もし比企谷八幡が記憶を失ったら
もしも事故で八幡が記憶を失ったらという話
拙い文章ですがお読み頂けると幸いです。
雪ノ下「..........あら 」
結衣「ヒッキー!! 」
八幡「ん、ああ..........。」
八幡 (頭が痛い..........どうも記憶が曖昧だ。なぜ俺はこんなところにいるのだろうか。)
雪ノ下「まったく..........転んで頭を打ったあなたを、わざわざ病院まで連れてきてあげたのにお礼の一言もないの? 」
由衣「ヒッキー! 心配したんだからね!?」
八幡 (転んで頭を打った..........? 確か俺は家のベッドで本を読んでいたはずなんだが..........。
まあ、とにかくお礼くらい言っておこう。)
八幡「そうだったんですか..........見ず知らずの俺のためにわざわざありがとうございました。」
雪ノ下 「え?」
結衣「ひ、ヒッキー? 」
八幡「はい?」
八幡 (いや、お礼言ったら疑問形で返されるってどういうことだよ..........。てか、俺の名前ヒッキーじゃないんだけど..........。)
雪ノ下「ふ、ふざけないでちょうだい。いくらなんでもこんな状況でふざけられると少し腹が立つわ。やはり貴方は更正が必要なようね」
八幡「別にどこもふざけてはいないんですけどね..........。」
結衣「なにかあったの..........悩みでもあるの..........?」
八幡「ねえよ..........。」
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医者「恐らく..........記憶喪失でしょう」
雪ノ下「嘘..........。」
結衣「え!なんで!?」
医者「頭を打ったせいだと思われます。お話を聞く限り、失ったのは主に今から中学生くらいまでの記憶だと思われます。」
雪ノ下「..........彼は治るのでしょうか?」
医者「戻らないということはないと思います。日常生活を送るうち、ふとした事で記憶を取り戻すことがあるかも知れません。」
結衣「そうなんですか..........ゆきのん!」
雪ノ下「ええ..........仕方がないわね、やりましょう由比ヶ浜さん。」
結衣「うん!」
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八幡 (いきなり記憶喪失だと説明され、本当は高校生だなんて言われても実感わかねえよ..........あげくの果てに、なんで高校生の俺は奉仕部なんていう得体の知れない部活に入ったんだ?)
八幡 「し、失礼します..........」
雪ノ下「あら、来たのね。まずその腐った目でこちらを見るのをやめて頂戴。ひどく不愉快だわ。大体、よくそんな目をしたまま今まで生きてこられたわね..........私なら生きているのに耐えられないわ。ねえ、あなた恥ずかしく..........」
八幡 「お、おい! なんで俺は入った瞬間そんな暴言を浴びせられなきゃならないんだよ!?」
雪ノ下「あら、ごめんなさい。ショック療法よ?わからなかった?」
八幡「流石にわかる訳ねえだろ..........。」
八幡「せめて、もう少し他のショックはなかったのかよ..........。」
結衣「じゃ、じゃあさ!ヒッキーこれ食べてみてくれない?」
八幡「なにこれ?」
結衣「え?? クッキーに決まってるじゃん? あ、ゆきのんも食べる?」
八幡「」
雪ノ下「」
八幡「な、なあ雪ノ下。クッキーってこんなに焦げがついてて鉄のように硬いものだったか? もしかしてここ何年かでクッキーに変化が..........?」
雪ノ下「残念ながらクッキーの定義は変わった覚えがないわ..........」
八幡「そうかよ..........まあ、とりあえず食べてみるか..........。」
雪ノ下「そうね..........。」
八幡(っっ!? な、なんだこの革命的なクッキーは!? まるで歯ごたえは岩おこし。口いっぱいに、こしょうとチョコ?の味が広がり..........)
