2015-09-10 19:54:21 更新

前書き

初めてなのでアドバイスなどを頂けるとありがたいです


《2人の絆》



「ファ〜」


目を覚ますと小鳥遊六花は大きなあくびをした。それもその筈今は午前6時、学校に行くのには余裕すぎる時間だ。

こんな早く起きる理由はただ一つマンションのひとつ下の階に暮らしている彼女の契約者富樫勇太を起こしに行くためである。

それでわざわざ勇太が起きるより前に起きているのだ。


立花は起きてすぐにやることがある。それは歯を磨くことでもなければ、顔を洗うことでもない。カラーコンタクトだ。

バカバカしいと思うだろうがそれこそが立花の力の源である。 邪王真眼 古来より伝わる伝説の魔王が備えていたという最強の邪眼

……と言う設定だ。


ーーそう彼女は中二病なのだーー


そんなわけで常にカラコンをしているわけだが流石に睡眠中は外しているようだ。


(邪王真眼を開眼させる…)


まだ寝ぼけている様子だが手探りでコンタクトのケースを探し鏡をのぞき込む、するとすぐに違和感に立花は気づいた。


六花(…あれ?邪王真眼が既に開眼している?)


鏡の中の六花の右眼は確かに金色、間違いなく金色だ。


六花(……?昨日外すの忘れたのかな?)


そう思いケースの中を確認する

しかし…


ある

コンタクトは確かにここに存在する…

なら…この眼のなかにあるのはなんだ。


六花(見間違えじゃない)


これは…まさか!



【冨樫家】


立花 「勇太勇太勇太ゆうたゆうたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


勇太 「うおっ!?」


突然の叫び声に驚き思わず飛び起きた勇太は

寝起きの体を無理矢理起こすと目の前にはかなりご機嫌そうな六花が立っていた。


勇太 「どうしたんだよ突然」


六花 「聞いてゆうた!わたし、わたし…ついに!」


勇太 「少し落ち着けよ」


やけに興奮している六花に水を差し出すと六花はそれを一気に飲み干した。


立花は大きく息を吸い込むと


六花 「邪王真眼に覚醒した!」


勇太 「………は?(じゃあ今までのは一体なんなんだよ)」


六花 「朝起きたらこうなってたの!」


勇太 「どうせいつものカラコンだろ?」


六花 「違う!本当に覚醒したの!」


勇太 「ふーん」


六花 「むっ…もしかして勇太、信じてない?」

勇太 「うん」


即答だった。





勇太 「どうしたんだよ六花急に黙り込んで」


六花 「ちょっと黙ってて今邪王真眼の力を見せる」


勇太 「あ〜はいはい好きなだけどうぞ」


六花(またバカにされた…まあいい精神を集中させれば心を読むなどは容易いことだ)


勇太 (どうせいつもの中二病の設定だろくだらん)


六花 「設定じゃない本当に覚醒した!」


勇太 「……………え?(え?なに心を読まれた?もしかして…ほんとうに?)」


六花 「もしかしてもなにもさっきっからそう言っている」


勇太(ま、マジだー!な、ならこれから俺が思ったこと全部言うこと出来るか?)


六花「よゆー」


勇太(早寝早起き)


六花 「早寝早起き」


勇太(赤パジャマ青パジャマ黄パジャマ)


六花「赤パジャマ青パジャマ黄パジャマ」


勇太(ま、まじだ…すげぇ)


六花「ま、まじだ…すげぇ…ふっ」ドヤッ


勇太(うわっドヤ顔の六花可愛すぎ)


