2021-04-18 20:10:14 更新

概要

山奥で剣道場を開いていた「沖田 天流(おきた あまる)」は,偶然手に入れたチケットにより,人生初の「海」に行くことになった。そんな彼は,今,海で起っている戦乱と,事実を知る。
戻ってきましたよ


前書き

ブラ鎮内容を入れるかは検討中。

紹介

氏名 沖田 天流(おきた あまる)

年齢 18歳

誕生日 夏ということ以外不明

誕生地 東京都港区西麻布

現住地 京都の山奥ということ以外不明

仕事 剣道場とライター

技 独自の流派「各天流」という技を使う。詳細は不明。

  しかしながら,現時点では,艦娘の方が遥かに強い。




安価制です。

こういうのが読みたくないという人は,この時点で速やかにブラウザバックをお勧めいたします。

次回予告ガン無視してすみません!



全体的に微調整しました。














 私の名前は「沖田 天流(おきた あまる)」。




 年齢は18,身長170.9cmの男性である。


古都京都の山間部で,剣道場をひっそりと開いてい...誰が引きニートだって?


そんな私の一日は,静かな朝から始まる。


朝に素振り,昼に水連,夜には内職(パソコンでの編集)をする。


そんな私の先祖は,新選組の撃剣師範,沖田総司であったらしい。


なお,数多の血を分けて現代に受け継がれているとはいえ,彼本人の血は限りなく薄い。


ただ,その血が限りなく薄くても,こうやって剣術を極めることが出来ているのは,彼のおかげだと言えよう。






 そんな私は,海を見たことがない。


古都の街並みに慣れ過ぎたからなのか,はたまた行く気がないだけなのかは自分でも分からぬ。


「太陽」という単語を知っていても,「太陽」に触れたことがないように,


「海」という単語を知っていても,「海」に触れたことがないのである。


いつかは海に行ってみよう。


と,毎日思ってはいるものの,いざ動こうとすると,なかなか脚腰が,頑として動こうとはしない。


山奥の生活に慣れてしまった私の身体は,もう下界を知ることに意味はないと言っているようである。


そんな風に,私は歳を取っていく。


海に行くことなく,ただ,のんびりと,鍛錬に明け暮れる_____




____そう,思っていた。












第一章 海




 この歳18である私だが,未だ海に行ったことがない,という話は前にしたであろう。


しかし,近日に,舞鶴の海に行くことが出来るチケットを,街中の抽選で得たのである。


これさえあれば,費用に頭を悩めることなく,海に行くことができる。


私は,鼓動が収まらないのに気づきつつも,あえて平然として,塾生に「今週は用事で帰らない」と伝えた。


銀行からも,ある程度の金額は降ろしてきた。何事も,備えあれば患いなしである。


人生で初めて海パンというものも買った。剣道着と比べて,足元がスースーする。


これには,慣れるのに時間を要することだろう。


また,昼の水連時には,海でも大丈夫なよう,かなり深いところを泳いだりもした。


海は,想像以上に底が深いらしい。是非とも潜ってみたいものである。


ただ,そんな好奇心と共に,多少の不安も残ってはいた。


海には,この時期,「チンピラ」や「不良」と言われる不届き者が出没するという。


妙齢の女性をターゲットに,「ナンパ」という行為をする輩もいるという。


自分は男だが,逆のパターンもあり得る為,これには注意をしておかねばならない。


そして,一応荷物の中には,寝間着と多数の食料品と共に,刀も追加することにした。


最近,海には「深海棲艦」という,正体不明の生物が出没し,人々を襲うという。


これに関しては,国の兵が対処しているそうだが,正直それだけでは心もとない。


他人に任せていれば,いつかは死んでしまう。これは,自然界の掟である。


それが例え,街中であろうと,海であろうと関係ない。


自分のみは,自分で守るのが約束である。


準備が整い,決行の日の前日の夜。



沖田「...」



...私は,眠れなかった。





 沖田「...」ムック


 上半身を起こし,着物を着る。


顔を洗い,汗を拭く。


それまで流していた髪も,一つにくくった。


そして,リュックサックを担ぐ。


沖田「...行くか」


舞鶴への旅の始まりである。




 ルートは至極簡単。


 まずは都市の中心部にある京都駅に行き,そこから京都→園部→綾部→東舞鶴と乗る。


その後,数十分の徒歩の後,舞鶴港に着く。


そして,そこから徒歩数十分後,ようやく海に着くのである。


私は,京都駅に行き,今までの人生の中で,一番長い駅までの切符を買い,駅弁を買い,車内で寝た。


よく電車内で寝てしまうという意見があるが,この事から,私もその意見に納得した。


そして,東舞鶴駅に着くと,次は,舞鶴港を目指す。


生物(なまもの)の匂いが漂い,山奥では嗅いだことのない匂いが鼻を衝く。


これが,俗に言う「潮の匂い」だろうか。


市中では,綺麗に舗装された道路や,田んぼの群,数十の松の木が植えられていた。


そして,徐々に,「潮の匂い」が濃くなっていく。


眼前に見えたのは,何十もの松の木が並び,浜辺が見える,「天橋立」であった。


人生初の海は,潮の匂いと,ざらざらした砂の触感から始まった。




沖田「...ふう」


 浜辺に腰を下ろす。


砂特有の,ざらざらとした触感が,私の尻に感じる。


天橋立には,大きな松ぼっくりが,ごろごろと転がっていた。


時々,蟹を見つけては,私はまるで子供のようにはしゃいだ。


おかげで,近所の親子の方々に,にっこりと笑われてしまった。頬が紅梅するばかりである。



 さて。


海に来た目的の大部分を終えた私は,「海パン」なるものを履こうとしていた。


石油製品特有のさらさらとした,着物とはまた違う触感にはまだ慣れない。


ただ,これを履かねば,私は海で泳げないのである。



沖田「...」



 私が,浜辺の影で考えあぐねていた,その時だった。


天橋立に,突如として,けたたましい警報がなる。


人々は,悲鳴と共に,浜辺から去っていく。


対岸に移す橋は,警報と共に,下りてしまった。



沖田「...」



 置いてけぼりにされた私は,せっかくだから,海パンを仕舞い,浜辺に佇む。


そして,見たのである。




 美しい身体に,厳めしい武器のような物を背負っている。


中には,銃砲を構えている者もいる。


その集団は,全身カラーが,白と黒で統一されているように思えた。



警報「深海棲艦...深海棲艦が...ガガガ」



 あれが深海棲艦か。


私は,好奇心を煽られたと共に,少しばかりの恐怖を抱いた。


そして,立ち上がる。


沖田「...自分の身は,自分で守らねば」


 松の木に隠れ,閉まっていた刀を取り出し,刀身を抜く。


それは,まるで血を塗ったかのように,どこまでも紅く,どこまでも悲しい色合いをしていた。


これは,「紅桜」。


かつて,多くの人々を切り殺してきたと言われる,俗に言う「妖刀」である。


私が数年前に倉庫を掃除し,偶然見つけたものだ。


ただ,刀身を抜いての実戦は,紅桜と共に,私も初めてである。


そして,呟いた。




沖田「...天上天下唯我独尊」



世は儚くも美しけり。



気が引き締まり,身体が唸る。



沖田「...私が相手だ」



浜辺に出て,刀を構えた。




 そして次の瞬間。


聞いたことのないくらいの大音量が,私の身体を打った。


そして,眼前には,無数の弾丸。


沖田(斬れ!)


