苗木「超高校級の希望」狛枝「素晴らしいよ!」
苗木君がなんやかんやしてみんなを助け出すストーリーです。
初めまして!にゃぷうと申します~!
初の投稿となるのでできれば長い目で見てくれるとありがたいですニコッ
【プロローグ:すべての始まり】
『僕は知っているんだ。何故僕がここにいるのかを』
『希望も絶望も誰なのか知っているんだ』
『あの日を知っているんだ』
『希望と絶望が戦い散った日を』
『みんなを助けなきゃいけない』
『そうしなきゃ僕はみんなの中から・・・ちゃうんだから』
『僕は止めなきゃいけないんだ。あの狂気に満ち溢れたあの惨劇を』
『止めなくちゃいけないんだ・・・・』
『絶望の根源を・・・』
待っててねみんな。僕が助けるから。
そこで僕の意識は途絶えた。深い深い闇の底へ消えていった。
[chapter1: (非)日常編:始まりと信頼]
・・・・・・・・あれ?ここはどこだ?
僕は何をしてたんだっけ?思い出そうとするとズキンと頭が痛んだ。
ここは・・・・どこかの教室か?
見渡すとどこかの教室みたいだった。普通に黒板があって、普通に机といすが並んでいて、鉄板がある・・・・鉄板!?
鉄板があることに僕は驚いた。試しに鉄板を殴ってみたけどビクともせず、殴った拳は痛いだけだった。
もっとおかしな点もあった。監視カメラがあったのだ。
もしかして監禁されてるのか?
こんな状況でも僕は意外にも落ち着いていられた。何故か懐かしい感じがした。
ふと僕が目を覚ました机に目をやると、何か白い紙があった。
その紙を手に取って見てみるとふざけた字で入学式を8時からやると書いてあった。
時計を見るともう8時になろうとしていた。
「やばい急がなきゃ!」
そう言って僕は教室を飛び出していった。
廊下は薄暗く何かと怖い雰囲気であった。体育館に進む途中赤い扉を見つけた。
僕はなぜかその扉を見るのが嫌になり、さっさと歩きだした。
体育館の前につき、深呼吸をした後に扉を開けた。
するとそこには”懐かしい”顔ぶれがいた。
「お前もここの新入生か?」
「うん」
「これで15人ですか。キリもいいしこんなもんですかね。」
「おい!きみぃ!」
「えっ!?」
「8時集合と知らされていただろう!」
「はぁ?こんな状況なんだから仕方ないでしょ。」
「えっとぉ、君も教室で目を覚ましたのぉ。」
「うっうん。」
「ここにいる全員か同じような状況で目を覚ました。妙ですわね。」
「もしかして誘拐とか?だったりしてな」
「きっと演出か何かだよ!特別な学校だしね!ね!」
「どうだろうな、まずは状況を見てからだな」
「ひぃ!私を見てるう!」
「えっ・・・」
「目障りなやつだな」
「・・・・・・何?」
「あっ、いやぁ、あははあはははは」
「あの、苗木君ですよね?中学一緒だった。」
「えっ?もしかして舞園さん?いや、でも、舞園さんみたいな人が僕みたいなやつを覚えていてくれてるなんて・・・」
「えーそんな風におもっていたんですかー?ショックです」
「い、いや、そんなつもりじゃ・・・」
「うふふ。冗談です。」
「おどかさないでよ」
「いつまでじゃれあっている?そんなことより誰かどんな目的でこんな風な状況になっている?」
「きっと、学園なりのレクリエーションだべ!俺の占いがそう言っているべ!」
「当たるのか?」
「俺の占いは3割当たる!!」
「はぁ?」
「たった3割ですか・・・」
こんな風にみんながみんな話をしている。
でもそんなのもつかの間。”あいつ”の声が体育館中に響き渡った。”あの”忌々しい声が
『アーマイクテス、マイクテス』
「ほうら俺の言ったとおりだべ!」
「いや・・・そうじゃない」
そしてそいつは現れた。白と黒のクマの形をしたあいつが。
「ぬいぐるみ・・・だべか?」
「ぬいぐるみじゃないよ。モノクマだよ!この学園の学園長なのだ!」
「ぬいぐるみが喋ったぁぁぁあ!!!?」
