【デレマス】幸子「もう一度 カワイイと」
-ライブ-
幸子「ありがとーございましたーっ!」
幸子「雨が降ってもこんなにたくさんの人が聞いてくれてるなんて…」
幸子「やっぱりボクが世界一カワイイからですかねっ!」
ファン達「ワァー!」
幸子「ふぅ…」
P「お疲れ、幸子」
幸子「あ、Pさん!」
P「こんな土砂降りでも大盛況だったじゃないか」
幸子「ふっふーん!あたり前ですよ!なんたってカワイイボクのライブですからね!」
P「うん。可愛かったよ。撤収があるから、幸子は着替えて車で待っててくれ」
幸子「ふぁ///あっ…ま、待たせないでくださいよ!」
P「分かってるって。風邪ひかないようにしとけよ」
幸子「…へくちっ!」
P「おいおい…」
-後日 TV局控え室-
P「久しぶりの収録だな」
幸子「ボクの魅力たっぷりのライブ続きでしたからね」
P「そうだな!本当にいいライブだったぞ」
幸子「はぅ…///…っあ…えええっと…」
幸子「(もう…Pさんは気にせずストレートにそういうことを…///)」
P「そろそろメイクさんが来るから、俺は外に出るよ」
幸子「は、はい!カワイイボクがさらにカワイくなっちゃいま…」
ドクン
幸子「…っ!」
幸子「(なんでしょう…胸が…)」
ドクン
幸子「(痛い…)」
P「幸子?」
幸子「は、はい!Pさん!」
P「どうした?どこか調子悪いのか?」
ドクン
幸子「(気のせいですかね…?)」
幸子「な、なんでもないですよ!」
ドクン
幸子「き、緊張してるんです!」
P「そうか。なんかあったらすぐ言えよ」
幸子「大丈夫ですってば!」
P「俺はこれから卯月のロケ現場に行くから、番組収録が終わる頃に迎えにいくよ」
幸子「遅れないでくださいね!カワイイボクが待ってるんですから!」
ドクン
P「おう、遅れず行くよ。じゃあな」
ガチャ バタン
幸子「(うぐ…)」
-スタジオ-
幸子「カワイイボクが来たからには、番組視聴率もグンと上がりますよ!ふっふーん!」
司会者「幸子ちゃんそんなシビアなこと言わんといてや〜」
会場「(笑い)」
司会者「番組後半、幸子ちゃん新曲歌ってくれるんやろ?」
ドクン
幸子「は、はい!ボクの素敵な声を会場のみなさんに届けますよ!」
ドクン
幸子「(おかしいです…さっきより痛い…)」
番組後半
司会者「それじゃ幸子ちゃん、舞台の方へ!」
ドクン ドクン
幸子「はい!頑張りますよ!」
幸子「(痛い痛い痛い…!)」
幸子「(ダメです…!世界一可愛い輿水幸子ですよ!こんなのに負けちゃ…)」
ドクン ドクン ドクン
司会者「それでは、輿水幸子ちゃんの新曲…」
ド ク ン
幸子「(あ…何も見えな…)」
バタッ
-卯月のロケ現場-
Prrrr
P「はい、Pです。ちひろさん?どうしたんですそんなに慌てて…」
P「…え?幸子が…?」
-病院-
P「はぁっ…はぁっ…あのっ、Pというものですが、こちらに輿水幸子が運ばれたと聞いて…はぁ…!」
受付「はい、伺っております。集中治療室に搬送されましたので、今ご案内します。」
P「(幸子……幸子…!)」
P『…え?幸子が…?』
ちひろ『はい、収録中に突然倒れたらしくて…スタッフさんが今救急車を手配してくれてるみたいで…』
P『わかりました。すぐ行きます』
ちひろ『Pさんはそのまま現場にいてください!私がいきま…』
P『輿水幸子は僕の担当アイドルです!!!』僕が行かなきゃいけないんです!!!』
P「(幸子…ッ!)」
医師「Pさんですか?こちらへ」
P「はい…」
-診察室-
医師「名前はコシミズ サチコさんで間違いないですね?」