八幡「ゲホッゲホッ、グオハッ!」
結衣「え!? なに!?大丈夫!?」
八幡「あ、いや、喉に詰まっただけだ。それより由比ヶ浜、これはなんのクッキーだ?」
結衣「抹茶のクッキーだよ。レシピ通り作ったんだけど、ちょっと焦がしちゃった。えへへへ..........。」
八幡 (はにかむ顔が可愛いな..........ってそうじゃねえ!どうやってレシピ通り作って、あんな物ができる!? 雪ノ下なんて今は平然としているが、さっきまでやばかったぞ..........あ)
八幡「....................。」
雪ノ下「ひ、比企谷君?」
結衣「ヒッキー?」
八幡「高校の教室でバレンタインデー、みんながチョコを貰う中、一人貰えずに机にぼーと座っている俺の姿が浮かんできた..........。」
結衣「ヒッキー..........。」
雪ノ下「貴方の思い出した悲しい出来事はともかくとして、少し進展したわね..........。」
結衣「私のクッキーのおかげ!? それならもっと作ってこよ..........」
材木座「んふお!八幡よ! 我は剣豪将軍..........!」
八幡 「おい、雪ノ下」
雪ノ下「なにかしら?」
八幡 「今、この暑いのにコートを着た不審人物がドアを開け、俺の名前を呼びながらこちらに向かってきているのだが..........。」
雪ノ下「ああ、あれは貴方の友達..........ケホン。失礼、比企谷君に友達はいなかったわね。貴方の知り合いよ。」
八幡「さりげなく、人のことデイスッてんじゃねーよ。てか、あれが俺の知り合いなのか.........めんどくさそうだ。」
材木座「ケフコン!ケフコン! いきなりだが八幡よ、この世界は我らに優しくはないと思わないか? そこでだ!我は..........」
八幡「何いってんだ、この世は八幡大菩薩によって管理されているんだぞ? 名も無き神である俺にしかわからないが..........」
材木座「は、八幡さん?」
雪ノ下「!?」
結衣「!?」
八幡「..........あ、すまん。つい。」
雪ノ下 「そういえば、貴方がこの部活に入ったばかりの頃、似たような話をしていたけれど、中学の頃の話だったのね..........」
結衣「だ、大丈夫だよ! 男の子はみんなそういう時期があるよ!」
八幡「慰めるな..........余計悲しくなる。」
結衣「ごめん..........。」
材木座「ま、まあ。今日はとりあえず帰るとしよう..........八幡よ! また会う日を我は待ち望んでいるぞ!」
八幡「おう、またな。」
結衣「..........。」
八幡「..........。」
雪ノ下「ふう、暗くなってきたし私達も帰りましょう。」
結衣「そうだね! せっかくだし途中まで三人で一緒に帰ろうよ!」
八幡「まあ、いいんじゃねえの。」
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八幡(はあ、まだ一日しかたってないがやけに疲れたな..........こんなのが、毎日続くのかよ..........。) ガチャ
小町 「あ、お兄ちゃんおかえり~! 」
八幡 「おう..........なんか背伸びたな、お前。」
小町「そりゃ、小町はもう中学生ですから。ほんっと、しょうがないな~ごみいちゃんは。学校どうだった?」
八幡「いろいろあって疲れたな。授業は意味不明だし、変な部活にいかなきゃならないし。」
小町「そうだね~確かにいきなり飛び級したようなものだからね、そりゃ疲れるよね。」
八幡「まあ、そういうことだ。あ、そーいやこいつらが何故かついてきたんだが..........。」
雪ノ下「こんばんは、小町さん。」
結衣「や、やっはろ~小町ちゃん。」
小町「あー、雪ノ下さんに結衣さん! いつも兄がお世話になっております~!」
雪ノ下「少し比企谷君に試したいことがあるのだけれど、あがっても構わないかしら?」
小町「どうぞ、お構い無く~! あっ! 小町は急に用事を思い出したから、ちょっと出掛けてくるねお兄ちゃん! 」
八幡「え、あ、いや、急すぎるだろ..........。」