六花「え?///」


勇太 「え?あ、い、いや、違うんだ今のはミスで……あ、もうこんな時間!学校に遅刻するぞ」アセアセ


気がつくと本当に遅刻しそうな時間になっていた。


六花 「もーゆうたがいろいろするから〜」


勇太 「お前もノリノリだっただろ!とにかく走れ遅刻するぞ」






勇太 「ふぅ…なんとか間に合ったな」


六花 「覚醒した邪王真眼は最強今のも計算通り」


勇太 「嘘つけ」チョップ


六花 「あぅ」



【放課後 極東魔術昼寝結社部室】


六花「勇太!今日の数学の私の活躍どうだった?」


勇太「どうだったって言われても…(あんなもん反則だろ)」


実は六花は数学の時間にも邪王真眼を使い苦手な数学の難問をラクラク解いたのだクラスの皆は六花がすんなりと応えたことに驚いていたが勇太だけはなんとも言えなかった。


「マスター邪魔するデース」


勢い良く教室に入ってきたのは六花、邪王真眼の一のサーバント ニョるにるハンマーの凸守こと凸守早苗そしてその後ろには元中二病患者 モリサマーこと丹生谷森夏、そしてこの部で唯一の上級生お昼寝大好きくみん先輩こと五月七日くみん ちなみにこれで つゆり と読む。そして最後になぜここにいるのはわからない。くみん先輩に振られても諦めない軽音楽部の一色誠がいる。


凸守 「お!マスター今日は一段と魔力に溢れてるデースね」


六花 「わかる?私、ついに…」

くみん「おやすみなさーい」


丹生谷 「やはっ!ま、いいけど」ヌクヌク


凸守 「お前ら無礼デースマスターの話を聞くデース」


六花 「いい、凸守は黙ってて」


凸守 「マスター?」


いつもと違う立花の態度に丹生谷はもちろん普段中二病の凸守さえも不思議に思っていた。


立花 「ちょっと待って今二人の心を読む」


丹生谷 (どうせいつもの設定でしょまあいいわ)


六花 「むっ!設定じゃない私は邪王真眼に覚醒した!」


丹生谷「…」


凸守 「マスターすごいデースついにこの時が来たという事デースか」


六花 「そのとおり」


凸守はいつもどおりの反応だったが実際心を読まれた丹生谷は驚くこともできなかった


丹生谷 (…え?たまたまよ…ね?)


