2020-03-22 04:39:19 更新

概要

20☓☓年。学院の問題解決を図るために設置された学内裁判所。そして、そこでは、生徒会長が被告人の弁護をすることになっていた。
ラブライブ!×逆転裁判クロスオーバーss


前書き

第1話です。
初投稿なので拙いところもあると思いますが、見ていってくれれば幸いです。


                        ガッシャアァァァン


「はぁ...何で私がこんな目に...」


「誰かが...誰かがやったことにしないと...」


「...そうだアイツだ。アイツがやったことにすれば...」


______________________


10月3日 午前9時47分 簡易裁判室前。


穂乃果「うぅ...キンチョーするなぁ...」


私の名前は高坂穂乃果。この音ノ木坂学院の生徒会長だ。


今私は音ノ木坂学院内にある簡易裁判室の前にいる。何で学校にそんな部屋があるのか、は置いといて、何で私がそんな部屋の前にいるかというと...


〜昨日〜


絵里「あ、穂乃果!」


穂乃果「ぅ絵里ちゃん!どうかしたの??」


絵里「生徒会長の仕事について1つ伝え忘れたことがあってね。」


穂乃果「生徒会長のしごと...?」


絵里「そう。実は生徒会長はね、学院内で何か問題が起こったときに、その疑いをかけられている人を弁護しないといけないの。」


穂乃果「べ、べんご??何で??」


絵里「生徒に可能な限り、不利益がいかないようにするのが生徒会長だからよ。」


穂乃果「そうなんだ...」


絵里「で、さっそくなんだけど、明日裁判があるから。」


穂乃果「え、明日!?急すぎるよ!」 


絵里「言うのが遅くなってごめんなさい。まあ、裁判って言っても形式だけみたいなものだから。気楽に行けば大丈夫よ。」


穂乃果「うぅ...分かったよ...」


というわけだ。


はぁ、生徒会長って本当に大変なんだなぁ...



絵里「あ、穂乃果!」


穂乃果「絵里ちゃん?」


この人は絢瀬絵里。同じμsのメンバーで、私の前の生徒会長。


絵里「穂乃果が緊張してるんじゃないかと思って見に来たの。どう?大丈夫そう?」  


穂乃果「大丈夫といえば大丈夫だけど...」


絵里「あんまり緊張するものじゃないわよ。気楽にね。」


穂乃果「分かってるんだけど...でも、まさか被告人があの人なんて...」


絵里「そうね。私も知らなかったわ。...!噂をすればこっちに来るみたいよ。」


にこ「おはよ、あんたたち..」


そう言いながらツインテールの少女が近づいてくる。この娘は矢澤にこ。私や絵里ちゃんと同じスクールアイドルで、この事件の被告人だ。


穂乃果「おはようにこちゃん。...ふ、不機嫌そうだね。...やっぱり事件のこと。」


にこ「事件?違うわよ。昨日の追試に落ちたのよ。」


穂乃果「へ?つ、追試。事件じゃなくて?」


にこ「そう、追試よ。ったく、何で追試なのにあんなに難しいのよ...」


絵里「あら、にこ。それならさっきのHRで追試の問題に間違いがあったから不合格者の再追試をするって言ってたわよ。」


にこ「え、それ本当なの??」 


絵里「ええ。」 


にこ「こうしちゃいられないわ!早く帰って勉強しないと...まったく!犯人は誰なのよ!」


穂乃果「え、さ、さあ?」


犯人...今、1番疑われてるのはにこちゃんなんだよなぁ...


