甘城ブリリアントパーク Story of a certain
甘城ブリリアントパークのある従業員をテーマとした話です。
初投稿なので…まぁ、どうせ駄文ですのであまり注目せずみてください。
「今日も全然人こねぇな…」
ここは甘城ブリリアントパーク。この遊園地はバブル時代に建てられたもので、バブル時代の微妙な遺産や残念なデートスポットの代名詞など残念な評価しか受けていないが土曜なのに3000人も来ていない。流石にこれは少なすぎだろう。
「仕方ないろん。というかそもそも今年中にたくさんゲストが来た記憶がないろん。」
そう隣でつぶやくのはモコモコ羊のマスコットマカロンだ。しかし、中に人など入っていない。魔法の国のメープルランドとやらの出身らしいくて、そのマスコット自体が本体なのだ。あと一応妖精らしい。
「と言っても、いくらなんでも…」
「そう言っても仕方ないろん?だったら福井くんも休憩室で休んでないでアイデア考えるろん。」
「その辺にしとくみー。考えるだけ無駄だみー。そんなことより、今日とてもエロい若妻見つけたみー。」
突然話に割り込んできたのはティラミー。こちらも人ではなく。メープルランドから来た妖精だ。ピンクの猫で一見可愛らしいのだが…中身は単なるクズである。
「またそんな話かろん…」
「いい加減そういう目で見るのやめましょうよ…」
「うーん。無理。」
ですよねー…この通り中身は女大好き、パッフ大好き屑野郎である。
そんな会話をしてた俺らに冷たい目が当てられる。結構キツイ。
そんな中、仕事を終えたらしいモッフルがこっちに来た。
「察しはつくけどなんの話をしてたふも?」
察しつけてほしくなかった。
「ティラミーさんがまたいい女見つけたとかなんとか…」
モッフルがこちらに冷たい目を向ける。
「またふも?今月何回目ふも?」
「うーん、何回だったかなぁ。覚えてないみー。」
あ、モッフルもメープルランドから来た妖精で、ネズミのような格好をしているマスコットだ。この人気のないパークで一番の人気をもつ。
「まぁ、いいろん?今日もさべーじ行くろん?」
さべーじとはこの三人がよく行く居酒屋だ。
俺もたまに連れていってもらう。てか、昨日行った。
「昨日も行った気がするけど…まぁ、いいふも。達也もいくふも?」
昨日もいったじゃねーか…
「すいません。金ないんで今日は…」
「おごるみー?」
「すいません。パスで。」それで昨日帰った時間が23時とか…泣けてくる。
「それなら仕方ないみー」「じゃあいくろん。」
「じゃあまた明日ふも」
そう言って三人はさべーじへと向かっていった。
「お疲れ様です〜。」そう言うと俺も帰宅の準備をした。
甘城ブリリアントパークは閉園時間が17時30分である。早い。よって18時30分には家につけてしまう。早い。
そんな中、自転車で帰ろうとペダルを踏んだところ後ろから声が掛かった。
「福井くんも今帰り?一緒に帰らない?」
声をかけた人物はミュースだった。甘ブリのアクワーリオで働いてる妖精だ。男性からの人気が高く多くのキャストが狙ってるとかなんとか噂になっている。
「おう、じゃあ帰るか〜」
そう言いながら二人で並んで歩き始めた。チャリは手で押しながら歩いている。だるい。
「あ、そうだ、この前のレアガチャで光カーリー手に入れたんだよね」
「え…まじか…めちゃくちゃいいモンスターじゃないっすか…」
「福井くんはなんか引いたの?」
「ん、俺?ヘルメス三体目だよ?」
「え…まぁ、そういう時もあるよ…」
ついでにミュースにパスドラを布教したのはこの俺である。なんか前に暇つぶしのゲームが欲しいとか言ってたので入れさせたのだ。
そんな話をしながらダラダラ歩いていたらミュースが違う話題を降ってきた。しかも含みのある笑顔で。
「そう言えば今日さ、誰とは言わないけど休憩室で卑猥な話をしてた人達がいたんだよね」
「…へぇ、そうなんだ」
「福井くんはさ、そういう人たちを見てどう思うかな?」
「…非常によくないと思うね。うん。良くないなぁ。」
「ホントだよねぇ。そういう人達がいるっていすずさんに報告した方がいいのかなぁ?」