反射的に,弾丸を斬る。


自分の眼前にあった弾丸は一つ残らず切り刻んだ。


しかし,視界に入っていなかった弾丸は,斬ることなく,私の身体に飛んできた。


沖田「ガハッ!」


腹から血が出る。これが銃か。


私は,痛みに屈することなく,再び立ち上がった。


今までの中でも,最も速いスピードで,呼吸を整え,構えを取り,体勢を決める。


それでも,深海棲艦は,手を抜くことなく,私目掛けて撃ってきた。


雨の如く降る弾丸。


私は,ただ唖然としていて_____



???「危ない!」ガシッ


何者かに抱えられ,弾丸の雨を避けた。


???「ハア,ハア,ハア,ハア...大丈夫か!?」


沖田「あ,ああ...君は...?」


私は,心底驚いていた。


なんと,海に浮いている!


否。


私が浮いているのではなく,私を抱えているこの女性が浮いているのだ。


そんな女性の背中には,深海棲艦と形状の似た,まるで艦の持つような銃砲が構えられている。


沖田「...あなたの名前は...」


???「ん?オレか?」




天龍「オレは天龍だ。てか,なんで民間人がここに居る!?」


凄い剣幕である。


沖田「私は正当防衛をしていただけだが」


天龍「なんで逃げねえんだよ!?」


沖田「自然の定理であるが故」


天龍「はああ!?」



とりあえず,この「天龍」には貸しを作ってしまった。


後々に返していきたいところである。



天龍「とにかくだな,お前はここにいろ!後で来るから!」


沖田「了解した」


そう言うと,彼女は,私を浜辺においてから,背中にある銃砲を構えた。


そして_____。


「ダダダァン!ダダァン!」


凄まじい銃撃戦が始まった。




天龍「吹雪!左舷2時方向!イ級がいる!」


吹雪「了解です!」ダダダダダ


イ級の群れに,吹雪が銃弾の雨を浴びせる。


天龍「後はお前だ!」


ヲ級「...ヲヲヲ!」


無数の艦載機が飛ぶ中,天龍は,サーベル片手に突っ込んでいく。


天龍「死ね!」


ヲ級に勇ましく斬りかかったものの,斬撃はあっさりとかわされた。


天龍「!?」


そして,上空からの艦載機の射撃。


天龍は,それを危機一髪で回避した。


天龍「ハア,ハア,ハア,ハア...」





沖田「...構えが酷く悪いな」




私は,浜辺で観察していて,分かってきたことがある。




それは,天龍の構え。


基本的に,サーベルは,大きく反り返っているのが特徴で,刀よりも広範囲に傷を負わせることが出来る。


つまりは,素人にとっては,刀よりも扱いやすい代物なのだ。


しかしながら,そのサーベルを,天龍は未だに上手く使いこなせていない。


沖田「...構え...右足を出し,左足を引く...」




天龍「たぁぁぁぁぁッ!」ダダダァン!


吹雪「いけぇぇぇ!!!」ダダダダダ


ヲ級「ヲヲ...!」(撃沈)


結局,天龍は,サーベルでの攻撃を,一度も当てることなく戦いを終えた。


サーっと,海の上を歩き,浜辺にいる私に話しかける。


天龍「おいおい,大丈夫かぁ?」


吹雪「?誰です?この人」



私は,来た早々,天龍に思いをぶちまけた。


沖田「_____構えが悪すぎる!!!」


天龍「へ?」





沖田「構え...やってみろ...」


天龍「か,構え...?」


何と言うことだ。この娘,まさか構えも知らないとは。


道理で斬撃が当たらない事である。


沖田「前足だす...後ろ足引く...ほら」


天龍「え,えっと...」


沖田「考えるな...感じろ...」


吹雪(...感じるもんなんですかね?)



ーーー数時間後ーーー



天龍「うっ...ううっ...」ポロポロ


沖田「違う...こうしてこうしてこう...」


吹雪(あの天龍さんが泣いてる...ふふぁあ...今日の晩御飯なんだっけ。)


天龍「うう...分かんないよぉ...」


沖田「むう...どうしたものか...」


どうやら,この娘には,口頭で言っても伝わらないらしい。


では,どうするか。


手本を見せる限りである。


沖田「...見なさい,天龍...」


天龍「...?」




私は,紅桜を,鞘のあるままに持ち,浜辺に出た。


潮の匂いが漂い,もうじき闇夜がやってくる。


向こうの空は,茜色に染まっていた。


私は,ゆっくりと右足を出し,その反動で,左足を引いた。


大切なのは,五行の構え。


天龍にも分かりやすいよう,あえて諸手左上段の構えをする。


「...行くぞ」


私は,流れるような斬り口で,刀を振った。


次の瞬間,その斬撃上にあった浜辺の砂が,まるで風に吹かれたように舞った。


「...分かったか...」


私は,天龍の方を見た。




天龍「...」


天龍は,黙って下を向いていた。


沖田「...どうした,小娘...」


私は,紅桜を置き,彼女に近づく。


天龍は,私が来たことにも気づいていないのか,砂を見つめて,ぶつくさ何かを呟いている。


天龍「...かっけえ...あの技...構え...!!!」


沖田「...?」


やがて,天龍が,私の顔を見た。


紫色の髪の毛に,眼帯をつけ,黄色い瞳が,私を射ている。


彼女の頭に付いている機械は,普段の淡い紫色から,ピンク色が,高速で点滅している。


よく見ると,天龍の顔は,紅梅していた。


天龍「かっけえ!」


沖田「...?」


これが,私にとって,初めての称賛の声であった。







✂==============================キリトリセン=========================✂




年越し番外編




異逆「...あと30分だ...」


沖田「...平成が...終わる!」


時雨「いや終わらないから。ていうか既に終わってるから。」


沖田「...不覚」


天龍「山籠もりし過ぎて時間感覚分かんなくなっちまったんじゃねえのか?」ニヤニヤ


沖田「...五月蠅い」


間宮「皆さ~ん!お蕎麦出来ましたよ~」


赤城「」ガタッ


加賀「」ジュルリ



異逆「...美味い」


沖田「...美味だ」


加賀「」ズゾゾゾゾゾ


赤城「」ズザザザザザ


天龍(...二人とも,吸う勢いが半端ねえな...)


