2015-06-02 08:39:51 更新

概要

ひょんなきっかけで出会う二人の主人公と愉快な仲間たちのお話。


前書き

けいおん!×ラブライブ!のクロスオーバーです。
2作の共通点をうまく絡ませていけたらと思ってます。


きっかけ!!




希「ん? 何か落ちてるやん?」


絵里「……財布? ちょっと待って、生徒証も落ちてるわよ。あ、携帯も」


希「無いと困るもの綺麗に落としてってるやん」


絵里「キーホルダーも落ちてるわ」


希「どんだけ落としてるん!?」


絵里「何かあったんじゃないかしら? ちょっと心配ね……」


希「えりち、ちょっとその生徒証みせてくれへん?」


絵里「ええ、いいけど」スッ


希「……」


絵里(住所を確認したいのかしら?)


希「この子、すごくドジそうやな」


絵里「希、失礼よ」


絵里「えっと……平沢唯さんね。そんなに家遠くないみたいだし、届けに行きましょう」


希「そうやな!」




―――




絵里「すいませーん」ピンポーン


「はーい、ただいまー!」ガチャ


唯?「はい! どちら様でしょうか?」


希(なんや、意外にしっかりした感じやん)


絵里「平沢唯さん、ですよね? 落し物を届けに来たんですけど……」


唯?「そうなんですか!? わざわざありがとうございます!」


唯?「ちょっと待っててくださいね! 呼んできますので!」


希「呼んでくる? 誰を?」


絵里「……さあ?」


唯「はいはい! お待たせしました平沢唯です!」


希「ドジっぽくなって戻ってきた!?」


唯「え、そうかなぁ? えへへ」テレテレ


希「褒めてないわ!!」




―――




希「すいません」


憂「いえ、こちらこそ。うちの姉がご迷惑おかけして……」


絵里「あはは……。まさか姉妹だったとはね……」


絵里(似すぎ)


憂「ほらお姉ちゃんも、ちゃんとありがとうして!」


唯「ありがと~!」ニコニコ


希「どっちが姉やねん!!」


絵里「希、いい加減にしなさい」チョップ


希「だってぇ……」


絵里「それじゃあ私たちはこれで失礼します」


唯「うん! 本当にありがとね!」


憂「あの、こんなお礼しかできなくて申し訳ないんですが、良かったら!」


絵里「そんなつもりじゃなかったのに。ありがとう」ニコ


希(出来た妹さんやなぁ……)




―――




穂乃果「ただいまぁ~」ガラッ


律「おかえりー」ゴローン


穂乃果「はぁ、お腹減ったなぁ」


律「はい饅頭。あんこ入ってるぞー」モグモグ


穂乃果「ありがとー」ゴローン


律「んー、礼には及ばん」ズズーッ


穂乃果「……」モグモグ


律「……」モグモグ


穂乃果「ってこれあんこ入ってるじゃーん!! あんこ飽きたぁー!!」ジタバタ


律「だから忠告しただろー」ピッ ピッ


穂乃果「えっ、誰……?」


澪「いや遅いだろ!!」ガタッ




―――




穂乃果「そうだったんだ……わざわざありがとうございます」ペコッ


律「全く、どうしたらそんな大事なものだけピンポイントで落としてくるんだよ」ハハッ


澪「逆にお前はどうしたら他人の家でそこまで寛げるんだよ……」


穂乃果「あ、どうぞどうぞ遠慮なく寛いでいって下さい! 」


律「な?」b


澪「な? じゃない!!」ゴンッ


律「」チーン


穂乃果「良かったらこれから一緒に夕飯でもどうですか!? もうすぐ出来ると思うんで!」


澪「ありがとう、気持ちだけ貰っておくよ。でもそろそろ帰らなくちゃ」


穂乃果「え、帰っちゃうんですか?」


澪「ああ。さすがにこれ以上はご家族にも迷惑だろうしな」




―――




穂乃果「それじゃあ、お気を付けて!」


澪「ありがと。お菓子美味しかったよ」


律「おう! 今度は客として来ちゃおうかなー!」


穂乃果「ほ、本当!?」キラキラ


律「おう!!」


雪穂「じゃあ良かったらこれ持っていって下さい! 穂むらの饅頭です!」


律「……え、い、いいのか? なんか、悪くない?」


雪穂「お母さんもお父さんも『是非』って言ってます!」


ほのママ・パパ「」ニッコリ


律「あ、ありがてえ……!」ウルウル


澪「何から何まで悪いな……。ありがとう、それじゃあこれで」


穂乃果「こちらこそ、ありがとうございました! また来てください!」




―――




希「あの子、妹に全部いいとこ吸い取られたんやろなぁ」


絵里「私は好きよ、ああいう子」


希「ふーん。なんで?」


絵里「だってあの子、そっくりじゃない――」


律「甘いもの大好きなところとか、ちょっと抜けてるところとか!」


澪「確かに。笑顔も仕草もそっくりだったよな――」


絵里・澪「穂乃果に」「唯に」


絵里(唯?)ピタッ


澪(今、穂乃果って……?)ピタッ


絵里・希・澪・律「……」




交差する二つの物語




絵里・希・澪・律「……」


律「何みてんだよ」


絵里「それはこっちのセリフよ」


律・絵里「……」


律「まあいいや。澪、帰るぞー」


絵里「希、私たちも帰るわよ」


希(あれって穂むらの饅頭……?)


希「ちょっと待ってもらえんかなぁ?」


律「……なんだよ」


希「ひょっとして誰かに落し物を届けた帰りと違う?」


律「えっ」


希「高坂穂乃果。この名前に聞き覚えあるやんな?」


律「こ、こいつ……エスパーか!?」


澪「穂乃果の先輩か何かじゃないのか?」


希「なんで分かったん!? ひょっとしてエスパー!?」


絵里「ま、まさかと思うけど……」


澪「そのまさかだよ。唯は私たちの友達だ」




―――




律「なんだ、そういうことか!」


澪「二人は唯の家に落し物を届けた帰り、私たちは穂乃果の家に落し物を届けた帰り、それが偶然すれ違うなんてな」


絵里「ハラショー。面白い偶然があるものね」


希「スピリチュアルやね!」


律「そ、それを先に言ってくれれば私だってあんな言い方したりしなかったぞ! お前らが悪い!」


絵里「ごめんなさい、そうとも知らずに。穂乃果の件はどうもありがとう」


律「あ、う、うん。わかれば良い」


澪「うちの唯が世話になったみたいで……穂乃果から美味しいお菓子まで貰っちゃったし、こちらこそありがとうだよ」


律「あー、さっきはそのー、あのー……」


希「なんやー? なにか言いたそうやなぁ?」ニヤニヤ


律「そうだ! これも何かの縁だし、今から飯食いに行こうぜー!!」


希「おー! ええやんそれ! うちお腹すいてたんよ!」


律「んじゃあ決まりー! どこ行くかー!」


澪「いや先に謝れよ……」




―――




翌日。




律「さあ、今日も練習はしないぞー!!」


唯「おー!!」


澪「おー、じゃない。少しお茶したら練習だ」


紬「今日はどんなお菓子が出てくるのかしら~♪」


梓「??」


澪「今日は私たちがお菓子を持ってきたんだ」


律「これめっちゃくちゃ美味しいんだぜー!」


梓「ああ、そういうことですか! それは楽しみです!」


律「じゃじゃーん!」


唯「お饅頭?」


律「そ! 『穂むら』って店のな!」


梓「グルメにでも目覚めたんですか?」ズズーッ


澪「まさか。落し物を届けに行ったらそのお礼にもらったんだよ」


律「昨日すんごい偶然があってさー!!」


紬「そうなの? なになにー?♪」




――




穂乃果「ハックショイ!!」


にこ「あんたまさか風邪じゃないでしょうね?」


絵里「ふふ、噂されてるのよ。律と澪に」


穂乃果「え、なんで二人のこと知ってるの?」


にこ「誰よそれ?」


希「それより、えりち! 今度の休み遊ばないかって、りっちゃんが!」


絵里「ええ、良いわよ」


穂乃果「え、なにどういうこと? りっちゃんって律さんのこと?」


希「穂乃果ちゃんも連れてきてくれって言ってる!」


絵里「来る?」


穂乃果「絵里ちゃん!! 話が全く読めないよ!!」


真姫「ちょっと何の話してんのよ……」


海未「練習、そろそろ再開したいのですが……」


にこ(りっちゃん……?)




――




唯「どうして私も行くの~?」


律「唯に合わせてみたい奴がいるんだよ! なにも言わず、ついてこい!」カチカチッ


唯「オーッス!!」


梓「なんだか私たちだけ蚊帳の外ですね……」ショボン


紬「ふふ、寂しいの?」


梓「あはは……ちょっとだけ」


律「この際だしムギと梓もくるか?」ピッピッ


紬「いいの?」


律「いいんじゃない? すぐ打ち解けるだろうしな!」カチッ


澪「練習するぞー。もう携帯やめろー」ベンベンベン


律「……」ピッピッ


澪「没収」


律「あっ!! 今いいとこなのに!!」


澪「あとにしろ」


律「なんなんだよもーっ! 澪は絵里たちに会いたくないのか!!」


澪「それとこれとは話が別。さ、練習だー!!」


律「な、なんだこいつ」


紬「澪ちゃん今日はいつもに増して張り切ってるね?」


澪「ああ! 負けたくないからな!」


唯「……何かと戦っておられる?」




――




希「変や……」


絵里「何が?」


希「あれから返信がぱったり途絶えた……」


絵里「澪に携帯没収されたんじゃないかしら?」


真姫「黙って練習しろってことよ」


絵里「あはは……手厳しいのね……」


海未「絵里はいいとしても、希。あなたはダンスに乱れが出ていましたよ」


にこ「希、練習だからって手抜いてんじゃないわよ」


希「別に手なんて抜いとらんやん。ちょっと考え事してただけやん」


にこ「それを手抜いてるっていうの。気引き締めなさい」


希「次は完璧に踊るからええもん! なんや今日のにこっち意地悪やん!」


絵里「でも尤もだわ。気を引き締めて、練習再開しましょう!」




――




律「ふぅー、今日は頑張ったろ!」


澪「毎日これくらい頑張って貰いたいな」


律「いいや、息抜きも必要な時間だ!」


澪「その息抜きが多すぎだ、私たちは」


梓「……」ジーッ


唯「あずにゃん?」


紬「唯ちゃんのこと見つめてるね?」


唯「だ、ダメだよあずにゃんそんな/// もしかして私に恋しちゃった?///」


梓「それはありえないです」


唯「バッサリだ……」


梓「ちょっと考え事してただけです」


澪「何か悩んでるのか?」


梓「そういうことでもありません!」


澪「?」


律「さてと、希たちに連絡してやらないとなー」カチッ




――




希「ジー……」


にこ「……」スタスタ


希「ジーッ!!」ガシッ


にこ「なんなのよ!! しつこいわね!!」


希「にこっち、今日うちに冷たくない?」


にこ「別に。気のせいでしょ」


prrr! prrr!


