橘「いや...いないよ」絢辻 棚町 桜井「グッ」
絢辻「はい、これで終わり。お疲れ様」
棚町「はぁ〜っ、疲れたぁ!なんでわたしだけまた水泳の補修をやんなきゃいけないのよ〜!」
絢辻「棚町さんが前回でこりなかったからでしょ?」
橘「そうだぞ、薫。せめて補修は逃げ出さずに受けてくれ。なんでその度に僕が見張ってなきゃいけないんだ」
絢辻「ごめんね、橘くん。前回に続いて今回も手伝ってもらっちゃって」
橘「いや、全然平気だよ。絢辻さんも忙しいのにお疲れ様。」
絢辻「ううん、今はある程度落ち着いた時期だからそんなに忙しくはないわ。でも、できれば今回で終わりにしてほしいわね」
棚町「はいはい、わかりました、すみませんでした〜。これからはちゃんと受けます〜」
橘「ほんとにわかってるのか...」
棚町「わかってるって、あぁ〜疲れた。純一!はやく帰るわよ!」
絢辻「えっ」
棚町「ん?どうかした?絢辻さん」
絢辻「いや...えっと...」
絢辻(どうしてあなたが橘くんと当然のように二人で帰ろうとしてるのよ!)
絢辻「(なんて言えるわけないわよね...)なんでもないわ、気をつけて帰っ...」
橘「絢辻さんはこの後なにか仕事あるの?」
絢辻「いえ...特にないけど...」
橘「じゃあ、絢辻さんも一緒に帰ろうよ。」
絢辻「えっ...いいの...?」
橘「うん、別にいいだろ?薫」
棚町「いや...えっと...」
棚町(なんで自然に二人で帰る流れだったのに絢辻さんも誘っちゃうのよ!)
棚町「(なんて言えるわけないわね...)うん...いいわよ...」
橘「じゃあ、先に校門前で待ってるね」
棚町 絢辻「......」ハァ...
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棚町 絢辻(それで......)
橘「へぇ、そんなことがあったんだな」
桜井「うん!それでもう先輩達ったら...」
棚町 絢辻(どうして桜井さんまで一緒に帰ることになってるの!?)
【橘「ちょうど待ってたら梨穂...桜井と会って一緒に帰ることになった」】
棚町 絢辻「......」ハァ...
桜井「二人ともどうしたの?」
絢辻「いえ...なんでもないわ...」
棚町「うん...なんでもない...」
桜井「ふぅん...、あ!そういえば絢辻さんってお姉さんがいるんだよね!」
橘「あ!梨穂子それは...」
桜井「わたし一人っ子だから姉妹とかって羨ましいなぁ〜。姉妹ってどんな感じなの?」
絢辻「...別にそんなに特別なことなんてないわよ。同じ家に住んでる、ただそれだけ」
桜井「へぇ...そんな感じなんだ〜!」
絢辻「...」
橘「...」
桜井「棚町さんもわたしと同じで一人っ子だったよね」
棚町「ええ!でも、そうね...」
棚町「言うなれば純一がわたしの弟みたいなもんね!」
絢辻「!!!」
桜井「ふぇ...?」
橘「はぁ!?なんで僕が弟でお前が姉なんだよ!せめて逆だろ!」
棚町「あったりまえでしょ?あんたはもう美也ちゃんっていう素敵な妹さんがいるんだから!それにあんたが兄なんてわたしのプライドが許さないわ」
橘「そこまでいうか!?」
桜井「うぅ〜...、それならわたしだって純一のお姉さんみたいなものだよ〜!」
絢辻「!!!!」
棚町「ふぅん...」
橘「梨穂子まで何言ってるんだ!」
桜井「いつも純一の面倒みたり美也ちゃんと仲良くしてるからわたしもお姉さんみたいなものでしょ?」
橘「いや、どっちかというと面倒をみてるのは僕のような気がするんだけど」
桜井「えぇ〜!そんなことないよ〜!」
橘「いやいや、そんなことあるだろ」
絢辻「わ...わたしだって...」
橘「絢辻さん?」
絢辻「わたしだって...橘くんが...弟...だったら...いいなって...思う...」
橘「えっ...」
絢辻「///」
橘「たしかに絢辻さんはお姉さんって感じはする」
棚町「むっ...」
桜井「ふぇぇ...」
絢辻「///」カァァァ
橘「絢辻さんってなんでも厳しそうだし、すぐ何か命令しそうで歯向かえない感じあるからお姉さんっぽいよね」
棚町「ぷっ...」
桜井「あはは...」
絢辻「」スゥ
橘「あれ...絢辻さん...?なんか...顔が...すごく怖い...」
絢辻「...なんでもないわ」ニコッ
桜井「あぁ!えっと...そういえば!兄弟とかいる人って家族でクリスマスとか過ごすって聞くけど棚町さんはクリスマスどうするの?」
棚町「わたし?わたしは毎年お母さんと一緒にケーキを食べて過ごしてるわ。まぁ...その...今年は...えっと...分からないけど...」チラッ
橘「?」
桜井「へぇ〜、わたしも家族で過ごしてるかなぁ...」
桜井「...ちょっと前までは純一と過ごしてたけど...」ゴニョゴニョ...
