろから声を掛けられ振り返ると、そこには艦娘の『龍田』が寝間着姿で手拭いを持った状態で立っていた。


恐らく寝起きで顔を洗いに来たのだろう、まだ若干眠そうにしながら不思議そうに彼を見ている。



龍田「あら、私じゃ不満だったかしら~」


補佐官「まさか、朝一番に龍田さんのような美人な方に会えるなんて夢のようですよ」


龍田「うふふ~口がお上手なんですねぇ~…でも、危なっかしくて天龍ちゃんを1人に出来ないから~ごめんねぇ~」


補佐官「それは残念です…と、そう言えば皆さんがまだ起きられないようですが…」



彼女と軽く談笑をしつつ、彼は先程から気になっていた事を訊ねる。


すると漸く合点がいったような表情をした彼女は、少し間を空けて『やれやれ』といったように肩を竦める。



龍田「提督が 『また』 きちんと伝えるべき事を伝えてなかったのね~…」


補佐官「――と、仰いますと?」


補佐官『――いや待て、【また】? 前にも同じような事があったのか?』



龍田「うちの提督がだらしなくてごめんねぇ~? 基本ここの鎮守府は、何かしらの催し物の次の日は『この鎮守府に所属する者全員』お休みなの~」








補佐官「―――え? 今、何と仰ったのですか…?」



龍田により事の詳細を聞かされた彼は、思わず我が耳を疑って聞き返す。


それもその筈…ここは『軍』の施設であり、提督や艦娘達は総じて『軍属』なのだから。



龍田「うちの提督、変わってるでしょ~? これでも『大将』だから驚きよねぇ~」


補佐官「………」


龍田「私も、最初は冗談かと思ってたけど~まさか本当に休みにするなんてねぇ~…」









補佐官「―――軍の施設、で間違いないですよね?」


龍田「そうねぇ~」









補佐官「―――軍属、ですよね…」


龍田「私達『艦娘も』『妖精も』、勿論『提督も』全員一応は軍属ねぇ~」









補佐官「―――大将、です…よね」


龍田「そうね~…少なくとも、上から二番目に偉い立場ね~」






補佐官『―――頭痛くなってきた…』








補佐官「―――はぁ…」


龍田「うふふ~」



提督補佐官ですが、

着任2日目にしてもう非番日だそうです



――結局あの後全てを悟ったように溜め息を付いた彼に龍田は軽く応援の言葉を投げ掛けると、目を覚ますという理由で鎮守府内にある浴場へと去っていってしまった。


1人残された彼は、何故か原因不明の腹痛と軽い頭痛を感じながらもこれからの予定を考える。



補佐官『急に休みと言われても…何をしろと…』


補佐官『鎮守府の正面は当然海、周りは山に囲まれていて街までは車で30分程度…』


「―――の……」


補佐官『鎮守府の外に出るのは最悪の場合として、まずはここに所属している艦娘の方々に挨拶回りに行くか?』


「――あの……」


補佐官『挨拶回りに行くとしても、まだ5時半だ…こんな早くに行っても迷惑になるし、まず礼儀知らずだ』


「あの…補佐官さん…」


補佐官『どうする…寝るか…? …いや、それは体内時計のバランスが崩れるか…いやでも…』


「補佐官さん…無視…しないで」


補佐官『――ダメだ、まるで思い付かない…やっぱり寝るか? それなら時間は潰せるし――ん?』


弥生「………」



徐に、深く考え込んでいた彼の左袖を掴んで軽く引っ張られる感覚で現実に引き戻される。


何かと思い彼がそちらを見やると、明らかに不機嫌そうな雰囲気を全面に押し出して立っている弥生の姿があった。



補佐官「あ…弥生さん、おはようございます」


弥生「………」


補佐官「――弥生さん? どうかなさいましたか?」


弥生「――怒ってなんかないよ…怒ってなんか…」


補佐官『!?』



深く考え込んでいた彼は、先程から自分を呼ぶ弥生の声が一切耳に入っていなかった。


それを弥生が故意に無視していると受け取ってしまったのだろう、彼が声を掛けた時に返ってきた返事がその言葉だった。


――弥生本人はあくまでも怒っていないと言っているが、誰がどう見ても怒っているようにしか見えない。


大事な事なのでもう一度言うが、『誰がどう見ても怒っているようにしか見えない』のであった。



補佐官「や、弥生さん…?」


弥生「………」




補佐官『――まずい、考え込んでいたせいで周りが全く見えていなかった…もしかしてかなり前から居たのか?』



弥生「………」




補佐官「あの…すみません、考え事をしていたせいで、その…お気に障ったのでしたら謝ります、申し訳ありません」



依然として仏頂面を続ける弥生だったが、軽く頭を下げて謝罪すると掴んでいた袖を離して彼の正面に移動する。



補佐官「申し訳ありません、あろう事か声を掛けられたのに反応出来ないなど…」


弥生「気にしてない…です」


補佐官「そ、そうですか…」


補佐官『気にしてない割りには仏頂面のままじゃないか…』



彼の渋い顔を見て考えている事を把握したのだろう、小さく溜め息を吐いて肩を落とす弥生。



弥生「すみません…気、使わせて…私、いつもこんな顔だから…」


補佐官「あ、いえ、そんな事は…」


補佐官『まさか…地雷を踏み抜いたか…!?』



思いがけない弥生の言葉に、1人勝手に取り乱しあたふたと取り繕おうとする彼の姿を見た弥生は微かに…ごく微かにだが笑みを浮かべたかのように見え、それに気付いた彼は思わず動きを止める。



弥生「それで…どうしたんですか…? 凄く悩んでいたみたい…でした」


補佐官「――あ、あぁ…いえ、急に休みと言われてしまったので、この後どうするかを決めかねていた所だったんです」


弥生「やっぱり…」


補佐官「――『やっぱり』…?」


弥生「私も…同じ事があったから…何となくだけど…」


補佐官「弥生さんも…ですか?」


弥生「はい…私だけじゃなくて…たぶん他の皆も…」



聞くところによると…ここの提督は毎度の事ながら宴会の後日は休みだというのを伝え忘れ、結果彼のようにその日1日どう過ごすか悩むらしい。


それを聞き今度は軽い目眩を覚えながらも、彼は弥生との会話を続ける。



補佐官「そうだったんですね…因みに、弥生さんはどうやって過ごされたんですか?」


弥生「私は…別に…他の姉妹艦と過ごしたり…」


補佐官「弥生さんの姉妹艦というと…睦月型の皆さん方ですね」


弥生「そう…です」





補佐官『そうか、姉妹艦が居る艦娘は各々で集まって過ごせば良いのか…だとすれば、俺は一人だから特にする事も無いんだよな…』


補佐官「――成る程、取り敢えずは悩むのが私だけじゃないと判っただけでも…ありがとうございます」


弥生「………」


補佐官「――弥生さん?」


弥生「弥生で良い…です」


補佐官「………?」


弥生「敬語…気を使われてるようで…嫌だから…」


補佐官「あ、あぁ…これは別に気を使っている訳ではなくてですね」


弥生「それでも…使わないで欲しい…」


補佐官「は、はぁ…分かりました…善処はします」


弥生「なら良い…です」



言うだけ言い終えた弥生は踵を返して自室の方へと戻っていく。


またも取り残された彼は、1人「何だったんだ…」と呟くのであった。



ここから始まる日常




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