今回の事件は職員室で起こった。にこちゃんたちの数学の担当の先生である鹿島先生の大事にしてる花瓶が割られたのだ。


そして、その日に鹿島先生から職員室に呼び出されていたにこちゃんに疑いの目が向けられた。


...でも、にこちゃんは犯人じゃないと思う。いつもはつんけんしてても、にこちゃんはいい人だ。もし、本当に花瓶を割っちゃったならにこちゃんは隠したりしない。


10月3日 午前10時音ノ木坂学院内 簡易裁判室


ザワザワザワザワザワザワ


コツンッ


理事長「これより、矢澤にこの法廷を開廷します。」


ヒデコ「検察側、準備完了しています。」


穂乃果「あれ、ヒデコだ。なんでここにいるんだろう。」


絵里「いい忘れてたけど、被告人の容疑の証明は検察委員の人が担当するのよ。」


穂乃果「へぇー、そんな委員会があったんだ...」


絵里「ちゃんと委員決めのときに募集してたはずだけど、さては寝てたわね。」


穂乃果「え、なんで分かったの!?」


絵里「まったく...」


理事長「弁護側は準備完了していますか?」


穂乃果「あ!べ、弁護側も準備完了しています...」


理事長「‥‥‥‥」


理事長「高坂さん。貴女はたしか、今日が初めての

法廷だったかしら」


穂乃果「は、はい‥‥」


理事長「被告人が有罪になるか、無罪になるかは、生徒会長にかかっています。生徒会長である貴女が、そんなにキンチョーしていては困りますね。」


穂乃果 「‥‥すみません。」


理事長「 ‥‥そうですね。裁判を進める前に、本当に”準備完了”しているか、たしかめさせてもらいましょうか。」


穂乃果「は、はい‥‥」 


うわあ、アタマの中がマッシロになってきた‥‥


理事長「カンタンな質問をするから、答えてください。まず、この事件の被告人の名前を。‥‥言ってみなさい。」 


穂乃果「ヒコクニン‥‥は、ええっと、絢瀬絵里さん。」


絵里「穂乃果、私もうお家に帰っていいかしら?」


穂乃果「そんな!」


流石にマズかったみたいだ...とりあえず、一旦落ち着かないと。


理事長「答えがよく聞こえませんでしたね。もう一度お願いできますか?」


穂乃果「ヒコクニン、それはにこちゃん、矢澤さんのことですよね。」


理事長「そのとおり。そんな感じで、落ち着いて答えればよろしい。じゃあ、次の質問です。今日の裁判は破損事件ですが、破損した物を教えてください。」


穂乃果「‥‥ふう。それならわかるよ。

絵里ちゃんから話聞いたから。」


‥‥って、あれ?ど‥‥ど忘れしちゃった!なんだっけ!


絵里「穂乃果!貴女って人は‥‥事件の情報なら手元の書類に書いてあるわよ。」


穂乃果「そ、そうなんだ。」


理事長「答えてもらいましょう。この事件で破損したものは?」


穂乃果「えーと。花瓶だったかな。」


理事長「‥‥よろしい。では、事件が起こった日付、分かりますか?」 


穂乃果「たしか、9月30日ですよね。」


試験の結果が返された日だからこれは覚えてる...嫌な記憶と一緒に...


理事長「そのとおり。確か、職員室の整理があった日なのでその日ですね。」


穂乃果「職員室の整理?」


理事長「先日退職された丸山先生の席を片付けたんですよ。その空いた机に鹿島先生が移られたんでしたかな。」


穂乃果「へえー、そうだったんだ。」


理事長「じゃあ、質問はこれぐらいにして、そろそろ審理を始めましょう。貴女も、だいぶ落ち着いてきたようですからね。」


穂乃果「‥‥はい。」


そうでもないけど...


理事長「‥‥さて。ちょっといいですか?ヒデコ委員。」 


ヒデコ「なんでしょうか、理事長。」


理事長「今、高坂さんが言ったとおり、今回は花瓶が破損しています。その”花瓶”ですが、具体的には、どういう‥‥?」


ヒデコ「花瓶は、こちらのものです。これは鹿島先生の私物で、薔薇の絵が描かれています。なんでも事件の日に初めて持ってきたものだとか。」


理事長「そうですか。それは、お気の毒に。証拠品として受理しましょう。」


穂乃果「へえー、これがその花瓶かぁー。粉々で何が描いてあるのかよく分からないや。鹿島先生は何でこんなの机においてたんだろう。」


絵里「実は鹿島先生は大の花瓶好きでね。毎週違う花瓶を持ってきて机に置いてるのよ。」


穂乃果「へ、へぇー...」


どんな趣味なの...