棚町「なにか言った?桜井さん」
桜井「え!?ううん!なんでもない!絢辻さんは?クリスマスどう過ごすの?」
絢辻「わたしは...あまりいつもと変わらないわ。高校に入ってからは創設祭の実行委員として働いてるけど、それまでは商店街をうろうろしたりするくらいね」
棚町「あんた一年の頃からやってたの?物好きねぇ」
絢辻「意外と楽しいわよ?それに...」
絢辻「誰かに幸せを届けるってとても素敵なことだと思わない?」
棚町「...」
絢辻「どうしたの?」
棚町「いや、案外乙女チックなところあんのね...あんたって...」
桜井「とても素敵だと思うよ〜!」
絢辻「ふふっ、ありがとう。それで?橘くんはクリスマスどう過ごすの?」
橘「えっ、僕?」
絢辻「ええ、もしかして...その...大切な人とかいて...その人と...過ごす...とか...?」
棚町 桜井「!!」
橘「僕は...」
絢辻「」ドキドキ
棚町「」ドキドキ
桜井「」ドキドキ
橘「いや...いないよ」
絢辻 棚町 桜井(グッ)
橘「だから今のところ特に予定はないかな、多分僕も家族と過ごすことになると思う」
桜井「そっかぁ!純一も予定無いんだぁ!」
棚町「そうなのね〜!クリスマスの予定は『まだ』無いのね!」
絢辻「誰かと約束をしてもいないのね!」
橘「うん...今のところは...」
棚町(ってことは...)
桜井(純一とクリスマス約束しちゃえば...)
絢辻(確実に一緒に過ごせるってことね...)
絢辻 棚町 桜井「ふふふふふふ」
橘「ど、どうしたの...三人とも...」
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絢辻「じゃあ、わたしこっちだから」
橘「うん、絢辻さん、また明日。」
桜井「また明日〜」
棚町「まったねぇ〜」
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棚町「さってと、わたしもこっちだから」
橘「もう補修になるなよ」
棚町「わかってるって言ってんでしょ。桜井、また明日」
桜井「うん!またね〜!」
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橘「かなり遅くなっちゃったな...」
桜井「うん...そうだね...」
桜井(さっきの様子だと絢辻さんも棚町さんも純一のことが多分気になってるんだと思う...)
桜井(純一はクリスマスの予定無いし今約束しちゃえば絶対一緒に過ごせる...)
桜井(でも...二人を出し抜くみたいなそんなこと...)
桜井(それでも...)
橘「よしついた、ここで解散だな」
桜井「(あっ...)純一...!」
橘「ん?なんだ、梨穂子」
桜井「あの...」
橘「?」
桜井(それでもやっぱりわたし純一と一緒に...)あのね...純...」
「あぁ〜!にぃに!!」
橘「この声は...」
美也「んも〜!せっかくにぃににまんま肉まん買ってきてもらおうと思ってたのに全然帰ってこないんだもん!仕方ないから買ってきちゃったよ!あ、りほちゃんこんばんは〜」
桜井「あ...美也ちゃん。こんばんは〜」
橘「お前...なんで僕がお前のまんま肉まんを買いに行かされようとされなきゃいけないんだ!
...ったくもうすぐ晩御飯なのに食べられなくなるぞ」
美也「ふっふっふ〜、まんま肉まんは別腹なのだ!あ、一応にぃにの分も買ってきてあるよ」
橘「おっ、ほんとか?やるじゃないか美也」
美也「んふふ、でっしょ〜」
橘「あ、えっと、それでなんだっけ梨穂子」
桜井「え!?ええと...ううん!なんでもない!あまり食べすぎちゃダメだよ、美也ちゃん」
橘「お前が言うのか...」
美也「うん、ありがと!りほちゃん!じゃあまたね〜!」
橘「相変わらず元気なやつだな、まったく...。じゃあまた明日な、梨穂子」
桜井「うん、また明日...」
桜井(やっぱり、そんな卑怯みたいなことしちゃダメだよね...)
桜井(美也ちゃん、ありがとう...)
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橘(クリスマスの予定...か...)
橘(梅原と決意したあの日から自分なりに頑張ってきたつもりだけど...)
橘「ハァ...」
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【翌日】
絢辻(昨日色々と考え込んじゃったせいで遅くなっちゃったわ...)
絢辻(これも全部橘くんのせいよ!)
絢辻(でも、はやく約束した方がいいことは確かね...)
絢辻(って前を歩いてるのは...!)
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棚町(昨日色々と作戦を考えてきたわ...)
棚町(一番自然に誘えるのは登下校の時!)
棚町(となれば、はやめに約束できる登校時にこぎつけるのが得策ね...)
棚町(っと噂をすれば...!)
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桜井(やっぱりあのすぐ後に言うのはダメだよね...)
桜井(なんて...わたしの意気地なし...)
桜井(でも、はやく約束しなきゃ...)
桜井(あっ、あの後ろ姿は...)
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絢辻「橘くんっ!」
棚町「純一っ!」
桜井「純一〜っ!」
終
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