未来に渡す手紙
pixivにあげてたやつを、ここにあげた所存です。元々、ここにあげようとしてて忘れてたから…
人によっては、あまり良くないかも。
処女作です。面白くなくてもいいので、よかったら、読んでください。
あと、全ての著作権などは放棄しています。ですので、適当に使用してください。ただ、問題がそこで起こった場合、一切の責任は負いません。
手紙屋 未来館
そう書かれた郵便屋があった。ただ、その郵便屋は、他のところと違い、手紙だけしかも未来の自分にしか出せないという、不思議な郵便屋だった。辺境にあるからか、あまり有名でなく、それに信憑性が全くないと言われているのだが、長く続いているらしい。ここへ来て30年は経つそうだ。そんな、未来館にある少女が入ってきた。
「手紙屋さん!この手紙を、未来の私に渡してください!」
その手紙は、可愛く、そして少し汚い字で絹峰みさきと書かれていた。手紙屋の青年、唄が言った。
「何年後に渡せばいいですか?」
優しい口調で唄は言った。みさきは、うーん、うーんと少し考え込んでいた。答えが出て、少し静かに言った。
「15年後の私に渡してください!」
唄は、わかりましたと頷き、
「じゃあ、今から渡しに行ってくるから、そこの椅子で待っておいてね。」
みさきは静かに頷き椅子に座った。
唄は、窓口から出て、裏手に行った。そこには、まるで、教会の扉のようにでかい扉があった。その扉の上には、2020年6月20日と書かれていた。唄は、隣にあったキーボードで、『2035年6月20日』と打ち込んだ。その瞬間、扉の上の数字が動き始めた。そして、さっき打ち込んだ『2035年6月20日』に変わった。そして、扉は開いた。扉の奥は謎の空間に包まれていた。青く、白く、そして黒い。唄はその空間に入った。慣れたものなのか、その顔は全く動かない。その空間を抜けると、とあるマンションのドアの前にいた。表札には、絹峰と書かれていた。チャイムはない、そのためコンコン、とドアを叩いた。返事はない。だが、鍵が空いている。唄は、ドアを開いた。玄関は様々なものが乱雑に置かれている。唄は、一応靴を脱いだ。リビングに入ると、20になったであろう絹峰みさきが、倒れていた。だが、唄が入ってきた音に気づき起きた。そして
「…あぁ、手紙屋の…お兄さん。久しぶりですね。」
みさきは、掠れた声で唄に話しかけた。
「大丈夫ですか?みさきさん。」
15年前の時と同じように優しい口調で話した。
「……うん。まだ、大丈夫…です。」
「…まだ、ですか。」
唄は、みさきの言葉に違和感を覚えた。
「………もう、きつくなってきたんです。」
「…」
唄は黙って、手紙を渡した。
「…15年後のあなたに渡しました。私の役目はこれで終わりですね。」
「…」
みさきは、受け取り、中身を見た。
『15ねんごのわたしへ!
元気にしていますか?つらいことになってませんか?お花屋さんになってゆめをかなえていますか?今のわたしは、すごく楽しいです。未来のわたしはどうなっていますか?楽しいですか?不安があるかもしれないけど、あきらめないでがんばってね!
今のわたしより!』
その手紙を見たみさきは、泣いていた。声を出して泣いた。唄は、それを見て安心したかのようにここから去ろうとした。だがみさきは唄を呼び止めた。
「…ねぇ、お兄さん…」
「…なんですか?」
みさきは、はにかんだ笑みで唄に言った。
「…今のわたし…15年前のわたしに…アイスを買ってあげてください…」
「……わかりました。」
唄は、返事をしてその場から去った。理解はしていた。みさきが何をしようとしているのか。だが、止めなかった。そして、唄はまた扉の謎の空間に入っていった。
「…お兄さん…ありがとう…」
そう聞こえた気がした。だが、後ろは向かない。一度瞬きをすると、もう現代に戻っていた。扉の数字はもう、今の時間に戻っていた。唄はすぐに裏手から出て、みさきを探した。みさきは、椅子に座っていたまま、眠っていた。
「みさきさん。」
「ん…むぅ…」
少し、目をパチクリとさせみさきは起きた。
「ごめんね。手紙渡せなかった…」
唄は、嘘をついた。
「なんで渡せなかったの…?」
少し涙ぐんでいた。
「急に、風が吹いてきてね……飛んで行っちゃった…」
「…」
今にも泣き出しそうだった。唄は、15年後のみさきが言ったことを思い出し、
「お詫びに、アイスを買ってあげるよ。」
「…うん!」
「…ねぇ、手紙屋さん。15年後、また会いにきてくれる?」
唄は、また優しい口調でそして、静かに返事をした。
「そうですね。また、会いましょうね。」
終わり
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