証拠品<<花瓶>>のデータを法廷記録にファイルした。 


         花瓶

   鹿島先生の私物。薔薇の絵が描いてあ

   るが、粉々でよく見えない。事件の日

   に初めて学校に持ってこられた。

 

絵里「穂乃果。裁判が進むと、こんなふうに<<証拠品>>が提出されていくの。<<証拠品>>のデータは、これからあなたの武器になるから、法廷記録をチェックしておいた方がいいわよ。」


ヒデコ「続いて現場の上面図を提出します。」


理事長「受理します。」  


穂乃果「これを見ると、花瓶は1番窓際の通路で割れたみたいだね。」


絵里「そうね、これだと遠くからは机で遮られて、割れた花瓶は見えないんじゃないかしら。」


証拠品<<上面図>>のデータを法廷記録にファイルした。 


理事長「 では、ヒデコ委員。証人を呼んでください。」


ヒデコ「まず、被告人・矢澤さんの話を聞きたいと思います。」


穂乃果「にこちゃんか...」


‥‥変なこと言わないといいけど。



矢澤にこ 入廷


にこ「にっこにっこにー♪あなたのハートににこにこにー♪笑顔届ける矢澤にこにこー♪にこにーって覚えてラブにこっ♪」


ザワザワザワヤザワザワザワ


コツンッ


理事長「静粛に。」


ヒデコ「矢澤さん。貴女は、鹿島先生に試験の点数のことでこっぴどく叱られたそうですね。」


にこ「えぇ〜!!にこ分かんな〜い!」


理事長「...」


ヒデコ「...」


穂乃果「...」


絵里「...」


にこ「...そのとおりよ。何?悪い?」


にこちゃん、のっけから飛ばすなぁ...


