2022-03-22 00:19:11 更新

概要

バレンタインデーの時に書いた八×色です!


それは冬でも無く又は春でもない季節。

まだ肌寒く、鼻をツンと刺す風を吹きながらも、陽射しは身を包むような暖かさを含むこの2月。

俺は今世界で一番あざと可愛いクソ女こと、一色いろはと生徒会の仕事をしている。


いろは「せんぱ〜い〜」


そう甘ったるい言葉を口にしながら瞳は潤ませ上目遣いで俺の事を見る。


八幡「あざとい、でなんだ」


俺はそう言い放ち、作業を止め、距離をとる。


いろは「むぅ〜あざとくないですぅ〜。先輩今日が何の日か知ってますか?」


彼女はそう言うとニコニコしながら俺の顔を覗き込む。


八幡「あ?今日は…えっと…?2月の14日か」


いろは「そう!何と言っても今日はバr……」


八幡「今日はふんどしの日だろ?それとも煮干しの日か?煮干しは骨にいいからな。摂っといて損は無いな。ふんどしに関しては今どき履く人はお相撲さんくらいだからな。それがどうかしたか」


彼女は溜息をつきながら口を尖らせた。


いろは「はぁ……なんですかその知ってても得する人0な豆知識は…ちがいますぅ〜先輩本当は知ってるでしょ」


あぁ知ってるとも知りたくなくても朝のニュースなんて見て街ゆく宣伝板を見たら嫌でも目に付く。だが、俺は恋愛脳と言うやつを毛嫌いしている。多分この学校でいや、稲毛区で1番嫌ってると言っても過言ではないと思う。


八幡「バレンタインだろ。俺はそういうの嫌いなんだよ。元々は兵士の恋愛を禁止した司教をローマ皇帝が処刑した所から始まった話だろ?恋だの愛だの何か言ってる前に人が死んでるんだ。めでたくも無いだろ」


いろは「うわぁ…なんでその話を知ってるか分からないですけど、そこまで行くと本当に先輩って可哀想ですね…」


なぜ可哀想なのか。可哀想なのは処刑された司教では無いだろうか…

それにバレンタインでは嫌な思い出があるからな。


八幡「俺は元々、バレンタインが嫌いなんだ。これは友達の話なんだがな…」


いろは「先輩友達いないじゃないですか。」


八幡「うぐっ」


俺だって友達の1人や2人いるもん!戸塚とか戸塚とか戸塚とか!あれ戸塚しかいない…


いろは「はぁ…まぁ先輩の事ですし、昔にどうせ義理のチョコを本命と勘違いしてやらかしたんでしょうけど」


なんでそれを…いやあれは含みある言い方で言ったあの子が悪いんだからね?!うん、俺悪くない。勘違いさせた方が悪い!そうだもん!