時雨「ふう...」口フキフキ


異逆「...美味かった」


沖田「...食べたのは6年ぶりだな」


天龍「なんだ,お前蕎麦もロクに食ったことねえのかよ」


沖田「...蕎麦の花が咲いてもいないのに,蕎麦が食えるか」


加賀「間宮さん,あと2杯」


赤城「加賀さんに同じく」


間宮「は~い!(何よこの二人...胃腸四次元なんじゃないの...)」


異逆「...微かに闇の気配が...」


間宮「」ビクッ


天龍「まあ,今年も終わるなァ...」


沖田「...ああ」


時雨「遅いようで早かったね...」


赤城「...色んな人に出会えて...」


加賀「...色んな経験を積んだ...」


提督「全ては無駄じゃなかったんだよな...」


異逆一同(誰だコイツ)


提督「ん...俺か?俺は来年...じゃなかった,2021年からこの鎮守府に来るぜ」ビシッ


異逆「...私の役目ももうじき終わるか」


S.L.K「異逆,オリジナル小説の進行状況ヤバいから...」


ジャック・ザ・リッパー「なぁにメタいこと言ってんだァよ?」ガシッ


S.L.K「アガッ!」い,痛い...


武蔵「...最後まで何してるんだよ...」ハア…


時雨「...作者さん...」


時雨「...キミには...失望したよ」


S.L.K「」Σ(゚д゚lll)ガーン


吹雪「紅白歌合戦面白いですね~」


天龍「唐突だなオイ」


金剛「どうしたっテェ!」ヒャッハ~デース!


比叡「消せないゆっめも!止まれない今も!」


榛名「誰かの為に強くなれるなら~♪」


霧島「ありがとう,悲しみよぉ~♫」


伊19「皆上手いのね!」


大和「あのね~♬大好きだよ~♫あなたが心の中で~♪」


白露「年越しいっちばーん!」


夕立「ぽいぽいぽぽいぽい」ゴロゴロ


時雨「こら。ゴロゴロしないの」


提督「ハッハッハ。賑やかだなあ」


異逆「...今更ながら,ここ,私の家なのだが?」


一同「知ったこっちゃない」


異逆「すんません」


飛龍「うう...嵐活動休止だよぉ...」ウェーン


春雨「あ,赤が勝っちゃった...」


龍田「数年ぶりね~」


異逆「...もうじきだぞ」


アルテミス「...除夜の鐘が,鳴る」












時雨「蛍の光 窓の雪」


夕立「書よむ月日 重ねつつ」


白露「いつしか年も すぎの戸を」


飛龍「明けてぞ けさは 別れゆく」




天龍「とまるも行くも 限りとて」


龍田「かたみに思う ちよろずの」


大和「心のはしを 一言に」


武蔵「さきくとばかり 歌(うた)うなり」




金剛「筑紫のきわみ みちのおく」


榛名「海山とおく へだつとも」


比叡「その真心は へだてなく」


霧島「ひとつに尽くせ 国のため」




アルテミス「千島のおくも 沖縄も」


ジャック・ザ・リッパー「八洲のうちの 守りなり」


沖田「至らんくにに いさおしく」


異逆「つとめよわがせ つつがなく」









異逆「では皆様」


皆「よいお年を~!!!」



✂==============================キリトリセン=========================✂



沖田「ここが...」


天龍「鎮守府だぜ」


私が面て来られたのは,洋風の大きな建物であった。


港と隣接しているほか,大規模な工場が備え付けられている。


沖田「...まずは...礼を...」


私は,鎮守府に入る前に1度,入ってから2度礼をした。


天龍「ハッハッハ,何ペコペコしてんだよ」


...人生,礼儀が一番である。




私は,この鎮守府にいる「提督」とやらと面談し,正式ではないものの,武術指導者としていてくれと頼まれた。


沖田「断る」


提督「」


提督「...な,何でですか?」


沖田「塾生の子が,私の帰りを待っている。早々とここに勤めに来るなどと言うことはできん」


提督「じゃ,じゃあ,明日にでも帰っていただいて,事情をお話すれば___」


沖田「無理だ」


提督「も,もしかして,運賃を気にされているのですか?そのくらいなら,こちらの方で手配し___」


沖田「...あなたとの話は私の話と趣旨が違う。話にならぬ」


私は,そう言うと,荷物を纏めて,部屋を出た。


部屋を出る前,提督が,私を呼び留めた。


提督「...軍に逆らうのですか」


沖田「否。あなたを私は断っただけだ」


提督「...人類を守る為です」


沖田「私一人が尽力しても無駄だ」


私はそう言うと,部屋を出た。




提督「...こうなったら...」




私は,下駄を鳴らしながら,ゆっくりと玄関へと歩いていた。


たまに,天龍のような女性たちが話しかけてはくれるが,私は軽く挨拶を済ませるだけにした。


門下生,塾生が,私の帰りを待っている。


こんな物騒な所にいては,限りある命が縮んでしまうことだろう。


沖田「...私は,あの子達のことを思って言っただけである」


提督は,最後まで理解できていなかったという表情をしていた。


まあ,後々分かることである。




その時だった。




警報機がけたたましく鳴り響き,私の耳をつんざく。



警報「鎮守府内に,下駄を履いた,着物姿の不審者発見。憲兵,艦娘は,至急その不審者を捉えよ」


沖田「!!!」


私のことか!


