2019-11-18 19:32:20 更新


鞠莉「ワオ!ここがらーめん屋さん?」


果南「そうだよー。この前千歌と来たんだけどすごく美味しくてさ」


ダイヤ「そうなんですか。でもいい匂いがしますわ」


果南「私もお腹空いちゃったー。早く入ろうか」


鞠莉「オフコース!」


ダイヤ「ええ」




店員「ご注文はなんにしやしょう?」


果南「私は豚骨ラーメンで」


ダイヤ「では醤油ラーメンで」


鞠莉「ん〜。じゃあ私味噌ラーメン!」


店員「へい!では少々おまちくだせぇ!」


トンコツ、ショウユ、ミソイッチョウ!


アイヨ!


ダイヤ「なんと言うか、勢いのある店員さんたちですわね」


果南「ふふ、でしょ?ちょっとおもしろいよね」


鞠莉「私こういうのあんまり知らないんだけど、店員さんってあんななの?」


果南「んー、ここが特殊なんじゃ無いかな?」


鞠莉「ふーん」


グゥー


ダイヤ「あっ……///」


鞠莉「ハングリーなのねダイヤ」


果南「あはは」


ダイヤ「お、お恥ずかしい」


果南「でも分かるよ。この匂い嗅いでるとねー」


鞠莉「私もハングリーになっちゃった♡」


数分後


店員「へいおまち!」


果南「お、きたきた!」


ダイヤ「いい香りですわね」


鞠莉「オウ、イッツデリシャス!」


ダイヤ「まだ食べてないでしょ」


店員「ごゆっくり!」


3人「はーい」


果南「さて、いただきまーす」


ダイヤ「お待ちなさい!」


果南「わっ、どうしたのダイヤ?」


ダイヤ「あなた、まさかいきなり麺から食べようとしているのですか?」


果南「そうだけど。」


ダイヤ「ブッブーですわ!ラーメンはまずスープを飲むのが基本!」


鞠莉「ワッツ?そうなの?」


果南「そんなの人それぞれだよ。好きに食べればいいんだってー」ツルツル


ダイヤ「ああ!全くあなたという人は……いただきます」ズズー


鞠莉「いただきます!」ズズー


鞠莉「……!?」


鞠莉(え?……なにこれ。私が今まで食べたどの料理より……美味しい?)


鞠莉「の、ノー!そんなはず……!」


ダイヤ「……?鞠莉さん?」


果南「……」ズルズル(味に夢中)


鞠莉(間違いない。このラーメン……


ーーーーー死ぬほど美味い)


鞠莉(完全に侮っていた。たかが庶民の味だとたかをくくっていた。……こんな美味しいもの食べたことない)


鞠莉(で、でも認めたくない!一流である私が二流であるところのラーメンなんかを好きだという事実を!)


ダイヤ「ま、鞠莉さん?」


鞠莉「えっ?ど、どうしたのダイヤ?」


ダイヤ「それはこっちのセリフですわ。急に神妙な顔つきになって……」


鞠莉「え、え〜?そんなことないと思うわよ?」


ダイヤ「……ならいいのですけど」


果南「……」ハフハフ(味に集中)


鞠莉(悔しいが……認めざるを得ないわね。私はラーメンが好きという事実を)


鞠莉(しかしこの事実を知られるわけにはいかない。なぜなら私のプライドが許さないから)


ダイヤ「果南さん、もう黙りこくってますわね。まあ確かに美味しいですが」


果南「ん?なんか言った?」


ダイヤ「いえ、なんでもありません」


果南「鞠莉どう?おいしいでしょ!」


鞠莉(くっ、やはり聞いてくるわね。ここは無難に返答しましょう)


鞠莉「死ぬほど美味い」


果南「ん?」


ダイヤ「え?」


鞠莉(しまっ……本音が!)


鞠莉「今のはなんというか、ミステイクね。でもまあ美味しくはあったけどね。うんまあまあね」


果南「そっか〜まあお嬢様はもっとおいしいもの食べてるもんね」


鞠莉「ま、まあね」


果南「ここは24時間やってるんだ。だからお腹が減ったら真夜中に……なんてさすがにないけどね」


ダイヤ「ラーメン屋ですのに一日中やってるのですね。すごいですわ」


果南「最近、増えてるらしいよ。そういう店」


鞠莉(な、んだと!?つまり真夜中なら誰の目も気にせずラーメンを食べられるんじゃないかしら?)


