2018-12-11 23:33:43 更新

概要

ブラックジャック×対魔忍



ーブラックジャック邸ー


留守電「先生、以前先生に助けていただいた井河です。井河アサギです。実はまた、先生のお力をお借りしたいのです。当校の教師八津紫が箱になってしまったのです。電話ではなにをいっているのか分からないと思うので、どうかこちらまでいらして下さい。」


ブラックジャック「箱化だと?」


 


 ーG県五車町ー


タクシー運転手「お客さん、どちらまで?」


ブラックジャック「五車学園。」


タクシー運転手「あいよ。」


ブラックジャック「…………。」


タクシー運転手「あ~、お客さん前にも乗っけやせんでした?」


ブラックジャック「……さあな。」


タクシー運転手「いやあ、五車学園までの客乗っけるなんざ滅多にありやせんから、あっしは覚えておりやすよ。

へえ。お客さん、五車学園にはお仕事で?」


ブラックジャック「ああ。」


タクシー運転手「どんなお仕事をされるんで?」


ブラックジャック「…守秘義務だ。」


タクシー運転手「あっそれは失礼しやした。ただ、あっしには分かりやしたぜ、お客さん政府のスパイなんでしょ。

いやっなに、安心してくだせい。こう見えてもあっしは口が固いんで、へえ。」


ブラックジャック「…………。」


タクシー運転手「おっ、着きやすしたぜ。五車学園でさあ。」


ブラックジャック「世話になったな。」


タクシー運転手「またのご利用、おまちしておりやす。」


 ー五車学園学園長室ー


アサギ「お待ちしていました。ブラックジャック先生。先生のおかげで私も妹のサクラも助かりました。

本当にありがとうございました。」


ブラックジャック「いや、あなたが治したいと思ってそれの手助けをしただけです。それで、患者は?」


アサギ「こちらをご覧下さい。」


 ー学園長室のモニターー


  白い殺風景な部屋とその中央に箱とそこから突き出した人間の顔があった。


 箱に見えたのは人間の胴体であった。


 肉体が直角に曲げられて直方体にされていた。


 ー学園長室ー


ブラックジャック「…これは!」


アサギ「八津紫です。ご覧の通り箱になってしまいました。」


ブラックジャック「一体、どうしてこんなことに?」


アサギ「魔科医、桐生佐馬斗のせいです。彼は腕の立つ外科医ですが人体改造も行っていました。

そして紫をストーカーして、ついに紫を拉致しました。私達が東京キングダムで桐生の拠点を襲撃した際

にはもぬけの殻で箱になった紫しかいませんでした。」


ブラックジャック「そうですか、彼女のカルテを見せてください。」


アサギ「分かりました。種田、先生に紫のカルテを。」


種田「かしこまりました、先生こちらをどうぞ。」


ブラックジャック「どうも。」


アサギ「こちらの種田は、当校の校医をしております。診察も彼が行いました。」


種田「種田三郎でございます。以後お見知りおきを。」


  -八津紫のカルテー


  彼女のカルテにはX線、MRIの画像も添付されていたがその画像は人間の形ではなくまさしく箱であった。


 紫の骨格から作り変えられており、骨を削るかあるいは人工のものに取り替えられていた。


 また、より箱型に近づけるために直方体の辺の部分にはセラミック製のフレームが付けられていた。


 MRIの断面画像から彼女の血管は手術により癒着している部分が離されないように繋げられ、無理に剥がそうとすると大出血を引き起こすトラップのようになっていた。


 しかし、これだけの改造をしながらも生命活動にはなんら支障がなかった。


   ブラックジャックはこの手術を行ったヨーゼフ・メンゲレの発想と、人体の構造を熟知した外科医としての知識と技術に底知れない恐怖と嫌悪感を感じた。


 