ヒデコ「ここに鹿島先生から預かった今回の数学のテストの平均点と生徒の点数の一覧表があります。」


理事長「分かりました。証拠品として受理します。」


証拠品<<テストの成績表>>のデータを法廷記録にファイルした。


      テストの成績表

       平均点:76点

東條希 76点 姫川世麗奈 37点 古野桃子 61点

本田明 53点 牧野結愛 92点 宮本幸奈 72点

村田七歩 46点 本村唯 82点 矢澤にこ 25点


理事長「平均点が76点...なるほど、そこそこできが良かったのですね。そして矢澤さんの点数は...25点。確か、我が校の赤点のラインは...」


ヒデコ「平均点の半分です。」


理事長「ということは、赤点ですね。」


にこ「うぅ...」


絵里「...今度から宿題でも出そうかしら...」


...私も赤点があったことは黙っておこう。


ヒデコ「しかも、被告人はその追試にも落ちている。許されざる行為です。」



ヒデコ「鹿島先生は非常に厳しい先生です。赤点をとった彼女に対する指導は目に浮かぶでしょう。」


理事長「そうですね。それに苛立った被告人がはらいせに花瓶を割った。これは動機として認められるでしょう。」


穂乃果「しまった...!」


でも私もあるんだよね、無性に海未ちゃんの掛け軸を破りたくなったこと。


ヒデコ「では、次の質問です。あの日貴女は職員室に行きましたか?」


にこ「え〜!!にこ...分かんなーい...」


...あの分じゃ、にこちゃん職員室に行ってるな。でも、嘘つかせてもどうしようもないし。


穂乃果「にこちゃん、正直に答えて。」


にこ「...行ったわよ。」


ザワザワザワヤザワザワザワ


コツンッ 


理事長「静粛に。」


にこ「鹿島先生に呼ばれて行ったのよ。でも、その時はいなくて、中を覗いただけで帰ったわよ。」


ヒデコ「「異議あり!!」」


ヒデコ「理事長。被告人は嘘をついております。こちらには被告人の嘘を立証する証人がいます。」


理事長「それは話が早い。どんな証人ですか?」


ヒデコ「割れた花瓶の発見者です。彼女は、花瓶を発見する直前に、現場から逃げていく被告人・

矢澤さんを目撃しているのです!」


ザワザワザワザワヤザワザワ


コツンッ


理事長「静粛に! 静粛に!‥‥ヒデコ委員。その証人を呼んでください!」


ヒデコ「はい。」


と、とんでもないことになってきたぞ‥‥


ヒデコ「事件当日、現場で花瓶を発見した、姫川世麗奈さんを入廷させてください!」


姫川世麗奈 入廷


ヒデコ「証人。学年クラス名前と所属団体を。」


世麗奈「‥‥3年C組 姫川世麗奈ですの。今はどこも入ってませんわね。昔はそこの被告人さんと同じアイドル研究部に入ってたこともありましたけど...」


穂乃果「あの人がにこちゃんの昔のメンバー...」


絵里「まあ、それが事件に関係あるかは分からないけどね。」


穂乃果「なんだかあの人、どことなく真姫ちゃんに似てるような。」


絵里「姫川世麗奈って言えば大会社の社長令嬢って有名だもの。真姫と同じような立場なのね、きっと。」


理事長「では、さっそく証言していただきましょう。あなたが事件当日、見たことを話してください。」


ー証言開始ー


世麗奈『あの日、職員室前をあるいていたら、

職員室から女の方が出てきたんですの。』 


世麗奈『女の方はあわてた様子で、ドアを半開きに

したまま、出ていきました。』


世麗奈『おかしいと思って、わたくし、部屋をのぞきましたの。』


世麗奈『そうしたら花瓶が割れていたんですわよ。』


世麗奈『わたくしは部屋には入らないですぐに近くの部屋にいた先生に報告に行きました。』


世麗奈『時間は大体3分といったところですわね。』


世麗奈『あの特徴的なツインテール。間違いなく逃げたのはそこの被告人さんですわよ。』


理事長「 ふむう‥‥」


にこちゃん‥! なんで正直に話してくれなかったの!こんなにハッキリ見られてちゃ、弁護なんか、しようがない!


理事長「では、高坂さん。」


穂乃果「は、はい!」


理事長「 尋問をおねがいします。」


穂乃果「 じ、尋問、ですか‥‥?」


絵里「‥‥さあ、穂乃果。いよいよ本番よ。」


穂乃果「え、絵里ちゃん。尋問って、どうすれば‥‥?」


絵里「今の証言の嘘を暴くのよ、もちろん。」


穂乃果 「えっ!ウソ‥‥?」


絵里「にこが無実なら、あんな目撃証言なんか、

ウソに決まってるでしょう!」


穂乃果「でも‥‥どうやって?」


絵里「カギをにぎっているのは、証拠品よ!

あの証人の証言と証拠品のデータとの間には、

何か決定的な食い違い、すなわち<<ムジュン>>があるはず。まず、法廷記録と証言で、ムジュンしている部分を探すの。そして、ムジュンしている

証拠品を見つけたら、それを、あの証人に

つきつけてやりなさい。」


穂乃果「‥‥う、うん。」


ー尋問開始ー


世麗奈『あの日、職員室前をあるいていたら、

職員室から女の方が出てきたんですの。』 


世麗奈『女の方はあわてた様子で、ドアを半開きに

したまま、出ていきました。』


世麗奈『おかしいと思って、わたくし、部屋をのぞきましたの。』


世麗奈『そうしたら花瓶が割れていたんですわよ。』


世麗奈『わたくしは部屋には入らないですぐに近くの部屋にいた先生に報告に行きました。』


「「異議あり!!」」


穂乃果「この上面図を見てください!これによると花瓶は1番窓際の通路で割れている。廊下からでは机に遮られて花瓶を見ることができない。つまり、部屋に入らないで割れた花瓶を目撃することは不可能なのです!!」


世麗奈「...っ!」


ヒデコ「「異議あり!」」


ヒデコ「それは、ささいなコトです。本当に扉から花瓶が見えなかったかどうか‥‥」 


理事長「‥‥いえ、職員室の扉から1番窓際の通路が見えるとは思えません。姫川さん。本当に部屋には入らなかったのですか?」


絵里「みごとなツッコミよ!穂乃果!そうやって、ムジュンを指摘していけばいいの。嘘は、かならず次の嘘を生み出すはず。その嘘をまた見抜いて、

あいつを追い詰めましょう!」


世麗奈「‥‥入りましたわ。実は。」


理事長「では、何故入っていないと?」


世麗奈「疑われると思ったのんですの。世の中にはすぐに人のせいにする酷い方もおりますから...」


なんかこっちを見た気がしたんだけど...


理事長「それではもう一度証言をしてもらいましょうかな?そのとき見たことについて。」


ー証言開始ー


世麗奈『実はあの方が出ていく前にガシャーンと音がしましたの。』


世麗奈『それで気になって職員室の奥まで行ったんですわ。』


世麗奈『すると1番奥の通路で何か散らばっているのに気付きました。』


世麗奈『行ってみると例の花瓶が粉々に割れていましたのよ。』


世麗奈『そこからはそのまま別室の先生のところへ行きましたわ。』


理事長「なるほど。では、高坂さん。尋問を。」


ー尋問開始ー


世麗奈『実はあの方が出ていく前にガシャーンと音がしましたの。』


「「待った!」」


穂乃果「職員室前でそれを聞いたわけですか。」

 