ダイヤ「でも私たちには関係ない話ですわね。さすがに夜中にラーメンはあり得ませんわ」


果南「だよね。一応私たち女子高生だもんね」


ダイヤ「一応ってなんですか」


鞠莉(……そうよね。真夜中にラーメンだなんて、どうかしてたわ)


果南「鞠莉?さっきからずっと黙っているけど……」


鞠莉「いえ、なんでもナッシング!確かに真夜中にラーメンはないわね」


果南「だよねー」




店員「ありがとうございやした!」


果南「いやーおいしかったー」


ダイヤ「また機会があれば行きたいですわ」


果南「お?ダイヤもラーメンの魅力に気がついたのかな?」


ダイヤ「そ、そういうわけでは……」


果南「あはは」


ダイヤ「これからどうします?」


果南「私はこれから手伝いがあるから帰らせてもらうよ」


ダイヤ「では解散にしましょうか。鞠莉さんもいいですか?」


鞠莉「……」


ダイヤ「鞠莉さん?」


鞠莉「え?ソーリー聞いてなかったわ。」


ダイヤ「もう、これでお開きにしてもいいですかと聞いたのです」


鞠莉「オッケー!それじゃあまたね」


果南「じゃあねー」


ダイヤ「ではまた」






鞠莉「家に帰ってきたけど、やることないわね」


鞠莉「一応ラーメンの美味しいお店調べとこうかな」カタカタ


鞠莉「うわ、どれも美味しそう!」


鞠莉「また果南誘ってくれないかしら」


鞠莉「いや、そんなにラーメン食べにいかないわよね」


鞠莉「やっぱり夜ひとりで食べに行くしか……」


鞠莉「でも、女子高生としてそんなことは……」


鞠莉「……よし決めた」






深夜2時


鞠莉「ふふっ、サングラスにマスク。そしてこの微妙なセンスのコート!これで私だとは分からないでしょ」


鞠莉「やっぱり私、自分に嘘はつかない!ラーメンを食べにいく!」


鞠莉「女子高生だとか関係ない!私は好きなものを食べるだけよ!」


鞠莉「さて、バレないように抜け出しましょう」


ソローリ、ソローリ


鞠莉(ふふっ、家がバカ広くて助かるわ。これなら足音でバレる心配もない)


使用人「お嬢様?」


鞠莉「!!」ビクッ!


使用人「お嬢様ですよね?そんな格好で、いやこんな時間にどこへ行くのですか?」


鞠莉「ん、んんっ!イエ?ワタシハオハラマリデハアリマセンヨ?」


使用人「どうしてお嬢様の名前を?」


鞠莉(し、しまった!)


使用人「やっぱりお嬢様ですよね?」


鞠莉「……」ダラダラ


使用人「お嬢様?」


鞠莉「わ、私は……」


鞠莉(……どうやらここまでのようね。さすがに使用人の目は誤魔化せないか)


鞠莉(ふふ、私は一体何をしてるんでしょうね。ただラーメンが食べたいがために変装までして……どうかしてたわ)


鞠莉(ラーメンは……諦めよう)


鞠莉「あはは、イッツジョークってね」


使用人「??」


鞠莉「どう?この格好。新しいファッションに挑戦して見たんだけど」


使用人「……失礼ながらあまり似合ってないかと」


鞠莉「違いないわね」






果南「ワン!ツー!スリー!フォー!鞠莉!遅れてるよ!」パンパン


鞠莉「わかってる!」ハァハァ


果南「??」


鞠莉「……っ!」




果南「鞠莉どうかしたの?ダンスのキレがなかったよ?」


鞠莉「ソーリー!でも大丈夫よ。今日は調子が悪かっただけ」


果南「でも」


鞠莉「私、今日はもう帰るね」


果南「え?うん」


鞠莉「グッバイ!」


果南「……」


ダイヤ「鞠莉さん、様子が変でしたね」


果南「ダイヤも気がついた?」


ダイヤ「もちろんですわ。あんなあからさまでは私たちでなくとも気がつきますわ。」


千歌「うん!」


曜「やっぱりそうだよね。なんか変だと思う。」


梨子「なにかあったのかな。」


ルビィ「結構深刻な感じだったよね」


花丸「何か重大な事件があったのかな。」


善子「は!まさか鞠莉もついに堕天使に……」


千歌「誰か心当たりある?」


善子「す、スルー……」


果南「んー、いや特にないかなぁ」(まさかラーメンだとは夢にも思わない)