八幡「…でそれがなんだってんだ」


いろは「ふふーん、知りたいですかぁ?」


八幡「いや、別に」


いろは「なっ!?そこは知りたいって言うべきとこでしょうが!」


八幡「はぁ…はいはい、知りたい知りたい」


いろは「めちゃくちゃ適当にあしらいましたね…まぁいいです!なんと私が先輩にチョコを作ってきたんです!」


八幡「ほぉ…ちなみに毒は何入れた?由比ヶ浜には作らせてないよな?」


いろは「そうですねぇ毒はってなんて酷いこと言うんですか!それに結衣先輩が聞いたら怒りますよ?」


八幡「いや、あれは壊滅級だから…」


いろは「…まぁ結衣先輩のことは今どうでもいいです。それでなんですけど〜先輩」


八幡「やだ」


いろは「まだ言ってないんですが!!!」


八幡「で、どうせ拒否権ないんでしょ?なによ」


いろは「よく分かりましたねぇいろは検定4級なら受かりそうですね!で先輩にお願いがありまして〜その〜食べる時にあーんを」


八幡「却下」


そんなん嫌に決まってるでしょ…下手したらそんな現場を見た人が危うく通報しちゃうでしょ?俺を


いろは「ひ、酷いですぅ!!いいじゃないですかぁ!」


八幡「やだよ、恥ずかしい。それは葉山にやってやれよ。きっと受け入れてくれるぞ」


いろは「はぁ、先輩は鋭いんだか鈍いんだか本当に分からないですね。葉山先輩はそうですね、憧れ?みたいなやつです。」


八幡「なんだよ鋭い鈍いって…もしかして俺も処刑されちゃうの…?いやでもお前、前に頑張るって…」


いろは「はいはい、もうそういうのいいです。まぁ先輩が言ったように拒否権は最初っから無いです♪それにそれは次の恋に向けてってことです〜」


八幡「えぇ……」


そんな感じで言ってたの…?俺には諦めないみたいな感じのニュアンスで聞き入れちゃったよ…


いろは「じゃあ今取り出しますね〜」ガサガサ


鞄から取り出されたのは小包に包まれた赤色の箱だった。それも可愛らしい如何にも一色が気に入りそうな箱だった。


八幡「意外と本格的なんだな…」


いろは「雰囲気から入っていかないと♪」


そう言うと彼女は箱の中身を開けて見せた


八幡「おぉ…ハート型が多いな…」


いろは「へへん♪じゃあ1個目食べてみますか!ホワイトチョコ、ブラックチョコ、イチゴチョコと3つありますが、どれから食べます?」


八幡「そんなに種類あるのか…じゃあ最初はブラックで」


俺ブラック苦手なんだよなぁ…でも八幡偉いから苦手なものから先に食べちゃう!


いろは「じゃあはい行きますよ?はいあーん///」


八幡「なんでお前まで恥ずかしがってんだよ…」


いろは「そ、そりゃ私だって恥ずかしくはなりますよ…」


八幡「ならやらなきゃいいじゃねぇか…」


いろは「もう!いいから先輩早く!」


八幡「…くっ、あ、あーん///」


なんでこんなことに…クソ、すげぇ恥ずかしい。


いろは「お、お味はどうですか…///」


八幡「そ、そうだな///まぁうめぇんじゃねぇの…?」


いろは「ちょっ、ちょっと先輩!もうちょっと感想下さいよ!」


いや恥ずかしさでブラックなのに甘く感じるんだよ…あれこれほんとにブラック?結構お砂糖入ってらっしゃるのでは?あー顔が熱い。砂糖と一緒に溶けそうだな


八幡「す、すまん…次の食べたらちゃんと感想言う」


いろは「ほほーん、またあーんしてもらいたいのですか!良いでしょう!はい!あーん」


こいつもう慣れやがったな?


八幡「あ、あーん///」モグモグ


いろは「どうですか…?」


ほぉなるほど…口の中ですぐに溶けるという訳では無いがまろやかで少しの苦味を残しつつチョコという本来の形を上手く表現出来ている。


八幡「これ、店で出せるレベル位に美味いぞ…」


いろは「えっ…そんなにですか?!」


八幡「あぁ、かなり美味い。これならいくらでも食べれるな」


いろは「えへへ♪って先輩もしかして口説いてます?いくらでも食べれるってお前の作った料理で俺の胃は握られて今後一生手料理を作ってくれってことですか!?正直いいなと思いましたが、まだまだ先輩好みの味を分かっていないのでもっと修行してから出直しますのでごめんなさい」


