ハルヒ「全マシよ!」
SOS団で二郎を食いに行きました
初投稿です
キョン(見た目でわかるその暴力的な分量、麺を口に含んだ瞬間に広がる猛々しい小麦粉の香り。啜れ、啜れ、啜れ、本能のままに啜り尽くせ。己が愚行を脳が諌める前に胃袋へと収めきるのだ。ああ、くそ、それにしても多いな畜生。ひと噛み毎に満腹中枢が目を覚ましていく感触がわかる。噛むな、飲むんだ俺。食道を麺でうがいするんだ。そうだ、いいぞ、だいぶ麺も減ってきた。あとはもやしと豚だけだな。いいぞ、もやし、口の中にスプラッシュするもやしの水分、清涼感。水を汲みに行く手間が省けていいぞ)
古泉「あの…」ムグムグ
キョン「どうした古泉、今忙しいんだ」ムグムグ
古泉「さっきから涼宮さんの様子が…」ムグムグ
みくる「涼宮さん、さっきからすごく苦しそうです…」ムグ…ムグ
長門「涼宮ハルヒの摂食速度が指数関数的な減少を見せている。このままの加速度で速度低下が進行すれば、完食する前に0へと収束する可能性が極めて高い」ムグムグ
キョン「ああ…あれはダメなパターンだな。あれほどヤサイだけは増すなって言ったんだが」ムグムグ
キョン(まずい、さっきの会話の間にだいぶ満腹中枢の覚醒が進行した。もやしも良いがそろそろ豚に取り掛からないとまずいな。豚。それはここに通う者の成れの果てとも言う。規格外の厚さに顎は悲鳴をあげるかと思いきや、その脂身からくる柔らかさは俺の臼歯を豊かに受け止める。いいぞ、豚。強いぞ、豚。うぐ、咀嚼するのはいいが飲み込むのが真面目にしんどい。さながら前門の豚、後門の麺といったところか。ええい、ままよ)
古泉「あn」ムグムグ
キョン「それどころじゃねえんだよ今」ムグムグ
古泉「見てくださいあの顔色。まるでミキプルーンですよ」ムグムグ
長門「シマリス属やジリスには、頬の内側に『頬袋』と呼ばれる袋状の構造がある。頬袋には柔軟性があり、たくさんの食物を入れて運ぶことができる」ムグムグ
キョン「長門ぉ!麺口からこぼれてる!こぼれてるから!」ムグムグ
みくる「涼宮さん、さっきから涙目です…う゛っ」ガタン
(まったくあいつらは…こちとらさっきからガムみたいに豚の咀嚼に努めているのにまるで減らないぞ、口蓋帆張筋と口蓋帆挙筋と上咽頭収縮筋、ストライキなら後にしてくれ、頼む。水を使って押し流すか?いや、もう一枚あるのに胃の容量を消費するのは避けたい。ここはもやしをお供に押し込む!…シィィィィット!もやしだけすり抜けて行きやがった。奇跡も魔法もないんだよ!)
prrrrr…
古泉「はい、古泉です。特大の閉鎖空間?前傾姿勢で口を押さえている、バケツを投げてください。はい、大至急です。お前も早く来い?んっふ、身重の人間に何をさせるつもりですか、では」ピッ
長門「トイレは使用中」ムグムグ
古泉「何やってんだあの未来人」シーハー
(やったぜ…やってやったぜ…フハ、フハハハハハ、どうだ見たか、俺の戦いっぷり。汁はさすがに飲む気になれないな、うん。というか立ち上がるのが怖え。胃に何か刺激を与えた瞬間に爆発しちまいそうだ、うん?そういえばさっきからハルヒと朝比奈さんの姿が見えないな)
「ひえぇ…無言でドア叩かないでくださいぃ…えっ、あっ、なんで鍵開いてるの?やめて、やめてください涼宮さん!ちょっ、その顔色は…きゃあああああああニンニク臭いいいいいいい!」
長門「店内で吐くのは失礼」
古泉「ひょっとして鍵を開けたのは…、便器のシェアもどうかと思いますけどね」
終
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