俺と彼女とあいつと君と友とその他
俺「人の数だけドラマがある。という言葉がある。
それは、楽しいもの、つまらないもの、泣けるもの、感動するもの、悲しいものなど様々なものがあるだろう。
そんなたくさんのドラマの一部にこれから出会っていく。」
夏に彩った緑の数々が夏の暑さが抜けるにつれて、徐々に秋の色に移り変わり始める。
夏休みの間に黒色に焼かれた肌も元の色に変わりつつある。
クラスのみんなも休みから普段の学校の生活にまたダレ始める。
俺「やっぱり、高校生になってもこの風景は変わらないなー」
俺は夏の暑さが抜けきらない教室で、ぼーとしながら呟く。高校生活にも慣れ始め、新しいクラスも纏まりが生まれきたところだろう。とゆう事は逆に明確なイジメなどが発生し始めるという事か。
俺はそんな事を考えながら、クラス全体をなんとなく見渡している。
彼女「なにぼーとしてんの?」
そう言ってきた彼女は机に手を乗せ、下から覗き見るようにしていた。
俺「誰も話しかけて来ないからなんとなくクラスを見てただけだよ」
彼女「ふーん」
彼女はどうでもよさそうにそう返事をしてきた。
彼女「自分から話しかけようとか思わないの?」
彼女がそう質問してきた。
俺「まぁその時の気分だなー。お前こそいつも一緒にいる奴らはどうしたんだ?」
彼女「あぁ、今はちょっとあいつ君の所に集まっちゃってるから。
いちよ私には俺がいるし。」
彼女はこっちの顔見ながら少し頬を紅くして言ってくる。
俺「あぁ、まぁあいつに群がる女子とは話しがあわんよな」
あいつの周りにいる時の女子はこうなんて言うのかな…
まぁ普段の2倍は目が怖い。正直俺があいつの立場なら走って逃げるね。
俺は彼女の言葉にたいして適当に返事をしといた。
彼女「あはは」
彼女は少し反応に困ったように笑っている。
彼女「あっそろそろチャイム鳴るから座るね」
彼女はそう言って少し駆け足で自分の席に戻っていった。
そんな彼女を見て、自分はもう少しうまく話せないのかと自己嫌悪におちいる。
先生「そんじゃ授業始めるぞー」
先生のダルそうな声を聞きながら、意識を少しだけ授業の方に傾けた。
彼女「俺ー、一緒に帰ろ」
放課後、クラスの半数近くが残って、
「帰りゲーセン行こうぜ!」
「今日○○ちゃんの家行っていい?」
とか他にも一部の真面目ちゃんたちが勉強の話をしているなか彼女はそう言ってきた。
俺「おう、ちょっと隣のクラスの奴に渡すものあるから先に校門の方行っててくれ」
彼女「わかったー」
彼女はいつも一緒にいる友達と少し話ながら歩いていった。
その他「サンキューな俺」
俺「まぁきにすんなって、それじゃまた明日なー」
彼女が待ってるから早めに終わらせて帰ろうとした。
友「おっ久しぶりじゃん俺!」
俺「うーん、あー友か久しぶりー」
そんな所に中学校が同じ友と会った。
実際の所あまり久しぶりでもないが、学校でもあまり会わなくなるし、なんとなく同じ中学校の奴とは久しぶりとつい言ってしまうものだ。
友「今帰りか?」
俺「あぁ、そっちは?」
友「こっちは、えーと、ちょっと友達とこれから用事があってな」
俺「?、そうか、それじゃ彼女待たせてるからじゃーな」
友の言う用事というのも少し気になるが彼女を待たせるのは悪いし質問するのはやめておいた。
友「おう、それじゃまた今度なー」
友はそう言ったあと帰っていった。
俺「遅くなってわりーな、待ったか?」
彼女「別にそんなに待ってないよー大丈夫」
俺「サンキューな、それじゃ帰るか」
彼女「うん!」
彼女はそう返事した後さりげなく俺の手を取ってきた。
彼女の手は柔らかくとても暖かった。ただどうしても周りの目が気になってしまって最初はあまり彼女の手を感じられなかった。
彼女「どうしたの?」
彼女が少し意地悪そうに笑いながらそう言ってきた。
やはり今日の休み時間の時の対応が少し気に入らなかったのだろうか?
