真姫「卵が焦げる」
投稿練習がてらの初物なのでちゃんと書けているかどうか分かりませんが最後までお付き合いください。
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ガチャ
にこ「あら真姫。早いのね」
真姫「にこちゃんこそ珍しいじゃない、一番乗りだなんて。まして読書なんてね」
にこ「バカにしてんの?私だって本くらい読むわよ!!....実はたまたま図書館で見つけたこの本がすっごく面白くってつい止まんなくなっちゃってね。家では忙しくて全然読めなかったから授業中もずーっと読んじゃってて...でも練習に遅刻するわけにはいかないから早めに部室来て読んでたのよ」
真姫「なーんだ、そういう事。かなり分厚い本みたいだけどにこちゃん本当に内容理解してるの?」
にこ「してるわよ!!それにこれからのアイドル、可愛いことは大前提なの!ようはそこにどれだけの人間的価値を盛り込んで行くか、キャラではない魅力を継ぎ足していくかよ!!!
そこで考えたのは知的さ!!!すなわち文学少女や理系女子よ!でも私が理系というのはふかの...じゃなくてイメージを崩しかねないからこうして文系に走ろうと昨日は図書館に寄ったのよ。分厚い本を物ともせず黙々と読み進める文学にも長けたにこにー...素敵だと思わない!?」
真姫「そんなに熱く語られても長いし興味ないわ。あと立ち上がるから読んでたページ閉じちゃってるけどいいの?」
にこ「あ"ぁぁ~!!!!!!!!えっと、えっと、なんページだったか分かんなくなっちゃったじゃない~!!!!!!」
真姫「自業自得でしょ。それに練習始まるんだからどのみち閉じなくちゃいけないでしょ(チラッ...って、あら?割と面白そうね、その本」
にこ「ん?でしょでしょ~!やっぱりにこくらいになるとぉ~、読む本のチョイスすら完璧なのよねぇ~。あ、そうだ!ちょうどもうすぐ読み終わるから帰り一緒に返しに行く?私が返したら真姫も借りればいいんじゃない?」
真姫「私はピアノのお稽古の時間にさえ間に合えば構わないけど...ところで皆は?花陽は先生が会議だから凛の補習に付き添わされてるけど他の皆もまだ来てないの?」
にこ「2年生は生徒会よ。穂乃果がわざわざここまで走って言いに来たわ。絵里と希も手伝いに行くって言ってた。仕事溜めたのは自業自得だしわざわざ手伝うことないって止めたんだけど生徒会の先輩としてそういうわけにもいかないんだってさ。それに5人がかりでやればなんとか早く済むかもしれないしね」
真姫「でもふたりじゃすることないわね...」
にこ「そうね...」
真姫「それなら私も皆を待つ間本でも読んでようかしら。ちょっと図書室行ってくるから待ってて」ガタッ
にこ「あ、ちょっとまって。もう一冊小説持ってきてるからこれ読みなさいよ。こっちも結構面白かったわよ。ま、ストーリーはありきたりなパターンだったけど」
真姫「ありがと、お言葉に甘えるわ」スッ
静寂に包まれた部室はただただ下校する生徒の騒がしい声とページを捲る不規則な音だけが反響する空間だった。
にこ「...ねえ」
真姫「なに?」
にこ「完璧って何だと思う?」
真姫「どうしたの突然...そりゃなんでもできて見た目もよくて冷静で...そう、絵里みたいな人のことじゃないの?」
にこ「でも、背の小さい可愛い子が好きな人にとっての完璧は私かもしれないわよ」
真姫「自分で自分を可愛いって ...でもそれはその人の主観的に見た完璧で、客観的に見た完璧はやっぱり絵里みたいな人じゃないかしら」
にこ「でもそれなら真姫は完璧よ?いつもテストの点はいいし背も高いし胸も...決して!!!小さくない私から見ても...大きいし...歌も上手いしお金持ちだし...でも料理は苦手よね?それに癖っ毛だしその上まだ...サンタさんを...ぷぷぅww」
真姫「ちょっと!私を褒めたいわけ、悪口言いたいわけ!?それにサンタさんはいるわよ!!それにそこでどうして料理の話が出てくるのよ!別にいいでしょ、慣れてないだけよ...多分」
にこ「なら例えば、真姫は料理するときどんな風に作る?」