ダイヤ「そうですわよね。」(まさかラーメンだとは夢にも思わない)


曜「どうする?以外と鞠莉ちゃん、自分のことは隠すタイプだし」


果南「……私とダイヤでなんとかするよ。」


ダイヤ「幼馴染ですものね。」


千歌「そうだね。それじゃ2人に任せるよ!」






鞠莉「はあ、ラーメン食べたいな」


鞠莉「たったそれだけのことが永遠ほど遠い」


鞠莉「私にとってラーメンは高嶺の花なのね」


鞠莉「ん?あの光は……果南とダイヤ?」



ーーーーーーー



鞠莉「果南、ダイヤ。何しにきたの?」


果南「鞠莉、悩み事あるでしょ」


鞠莉「え?」


ダイヤ「隠したって無駄ですわ。みんなも気づいています」


鞠莉「え?え?なんのこと?」


果南「とぼけないでよ。いいから話してみなって」


鞠莉「ていうか本当に心当たりがないんだけど」


ダイヤ「鞠莉さん、もういいのですよ?」


鞠莉(??え?私何かに悩んでたっけ?)


果南「友達でしょ?」


鞠莉(私の悩み?んー特にないわよね。しいて言うならラーメンが食べたいってだけで……)


ダイヤ「大丈夫ですわ、私たちを信じてください」


鞠莉(……………………


ラーメンか!?)


鞠莉(え?私、たかがラーメンでそんなに悩んでたの!?みんなが分かるほどに!?)


鞠莉(は、恥ずかしすぎるでしょ!こんなのいえないよ!)


鞠莉「ご、ごめん。今は言えない」


果南・ダイヤ「!!」


果南(鞠莉が私たちに悩みを打ち明けないなんて……)


ダイヤ(これは相当な悩みですわね……)


果南「ダイヤ、どうする?」ボソッ


ダイヤ「今はまだそっとしておく方がいいかもしれませんわね。」ボソッ


果南「うん、わかったよ。」ボソッ


果南「鞠莉、言いたくなったらいつでも言っていいからね?」


鞠莉「え、ええ」


ダイヤ「それでは…」


果南「バイバイ」


鞠莉「学校でねー」


鞠莉「こりゃ、めんどくさいことになったな」



ーーーーーーー



鞠莉「と、いうわけで何か案はないかしら?」


執事A「素直に言えばよろしいかと」


鞠莉「それじゃダメなの!私がラーメンのことで頭がいっぱいの食いしん坊ガールだと思われる!」


執事B「生理中だということにする」


鞠莉「んー、なんか生々しいから却下かな」


執事C「では、恋の悩みとか」


鞠莉「ん?」


執事C「お嬢様に好きな人ができたことにするのです。そして告白して振られて、吹っ切れるという筋書きでどうでしょう」


鞠莉「それだ!」


鞠莉「恋する乙女!これなら恥ずかしくない悩みね!」


執事ABC(面白いことになりそうだな〜)



ーーーーーーー



千歌「果南ちゃん、ダイヤちゃん、どうだった?」


果南「それがねー」


ダイヤ「結構な悩みみたいでして」


千歌「うぇ、そうなの?」


果南「鞠莉がまだ話せないって。よっぽどのことなのかな…」


ダイヤ「それでも、私たちには言って欲しかったですわね…」


千歌「ま、まあまあ2人も落ち込んでどうするのさ!なんとかしよう!」


果南ダイヤ シュン


千歌(こうなったら私が…)


曜「私に任せてくれない?」


千歌「わっ、曜ちゃんいつの間に!」


曜「前に私、鞠莉ちゃんに相談乗ってもらったから…今度は私が助けたい」


千歌「…そっか。なら任せてもいいかな?」


曜「うん!」


ダイヤ「曜さん、鞠莉さんをよろしく頼みますわ」


果南「鞠莉のこと助けてあげて」


曜「まっかせてよ!ヨーソロー!」



ーーーーーーー



果南「はい!じゃあ今日の練習はここまで!」


アーツカレター


鞠莉「はぁ」


果南「鞠莉、あんなに思いつめた顔して…」


ダイヤ「大丈夫でしょうか」


鞠莉(次は豚骨もいいなぁ)