俺「別にお前の手が手汗掻いてても、俺はいっこうにかまわん」
逆に少し意地悪なことを言ったのだが、彼女は子供のちょっとした反抗程度に受け取り、手を強く握ってきた。
俺「……」
俺も彼女の手を同じくらい強く、そして優しく握った。
彼女「……」
その後しばらくお互いの手を握りあったまま黙って帰っていた。
俺はこうやってお互いを感じ、ゆっくりと時間が過ぎていくこの瞬間を結構気に入っている。最初はドギマギしてしまうが、彼女の手を握ってるとそんなのどうでも良くなっていくようだ。
正直早く自分のこんな性格を直したいのだが、人間そんな簡単に変われるものでもない、少しずつでも精進するべきだろう。
ふと横を見ると夕陽に照らされる彼女の横顔が見えた、肩より少し長い位置にある彼女の黒髪が風になびく姿はとても綺麗だ。
そんな彼女は夕陽に照らされ茜色に輝いたまま、こちらを向いた。
つい自分が彼女に見惚れていろ所で完全に目が合ってしまった。
彼女「ねぇ俺、今日友達に聞いたんだけどね」
俺が「ん…、なんだどうした?」
俺は内心の動揺を隠すようにそう答えた、幸い彼女は話題の方に意識が傾いているようだ。
彼女「最近、友ちゃんがいつもいるメンバーが夏休みに色々あったみたいなんだよねー」
俺「ふーん、色々って仲違いとかか?」
俺はたいして興味もなかったが他に話す事もないので質問してみた。
彼女「多分そう」
彼女は友の事をすこし心配するようにそう呟いた。
俺(友の奴今日もなにか本当はあったのだろうか?)
俺は彼女のそんな顔を見ながらそんな事を考えていた。
彼女「なんか友ちゃん前と変わって、あんまり笑わないし…」
俺「まぁ、友にも色々あるんだろ、俺たちが首を突っ込むような事はねぇよ」
正直あまり友とは彼女の幼馴染みという事を除けばあまり大きな接点はない。それに、彼女の方も高校生になってからはあまり話てないようだ。
彼女「だけど心配だよ」
俺「……そうだな」
彼女の心配そうな顔を見るとなんだかこっちまで友が心配になってくる。
なんだかんだ言っても同じ中学校だったから、接点が少なくてもなんとなく親近感が沸くものだ。
それに彼女の大切な人なんだから俺も大切にしてあげたいしな。
俺「……」
彼女「……」
そんなことを考えていたら、再びお互いに黙ってしまった。
今回のはさっきの静寂と違い、言葉ではうまく言い表せ無い気まずさがある。
こんな時に俺が、別に友なら大丈夫だろと言っても彼女の不安は取り除けないだろ、それぐらいのことは俺にだってわかる。
そんな今の俺にできる事は、そこのドーナツ屋に入って一緒にドーナツを食べながら他愛もない話をする事ぐらいだろ。
俺「……そこの店でゆっくりしようぜ、
奢ってやんから。」
彼女「⁈、うん!ありがとう!」
彼女は少し驚いた顔をしたが、その後笑顔で頷いてくれた。
最近、自分の行動の中心が彼女の一喜一憂によって振り回されてる気もするが。
俺「……」
彼女「んっなに?」
俺が彼女の方を向いていたら、彼女は笑顔でこっちを見てくれる。
俺「なんでもねーよ、ほら早く行こうぜ」
彼女が笑ってくれるならそれでもいいよな。
次の日の朝、彼女と満員電車に揺られながら、学校に登校する。
満員電車なんてただでさえ、キツくて臭いのに、それが夏を少し過ぎた程度のこの季節も最悪だ。
彼女も口にはだしてないが、「汗臭いなぁ、このおっさんたちどっかいってくれないの?」と顔に書いてあるようだ。
彼女「あぁもう、本当に暑いよね俺」
俺「そうだなー、あと駅3つだし我慢しようぜ」
彼女「それもそうだけどさぁ、はあ〜」
そういう彼女の額には、汗があった。
だから俺は自分の首にかけてあったタオルで彼女の汗を拭いてあげた。
俺「ほら」
彼女「んっ、ありがとう俺」
こうゆう満員電車の中では、滅多なことがなければ知り合いに見られる心配もないぶん、気持ち的にも楽だなと思う。