希「あ、りっちゃんからメールや」


にこ「……」チラッ


絵里「……嫉妬してるのね、律に」


にこ「べ、別にそんなんじゃないわよ……!」


絵里(わかりやすい)




――




紬「というか、電話しちゃえば?」


律「……そうだな!」


梓(唯先輩に似てる、かぁ。どんなだろう)


イメージ穂乃果『今日もケーキが美味い!!』モグモグ


梓「……ふっ」


澪「穂乃果のことが気になるのか?」


梓「ふぇ!? 心の中詠まないでください!!」


澪「図星かよ。似てるとは言ったけど唯よりはしっかりしてるぞ?」


梓「そうなんですか。じゃあ安心ですね!」


唯「ふぇ?」


律「あ、もしもし希か? 悪いなー返事遅くなって」


律「それなんだけどさ、ムギと梓も連れて行きたいんだ。いいよな?」


律「そうそう昨日話した、うちのバンドのー」




――




希「全然ええよ! それやったら、うちも連れて行きたい子達おるんよ!」


希「ほんま? うちら全員で9人やで?」


希「ほんまやなぁ! でも賑やかでええやん!」


絵里「良かったわね?」


にこ「……」


絵里「あら? ちょっと嬉しそう?」


にこ「なんなのよさっきから……ほっといて」


絵里「ふふふ。はいはい」


pi!


希「ってことで、μ’s全員参加になったで!」


にこ「ふーん」


希「にこっち、来てくれるやんな?」


にこ「まあ、どうしてもって言うなら行くけど」


絵里「私はどうしても来て欲しいなー。ね、希?」


希「うん! 来て欲しい!!」


にこ「ふん。わかったわ、行ってあげようじゃない!!」


絵里「そうと決まればみんなに連絡してあげないとね!」




――




唯「昨日、私の落し物届けに来てくれた人たちいたでしょー?」モグモグ


憂「うん。それがどうかした?」


唯「その二人、りっちゃんと澪ちゃんと仲良くなってたのー」モグモグ


憂「え、どうして?」


唯「りっちゃんたちも財布拾ったらしいんだけど、それ届けてあげた帰りに偶然すれ違ったんだって~」モグモグ


憂「それで意気投合しちゃったんだ?」


唯「そう。すごいよねー!」モグモグ


憂「ふふ、なんだか律さんっぽいね」


唯「それで今度の土曜日に遊ぶんだって。私も行くことになっちゃった」ズズーッ


憂「お姉ちゃんも行くの?」


唯「うんー」モグモグ


憂「そっかぁ。ちゃんとお礼してきてね」


唯「は~い」ニコニコ




初対面!!




休日。ファミレス。




律「よく来たな、私が部長の田井中律だ!!」バッ


希「部長やったん?」


律「せやで! 見えへん?」


希「見えへん!」ニッコリ


律「はは、よく言われる……。そっちの部長は?」


にこ「私。矢澤にこよ、よろしく」


律「へえ~これはまたぁ……」ニヤニヤ


にこ「な、何よ……」


律「まあ仲良くやろうぜー!!」ポンポン


にこ「カンに障るヤツねぇ……!! 気安く触るなァ!!」


律「あ、ごめん。ちょっと馴れ馴れしかった?」


にこ「私は宇宙No.1アイドルなの。握手とかそういうのは事務所通してもらえる?」


律「あ、ああ……まあ、なんだ、座れよ」




――




唯「あ! 二人共ー!」


穂乃果「あ! 律さんに澪さん!」


唯・穂乃果「先日はどうも!!」ガタッ


絵里「……」


澪「……」


唯「あ、これはどうも初めまして。平沢唯と申しますよろしくお願いしますー」ペコリ


穂乃果「あ、穂乃果です。話は伺ってます、今日はどうぞよろしくお願いします」ヘコヘコ


唯「どうぞどうぞ、お掛けになられて下さい!」ニコニコ


穂乃果「すいません、失礼しますー」ニコニコ


希「面接か」


律「こうなる気はしてたけどな……」




――




律「まあ、そうだな。ベタに自己紹介でもしとくか」


律「右から順に梓、ムギ、唯。この唯ってのが例のアレな」


唯「例のアレ?」


律「そしてこの私が! 容姿端麗、頭脳明晰、瞳キラキラみんなのアイドル、田井中律でーす✩」


にこ「……」ピキッ


律「んで、こいつが澪。五人で放課後ティータイムっていうバンドをやってる、軽音部だ」


律「質問とかー、いやないか! じゃあ次、絵里たち!」


澪「雑だな……」ハァ


梓「そもそも自己紹介になってないですし……」




――




にこ「それじゃあ改めて、私から紹介させて貰うわ」ガタッ


にこ「にっこにっこにー! あなたのハートに、にこにこにー!」


梓「えっ……」


にこ「笑顔届ける矢澤にこにこー! にこにーって覚えてラブにこーっ!」


律「お前変なヤツだな」


にこ「あんたにだけは言われたくないわ!!」ガタッ


にこ「で、この子たちが……あー、要約すると愉快な仲間たちってとこねー。質問ある?」


律「質問しかねーわ!! 名前くらい教えろ!!」


にこ「穂乃果、海未、ことり、花陽、凛、真姫、絵里、希。そしてこの私が――」


律「よしわかった、ありがとう」


澪「お前らな……」


絵里「紹介を付け加えるなら、9人でμ’sっていうスクールアイドルグループをやってることくらいかしら」


希「あとはお互い話していくうちに分かっていけばええんちゃうかな?」


澪「そうだな。ごめんな、こんな部長で」


希「それはお互い様や」ニコ




――




律「ドリンクバー14人分頼んでおいたぞー! 取りいけー!!」


唯・穂乃果「おー!!」


真姫「はぁ……」


花陽「どうしたの?」


真姫「私たちって呼ばれる必要あった?」


凛「あんまりないよね!」


花陽「ま、まあせっかくだし楽しもうよ……」


律「なんだ、退屈か?」


真姫「別に。そっちはそっちで楽しんでくれていいわよ」


律「よし、じゃあドリンクついでに席替えするか!」


律「唯は花陽ちゃんの隣! ご飯の話に華を咲かせろ!」


唯「おっす!」


律「梓は凛ちゃんの隣で猫みたいに戯れあえ!」


梓「なんで猫……」


律「そして真姫ちゃんは私がいじり倒す!!」


真姫「ヴェッ!?」


律「あとは各々適当に席変わっとけ!!」


澪「ほんと適当だなお前は……」




――




唯「そうそう、ご飯と言えばね。ごはんはおかずなの、知ってる?」


花陽「と、言いますと?」


唯「ご飯って何にでも合うでしょ? なんでだと思う?」


花陽「美味しいからでは……!?」


唯「そう! そうなんだよ大正解だよ花陽ちゃん!!」キャッキャ


花陽「やったー!」キャッキャ


花陽「唯ちゃんは、ご飯と一緒に何を食べたい?」


唯「ご飯と……うーん。ご飯が食べれればなんでもいいやぁ」


花陽「とってもわかります! ご飯は主食であっておかずなんですよね!!」


唯「そうそう! 副菜もごはんなんだよねー!!」


にこ(なに言ってるのかしらこいつら……)




――




澪「唯が『ごはんはおかず』っていう歌詞を書いてきてさ。変だろ?」


海未「ふふ、可愛らしいですね。作詞は唯さんがされてるんですか?」


澪「ううん、いつもは私だよ」


海未「そうなんですか! 実は私も作詞を任されているんです、けど……」


澪「けど?」


海未「最近どうもうまくいかないんですよ。言葉選びにピンとこないというか……」


澪「煮詰まっちゃってるんじゃないか? 一から書き直すとか、音を出しながら思うがままに書いてみるといいかも!」


海未「なるほど。音を出すというのはやはり楽器を弾くということでしょうか?」


澪「インストを聴く、とかでも良いんじゃない? 世界観の出来上がった曲は面白いくらいにヒントをくれるよ」


海未「試してみます!! ありがとうございます澪先輩!!」


澪「な、なんだ改まって……」


海未「初めて……相談に乗ってもらえたから嬉しくて……!」ウルウル


澪「そうか……その気持ちは痛いほどわかるよ……!」ウルウル




――




梓(うーん、何を話せばいいのか……)


梓「えっと、凛は何か好きなものとかある?」


凛「猫かなぁ。アレルギーだから触れないけど」


梓「アレルギーなんだ。ざ、残念だにゃー」チラッ


凛「……」


梓(にゃーって言ってみたのに少しも触れてもらえなかった!!)


梓「好きなバンドとか、ある? あ、好きな曲のジャンルとかでm」


凛「ないかな」


梓(食い気味で会話断ち切られた!!)


梓「うぅ……」シュン


凛「あ、なに飲んでるのー? おいしそー!」


梓「りんごジュースだよ。飲んでみる?」


凛「飲むー!!」チューチュー


梓「……美味しい?」


凛「うん! 凛も次りんごジュースにする!」


梓「良かった。凛はなに飲んでたの?」


凛「梓ちゃんバンドマンなんでしょ!? 曲とか作れるのー!?」


梓「え? あ、うん、作れるよ」


凛「パートは何やってるの!? 今度カラオケいきたいにゃー!!」


梓(急に饒舌になった!!)




――




律「真姫ちゃん可愛いねー、今日はどんなパンツ履いてるの?」ニヤニヤ


真姫(一番めんどくさそうなのが来たわ……)


律「なんか食べようぜー! 何食べるー?」


真姫「私ドリンクバーだけで良い」


律「じゃあとりあえずポテト頼んどくぞー」ピンポーン


律「さーせんポテトくださーい」


店員「かしこまりー」


真姫「はぁ……」


律「なんだよー、そんなに退屈かー?」


真姫「別にー」


律「……」


真姫「……」


律「おい絵里!! 私もうどうしていいのかわかんない!!」


絵里「真姫は手強いわよ! ファイト!」


律「よ、よし……リベンジマッチだ……!」




――




店員「お待たせしましたーごゆっくりー」


律「ポテトきたぞ。食え」


真姫「う、うん。じゃあ貰おうかしら……」


律「絵里から聞いたんだけど、μ’sの曲は真姫が作ってんだってな?」モグモグ


真姫「そうよ」


律「いやー、すごいなぁ、すごい! よっ、天才!」モグモグ


真姫「あんまり興味ないでしょ?」


律「うん」モグモグ


真姫「あなたたちのバンドでは誰が作曲してるの? っていうかオリジナル?」


律「オリイナルあっこおいあ! ナプキんとって」モグモグ


真姫「食べながら喋るんじゃないわよ……」スッ


律「サンキュー。 もちろんオリジナルだぜ! 曲はムギが作ってくれてる!」


真姫「へえ、紬さんが?」


律「それを聴いて、各自練習して、合わせてって感じだ」


真姫「一応ちゃんとやってるのね。ちょっと見てみたいかも」


律「私も真姫がどんな顔して踊ってるのか見てみたいな!」


真姫「それ嫌味?」


律「お前がそう思うならそうなんだろう!」アハハ


真姫「嫌なやつ。もう少し早く知り合えてたら学園祭があったんだけどね」


律「そうだなぁ……うーん、何か出来ないかな」




――




にこ(ったく……。何よどいつもこいつも楽しそうにはしゃいじゃって)


にこ「ちょっとォ!!」ガタッ


穂乃果「ど、どうかした!?」


にこ「私たちは馴れ合いに来たんじゃないのよ!!」


律「じゃあ何しに来たんだよ……」


にこ「あんたたちをぶっ殺しに」


律「目がマジじゃねーか!! やめろ!!」ガタッ


にこ「と、冗談はさておき。合同練習合宿をするわ!!」


澪「きつい冗談だな……」


にこ「二泊三日の合宿で心身ともに競い合い共に成長し、三日目に私たちの音楽とあなたたちの音楽、どちらが上か勝負するの!!」


にこ「そしてあわよくば殺」


律「合宿か! いいじゃん!」


梓「唐突ですね……」


にこ「乗ってきたわね。そうと決まればスケジュールを立てるわよ!」




合宿!?