世麗奈「そうですの。」


穂乃果「そもそも貴女はどうして職員室へ行ったんですか?」


世麗奈「そ、そんなことは関係ないでしょう?たまたま行ったんですのよ。たまたま...」


穂乃果「そうですか。」


私ならたまたまでも行きたくないけどな、そんなとこ。


世麗奈『すると1番奥の通路で何か散らばっているのに気付きました。』


世麗奈『行ってみると例の花瓶が粉々に割れていましたのよ。』


「「待った!」」


穂乃果「その花瓶何か変わったところはありましたか?」


世麗奈「...変わったところといっても、1番変わっていたのは粉々になっていたことでしょうか。」


まあ、そりゃあそうだよね。


世麗奈「せっかくの"そうび"が台無しでしたわね。」


穂乃果「絵里ちゃん。"そうび"って何?」


絵里「...薔薇の花のことよ。」


理事長「では、今の発言を証言に加えてください。」


世麗奈『花瓶に描かれていた薔薇の絵も台無しでしたわね。』


「「異議あり!!」」


穂乃果「例の花瓶には薔薇の絵が描かれていた。間違いありませんか?」


世麗奈「ええ。」


穂乃果「確かにこの花瓶には薔薇の絵が描かれていま"した"。しかし、このように粉々になった今ではその絵を確認することはできない!」


世麗奈「くっ!」


理事長「た、確かに。」


穂乃果「世麗奈さん。貴女はなぜ、この花瓶に薔薇の絵が描いてあったことを知ってたんですか!?」


「「異議あり!」」


ヒデコ「前に職員室に入ったときに見たんでしょう!」


「「異議あり!!」」

 

穂乃果「いいえ、それはあり得ません。なぜなら、あの花瓶は今日初めて持ち込まれたものだからです。さあ、何故薔薇のことを知っていたか、答えてください!」


世麗奈「そ、それは...わ、わたくしには"教養"がありますのよ。貴女方と違ってね。だか、いくら粉々でも薔薇の絵が描いてあったことぐらいわかりますのよ。」


穂乃果「何か、急に目線が上からになったね。」


絵里「それがあの娘の本性ってことじゃない?」


世麗奈「大体!皆様忘れていませんか?あの矢澤さんには決定的な動機があることを!」


理事長「確かに、矢澤さんには動機がありましたね

。」


世麗奈「皆様、この写真を見てください。これはわたくしが現場で撮影したものですわ。」


理事長「な、なんと、現場の写真が?」



証拠品<<現場写真>>のデータを法廷記録にファイルした。


        現場写真  

    花瓶は鹿島先生の机から少し離

    れた位置で割れており、破片に

    は足跡が残っている。


穂乃果「...手前の机にいくつか冊子が載ってるね。これはどの先生の机だろう。」


ヒデコ「そこは...鹿島先生の机ですね。どうやらその冊子は追試験の問題用紙だそうです。この日には完成していたと言っていました。」


理事長「そ、それは...何と不用心な...」


ヒデコ「まあ、試験期間ですからね。他の机にも出ている机はありましたし...」


ってことは、私もこの問題用紙があれば追試験は点がとれるんじゃ...!


