2015-02-06 18:59:14 更新

概要

にこちゃんが葛藤する話。



皆さんこんにちはっ!

みんなのアイドル、矢澤にこです☆

にこは〜、みーんなのアイドルだから〜

特定の想い人なんて〜作らないにこっ☆


……男の人、はね。



最初は自分でもおかしいなって思った。

だって、女の子だよ?

にこも女の子。

相手も女の子。

にこが女の子を好きになるなんて……

ううん、これはきっと気のせい。

憧れに似たなにかよ…きっとーー



希「にこっち?どうしたん?」


にこ「うゎぁああぁっ!?ののの希!?」


希「?そんなに慌ててどうしたん?……まさか、またテスト悪かったんじゃーー」


にこ「そそそそんなことないにこ!赤点はとってないにこ!!!!」


希「赤点、”は”?……ふぅ〜〜ん、また、ギリギリやったんやない?」


にこ「…そ、そぉ〜んなこと、……ない、ことない、かも…?」


希「……お仕置きは必要かね?」


にこ「結構です!!!!」


にこは焦って逃げたわ。

いま、希に会ったら心のすべてを見透かされそうで……なんだか怖くて。

部室の扉を勢いよく閉めて一安心。

……でも、これからどうしよう?


ことり「にこちゃん?」


にこ「……ことり」


よりにもよってなんでことりなの……

にこはこの子も少し怖い。

天然ぶってるだけで、この子も心を見透かしてくるような気がする。


ことり「にこちゃん、穂乃果ちゃん知らない?」


にこ「穂乃果?……見てないわよ」


ことり「そっかぁ〜…部室かなあと思ったんだけど、違ったんだねえ……」


にこ「海未に聞いてみたら?」


ことり「海未ちゃんも見つからないの」


そうやって少し困ったように笑う。

だからにこは一緒に探すことにしたの。



ことり「にこちゃん、どうしてちょっと慌ててたの?」


にこ「え?……希に…」


ことり「希ちゃん?」


にこ「そう、テストがね……」


ことり「赤点だったんだ?」


にこ「なんで赤点になるのよっ!今回は大丈夫だったわっ!」


ことり「あはは〜、ごめんね」


にこ「だいたいみんなにこを馬鹿にしすぎよ」


ことり「…あっ」



にこが日頃の扱いの愚痴を言っていたらことりが小さく声をあげたわ。



ことり「穂乃果ちゃん!」



穂乃果はパンを食べていた。



穂乃果「はれ?ことりちゃんどーふたの?」


にこ「食べるか喋るかどっちかにしなさい」


穂乃果「にこちゃん、海未ちゃんみたいなことを言わないでよぉ〜」


ことり「穂乃果ちゃん、探したんだよぉ〜」


穂乃果「ごめんねえ、どうしてもパンが食べたくって……」


にこ「だからってなんで中庭で食べてるのよ……」


穂乃果「う〜〜ん、気分?」


へらりと笑う穂乃果に思わずため息がこぼれたわ。

本当気まぐれに行動するんだから。


ことり「今週末、穂むらにお手伝いに行く話のことなんだけどね…」


穂乃果「おお!すっかり忘れてたよ!」


にこ「しっかりしなさいよ……じゃ、にこはこれで失礼するわ」


ことり「あっ!にこちゃん、一緒に探してくれてありがとう!」


にこ「いいのよ、これくらい」


ひらひらと手を振り、穂乃果とことりと別れる。

幼なじみっていいもんよね〜、とか思いながら廊下を歩いていたの。

そうしたらピアノの音が微かに聞こえたから音楽室へ向かうことにしたわ。



にこ「……」


音楽室の中では真姫が一生懸命ピアノとにらめっこ。

……新曲、作ってるって言ってたっけ。


にこ「(邪魔かしら)」


真姫「…視線が痛いんだけど?」


にこ「…邪魔するつもりは無かったにこ?」


真姫「はいはい」


音楽室へ入り、ゆっくりピアノへ近づく。


にこ「新曲?」


真姫「そ。なかなかうまくいかないのよね」


にこ「ふ〜ん…なんならにこに頼ってもいいのよ?」


真姫「にこちゃんに頼って曲が完成するかしらね」


にこ「なにそれ」


あ、笑った。

真姫が笑うのってなかなかレアだと思うのよね、ツッコミ担当なところある気がするし。


真姫「……で、どうしてここに来たの?」


にこ「ピアノの音が聞こえたから。」


真姫「私がいると思ったんだ?」


にこ「……ま、そんなところね」


真姫「本当の理由は別なんでしょ?」


にこ「え〜?そんなことないにこ〜?にこは〜、真姫ちゃんに会いたかったにこ☆」


真姫「はいはい、ありがと。どうせ希か絵里に痛いところつかれたんでしょ」


にこ「…あんたって本当無駄に鋭いときあるわよね」


喧嘩でもしたのならさっさと仲直りしてよね、μ'sが気まずくなるのは勘弁だわ。

と、真姫は言い放った。