にこ「時に、来週は三連休があるわね」


律「まさか来週やんのかよ?」モグモグ


にこ「そう、この三日間を使って合宿をするの! みんな予定は空いてるわね!」


紬「ごめんなさい。私、家の都合で……」


にこ「じゃあ、なんとかしておいてほしいニコッ!」ニッコリ


紬「なんとか出来る気がしてきた……!」キラキラ


澪「ム、ムギ……?」


にこ「他にはいない? 次行っちゃうけどー?」


「「……」」シーン


にこ「あれ、いないの? 意外ね」


律「お前らって結構暇なんだな」モグモグ


海未「」ピキッ


海未「みんな気を遣って黙っているのでしょう……? こちとらやること山積みですよ……」ゴゴゴ


律「怖い怖い怖いわかった、わかった怖い、落ち着こ? な? ポテト食べる?」


海未「いりません!!!」バンッ


にこ「はいはい、じゃあ次行くわよー」




――




にこ「合宿といえば別荘!! 別荘といえば合宿よね!!」


律「あ! だよなだよなー!! やっぱり合宿は別荘だよなー!!」


澪「おかしいからなその発想」


希「実はな、うちにはおるんよ……別荘持ってるお嬢様」ヒソヒソ


澪「本当か? 実はこっちにも……」ヒソヒソ


律「っしゃー!! 別荘持ってる人、挙手!!」バンッ


にこ「はーい!!」


紬「ありまーす♪」


真姫「あるけど」


にこ「あっ、やだ、条件反射で手を上げちゃった! 隠してたのに~! もう、私ったらドジ♪」


澪「ムギと真姫にだけ聞くけど、ここから一番近い別荘は駅からどれくらい?」


真姫「スタジオついてるところだと二時間半くらいかしら」


紬「私は駅から二時間弱! 私の勝ちね~♪」


真姫「……そうみたいね」


澪「じゃあムギ、今回も頼んじゃっていいかな?」


紬「もちろん! 任せて♪」




――




にこ「あとは待ち合わせ場所と、集合時間と……」


希「持ち物も決めた方がええんちゃう?」


律「何をして遊ぶか、これも重要だ」


絵里「練習メニューも決めておかないと……」


海未「ちょっと待ってもらえますか?」


にこ・希・律・絵里「?」


海未「これはただの合宿ではなく、合同合宿ですよね?」


にこ「そうよ?」


海未「練習や息抜きも大事なことですが、せっかくならこのメンバーでしか出来ないことをしませんか?」


にこ「だから対決するんでしょ?」


海未「それも良いと思うのですが、こういうのはどうでしょう?」


ことり「ストップ!! ストップ海未ちゃん!!」


海未「は、はい?」


穂乃果「梓ちゃん、ちょっと来て!!」ガタッ


梓「え? あ、う、うん!!」ガタッ


ことり「海未ちゃんも早く早く!!」


海未「ど、どこへ行くのですか!?」


穂乃果「ダメだよ!? 絶対盗み聞きしたらダメだからね!?」


10人「……」シーン


律「……嵐のように去っていった訳だが」


にこ「何事?」


唯「トイレかな?」


絵里「そういう様子じゃなかったけど……なにかしら」




――




20分後――




海未「唐突ですが、メインイベントが決まりました!」


唯「おおー!! なにするのー!?」パチパチ


ことり「そのメインイベントなんですが!」


唯「なんですが!?」ワクワク


梓「合宿当日まで秘密でーす」


唯「えーなんでー今知りたいー」ブーブー


澪「それで隠れてたわけね……」


にこ「イベントは良いとして、集合時間は?」


穂乃果「穂乃果たちが決めるよ!」


希「持ち物は? 練習は?」


穂乃果「それもこれも穂乃果たちが決める!」


絵里「本当に大丈夫なの?」


穂乃果「やるったらやる!! ぜーんぶ穂乃果たちに任せて!」


律「よし! ここはドーンと任せたぞー!! 遊ぶ時間たくさん作っ――」


海未「それはどうでしょうね」


律「てくれたら嬉しいナ」


澪「海未と梓もいるし大丈夫じゃないかな」


絵里「ふふ、そうね。じゃあみんな、お願いね!」




――




律「さてとー、そろそろ帰るか」


凛「もうそんな時間にゃー?」


律「もう6時にゃー✩」


凛「ちょっと寒いかにゃ」


律「お前の真似だろ……!!」ゴリゴリゴリ


凛「痛い痛い痛い痛い!! ギブギブ!!」


ことり「あ、お会計どうするの? やっぱり割り勘?」


律「ふふーん。考えが甘いなぁことり」ニヤリ


ことり「甘い……ふむ」


澪「どうするんだよ?」


律「ふっふっふ……じゃんけんに負けた奴が全額支払いってのはどうだ!!」


澪「またお前はそうやって……負けないぞ!」


唯「ええ!? 負けたらお財布に大打撃じゃん!?」


にこ「面白いじゃない! 受けて立つわ!」


希「うちチョキ出そー」ニヤニヤ


穂乃果「みんな、ファイトだよ!!」


律「じゃあ行くぞ!! じゃーんけん!!」




――




律「どなたかお金を恵んで下さい」


凛「ふふふふ……あはははっ!! ひ、ヒー、お、お腹いt」


律「うるせえなこの野郎……!!」ゴリゴリゴリ


凛「痛い痛い痛い痛い!! や、やめてよもーっ!!」


紬「いくら足りないの?」


律「あー、三千円ほど……」


絵里「ほとんど足りないじゃないの……仕方ないわね」


希「ここは上級生のみんなで持ってあげようやん!」


律「ほ、ほんまかいな!!」


澪「みんなに感謝しろよバカ律」


にこ「なんか巻き添え食らったんですけど」


唯「……」ソローリ


澪「お前も出すんだぞ」ガシッ


唯「」




――




律「いやほんっますんまへん!!」ペコッ


唯「せっかく勝ったのに意味ないじゃん」グチグチ


にこ「そもそもお金ないならあんなことするんじゃないっての」グチグチ


律「あ、あー、返す言葉もありんせん。ほんと、すんまへん」ヘコヘコ


凛「ざまあみろにゃ」ボソッ


律「……」ガシッ


凛「嘘です嘘です!! だ、誰か助け……!!」


澪「凛に当たるな」ゴンッ


律「いでっ!! クッソ……覚えとけよ……」ギロッ


凛「ざまあみろー、べろべろばー」


律「あのやろう……!!」




――




にこ「ってもう7時になるじゃない! いい加減帰るわよ!!」


希「もうそんなー? 時間経つの早すぎやん……」


絵里「また会えるんだし良いじゃない。それじゃあ次は合宿で会いましょ!」


紬「ええ、みんな元気でね。今日は楽しかったわ」ニコ


ことり「持ち物とか集合時間は決まり次第メールするね!」


澪「うん、わかった。 楽しみにしてるよ、メインイベント」


海未「またお話聞かせてくださいね、澪先輩!」


凛「ごちそうさまでしたー、律せんぱーい!♪」


律「あいつ、嫌味か……」


真姫「あなたがそう思うならそうなんじゃない? またね」


律「おう、またな!」


花陽「皆さんお元気でー!」


唯「花陽ちゃんもねー!」


梓「穂乃果ー! 頑張ろー!!」


穂乃果「うんー!! 梓ちゃんもー!!」




合宿まであと――!?