八幡「お、おう…?なんかそれは断られたのか…?」


いろは「じゃあ次はイチゴですね!」


八幡「まぁもう食う前から美味いのわかってるしな。」


いろは「〜っ!!ほ、ほらあ、あーん///」


八幡「なんで赤くなってんだよ…」パク


八幡「これもうめぇな…」


いろは「〜♪」


いろは「先輩、ちなみに〜バレンタインに送るお菓子の意味って知ってますか?」


八幡「あ?そんなのあんの?」


あんだけ由来とか知ってても知らないこともあるんだね!まぁお菓子とか貰ったの相当昔だから意味とか知らなかったてへっ


いろは「色々あるそうですよ〜♪ちなみに先輩私があげたのはチョコなんですが実はもう一個用意してるんです♪」


八幡「えっまだあるの?正直あのチョコで俺めちゃくちゃ満足なんだけど…それにまぁお前が作ったやつなら…」


いろは「!?や、やけに素直ですね…」


八幡「まぁ美味かったしな」


美味かったのは事実だし、これなら本当にいくらでも食えてしまいそうで俺の胃の限界を更新してしまうだろう。


いろは「じゃ〜先輩当ててみてください!」


八幡「は?素直にくれるんじゃないのか」


いろは「え〜なんですか?もしかして楽しみにしてました〜?」ニヤニヤ


八幡「…」


いろは「当たったらちゃーんとあげますよ♪」


八幡「難しいな…」


いろは「あっネットで調べてもいいですよ♪ちなみにヒントは私の先輩に対する気持ち♪です!」


八幡「……」


めちゃくちゃ難しいぞ…東大のQuiz○nockで出てくるくらいの難易度なんだけど…調べたが殆どプラス思考の方しかない。これはこの二択しかないな…いやこれがもし本当なら俺凄い悲しいけどね!?


八幡「ま、マシ…」


いろは「あっマシュマロとグミは違いますよ♪」


八幡「」


えぇ〜…尚更分からん…ここで勘違いすると相当痛いやつになるしな…


いろは「先輩…」


八幡「…な、なんだ?」


いろは「勘違いしてもいいんですよ…」


俺の心の中を読まれてる…!?それより勘違いしてもいい…いやでもあいつは葉山の事が…でもそれは憧れだと言っていたし…


八幡「一応聞いていいか…?」


いろは「なんですか〜?」


八幡「その、その手作りっていうのは渡す相手は…?」


いろは「え〜気になるんですか〜?も・ち・ろ・ん♡先輩だけですよ?」


八幡「」


これは勘違いしてもいいんだろうか…でも1度痛い目見てる分こいつが何考えてるか分からない。そうだ!分からないと言えば…


いろは「分からないは無しですからね♪」


八幡「…クッ」


なんで心の中分かっちゃうの!?もう八幡怖い!


いろは「(この人悔しがってるなぁ♪そろそろ私の気持ちも気づいて欲しいけどね…ちんたらしてたらあの二人に取られちゃいそうだし…)」


腹を括るしかないのか…どう転んでもこれは俺の負けな気がする…一か八かだな……


八幡「そ、そうだな。く、クッキーか?」


いろは「はぁ……先輩ってほんとにドがつくほどヘタレですね…



八幡「うっ…」


いろは「違いますよ…先輩私が作ってきたのは…」


彼女はブレザーの内ポケットから小さなピンクの袋を取りだし、彼女は中を開けこう言った。


いろは「これが…私の気持ちです…受け取ってくれますか?」


彼女が渡してきたのはマカロンだった。


八幡「これは…そう受け取ってもいいのか…?」


いろは「…ばか」


彼女は恥じらいながらまた少し拗ねたようにそっぽを向いた。

マカロンにも意味がある。それは『貴方は特別な存在』

本命の相手に渡す意味に用いられる。


八幡「…返事は…」


いろは「先輩…3倍返しで待ってます」


そう言うと彼女はニコッと笑い、また仕事をし始めた。その笑顔にはあざとさも計算した笑顔も無かった。ただ素で可愛らしい女の子『一色いろは』という女の子だけが俺の目の前にいた。


八幡「…いいのか」


何を言いのかは分からない。だが、彼女は言葉の意味、本質を知ったのか、笑顔でまた答えた。


いろは「はい♪私はもう既に本物を見つけているので♪」


八幡「…」


彼女はきっとしっかりとした本物を見つけている。俺はまだ今の‪”‬これ︎︎‪”‬が本物かは分からない。だが、きっと彼女は俺の‪”‬これ‪”‬をもう知っているのではないかとも思っている。

一色いろははやはり可愛くてあざとい小悪魔である。


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2022-07-18 01:34:58

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2022-03-23 20:06:28

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2022-07-18 01:35:03

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