六花 「たまたまじゃない!本当だと何度言えばわかる」


丹生谷 「え?まさか嘘でしょ?」


凸守 「何を言ってるのデスか?ニセサマー」


丹生谷「」ギロッ


凸守 「あいk」

六花 「相変わらずニセサマーは野蛮デース」


凸守 「え?今マスターなんと言ったデスか?」


六花 「今凸守は 相変わらずニセサマーは野蛮デース と言おうとした、違う?」


凸守 「え?あ、あってるデース…すごいデース本当に覚醒したのデスね」


六花 「そのとおり」


くみん 「六花ちゃんすごいよ〜」ムニャムニャ


丹生谷 「…寝言?」


六花 「今くみんは私が羊と一緒に空を飛んでいる夢を見ているそれですごいと言ったのだろう」


凸守 「すごいデースマスターは人の夢まで見えるのデスね」


六花 「とうぜん」


と、ここまで来てついに今まで黙っていた勇太がしびれを切らした。


勇太 「六花!いい加減にしろ!」


六花 「…勇太?」


勇太がここまできつい言葉をかけたのは初めてだった


勇太 「もう帰るぞ」ガシッ


凸守 「待つデースいきなりどうしたのデスか」


一色 「とがし〜俺出番なs…」

勇太 「どけ!」ドン


凸守 「何を怒ってるデースか?ダークフレイムマスターは」


丹生谷 「さあ?」


【駅前の歩道橋】


六花 「勇太どうしたの?」


勇太 「どうしたの? じゃないお前そんなことやってるといつか取り返しのつかないことになるぞ」


六花 「どうして?」


勇太 「おまえなぁ…」


目をキラキラさせて覗いてくる六花に勇太はこれ以上何も言えなかった。


六花 「心配ないこの力さえあれば…」


そう言うと六花はいつものようにローラーシューズではしゃぎまくっている。そして歩道橋の階段に差し掛かったところで悲劇が起きた。


突風が吹いたのだ。


体勢を立て直そうとした六花はローラーでさらに体勢を崩し階段から落ちそうになった そのとき


「あぶない!」


六花は不意に引っ張られるような感覚に襲われた。腕が引かれた方を向くとそこにはさっきまで横にいた彼の姿は見当たらなかった。


「キャー!」


突如歩道橋の下から女性の悲鳴が聞こえ見てみるとそこに彼が倒れていた。

















六花 「…え」


その瞬間に六花は何が起きたのか理解出来なかった。


【銀杏総合病院】


救急車で近くの病院に運ばれ命に別状はないが後遺症は確実に残ると言われた。

連絡を受けた勇太の家族、丹生谷、凸守、一色、くみんにその事を伝え自分のせいだと言い深く謝罪をした。自分を責める六花に丹生谷はあなたは悪くないと優しく声をかけた。

警察も来たが六花は何も話せずに結果丹生谷と凸守が説得をしてとりあえずは帰ってもらった。

勇太は六花をかばい歩道橋から落ちてしまった。決して六花が悪いわけではない。これは事故だ。だか六花はそうは思わなかった。いや、思えなかった。六花の辛さはここにいる全員わかっている。だからこそ六花に声をかけられなかった。その沈黙を破ったのは凸守だった。


凸守 「いつまで落ち込んでいるつもりデスか!ダークフレイムマスターだってそんなマスターなんてみたくないはずデース」


六花 「早苗ちゃん…」


凸守 「そんな呼び方して欲しくないデース。いつも通りに呼んでください!ほら!マスター!」


丹生谷 「デコちゃん落ち着いて」


凸守 「なんデスかお前までいつもの皆に戻るデス!」


これは凸守なりの励まし方なのだろう。六花のため、勇太のために…しかし六花は優しさも辛かった。悪いのは自分だ励まされる資格もないと。

丹生谷はそれに気づき凸守を落ち着かせようとしたが無駄であった。ならばせめて二人にしようと無理矢理凸守を廊下へ連れ出した。


凸守 「何するデスかニセサマー」


丹生谷「」ダキッ


凸守 「何するデスか」


丹生谷 「わかってるよ。今の全部みんなを励まそうとしてやってくれたんだよね。デコちゃんも辛いのに。ありがとう。でもね今の小鳥遊さんはそれも辛いのだから今はそっとしてよ?それが私たちに出来る唯一のことだから」


凸守 「で、でも私は六花ちゃんが心配で…」


丹生谷 「大丈夫きっとすぐに二人とも元気になるわ」ニコ


凸守 「」コクン


丹生谷 「小鳥遊さん私たち帰るけど何かあったらすぐ連絡してね。ほらあんた達も」ガシッ


丹生谷は一色とくみんの腕をひっぱり無理に帰るように言った。


その日の夜六花は1度家に帰った。理由は荷物を取りに来ただけだ。病院に知人がいるので特別に泊まることを許してもらったのだ。


【小鳥遊家】


家に帰って六花はすぐに準備した。そして病院に戻ろうとしたが部屋を見ると中二病のせいで増えてしまったガラクタがそこらじゅうに転がっていた。これを見たら勇太はなんと言うだろうか。きっとすぐに片付けろときつく言ったはずだ。そう思い六花はガラクタをすべてダンボールに入れベランダに出した。最後に眼帯を取ろうと思い手をかけた瞬間六花の頭にはあの歩道橋で起きた悲劇がよぎった。眼帯を外すことは出来なかった。しかしそれでいいのだ。勇太をあんな目に遭わせた邪王真眼など封印しようそう誓った。不意に時計を見るともう10時をまわっていた。急いで勇太のいる病室に戻った。