果南 ダイヤ シュン


曜「まーりちゃん!」


鞠莉「ワッツ?」


曜「今日この後時間ある?」


鞠莉「えぇ、あるけど」


曜「少しお話しない?」


鞠莉「えぇ」(これはもしかして)



ーーーーーーー



灯台にて


曜「前もここに来たよね!」


鞠莉「よく覚えてるわ。曜の悩みを聞いてあげたんだよね」


曜「うん、でも…今度は私が聞く番」


鞠莉「!!」(やはりきたわね)


曜「良かったらお話聞かせてくれないかな?」


鞠莉「…」


鞠莉「曜になら……いいかな」


曜「!!」


鞠莉「私、実は…好きな人ができたみたい」


曜「…へ?…ええええ!?」


鞠莉「変…だよね。私がなんて…」


曜「いやそうじゃなくて!ちょっとびっくりしただけ…」(これはすごいことになってきた…)


鞠莉「あはは…」


曜「その…どんな人なのかな?」


鞠莉「それは…」




ーーーーーーー

回想シーン


鞠莉「相手はどんな人がいいかしら?」


執事「あまり凝ってもボロが出ますので、ラーメンのことにしましょう」


鞠莉「は?ラーメン?」


執事「ラーメンのどこが好きなのか、それを人に当てはまる範囲で言うのです。本当に好きなものならボロが出にくいかと」


鞠莉「オウ!それはいいアイデアね!」

ーーーーーーー




鞠莉「初めは認めたくなかったんだけど…一目惚れっていうか」


曜「!!」


鞠莉「出会った瞬間にビビっときたのよね。あぁ、私この人のこと好きだって…」


曜「そ、そうなんだ」(うわーいいなぁなんか。鞠莉ちゃん乙女じゃん!)


鞠莉「だから幼馴染には余計言いにくくて」


曜「あーそういうことか」


鞠莉「うん…」


曜「まあ、仕方ないかもね」


鞠莉「ごめんね?迷惑かけちゃって」


曜「いえいえ!でも2人にも話してあげたら?そういうことなら2人も真剣に考えてくれるよ!」


ーーーーーーー



果南「はい!今日はここまで!」


ツカレタズラー


曜「ふう、今日もハードだったなー」


果南「本番まで結構あるからねー。体力つけとかないとね」


曜「あ、果南ちゃん」


果南「それで、どうだった?鞠莉の方は?」


曜「あ、うーん」


曜(どうしようかな…鞠莉ちゃんには言わないでほしいって言われちゃったもんなー)チラッ


鞠莉「…」


曜(わっ、すごい見てる!)


曜「え、うーんとごめん私の口からは言えないかな…」


果南「!!そ、そっか…」


ダイヤ「どうかしましたか?果南さん」


果南「…」


ダイヤ「??」


果南「曜も、言えないとさ」


ダイヤ「そうですか…そんなに……」


果南ダイヤ シュン


鞠莉「果南、ダイヤ」


果南「!、ど、どうしたの鞠莉!?」


ダイヤ「は、はいい!」


鞠莉「ちょっと今日話したいことがあって」


果南(ついに来たか)「わかった」


ダイヤ(どんな悩みなのか検討もつきませんわ)「はい」



ーーーーー



果南ダイヤ「す、好きな人ができたぁ!?」


鞠莉「……」コクッ


果南「な、ななな!」


ダイヤ「そんな、嘘でしょ……」


鞠莉「や、やっぱり変だよね。私が恋愛だなんて……」


果南「そ、そんなことないけど……突然だね」


ダイヤ「お相手はどんな方なんですの?」


鞠莉「普通の日本人よ。ひょんなことから知り合ったの」


ダイヤ「そうですか……」


果南「えっと……」


果南ダイヤ(どう反応すればいいんだ)


鞠莉「2人に話せなくてごめんね!どうしても恥ずかしくなっちゃって!」


果南「う、ううん!仕方ないよそれは」


ダイヤ「そうですわね!距離が近すぎる相手だと言いにくいこともありますし!」


鞠莉「……」


果南ダイヤ「……」


鞠莉果南ダイヤ(気まずすぎる)