学校。




梓「……」カリカリ


純「おはよ梓!」


梓「んー」


純「難しい顔して何してるの?」


憂「スクールアイドルの子達と合宿いくらしいよ?」


純「アイドル!? 梓アイドルと友達なの!?」


梓「そうだよー。ちょっと違うけど」カリカリ


純「……結局どっちなのそれ。それで、栞でも作ってるの?」


梓「そんな感じ」カリカリ


憂「頑張るねー、梓ちゃん。これから小テストだけど大丈夫?」


梓「ちゃんと予習してきたよ!」


純「やば……なんもしてないや」


純「あ、そうだ梓! お土産買ってきてよお土産!」


梓「お土産? ないよそんなの別荘だもん」カリカリ


純「うっわ、そのセリフ言ってみたいなぁ……」




――




海未「とりあえずこんなところでしょう」


穂乃果「……練習時間多くない?」


海未「そうですか?」


ことり「ちょっと多いんじゃないかな……?」


海未「もう少し遊ぶ時間を増やせ、と言いたいのですか?」


穂乃果「親睦を深める時間だよ! 合同だよ!? 特別なんだよ!?」


穂乃果「それに……」


ことり「それに?」


穂乃果「……なんでもない」


ことり「?」


海未「……確かに、もう少し減らしても良さそうですね」カリカリ


ことり「あ、やったよ穂乃果ちゃん! 練習時間が減ったー!♪」


穂乃果「おお!! このまま全部なくなっちゃえー!!」


海未「穂乃果」


穂乃果「あっ……なんでも、ないです」


海未「全く。二人にはとても任せておけません」




――




放課後――




梓「こんな感じかな」


梓「ふぅ。首痛い」


澪「お、やってるな?」ガチャ


梓「澪先輩! お疲れ様です!」


律「よー梓! 頑張ってるな! まあとりあえずお茶しよう!」


梓「お茶ですか? 練習は?」


律「もちろん!! 三時間くらいお茶したらやるぞ!!」


梓「そんなにお茶してたら練習する時間なくなります」


律「てへ✩」


唯「とりあえずお茶しよ? ねーおねがーい!」


梓「もう……5分だけですよ?」


唯「少な!!」


紬「じゃあお茶淹れるね~」


澪「言っておくけど今日からめちゃくちゃ練習するからな」


律「はいはい。ぼちぼち行こうぜー」


澪「そんなんだと負けるぞ! 絵里たちに! いいのか!?」


律「わ、わかったわかった……やるから、ぼちぼち」




――




「穂乃果、もう行きますよ?」


「あと少しだけ……! お願い!」


「生徒会の仕事も練習もあるのですよ? いい加減に……」


「まあまあ海未ちゃん。あと少しだけ、ね?」


凛・真姫「……」ジーッ


花陽「忙しそうだね」


凛・真姫「……」ジーッ


花陽「も、もう行かない? 邪魔したら悪いと思う……」


凛「そうだね。先に練習行ってよっか」


真姫「……」ジーッ


花陽「真姫ちゃん? 行くよ?」ポンポン


真姫「……あ、うん」


凛「はぁ……結局あのイベントについてはわからず終いだったにゃー」


花陽「今は対決のことだけ考えようよ! 今日も練習頑張ろ!」




――




澪「ダメだこんなんじゃ! どうしたんだよ唯も律も!」


唯「だってケーキ食べてないもん」


律「お茶したい」


澪「お前らなあ……」


梓「あの、私は用事があるのでこの辺で……」


唯・律「!!」


律「おう!!こっちは私に任せとけ!! みっちりいくぞ!!」


梓「はい! では、お先に失礼します!」ガチャ


唯「いってらっしゃーい!」ニコニコ


律「よし、放課後ティータイムの時間だ!!」


唯「やっと、やっとだね!! りっちゃん!!」キラキラ


紬「お茶なら淹れてあげませんよ!」


律「えっ」


澪「このまま練習だ。みっちりいくんだろ?」ニコ


律「……」


唯「死にたい」


紬「頑張ったら私の分もケーキ食べていいわよ~」ニコニコ


唯「頑張るぞー!!」


律「おー!!」




――




にこ「はぁ? 用事? 練習すっぽかしてまでやることなの?」


穂乃果「お願い! この通り!」バッ


にこ「……まあいいけど。今日だけ特別」


穂乃果「ほ、ほんと!?」


にこ「その代わり、今日の分は明日の練習で必ず取り返してもらうわよ! いいわね!」


穂乃果「もちろんだよ!! ありがと、にこちゃん! 穂乃果たち行ってくる!」ガチャ


にこ「……さてと」


にこ「あんな、のほほーんとした連中に負けてらんないわよ!!」


にこ「行くわよ掛け声!! さん、はい!!」


凛・にこ「打倒、放課後ティータイム!!」


にこ「もっと!!」


凛・にこ「打倒、放課後ティータイムー!!!」


にこ「あんたたちも一緒に!!」


絵里「もういいからそれ……」




――




穂乃果「ごめんごめーん! 遅くなっちゃった!」


梓「やっときた。何かあったのかと思って心配したよ」


穂乃果「にこちゃんが『練習すっぽかしてまでやることなの?』とか説教してくるんだもん!」


海未「当然では? 部長として」


梓(うちの部長からは一生聞けないようなセリフだ……)


梓「あ、そうそう。作ってきたよ、日程表!」


ことり「じゃあ私たちのと照らし合わせて調整して、持ち物チェックして……」


穂乃果「今日で栞完成までもっていきたいね!」


海未「そうですね。皆さんにメールもしなくてはいけませんし」


梓「四日もあるんだし、そんなに急がなくても……」


穂乃果「ダメだよ! 練習に専念しなくちゃいけないんだから!」


梓(唯先輩からも一生聞けないようなセリフだ……)



――




その夜。穂むら。




雪穂「お姉ちゃーん。お風呂沸いたけどー」


「なんとか一日で終わったね! 海未ちゃんメールまだかな?」


雪穂「誰かと話してるのかな?」


「みんなやる気満々だよ! 今日の練習すごかったんだよ!?」


「打倒、放課後ティータイムーとか言ってさー!」


「え、軽音部っていつもそんな感じなの?」


「そっか! じゃあ私たちももっと頑張らなくちゃね!」


雪穂「……張り切っちゃって」


ガラッ


雪穂「あっ」


穂乃果「うわびっくりした!! こんなところで何してるの!?」


雪穂「お風呂先入っちゃうからねー!」


穂乃果「あ、ちょっとずるいよ! 穂乃果が先だよ!」


雪穂「楽しんできなよー、合宿!」


穂乃果「……うん、ありがと! ってお風呂は譲らないよ!?」




――




平沢宅――




コンコン


憂「お姉ちゃん? 入るよー?」ガチャ


唯「……」ジャカジャカ


憂「今日はずっとギー太だね。お風呂、早く入らないとぬるくなっちゃうよ?」


唯「……ねえ、憂。メインイベントってなんだろう」


憂「なんの話?」


唯「μ’sと放課後ティータイム、私たちにしか出来ないことって何かな!?」


憂「うーん……遊ぶこと?」


唯「違うよー。そんなのいつだってできるもん」


憂「そうかなぁ? じゃあ私にはわからないや」


唯「そっかぁ……」ジャカジャカ


憂「お風呂早く入っちゃってねー」バタン


唯「は~い」


唯「はぁ……気になるなー」ゴロッ


prrr! prrr!


唯「あ!! メールだ!! これはもしかして……♪」ニヤニヤ




――




綾瀬宅――




亜里沙「お姉ちゃん、お勉強中?」ガチャ


絵里「……亜里沙、どうしたの?」


亜里沙「お姉ちゃんの携帯ずっと鳴ってたから……」


絵里「良いのよ。めんどくさいから無視してるの」カリカリ


亜里沙「え、どうして? 喧嘩しちゃったの……?」


絵里「ううん。律がどうでもいいメールたくさん送りつけてくるから」カリカリ


亜里沙「なんだぁ! 亜里沙それ見たいな! 見ていい?」


絵里「いいわよー」カリカリ


亜里沙「どんなメールかなぁ」ピッ カチッ


絵里「……」カリカリ


亜里沙「ぷふっ……!」


絵里「……」カリカリ


亜里沙「ぷっ、あはは!」ニコニコ


絵里(そんなに面白いかしら……)


prrr! prrr!


亜里沙「あ、またメール来たよ!」


絵里「また? しつこいわね律も」


亜里沙「これ……海未さんからだよ!?」


絵里「本当? ちょっと私にも見せて」




――




田井中宅――




律「……」ドコドコ


「姉ちゃんうっさい!!」


律「……」ピタッ


律「だああああ!! 退屈だあああああ!!」


律「なんだよどいつもこいつも勉強ばっかりじゃねーか!!」


律「はぁ……にこは私たちの味方だと思ってたのにさぁ」


prrr! prrr!


律「メールだ! 絵里か!? にこか!? それとも希か!?」カチッ


律「って海未かよ!! え、海未? なんのメールだ?」


聡「姉ちゃん……まじでうるさい」ガチャ


律「おー聡、ついでにお茶取ってきてくんない?」ピッピッ


聡「知らねーよ自分で取りいけよ」バタン


律「なに怒ってんだよ……ん?」カチカチ


律「おお、持ち物決まったのか! 仕事はえーな!」ピッ


律「どれどれー?」カチカチ




――




各自宅――




唯「朝7時に音ノ桜駅……って早くない!? 起きれるかな」


花陽「着替えとバスタオルと歯ブラシと……ふむふむ」


凛「あと筆記用具とー……遊び道具!? なに持っていこう!?」


紬「各自必要なもの……私たちでいう楽器のことかな?」


真姫「……なんで水着? これ本当に海未が決めたの?」


絵里「なにこれ。懐中電灯なんて何に使うのよ」


希「穂乃果ちゃんしっかり爪痕残してるやん」


にこ「雲行きが怪しくなってきたわね……」


澪「大丈夫なんだろうな合宿……」


律「持ち物はこれで全部か。ん、でもまだ続きあるな」ピッ


律「……え」


11人「遅刻した人には罰ゲーム!?」


穂乃果「……」


唯「……な、なんだって!?」




――




矢澤宅――




にこ「罰ゲームねえ。まあ私には関係ないか」


prrr! prrr! prrrrrrrrrrrrrrrrrrrr…


にこ「早速メールきたし……」ピッ


《受信メール:11件》


にこ「この一瞬で11件って何事よ……」ピッ カチカチカチ…


律『私への当てつけか!! 絶対遅刻しないからな!!』


唯『憂がいるから絶対寝坊しないもんねーヽ(`Д´)ノ』


穂乃果『こんなルール穂乃果聞いてないよ!? どういうこと!?』


にこ「いかにもな奴らが釣れてる……」ピッ


凛『みんな何持ってくー!? 凛はトランプ持ってくよ!\(◎o◎)/』


にこ「……」ピッ


花陽『美味しいお米があるから持っていくね!』


にこ「かさばるだろ」ピッ


真姫『水着なんて必要なの?』


絵里『懐中電灯って何に使うの?』


澪『ちゃんと練習するんだよな?』


にこ「さすが、気になってたこと全部聞いてくれてるじゃない!」ピッ


希『おつかれさん♪ 合宿楽しもうなー♪』


にこ「……ふっつーのメールね」ピッ


紬『じゃあ私遅刻していくね』


にこ「紬になにがあったの!?」


海未『何を考えているのですか紬いけません怒りますよ』


にこ「返信はや!! こわっ!!」


prrr! prrr! prrrrrrrrrrrrrrrr…


にこ「また大量のメールが……!!」


にこ「もういいや」ポイッ




――




翌朝。




にこ「はい、手を合わせて?」


虎太郎「こー」


にこ「上手よ! はいじゃあ、いただききます!」


こころ・ここあ「いただきまーす!」


虎太郎「いただーきまーう」


ここあ「今日も美味しいねー!」モグモグ


にこ「当然でしょー? 私を誰だと思ってるの!」


虎太郎「みゅーずー」


にこ「そうよー! じゃあママ、私学校行ってくるから!」


にこママ「いつもありがとうね。いってらっしゃい」ニッコリ


こころ「お姉さま、いってらっしゃいませ!」


にこ「うん! いってきまーす!」ガチャ


にこ「あ、そういえば」スッ


にこ「昨日のメールどうなったのかしら」カチカチ


《受信メール:99件》


にこ「ってカンスト!!? どんだけメールしてんのよ!!?」




――




そして合宿前日。




穂乃果「えーもうちょっと話そうよー!」


海未『ダメです。言ったはずですよ、遅刻したら罰ゲームだと』


穂乃果「ぶー! 海未ちゃんのケチ!」


海未『穂乃果のために言っているのでしょう』


梓『ふふふ、やっぱりそっくりだ』


穂乃果「ん? なにが?」


ことり『穂乃果ちゃんと唯ちゃんに決まってるじゃん!』


梓『うん。澪先輩と唯先輩はいつもそんなやり取りしてるから』


穂乃果「穂乃果ってあんな感じなんだ……」


海未『そうですよね! 澪先輩は逆さから読むと“おみ”ですもんね!』


ことり『それ何か関係ある?』


海未『一字違いですよ! 一字違い!』


ことり『そうだね。じゃあそろそろ寝よっか~』


穂乃果「はーい。じゃあ切るよー」


海未『切るのですか? 切るのですね?』


梓『おみちゃんおやすみー』


海未『おやすみなさい! え、おみ? 今おmプツッ――ツー、ツー


穂乃果「……アラームセット完了! 忘れ物なし!」


穂乃果「よし! じゃあ寝よう! おやすみ!!」ゴロッ




――




合宿!!




音ノ桜駅周辺――。




真姫(ちょっと早く来すぎちゃったか)


真姫(誰もいないし、暇ね……)ピッ カチカチ


ガサガサ


真姫「?」


紬「……」ガサガサ


真姫「紬? 何してるの?」


紬「!? なんでわかったの!?」


真姫「そんなところに隠れてたらすぐわかるわよ」


紬「じゃあどこに隠れたらいいのよ!!」


真姫「知らないわよ」


紬「……」シュン


真姫「紬ってかくれんぼとかやったこと無いでしょ?」


紬「な、な……なくないもん!!」


真姫「はいはい、無いのね」


紬「こうなったらヤケよ!! 真姫ちゃん巻き添えの巻!!」ガッ


真姫「ヴェエ!?」




――




数十分後――。




prrr! prrr! prrr! prrr!