【銀杏総合病院】


勇太の病室に戻ってからはずっと勇太の手を握っていた。ただごめんねということしかできなかった。今六花に出来るのはこれしかないのだ。


「六花」


背後から聞き覚えのある声で呼ばれた。その声の主は六花の実の姉小鳥遊十花だった。


六花 「お姉ちゃん…私…私…」


十花 「」ガシッ


十花 「話は全部聞いた。あまり自分を責めるな」


六花 「でも…勇太は私のせいで…」


十花 「お前は悪くないみんなわかってる悪気があったわけじゃないだろ」


六花 「」コクン


十花 「なら自分を責めるなこっちも辛くなる」


六花 「うん…ありがと…」


十花 「わかったなら少し休めかなり疲れてるだろ」


六花 「いい私はここにいるそれぐらいしかできないから」


十花 「…そうかわかった私も付き合おう」


六花 「え?」


十花 「なんだ嫌か?」


六花 「ううん、ありがとう」


十花がそばにいてくれて落ち着いたのだろう。数分後には六花は眠りについた。


花瓶の水を変えて十花は静かに部屋を出た。


【数日後 極東魔術昼寝結社部室】


くみん 「六花ちゃん今日も来なかったね。」


丹生谷 「あれからずっと病院にいるみたいよ。家にもあまり帰ってないって」


凸守 「六花ちゃんかなりやつれてた…」


丹生谷 「まあここで話してても意味無いからとりあえず病院に行きましょ」


くみん 「そうだね」


みんなで部屋を出ようとしたその時…




プルルルルプルルルル



丹生谷の携帯がなった。六花からだ


丹生谷 「え?冨樫君が!?わかったわすぐ行く」


くみん 「何かあったの?」


丹生谷 「冨樫君が目を覚ましたって!」


凸守 「ほんと?」


丹生谷 「うん、良かったねデコちゃん」


凸守 「うん!早く行こ!」


丹生谷 「あ、待ちなさいよ」


冷静に見える丹生谷も内心ではホッとした。これでみんなまた元気になれる中二病は卒業したがそれ以外は元通りになる…そう思っていた。


【銀杏総合病院】


六花 「みんな!」


丹生谷 「小鳥遊さん冨樫君は?」


六花 「今精密検査してるもうすぐ終わるって」


検査室のドアが開き先生が出てきた。


丹生谷 「先生冨樫君はどうですか」


医師 「大丈夫です体に問題はありません。ただ…」


六花 「ゆうた!」


医師の説明も聞こうとぜず六花は病室に飛び込んだ。


勇太 「…だ」


六花 「ゆうた!よかった勇太がいなくなったら私…」


勇太 「お前誰だなぜ俺の名前を知ってる!」


六花 「ゆう…た?」


医師 「小鳥遊六花さんですね別室でお話があります。みなさんも」


丹生谷 「あ、はい」


そう言われ六花、丹生谷、凸守、くみんは別室へと案内された。


医師 「実は冨樫さんは…」


丹生谷 「記憶障害!?」


医師 「えぇ冨樫さんにはここ数年の記憶がありません。おそらく皆さんのことは覚えていないでしょう」



丹生谷 「治るんですか」


医師 「…」


丹生谷 「そんな…」


六花 「ゆうた…」


医師 「あの…こんな事をお願いできる立場ではないのですが小鳥遊さん冨樫さんとまた仲良くなってあげてくれませんか?記憶が戻る確率は非常に低いですがもしかしたら奇跡が起こるかもしれません。」


六花 「なんで私が?」


丹生谷 「当たり前でしょあなた以外に誰ができるのよ」


凸守 「そうだよ六花ちゃん私達も出来ることは何でもする。でも最後は六花ちゃんじゃないとダメなんだよ」


くみん 「六花ちゃん頑張っみない?」


六花 「わかった」


医師 「ありがとうございます」


みんなの後押しを受け六花は勇太ともう一度仲良くなることを決意した…


勇太 「お前はさっきの…誰なんだなぜ俺の名前を知ってる」


六花 「ア、アノワタシハタカナシリッカトモウシマスドウカオトモダチニナッテクダサイ!」


決意したのはいいが元々中二病だった六花にはコミュニケーション能力が皆無と言っていい。とてもまともに話すことはできない。ただそれは六花に限ったことではない。勇太も同様だ。元中二病で女の子に免疫のない勇太には六花に対してどう接していいかわかるはずもない。