絵里「穂乃果。それは3年生の問題よ。」


穂乃果「絵里ちゃんエスパー!?」


理事長「では、被告人の動機について証言を。」


ー証言開始ー


世麗奈『鹿島先生は厳しい方ですから。クラスの最高点と最低点をいつも発表するんですの。』


世麗奈『この前は矢澤さんが最低点をおとりになったらしくて。』


世麗奈『皆の前で叱ってらっしゃいましたね。』


世麗奈『余程の恥だったのでしょう。花瓶を叩き割った上で踏みつけるなんて...』


世麗奈『まあ、馬鹿の矢澤さんにはそれくらいしかすることはないでしょうけどね...ふふっ』


穂乃果「私、あの人嫌いだな。」


絵里「あら、奇遇ね。私もよ。」


理事長「では、高坂さん。尋問を。」


ー尋問開始ー


世麗奈『鹿島先生は厳しい方ですから。クラスの最高点と最低点をいつも発表するんですの。』


世麗奈『この前は矢澤さんが最低点をおとりになったらしくて。』


世麗奈『皆の前で叱ってらっしゃいましたね。』


世麗奈『余程の恥だったのでしょう。花瓶を叩き割った上で踏みつけるなんて...』


穂乃果「「待った!」」


穂乃果「花瓶を叩き割った?どうしてそんなことが分かるんですか?」


世麗奈「だって、この写真のとおり花瓶は鹿島先生の机から少し離れた位置に転がっている。つまり、一度持ち上げて叩き割った証拠じゃありませんか。」


どうしよう...反論しようか。よし、反論しよう。


バンッ


穂乃果「そうとは限りません。もしかしたら間違えて倒してしまいそれが転がったのかも...」


ヒデコ「「異議あり!」」


ヒデコ「今は、被告人に悪意があったかは問題じゃありません。花瓶を割ったか割ってないかです。」


理事長「そうですね。高坂さんはもう少し意味のある質問をするように。」


穂乃果「うぅ...はい。」 



世麗奈『まあ、馬鹿の矢澤さんにはそれくらいしかすることはないでしょうけどね...ふふっ』


...他にすることがない。そうかな..。にこちゃんだったらもっと"他にすること"があるような気がするんだけど...


世麗奈『鹿島先生は厳しい方ですから。クラスの最高点と最低点をいつも発表するんですの。』


世麗奈『この前は矢澤さんが最低点をおとりになったらしくて。』


世麗奈『皆の前で叱ってらっしゃいましたね。』


世麗奈『余程の恥だったのでしょう。花瓶を叩き割った上で踏みつけるなんて...』


世麗奈『まあ、馬鹿の矢澤さんにはそれくらいしかすることはないでしょうけどね...ふふっ』


穂乃果「「異議あり!!」」


穂乃果「他にすることがない...?そんなわけがありません!この写真を見てください。」


理事長「これは先程の現場写真ですね。」


穂乃果「そう。もしにこちゃんが恥をかいたのなら、恥の復讐より、さらなる恥の上塗りを防ぐはずです!つまり、ここに写っている問題用紙を手に入れようとするはず。しかし、にこちゃんは"追試にも落ちている"んです!問題用紙を手に入れたならいくらにこちゃんとて、少なくとも不合格にはならない!」


世麗奈「くっ...きゃあ!」


穂乃果「つまり、にこちゃんは少なくともこの机には近づいていない。花瓶を割ることは不可能です。」


理事長「...確かに、そのようですね。しかし、この被告人が無実だとしたら一体誰がこんなことをしたのでしょう。高坂さん。その誰かをあげることはできますか?」   


穂乃果「そ、それは...」


絵里「いいわ、穂乃果。ぶちかましなさい。貴方にももう分かってるんでしょ。"誰が犯人か。"」


穂乃果「...いいでしょう。犯人の可能性がある人物とは、姫川世麗奈さん、貴女です!」


世麗奈「なっ!」  


ザワザワザワザワザワザワ


コツンッ


理事長「静粛に!し、証人ですか。しかし動機は何ですか?貴方にそれを提示することができるのですか?」


どうだろう...いや、できる。もう行くしかない!


穂乃果「動機は...これです!」


理事長「これは、テストの成績表ですか。」


穂乃果「そうです。これの姫川世麗奈さんの点数を見てください。」


世麗奈「っ...!」


理事長「37点...」


穂乃果「そう、そしてこの学校の赤点の基準は?」


理事長「へ、平均点の半分。」


穂乃果「そう。平均点76点の半分は、38点。そう、姫川世麗奈さん。あなたの点数は、"赤点"なのです!!」


世麗奈「くっ...きゃあああああああああ!!」 


「「異議あり!」」


ヒデコ「しかし、テストで赤点をとったからってそんな犯罪すれすれのことを...」


穂乃果「世麗奈さんは社長令嬢です。私の部活にも同じ立場の人がいますが、親からの期待と重圧と常に戦っています。そんな世麗奈さんにとって赤点なんて許されるわけがない。だから...」


「「待った!」」


世麗奈「さっきから黙って聞いてれば...わたしが問題用紙を盗んだ?はっ!馬鹿らしい。そんな証拠どこにあるの??大体...」


理事長「姫川さん。そういうのは証言でお願いします。」


世麗奈「...ちっ!」


本性が出てきたね...