彼女「うん?あれ友ちゃんじゃない?」
いつも降りる、大塚駅に降りたら突然彼女はそう言って来た。
俺「うーん、どこらへんだ?」
俺も友のことを探したが見つからない。
彼女「ほらあそこだよ」
彼女がそう言って人混みのある一点を指さしている。
その方向には友と俺の知らない、友の友達らしき人達がいた。その姿を見て彼女は、少し安心したような顔をしていた。
しかし俺は、なんとなく前にも似たような時がありどうもあの友の姿を見ても安心出来なかった。
彼女「なんだ、別に友ちゃん全然平気じゃん。ねっ俺。」
彼女は俺にそう言って来たのでとりあえず俺も頷いといた。
俺「そうだな。そろそろ学校行こうぜ。遅れちまう。」
彼女「うん!」
今はちょうど学校の昼休みの時間だ。
彼女とはいつも昼休みは別々に過ごしている。
俺の昼休みの過ごす場所はだいたい中庭で1人でボーとする。よく友達に1人でいるとボッチぽいと言われるが俺は、なんて事のない事から生きるってなんだろうなぁとか、わけのわからん事を考え過ごす時間が好きだからである。
断じて、誰かと話すと話が持たないとかそんな事ではない…と思う。
ただこの時期の中庭はどうやらあまり俺にむいてるわけでは、ないようだった。
その他A「ここ本当に風通しよくていいよねー」
その他B「だよねー。すごい涼しい〜」
……このように俺の今までの楽園は一部の奴らが、喋ってしまった事でこのようなありさまになってしまった。
初めの頃は、適当な友達と一緒にいたりもしたが、そろそろ静かな昼休みを過ごしたい。
そこで本来生徒達が滅多に行く事のない、先生達の職員室などがある方の、校舎の屋上に行きたいと思う。
あちらの方の屋上にはちゃんとした柵があるらしくいちよ、生徒の立ち入りもOKになってる。
俺のような、ボッチもどきにピッタリの場所だ。本当のボッチはまずトイレで昼休みを過ごすらしいからな。
まぁこれは迷信だろうけどな、暇つぶしに今度確かめるのも面白いかもしれないな、うん。
その他A「そういえば、屋上にでる黒髪の女って知ってる?」
その他B「あぁ、知ってる!なんかすごく気難しい人なんでしょ」
その他A「そうそう」
後ろでそんな会話もあったが俺にとって関係のない話だ。
さて、屋上に来たわけだが。一言言うとなれば、おかえり!俺の楽園!につきるなこれは。
俺の予想した通り、まず人っ子1人もいないというこの状況!
風が心地よく、海や山の見えるこの景色!
今まで坂を上るのダリーと思ったが、これが見れるなら案外悪くもないな、今度絵の練習がてら、この景色でも描いてみるか。
俺はそん事を考えながら、昼食に持ってきた弁当を食べる場所を探し始めた。
始めはアニメで定番の給水塔の上なども考えたがいざ見てみると、あまりいいものでもなさそうだ、それに結構高いし。
そんなこんなで結局は給水塔の下あたりの、影ができている場所で食べる事にした。
給水塔の下で、髪を撫でるような夏とは少し違う柔らかな風を浴びながら、お昼を食べる。
こんな時はいろんな事を考えることができる。
俺の何かを考える時はだいたいなにか自分で自分に、課題をだしてやるような感じだ。
そんなわけで、今日は何について考えようか。そういえば高校生になって思った事があったことがある。
友人関係というのは、どうやったら深い仲になるのかと、いうものだ。
正直高校で俺はいろんな人と少しずつ話すような感じだった。だから仲いいなぁこいつらと思った相手が、「最初はあいついい奴だと思ったけど、ちょっと最近マジウゼー」みたいな事を俺に愚痴られた時は心底驚いたものだ。とゆうかその後お互いに、もうほとんど話してないしマジそれ言ってるお前らマジこえーよ。
俺も影でなんか言われてるんじゃないかとマジびびるは。
だから俺があまり嫌いな奴とかがあまりいないのは、相手の事を理解しようとしないからだからなのだろうか?
