保安官がラバウル基地に着任しました
序章
嵐の中、荒波を抜けたウッディ
そこで見上げた世界は廃墟と化したラバウル基地だった
トイストーリー4ついに公開されました…!事の発端はリボル〇ックウッディが艦娘にセクハラしていた画像を見たのが始まりです。時系列はトイストーリー4のその後です。
俺は一体何をしていたんだ…よし1回落ち着け、まずは思い出すんだ。アンディとボニー かつての仲間たちやボーとの思い出ははっきりと覚えている。それでもって俺は役目を果たせたのかだとか、俺の存在する意味って何なのかだとか、どうでもいい事ばかりが頭を駆け巡る。そして瞼を閉じて自分の胸に聞いた。
ひとりぼっちの時間が俺の心を小さくしたし、大きくしてきたんだ。きっと今日も大丈夫、何とかなる。さてと、箱の隙間から世界を覗き込むのはもう慣れっこだ。ここはどこなん…だ…
目が覚めたら黒い海と嵐が広がっていた
ウッディ「おいおいおいおい!冗談はよせよ!こんなの全くシャレにならないじゃないか!ああああどうしろっていうんだあ!!もうほんとにおしまいかもしれない…あ、そうだ!バズお前のレーザーで助けを…。」
ああ、自分がイヤになってきた。結局ピンチになったら仲間を必要とするじゃないか。そんな奴らがいなくなるのが怖くて俺は何度も何度もヤードセールに駆けつけた。けど、俺には仲間もいないし、持ち主もいない。このまま深い海の底に沈んだ方が…
『…コッチ二…ヲイデ…愉シイ場所…』
そうさ、俺には楽しい場所が似合っている。きっとジェシーはこんな気持ちだったんだろうなぁ。けど、あいつにはバズが付いている…から……もう…大丈夫…
『…ィ、ウッディ…!ウッディ!死んじゃダメ!』
微かだけどちゃんと響く声…あの懐かしい部屋での友達の声だった。何で帰らなかった俺を呼んでくれるんだ。ほんとに俺は幸せ物だよ。最期の夢にまでも出てきてくれるんだな…
はっ!そうだ、俺はボニーとアンディが生きてる限り勝手に命を終わらせてたまるか…!!!
聖母に抱えられたように光が射し込む。さっきまでの荒波は消え、ズサっーと砂浜に辿り着いた音がした。慎重に恐る恐る箱から身を乗り出す。そこに見えたのは錆びた文字で
[ラバウル基地]と記された廃墟だった。
俺はまだ新たなストーリーが始まるのをこの時は知る由もなかった
とにかくこのまま砂浜で過ごしていたら波に攫われちまう。建物があったら偵察する、それがまずおもちゃの任務だ。だいたい左に行けば…ラッキー!通路見つけたぜ!これで安全な場所を確保して雨風さえ凌げればひとまず夜は越せる。でも1つだけ変なんだ。
長年おもちゃやってると人間への警戒心が強くなってくる。だから気配とかはある程度感じることができるんだが、ここは人気を感じないのに重い足音がするんだ。まぁ、それも後で確認してみよう。
執務室にて
????『…のです、もう、資源がないのです』
男『だったら、遠征にでも行って稼いで来いこの無能!』バチッ
????『もう!やめてよ!司令官…!私たち疲労を回復させないと!』
男『ほほう、兵器の癖に逆らう気か、ならばお前もあの軽巡洋艦のようにしてやろう』グィ
????『やめ…!離し…さ!いやぁぁ!』
????『雷ちゃ…を返してくだ…さ…!』
ウッディ「子供の声がする…それも恐怖や悲しみを感じさせる声…やっぱりここはおかしい」
なぜだろう、子供の悲しい声を聞くととても胸に痛みが走った。それは前の持ち主が心から俺を、いや俺たちを愛してくれたからに違いない。どうせしばらく国には帰れない。さっき子供の隣で声を荒らげた男の声がした。一刻も早く何とかしないと…
そう思ってた矢先、足を踏み外し天井が抜けて通路から放り出されるような形で内装を見た。
うっ、とても血腥い。俺は思わず眼を見開いた。
壁一面に四方八方飛び散った血痕、血だらけの首輪や鎖、足枷、ナイフ、鋸なんかが転がっていてここで行われた事の残酷さを物語っている。子供部屋にいたら絶対見ることのないそれはハッピーエンドの結末だけを信じてきたおもちゃにとってあまりにもショックだった。
ウッディ「こ、これは、うそだろ」
北上「全部ほんとだよ、カウボーイ」
今、足音も無く背後から声がしたんだ。
血肉はあるはずなのに心が空っぽの無機物のように。
俺はとっさに魂を抜く。
北上「今動いてたの知ってるって。死んだフリするくらいだったら本気で死ねよ。所詮は子供騙しの演技なのにねー。あと3秒以内に立たないと撃つけど」
彼女はそういいながら俺の背中の紐を引いた。
全開の殺気、彼女の眼は本物だった。
