フリードリヒ4世「余に作戦指揮をせよと?」長門「はっ提督」
なぜか鎮守府の提督になってしまったフリードリヒ4世
長門を秘書艦に任じて……!!
(アニメの前日談的な感じで書きました)
いつの世も戦争が続いている、いつの世も戦争によって残されるのは無人の荒れ野だけだ。
そして刻まれた傷は時の流れとともに消えていく。
その傷を目撃し、記憶しているのは、満点に輝く星の群れかもしれない。
その星すら、いつの日か流れ星のように消え去る運命にある。
これは、そんな星々の間でいつの日か語られたある艦娘たちの、今はもう忘れかけている闘いの記録である。
宇宙歴796年、帝国歴487年1月のある日、
銀河帝国皇帝フリードリヒ4世は、寵姫アンネローゼ・フォン・グリューネワルトの誕生を間近に控え、何を贈ろうか思案していた。
――――
フリードリヒ「(さて、アンネローゼに何を贈ろうものか……)」
フリードリヒ「(余はあれとは歳が離れて、何を好むのかよくわからぬ……)」
フリードリヒ「(マグダレーナにでも一つ聞いてみるか)」
――――
アンネローゼは15で後宮に入内した。この時、フリードリヒとは30近く歳が離れており、また、フリードリヒの寵愛を一身に受けたため、宮廷内にはマグダレーナ・フォン・ヴェストパーレ男爵夫人やドロテーア・フォン・シャフハウゼン子爵夫人以外に親交を結ぶ者はいなかった。
――――
フリードリヒ「(こうして薔薇を愛でるのもよいが、たまには、読書も良いやもしれんな)」
フリードリヒ「だれかおらんか」
小姓「はっ」
フリードリヒ「書架へ行くので、鍵を開けておけ」
小姓「はっ、畏まりました」
――――
書架は、銀河帝国初代皇帝ルドルフ大帝の手記から、歴代皇帝が収集したコレクションに至るまで保管されている、新無憂宮(ノイエ・サンスーシー)の大図書室である。
銀河帝国の歴史が全て詰まっているこの部屋は皇帝といえども鍵の保管は許されていなかった。
――――
フリードリヒ「(さて、アンネローゼのような娘の心情を察せ得る本は何かないものか……)」
フリードリヒ「(ふむ、これなどはよく若いころ読んだものだ、あの頃は生娘の心情を知ろうと苦心したものだ)」
……………………
フリードリヒ「(いかんいかん、少々寝てしまったか、いやはや歳をとると本もろくに読めんとは……)」
フリードリヒ「これ!!誰かおらんか!」
金剛「どうしたデスか? 提督?」
フリードリヒ「何者であるか!」
金剛「提督ぅー? 頭でも打ったデスか?私は英国で産まれた帰国子女の金剛デース!」
フリードリヒ「コ・・・コンゴウと申すのか、そうか、兎にも角にも、余に茶を持ってまいれ」
金剛「ティータイムの時間ですネー!」
フリードリヒ「(しかしそれにしても見目が美しいことよ、歳はアンネローゼと同じくらいであろうか……)」
金剛「提督!用意ができたネ!」
フリードリヒ「そうか、では頂こうか、して、そちは何処の者であるか?」
金剛「いずことは? 何のことデスか?」
フリードリヒ「むむ・・・そちの家名と父の爵位を申せ」
金剛「お父さんデスかー、ちょっとわからないデス」
フリードリヒ「わからぬと申すか……そうか……名前は金剛といったな」
金剛「そうデス」
フリードリヒ「この茶はなかなか旨いものであるな、オーディーンにこのような茶葉があったとは」
金剛「オーディーン? 何のことデスか?ここは舞鶴デスよ?」
フリードリヒ「ではここは新無憂宮(ノイエ・サンスーシー)ではないのか!!」
金剛「鎮守府デスよ? 提督?」
フリードリヒ「なんと・・・余とそちの他に誰もおらぬのか」
金剛「たしか向うにみんながいると思いマース!」
フリードリヒ「すぐに呼んで参れ、この状況をなんとかせねばならぬ」
金剛「じゃあ、ちょっと読んでくるネ~」
――――
長門「どうした金剛?」
金剛「提督が突然おかしくなったデス、心なしか老けたようにも思えマス!」
雷「金剛さんったら、そんなことあるわけないじゃ……!?」