P「はい。私は保護者ではありませんが、彼女のプロデューサーです」
医師「結構です。今から質問することに答えてください」
P「…はい」
医師「最近、呼吸器系に何か異常がありましたか?」
P「えぇっと…あ、あります!以前雨天でのライブの際、風邪を引いた気が…」
医師「そうですか…。Pさん、よく聞いてください」
P「は、はい」
医師「輿水さんは」
医師「心臓の病気を患っています」
P「……え?」
医師「風邪だと言いましたが、多分呼吸器系のウイルスだったんでしょう」
医師「ウイルスが心臓を段々と蝕んで炎症を起こしたんでしょう」
医師「今は一命をとりとめていますが、この先持って」
医師「3 か 月 で し ょ う 」
-病室-
幸子「…」
P「幸子、入るぞ」
幸子「…あ、Pさん」
P「以外と元気なんだな」
幸子「そりゃボクは世界一カワイイアイドルですから!」
幸子「病気なんてイチコロですよ!」
P「そうか…」
P「(余命のことは言わないでおこう…)」
P「幸子、マスコミには活動休止で通しておく。しばらく休め」
幸子「そんなぁ!ボクはなんの病気なんですか!?」
P「…医者が言うには肺炎らしい」
P「ちゃんと治して、アイドル…やろ…う…」
幸子「Pさん…?どうして…泣いてるんです?」
幸子「世界一カワイイボクのPが涙を流すなんて情けないですねぇ!」
P「そう…だよな」
幸子「そうですよ!」
ドクン
幸子「うぐっ…!」
P「幸子!大丈夫か!」
幸子「痛い…痛いです…!」
医師「輿水さん、大丈夫ですか」
医師「おい君、すぐオペを始めよう」
看護婦「はい、執刀医呼んで来ます」ダッ
ガラガラガラ…
P「幸子…」
Prrrr
P「もしもし、あぁ…ちひろさん。」
ちひろ「今、幸子ちゃんのご両親に連絡を取りました。ヘリで今から向かうそうです」
P「さすが輿水家…」
ちひろ「私も今から向かいます。待っててください」
P「わかりました。なるべく早く来てください!」
-手術中-
P「…」
ちひろ「Pさん!」
P「ちひろさん…と」
ちひろ「こちら、幸子ちゃんのご両親です…」
幸子母「どうも…Pさんですね」
幸子父「娘がお世話になっております」
P「いえいえ…急に来ていただいて申し訳ありません」
父「幸子は今、どんな状態で…」
P「先ほど搬送されて集中治療室に入ったのですが、胸が痛いと言って今は緊急手術を…」
P「心臓病だそうで…」
P「3か月…もつか…どうか…!」
母「っ…!」
父「そんな…!」
ちひろ「幸子ちゃん…」
P「ウイルスによる炎症だそうです…。もっと早く僕が気づいていれば……!」
父「頭を上げてください!」
母「Pさんが悪いわけでは…!」
ちひろ「あっ…!Pさん、手術終わったみたいですよ!」
医師「Pさんに、ご両親ですね。こちらへ来て頂けますか」
-診察室-
医師「手術で炎症を切り取りました。しかし…」
医師「心臓の奥深くまで浸透していて、炎症を全て切り出すことは不可能でした」
医師「手術でわかったことは」
医師「1週間の命ということです」
P「…っ!」
医師「病気の進行が速く、これ以上は体力的にも手術は困難です」
母「うっ…ううう…」
父「私たちは一度家に戻って親族と話し合います…」
父「Pさん、幸子を…幸子を頼みます」
P「はい…」
ちひろ「Pさん、事務所のみんなには何て言えば…」
P「ありのままを伝えてください」
ちひろ「しかし…」
P「いいんです。これから来る別れに立ち会わなきゃいけないんですから」
-病室-
幸子「…」
P「みんな心配してたよ」