海未「……」ピッ


海未「穂乃果から、もうすぐ着くとの連絡がありました」


澪「……唯ももうすぐ着くって」ピッ


希「この感じなら二人とも遅刻はなさそうやん!」


律「μ’sと放課後ティータイムの誇りを賭けた戦いが、今!! 始まろうとしている!!」


凛「勝敗は二人の足の速さに委ねられた……にゃ!」


ことり「ダメだよ! それじゃあ個人戦だよ!」


にこ「はぁ……」ピッ


海未「連絡は取れました?」


にこ「全然ダメ。電話も出ないし、メールの返信もないわ」


花陽「真姫ちゃん……。何かあったのかな……」


律「バカやろう!! 事の始まりはあいつらだ!! あいつらに全てが委ねられてるんだよ!!」


にこ「真姫……どうして連絡よこさないのよ……」


梓「温度差がすごい」




――




唯「おはよ~みんな!」


穂乃果「お待たせ! みんな早いね~!」


律「なんだお前ら一緒に居たのかよ」


凛「これじゃあせっかくの勝負が台無しにゃ」


希「運命は私たちの対決に勝敗を委ねたんや。スピリチュアルやね」


穂乃果「ん? なんの話?」


ことり「気にしないで! 穂乃果ちゃんも唯ちゃんも、今日は早く来て偉いよ!」


唯・穂乃果「えへへ~」デレデレ


澪「これからもこの調子でな」ニコ


唯「そんなことより、今日は合宿だよ!!」


穂乃果「そうだったね!! みんな準備はできてる!?」


10人「……」シーン


唯「あ、もしや誰か忘れ物したね?」


絵里「そんな訳ないでしょ。まだ全員集まってないのよ」


穂乃果「え? そうなの?」




――




穂乃果「二人共こないね……」


海未「そろそろ7時になってしまうのですが……」


絵里「来ないどころか連絡もなし。嫌な予感がするわ」


穂乃果「絶対おかしいよね。真姫ちゃんがこんなに遅いなんて」


prrr! prrr!


にこ「もしもし、真姫!? あんた今どこで何して……!!」


穂乃果「おお、噂の力ってすごい……」


にこ「ちょっ、なによそれ? 何言ってんの……?」


穂乃果「? にこちゃんどうしたの?」


にこ「冗談でしょ? 冗談よね? もしもし真姫? 聞いてるの?」


絵里「ちょっとにこ? 真姫はなんて言ってるの?」


にこ「……」


花陽「にこちゃん……?」


にこ「私にはよくわからないけど、真姫が言っていたことをありのまま話すわ」


にこ「真姫はこれから死ぬらしいの」


10人「!?」


澪「なんだこの展開」




――




「ちょっとにこ!! 真姫はどこにいるのよ!!」


「知らないわよすぐ切られちゃったんだから!!」


「ダメだよ真姫ちゃん!! 私そんなの嫌だよぉ!!」


「落ち着けお前ら!! 私たちも一緒に死んで、あの世で合宿の続きをしよう!!」


「お前が落ち着け!!」


真姫「やりすぎな気もしてきたけど、混乱させることには成功みたいよ」


紬「真姫ちゃんは愛されているのね~!」


真姫「悠長なこと言ってる場合じゃないわ。澪は何かに感づいてる」


紬「さすがね、澪ちゃん……! じゃあ私、行ってくるから!」


真姫「ええ! 必ず成功させるのよ、ムギ!」




――




紬「みんな、遅れてごめんね」


海未「紬……。遅刻はあれほど……」


絵里「そんなことどうでもいいでしょ。無事で良かったわ、紬」


海未「そう……ですね。無事で良かったです、本当に」


澪「お前らって優しいけどほんとバカ」


紬「そういえば真姫ちゃんがね」ゴソゴソ


海未「? なぜ真姫のことを……?」


紬「これ、みんなに渡してくれって」スッ


にこ「真姫……」グスッ


律「なるほど。共犯か」


梓「そんなことだと思いました」


海未「……状況が見えてきました。その手紙、私から読ませてください」


唯「巻きでお願いします。真姫だけに」


にこ「さっきから何言ってるのよ!! こんな時にふざけないで!!」




――




海未「……なにが書いてあるかと思えば」イラッ


にこ「なにがドッキリ大成功よ!! 可愛い字ね!! 永久保存してやるんだから!!」


真姫「気持ち悪い」


花陽「真姫ちゃん!? 心配させないでよもう!」


にこ「あんたね!! ドッキリにもさじ加減ってものがあるでしょ!!」


真姫「ふふふ。びっくりした?」


にこ「うるさい。あんたもう女優にでもなればいいわ」


律「っていうかこいつマジ泣きしてたよなー!! あれは笑いこらえるの大変だったわー!!」アハハ


にこ「あんたまじでいつか殺」


紬「この感じだと、引っかかったのはμ’sのみんなだけね……」


律「私たちはムギの奇行を何度も見てるからな! これくらい察しがつくんだぜ!」


澪「ああ。大成功とは言えないな」


絵里「そんなことより、二人には言いたいことがたくさんあるわ」


海未「いえ、説教はあとにしてそろそろ駅に向かいましょう。時間が押しています」


絵里「……そうね。覚えてなさい」


凛「真姫ちゃんが説教だってー! 面白そー!」


紬「ビデオカメラ持ってきてあるの~♪」


にこ「あんたも怒られる側よ!!」


紬「絵里ちゃんと海未ちゃんなら喜んで!!」


真姫「気持ち悪い」




――




≪前回のラブライブ!≫


偶然出会ったμ’sと放課後ティータイム!

意気投合したかと思えば、にこちゃんが放課後ティータイムに対決を申し出た!?

一週間の練習を経て、ついに対決を迎えr


律「なーにが前回のラブライブだ!! 私たちが主役だこのやろー!!」


澪「やめとけ。お前消されるぞ」


律「あっ」


海未「なるほど、ミイラに噛まれて、ウイルスが伝染して、というわけですね」


梓「え? なんの話?」


絵里「どんな理由であれ、遅刻したことは反省すること。みんなに迷惑かけたんだから。わかった?」


紬・真姫「ごめんなさい」


絵里「ドッキリだってそう。もっと可愛い嘘をつきなさいよ」


希「これも一興だと思えばええやん! うちは面白かったよ、可愛いにこっちが見れたし!」


にこ「もうその話しないで」


律「さあ、一興と言えば!! やってまいりました罰ゲームのコーナーでーす!!」


海未「相当屈辱的な罰ゲームにしないといけませんね。覚悟してください」


真姫「……まあ、こうなるわよね」


紬「ドンとこーい!!」


律「どんな罰ゲームにしようかなー!! 焼きそばパン買ってこさせるとか、お嬢様には効くのかなー!!」


にこ「地味過ぎるわよ!! もっと、死にたくなるくらいの屈辱を……!!」


澪「めちゃくちゃ根に持ってるな……」




――




海未「ここからは一本で行けるんですよね?」


紬「ええ! あとクロスシートだからグループ分けした方がいいかも!」


律「じゃああれやろ、あれ! グッチョッパー! これにスリーピース足したバージョン!」


穂乃果「そういうことならこれにしようよ!」


律「……なんだそれ? エル?」


穂乃果「ラブライブのLだよ!!」フンス


海未「なるほど! それはいいですね!」


律「ラブライブ? なにそれ?」


にこ「ついに話す時が来たようね! ラブライブっていうのは――そう、あれは二年前」


律「とりあえず、グッチョッパーをしよう」


唯「っていうかエルが加わったらグッチョッパーじゃないよね?」


ことり「グッチョッペルになるんじゃないかな?」


律「まあなんでもいい!! じゃあ、やるぞ!! グッチョッp」


にこ「あんたたち、わかってると思うけどエルを出していいのは私だけよ!!」


穂乃果・ことり・凛・花陽・希「えーっ!!」


律「いやお前らさ、みんな同じの出したら決まらないからな? そこんとこわかってる?」


澪「あの、電車来たんだけど……」




――




律「ったく、お前らのせいで全然決まらなかったじゃねーか!」


凛「まあいいじゃん! あずにゃんと同じ席になれたんだし!」ギューッ


律「それお前しか良くないだろ」


梓「私と同じ席は嫌みたいな言い方ですね」


律「いやそんなこと言ってなくね?」


凛「あずにゃんにゃんにゃん♪ あずにゃんにゃんにゃん♪」スリスリ


律「あ、その歌! 唯がよく口ずさんでるやつだ!」


梓「ふふ、思考回路が似てるんでしょうね」ナデナデ


海未「これ栞です。日程など書いてあるので、目を通しておいて下さいね」スッ


梓「ありがと海未! 読ませておくね!」


律「ほう、これが栞か。どれどれ?」ペラ


凛「トランプ持ってきたんだー! あずにゃんもやろうよー!」


梓「いいけど、栞読んでからね」


凛「えー。もう、しょうがないなぁ」


梓「ふふふ、聞き分けが良くてよろしい」ナデナデ


凛「えへへー」ニコニコ


律「ん……? これメインイベントどうなってんの?」




――




真姫「……」ペラペラ


唯「むぅ……」ペラペラ


穂乃果「ど、どうかな? やっぱり少ないかな?」


唯「ダメだね。全然ダメ、少なすぎ」パタッ


真姫「確かに。ちょっと少ないかも」パタッ


穂乃果「そっかぁ……」


真姫「私は構わないけど、にこちゃんや絵里が納得するかどうか、ね」


唯「こんなの許されないよ。うちのりっちゃんが黙ってないよ」


穂乃果「でもほら、みんなこの一週間頑張ったでしょ? その息抜きじゃないけどさ……」


唯「だったらもっと遊ぶ時間増やすべきだよ!!」


穂乃果「……え?」


真姫「今、練習時間が少ないって話をしてたんじゃないの?」


穂乃果「そのはずだけど……」


唯「私は遊ぶ時間が少ないって話をしてるんだよ!!」


真姫「もうあんたは一人で遊んでれば?」


唯「その手があった!! 真姫ちゃん賢い!!」


穂乃果「ゆ、唯ちゃん……」




――




絵里「……」ペラペラ


ことり「ど、どうかな、絵里ちゃん?」


絵里「……良いんじゃないかしら」


ことり「ほ、本当!? 練習少なくないかな!?」


絵里「海未が決めたんだもの、何か考えがあるんでしょ?」


ことり「え、あ、うん! そうだと思う!」


紬「良かったわね~ことりちゃん♪」


絵里「練習は良いんだけど……ただ、一つだけ全く意図の読めない項目があるの」


ことり「え!? な、なに!?」


絵里「この持ち物欄にある懐中電灯って、これなに? なにに使うの?」


紬「そんなの決まってるじゃない?」


絵里「わかるの? なに?」


花陽「い、今は知らない方が良いかも……!」


ことり「合宿楽しもーう! あ、あはは~!」


絵里「……」


絵里(この胸騒ぎはなに)