 ー学園長室ー


ブラックジャック「これほどとは…」


種田「ええ、私も診察をして驚きました。私の知り合いの医者にこのカルテを見せると皆匙を投げました。」


アサギ「もうこうなっては先生におすがりするしかありません。報酬は現金で8500万円をご用意しました。どうかお引き受け下さい。」


ブラックジャック「分かりました、お引き受けいたしましょう。」


アサギ「あぁ、本当ですか。ありがとうございます。今回も校内に先生のお部屋をご用意いたしました。ご自由にお使いください。」


ブラックジャック「そうさせて、いただこう。早速だが患者の所に案内してもらおうか。」


アサギ「分かりました。種田、先生をご案内して差し上げて。」


種田「かしこまりました。」


 -五車学園内医療施設ー

ブラックジャック「キリコ!なぜお前がここにいる!」


キリコ「決まっているでしょう。依頼があったんですよ。」


ブラックジャック「おい、どういうことだ?彼女を助けるんじゃなかったのか?」


種田「いえ、わたくし共はキリコ先生には依頼しておりません。紫さん本人のご希望です。

これ以上こんな姿は見せられないとのことです。」


キリコ「そういうわけで私は正式な依頼でここにいるんですよ。」


ブラックジャック「ふざけるな!誰がお前なんかに患者を殺させるものか。必ず彼女を救ってみせる!」


キリコ「せいぜい頑張ってください。私も助かる命なら助かったほうがいい。」


ブラックジャック「なんだと?」


キリコ「私は元々軍医だったんですが、四肢のもげた兵士が苦痛から解放されたくて私に殺してくれと頼むんですよ。

医者として助けたかったんですが助かる見込みのない彼らをいたずらに苦しめたくなかった。そんなわけで安楽死を

始めたんですが、医者として助かる見込みのある患者を死なせたくはありません。」


ブラックジャック「・・・・。」


キリコ「分かってくれとは言いません。では私はこれで。」


  -独房前ー


種田「こちらが、彼女のいる独房です。」


ブラックジャック「分かりました、開けてください。」


種田「はい。」


  -独房内ー


紫「・・・・だれ?」


ブラックジャック「私だ、ブラックジャックだ。」


紫「だめ!こないで!」


ブラックジャック「安心して、君を助けにきた。」


紫「いや!先生にこんな姿見られたくない!」


ブラックジャック「落ち着いて、私が治してみせる。」


紫「うそ!どの先生も匙をなげたわ!」


ブラックジャック「うそじゃない、私には君を治せる。」


紫「・・・・、本当ですか?」


ブラックジャック「ああ、本当だ。だから死のうとするな、最後まで希望を持て。」


紫「・・・分かりました先生を信じます。」


 ー独房前ー


種田「先生、本当にできるんですか?」


ブラックジャック「おそらく、大変困難な手術になるでしょう。だがやらずにこのまま紫さんを死なせるわけにはいかない。」


種田「分かりました、私も協力させていただきます。」


ブラックジャック「今日の所はもう休んで明日から手術の方法を決めていきましょう。」


 -ブラックジャックの部屋ー


電話「PRRRRPRRR」


ブラックジャック「・・・・・。」


電話「こちらはてんちゃい外科医ブラックジャックちぇんちぇいの第一ひちょ兼ちぇわ係ピノコれす。

ちぇんちぇいにようあゆかたは用件を、ちぇんちぇいはいちゅ帰るか、どこにいゆか、なにをしてゆのかをお答えくだちゃい。」


ブラックジャック「あー、ピノコか?しばらく患者の所にいるからな。ちゃんと歯を磨いて留守番してろよ。」


 -翌日、ミーティングルームー

種田「ブラックジャック先生、手術の方針はどうされますか?」


ブラックジャック「簡単です。くっついているとろを剥がし、おかしなところを入れ替え、異物を除き、元に戻す。それだけです。」


医療スタッフA「無茶だ!血管が複雑に絡み合って、通常の患者と体内が全く違うんですよ?一歩間違えれば患者が死んでしまう。」


ブラックジャック「無茶は承知だ。やるべきことが分かっているならあとはやるだけだ。」


医療スタッフA「不可能だ・・・。」