「・・・・・はやくしろよ」
僕は小さな声でそう呟いた。
「あれ?どうしたんですか苗木君?はやくしろよって、何を早くするのかな?うぷぷぷぷ」
「・・・・・・・別に。ただ早くこの茶番を終わらせて欲しいだけ。」
僕は爆発しそうな感情を抑えて、そう言い放った。
「茶番かぁ。うぷぷぷぷ。苗木君にはこういうのが茶番に感じるんだね。」
「・・・・・・・・・・」
「まあ、いいや。それでは、オマエラおはようございます。」
「おはようございます!」
「言わなくていいのよ!」
「オマエラみたいな才能あふれる生徒達は、この学園で一生暮らしていただくことにしました!」
「何を言ってんだよ!!」
「そんな・・・」
「でも、僕はクマ世界一優しいクマなのでこの学園から脱出することができるルールを設けました!」
「それはどんなルールだ?」
「人を殺すことだよ。」
その言葉を聞いてみんなは驚きを隠せそうになかったみたいだ。
「殺し方は何でもいいから、コロシアイしちゃいなよ!YOUしちゃいなよ!」
そんな時、大和田がモノクマを持ち上げて
「んだとごらぁ!変なことばっか言ってないで、こっから出しやがれや!」
「学園長への暴力は校則違反だよー!」
モノクマがそう言うと、警報音を鳴らしだした。
「危ない!投げて!」
「あぁ?」
「いいから早く!」
大和田は警報音を鳴らしているモノクマを天上向けて放り投げた。
すると、モノクマは天上に到達する前に、爆発したのだった。
「なんだと・・・・」
「あのぬいぐるみ死んじゃったの・・?」
「僕はあのくらいじゃ死なないよ!」
「ぎゃぁああああああ!!でたぁ!!」
「今みたいに校則違反しちゃうと、グレートな体罰をやっちゃうからね!」
「オマエラ!ちゃんとコロシ合えよ!」
そう言うとモノクマはどこかに消えていった。
僕たちに不安と恐怖と絶望を残して
あの後、僕たちは一旦自室に向かうことにした。
モノクマは僕たちにコロシアイをしろと言った。みんながみんなあんなことを受け入れる訳ではなかった。
"僕は1度経験している"から、落ち着いていられる。
僕は思い出してきた。あの時の記憶を。
モノクマの出現で僕の記憶はだいぶ戻っちゃったみたいだ。
そして僕が何をすべきか。何をしに来たかをね。
ピンポーン
こんな時にチャイム?誰だろう?
「苗木君。ちょっといいですか?」
「舞園さん!?うん!今開けるね!」
そうして、舞園さんを部屋に招き入れた。
舞園さんは、僕に話してくれた内容を石丸クンと一緒にみんなに伝えているらしい。
学園を探索して、みんなで報告会をしようということだった。そのことを伝えたら、舞園さんはさっさと出ていってしまった。2人で15人全員に伝えるのだ。
報告会まであと5時間あるが、できるだけ探索する時間は多いほうがいいしね。
僕は、手伝ってあげればよかったと後悔した。でも、僕は報告会の時間まで、探索をするつもりはなかった。
僕はこの学園を知っているのだから。
まずはシャワールームの建て付けをどうにかしなくてはならない。
なんで知っているのかモノクマに聞かれたらやっかいだしどうにかしておこう。
あの時と同じように、ドアノブの建て付けが悪いことを知らないように、ドアを開けようとした。
やはり、ドアは空かなかった。そこでモノクマは表れた。今回はドアの鍵を閉めていたが。
「苗木君。なんでドアが空かないかわかるかな?」
「いきなり現れてなんだよ。多分、鍵がかかってるからじゃないの?」
「シャワールームの個室に鍵がついてるのは女子の部屋だけだよ!」
「なんと、君のシャワールームの個室はドアノブの建て付けが悪いのです!!!開けるのにコツがいるんだよ。前に押しながら上に上げる。」
モノクマの言われたようにやるとドアは空いた。
「いやぁ。苗木君の個室だけが建て付け悪いだなんて、"超高校級の幸運"なのかなあ?」