鞠莉(私、ホントはラーメン食べたいだけなのに何やってんだろ)


果南(友達として喜ぶべきだよね……でもなんか)


ダイヤ(少し……寂しい気がしますわね。鞠莉さんにとって私たちはもう)


果南ダイヤ(1番ではなくなってしまったのか)


鞠莉(醤油ラーメンも食べたい)




ーーーーー



果南「……それじゃあ今日も張り切っていこうか……」


千歌「?…お、おー!」


果南「ワン、つー、すりー、ふぉー……」


梨子「ち、ちょっと果南さん!?リズムずれてますよ!」


ダイヤ「……はぁ」タッタッタ


ルビィ「お姉ちゃん!?それ日本舞踊だよ!?」


果南「えいと、ないん、てん、いれぶん、とぅえるぶ……」


善子「どこまで数えてんのよ!」


ダイヤ「……はぁ」タッタッタ


花丸「ちょ、それ夏色笑顔で1.2.jump!!ずらよ!」


曜「あちゃー、2人には刺激が強かったのかな?」


鞠莉(流石に動揺しすぎでしょ……)


千歌「なにこのカオス」



ーーーーー



鞠莉「まあ、予想以上に果南ダイヤにはキツかったようね」


鞠莉「このままだと練習に支障をきたしかねないわ」


鞠莉「いい加減自分に決着をつけるわ!」


鞠莉「と、いうことで」


鞠莉「ラーメンを食べにいくから、誰にも見られないようエスコートしなさい」


執事A「御意に」


執事B「御意に」


執事C「御意に」


鞠莉「レッツゴー!!」



鞠莉「いってきまーす!」


執事A(付き添い)『こちらα。お嬢様が玄関を出た』


執事B(監視)『こちらβ。確認した。周りに人影はない。γはまだ待機。』


執事C(戦闘)『こちらγ。了解』



ーーーーー

一方、果南の家


果南「やっぱり、喜ばしいことだよね。鞠莉に好きな人が出来るってことは」


ダイヤ「そうかもしれませんわね。あれだけ悩んでいる鞠莉さんを見たのは初めてですし…きっと本気なのでしょう」


果南「そうだね…」


ダイヤ「……」


果南「それなら……」


ダイヤ「?」


果南「遊べる回数とか、減っちゃうよね…」


ダイヤ「仕方ありませんわ。鞠莉さんにとっての1番ができてしまったのですから」


果南「……だあああ!!」


ダイヤ「!?ど、どうしたのですか急に」


果南「このままじゃモヤモヤする!鞠莉に会いに行く!」


ダイヤ「会ってどうするのです?何を話すのです?」


果南「それは会ってから考えるの!」


ダイヤ「まったく……でも、賛成ですわ」


果南「よし行こう!今すぐに!」


ダイヤ「ええ!」



ーーーーー

ホテル オハラ



果南「おーい!鞠莉〜ってあれ?」


ダイヤ「照らしてるのに反応がないですわね。こんな時間にどこに?」


果南「ま、まさかとは思うけど」


ダイヤ「……デートとか?」


果南「くっ!」ダッ


ダイヤ「果南さん!?」


果南「探すの!」


ダイヤ「待ってください!」



ーーーーー



執事A『ラーメン屋まであと500m』


執事B『正面からカップルが歩いてくる』


執事A『了解。少し迂回して目撃を避ける』


執事A「お嬢様。正面から人が来ますので迂回します」


鞠莉「了解。これから迂回する」


執事A「いや、お嬢様はその口調じゃなくていいです」


鞠莉「あと少しでラーメンが食べられるのね!楽しみだわ!」


執事A「嬉しそうですねお嬢様」


鞠莉「当たり前じゃない!この時を長い間、待っていたもの」


執事A「もう少しですよ。少し遠回りはしますけれど、それでも…」






執事C『待て!』


執事B『どうした?』


執事C『迂回先、真正面から松浦果南、黒澤ダイヤ接近!かなり速い!』


執事A『な、なぜここに…』


果南「あ!あれ鞠莉じゃないの!?」タッタッタ