今の声は提督。なるほど,諦めきれずに捕まえようという訳か。



沖田「...馬鹿が」



私はそう言うと,荷物を軽くし,鞘の付いた紅桜を握る。



先に来たのは,茶髪の,巫女のような出で立ちの女性であった。


???「ヘーイ!アナタが,さっきの不審者デスカー?」


沖田「...そうだろうな。名は何という」


金剛「ワタシ?金剛デース!サア,さっさと捕まってクダサイネー!」


金剛は,私を人間だからと思って,背中の銃砲を出さずに突進してきた。


沖田「...舐め腐るな!」


私はそう言い,紅桜を振るう。


たちまち,金剛の頭部に直撃,2メートルほど吹っ飛んだ。


金剛「イテテ...往生際が悪いデース!」


沖田「...否。私はただ,正当防衛をしただけだが」


金剛「不審者が正当防衛だなんていう言葉,使っちゃダメデース!」ダダダダダ


またもや金剛は,私に突進してくる。


沖田「...きりがない。ここは...」


私は,天龍に見せた構え,諸手左上段を取ると,彼女の首筋目掛け,思い切り打ち付けた。


金剛「アガッ!?」


泡を吹いて倒れる金剛。


沖田「...すまぬ」


嶺打で済ませて,私は先を急いだ。




沖田「...む」


私は,小走りで建物内を疾走していたが,あることに気づいた。


先程から,3名程の女性に追われている。しかも,ありえない速度で。


沖田「...さては,金剛の仲間か」


私は,紅桜を再び構える。


後ろを追っていたのは,やはり金剛に似た顔立ちの3人の娘であった。


沖田「何者何用」


霧島「お姉様を気絶させたのはあなたですね!」


比叡「不審者は捕まえろとのことですが...」艤装展開


榛名「少し嬲ってからにしましょう!」ダァン!


沖田「!」パシュンッ


ギリギリのところで,弾を避ける。


出来れば,紅桜の真刀はここでは使いたくはない。


沖田「...こっちか」


私は,もう一本の刀,「紺桜」を袋から出した。




「紺桜」は,紅桜と対となる刀で,夫婦刀(めおとがたな)である。


数百年に一回,両方を同時に叩き直さねば,直ぐにこの2本は竹も斬れぬなまくら刀となってしまう。


紺桜は,今までの人生の中で,3回使ったことがある。


紅桜よりかは手馴れてる方だろう。




沖田「...行くぞ」


やられてばかりではいられん。


こちとら,門下生,塾生が待っている。


榛名「往生際の悪い人ですね!」ダダダァン!


沖田「天上天下唯我独尊」


私はそう呟き,一気に刀を振るう。


雨の如く降りかかった弾丸は,一瞬にして小間切れにされた。


榛名「...!」


霧島「ならこっちよ!」



比叡「行くわよ!」


すると,眼鏡をかけた娘と,もう一人の娘が,交互に折り重ねるように移動してくる。


なるほど。狙いを定められないという訳か。


沖田「どうしたものか」


私は,天井近くまで飛び越し,考えを巡らせた。


そして,一計を案じた。



沖田「さあ来い」


私は飛び降り,わざと二人の前に立った。


霧島「なんて馬鹿な...」


比叡「まあいいわ!」


又もや,二人共折り重なるように迫ってくる。


私は,迫りくる二人に対し,新たに編み出した技を使った。


沖田「____壱段速,蛇這(へびはい)」


瞬間,紺桜は,二人の合間を,蛇が這うように通り過ぎた。


霧島「な,何!?今の!」ドサッ


比叡「分からな____」ドサッ


二人が,喋っている間に倒れる。


榛名「!?」


沖田「......」



蛇這とは,相手の攻撃を縫うようにして避けつつ,攻撃を嚙合わせるものだ。


二人が交互に繰れば,こちらも交互にすればいいだけのこと。


それを実現したのが,先の蛇這なのである。



沖田「...早急な故...甘い部分もあったが...」


そう言えば,もう一人の小娘はどこに行った?


先刻までいたあの小娘がいない。


さては,仲間を呼びに____ダァン!



私の頬を,弾丸が掠めた。


武蔵「お前だな!不審者は!」


大和「許しません!」


時雨「もう観念するんだね!」


夕立「おとなしくするっぽい!」


榛名「間に合わなかった...!」



総勢5名。


中でも,あの大和撫子と褐色肌の女が主戦力。



沖田「...行くか」


紺桜を,鞘を付けたまま握り直した,その時だった。



???「サイテー!」


???「逃げて逃げて!」


???「見てアレ不審者よ!」


???「怖ーい!」


???「とっととくたばれよ!」


???「死んじまえ!」



中庭にいた為,四方八方の建物の窓から,他の大勢の者が,私を罵倒してきた。




そして,頭の片隅の記憶が,段々と目を覚まし始める。




???『お願い!総司!』


沖田(なんだ...)


???『総司!早く!』


沖田(なんだ,この記憶は...)


???『総司!』





沖田?「____ああ。分かったよ。真明院照誉貞相大姉。」




瞬間,沖田の意識は崩壊した。





沖田「___ハッ!」


私は,まるで死にかけの虫のように飛び跳ねた。


身体中,汗びっしょりで,顔は何故かしら青ざめている。




沖田「...ここは...」


部屋の名札には,「第3脳外科室」と表記してある。


沖田「...私は...」


私は,あの後どうなったのだ?


意識が吹っ飛んで,もう何が起こったのかもさえ分からない。


ただ,変な声が聞こえたばかりである。



沖田「...?」


私の寝ていたベッドの隣の机の上に,日誌のようなものが置いてあった。


無礼だとは思うが,一応読んでおこう。





〇月×日 深夜


不審者と見られる男が,大和・武蔵・時雨・夕立・榛名班により,中庭に追い詰められた


その不審者は,一旦思案したかと思うと,不意に意識を停止した。


直後,男は気配を変え,鎮守府防壁を「切り刻んだ」。


切り刻み,逃亡を成功させた男は,何故か京都の光緑寺に移動,


とある墓の前で,意識を失った______。




沖田「...どういう,ことだ...?」


私がそう呟いた,その時だった。



「バタン」



不意にドアが開き,見覚えのある女性が現れる。


沖田「...お前は...」


天龍「...」



これが,天龍との再会であった。




天龍「...」


沖田「...」


私と天龍は,再び,提督の部屋へと向かっていた。


建物内は,シンと静まり返っており,誰もいないのかとさえ思う。




天龍「...なあ」


沖田「...なんだ」


天龍「...なんか話すことねえのか?」


沖田「ない」


天龍「...そうか」


沖田「できれば,とっととこの建物内から脱走したい」


天龍「んなこと言うな。皆総勢で探したってのによ」



なるほど。そこまでして私を雇いたいのか。


どうせ,私は道具のように見られているのであろう。


悲しいばかりである。


早く,剣道場に帰りたい。


沖田「...」


天龍「皆,謝りたいって言ってたよ」


沖田「...何?」


天龍「何も知らずに,馬鹿提督の言葉鵜呑みにして,悪口言って悪かったなって」


沖田「...!」


そうだったのだ。


彼女達は,命令されたから従っただけである。


落ち度なんて言う者は,彼女らには存在しない。


存在するはずがない。


天龍「だからさ,事の事実を知った途端,一斉に提督を罵倒したよ」


天龍「『なんで嘘ついて,傷つけてまで,無実の人を捕まえようとするんですか』だってさ」


沖田「...」


自然と,涙が込み上げてきた。


彼女らは,平気であろうと,人の心をきっちり持った優しい存在だと知った。


そして,人間よりも,人間らしいとも感じた。


これほどまで,他人に感銘を受けたのは初めてであった。




提督の執務室にやってきた。


一応,腰には紺桜と紅桜をさしてある。


天龍「馬鹿な真似はよせよ」


沖田「...ああ」



ガチャン,と戸が開き,そこにいたのは,前と同じ格好の提督で...( ,,`・ω・´)ンンン?


