第1話『少女達が見た流星』

なんとなくだった。なんとなく、空を見上げたら、その時ちょうど流れ星が流れたの。『お願い』？したわ。

ーー世界を平和にする

力が欲しいーー

ってね。

【綾瀬絵里宅】

（ｱﾘﾌﾚﾀｶﾅｰｼﾐ♪）

絵里「あ、穂乃果からだわ」

（ﾋﾟｯ）

絵里「もしもし、穂乃果、どうかしたの？」

穂乃果「絵里ちゃん、大変！さっきの流れ星見た？」

絵里「ええ、見たわよ。かなり近くを飛んでたから、どこかに落ちたのかなって思ったわ。」

穂乃果「実はそうなの！東京湾沖合に落ちたらしいの！今、いろんな人が調査に出ててるんだって！」

絵里「ハラショー！本当に落ちてたのね！」

穂乃果「私達も見に行ってみない？」

絵里「いいわね。早速、向かいましょう。」

【東京湾に向かう電車】

絵里「そういえば、μ'sのみんなも見たらしいわよ」

穂乃果「え！海未ちゃんたちも！？」

絵里「みんな同じタイミングで空を見上げてたのね。なんだか不思議ね。」

穂乃果「そうだね！やっぱり、みんな繋がってるんだって思えちゃうね！」ｴﾍﾍ

絵里「隕石、見れるといいわね。」

穂乃果「うん……」

ーー急に穂乃果の顔色が変わったーー

絵里「どうしたの？穂乃果…」

穂乃果「穂乃果達、このまま一度もLiveしないまま終わっちゃうのかな…」

絵里「穂乃果…」

穂乃果「今、日本は、いや世界は大混乱だよね。東京の中でもこのあたりはまだ治安もよくて、こうやって外出できるけど、学校にすら行けない地域もあるんだよ？」

穂乃果「このままLiveができないなんて…このまま世界が廃れていくなんて穂乃果絶対嫌だよ！」

ーーそう、世界は廃れてしまった…「コロニー」という言葉が脳裏をよぎった。コロニー………150年ほど前につくられた「第二の地球」ってとこかしらーー

絵里「仕方ないことだわ…地球の人達がわがまますぎるのよ…なによ『コロニーを取り返す！』って…」

ーー地球の国々がそう掲げて武力を行使し、コロニーに軍力を送った。見かねた人達はデモ、暴動を起こし、やがてそれぞれ派閥に別れ、小さながらも争いが生まれたーー

穂乃果「そうやって、世界はバラバラになっていったんだね…」

絵里「穂乃果…」

絵里「元気出しましょ！今は『治安が悪いから』ってアイドル活動は禁止されちゃってるけど、生きていればまたLiveもできるし、それにμ'sはバラバラになったわけじゃないでしょ！」

穂乃果「絵里ちゃん…」

穂乃果「うん！そうだね！」

ーーこうやって穂乃果や自分の気持ちをごまかすことしかできないーー

絵里「そのいきよ！穂乃果！」

ーー私はーー

絵里「あ、もう着くみたい」

ーー私にはーー

【東京湾沿岸】

穂乃果「あれぇ、全然人いないねぇ」

絵里「そうね、もう日も暮れるし、調査は一度中断されたのかしら？」

穂乃果「でもよかった、私達が発見したらμ’sも一躍有名になるね！」

絵里「μ’sはスクールアイドルよ、隕石調査団ではないわ。でもそれはそれでいいわね。」ﾆｺｯ

絵里「え…………！！？？」

穂乃果「どうしたの、絵里ちゃん？」

ーーその時、私の目には海岸で倒れている一人の少年が映ったーー

絵里「穂乃果、あれ…」

穂乃果「ん？あれ？」ｸﾙｯ

穂乃果「絵里ちゃん、あれって…人が倒れてるよね…」

絵里「とりあえず、穂乃果は救急車を呼んでちょうだい！私はできる限りの応急処置をするわ！」

穂乃果「うん、わかった！」

（ﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯ）

絵里（こ、この子、私達と同じくらいか、年下よね…溺れちゃったのかしら…）

？？「……うっ…」

絵里（よかった、気がついたようね…）「大丈夫…ですか？」

？？「……ﾊｯ……見たのか？」

絵里「え、！？」

？？「ｸｯ！」

（ﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯ）

絵里「ま、待ちなさい！」

穂乃果「絵里ちゃん、救急車呼んでおいたよ……あ！あの子！」

絵里「逃げちゃったわ…」

穂乃果「あの子大丈夫かなぁ？」

絵里（あの子…変な服装だったわね…まさか、コロニーから…）

穂乃果「絵里ちゃん、日も沈みそうだし、そろそろ帰らない？」

絵里「そうね。救急車には私から連絡しておくわ。」

穂乃果「うん！」

ーーこの時は、あの子が本当に流れ星であり、そして本当にお願いを叶えてくれるとは思っていなかったわーー

ーーそしてまさか、地球の運命を左右する子だとは、知るよしもなかったわーー