ー証言開始ー


世麗奈『あたしが問題用紙を盗んだなんて証拠どこにあるのよ?』


世麗奈『あたしはあんたたち庶民とは違うのよ。』


世麗奈『矢澤の馬鹿と違って追試だって自力で100点をとったの。』


世麗奈『大体、今は花瓶の話でしょ?関係ないじゃない。』


理事長「ふ、ふむう。では、高坂さん尋問を。」


ー尋問開始ー


世麗奈『あたしが問題用紙を盗んだなんて証拠どこにあるのよ?』


世麗奈『あたしはあんたたち庶民とは違うのよ。』


世麗奈『矢澤の馬鹿と違って追試だって自力で100点をとったの。』


世麗奈『大体、今は花瓶の話でしょ?関係ないじゃない。』


穂乃果「そ、そんなムジュンが見つからないよ...」


理事長「...確かに問題用紙の問題は気になりますが、本件は花瓶の事件。何もなければ、この証人の尋問は終了しますが。」


世麗奈「ふふっあははははは!...ふう、中々楽しめましたわ。生徒会長さん。では、わたくしはもう帰っていいいかしら?」


穂乃果「そんな、せっかくここまで来たのに...」


絵里「穂乃果...諦めちゃだめ。貴女が諦めたら誰がにこを信じるの?」


穂乃果「でも、もう手段がないよ。」


絵里「いい、聞いて。私達の武器は情報なの。今日審理が始まる前から今までの情報を全部思い出してみて、答えはきっとその中にあるわ。貴女ならできるなんたってμsのリーダーなんだから。」


穂乃果「え、絵里ちゃん。」


今までの...情報...


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


絵里『週に一度花瓶を...』


世麗奈『鹿島先生の机から離れた位置に...』


ヒデコ『その日に問題用紙が作り終わった...』


世麗奈『自力で100点を...』


理事長『その日は職員室整理が...』


絵里『追試に間違いがあったから...』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そうか...そういうことだったんだ。


理事長「では、これにて姫川世麗奈さんへの尋問を...」


「「待った!!」」


穂乃果「待ってください!尋問はまだ終わっていません!」


理事長「そ、そうですか?...では、1つだけ質問を許可します。」


世麗奈「あらあら、しつこいお方ですのね。」


穂乃果「世麗奈さん。貴女は追試で100点をとったんですね。」


世麗奈「ええ、そうですわ。」


これが...答え...


「「異議あり!!」」


穂乃果「100点をとった...それはあり得ない!」


世麗奈「なっ!」


穂乃果「これはあなたと同じクラスの生徒の証言です。今朝のHRで、鹿島先生はこう言ったそうです。"あの問題には間違いがあった。"」


世麗奈「っっ!」


穂乃果「あなたは裁判の準備で出ていなかったから知らなかったのでしょう。つまり!いくらあなたがKKSであったとしても、あの試験で100点をとるのは不可能なのです。"問題用紙を盗んでいなければ"ね!!」


世麗奈「ふふっあははははは!ふぅ...あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっっっっ!!」



理事長「....どうやら、結論が出たようですね。それでは被告人・矢澤にこに判決を言い渡します。」


やっと、終わった...


「「待った!!」」


世麗奈「まだよ...っ!まだ、終わってない!」


穂乃果「嘘でしょ!まだ食い下がるの?」


絵里「流石に社長令嬢だけあって面倒くさいわね。」


世麗奈「確かに...あたしは問題用紙を盗んだ。でも、それと花瓶のこととは関係ない!問題用紙に気付かなかった矢澤が割ったんだ!こうなったら、あアンタも道連れにしてやる!」


理事長「た、確かに。やけくそを感じますが、主張は正しい!こ、高坂さん。この証人が花瓶を割ったという証拠はあるのですか!?」


穂乃果「ど、どうすればいいの絵里ちゃん!」


絵里「穂乃果。発想を逆転させるのよ。花瓶を割ったはずと考えるんじゃなくて、"花瓶を割ってないはずがない"と考えるのよ。」


穂乃果「発想を...逆転。わ、分かった。やってみるよ!」


理事長「さあ高坂さん。彼女が花瓶を割ったという決定的な証拠を提出してください!」


これが、決定的な証拠品...