「すいません勘弁してください僕は悪くないんです。」
「もう…せめて場所考えてよ。みんなが休むところだよ、あそこは」
「だってさぁー、突然ティラミーさんが女の話してきたんだよ。仕方ないさ。」
「…まぁ、次からはやめてよね?見てて恥ずかしいから。」
と少し呆れた表情で言ってきた。まぁ、仕方ないか。
と、まぁ、甘ブリから二人で並んで歩いてるけれども、どうも後ろからコソコソとしているやつらがいるなぁ…。呼ぶか。
「おい、電柱に隠れてるのはバレている!すぐ出て来い!」
「え、何?どうしたの?」
「いや、気づいてねぇのか…」
そう言いながら後ろの電柱に隠れてる3人に声をかけた。すると、
「え、バレてました?」
「いや…流石にバレるでしょこれ」
「アイキャンフラーイ!」
出てきたのはアクワーリオで働いてる妖精たち
コボリー・サラーマ・シルフィーであった。覚え方は左から腐女子、携帯依存症、馬鹿である。
「え、うそ!後ろにいたの!?」
「いや、気づけよ…」
流石にちょっと心配になった。変な客がきてストーカーされても気づかないかもしれない。
「で、お前ら、なんでストーカーなんて醜いことをしてるんだ?」
「いや、なんかコボリーがふたりの関係がどうなってんのか知りたいとか、まぁ、仲いいし私もちょっと気になってたし。」
「そ、そうですよ!二人ともすごい中いいじゃないですか!付き合ってるんじゃないですか!?」
「いや…ふたりの関係て…仲いいけどさ、別に付き合ってるわけじゃねぇから…なぁ、ミュース?」
するとミュースがめっちゃ頬を赤くして、
「そ、そんな、付き合ってるとかあるわけないじゃん。誤解だよ誤解。」
と言ってきた。頼むから普通の反応してくれ…誤解される。しかし、そんな心配はいらなかった。
「タケコプター!!」
だってシルフィーがこの空気ぶちこわすんだもん。みんな呆気取られてるし。
「ま、まぁ、とにかく私達は別に付き合ってるわけじゃないから、友達だよ、友達。」
とかなんとか話していたらいつも別れる信号のところまで来た。俺はそこを右に。彼女たちは左の方角に借りてるマンションがあるらしい。
「まぁ、とにかく変な噂流すなよ?じゃあな。」
「…あ、うん。じゃあね。」
「…あ、はい、さようなら。」
「あーはいはい、さよならー」
「グッナイー!!」
はぁ…今日も疲れたな。仕事以外で。
部屋の中に目覚ましが鳴り響いた。時刻は朝七時である。まだ眠いが目を擦りながら洗面所で顔を洗う。家の中には水の音だけが響きわたる。
俺、福井達也は顔を洗ったあとテレビをつけ朝飯の準備を始めた。オーブンでパンを焼きバターと苺のジャムを付けて食べ始める。
この家は俺の両親が建てたものだ。詳しくはないが、俺が三歳くらいで死んだ母はどっかの社長の娘さんだったらしい。おかげさまでローンはもうない。ついでに父親はアメリカへ出張中だ。故に一人暮らしである。今は高校卒業をして…フリーター…認めたくねぇな…。
トーストを食べ終えた後、歯を磨き外に出る準備をする。今日も仕事や。客こねぇけど。
そうして余った時間をテキトーにアニメでも見ながら潰していたら八時十五分になった。いつも俺が出ている時間である。急いで家を出て鍵を閉めた。
正門脇にあるキャスト用の通用口を通って地下通路を通るとその先でモッフルとマカロンが言い争っていた。何かあったのだろうか。
何があったのか聞こうとしてトリケンの方を見たらトリケンが俺の方へ来た。
「あ、福井さんじゃないですか。どうでしたこの前貸したAV?おもわず前かが…」
すぐさま奴の口を塞ぐ。こんな話を大声で話していたら俺が殺される。社会的に。
「トリケンさん…その話は今はやめましょう。ね?俺まだ社会的に死にたくないんで。」
「…あ、はいそうですね。私としたことが。」
「まぁ、いいですよ。で、何故あのお二人言い争ってるんです?さっきから気になるんですが。」
「あー実は今日いすずさんが神託で選ばれた男の子を連れてくるんですよ。甘ブリに。ご存じでした?」
「いや、初耳ですね。ということは乳袋さんは今日は休みと。」