ダイヤ「そうだと思います!鞠莉さーん!」タッタッタ


鞠莉「あれ?あっちにいるのって果南とダイヤ!?」


執事A「くっ!見つかったか!」


執事B『γ、お前の出番だ。奴らを足止めしろ!』


執事C『了解』


執事A「お嬢様急ぎます!こちらへ!」ダッ


鞠莉「ごめんね!果南、ダイヤ!」ダッ


果南「隣にいるのって、男!?」


ダイヤ「まさか本当に…あっ!曲がってしまいました!」


果南「逃すか!」


執事C「……」ザッ


果南「……ダイヤ、一旦止まるね」


ダイヤ「え?どうしてですか?」


果南「目の前の人、何か変だよ」


ダイヤ「あの帽子をかぶった人ですか?」


果南「殺気が伝わってくる。やる気だね」


ダイヤ「……なるほど」


執事C「……」


果南「鞠莉と無関係ってわけじゃなさそうだし……ダイヤ、先行ってて」


ダイヤ「ご無事で」


果南「鞠莉のこと、頼むね」


ダイヤ「…」ダッ


果南「さーてと」


執事C「……」


果南「私になにか御用ですか?」


執事C「…そうだな、ベタなセリフですまないが」


果南「……」


執事C「ここから先は行かせない」


果南「はっ!……止めてみろよ」



ーーーーー



ダイヤ「はぁっはぁっ!確かこっちのはず」


ヒュッ


ダイヤ「!?」パシッ!


ダイヤ「これは……麻酔銃?」


ダイヤ「なるほど、まだいるのですね」


ヒュッ


ダイヤ「!!」サッ


ダイヤ「……」


執事B『今黒澤ダイヤと交戦中。しばらく周辺を観察できない。αは独断の判断でお嬢様をお守りしろ。』


執事A「了解。お嬢様、あと少しです。」


鞠莉「絶対にケガだけはさせないでね!?」


執事A「もちろんです。大切なご友人にお怪我などないようにします」


鞠莉「それならいいけど」


執事A「あくまで時間稼ぎです」



ーーーーー



果南「やあっ!」


執事C「……」サッ


果南「ふんっ!」


執事C「……」パシッ!


果南「それっ!」


執事C「……」ガッ


果南「……よけるだけ?」


執事C「それで十分だ」


果南「そっかぁ、これだけは使いたくなかったけどな」


執事C「?」


果南「いくよ!」ダッ


執事C(さっきと変わらず突進してくるだけ?なら打撃を捌いて終わりだ)


果南「それっ」バッ


執事C「なっ!?」


果南「ハグゥ!」ギュツ


執事C「くっ!はなせ!」ジタバタ


果南「それは無理だよ!」


執事C「くそぉ!」


果南「ギューっ」


執事C「……!?…!…!!」バキボキ


執事C「」ドサッ


果南「よし!鞠莉を追いかけよう!」ダッ



ーーーーー



執事B「くそ!まったく当たらない!」


ダイヤ「……」サッ


ダイヤ「……」スッ


ダイヤ「……」バッ


執事B(なんて見のこなしだ!こんなの高校生の動きじゃない!)


ダイヤ「……なるほど、麻酔弾の向きから大体場所は掴めました」


ダイヤ(あとは……)


執事B「くっ!弾が切れたか……補充せねば」ガチャガチャ


ダイヤ(今ですわね)スッ


執事B「装填完了!すぐに……黒澤ダイヤがいない…?」


執事B「まさか……お嬢様の元へ!?」


執事B「しまった!」ダダダ


執事B(ビルの上にいたのが仇となったか!遅れをとってしまう!)


執事B(お嬢様……!)


ヒュン


執事B「あ痛った!何か刺さって……これは!?」


ダイヤ「先程の麻酔ばりですわ」


執事B「黒澤ダイヤ!?お嬢様のところへいったんじゃ…」ドサッ


ダイヤ「ええ、優秀なあなたならそう思うと予想していましたわ」


執事B(なるほど……焦って動揺した私を狙ったわけか……しかしなぜ私の居場所が)