提督「」土下座


霞「」(#^ω^)ピキピキ


天龍「」タジタジ


沖田「...これは...一体どういう...」オロオロ


提督「ああ,天龍。不審者。やっほう」( ´∀`)bグッ!


沖田「斬り殺すぞ貴様」


天龍「やっちゃっていいと思うぜ」


霞「よくもまあこの状況でんなこと言えるわね,〇ズ提督!」


提督「HAHAHA,もうこの手のお仕置きには慣れたもんさ。さあ,次はムチか?パシリか?どんと来いやぁ!」


霞「最早恐怖すら感じるわ」


天龍「同感」


沖田「私も同じく」


話を聞けば,提督は,丸々3日間,私が寝ている間,部下の艦娘から延々と罵倒され続けたらしく,霞による暴言爆弾にも小破すらしない,


鉄壁の鋼の心を手に入れたらしい。


いや,だから何だという話だが。


提督「んで,沖田さんは,結局どうするの?」


沖田「即刻帰らせていただく」


霞「当たり前でしょ!馬鹿提督!」


天龍「...」


何やら,天龍が鬱な顔をしている。どうしたものか。


沖田「...どうした」


天龍は,顔を下に下げながら言った。


天龍「...帰っちまうのかよ」


沖田「当然。」


天龍「...せっかく,友達になれたのによ...」


沖田「私には,多くの門下生と塾生がいる。お前の為だけにここにはいれぬ」


天龍「...ッ!」


彼女は,顔を遮りながら,急いで部屋を出て行った。


提督「...」


霞「...天龍...」


沖田「というわけで,私は帰らせていただく」


私は,荷物を纏めると,二人の許可なく,部屋を出た。






 帰りは,舞鶴に来るルートと,逆のルートで帰った。


東舞鶴駅から電車に乗り,京都駅まで,そこからは,ゆっくりとのんびり,剣道場へと歩いていった。


屋台が並び,人の歩く音がする。


私の脳内では,色んな音が,入っては消え,入っては消えていった。


まるで,脳が金を打ち鳴らすようにたわんでいた。


虚ろな人形の如く,私はゆらゆらと歩いているだけであった。





しかし,その憂鬱も,次の瞬間,一瞬にして崩れ落ちた。






「ダァーン!」






突如,鴨川沿いが,爆発した。


人々が,叫び声を上げながら,逃げ惑う。


道路上のタクシーやバスは,我先にと言わんばかりに走り去っていった。


残った人々は,地下壕にでも潜るように,地下鉄の駅まで疾走した。


足場には,踏まれて圧死した人の死体が,いくつも転がっていた。



未だに,私の身体は,事の進み具合に付いて行けていない。




川にいたのは,何故か見たことのあるものだった。



いや,なんでいる?


ここは鴨川。つまりは淡水。


海水にしかいない彼女らが,何でここに居るんだ?



そう,深海棲艦である。





しかし,川を遡上しているということは,目的地は何だ?






まさか!




私は,着物姿のまま,荷物を放り捨てて,土手を走った。


深海棲艦達は,まるで海上バイクに乗っているかのような速度で,鴨川を遡上していく。


沖田「待て!行くな!クソッッ!!」


私は,紺桜を構え,大きく振りかぶった。



「ガキィンッ!」


イ級が,叫び声を上げて沈む。


沖田「待てや!」


私は,今までになく,冷汗をかいて,走っていく。


だが,流石に追いつけず,遂に,深海棲艦の群れは,ゴマ粒程度まで小さく,遠ざかってしまった。



沖田「...!!!」



立ち止まる私に,叫ぶ。


沖田「黙れ!考えるな!動け!」


自分自身を鼓舞し,そこにいるタクシーを捕まえた。


沖田「運転手!」


運転手「は,はい!?」


沖田「あの山まで!」


運転手「へ?」


沖田「早く!あの山までッッ!!!」


運転手「は,はい!」



タクシーを走らせる私。



沖田(間に合え間に合え間に合え!!!)






しかし,私の願いが叶うことなどなかった。






沖田「...あ...ああ...」







闇夜に燃えたつ剣道場。


それと共に上がる叫び声。


子供達。


門下生,塾生。


爆撃の音。


張り裂けんばかりの重圧感。






沖田「あああああああああああああああああ!!!」







剣道場は,灰と成るまで燃え尽きることなどなかった。










翌日。



取り残された私。


灰の中から次から次へと出てくる子供たちの手。


燃えかけた剣道着。


焼け落ちた竹刀。







これほどまで,生物に憎悪をかきむしられることは,生まれて初めてであった。








沖田「......」




私は,最早,何が何だかも分からなかった。


その後,深海棲艦に,私の剣道場兼自宅が襲撃されたのを知り,至急,舞鶴鎮守府の艦娘達がやってきた。


何をのらりくらりしていたんだ?


なんで助けてくれなかったんだ?


なんで来なかったんだ?


恨むべきは,深海棲艦のみならず,艦娘もではないのだろうか?