勇太 「え?あ、ああよ、よろしく小鳥遊さん」


六花 「ア、ワタシノコトハリッカッテヨンデクダサイ!」


勇太 「わかったじゃあよろしく六花」


六花 「ヨ、ヨロシクオネガイシマス!」


勇太 「とりあえず敬語はやめてくれ同い年だろ?」


六花 「ハ、ハイ!」


勇太(だめだこりゃ)










しばらく沈黙が続くお互いなにを話していいかわからいのだ。だがそれもほんの数分だった。六花が勇太のそばにある銃に気づいたのだ。


六花 「勇太その銃もしかしてAK-47?」


勇太 「なに!お前これがわかるのか!」


六花 「もちろん!AK-47 制式名称は7.62mm アブトマット・カラシニコバ。装弾数は30発を誇り、ソビエト連邦国で使われてメタルギア・ソリッドにも登場する銃だよね!」


勇太 「おぉ!詳しいなじゃあこれはわかるか?」


六花 「もちろん!ウージー イスラエルが初めて製作した銃。主に第二次中東戦争で使用された。サイレントヒル3にも登場した銃。」


勇太 「おぉ!!ここまでわかる奴初めてだ」


六花 「当然銃の名前はほとんど把握してある」ドヤ


勇太 「もしかして家に銃とかあるのか?」


六花 「うんデザートイーグルにトカレフもある」


勇太 「まじか今度来る時持ってきてくれよ」


六花 「え?う、うんいいよ(捨てるつもりだったけど勇太のためだもんね)」


勇太 「よっしゃよろしくな」


六花(言わないと…ダメだよね)


勇太 「六花?」


六花 「…あのね勇太」


勇太 「ん?」


六花 「実はね私たち前にあってるんだよ」


勇太 「え?どこで?」


六花 「私と勇太は同じ高校だったのそれで…」






勇太 「そんなことが…」


六花 「うん…ごめんね勇太」


勇太 「なんで六花が謝るんだ?」


六花 「だって勇太は私をかばって記憶を…」


勇太 「別にわざとじゃないんだろ?なら気にするなそんなことよりもっと詳しく俺の高校生活教えてくれよ」


六花 「うん!えーとね…」



勇太 「ハハハまじかよそんなことしてたのか俺は」


六花 「うんそれでね…」


丹生谷 「…もう心配いらないわね」


物陰から2人の会話を聞いていた丹生谷はホッと息をはきその場から離れようとした。そこに一人の少女が現れた。


「ねえ君勇者はここ?」


丹生谷 「勇者?あなたは?」


「私は七宮智音勇者と一緒にゲルゾニアンサスを呼び起こそうとした魔法少女だよ!よろしくね」


丹生谷 「勇者ってのは冨樫君のことね」


七宮 「そうだよじゃ失礼…ん?あの子は?」


強引に病室に入ろうとした七宮は六花に気づき問いかけた。


丹生谷 「あの子は小鳥遊六花 冨樫君の彼女よ」


七宮 「え?その子って勇者が歩道橋から落ちた原因なんでしょなんで勇者と一緒にいるの?」


丹生谷 「なんでって当たり前でしょ冨樫君ともう一度仲良くなるには小鳥遊さんが必要ですなの」


七宮 「なら私と変わって!樟葉から聞いたけど勇者は中学の記憶はあるんでしょ?なら私の方がいいわそれに勇者は自分を落としたこのとは会いたくないはずだよ!」


丹生谷 「…なら見てみなさい冨樫君の顔を。あれが会いたくない子と会話してる顔に見える?」


丹生谷に言われ病室を覗くとそこにはとても楽しそうに彼女と会話をしてる勇太の姿が見える。七宮といた時よりもずっと…


七宮 「それは…」


丹生谷 「冨樫君は小鳥遊さんが悪いなんてこれっぽっちも思ってないわ。だから私たちは小鳥遊さんに任せることにしたの。冨樫君を心配してきてくれたのは嬉しいけど今は二人だけにしてあげてくれるかしら」