「殺されますよ、福井さん?まぁ、そう言う事です。それでラティファ様と合わせる時に魔法の国ということを証明するために魔法を授けることになってるんです。それでモッフルさんがブチ切れて…」
あーなるほど理解した。ラティファ様はメープルランドのお嬢様である。それで、ちょっとした都合でここにいるのだが、実は彼女たちの一族はキスで魔法を授ける力を持っている。で、モッフルはラティファの叔父である。まぁ、ブチギレるのも無理はない。
すると、二人の言い争いもティラミーが仲裁して終わらせたようだ。助かる。
「そろそろ時間ですね。では、私はこれで。」
「あ、はい。ありがとうございました。」
そう言って俺は更衣室に向かった。
昼頃だった。モッフルのお菓子ハウスに二人が来たのは。
いすずさんが信託で連れてきた男は非常に顔立ちが整っており誰もが認めるであろうイケメンであった。よくこのコミュ症が連れてきたなと思う。いや、銃で脅したのか?
とりあえず「いらっしゃいませー」と言うと、いすずさんが一日分のフリーパスを見せてきたので水鉄砲を渡す。
俺は「ごゆっくりー」と言って彼らを見送った。
何故か知らんが言い争ってる声が聞こえてきた。モッフルだ。もう一人の声は聞き覚えがない。あの男か?何かやらかしたのは事実だろう。思ったのだが客と言い争うマスコットとかどうなんだろう…そんなことを思っていたら銃声が聞こえてきた。乳袋か…何しとんねんあいつら…俺は例の男を気の毒に思った。スマンな少年。このパークを許しておくれ。
思ったのだが俺が少年とか言うのはおかしいのかも知れない。
「は?マナーの悪い客を殴り飛ばした?」
「…」
俺が昼休み何があったのか聞いて返ってきた答えは非常に衝撃的だった。何してんねんこのクソマスコットは。
「…えーと、何かされたんですか?その男に。」
「…悪口言われたふも」
子供かよ…
「それだけですか?」
「…」
まぁ、本当に殴った理由はラティファ様の件だろうな。それでこれからキスすること想像してイラついてたんだろう。
「まぁ、あの件もありますし気持ちは分かります。とりあえず後で俺が謝って起きますよ。流石にどう考えてもこっちが悪いし。」
「…ふも」
「じゃあ、ちょっと言ってくるんで代わりのキャスト入れといてください。」
そう言って俺はモッフルのお菓子ハウスから出ていすずさんといた男を探しに行った。
その辺のキャストに美少女とイケメンのカップルはいなかったかどうか聞いて回っていたら彼らはアクワーリオにいると聞いた。見た目はおぞましいスペックだからな…中身は知らんが。
中に入ると出口に近い席に二人はいた。今アクワーリオにはいすずさん達以外に他に客は2人しかいない。この中で必死に踊るミュース達を見てるとかなり悲しい気持になる。
とりあえず、すぐさまいすずさん達に声をかけるべきか迷ったがこの劇が終わってからでいいと思った。
しばらくして、劇が終わるといすずさん達はすぐさま出口へ向かったので歩いて追いかける。そして外にでて数歩歩いたところで声をかけた。
「あの、すいません。私、先程のモッフルのお菓子ハウスで係員として働いておりました福井達也と申します。この度はマスコット、モッフルの無礼な態度、本当に申し訳ございませんでした。」
そう言って頭を下げた。すると男はポカンとした表情になった。そしたらいすずさんが
「謝ることではないわ福井くん。あれはこの男のマナーの悪いのがいけなかったのだから…」
「だからといって、客を殴っていいわけ無いでしょう?この事実がもしツイッターかなんかでつぶやかれたらほぼ確実に客来なくなりますよ。」
俺が熱弁をふるうといすずさんは黙ってしまった。なんか気まずい。隣にいた男もそれを感じて気まずそうな表情で
「…別に俺は気にしていない。まぁ、あのマスコットの行動ははっきり言ってクソだと思ったがな。もういい、行くぞ。」
そう言うといすずさん達は売店の方へ行った。
用が済み、俺はモッフルのお菓子ハウスに戻るとモッフルに威圧するように言った。
「とりあえず、今回は何事もなかったですけど、次からはあのような行為は二度としないでくださいね?」
「…ふ、ふも」
本当にわかってんのかコイツ?
