女「回り巡って」
本当に超短かったですが、よかったらどうぞ!
コメントお手柔らかにお願いしますね(笑)
それはとっくの昔に人々に忘れ去られ、
緑に包まれた元鎮守府。
自然から生まれた対極の存在が争った跡地として、かつての壮絶な痕はちらほら見えても、今では植物の住み家となり、完璧な調和の絵を成し遂げている。
水路から3分もしないで出撃できるという鎮守府のアドバンテージは、今では上がった水位によって、ひんやりする湖のお供と変わる。
キッキと聞こえる鳥の鳴き声、魚が水面を切る音、風が木々を撫でることによって、優しきカルテットが完成した。
今では機能は勿論、存在すら失ったはずの鎮守府だが、驚くことに、中には人が住んでいる。
男「今日も、いい天気だ」
男は伸びしながらそう言った。
誰かに語りかけている訳ではない。
気を紛らわしたい訳でもない。
ただひたすら、心に従い、自然と口に出しただけ。
男「さて、今日も頑張ろうか」
ゆるりと、男は振り返る
後ろには湖を見つめ、いつまでも衰えを知らないかつての主力兵装達。暖かい日差しと涼しい柔風が今日も、男とその後ろにいる歴史達を見守り、共に暮らしている。
男「この電探カチューシャもさすがだね、いつまでも替えなんて要らない、芯は真っ直ぐだ」
男「かつての守り神ー国砲、今では中身にある渡り鳥の巣を....おぉ!ついに卵から! 平和な世界へようこそ!」
男「ああ。もちろん忘れてはいないさ、お前はいつも背中流せってうるさかったな、はっはっは。どれ、まずは前の刃からだ。うむ、龍の字はやっぱり似合ってる」
かつては艤装と呼ばれる装備達の手入れをし、一通り終わった頃、男はまたゆったりと、湖へと向かう。
漂う小さな船。船よりも舟と呼ぶべきそれは、美しい大自然に負けず、男の手慣れた整備によって元から白身の強い木が更に輝いている。
向かうは中心にある小さな土の島。
その上には、異常と言って良いほど巨大な太刀と、同じく長く、歴史を感じる大弓が聳え立ち、いつまでも天に向けて、張った胸と全力で上げた表を、降ろさない。
男「ただいま、お前」
懐かしむような、慈しむような微笑みを浮かび、男は大太刀を背に、額を大弓に預ける。
朦朧し出す意識に身を任せ、男はまどろみへと誘われる。
かつて愛していた娘達と、愛を教え、受け入れ、混ざり、共に昇華していた女性は、男をその胸に抱きしめ、安らかな一時を共に過ごした。
ただ、完璧な手入れとは反対的に、この大太刀と弓だけは、植物に絡まれ、毅然と立っていても、その錆と老いは、否めない。
美しい大自然の向かい側に、完璧な兵器兵装
そのデュエットに、真ん中にある太刀弓だけは、溶け込まない。
流れる時間を受け入れても、届くはずだった優しい日差しを、拒み続けるは、刀なのか、それとも男なのか。
だが
しかし
それでも
運命だけは、回り続ける。
まるで世界から隔離されているかのように、
まるで神から忘れられたかのようなこの場所でも、
訪れる者が、いた。
女「相変わらず、困ったお方でございます」
上品な女性が、鮮やかな和服に身を包み、優しく微笑みながら、更に呟いた。
女「貴方の鳳翔が、回り巡って、今また、お側に」
その微笑みに、幸せはいつまでも昇華し続ける。
完
駄文を読みきってありがとうございました!
短かったが如何でしょうか?
他のテーマで長いssもこっそり書いてたりします。
もしご興味があったら完成後投稿しようかと思ってます。
是非感想ーコメントー要望を聞かせてくだされb
ではノシ
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