種田「私はブラックジャック先生を信じてみようと思います。全力で協力させていただきます。」


医療スタッフB「先生、技術的な話はともかく移植用の皮膚や骨はどうされるんですか?」


ブラックジャック「それについては私にあてがある。骨についてはすぐになんとかなるが、皮膚は待つ必要がある。」


医療スタッフC「待つ?」


ブラックジャック「ああ、いずれ分かる。本日のミーティングはこれにて終了とする。」


医療スタッフABC「お疲れ様でした。」


 -ブラックジャックの部屋ー


電話「はい、こちら三日月病救済委員会。」


ブラックジャック「そちらのスタンリー大学教授のフォックス先生をお願いします。月子が世話になった間といえば分ります。」


電話「間様ですね、少々お待ちください・・・・・。お電話変わりました、フォックスです。お久しぶりですブラックジャック先生。」


ブラックジャック「ご無沙汰をしておりました。実はお願いがあって電話しました。」


電話「何なりと仰ってください。」


ブラックジャック「そちらで使用している人工骨をおゆずりしていただきたい。」


電話「なんですと!譲るも何もあれはブラックジャック先生が月子さんのような患者のために開発されたものではありませんか。

いくらでも差し上げます。」


ブラックジャック「本当ですか、ありがとうございます。」


電話「なにお安いご用ですよ。」


 -学園長室ー


ブラックジャック「手術の方法とおおよその準備は終わりました。あとはあることをまつだけです。」


アサギ「あること?」


ブラックジャック「ええ、一家心中です。移植に使っても誰も文句を言いませんから。」


アサギ「そんな・・・。先生、私の体を使ってください。」


ブラックジャック「無理です。移植は大きく皮膚を取るので一人だけでは負担が大きすぎます。」


アサギ「私は死んでも構いません。どうか、紫を救ってください。」


ブラックジャック「無理なものはむりです。」


サクラ、凜子、ゆきかぜ「一人じゃなければいいんですね。」


アサギ「あなた達・・・。」


サクラ「むっちゃんを死なせるわけにはいかないっしょ。」


ゆきかぜ「学園長にだけかっこつけさせるわけにはいきませんから。」


凜子「ブラックジャック先生、これでもまだ駄目ですか?」


ブラックジャック「・・・・・手術は明日の夕がたから行う。4人ともそれまでに用意を済ませておけ。」


アサギ、サクラ、凜子、ゆきかぜ「はい!」


 -独房内ー


ブラックジャック「明日、君の手術を行う。大きな手術なので醜い傷が残ってしまうかもしれない。

ただ、君が目覚めたら今の箱型ではなくなる。いいね?」


紫「・・・はい、先生にすべてお任せします。」


 -翌日の夕刻手術室ー


ブラックジャック「これより、腹部の癒着部の剥離、異物除去、人工骨移植、皮膚移植及び全身骨格の再建術を行う」


種田、医療スタッフ「よろしくお願いします。」


ブラックジャック「メス」







ブラックジャック「汗」


医療スタッフA「凄い、なんて速さなんだ・・・」







ブラックジャック「電動ノコギリ」


医療スタッフB「速いだけでなくなんて集中力だ、もう7時間も経過しているのに最初と全く同じスピードだ。」

 






ブラックジャック「バイタル」


医療スタッフA「バイタル安定してます。」


医療スタッフC「そんなアプローチの仕方があるとは、どこまで人体の構造を熟知しているんだ」


 







ブラックジャック「ドナーから採取した皮膚をここへ。」


医療スタッフB「彼は神の腕をもっているのか。」


医療スタッフC「ああ、だがさすが種田さんだ。彼の執刀を完璧に補佐している。」


ブラックジャック「・・・・。」








ブラックジャック「止血鉗子」


医療スタッフA「本当にやってのけるなんて信じられない。」








ブラックジャック「縫合終了。お疲れ様でした。」


種田、医療スタッフABC「お疲れ様でした。」


医療スタッフA「この目で見ても信じられません。手術が成功するとは。」


医療スタッフB「この手術に参加できたことを誇りに思います。」


医療スタッフC[すばらしい技術です。どこで習ったんですか?]