おそらくそうなのだろう、自分の事を簡単には理解して欲しくない、だからなかなか素の自分を出せず深い関係ができない。
だけどそれはみんながやってる事であり、変わるのが速いのか遅いのか、それだけの違いだろ。
ただ相手の素の部分が見え始めた時に、最初は良かったけど今はヤダって言ったり、本当はそんな奴だったんだというのは、相手を一面でしか見れていないことだろ。
最初の仮面を被ってるのも、素の相手も同じ人であり、それ以外にもたくさんの姿がある。だから人間関係を持つということは、相手に何かを求められるということだろう。
それをお互いに譲歩し合う、もしくは意識しないでも相手に求められてる事ができた時に成り立つのだと思う。
逆に自分の求めた行動をしてくれなかったら、相手の事が嫌いになる、大袈裟かもしれないがおそらくそんな所だろう。
だから俺は速く相手を理解したくもないしされたくもない、逆にたいした関係もないのに、相手を理解したきになるのは、勿体無いしそこから出てくる新しい相手を受け入れられなくなってしまう。
まぁこんな事ばかり考えるから、高校でまともに友達が出来ないのだろう。
だけど今は俺のペースで、出来れば友達じゃなくて親友と呼べる関係を作りたい。
人は変わる、それを受け入れらる事が人間関係のうえで一番大事な事だ。
俺「ハァー、つっても本当に大事な事なんてわかんねーけどなー。
実際俺があってたら、こんなボッチもどきの行動なんて取らねーよ!」
いや、どちらにしろ取ってるきもするな……むしろ多いと1人になりたい時になれないかも。
やっぱり、仲良いやつなんて両手で数えられればいいかー。
俺「まぁ、とりあえず俺なりの結論でもメモっとくか」
俺がそう呟いてふと影の所をみると、そこには、人間の頭の影のようなものが給水塔の影からあった。
俺は、なんとなく上の給水塔を見たが、太陽の光であまりよく見えない。
目が痛くなり、もう一度影の方を見た。
俺(さっきからまったく変わってない、
とゆうかメチャクチャ怖いんですけど、蛇に睨まれるっていうのか?まぁ今回は変人に見られるか。)
俺は不気味な影をしばらく見たが動く気配がない。
俺(だいたいこんな屋上の給水塔に上る奴なんて、ボッチかオタクかバカぐらいだろう、とにかくろくな奴じゃねーだろな)
そう思い、しばらくできるだけ動かないように影を見てたがなんの反応もない。
ここまで来ると、自分も変人の仲間の仲間のような気がしてくる。
それに、もしかしたらあの変人さんもこの場所が気に入って、よく来てるのかもしれない。
もしそうだとしたら、どちらかというと、俺があの変人さん(とりあえず屋上さんと呼ぼう)の安息の地に踏み入ってしまった事になり、邪魔者は俺の方かもしれない。
正直、ここに居座りたい気持ちが無ければ、ほっとけばいいのだが、俺はここにいたい、少なくとも冬になる前まではここを使いたいものだ。
俺(それなら、こちらから自分は無害だと伝えるべきだろう。
それにもしかしたら、こんな所に来る奴ならこの景色を語り合ったり、同じボッチもどき仲間になれるかもしれない。)
そんな事を考え、とりあえず屋上さんに話しかける事にした。
俺「こんにちはー、風が気持ちいいですねー!」
……返事がないただの屍のようだ。
とりあえずふざけるのも大概に、屋上さんは、何をしているのだろう?
ここまで、何も動かないと流石に、気になってくるものだ。
俺「あのー?」
もう一度読んでみたがやはり返事がない。
いつもなら諦めもつくが、ここの場所を気に入った俺はどうしても屋上さんと一言ぐらい話して、おきたかった。
とゆうか、いつも見られるなんてごめんだしな。
そんなわけで、直接給水塔に上ってみる事にした。
給水塔は屋上のさらに高い位置にあるためか、風が強く景色も少しだけ変わるようだ。なかなか景色の変化は大きくないが、一段上るごとに確実に少しだけは変わる、その変化にふと気付くと楽しくなる。
今見える景色は山の方だけだ、つまり給水塔の一番上には、下とは少しだけど大きく変わった景色が見えるはずだ。
その事を考えながら、ほんの30個程度のハシゴを上っていく。
そして最後のハシゴを上りきる少し前に、給水塔から見える景色全体が見えた。
その景色には、一面に広がる海と空、そしてふもとに見える街並みが、屋上の時よりもはるかに見え、これだけで人間が作り出した一つの芸術のようだった。
俺(景色が素晴らしいのは本当だが、もう少し現実もみような俺)
自分で自分に言い聞かせ、給水塔の上に寝転んでる、屋上さんについて考えることにした。
まぁとりあえず、屋上さんの正体は女子生徒のようだ。
さっきから風にあおられスカートの中が見えそうになっている。
俺(あまりそうゆうのは良くないと思うよ屋上さん!)
俺は心の中でそう呟き、これからどう屋上さんと接するか考えた。
俺(とりあえずこのままだと危ないし、こっちに引っ張るか。)
そう考え屋上さんの肩を掴もうとした。
屋上さん「何してんのあんた?」
俺「……」
俺(最悪だぁぁぁぁぁ!てか屋上さん通報されんじゃね⁈)
俺「……」
屋上さん「……」
俺が黙っていると屋上さんは俺の事を睨んでくる。
俺(いや、俺は別に変な事をしようとしたわけじゃないんだ!寝てしまっている屋上さんが危ないからちょっと肩を掴んでこっちに引っ張ろうとしただけだ!)
屋上さん「だから、あんた何してるのよ?」
屋上さんがさっきよりも目を険しくしてこっちに問い詰めてくる。
俺「べ、別に怪しいものじゃないんですよー、ただ君が給水塔から落ちそうになってると思って助けに来たんです」
このSSへのコメント