にこ「喧嘩はしてないわ…」


喧嘩は、してないのよ。喧嘩は。

ただ顔を合わせづらいだけなのーー


なーんて、言えないしね。

理由を突っ込まれたら厳しいわ。

だからにこは音楽室を出ることにした。


にこ「……ま、作曲の邪魔になりそうだし、そろそろ帰るわ」


真姫「そう。また明日かしら?」


にこ「そうね、明日はダンスの練習よ」


扉を閉めたらどこに行こうか。

帰ろうかな……?

とかなんとか考えながら音楽室を出たら。



にこ「……絵里」


絵里「あ、あらにこ。偶然ね」


1番会いたくなかった人に出会ってしまった。



にこ「……どうしたの?」


絵里「ただ通りかかっただけよ」



すこし、気まずい空気が流れた。



絵里「…生徒会室に来ない?立ち話もなんだし」


にこ「………ええ、お邪魔させてもらうわ」



希がいたらいいのにーーー

そんな淡い期待もむなしく、生徒会室には誰もいなかった。

いま、花陽の言葉を借りたいわ。

ダレカタスケテー。



絵里「……」


にこ「……」


絵里「……ねえ、にこ」


にこ「ななっ、な、なに!?」


絵里「好きな人がいるの」



スッと背筋が凍った気分がした。


にこ「どうして…そんな事にこに言うの?」


答える声が震え、冷や汗がでる。

これは……これは、いわゆる恋愛相談ってやつじゃないかしらーー!?

そっかそっか、恋愛スーパーマスターに見えちゃうにこにーに絵里も頼りたくなっちゃったのね!



絵里「……えっと…」


やめてやめて答えに詰まらないで……!

絵里は誰が好きなんだろう、希かな、穂乃果かな?

って、なんで対象がμ'sなの!?

絵里は普通に男の子が好きに決まってるじゃない……

そうよ……そうに決まってるわ…



にこ「……ごめん」


椅子を蹴倒す勢いで立ち上がり、生徒会室を後にする。

廊下は走っちゃだめですよ、なんて今は守ってられないしそもそもそんな規則なんてあったかしら。

ひたすら廊下を走って正門へ向かう。


どうして、にこは泣いているんだろう。



希「にこっち」


にこ「の、ぞみ」


やばい。いま希に見つかっていい事なんて一つもない。


にこ「ごめん希、にこ、これからバイトなんだ」


希「へぇ、そんな泣き顔でバイト行くの?」


にこ「……っ」


希「…うちにも話されへんこと?」




にこの目からぼろぼろと涙が溢れる。


にこ「……のぞみぃ」


希「はぁい、なんやにこっち」


にこ「…苦しいの、希」


希「そっかそっか、原因はえりちかな?」


にこ「……」


希「無言は肯定やね」


にこ「……変って思わないの?」


希「んー?」


にこ「にこは女の子なのに…女の子に恋するなんて……」


希「へぇ、にこっちはえりちのこと好きなんや?」


にこ「…あっ」


希「まあいいと思うよ?……ことりちゃんなんてどう見ても穂乃果ちゃんのこと好きやしね」


にこ「……そうなの?」


希「うん。まあ、うちはえりちもにこっちも好きやけど…それは恋じゃないし、人への好意への抱き方なんてそれぞれやしね」


にこ「うん…」


希「いや〜まさかにこっちがえりちに恋してたなんてなあ」


にやにやとにこの顔を覗き込む。


にこ「…そうね。私もびっくりよ。まさか絵里のことをこんなにも好きになるなんて」


希「なんかキッカケとかあったん?」


にこ「……さあ。気づいたら絵里を目で追いかけてたわ。理由なんて無いのよ」


希「へぇ、結構前からなん?」


にこ「そうね、3ヶ月前くらいからかしら。その時は…なんとなく意識する程度だったわ」


希「…それが確信に変わったんやね」


にこ「……うん、それは最近。絵里を見てたらこう…きゅって苦しくなる時があったりしたの」


希「ほうほう」


にこ「あ〜好きなのかなあ、とか思ったり、でもにこは女の子だし、相手も女の子だし、こんなのおかしいな、とか」


希「…」


にこ「そもそもにこはアイドルなのにスキャンダルなんて……とか言い訳してたの」


希「…」


にこ「自分に言い聞かせてのかもしれないわね。……でもここ2週間くらいは顔を合わせるのも辛くなったの、どうせ叶わない恋だし」


希「…やから避けてたんやね」


にこ「……バレてたのね、…そう、ついつい避けてたわ。でね、さっき会っちゃって、…絵里が、好きな人がいるのー、なんて言ってくるから思わず逃げちゃった」


希「…」


にこ「恋愛相談と思ったのね。ついにフられる時かあ、とか思うと泣きそうになっちゃって。…そりゃ絵里だって女の子なんだし恋くらいするって頭ではわかってたのよ、…頭ではね」