雪ノ下「何をぐずぐずしているのかしら、比企谷君。 早く貴方の部屋へ案内して頂戴。」
八幡「はあ..........。」
八幡「それでここが俺の部屋の訳だが、そろそら何をしに来たのか教えてもらえないか?」
雪ノ下「そうね、時間がないわ。始めましょう、由比ヶ浜さん」
結衣「うん..........ごめんね? ヒッキー。」
八幡「由比ヶ浜..........? 雪ノ下..........? お前ら何を..........っておいちょっと待て!」
雪ノ下「何をしているの? 暴れないでじっとしてなさい。」
八幡「いや、いきなり人をベッドに押し倒すんじゃねえよ。頼むからわかるように説明してくれ..........。」
結衣「つまりね、いつ記憶が戻るかわからないしショック療法で戻しちゃおうって、ゆきのんと決めたの。」
八幡「え..........っておい! なんで制服脱いでんだよ!?」
雪ノ下「あら、私達の下着姿が気に入らないというの?」
八幡「い、いや。そういうことじゃ..........。」
結衣「ヒッキー、緊張しないでリラックスしててね..........ちょっと恥ずかしいけど頑張るから..........」
八幡 「え、いや、その雪ノ下!? 由比ヶ浜!?」
雪ノ下「あら、女の子二人に抱きつかれて嬉しくないの? じっとしてなさい?」
結衣「ヒッキー..........」
八幡「お前ら落ち着けって! いくら俺が記憶喪失だからといって、そんな一日で戻そうとする必要なんてないだろ!?」
雪ノ下「いいえ、あるわ。時間がないのよ。」
八幡「意味がわからん..........。」
結衣「私もわからないけど..........なんか早くしないとダメな気がするんだ。」
八幡「ますますわからん.........い、いやだから!」
雪ノ下 「比企谷君!」
結衣「ヒッキー!」
八幡「わ、わかったよ..........。」
八幡 (な、なんでこんな美少女二人に抱きつかるというラブコメ的展開になったんだ..........? 訳がわからないが心地よい..........いや、ここで身を委ねてはいけない。無になろう。これは何か裏があるに違いない。目を閉じて何も考えるな。そのうちにきっと二人も落ち着いて..........)
雪ノ下「比企谷君、比企谷君! 」
結衣「ヒッキー!」
八幡(ああ、暖かくて気持ちいい..........抱きつかれるって意外と良いものだな..........それにしてもそんな涙声になるほど必死に名前を呼ばなくてもいいだろうに)
八幡「..........そんな必死に呼ぶなって、そのうち戻るから..........あれ、お前らいつの間に服を。」
雪ノ下「ひ、比企谷君」
結衣「あ..........ヒッキー!!」
八幡「ちょっ..........だから抱きつくなってさっきから..........。」
医者「信じられん、一度心臓と脳が完全に停止したのに、一瞬でここまで復活するとは..........」
八幡「え? ..........俺が..........?」
雪ノ下「覚えてない? 貴方は私たちを庇ってトラックに跳ねられたのよ?」
結衣「それからずっと二人で名前を呼び続けて..........やっと伝わった..........!!」
八幡 (ああ、思い出した.........じゃあ、あの世界は..........夢、だったのか?)
八幡 「ああ、ありがとうな二人とも。なんか夢の中でお前らの声が聞こえた気がするよ。」
雪ノ下「ええ」
結衣「うん!」
八幡「なんだ、お前ら。いつもなら何かとバカにしてくるのに珍しいな。」
雪ノ下「ふふふふ」
結衣「えへへへ..........」
八幡 (この事故をきっかけに、俺たちの関係はまた変わっていくのだろうか。そういえば二人との出会いも事故からだったな..........そんなに事故も悪いものではないのかもしれない。)
八幡 「俺の青春ラブコメは間違っていなかったのかもしれないな..........。」
お読み頂きありがとうございました。
参考までにコメントをくださるとありがたいです。
面白かった!ありがとう!!