そんなことは前からわかってる。
僕は幸運なんかじゃない。もしかしたら不運でこの学園に入ったのかもしれない。それでも、あの時は仲間と絆を築けた、それだけで十分だった。
「まあ、んなわけでがんばってねー」
そういうとモノクマはどこかに消えた。
報告会では出口が見つからず、不穏な空気になっていたがなんとかみんな気を保ってるみたいだ。
それから約3日がたったが、出口に関する手がかりは見つからなかった。
夜の7時ぐらいになり、モノクマが僕らを視聴覚室に集めた。動機の提示だ。
DVDを見たみんなは「キャァァァァァ」「嘘だろ・・・」「そんな・・・」
などの声があった。これを見て心配しない奴なんていないはず。十神クンや霧切さんでさえも少し表情がゆがんでいた。
僕は周りを見渡せるほど落ち着いてDVDを見ている。知っていることだから・・・・。
「はやくここから出ないと・・・。こんなところにいるわけには・・・」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
舞園さんは視聴覚室から飛び出した。
でも僕はあえて追いかけなかった。僕がここで優しさをみせることで、彼女は殺人を起こしそうになるんだから。
彼女が落ち着いて僕の話を聞くようになってからでないと・・・・また起きてしまう。
あの惨劇が。・・・・・・。
僕が舞園さんのところに向かったのはあの騒動から1時間ぐらいたってからだった。
舞園さんはとても怯えていた。僕は彼女の努力を知っている。
彼女がどれだけの努力をしてあの場所に登りつめたか。
その努力は水の泡になるかもしれないんだからこうなっても仕方が無いのかもしれない。
「どうして・・・あんな・・・あんな・・・」
「・・・・・舞園さん。」
「苗木・・・・くん・・・」
前と違って落ち着いているようだった。
でも、安心はできなかった。
舞園さんには悪いが、僕に殺人の罪をなすりつけてまで外に出ようとした人だ。
彼女が僕の話を、何の抵抗も無しに聞いてくれるとも限らない。
前は感情のままに彼女を抑えようとした。絶対にここから出すと・・・。
今思えば、彼女を落ち着かせるための言葉だったのかもしれない。それでも、あの時は本当に出すと誓っていた。
それでも裏切った舞園さん・・・。
そんな感情を押さえ込んで彼女に話しかけた。
「舞園さん・・大丈夫なの?」
ここでの僕の最善の行動は彼女が殺人に走らないようにすること。最低でも殺人未遂で終わればそれでいい。
「こんな・・・のが・・大丈夫じゃないじゃ無いですか!苗木君だけは・・・苗木君だけは私の味方でいてくれると思ったのに・・・」
そう言うと彼女は泣き出した。怒りと悲しみをぐちゃぐちゃに混ぜた感情を表に出しながら。
本当ならば「僕は君の味方だよ。」とか「僕は君を見捨てたりなんかしない」と言うだろう。でもそれではダメなのだ。
彼女と僕は1番信頼している関係であり、1番疑い合う関係でなければならないのだ。舞園さんは洞察力がすごいいいから、僕の考えていることや僕の行動がわかるのだろう。
だからこそそういう関係じゃなきゃならないんだ。
「舞園さん。何で君は僕を味方だと決めつけていたの?僕は君を守るとか君をここから出すなんて約束していないよ?」
「え・・・・・苗木・・・・く・・ん?」
「僕も舞園さんのことを味方だとは思ってはいたけど、やっぱり無理なのかもしれないね・・・。僕は信用されてないみたいだし。」
「違いますよ!苗木君!苗木までいなくならないで・・・。もう嫌なんです。いきなり、一緒にがんばってきた仲間があんな風に倒れてて・・・もう怖いんです!だから・・・だから・・・苗木君は1番信頼できるんです!だから・・・」
「だから僕は君を信頼してないんだって!」
舞園さんはひどく怯えてしまったみたいだった。でも、予想よりはひどいみたいだけど大丈夫だね。