ダイヤ「麻酔弾から大体の方向はわかっていましたので、あとはその周辺で耳を澄ませば聞こえてきます。あなたの足音がね。」


執事B(見事だ……)zzz


ダイヤ「麻酔弾など使わなければ非力な私を止められたでしょうに。惜しいことをしましたね」


ダイヤ「鞠莉さんを追いかけましょう」ダッ



ーーーーー



果南「あ、ダイヤ!鞠莉見つかった!?」


ダイヤ「いいえ……実は私も足止めを食らっていましたので」


果南「くそっ!見失ったか」


ダイヤ「……デートなら、一緒に夕食を食べるのでは?」


果南「え?」


ダイヤ「デゥイナーですよ!これから2人は夕食を食べに行ったに違いありません!」


果南「あはは、鞠莉の真似?うまいうまい」


ダイヤ「ふふ、そうでしょう」


果南「言ってる場合か」


ダイヤ「すみません」


果南「ここら辺のご飯屋さんとなると……ん?この匂い、アレって……」


ダイヤ「ラーメンの香り、そういえばここってこの前行ったラーメン屋のところでしたのね」


果南「えー、流石にラーメンはないと思うなぁ」


ダイヤ「ですわよね。流石にラーメンは……ってあらぁ!?鞠莉さん」


果南「カウンターに」


果南ダイヤ「座ってるし!!」


果南「座ってるし、男と並んで何故かカウンターの方に座ってるし!」


ダイヤ「あの男、鞠莉さんになんてものを食べさせようとしてるんですか!」


果南「それはラーメンのこと侮辱しすぎだと思うよ」


ダイヤ「すみません」


果南「そして何故か他の客が1人もいない。貸切にしてるの?こんな小汚い店を?」


ダイヤ「それはラーメン屋に対する侮辱ですわよ」


果南「ごめん」


ダイヤ「どうしましょう?入りますか?」


果南「うーん、そうだね。ごちゃごちゃ考えるのは私らしくないや。入ろう!」


ダイヤ「はい」






カランカラーン


鞠莉「あれ?貸切にしたんじゃなかったかしら?」


執事A「そのはずです」


店主「そこのお嬢ちゃんら、すまんね!今日は貸切なもんで」


果南「どけ」


店長「へ?」


鞠莉「」(果南の声に気づいた)


果南「どけと言っている」


店長「お、お客さん。すみませんが今日は……」


果南「どけよおらぁ!」


店長「ごはぁ!」


執事A「」(流石に絶句)


ダイヤ「すみませんね。手荒な前はしたくないのです。ですから早く案内してくださる?もちろんカウンターで」


鞠莉 執事A「」


果南「……」サッ


ダイヤ「……」サッ(2人を挟み込むように座る)


鞠莉 執事A「」


果南「あ!鞠莉じゃん!こんな所で奇遇だ」


ダイヤ「本当ですわね!まさかこんな店で会うとは」


鞠莉「ワターシハ、オハラマリデハ、アリマセーン」


果南「ね?」


鞠莉「そ、そうね。奇遇ねほんと…」


ダイヤ「ところで」


果南「この隣に座ってるのが」


ダイヤ 果南「鞠莉(さん)の彼氏?」


鞠莉「え、えーっと」(やばい泣きそう)


執事A「そうです」


鞠莉「!!」


執事A「失礼ながら鞠莉さんとお付き合いさせてもらってます。αといいますよろしく」


鞠莉(あくまで誤魔化そうって事ね)チラッ


執事A「……」コクッ


果南「ふ、ふーんそっか!なんとまぁ素敵な彼氏さんで」


ダイヤ「……すみませんそろそろ注文していいですか?」


店長「ぐっ……は、はい」プルプル

(ダメージがでかい)


果南「私は豚骨」


ダイヤ「では私も同じものを」


鞠莉「え、えーっと私も豚骨……」


執事A「では鞠莉さんと同じもので」ニコッ


店長「か、かしこましました、ぅぐっ!」


果南「ところで彼氏さんよォ」


鞠莉(ガラ悪いわね)


果南「鞠莉がどういう人か知ってるのかな」


執事A「と、いいますと?」


ダイヤ「貴方ごときの身分が近寄っていい相手ではないことくらい分かっていますわよね?」


執事A「ホテルオハラのご令嬢だということは重々承知しております」


果南「そのご令嬢を?こんな小汚い店に連れてるってのはどういう神経なのかな?」


ダイヤ「頭おかしいんじゃないですか?」


店長(……こいつら好き放題いいやがって!)