ブラックジャック「少年チャンピオンのマンガからさ。」


種田「・・・・。」


ブラックジャック「私は今から眠るが、移植した部分の感染症には最大限注意してくれ。」


医療スタッフB「分かりました。」


 


 


 


  -???-


???「もしもし、警視庁組織対策犯罪部ですか?そちらの・・・・。」


 


 


 


 -紫の病室ー


 


紫「すぅ・・すぅ・・。」


種田「・・・・。」


種田「・・・・。」


種田「・・・ッ痛!なんだ、メス?」


ブラックジャック「私の患者に手を出すのはやめてもらおうか。」


種田「何を言い出すんです?私はただ・・。」


ブラックジャック「しらばっくれるな、あんた箱化させた本人なんだろ?」


種田「何を根拠にそんなことを。」


ブラックジャック「あんたは私の手術に完璧についてこられた。こんなことできるのは箱化させた本人ぐらいだ。」


種田「それだけで決めつけられては・・・。」


ブラックジャック「まだある、知り合いの刑事に調べてもらったんだがあんたは失踪したことになっていた。こんなところでなにをしている?」


種田?「・・・・・・ふっ、ばれちゃあしょうがない。そうさ、俺が魔科医桐生佐馬斗だ。まさか、本当に手術を成功させるとはな。」


ブラックジャック「・・・・。」


桐生「悪いがこのまま帰らせてもらうぜ。一歩でも動くと先生を殺す。」


ブラックジャック「ああ、分かった、動かない。」


 


 


 


 


ブラックジャック「私はな。」


 


   「忍法・殺陣華!!!」


桐生「ぐはあ!!」


アサギ「動くな桐生、おとなしくしろ!」


桐生「くっくそ!」


ブラックジャック「ありがとう、助かりました。」


アサギ「いえ、こちらこそ先生がお気づきにならなければこのまま逃がすところでした。」


ブラックジャック「あなたも皮膚を提供したばかりなので体には気を付けてください。」


アサギ「はい。こい、桐生!二度と外に出られると思うなよ!」


桐生「は、離せ。」


 -一週間後、紫の病室ー


ブラックジャック「よし、経過は良好ですね。」


紫「本当に信じられません。これが私の体なんですか?」


ブラックジャック「ええ、これが貴方本来の体です。」


紫「先生にはなんてお礼を言えばいいのか分かりません。」


ブラックジャック「お礼ならアサギさん達にも言ってあげてください。彼女達から皮膚や輸血をしてもらいましたから。」


紫「そうだったんですか・・。」(アサギ様の皮膚・・・私に移植されたのか・・・つまり二人は一つになった!!)


ブラックジャック「紫さん?大丈夫ですか?」


紫「あっいえっなんでもありません!」


ブラックジャック「手術直後なので体調には気を付けてください。私はこれで帰ります。」


紫「ブラックジャック先生本当にありがとうございました。」


 -ブラックジャック邸ー


ブラックジャック(んっ・・こんなところに段ボールが・・・なぜだろう、無性に入りたいぞ。)


ブラックジャック(よし、入った。外から見ると今どんな感じなんだろう?おっ鏡があるぞ。こ、これは。)


ブラックジャック「おーいピノコ、これ捨ててくれ。」


ピノコ「はーい、ちぇんちぇい。」




ピノコ「ちぇんちぇいれんわ、れんわなってゆよー。」


 


 


次回予告 


ゆきかぜ「先生・・・、助けて、私、私・・・オークの子供を妊娠しちゃった。」


 


ブラックジャック「オークの子供を妊娠しただと?」


 


カルテ:3086 ~~豚の子供~~


 


 


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2018-12-14 08:02:30

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