「僕はこんな状況だからこそ信頼してはいけないと思ってるんだよ!でも・・・舞園さんは・・・僕を本当に信頼してくれてるんじゃないかって思ってきたんだ。」
「・・・・・・・・」
「今日の朝ね、変な夢を見たんだ。舞園さんが桑田クンを殺そうとする夢。でも、舞園さんは返り討ちにあって桑田クンに殺されちゃうんだ。それから、舞園さんを殺したクロを探すことになった夢。」
舞園さんは黙り込んでいた。やっぱりこの段階で舞園さんは計画を少しはしていたみたいだった。
「だから、少し怖くなっちゃってさ。ただの夢なのにさ・・・ごめんね。」
「いいんですよ」
舞園さんはそこで口を開いた。
「苗木君。私は苗木君と一緒にここから出ます。どんな困難が待ち受けていようと、私は1人で突っ走ろうとはしません。私、言いましたよね?苗木君の助手だって。」
「・・・・・苗木君、今は信じるしかないんですよね?こんな状況だからこそ、外にいる仲間を信じるしかないんですよね?だったら、今は"みんな"でここから出れるように頑張りましょうね!」
僕は今驚きを隠せないでいた。
彼女は本当に僕のことを信頼していた。馬鹿正直に僕のことを信じているとしか考えられない彼女がそこにはいた。
ここで優しさを見せるべきか、突き離すべきか僕は悩んでいた。どうしたほうが今後、殺人を起こさないのか、僕にはわからなかった。
だからこそ、僕は僕の感を信じることにした。彼女を信じることに決めた。例えその選択が、最悪な選択だったとしても、僕は今の彼女を信じることにした。
「うん。そうだね。今は信じるしかないのかな?僕みたいなやつでいいんだったら、僕は君の味方になるよ。そして、みんなでここから出ようね。」
そう言うと彼女は嬉しそうに
「はい!!!!」
そう言って、僕と彼女は教室を後にした。
その一件のあと、僕たちは部屋に戻った。舞園さんはとても元気そうに部屋に戻っていった。
あんな映像を見せられて、精神状態がまずいはずなのに"信頼"っていうものは素晴らしいものみたいだね。
でも、無理はしてたのかな。少し笑顔が引きつってたし。
あとは、大神さんをどうにかしなければならない。
大神さんは道場の門下生を人質にとられて、1番最初に殺人を起こすように指示を出されていたはずだ。だったら、大神さんを止めなきゃならない。安心するのはそれからだな。
「さて、いこうか」
そう小さく呟いて僕は部屋を出て行った。・・・・・・・・・・・・・・・
『はーぁ。ホントがっかりだよ。希望の象徴の彼らをあんな風に監禁して、いい加減にして欲しいよ。"江ノ島盾子"』
『希望の象徴と呼ばれる彼らを助けなきゃいけないね。でも、どうしようか。どうやってあの学園に入ろうか。おそらく食料を運搬するための通路があるのか・・・。』
『でも、地下で育てているという可能性も・・・・。いや、運搬してるはず。地下でつくっていたとしても、何かはあるはず。』
『だとすると、"彼ら"に会う必要があるみたいだ。僕は見てるだけで吐き気がするけどね・・・。』
『それでも僕は、希望を助けるしかないね。僕は希望のためならどんなことでもするからね・・・。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『はぁ。ここに彼らはいるんだね。会うだけでもう絶望的だよ・・・。でも希望の象徴のためだからね。僕は喜んで踏み台になるよ。』
『もう、僕は彼らとよりを戻すことはできないだろうね。"超高校級の絶望"となった彼らとはね。でも、今はそんなことは関係ない。希望のために僕は希望の象徴たちを助けるんだからね』
そう呟いて、荒廃した町へと足を踏み入れたのだった。・・・・・・・・・
[chapter1: (非)日常編:始まりと信頼]end
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