最早,分からぬ。


考えたくもない。





これほどまでにない,未量の恨みと怒りが,私の中に灯りつつあった。






 舞鶴鎮守府まで運ばれた私は,ただ茫然と,ベッドで寝かされていた。


脳などの部分には,外傷や障害はないらしい。


ただ,怒りに任せて紺桜を振るった衝撃で,右腕にひびが入っているとのことである。


意識が朦朧としている。






隣には,心配そうな顔をした天龍がいた。


沖田「天龍か...」


天龍「...ああ」


沖田「...私は...」


沖田「...私は,誰も信じられなくなったよ...」


天龍「沖田...」


沖田「...誰を恨めばいいのかもわからない...」


沖田「...剣道場を襲った深海棲艦か?」


沖田「...はたまた,直ぐに来なかった艦娘達か?」


沖田「...いや,事の発端である提督か?」


沖田「...遡れば切りがない...」


天龍「...」


沖田「...天龍...」


天龍「...なんだよ」


沖田「...私は,決心した...」


沖田「...私は...ここで...武術指導者となる...」


沖田「...提督の言う通り,今は深海棲艦に...」


沖田「...復讐すべ...し...」スー,スー…


再び,沖田は眠りに落ちた。






沖田「うむ」



翌日。


心までとは言えども,身体能力的に全快した私は,折り入って,提督に言いに,執務室へとやって来た。



沖田「提督。失礼するぞ」


ドアを開ける。


そこには,案の定の,提督の姿があった。


霞「ほら!この書類明日まででしょ!」


提督「え~,けどさ,明日までなら,今夜終わらせてもよくない?」


霞「何言ってんのよ馬鹿提督!」


提督「それよりも俺,金剛とお茶会しに行きたい」


霞「」ピキッ


沖田「...あー...」



私は,ドアを一旦閉めて,もう一度出直すことにした。



沖田「...コホン,失礼する!」



もう一度,ドアを開ける。


そこには,バリバリ仕事をしている提督と,ニコニコして私を見ている霞の姿があった。


提督「おお,沖田。大丈夫か?」


霞「」ニコニコ


沖田(怖い。さっきまで怒鳴ってたの見てたから余計に怖い)


沖田「実は,折り入って話があるのだが」


提督&霞「?」


沖田「私を,ここで働かせていただきたい」


提督「やだね!人間なんて雇う暇ないんだヨ」


沖田「ここで働きたいんです!」


提督「ええい,五月蠅いな!」


沖田「お願いです!ここで働かせて下さい!」


霞「千と千尋の神隠しネタやめなさい」(#^ω^)ピキピキ




沖田「というわけで,宜しく頼む」


提督「おう。こちらこそ宜しく」


霞「よろしくね。沖田」



こうして私は,正式に,舞鶴鎮守府に勤務することとなった。














沖田「初めまして」


間宮「初めまして!」(o^―^o)ニコ


沖田「ここが食堂ですか」


間宮「はい!ご注文はうさぎですか?」


沖田「それしれっとやっちゃダメな奴です」


間宮「失礼しました!ご注文は何ですか?」


沖田「天龍にスマイルを一つ」


天龍「な,何馬鹿なこと言ってんだよ!」ベシン




結局,私は,照り焼きチキンバーガーセット,天龍は,竜田揚げセットを頼んだ。


天龍「...武士っぽいのに,意外とそういうの食うんだな」


沖田「金に困ってたらんなこと言えぬ」


天龍「金に困ってる?なんかしたのか?」


沖田「...察しろ」


天龍「ああ...襲撃でか」


沖田「ああ...それはそうと,今日退院したら住む場所ないのだが」


天龍「」ピクッ



その時,彼女の頭にある機械が,紫色からピンク色へと変化した。


天龍(沖田には,今家がねぇ...ということは,沖田を家に住ませるチャンス!でもって,夜にでも誘えば...えへ,えへへへ...♡)


沖田(今凄い悪寒がする)


天龍「お,沖田ぁ?」\\\


沖田「な,なんだ...(気味が悪い程ニコニコしている...)」


天龍「い,家がねえなら,お,オレんちに住まないか...?」


沖田「?なんでだ」


天龍「い,いや...たまたま,一部屋空いてるしよ...」


天龍(嘘だぜ!オレの部屋しかねえよ!だから,来た時に『部屋無かったわ』って言って,同じ部屋に住んでもらぜ!)


沖田「そうか。なら,今日中にでも荷物を纏める。住所は?」


天龍「ここのB-2 109だ」


沖田「了解だ」



...全ては,天龍の思惑通りに進んでいく。




天龍「ここだぜ!」


私が連れて来られたのは,鎮守府の地下,B-2。


そして,その109号室だ。


地下だというのに,床板を欅にしているせいか,随分と暖かいように感じられる。


表札には,天龍と沖田という表札が_____何でかかっているんだ?


まあ,それはそうと,天龍が,鍵を出した。


ドア「アイタデ!」ガチャン



女性特有の,甘い匂いが立ち込める。



天龍は,先に玄関へと入っていった。


私も行かねば。


だが,一歩という一歩が動かない。


それはそうだろう。人生で初めて,他人,しかも,女性の部屋に入るのだから。


私が入るのを躊躇していると,天龍が笑って言った。



天龍「何してんだよ。早く入りな」



沖田「...お邪魔します」



こうして,私は天龍の自宅に居候することになった。




...の



だ が 




沖田「...」唖然


天龍「ちょっと散らかってっけど,まあ気にすんな!」


部屋「」ゴミゴミゴミ


沖田「......ふう...」(肺に息を入れて)


沖田「...,」


沖田「なんじゃこりゃあああ!!!」






天龍「どうしたんだ沖田?」


天龍が,手洗い場から顔を出す。


沖田「な,ななななんだ,この散らかりようは!」


天龍「えー?結構いつもと比べたら片付いてる方だぜ」


沖田(こ,これがいつもと比べたらだと!?)


沖田「...想像したくもない...」


天龍「大丈夫だ!女子の部屋って大体こういうのだぜ!」(偏見)


沖田「...女子の部屋入るの初めてだけど,本能が違うと言っている」



と,い う 訳 で 。


沖田「掃除だ!」


天龍「なんで!?」



こうして,掃除大作戦が始まった。


沖田「なんだコレは」


まず,手を付けたのは台所。


ステンレス製のもので,本当は綺麗なはずだが,何故か汚れているように見える。


天龍「あー,この前洗ったし大丈夫だぜ!」


沖田「...この前,とは?」


天龍「う~ん,半年前?」


は,半年前だと!?


普通,一週間に2度は洗うだろうが!


何たる怠け癖!恐るべし!


沖田「...うおおおお!!!」ゴシゴシゴシ


天龍「え!?え!?何してんだ沖田!傷ついちまうじゃねえか!?」


沖田「馬鹿者!お前が洗わな過ぎだからだ...!!」ゴシゴシゴシ


...30分後。


沖田「う...お...うお...おお」ゴシ ゴシ ゴシ…


...やっと,汚れが全て落ちたのであった。





次!