そう思いながら時計を見ると14時ぐらいでまだまだ閉園まで時間があった。残った時間は係員として働こう。
16時半ぐらいだろうか。ミュースがモッフルのお菓子ハウスに来たのは。
なんか相談事があるから仕事終わったらアクワーリオの前に来てくれとかなんとか言っていた。
そして17時になり、閉園を迎えた。いつもだったら後片付けなどを手伝ったりしたりする時もあるが今日は断りアクワーリオに向かった。
するとアクワーリオの近くのベンチに座っているミュースがいた。あちらも気づいたらしく手を振ってきた。てか、なんで外?
「お疲れー、てか、なんで外?中入ろうや。」
「あ、もう閉まってるよ。掃除するからね。」
あーなるほど…しかし、今は三月でもうじき春が来るのだが…いや、もう来てるか?どっちみち寒いから中に入りたかった。
「で、どした寒いから早く帰りたいんだが?」
「あ、うん。福井くん今日さアクワーリオでわたし達の演技を見に来てくれたじゃない。その時アクワーリオの観客ってすごい少なかったよね?」
「…まぁ、俺入れて五人だしな。」
「…うん。それでさ観客が少ないのってやっぱわたし達の演技がいけないからなのかなってちょっと思ってね…。」
「いや、それはないから安心していいよ。」
「え…?」
「だってアクワーリオが客少ないんじゃなくて甘ブリの客が少ないんだから。そもそも甘ブリに来てる人自体すくねぇんだからしょうがないんだよ。」
この子は何を心配しているのかしら…そもそも甘ブリの中では多いほうじゃないのか?
そう俺がきっぱりいうとそれでもミュースは俯きながらこう言った。
「でもさ、わたし達の演技が凄かったらさ、観客がたくさん来てくれるんじゃないかな…。」
「いや、流石にできて三ヶ月のところにそんなすごい演技無理だろ。まぁ、どっちみち甘ブリが人気でないとどうしようもねぇしなぁ…。」
俯いている頭を撫でながら俺はこう言った。
「ミュース達は頑張ってると思うぜ。だからミュース達は自分にできることを最低限やっててくれりゃいいさ。」
それを聞いたミュースは恥ずかしそうに顔をあげたがその表情は嬉しそうだった。
「…うん。ありがと。」
「じゃあそろそろ外で…あ…。」
…なんかすごい睨んでくる男のキャストと目が合ってしまった。ファッ!?いつから見てたんだあいつ!ミュースも気づいたみたいで顔を真っ赤にしている。やべぇきまずい。絶対勘違いされてますやん。
すぐさまそのキャストがすごい機嫌悪そうにどこかに行ったので俺たちも着替えて帰ることにした。
二人で帰る帰り道…すごい微妙な空気だったです…。
いかがだったでしょうか。皆様の評価とここに俺が載せる勇気があれば続編も書いてみたいと思います。見ていただきありがとうございました。
このSSへのコメント