――




海未「ふぅ……」


希「配り終えた? お疲れさま!」ポン


澪「栞、見ておいたよ」


海未「どうでしょうか? 練習時間など、気になる点があれば言ってください」


澪「安心したよ。練習時間もしっかり設けてあるし、良い合宿になりそうだ」


海未「それなら良かったです! 練習時間は結構削ってしまったので、少し不安でした」


澪「これで削った方なんだ……。そうなんだ……」


希「うちは一つだけ気になることがあるんやけど、ええかな?」


海未「はい、なんでしょう?」


希「一日目に対決があるのは良いとして、メインイベントに触れてないのはなんでなん?」


海未「やはりそこに気付きましたか……」


澪「どういうことなの?」


海未「現状では発表するべきではないと判断しました。今のにこでは内容に納得してもらえないと思い……」


澪「……ああ、察したよ。そういうことか」


海未「わ、私はずっと楽しみにしていたんですよ!? 澪先輩の演奏……!」


澪「いや、こればっかりは仕方ない。私たちが悪い」


希「なるほど、そういうこと……」




――




にこ「肝心なメインイベントについての記載はなし……これはどういうことよ?」ペラペラ


にこ「……練習も少な目ね。これもどういうことなのかしら」ペラペラ


にこ「ラブライブまで期間があるとはいえ、弛んでるわ」ペラペラ


にこ「っていうかなんで私だけ一人なの?」


にこ「まあ、一人の方が静かで良いか……」パタッ


「誰からも返答がないのってこんなに寂しいものなのね」


「エルを出していいのは私だけ、なんて。変な意地を張るんじゃなかった」


にこ「何してんの?」


律「素直になれないにこの心を代弁してみたニコ」


にこ「思ってないから。あとその口調うざいわよ」


律「次の駅で降りるらしいから、降りる準備しとけよー」


にこ「あっそう。わかったわ、準備しておく」


にこ「……それだけか」


律「やっぱ寂しいんじゃーん!! 意外と可愛いとこあるなぁ、お前もー!!」ツンツン


にこ「な、なによ急に!! どっか行って!!」


律「連れないこと言うなって!! 部長同士、音楽について熱く語ろうぜ!!」グイグイ


にこ「私の専門分野はアイドルよ!!」




――




紬「ここから少し歩けば着くわ♪ みんな頑張って♪」


律「大荷物持ってるわけでもあるまいし……」


花陽「誰か、助けて……」ドサッ


律「おい大丈夫か!? 何があった!?」


にこ「まさか、あんた本当にお米持ってきたの!?」


花陽「5キロ……だよ……」バタッ


律「くそ……! ここに大荷物がいたか……!!」


にこ「かさばるってあれだけ……言ってないのか。仕損じた」


唯「いいこと考えたよ! お米を小分けにして、みんなで持っていけばいいんだよ!」


海未「手間が掛かりすぎます。バカですか」


唯「バカって言われた!!」


凛「よーし、凛も持つよ! これで少しは……って重っ!!」


梓「私も持つ! これで随分軽く……って重っ!!」


唯「よーし、私も持つよ!! これでクォーターだね!!」


真姫「あんたがそこに居たら歩けないでしょ。バカなの?」


律「バカが英単語なんて使ってもバカに見えるだけだぞ」


唯「またバカって言われた!!」


紬「仕方ないわね……。私が持ってあげる♪」ヒョイ


花陽・凛「!?」


梓「その手があったか……」


花陽「ムギちゃんすごい……!!」




――




穂乃果「おお!! おっきい~!!」


ことり「やっと着いたね~!」ニコニコ


凛「真姫ちゃんの別荘よりおっきいよ!!」


海未「とりあえず荷物を置きに行きましょう。それかr」


律「まず海で遊ばないとな!!」


海未「私を弄ぶと言うのですか!?」


律「は?」


海未「え?」


穂乃果「最初は海じゃなくて練習だよ! 栞に書いて書いてあったでしょ!」


律「私たちは準備運動も兼ねて、海で遊んでからから練習を開始するんだ」


にこ「もう少しマシな嘘つけないの?」


律「うるせえ!! 私は何がなんでも海に入るからな!! 邪魔すんなよ!!」


澪「もういいから荷物置きに行くぞ」グイッ


律「あーん澪ちゃん乱暴ー」ズリズリ




――




凛「わぁ~ベッドが大きいよー!!」ニコニコ


真姫「どうでもいいでしょ。どうせまたベッドで寝ないんだから」


凛「真姫ちゃんはなにもわかってないにゃー……」


花陽「ふぅ……なんかもう疲れちゃったよ」


真姫「……大丈夫? これから練習よ?」


花陽「大丈夫! みんなが荷物持ってくれたから!」


凛「ムギちゃんに感謝しなきゃだね!」


花陽「凛ちゃんもだよ! 梓ちゃんも唯ちゃんも!」


凛「凛は一瞬しか持ってないにゃー……」


真姫「着替えて早く行くわよ。みんな待ってるわ」


凛・花陽「はーい!」




――




海未「皆さん集まったみたいですね」


海未「では、まず日程の確認をします。皆さん栞には目を通しましたか?」


唯「その前に海はー?」


海未「海未は私ですが?」


唯「そうじゃなくて、海! シー! 大海原!! 海水浴!!」


海未「遊ぶ時間はたくさん取ってありますから、今は我慢してください」


唯「ケチ!!」


海未「子供ですか……」


澪「子供なんだ……。続けてくれ」


海未「仕切り直します。栞にある通り、最初の3時間は各自練習、その後……」


律「ってか海は?」


海未「はい、何か?」


律「いやお前じゃねーんだよなぁ!! わかんねーもんかなぁ!! イントネーションとか話の流れ的n」


にこ「うっさあああああああああああああい!!!」


にこ「あんたらのせいで全然話進まないんだけど!! 少しは黙ってなさいよ!!」グイッ


律「文句あんのはこっちだぁ!! なんなんだこの運動部みたいなノリはよォ!!」グイッ


にこ「アイドルは運動部同然のトレーニングもこなすのよ!! アイドルなめんなァ!!」


律「知らねーよ私たちは軽音部なんだよ!! 運動なんてしないんだよ遊びたいんだよ!!」


にこ「話になんないわね……!!」


律「それはお前だこのチンチクリン……!!」


希「はいはい、そこまで。海未ちゃん困ってるやろ」


にこ・律「ちっ。覚えとけ」




――




にこ「海未、バカにも伝わるように、砕いて簡潔に説明してあげなさい」


海未「……今から行う練習は対決前の最後の練習です。この意味がわかりますね?」


律「いやわかるわい!!」


唯「どういうこと?」


律「この練習が終わったら、あとはずーっと遊んでて良いんだってー!!」


海未「……この際そう解釈してもらって構いません。もう嫌です疲れました」


穂乃果「海未ちゃんが根負けした!?」


梓「本当ごめん、うるさくて……」


凛「あずにゃんは悪くないよ」ポンポン


花陽「うん! そうだよ!」


梓「ふふ、ありがと」


唯「はっ! あずにゃんが後輩二人といい感じの空気に!」


梓「じゃあこの辺にして、そろそろ練習始めよっか!」


海未「そうですね! 梓たちには梓たちのペースがあると思いますので、ペース配分は梓にお任せします!」


律「それは部長の私に任せてもらおう!!」


絵里「無理ね。律には務まらないわ」


律「あれ。なんか絵里が冷たい」




――




律「なんだよー、一週間も練習したのにまだやんのかよー」ポスッ ポスッ


唯「音楽というのは!! がむしゃらにやれば良いというものではない!!」ジャーン


澪「練習をがむしゃらにこなして実るものもある。バカが音楽を語るな」


唯「ねえりっちゃん。私って、バカなのかな」


律「気にするな、お前は類稀な天性のバカだ。百人いたら百人そう言う」


唯「もうやだ。もう何もしない」


梓「しっかりしてくださいよ……。今やらなければケーキも、遊ぶことだって……」


唯「もうその手には乗らないもーん!! ケーキ奪って亡命してやる!!」


梓「はぁ……。そんなんだからバカって言われるんですよ……」


唯「もうやめてよ!! バカって言ったほうがバカなんだよ!!」


澪「お前らさ。メインイベントのこと、覚えてる?」


紬「……そういえば栞に書いてなかったわね」


律「そうそう。あれってどういうことなんだ?」




――




花陽「はっ、はっ……」


海未「花陽、ペースが落ちています」


花陽「う、うん……! ごめんなさい……!」


ことり「荷物重かったんだもんね! 仕方ないよね!」


海未「そんなの言い訳になりませんよ」


穂乃果「出た!! 悪代官だ!!」


希「鬼教官や」


凛「あずにゃんも今頃練習してるのかなぁ! なんか嬉しいなぁ!」


にこ「どうかしらね。音も聞こえてこないし、サボってんじゃない?」


凛「あずにゃんはそんなことしないよ!!」


海未「そうです。悪いのは主に唯と律です」


にこ「もう一人危ういのがいると思うけど……」


真姫「感覚が少しずれてるだけで、根は真面目で頑張り屋。ムギはそういう人よ」


にこ「……なによ大して知りもしないくせに」




――




澪「このままだとメインイベントは出来ず終いなんだ。なんでかわかるか?」


唯「え、えと……穂乃果ちゃんが投げた」


梓「穂乃果はそんな適当なことしません」


澪「つまりは、部長のにこが私たちのことを認めてないんだよ」


紬「それで伏せてあったのね……」


律「なめられてるって訳か!! あんなふざけた奴に!!」


梓「にこ先輩はふざけた人じゃありません! 律先輩より立派に部長をやってますよ! 練習だって!」


律「わ、私だってたまには練習してるじゃん!? え、してるよね!?」


梓「律先輩は遊ぶことを優先しすぎです!! 部長がこうだから半端な集団だと思われるんです!!」


律「はい。ごめんなさい」


梓「私は悔しいんですよ……! 本当は良い演奏が出来る皆さんを、認めてもらえないことが……!」


律「梓……」


澪「もうわかっただろ。にこに思い知らせてやるんだ、ただ遊んでるだけじゃないってことを。梓のためにもな」


律「よしわかった!! あのチンチクリンをギャフンと言わせてやる!!」


唯「うん!! 私たちならできるよ!! あずにゃんが認めてくれたバンドだもん!!」


紬「そうと決まれば練習ね♪」


澪「その意気だ! やるぞ梓!」


梓「皆さん……! はい!」




――




穂乃果「はっ、はっ……」


ジャーン ドコドコ ベンベン ピロポロ


穂乃果「あ! 音が聞こえるよ!!」


真姫「練習始めたみたいね」


花陽「なんか良いね~」


凛「合同だね~」


海未「気が緩んでますよ」


絵里「いいじゃない少しくらい。こんな機会なかなか無いんだから」


希「どんな演奏するんやろなぁ! うちワクワクしてきた!」


にこ「どーせ大したことないわよ」


穂乃果「そんなことないよ! みんなライブの時はすごいんだよ!」


絵里「見たことあるみたいな言い方ね?」


穂乃果「ないよ! 梓ちゃんがそう言ってたー!」


にこ「ないのね……」


絵里「なんにせよ油断は禁物! みんなわかってるわね!」


にこ「……当然! あいつらがどれだけ半端だろうが、手を抜く理由にはならないわ!」




――