沖田「...」


次に掃除したのは,天龍の部屋。


女子特有の甘い匂いと,物が散乱していて,少しばかり気分が悪くなる。


ベッドのシーツはクシャクシャに丸めてあり,枕は何故か汚れていた。


理由を聞くと,「乙女だって,夜に泣くことだってあるんだぜ...」とのこと。


いや,お前乙女要素ないだろ。


そして,ベッドの隣には,大量の制服(天龍)の山が置いてある。


スカートには折り目が付いてしまっていたり,ネクタイは曲がっている物もあった。


沖田「...あ...」


...山の中から,下着を見つけてしまった。


そして,運悪く,それを掴んでいる自分を見つめる天龍。


天龍「~~~~~~!!!\\\」ボフッ


沖田「...い,いや...これは事k____」


天龍「うっせえ!黙ってろ!」ベチン!


...私の頬には,真っ赤な紅葉が浮かび上がった。




次!



最後は風呂場である。


ここも,また不思議な香りが立ち込めており,なんだか慣れていない私は,マスクを付けたくなった。


風呂の縁には,身体の垢がこびり付いている。


沖田「...不愉快極まりない...」


私は,そう言いつつも,丹念に洗い,荒い,洗いまくった。


...コレ一つ一つが天龍の身体の垢か。


沖田(待て,これじゃ私が変質者ではないか)


否。


女性の家に居候しているだけで,十分なる変質者であろう。






そして,約1時間後。


沖田「...終わった...」


天龍「だな...」


やっと,天龍の家を片付けられたのであった。



天龍「...沖田\\\」


沖田「ん?」


天龍「...下着,貸してほしかったら貸すからな...\\\」


沖田「( ^ω^)・・・」ナニイッテンダ


...今のは,聞かなかった事にした。






第二章 沖田の鎮守府剣道場




 朝。


脳が明晰になり,ブラインドからは,まるで浅瀬のような淡い光が差し込む。


冷たい,海特有の潮の匂いと,清々しい,これまた山とは違う,いい空気が,部屋を満たしていた。


沖田「...」


私が天龍宅に来てから,3日が立つ。


私と天龍は,私が来た初日,当番制で,食事を作る事にした。


のだが。




天龍「うっめぇな!コレ!」(´~`)モグモグ


沖田「...何よりだ」モグモグ


天龍「何ていうんだ?」


沖田「...カレーだが」


天龍「へー!カレーって言うのか!」ガツガツガツ


沖田「...知らんのか?」


天龍「おう。オレ,あんまし外にとか出ねえからよ。出たとしても,海上だけどな!」ニコ


沖田(...外に出たことがあるのは海上,か...人間の娘のような生活さえも出来んとは...)


沖田「...可哀想」ボソッ


天龍「ん?何がだ?」モッシャモッシャモッシャ


沖田「ああ...何でもないよ。しかしながら,海軍の管理下なら,海軍カレーぐらい知ってるだろう?」


天龍「何だ,知らねえのか?世間一般ではそうなってるけど,オレらと海軍は仲悪いんだぜ」


沖田「なるほど...だから,海軍の管理下であるにも関わらず,海軍の名物である海軍カレーがない,と...」





その上,天龍は,食事を作ったことが,一度たりともなかった。



沖田「...ふむ。当番表はこれで良し,と...天龍,君は何を作れる?」


天龍「フッフッフ...聞いて驚け...」スッ(構え)


沖田「おう」(驚く準備)


天龍「インスタントラーメンだぜ!」(決めポーズ)ビシッ


沖田「おおおおおう!?」


天龍「ハッハッハ!そんなにオレに驚いたか!」


沖田「違う意味でな!」



何しろ,ここの食事は,夜間,間宮さんが全て請け負っているらしく,彼女がいない日は,インスタントやレトルトで処理していたらしい。


沖田「...何かないのか?」


天龍「レトルトカレー!!!」


沖田「...」(o^―^o)





と,いう訳で,せっかく決めた当番表も,活躍おさらばで捨てられてしまったのであった。




沖田「...作るか」





さて。


今から私沖田の,お手軽朝ご飯を紹介する。


材料は,食パン2枚,牛乳100cc,卵1個,砂糖大さじ2杯,蜂蜜大さじ1杯である。


尚,これは私と天龍の分,つまりは2人分であることを考慮して頂きたい。




まず,保存袋に牛乳,卵,砂糖,蜂蜜を入れて混ぜ合わせる。


ここで保存袋を使うのは,無駄な洗い物を少なくする為である。


次に,食パン2枚を,それぞれ2等分(長方形 計4枚)に包丁で切る。


そして,その切った食パン4枚を,先程混ぜていた保存袋に入れる。


そして,大体15分から30分の間,味が染み込むまで置いておく。


重石を置くのは個人に任せるが,出来てからペチャンコなのは嫌だろう。私は敢えて置かないでおく。


最後に,このよく染み込んだ食パン4枚を,加熱したフライパンで,程よい所まで焼き上げれば完成である。


これが,沖田流,朝のフレンチトースト。


是非とも作ってみてほしい。





沖田「...♪」


フライパンでフレンチトーストを焼き上げる。


砂糖と蜂蜜の,甘い匂いがキッチンに立ち込め,やがてそれは天龍の寝ている部屋にまで達する。


すると,案の定。


天龍「むにゃむにゃ...おはよう...」


目を擦りつつも,天龍が起きてきた。


最近は少し暑いから,スポブラ姿で寝ているらしい。


沖田「...顔を洗って。歯を磨いて...」


天龍「あいあい...分かってるっつーの...ふわぁふぁ...」アクビ




こうして,私と天龍の一日が始まる。






さて。


前々から言っていたことを,本日から行うつもりだ。


そう,剣道場である。



沖田「提督よ」


提督「なんすか?」


沖田「空いてる大講義室ってないかね?」


提督「あるよー。南館の一番端っこの部屋。昔,球技大会やったりしてたってさ」


沖田「恩に着る」


提督「こちらこそだよ。ああ,そうそう」


提督は,去る寸前の私に向かって言った。


提督「...キミのことを,よく思わない者もいるから,気を付けろよ...」



バタン。


ドアが閉まる。


沖田「...ふむ」


私はそう言うと,スタスタと,執務室から離れていった。






沖田「ふむ。広いな」


私がやって来たのは,提督の言っていた「南館の一番端っこ」。


正式名称は,「南館武道場」である。


いや,あいつら武道場で宴会か。今度会った時しばき返してやる。


天龍「へーッッ!広いな!」


何故か,天龍も付いてきた。


彼女曰く「反沖田派」への護衛らしい。


なにそれこわい。


沖田「ふむ...掃除さえすれば...上手くいく...」


そう言って,私は,箒を掃除用具入れから取り出した,その時だった。




「バシュンッ!」



何かが発射される音がする。


次の瞬間,鉄製の掃除用具入れは,無数の弾丸によって穴が出来ていた。


沖田「...!!!」


私は,地面を転がりつつ,箒を構える。


天井付近を飛ぶ艦載機は,私の上をゆっくりと旋回した後,再び,私目掛けて飛んできた。



沖田(不味い)


私は,箒を投げて,武道場の外へと走った。


天龍「沖田!」


天龍も,私に付いてくる。






艦載機は,垂直に落ちたかと思うと,真っ直ぐ私の方向に飛び込んできた。



沖田(居合切りで...!!!)