ウッディ『おっと、嬢ちゃん。あんたも子供騙しだぜ、そんな機銃のおもちゃどうやってぶっぱなそうって言うんd』
バアァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ン
北上「ああー、的が小さ過ぎて外しちゃった」
風は吹いていなかった。数センチ横の壁を銃弾が貫通していた。俺の住んでた国は銃の所持が一般的だから必然とホンモノを見ることがある。きっとこのヒトは誰かを殺すために生まれてきた。その目が全てを物語っている。俺は…俺はなぜか彼女の前なら動いてもいいと思った。
ウッディ「俺の名前はウッディ、あんたは?」
北上「球磨型3番艦軽巡洋艦、北上」
ウッディ「北上、ここで何が起こってるんだ」
北上「俗に云うブラック鎮守府ってやつ、提督の権力を振りかざして艦娘たちを酷使させたり、暴力したりするとこ」
ウッディ「さっき子供の悲鳴が聞こえたんだ。どの子か知ってるか?」
北上「ああー駆逐艦ね、どうせ"解体"されるだけだよ。まぁ駆逐艦ウザいからどうでもいいんだけどね」
ウッディ「…!どうでもいい?!あんたそれでも仲間じゃないのか、助けに行かなくていいのか?」
北上「…じゃあ、ついてきて」
そう北上に呼ばれて後について行く。ずっと薄暗い廊下が続いて蜘蛛の巣が所々にへばりついていた。板を外した場所に隠し階段があって1歩ずつ確かめながら降りてゆく。そこに明かりが一つだけ点いてる地下室に辿り着いた。
錆びたドアノブをギィーィと押すとそこに北上によく似た茶髪の少女がいた。ただ、両腕がなかった。
ウッディ「…ハ、ハロー!」
大井「ひっ、だ、男性の声!北上さ、ん、恐い恐いよぉ、助け、助けて!お願い!」
北上「大井っち大丈夫だよ、ただのカウボーイ人形だから。あの男じゃないよ。もう大丈夫」ヨシヨシ
大井「…えっ、玩具が動いている?北上さんこれは信じていいの……?」
北上「うん、ウッディは何もしてこないから大丈夫」ヨシヨシ
北上は偽装を外し、大井っちという少女の横に腰掛けた。
ウッディ「えーと、俺はウッディよろしくな」
大井「北上さんが信じるからあなたの相手をしてるだけよ、勘違いはやめて頂戴」
北上「そうそう、お昼ご飯持ってきたよ、はいあーん」
大井「いただきます」パクッ
ウッディ「…!」
北上「それじゃまたね」
大井「北上さんありがとう、待ってるわ」
ギィーィバタン
どうやら彼女たちは姉妹同士らしい。この少女に両腕が切り落とされてるのを見たらとてもじゃないが胸が張り裂けそうになる。この基地はまるで墓場みたいだった。
ウッディ「なぜ俺をつれてきた」
北上「大井っちと私は以前、出撃していた。それもかつての提督の指揮下で。提督は優しい人だった。みんなとともに生活をして、明るくて楽しかった。還るべき場所があるってあんなにも幸せだった。だけど、そんな日々はずっと続かなかった。敵襲に遭って仲間や姉さんを失って提督までも亡くなっちゃった、そうなると大本営は新たな人材を派遣した。それがあの男だった。その日から此処は地獄と化した。だから、あの男には近づかない方がいいって事を知ってもらうために大井っちに会ってもらった。」
ウッディ「敵襲から生き残った艦娘はどうなったんだ…?」
北上「大破もしくは、使えないと判断された艦娘は艤装を解体され、肉体をあの男の玩具にされた。それで用が済んだら海洋投棄。もちろん、出撃で轟沈する艦もいた。そしてあの日…1人の駆逐艦が投げ込まれようとしていた。大井っちは必死で止めに行った。でもあの男は大井っちの両腕を切り落として、駆逐艦と腕をまとめて海へ投げ込んだ。それから大井っちは人間不信になってしまった」
ウッディ「そして大井と一緒に助けに行ったあんたも右腕に大怪我をしたってことか」
北上「…!は、何?」
ウッディ「さっきあんたが介抱していた時、艤装を外していただろ、そん時に見えたんだ」
北上「雷を助けに行っても無駄だよ」
ウッディ「それでも俺は見捨てる事ができない。それに北上が殺られたら誰が大井の介抱をするんだ?」
北上「そんなの分かっている、ここにいる艦娘は私と大井っちと雷と電だけ。駆逐艦の2人はすでに大破している。」
ウッディ「OK、雷って子を助けるにはどうすればいい?」
北上「さっきの拷問室にいるから、私は電を見つけて外から追い詰める。」
ウッディ「作戦の骨組みは出来た、後は動きながらでも考えるぞ!」ダッ
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