長門「金剛、そんな馬鹿げた話があるものか! 一番艦としてそのようなことでは……!?」
フリードリヒ「(なんとっ!?黒髪の乙女か、シュザンナとは比べ物にならぬ美しさよ、あとの二人も美しいが、あと10年もすれば、
後宮に上がることができたであろうに惜しいものよ……)」
長門「提督!! どうなさったのですか!」
電「はわわ、司令官がおじいちゃんになってるのです!」
雷「司令官が!!! 司令官がぁぁぁ!!」
フリードリヒ「まあ、落ち着くのだ、騒がしくては話も出来ぬ」
長門「これは、提督失礼いたしました」
電「ちょっと、びっくりしたのです!」
フリードリヒ「……はて、先ほどからそち等は余を提督と呼んでおるのか?」
長門「はい提督、 何か疑問でも?」
フリードリヒ「いや、余は提督ではない、余は銀河帝国皇帝であって、直接軍を率いたりはせぬ」
長門「これは……」
金剛「完全に……」
電「おかしくなっちゃってるのです!」
……………………
フリードリヒ「ふむ、そち等艦娘が、深海棲艦なる敵を倒すのじゃな? その用兵を余にせよと申すのか?」
長門「はい提督、提督にはこの鎮守府の艦娘一同に指令を下して頂き、我々がその命に従い、この手で深海棲艦を倒すのです」
フリードリヒ「そち等のような娘がか?」
長門「はい提督、我々の作戦指揮をしていただけますか?」
フリードリヒ「なるほど、それで提督なのだな……ふむ、では、そちを軍務尚書に命ずる」
長門「は? 今なんと?」
フリードリヒ「そちの名は長門といったな?」
長門「はぁ、そうですが……」
フリードリヒ「長門を軍務尚書として任ずる、皆に命を下してやってくれ」
長門「軍務尚書!? いや、提督そのようなことはっ」
金剛「(なんかよくわからないことになってきたデス……)」
フリードリヒ「不服か?」
長門「いえ、そのような役職は結構ですが、提督っ!」
フリードリヒ「そちは無欲だな」
長門「(な、なんなんだこれは……)」
フリードリヒ「余は用兵に関しては分からぬ、そちに全て任せる」
金剛「ということは、長門が秘書艦ってことデスか?」
フリードリヒ「秘書艦?」
金剛「つまり~、私達で一番偉い人のことデース!」
フリードリヒ「そうか、それで構わぬ」
長門「はぁ、では指令を……」
フリードリヒ「余にはわからぬので、そちが好きに致せ、余は忙しいのだ」
金剛「提督は何かすることがあるのデスか?」
フリードリヒ「薔薇の世話をせねばならぬのでな」
長門「提督……」
フリードリヒ「そういえば、そちら4人のほかにはおらぬのか?」
雷「他にも一杯いるわよ!!」
フリードリヒ「ここは右も左もわからぬ故、だれか鎮守府の案内を頼めぬか?」
電「雷ちゃんと一緒に案内するのです!」
……………………
長門「行ってしまった……」
金剛「そうデスネー」
長門「大淀はいるか!」
金剛「大淀は、さっき陸奥と作戦室で話してたデース」
長門「提督からは全権を任ぜられた、これからは私が指揮を執る!!」
「次回予告」ジャーンジャジャーン
指揮をする気のないフリードリヒ4世、途方に暮れた長門が士気高揚のため、
制海権奪回に向けた反攻作戦を開始するなか、フリードリヒはとある駆逐艦と出会う。
この作戦を受け、深海棲艦側で政権交代が起こっている頃、鎮守府でも大きな事件が起ころうとしていた。
次回「若き戦士との邂逅」
艦これの歴史がまた一ページ
艦これアニメ1話に続く
最後まで読んで下さりありがとうございます。
銀河英雄伝説のフリードリヒ4世のセリフから思いついたので書いてみました。
初めてのSSなのでちょっと不安です。
次回予告がありますが、続きません。
そして、思いっきり未完で申し訳ありませんが、勘弁してください。
銀河英雄伝説のSSは昔から書いてみたかったのですが、ちょっと最後で力尽きてしまいました。
また機会があれば、銀河英雄伝説系統の作品は書いてみたいと思います。
このSSへのコメント