七宮 「わかったよじゃあこれを…」


そう言うと七宮は半ば強引に丹生谷にお見舞いの花を渡した。


丹生谷 「えぇ渡しとくわ」


七宮 「じゃあ私はこれで…あ、もう一ついい?」


丹生谷 「なに?」


七宮 「その六花って子に伝えて『勇者を元に戻さなきゃただじゃおかないからね』って」


丹生谷 「必ず」ニコ


七宮 「じゃあよろしくね」


そう言うと七宮は足早にその場から去った。


丹生谷 「さて、そろそろ…小鳥遊さん帰りましょ」


六花 「え〜もう?」


勇太 「六花彼女は?」


六花 「あ、えっと丹生谷森夏私たちと同じクラスで勇太と一緒にクラス委員だよ」


丹生谷 「よろしく冨樫君」


勇太 「あ、ああよろしく…てか俺クラス委員なのか!?」


六花 「え?あ、行ってなかったっけ?」


丹生谷 「全く貴女は肝心な所を説明してないのね」ビシッ


六花 「あぅ?」


勇太 丹生谷「「なんで疑問形だよ(なのよ)」」


勇太 「やっぱ面白いなお前」クスクス


丹生谷 「よかった二人とも結構すぐ馴染んだみたいねコミュ障だから不安だったけど」


勇太 「最初はすごい緊張してしな」


丹生谷 「あなたもでしょ冨樫君」


勇太 「え?」


丹生谷 「貴方隠してたつもり?ガチガチだったじゃない…ってついつい盛り上がっちゃったけど小鳥遊さん帰るわよ。」


ふと我に返って丹生谷が時間を見るともう九時を回っていた。


六花 「え〜もう少し〜」


丹生谷 「わがまま言わないのまた明日来ればいいでしょ」


六花 「ハァしょうがないか…じゃあね勇太また明日」


勇太 「ああ、例のもの頼むな」


六花 「うん!」


楽しい時はあっという間に過ぎるというもので勇太が目を覚ましてもう10日がたった。今日は六花にの苦手な数学を教えてもらう予定だ。中学生までの記憶しかないが六花に教えるには十分だ。


六花 「勇太今日はよろしくお願いします」


六花が病室に入ってそう言うと勇太はポカーンと六花の方を見ていた。


六花 「ゆうた?」


勇太 「だ、誰だお前」


六花 「え…」


すぐに精密検査が行われた。

そしてその結果勇太の記憶は10日間しか維持できなくなってしまったと医師は判断した。

つまり勇太には目を覚ましてから今まで何があったのか覚えていないのだ。そして今から仲良くなっても10日後にはその記憶もなくなってしまう。


六花 「そんな…」


その日の夜六花は凸守に相談した。


凸守 「そんなことが…」


凸守 「六花ちゃん…いや、マスター!マスターなら分ってるはずデース!自分は何をすればいいか何が出来るか、そのぐらい邪王真眼の使い手ならわかるはずデース!凸守なら奇跡が起こるまで絶対諦めないデース!だからマスターも諦めないでください!凸守とニセサマーは全力でサポートします!」ガチャ


これ以上話すと泣きだしそうなのでデコは慌てて電話を切った。しかし凸守の気持ちは十分六花に伝わったはずた。


ーー翌日一ー


【病院 勇太の病室前】


六花「ふぅ…(…よし!もう一度やり直しだ今度は大丈夫銃の話題を振って…)」


大きく息を吐き心を落ち着かせる。時刻は午後4時学校が終わって10分足らずでやって来た六花は前回の二の舞にならないようしっかりと準備をした。


六花 「」コンコン


勇太 「はい」


六花 「シ、シツレイシマス!ア、アノワタシハタカナシリッカトモウシマス!ドウカオトモダチニナッテクダサイ!」


前言撤回いったい何を準備したのだろうか。1回目と全く同じだ。


勇太 「え?い、いいけど…まあよろしくな六花」


六花 「よ、よろしく勇太君」


勇太 「あ、ごめん俺無意識に呼び捨てだったな」


六花 「え?呼び捨てでいい…」


勇太 「そうか…ところで立花もしかして銃に興味ある?」


六花 「え?うん…」


勇太 「やっぱりか!なんかそんな感じがしたんだよ!」


六花は感じていた。勇太がいきなり呼び捨てにし、銃に興味あることもわかった理由それは勇太の記憶は完全には消えていない と言うことだ。とはいえ勇太自身にその自覚はない。だかこうして勇太の記憶を確実に積み重ねれば勇太と接していられる時間はさらに増える。そうすればいつか記憶維持期間は長くなるはずだと。


