善子「黒い表紙のノート」

【沼津駅前】

善子「あれ？ないわね…あー、やっぱりないわ…」ｶﾞｻｺﾞｿ

ﾋﾟｯ prrr…ｶﾞﾁｬｯ

店員「お電話ありがとうございます！やば珈琲店です！」

善子「あ、すいません。昨日ノートの忘れ物ってなかったですか？」

店員「はい！ノートの忘れ物でございますね…あります！ただ、9冊ございまして…」

善子「えっ、そんなに？あの、黒い表紙のノートなんですけど…」

店員「黒？はい、黒でしたら7冊ございます」

善子「えっ、そんなに？」

店員「失礼ですが、中に書いてあることお分かりになりますか？」

善子「えっと…その…オリジナルの歌の歌詞が書いてあるんですけど…」

店員「オリジナルの歌の歌詞…オリジナルの歌の歌詞が書いてある黒いノートは3冊ございます」

善子「えっ、そんなに？」

店員「あの…どういった歌詞でしょうか？」

善子「えーっと…我が眼が疼く…」

店員「あの、もう少し大きな声でお願いします！」

善子「…我が眼が疼く、我が手が震える、闇の炎を纏いし炎帝、永遠の翼を持つ創世者(ヨハネ声)」

通りすがりの子供「ママー、あの人電話で何喋ってるのー？」

通りすがりの親子「しっ！見ちゃダメよ！」

店員「はい！『我が眼が疼く、我が手が震える、闇の炎を纏いし炎帝、永遠の翼を持つ創世者』が書いてある黒いノートは1冊ございます」

善子「…じゃあ、今から取りに行きます…」

店員「お待ちしております」ｶﾞﾁｬｯ

善子「はぁ…」

おわり