真姫「そりゃもちろん失敗しないように、レシピに忠実に量を計って、書かれてる通りに混ぜ合わせて、火にかけてからはきっちり時間を測って作ってるわ。それなのになぜか失敗しちゃうの!」
にこ「そんなの当たり前よ。完璧に作ってるんだもの。あんたは...そうね。仮にオムライスを作ってるとするでしょ?卵を焼いたあとレシピにはご飯を楕円形に乗せるって書いてあった。そしたらどうせ完璧な楕円にしようと試行錯誤して頑張るでしょうね。そしてそんなことしてる間に卵は焦げてしまう」
真姫「当然でしょ?だってレシピ通りじゃないと辛すぎたり甘すぎたりするじゃない。だからレシピ通りに作ってるのよ、普通でしょ?」
にこ「じゃあ出来上がったものは?あんたと対峙してるその物体は完璧なオムライスなの?あんたいつからダークマターのレシピに変えてたの?」
真姫「んなっ...ダークっ...」
にこ「それならどうすればいいか。簡単よ。適当にご飯をのせたらいい。つまり完璧にするためには完璧じゃなくなることも必要なのよ。だから完璧な完璧なんて存在しないって思うの。言われたことを完璧にこなせば完璧じゃなくなることもあるし、臨機応変に柔軟に行程を進めるのは完璧じゃない。完璧を目指すなら自分のなかでは完璧ではないって思ってるし、自分を完璧だと思うなら向上心に欠けてる」
真姫「確かにそうね。それなのに人は完璧を目指す。そういう不完全なとこを含めて人間の素晴らしいとこなのかも。完璧じゃないから自分に足りないものを補うため恋をするし、下がいるから上がいる。完璧の形はそれぞれ違うし、だからこそ面白いのね、きっと...でもにこちゃん、突然どうしたの?柄にもなく哲学みたいな話しはじめて」
にこ「別に??何となく考えただけよ。突然ふと思い付くそんな他愛もない考えも、あんたの言う面白いとこなのよ。多分」
バターン
穂乃果「たっだいまぁー!!!やー、終わった終わった~」
海未「こら穂乃果!!!ドアが壊れたらどうするんです!はしたない真似はやめてください!!」
穂乃果「えへへ~...あれっ?二人だけ?なんの話してたの~!?」
真姫「別に。卵が焦げる話よ」
穂乃果「??えぇ~!?意味わかんないよ~!ねえにこちゃーん、おしえてよぉ~」
にこ「にこ難しい話わかんないにこ☆じゃあにこにー時間だから帰るわねっ!にっこにっこにー!!あ、そうだ真姫、喋ってたせいで結局読み終われなかったから土曜日一緒に図書館行くにこーっ☆じゃあね!」
真姫「あっ、にこちゃん!」
にこ「ん?」
真姫「あの....えーっと、そのとき...完璧にならない練習がてら完璧なお弁当....作っていくから...あの、そしたら昼食代も浮くしそれに、えーっと...」
にこ「クスッ
にこよりおいしいお弁当作ってごらんなさい!その、楽しみにしてる、から」
穂乃果「ええ~!せっかく終わらせてきたのにもう帰っちゃうの~!?ねえねえ、ちょっとくらい練習していこうよー!!私動かないと錆びちゃうよ~!!」
にこ「は!?あんたもう何時だと思ってんのよ、7時前よ!?やりたいんなら一人でやってなさい」
海未「そうですよ穂乃果、さっきことりが急いで帰ったの見えてなかったのですか?ほら、真っ暗じゃないですか!早く帰りますよ」
穂乃果「わーん!!書類のせいでー!」
海未「溜めたのは自分でしょう、ほら!」
にこ「離しなさいよ、帰れないじゃない!!」
花陽「あのぅ...真姫ちゃんまだ残ってるかな」
凛「疲れたよう、早く帰りたいにゃー」
真姫「お疲れさま、さあ、帰りましょ。じゃあね、にこちゃん」
にこ「ちょっと真姫!!!助けなさいよ!!!」
海未「ほら穂乃果、3年生も皆帰ってしまったのですから練習なんてできませんよ」
にこ「どうして3年生に私入れられてないのよ!!」ダッ
穂乃果「あ、逃げた!」
海未「ほら、帰りますよ。今日のご飯はオムライスなのでしょう。朝あんなに嬉しそうに話してたじゃないですか」
穂乃果「そうだった!」
おわり
真姫ちゃんメインのSSにするつもりが矢澤先輩がただかっこいい話。
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