そう信じて六花は勇太と会い続けた。記憶が消える、仲良くなる、10日後また消える。それを2ヶ月も続けている。医師も勇太の家族も諦めかけている。それはそうだ。誰もこんな勇太は見たくない。しかし誰も六花を止めようとは思わなかった。みんな六花を信じ頼るしかないのだ。


ーー記憶が消えてから8日目ーー


六花 「じゃあね勇太また明日(明日が終わればまた勇太の記憶は…いや!今更言ってもしょうがないよね頑張ろ!)」


ーー翌日ーー


六花 「勇太あれ持ってきたよ」


勇太 「だ、誰だお前」


六花 「え?(記憶が消えるのは明日じゃ…ううんそんなの関係ない私がやらなきゃ)私は小鳥遊六花友達になってください。」


ついに最も恐れていたことが起きた。記憶維持期間の縮小化だ。今の勇太は記憶は9日しか維持できなくなってしまった。今後さらに短くなる可能性もあるとのことだ。それでも六花はやめなかった。自分を責めていた頃とは違い今は勇太が元に戻って欲しいと言う気持ちが強くなった。その気持ちは通じず勇太の記憶維持期間はどんどん短くなってくる。流石に六花も辛いはずだ。


【学校】


丹生谷 「ねぇ?小鳥遊さん、もう無理よ家族の人に任せましょ」


六花 「なんで?なんでそんな事言うの?私がやらなきゃいけないの!勇太を落としたからとかじゃなくて勇太の力になりたいの!」


丹生谷 「でもあなたボロボロじゃない!あなた最近鏡見てる?かなりやつれてるのよ」


六花 「でも…」


丹生谷 「私はあなたの友達よ!」


六花 「!」


丹生谷 「確にあなた達のように深い関係にはなってないけどずっと周りの目を気に来て生活していた私にとって本音で話せるのはあなた達だけなの!初めて出会えたこんなに素晴らしい友達が苦しむ姿なんて見たくないのよ!もう一度だけ聞くわ諦める気は無いの?」


六花 「ないよ」


丹生谷 「ハァ頑固ね」


六花 「かもね」ニコ


丹生谷 「わかっかわならこれはらは私も一緒に行くわ私があなたをサポートする」


六花 「え?いいの?」


丹生谷 「当たり前でしょさぁ早く病院に行きましょ記憶がリセットされたのは昨日でしょ?なら明後日までは平気なはず」


六花 「うん!ありがと!」


【銀杏総合病院】


六花 「勇太、今日はね…」


勇太 「だ、誰だお前」


六花 「え?」


ついに記憶維持期間が1日になった…

しかし今更そんなのは関係ないまた仲良くなるだけだ。


丹生谷 「小鳥遊さん、しっかり」


六花 「あ、う、うん」


六花 「私は小鳥遊六花友達になってくれない?」


丹生谷 「私は丹生谷森夏よろしく」


勇太 「おうよろしくな六花、丹生谷」


勇太の記憶は1日で消えてしまう。そうわかってても六花と丹生谷は奇跡が起こるのを信じ続けた。しかしあれからさらに1ヶ月がたったが変化はない。


六花 「私は…うぅ…ゆうた…ゆうたぁぁ」


六花は…もう限界だった。

丹生谷も六花のそばにいたのでその辛さは痛いほど分かる。倒れ込む六花を慰める丹生谷と、そこに1人の少女が入ってきた。

凸守だ


凸守 「マスター!今こそあれを使うときデース!」


六花 「…」コクン


六花 「爆ぜろリアル…弾けろシナプス…Van!shment Th!s World!」


今の六花には正気を保つことも出来ない。凸守に言われるがまま中二病全開で眼帯を外してしまった。


六花 「勇太…任せて邪王真眼の力を使い勇太の記憶を戻す…」


丹生谷 「小鳥遊さん何してるの!?」


凸守 「ニセサマーは黙ってるデース!」


丹生谷 「うっ」


凸守の気迫に押されじっと六花を見守る丹生谷しかし六花はなにも出来ない。そんなことが出来ればとっくにやっている。六花はただ祈っているのだ。 お願い戻ってもう限界だよお願い…お願い…勇太!