梓「……すごいです!! やれば出来るじゃないですか!!」


澪「ああ! この調子なら本番も大丈夫だな!」


唯「ああ……疲れた」グッタリ


律「あーやばい、力入れすぎたわ。もうダメ」ベターン


梓「お疲れ様です! 少し休憩を挟みましょう!」


紬「お茶にする?♪」


律・唯「するするー!!」


梓「そ、それは……! 穂乃果たちはまだ練習していますし……!」


紬「あ、そっか。そうよね! じゃあお茶はあとn」


律「思い出せよ。海未に言われただろ、私たちのペースでやれって」


梓「そ、そうですけど……」


律「無理に足並みを揃える必要はないんだ。これが私たちなんだよ」


澪「お茶したいだけだろ?」


律「だってしたいじゃーん!! アレがないと頑張れないじゃーん!!」


澪「お前もう末期症状だな……」


梓「……わかりました。お茶にしましょうか」


律・唯「わーい!! やったー!!」




――




海未「そろそろ11時半になります」


ことり「あと少しでお昼ご飯だねー!」


穂乃果「もうお腹ペコペコだよ~」


絵里「じゃあ、最後に振り付けの確認をしましょう!」


にこ「3セット休憩なしで行くわよ! 万全の状態で対決に挑むわ!」


穂乃果「よし! 燃えてきた!」


真姫「……」


穂乃果「真姫ちゃん? どうかした?」


真姫「さっきから音がしないなと思って……」


海未「そういえばそうですね。もう演奏しないのでしょうか?」


にこ「どうでもいいわよそんなこと! さっさと配置につきなさい!」


凛「凛もっと聴きたかったなぁ」


花陽「対決の時にまた聴けるよ!」


凛「そうだね! 楽しみだにゃー!」


にこ「弛んでるわよあんたたち!! 雑念は捨てなさい!!」




――




唯「あ~幸せ~」ニコニコ


律「ずっと、こうしていたい」


澪「本当にこれで良かったのか?」


梓「はい。律先輩に言われて、少し考えを改めました」


梓「この緩さが私たちであって、ティータイムは必要な時間なんじゃないかって!」


澪「……そっか。そういうことなら私もお茶にしようかな」


紬「ふふ♪ お茶淹れるわね♪」


律「ついにこのティータイムが梓公認になったぞ! やったな!」


唯「うん! これでいつでもティータイムがでk」


梓「もちろん練習もするんですよ?」


唯・律「」


澪「いやそりゃそうだろ」ズズーッ


澪「ふぅ……やっぱりムギの淹れてくれたお茶が一番落ち着くな」


梓「はい。こうしてる皆さんを見ていると、私も落ち着きます」


コンコン ガチャ


穂乃果「お疲れー! 練習は捗って……る?」


梓「」




――




にこ「で、これはどういうつもり? 何してるの?」


律「よく聞けお前ら!! これが私たちだ!!」モグモグ


澪「……あーあ、ケーキ食べながら言っちゃった」


にこ「どうせこんなことだと思った。勝負にもならなそうね」


穂乃果「見損なったよ、梓ちゃん」


梓「ち、違うの穂乃果……! これには訳が……!」


穂乃果「梓ちゃんのバカ!! ケーキ食べるなら穂乃果も誘って欲しかった!!」


梓「そこ!?」


紬「みんなの分もあるから、良かったら一緒に食べない?」


穂乃果「本当!? 食べる~!!」ニコニコ


にこ「いや、あんた馬鹿なの?」


梓「ほ、穂乃果……」


にこ「練習サボってティータイムするなんて私たちを舐めてるわ!! これは侮辱よ!!」


紬「にこちゃんの分もあるわよ~♪」


にこ「本当!?」キラキラ


律「甘いものには逆らえない、これが女子高生のジンクスか……!!」


梓「なんかもう、どうでもいいや……」




――




9人「……」モグモグ


にこ「美味しい!! なにこれ、信じらんない!!」


絵里「病み付きになる美味しさね! ケーキも紅茶も!」


真姫「……味は確かね」


唯「でしょでしょ~! ムギちゃんが持ってきたケーキは絶品でしょ~!」ニコニコ


律「これでμ’sも私たちの仲間入りだな!」ポン


穂乃果「喜んで仲間になるよ!!」モグモグ


澪「お前らそれでいいのか……」


海未「たまにはこういった時間も良いものですね。心が安らぎます」


唯「ねえねえ、アイドルってケーキとか食べていいの?」


穂乃果・花陽「!!」


海未「ええ。その分減量すれば問題ありませんよ」


唯「減量か~! スポーツマンみたいだね~!」


穂乃果「体重なんて消えればいいのに」モグモグ


花陽「体重って人生と似てるね」モグモグ


律「アイドルだけの問題だと思うなよバカ野郎!!」モグモグ


唯「りっちゃん!?」




――




唯「じゃあそろそろお昼ごはんにしようよ!」


律「……お前あんな話題振っておいてよくもそんなことが言えるな」


唯「え? 食べないの? ケーキだけじゃ足りなくない?」


海未「……軽食くらいは取っておいた方が良いかと。このあとライブですし」


穂乃果「脳裏に体重が過る。もういやだ」


絵里「観念しなさい。食べないと力つかないわよ」


穂乃果「もうヤケだー!! 焼肉でもしゃぶしゃぶでも何でもこーい!!」


絵里「そういう意味で言ったんじゃ……」


にこ「軽食でしょ? 適任なのがあるじゃない」


律「ああ、アレか! 網の上で焼いてタレつけて食べるアレか!」


花陽「なるほど! 具を入れて握って、お供はお味噌汁のアレだね!」


凛「わかったわかった! 蓋開けてお湯入れて三分待つアレだよ!」


希「バラバラやん」




――




14「いただきまーす!」


唯「はぁ~やっぱこれだね~」モグモグ


花陽「うん! おにぎりはみんな大好きだよね!」モグモグ


律「にこの割にはアッパレな選択だと思うぜ! 日本人なら米食わなきゃな!」モグモグ


にこ「花陽がせっかくお米を持ってきてくれたからね!」モグモグ


凛「凛はかよちんのおにぎりが大好きだにゃー!!」モグモグ


澪「おにぎりか……。前の合宿でも作ったよな、覚えてるか?」


梓「もちろんです。あれももう一年以上前になるんですね」


澪「時間って尊いな……」


海未「知らない思い出話をするのはやめてください。寂しいです」


律「今もいずれ、思い出になるんだぜ」ポン


希「ノスタルジックやね」モグモグ


海未「あ、閃きました! 良い詞が書けそうな気がします!」


唯「私も閃いたよ!! 題して『おにぎりはおかず』!!」


凛「『ラーメンはうまい』とかどうかな!!」


海未「馬鹿にしてますよね?」


律「今日も平和だな」モグモグ




――




律「戦争の時間じゃああああああああああああ!!!」


絵里「まず片付けをしましょう」


律「忘れてたぜ」


にこ「じゃあ一年二年は片付け! 私たち三年はライブの準備! 良いわね!」


紬「わぁ~部活っぽ~い!」キラキラ


真姫「私洗い物やるから食器持ってきてくれる?」


花陽「わかった! 今持っていくね!」


凛「じゃあ凛はお皿拭く係ー!」


唯「えー、片付けー。なんか雑用みたいでやだー」


澪「いやお前こっちだから」


ことり「早く終わらせて、にこちゃんたちのお手伝いしないとね! 私たちもいこ!」


梓「うん! そうだね!」


海未「穂乃果!! いつまで寝てるんです!! 怒りますよ!!」


にこ「穂乃果……まあいいわ。私たちは準備に行くわよ」


唯「あいあいさー!!」




――




唯「ねえねえ~、準備って何するの~?」


にこ「大事なことを一つ決め忘れてるわ」


唯「ハッ!!」


にこ「気付いたわね! そう――」


唯「晩ご飯!!」


澪「唯は引っ込んでような」


にこ「ライブをする順番よ。まだ決めてなかったでしょ」


律「そういうことならじゃんけんで決めるぞ! じゃーんけん!!」


にこ「ちょ、いきなr」


律「ぽん!!」


にこ「くっ……! 不意打ちするとは食えないやつね……!」ギリッ


律「それじゃあ放課後ティータイムは後攻でいかせてもらうぞー!」


絵里「あら、後攻でいいの?」


律「ああ! 今ライブしたらリバースしそうだしな!」


希「女子高生らしからぬ発言やな……」




――




絵里「準備万端ね! ありがとう、手伝ってくれて!」


紬「いいのよこれくらい♪ 困った時はお互い様だもの♪」


律「先行はお前らな訳だが、意気込みはどうだ?」


にこ「勝つ!!」


律「ざんねーん!! 勝つのは私たちでーす!!」


澪「喧嘩を吹っ掛けるな」


希「準備終わったことやし、穂乃果ちゃんたち呼びに行く?」


唯「うーん、そろそろ来るんじゃないかな?」


穂乃果「こっちは片付け終わったよ!」ガチャッ


唯「ほら」


希「スピリチュアルやね……。じゃあ、もう始められそうかな?」


海未「いえ、今ことりたちが衣装を取りに行ったので、もう少し待ってください」


希「そっか! じゃあ、ことりちゃんたちが来てからやね!」




――




澪「いよいよだな」


唯「はっ、なんか私が緊張してきちゃったよ!!」


紬「ねえねえ、衣装ってどんなのかなぁ?」ワクワク


律「場合によってはさわちゃんをクビにしてことりをヘッドハンティングしよう」


「もう! 早く着替えなさいよ!」


「うっさいわね! 少しは待ちなさいよ!」


律「おい!! 客をあんまり待たせんじゃねーぞ!!」


唯「そーだそーだ!! この、うすのろ!!」


「あんたにだけは言われたくないんだけど!! あんたあとd」


「早く着替えなさい」


「覚えとけ!!」


澪「垂れ幕越しに喧嘩するなよ……」




――




「8!」


「9!」


「「μ’s!! ミュージックスタート!!」」


唯「おお、今の良い! 私たちもなんか掛け声決m」


澪「わかったわかった。そんなことより幕が上がるぞ」


穂乃果「……改めまして、μ’sです!」


唯「よっ!! 待ってました!!」パチパチ


紬「わぁ~衣装素敵~♪」パチパチ


律「はいさわちゃんクビー!」パチパチ


澪「すごいな……。思ったより本格的だ……」パチパチ


穂乃果「ありがとうございます! 今から歌う曲は、μ’sを結成して最初にできた曲!」


穂乃果「私たちのスタートの曲です! 聴いてください!」


9人「僕らのLIVE 君とのLIFE!!」


パチパチパチパチ




――




「「答えなくていいんだわかるから」」


梓「よいしょ」


唯「あずにゃーん! どこ行ってたの~!?」


「「胸にえがく場所は同じ」」


梓「ちょっとミキサーを頼まれてまして」


唯「なんだ~! そうだったんだね~!」


穂乃果「何度でも諦めずに 探すことが僕らの挑戦!」


唯「すごいよね~! かっこいいよね~!」キラキラ


梓「……そうですね」


「「元気の温度は下がらない」」


唯「私もアイドルやってみようかな!?」


澪「あの練習量がこなせるっていうならやってみれば良い」


唯「やっぱりやめるよ」


律「見ろよムギ! 真姫が歌って踊ってるぞー!」


紬「ええ、本物のアイドルみたいね♪」


「「熱いままで羽ばたいてく」」


「「あこがれを語る君の」」


「「ゆずらない瞳がだいすき」」


梓「……」


穂乃果「ダイスキ!」


梓(私たちも最高のライブにしなきゃ……!)