ああもう、せっかく涙、止まってたのに。

アイドルは笑顔にさせる仕事なのに。

にこが泣いてちゃダメじゃない。


希「……にこっち」


にこ「…はは、敵前逃亡ってやつ?……にこは逃げたのよ」


弱いわね、と呟く。

希は困ったように笑ってるし、迷惑かけちゃったわね。


希「……やって、えりち」


にこ「………………え?」


今世紀最大の素っ頓狂な声をあげる。

えりち?いま、えりちって言った?

にこはゆっくり、希の視線の先へと顔を向けた。



にこ「……絵里」


絵里「…………ごめんなさい」


聞くつもりは無かったのだけれど、と言う。


にこ「まって、いつから」


絵里「3ヶ月くらい、のくだりから」


にこ「ちょっと首吊ってくる」


希「ストップにこっち」


にこ「嫌よ!あんなの聞かれたなんて!死ぬ!にこの人生終わらせる!」


希「まってにこっち!早まったらアカン!そんなんしたらみんな悲しむやん!」


絵里「にこ」


よく通る声でにこを呼ぶ。

ああもうやだ、穴があったら入りたいってこのことよ…


にこ「……はい」


絵里「…誰も、男の子が好きなんて言ってないわ」


にこ「え」


絵里「だからって女の子が好きとも言っていないわ。……私、にこが好きよ」


にこ「……えっと、慰めならいいのよ?」


絵里「違う。私は、恋愛対象としてにこが好きなのよ」


じっと目を見つめられる。

ああ、これ嘘じゃないのかしら。


にこ「……希」


希「なに?」


にこ「頬っぺたつねってくれるかしら」


希「あいあいさー」


にこ「…ったい!いひゃい!のぞみ!?」


希「いつもより強くしてみました」


にこ「こんなところでボケはいらないのよ!……ねえ、絵里、それ、本当よね」


絵里「ええ。…今嘘を言うほどひどくないわ」


希「よかったやん?にこっち」


にこ「……なんか拍子抜けなんですけど」


絵里「あら、なんならキスしてあげましょうか?」


にこ「えっ、いや、それは、あの」


希「おお?うちのことなら気にせんでええよ?」


違う!いまの目配せはそういうのじゃないの!

言い訳しようとした口は塞がれた。


希「…ほんまにやるとは」


絵里「有言実行、ね」


にこ「…えっ、絵理」


希「で?いつまで猫被ってんのえりち?」


にこ「ねこ?」


絵里「あら、本能のままに行動してもいいのかしら…正直いま理性がぶっ飛びそうで想いが弾けそうよ」


にこ「あれ」


希「にこっち。えりちの実態を知っといたほうがええよ。」


にこ「まって希、なんでそんな悟った表情なの」


絵里「はあああんんにこ可愛いわあ」


希「…(微笑み)」


にこ「おや」


絵里「μ'sを結成する前からにこのことは知っていたのよ本当可愛いずっともふもふしていたい」


にこ「希さん」


絵里「これでにこは私のものね、ずっと賢いモード演じるのもにこを惚れさせるのも大変だったわ」


にこ「希さん!!??」


希「にこっち、……現実やで」


絵里「にこおぉぉ」


にこ「絵里!?ちょ、苦し、苦しい」


希「…二人は幸せに暮らしましたとサー」


にこ「終わらせないで!終わらせないで!」


絵里「なんでこんなに可愛いのにこおぉぉ」


希「犬を可愛がる飼い主みたいやね」


にこ「」







私が好きな、絢瀬絵里という人物。

表は生徒会長。

賢いかわいいエリーチカ。




希「うちは出会った時からポンコツさんやったのは知ってたけどな」


にこ「え」


希「ま、実はまんざらでもないんやろ?」


にこ「…よくそんな満面の笑みで、絵里の膝の上に乗せられている私に言えたわね」


希「バカップルの誕生やね」



これは冬のとある日の話。



後書き

初投稿・初百合です。
わかりにくかったり、読みにくかったりするかもしれませんが、後書きまで見ていただき感動です……!!!
修正すべき点・ここ違うよ!という点があれば是非教えていただければと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。


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SS好きの名無しさんから
2015-09-18 17:51:28

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2015-08-15 22:25:57

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