勇太 「…クッククク小鳥遊六花いや!邪王真眼よ!」


六花 「!ゆう…た?」


勇太 「勇太ではない!ダークフレイムマスターだ!俺は随分と長い眠りについていたようだな…迷惑をかけた。だがその眠りから救ってくれた貴様の声、確かに聞こえたぞ感謝する…悪かったな六花…」


六花 「!?勇太!勇太ゆうたぁぁぁ!」


丹生谷 「冨樫君…あなた戻ったの」


勇太 「いや、戻ったわけじゃないけど六花と丹生谷のことは覚えてる。ありがとうな」


丹生谷 「冨樫君…」


勇太が入院してから約半年奇跡は起きた。

すぐに精密検査が行われなんの異常もないと言われた。

そして3日後には退院することが出来た。


【学校 極東魔術昼寝結社部室】


勇太 「えーと…俺記憶戻らなくて全然わからないんだけどいろいろ教えてください。改めてよろしくお願いします。」


くみん 「も〜冨樫君かたいよ〜」


六花 凸守 「「そうだよ(デース) ダークフレイムマスター」」


勇太 「やめろぉぉぉ!恥しい恥しい恥しい恥しいぃぃ」ゴロゴロ


丹生谷 「全く」クスクス


丹生谷 「あ、でも冨樫君あなたまた記憶が消える可能性はあるんでしょ?大丈夫なの?」


六花 「もしまた消えてもまた何度でも仲良くなる」


丹生谷 「そうね。じゃあ今日はこれで解散しましょ。冨樫君も小鳥遊さんも疲れてるでしょうし」


【橋の下】


勇太 「六花…ほんとにありがとうなお前がいなかったら俺は…」

六花 「勇太!」


勇太 「な、なんだよ人が話してるのに」


六花 「…勇太この場所覚えてる?」


勇太 「…いや、悪いなにか大切な場所なのか?」


六花 「(ここは勇太が気持ちを打ち明けてくれた場所…だから今度は私が…!)勇太…あのね…私勇太のこと好き…」


勇太 「え!?」


六花 「私勇太が好き…だから…邪王真眼により命じる私と…恋人の契約を…結べ」


勇太 「…あぁもちろんだ本当はこっちから言いたかったけどな」


勇太 「六花ありがとうな何度言っても言い足りないけどほんとに感謝してるよ完全に治ったわけじゃないからこの先も迷惑かけると思うけどよろしくな」


六花 「勇太…ゆうたぁぁぁ」ダキッ


勇太 「お、おいこんな場所で…はぁ…」ナデナデ





勇太 「六花、今日…俺ん家に泊まらないか?いろいろ話したいんだ…」


六花 「うん…」


勇太 「じゃあ帰るか」


六花 「うん…」










中二病は恥しい…誰もがそう思うだろう。2度と思い出したくない、消してしまいたいと。だがあの頃の自分は本当に消えてしまったのだろうか…妄想を膨らませキャラになりきっていたあの頃の自分は…人はときにとんでもない妄言を吐き頭の中で起こるはずもない大恋愛を思い浮かべる。それは生まれてから死ぬまで人の中で果てしなく繰り返される悲しくて恥しくそして愛おしい自意識過剰という名の病。自分という避けては通れない営み。そう、人は一生



中二病なのだ








おわり





















































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1: SS好きの名無しさん 2015-09-11 19:00:30 ID: J6l2zTih

おもしろかった ミチリア=アンタレス


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