「「くらえ!!」」


理事長「こ、これは、現場写真?」


世麗奈「それのどこが証拠だっていうのよ!」


穂乃果「その前にあなたの事件当日の動きを確認させてください。あなたは矢澤さんが花瓶を割った後、職員室に入り、割れた破片を目撃して写真を撮った後、鹿島先生の机から冊子を盗んだ...」


世麗奈「そうよ!」 


穂乃果「では、お聞きします。あなたは何故、分かったんですか?"そこが鹿島先生の机だと"。」


世麗奈「は?え、だって、そんなの花瓶が...あッ!」 


穂乃果「そう、この写真のとおり、花瓶は鹿島先生の机からは遠く離れた位置で割れている。そして鹿島先生の机には花瓶以外なんの変哲もない。つまり、彼女が職員室に入ったとき、まだ花瓶はあったんです!」


理事長「し、しかし、前に職員室に行ったことがあれば鹿島先生の机の位置くらい。それに問題用紙もあることだし。」


穂乃果「いえ、当時は期末テスト最終日。問題用紙はほとんどの先生の机に置かれたいたはず。そして、当日の職員室整理によって鹿島先生の席の位置は変わっていた。よって、花瓶以外に彼の机の位置を把握する方法はない!つまり、問題用紙を盗んだことはイコール花瓶を割ったということになるのです!!いかがですかっ!姫川世麗奈さん!」


世麗奈「......………………………ふふっ、ふふふふふふふふふふふふふ。うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!だって!だって!テストであんな成績とったらこの学校にいられなくなる!追試で絶対に100点とらなきゃいけなかったの!だから、だからあたし。本当は羨ましかった。あんなに仲間と一緒に輝いてる矢澤さんが。矢澤さん見てたら、何であたしばっかり、あたしばっかりって!あたしだって、あたしだって、もっとみんなとプリクラ撮ったり、クレープ食べたり、遊びたかったよぉぉぉぉ!!!」


姫川世麗奈さんの絶叫は法廷内にこだました。彼女もやり方は間違えてしまったが、青春を求め女子高生だったのだろう。友達に合わせて言葉遣いを崩し、友達との遊びにかまけて成績を落とす、そんな馬鹿な高校生の1人だったのだろう。



理事長「...姫川世麗奈は?」


ヒデコ「生徒指導室に送りました。今は泣きながら自供しています。問題用紙を盗んだあとに花瓶を誤って割ってしまい。矢澤さんの犯行に見せかけたようです。」


理事長「そうですか。さて、高坂さん。正直、驚きました。最初の裁判でこんなにも早く真犯人を見つけ出すとは。」


穂乃果「あ、ありがとうございます。」


理事長「では、今となっては形式に過ぎませんが、被告人・矢澤にこに判決を言い渡します。」



       無      罪


理事長「では、本日はこれにて閉廷。」


_______________________


10月3日 午後2時30分 音ノ木坂学院 簡易裁判室前。


穂乃果「はあ〜、やっと終わったー!」


絵里「お疲れ様。穂乃果!」


穂乃果「絵里ちゃん!今日は本当にありがとう!」


絵里「穂乃果こそ!初めてなのにあんなに...」


にこ「やれやれ、騒がしい連中ね。」


穂乃果「にこちゃん!無罪おめでと!」


にこ「ありがと...にこを信じてくれたこと、か、感謝してるわ。」


穂乃果「にこちゃんー!よし、このあと皆で打ち上げでも...」


にこ「悪いけど、パスよ。私はこれから追追試の勉強しないといけないんだから、そうしないとまた鹿島に虐められるわ。はぁ...」


穂乃果「にこちゃん...」


絵里「ねぇ、にこ。貴女自分の追試の点数知ってる?」  


にこ「知らないわ。ただ、落ちたことだけ...」


絵里「79点よ。この成績表の裏に書いてあったわ。もし、あの問題がなかったらもしかしたかもね。」


にこ「え、そ、そうなの?」


絵里「それに、鹿島先生、職員室でよく言ってるのよ。矢澤は頑張ればできるやつだってね。」


にこ「......なによ、それ。そんなの...当たり前じゃない!」グスン


にこ「穂乃果!悪いけど、やっぱり打ち上げは行かない!一生懸命勉強して100点とって鹿島の奴を見返してやるんだから!それじゃあね!」


穂乃果「ふふっ、にこちゃんって単純だね。」


絵里「まあ、それがにこのいいところなんだけどね。それじゃあ、打ち上げは2人で行きましょうか。」


穂乃果「あ、いいね!どこ行く?」


絵里「じゃあ、穂乃果の好きなラーメンとか?」


穂乃果「え、やったあ!」


...こうして、私の最初の事件は幕を閉じた。にこちゃんはその後、追試で無事100点をとったらしい。


でも、このときの私はまだ知らなかった。その数日後、まさかあんな事件が起きてしまうなんて。


後書き

ssを書くのって大変なんだなってことを実感しました。また、やる気が入ったら2話目も投稿していきたいと思います。


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