鞠莉(え、果南前ここのラーメン褒めてたのに)


執事A「ふむ、たしかにそれもそうですか。鞠莉さんどうしますかお店を変えますか?」


鞠莉「い、いえ!もう注文してしまったからここでいいわよ。し、しかたなくね!」


執事A「すみません、配慮が足りず」


ダイヤ「本当ですわね。こうなる前にきずけなかったのかしら?」


果南「……鞠莉のどこが好きなの」


執事A「はい?」


果南「だから!鞠莉のどこが好きなの!?」


執事A「鞠莉さんの好きなところですかそうですね」


執事A「一途なところ、ですかね」クスッ


鞠莉「!!」カァー


果南 ダイヤ「!!」


果南(鞠莉が)


ダイヤ(赤くなってる)


鞠莉(このバカ!ラーメンのこと言いやがったわね!)


鞠莉「そ、そんなふうに思ってくれて嬉しい」


店長「すみません話の途中で、とんこつ4つお待ちどうさま」


果南「……ちっ!」


ダイヤ「……もうこれは仕方の無いことかもしれせんわね」


果南「ダイヤ?」


ダイヤ「すみません鞠莉さん、2人のお邪魔をしてしまって、私たち本当は鞠莉さんと少しお話がしたかっただけなんです」


鞠莉「えっ」


ダイヤ「鞠莉さんにパートナーができたと聞いて正直驚きました。というか今でも驚いています。こうして2人が並んでいなければきっと半信半疑でいたでしょうね」クスッ


執事A「……」


ダイヤ「ですが、パートナーさんもいい人そうですし、これならもう私達が言うことは何も無い、そう思いましたわ」


鞠莉「だ、ダイヤ」


ダイヤ「正直に言うと、少し寂しい気もします。鞠莉さんはずっと私達と一緒に歩んできましたから……ですが鞠莉さんがこれから歩んでいくのはこの人となのですよね。それを邪魔してしまっては親友の名がすたります」


果南「……だけど!」


ダイヤ「果南さん!」


果南「!!」


ダイヤ「分かりませんか?私たちが駄々をこねてるだけだってこと、分かりませんか?」


果南「……そんなこと分かってるよ!でも、なんか嫌なんだもん!鞠莉が遠くに行っちゃいそうで怖いだもん!仕方ないじゃん!」


ダイヤ「……それは仕方のないことです。人間ずっと一生寄り添っていくなんて出来ませんわ。そう、パートナーでもない限りは」


鞠莉「……」ウルウル(ラーメン食べに来ただけなのに泣かされそう)


ダイヤ「鞠莉さんを、よろしくお願いします」


執事A「ええ、確かに」


ダイヤ「果南さんも、ほら」


果南「……言っとくけど、鞠莉のこと泣かせたら殺すからね、よろしく」ボソッ


執事A「……ええ」


鞠莉「め、麺が伸びちゃうわ!早く頂きましょ!それじゃあ」


4人「いただきます!」


果南「……」ズズ


ダイヤ「……」ズズ


鞠莉「……」ズズ


執事A「……」ズズ


果南「……あれ?変だな」


ダイヤ「……私達が頼んだのって豚骨でしたわよね」


鞠莉「……私も変」


果南 ダイヤ 鞠莉「涙がしょっぱ過ぎて味がわかんないよ」ウルウル


執事A(本当にいいお友達を持ちましたね、お嬢様)


鞠莉「うぇぇぇ!」


果南「うわあああ!」


ダイヤ「う、ぅぅぅう!」


執事A「ほら、皆さん美味しくいだだきましょう」






鞠莉(あの後、すぐに私は本当のことを話した。果南にはゲンコツ、ダイヤには平手打ちを食らった。2人はまた泣いていたけど私も涙が止まらなかった。結果的にだけど、私がついた嘘によって2人が私のことをどれだけ好きでいてくれてるか、愛してくれてるかが染みるようにつたわった。こんなこと言っちゃ2人には怒鳴られるかもしれないけどねっ!)


果南「鞠莉!今日はどうする?」


ダイヤ「聞くまでもないんじゃない?」


鞠莉「もっちろんオフコース!今日もラーメン食べに行くわよー!」


3人「おー!!」


鞠莉(おかげでラーメンは、私の一番大好きな食べ物になった)





終わり


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2020-05-08 19:52:20

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2019-11-23 17:36:03

2019-11-23 05:46:43

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2019-11-23 17:35:59

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