紺桜に手を構え,構えの姿勢を取る。



私の集中力は,目前の艦載機一点に留められていた。




そして,柄を持とうとした時である。



「沖田!後ろッッ!」


天龍が突如として私に叫んだ。


後ろを振り向くと,無数の弾丸が私に降ってきているではないか。



「___ッッ!」



バキンギャキンッッ!


弾丸が跳ね返る音がする。




「_____ハァ,ハァ,ハァ,ハァ...」




間一髪の所で,私は弾丸を防ぎきった。




そうだ,相手はどこにいる?



私は,鎮守府の建物を見上げた。



丁度提督の執務室の死角に位置する倉庫棟。



その上に,弓を構えた人影が2人いた。





沖田「何用で」



???「出て行って頂戴」


ポニーテールの女性が私を見下して言った。


???「あなたはこの鎮守府に必要ないわ」


???「そうよ」


もう一人の女性も私に叫ぶ。


???「あなたのせいで提督は正しくない道を歩もうとしているもの。出て行きなさい。」




ふむ。




極めて...



極めて...


沖田「...どうでもいい...」




沖田は,ハァと溜息を着いた。





「...何が必要で...」




紺桜ではなく,紅桜を引く。




「...何が正しいのか...」




その刀身は




「...何を分かって...」




まさに血を塗りたくったかのように




「...物をほざいているんだ?」




真っ赤に染まっていた。





「その口,裂ける程に切り刻んでやる」




次の瞬間。



沖田は高く跳躍し,二人の元まで飛び上がる。



「「!!」」


二人が構えるも,弓は既に叩き折られている。




???「も,もう一度...い,言うわ...」


ポニーテールの女性が,震える声で言った。


???「あ,あなたは...あなたは...必要ないのッッ!」






お前は必要ないのだ





記憶がたわんだ。



「もういい」


紅桜を大きく構える。



「もういいのだ」



???「ああ...あああ...!」



「死ねッッ!」



沖田は,勢いよく刀を振った。


それは,見事目前の女性の鳩尾に激突し,屋根にひびを入れる。



「_____ッッ」



「ああああああああ”あ”あ”あ”!」



沖田は,力の限りに叩きつける。




そして,ふと,女性の方を見つめた。


あざができているだけで,斬れていない!!!



沖田「!?」



沖田は,驚いて紅桜の刀身を見た。



派が研いでいるはずが,研がれていない。



沖田「これは...模造刀...?」



一体誰が...いつ...?




「バッカ野郎!!!」


叫んだのは天龍であった。



天龍「お前...お前...!!!」


彼女の瞳からは,大粒の涙が溢れ出ていた。


天龍「そんなことする為にあるんじゃないだろ!」


天龍「刀は...!」

天龍「自分の...!」

天龍「大切な人を...!」

天龍「守る為に...!!!」


天龍「あるんだ...ろうがッ...!」



私は動揺した。


彼女が知るはずがない。


知る由もない。


では,何故?


何故...


沖田「私の剣道場の掟を知っているんだ?」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


沖田の剣道場には,「掟」というものが存在する。





壱,刀は人の為にある物である


弐,刀は自分の為にある物である


参,刀は自分の大切な人を守る為にある物である


肆,覚悟を持たざる者は,刀を握る資格なし





この4つである。


剣道場で,塾生に教えていた頃,必ずこれを叩きこんでいた。



それを何故,塾生でも門下生でもない,天龍が知っているのだ?





沖田の視界は暗転した。







天龍「おーい...おーい!起きろぉ!」


沖田「...ぬぅ」


天龍「もう昼だぞ~?」


沖田「飯作らねば」


天龍「何その風立ちぬみたいな口調」





沖田は,天龍の声で目を覚ました。


真っ白な,清潔な部屋だ。


何が起きたのか,何でここに居るのかが全くもって思い出せない。


霧か,靄が掛かったようで,上手く思い出せない。




沖田「私は...何を...」


天龍「加賀を模造刀でぶちのめした所,血圧の急上昇で気絶したっぽいな」


天龍が紅茶をほれ,と差し出し,受け取る沖田。



沖田「なんだ...私はそんなことで気を失っていたのか?」


沖田は,自分でも原因を呆れる始末だ。




天龍「なぁにがそんなことだよ。こっちは心配してやったのに」


沖田「そんな上から目線で言わなくても...」



たじたじとする沖田に,天龍が詰めよる。



天龍「お前ってさぁ...自分の限度も知らないのかよ」


沖田「知ってても無理しちゃうんだよなぁ」


天龍「それがいけないんだよ」




天龍が,ティーカップを片付けた。

後に聞いた話によると,これはわざわざ金剛が入れてくれたものだったらしい。


沖田「んで...加賀の方は?」


天龍「ああ,アイツはすぐに治ったぜ。痣ぐらいすぐさ」


艦娘という構造上,ものの数時間で治るらしい。

なんとまぁ,便利なものだろうか。

人間ならば,3日ぐらいは確実に跡が残る。


後書き



遡上ルート

大淀川→木津川→高橋→北大路橋→出町橋→三条大橋→勧進橋→鳥羽大橋→京川橋(鴨川流域を遡上)





荒らしや批判は帰っていただきたい。

コメントお待ちしております!

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2021-03-23 01:47:16

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2021-01-04 21:44:11

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2020-12-31 00:36:18

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1: 黒い歴史 2020-12-31 00:38:03 ID: S:9qFBF2

天龍・吹雪(どちらでも)

2: S.L.KⅡ 2020-12-31 00:45:20 ID: S:137pXY

コメントありがとうございます!
では,天龍にします。
その為,口調を変更いたします。
どうもありがとうございます!(((o(*゚▽゚*)o)))

-: - 2021-02-19 08:54:05 ID: -

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1: 極夜 2021-02-26 17:08:03 ID: S:-Cs9OZ

好き(*^ω^*)
面白い、これからに期待したい!


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