――




パチパチパチパチ


にこ「……どう!! これが私たちのライブよ!!」


律「おう!! そんなことより、ことりをくれ!!」


ことり「え?」


にこ「そんなことを聞いてるんじゃなくて!! ふざけないでちゃんと答えなさいよ!!」


律「……そうだな。今は口にすべきではないと思うぜ」


唯「答えなくていいんだ わかるからー」


にこ「いやわからないし」


穂乃果「良いと思う。みんなはきっと、熱いままで羽ばたきたいんだと思う」


にこ「なに言ってるの?」


穂乃果「そんなみんなの、譲らない瞳が大好き! だよ!!」グッ


にこ「……まあいいわ。見せてもらおうじゃない、あんたたちのライブ」


海未「ついに澪先輩の演奏が見れるんですね……! 楽しみです!」ワクワク


澪「少し違うな。これは私たち5人のライブだ」


海未「!! これをロックというのですね! 痺れます!」キラキラ


穂乃果「みんな! 行ってらっしゃーい!」


唯「おーう!! 行ってくるぜーい!!」


にこ「なんかムカつくのよね……」




――




ジャーン ベンベン


花陽「あ! チューニングしてるよ!? かっこいいよ~!」キラキラ


凛「幕が邪魔で見えないにゃー!!」ブーブー


絵里「シルエットだけというのも、また味があってハラショーじゃない!」


にこ「客を待たせんじゃないわよ!! この、クソうすのろ野郎!!」


ジャカジャン ピロピロピロ ドコドコドコドコ


海未「楽器で返事をしましたよ!?」


ことり「かっこいい~!!」キラキラ


希「向こうが一枚上手やったな、にこっち」ポン


にこ「……ちっ」


シーン


穂乃果「みんな、始まるよ……!!」


唯「……」


唯「……聴いて下さい! ふわふわタイム!!」ジャカジャカ


穂乃果「おお出た!! MCなしでいきなり始まるやつ!!」


凛「あずにゃーん!!」


花陽「唯ちゃーん!!」


海未「澪先輩が……澪先輩が……!!」キラキラ


唯「君を見てると いつもハートDOKI✩DOKI♪」




――




「とっておきのくまちゃん 出したし♪」


「今夜は大丈夫かな?♪」


唯「改めましてμ’sの皆さん、こんにちは! 放課後ティータイムです!」


唯「今お送りしているこの曲、ふわふわタイムですが!」


唯「実は私たちのスタートの曲なんです! みんなと一緒です!」


絵里「ここでMCとは魅せるわね……」


希「フリーダムやね!」


唯「実はこの曲、一週間も練習したから歌い飽きちゃったんですよねー」


唯「でもみんなの歌を聞いたら熱くなってきて!」


唯「今すごく楽しく歌えてます! ありがとう、μ’s!!」


穂乃果「唯ちゃーん! かっこいいー!!」


凛「すごいすごい!! あずにゃんのソロすごいよ!!」


花陽「うん……! すごい……!!」


唯「もう少し勇気ふるって 自然に話せば 何かが変わるのかな?♪」


唯「そんな気するけどー♪」


にこ・真姫「……」


絵里「見て希。あの二人、一番夢中になって見てるわ」


希「ふふ♪ にこっちなんて好き放題言ってたのになぁ」


唯「だけどそれが一番難しいのよ 話のきっかけとかどうしよ♪」


唯「てか段取り考えてる時点で全然自然じゃないよね♪」


唯「あぁもういいや! 寝ちゃお寝ちゃお寝ちゃおーっ!!」


澪「そー、寝ちゃおーっ!!」




――




パチパチ キャーキャー


律「どうだ!! これが放課後ティータイムだぜ!!」


唯「ギャフンと言ってもらうよ!!」


海未「なんというか、場数の差を感じました……! すごかったです!! 感動です!!」


絵里「想像の遥か上を行く演奏だったわ! ハラショーよ!」


律「あれ、意外と高評価だな。やっぱ私たちって結構すごい?」


穂乃果「すごいなんてレベルじゃないよ!! もっとすごいよ!!」


律「だよなだよなー!! じゃあ私たちの勝ちー!!」


澪「いやいやいや、そんな一方的に……」


梓「私はにこ先輩の感想が聞きたいです……!」


にこ「……」


律「そうだな。私もお前の意見が聞きたい」


にこ「……わからない。どうしてあの演奏に魅入っていたのか、自分でもよくわからないの」


にこ「ライブに対しての熱意も、練習量も、あんたたちより勝ってると思ってた。けど……」


にこ「あ!! なんか混乱してきた!!」


律「おいしっかりしろ!!」


穂乃果「じゃあもう決まりだね!! この対決はみんなの勝ちだよ!!」


にこ・律「はぁ!?」




――




穂乃果「今私たちの気持ちは一つだと思うんだ! どっちが勝ちなんて決めたくない、そうだよね?」


唯「私に言わせれば、音楽に優劣をつけること自体間違ってると思うね!」フンス


にこ「……ふふ、バカらしい。でも、それで良いわ! そうしましょう!」


律「この一週間なんだったんだ……。まあいいか!! 早く遊ぼうぜー!!」


希「決まりやな! この対決の勝者は全員ってことで、おしまい!」


律「ちゃんちゃん!! よっしゃ遊ぶぞー!!」ダッ


唯「海だー!! 夏じゃないけど海だー!!」ダッ


凛「海が凛を呼んでるにゃー!!」ダッ


穂乃果「あー待ってよー!! まだ遊んで良いって言ってないよー!!」


澪「本当に遊ぶことしか考えてないなあいつら……」


穂乃果「もう……穂乃果だって遊びたいのにさー」プンスカ


梓「まあまあ穂乃果。あの話は後でも良いんじゃない?」


にこ「なんの話?」


梓「あとでのお楽しみです! 私たちも行きましょう!」


にこ「ちょ、ちょっと押すんじゃないわよチンチクリン!!」


ことり「……この感じなら、できそうだね!」


海未「ええ、一安心です。丸二日ノープランという事態は避けられました」


ことり「私たちも行こ! 私、早く遊びたい!」


海未「って、ことりもですか? 仕方ないですね……」




――




真姫「……」スタスタ


紬「私、真姫ちゃんの感想が聞きたかったなー」


真姫「あとで嫌になるほど話してやるわよ」


紬「本当~?♪ 良かった~♪」


真姫「そんなことより聞きたいことがたくさんあるの!!」


紬「聞きたいこと?」


真姫「だから、その、あなたを先輩として、その……」


紬「ふふ、なに?」


真姫「ちょっと付き合いなさい!!」


紬「先輩に対してその態度はどうなのかしら~♪」


真姫「……付き合ってください!!」


紬「告白?」


真姫「違う!! 良いからついてきて!!」


紬「ふふふ、わかったわ~♪」




――


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SS好きの名無しさんから
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SS好きの名無しさんから
2016-01-22 03:35:18

Delta さんから
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SS好きの名無しさんから
2015-12-21 16:51:44

SS好きの名無しさんから
2015-12-13 13:01:20

SS好きの名無しさんから
2015-11-28 01:46:53

SS好きの名無しさんから
2015-11-20 18:33:44

SS好きの名無しさんから
2015-11-15 11:39:27

SS好きの名無しさんから
2015-11-02 05:29:28

SS好きの名無しさんから
2015-09-26 19:32:17

SS好きの名無しさんから
2015-09-26 13:36:10

SS好きの名無しさんから
2015-09-12 19:18:01

SS好きの名無しさんから
2015-09-08 02:21:22

SS好きの名無しさんから
2015-08-31 17:07:59

SS好きの名無しさんから
2015-08-31 09:35:09

SS好きの名無しさんから
2015-08-21 10:05:11

SS好きの名無しさんから
2015-06-16 21:09:47

SS好きの名無しさんから
2015-06-15 21:55:17

SS好きの名無しさんから
2015-05-31 08:41:54

SS好きの名無しさんから
2015-05-22 13:53:04

SS好きの名無しさんから
2015-05-21 21:35:18

SS好きの名無しさんから
2015-05-01 07:06:10

SS好きの名無しさんから
2015-04-30 20:49:38

SS好きの名無しさんから
2015-04-25 01:06:26

SS好きの名無しさんから
2015-04-23 22:10:32

歩くハバネロさんから
2015-04-22 09:11:46

SS好きの名無しさんから
2015-04-22 02:52:10

SS好きの名無しさんから
2015-04-14 17:56:40

SS好きの名無しさんから
2015-04-13 00:02:16

リリーゾーンさんから
2015-04-12 21:38:38

このSSへのコメント

17件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2015-09-26 19:32:33 ID: mN-cq1iT

続きを読みたい。

2: SS好きの名無しさん 2015-10-12 21:15:56 ID: xuv0l_OP

うん、読みたい。
「メインイベント」はこれからだよな。

3: SS好きの名無しさん 2015-12-21 16:52:09 ID: hPiL4ex_

続きはよ

4: SS好きの名無しさん 2016-01-08 02:17:13 ID: bJsPOOtQ

はよつづき!早よ続き!

5: SS好きの名無しさん 2016-01-23 00:31:12 ID: TUSwbOw5

続き書いてください!

6: SS好きの名無しさん 2016-04-02 12:05:13 ID: c1viIfgt

面白い内容でした。
次回が読みたいです。

7: SS好きの名無しさん 2016-04-03 01:05:04 ID: qJOSXtNS

続きが気になる

8: SS好きの名無しさん 2016-05-27 20:16:50 ID: PUgaS5u5

続きが気になる。メインイベントってもしかして肝試し?懐中電灯とか言ってたし

9: SS好きの名無しさん 2016-06-09 16:49:55 ID: lgolbe5R

唯真姫にこ律がいい感じ

10: SS好きの名無しさん 2016-06-25 21:29:21 ID: 5t-ieqGz

続きは続きは続きは続きは続きは

11: SS好きの名無しさん 2016-06-25 21:30:01 ID: 5t-ieqGz

続きは続きは続きは続きは続きは

12: SS好きの名無しさん 2016-10-25 05:04:16 ID: 98ajz30u

続きみたいです!

13: SS好きの名無しさん 2017-04-01 19:11:14 ID: gCBblIUN

続きみたいです!!!!!とても面白いです。

14: SS好きの名無しさん 2017-04-18 19:52:00 ID: 7FRBNGCy

二次創作として出版社に出して小説化してほしい٩(ˊᗜˋ*)و
続きを期待しています(*´ο`*)ガンバッテ!

15: SS好きの名無しさん 2018-01-17 17:58:58 ID: fMg3UrS8

続きが見たい!!

16: SS好きの名無しさん 2018-06-17 23:24:23 ID: oMT0UK_w

はよ続き

17: SS好きの名無しさん 2019-05-15 12:45:02 ID: S:CA4Y-D

唯が馬鹿呼ばわりしてるけど、筆者は唯に何か恨みでもあるの?


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1: SS好きの名無しさん 2015-05-22 13:55:17 ID: K1OzfYzh

「アイマス×ラブライブ!×けいおん! 南海の大決戦」とかも書くと良いですw

2: SS好きの名無しさん 2015-08-20 11:12:57 ID: D88p2xBh

合宿最終日までの話を見てみたい。

3: SS好きの名無しさん 2021-06-29 18:02:26 ID: S:APzHv4

枕投げとしてほすい


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