幸子「ふっふーん!そりゃそうですよ!」
幸子「カワイイボクが抜けたらみんな困りますよね!」
P「…そうだな」
幸子「…?」
幸子「(あれから、いろんな人達がお見舞いに来てくれました)」
かな子『マカロン持ってこようと思ったんだけど…きっと食べちゃダメだろうから、りんご剥いてあげるね』
幸子『ちゃんとうさぎさんにしてくださいよ?』
文香『暇でしょうから、本を持って来ましたよ』ドサッ
幸子『そんなに読めませんよぉ!』
凛『お花、持ってきたよ』
幸子『わぁ…綺麗…はっ…か、カワイイボクには負けますけどね!」
幸子「(みんな笑顔でしたけど、ボクは知ってます)」
幸子「(みんな目の下が腫れてます!泣くのをこらえてますね!)」
幸子「(きっと…)」
幸子「(かわいいボクがいなくて寂しいんですね!)」
ド ク ン
幸子「うがっ…」
幸子「ファ、ファンレターでも読みますか!」
幸子「こんな状態でもファンレターが絶えず届くって…ボクのカワイさの現れですね!」
【病気に負けないで!】
【早く帰って来てください】
幸子「ふっふーん!当然ですよ!」
【心臓病、早く治してくださいね】
幸子「…」
幸子「…え?」
幸子「どういうことですか…?」
幸子「まさか…ははは…」
幸子「ざ、雑誌でも読みましょう!」
【輿水幸子、心臓病か?医療関係者が暴露】
幸子「えっ…そんな…」
幸子「だって…ボクは肺炎で…」
幸子「みんな…寂しくて涙を…」
幸子「…あ…」
幸子「なぁんだ…。そういうことですか…」
-病室-
幸子「…」
P「幸子…?」
幸子「P…さぁん…ボク、死んじゃうんですか…?」
P「…!」
P「幸子…そんなこと…」
幸子「Pさん…ボクからお願いがあります…」
幸子「ちゃんと聞いてくださいね…?」
P「…なんだ…?」
幸子「もう一度、カワイイって言ってください…」
幸子「ボクにもう一度だけ…カワイイって言ってください…」
幸子「(また…Pさんのカワイイが聞きたい…な)」
P「…嫌だ」
幸子「(…聞き間違いでしょうか…)」
P「嫌だ…!」
幸子「どうして…」
P「そんな弱った幸子は…幸子じゃない…!」
P「世界一カワイイ幸子はどこに行ったんだよ!!!」
P「なんで…こんな…こんな…っ!」
幸子「…Pさ…」
ドクン
幸子「ぐぅっ…!」
ドクン
幸子「ああああ…あ…」
P「幸子!」
ド ク ン
幸子「…もう…痛くない…」
ド ク ン
幸子「(Pさん…)」
幸子「 」
-事務所-
P「ふぅ…」
ちひろ「Pさん、なにされてるんですか?」
P「プロダクションのHPに幸子のことを…ね」
ちひろ「あれからもう1週間も経つんですね…」
ガチャ
小梅「P…さん…ちょっと…いいかな…」
P「ん、どうした小梅」
小梅「あのね…えっと…幸子ちゃんのことなんだけど…」
小梅「『今まで ありがとう』って言ってたよ」
小梅「あと…」
346プロ 輿水幸子 オフィシャルHP
活動を休止しておりました輿水幸子ですが、先日未明、この世を14歳で旅立ちました。
本人も闘病を続けていましたが、病気が彼女を蝕み、最後は痛みを感じずに永遠の眠りにつきました。応援してくださったファンの皆様、輿水幸子のこれからに期待をしてくださっていた皆様に心よりお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
幸子「『ずっとボクのPでいてくださいね?』」
END
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