三人の誓い(仮)
初めてSSをやってみました!宜しくお願いします。
まだタイトルが思い付かないので仮ですすみません.......
青年は進行具合で名前にします、ちなみに青年が主人公です。
時々、夢を見る。
とある少年と楽しそうに遊んでいる、小さな私。
とびっきりの笑顔で
とびっきりの喜びを、ただ一人に伝わる様に、感じてくれる様に。
強い陽射しも何のその。
水で冷えた彼の手が、私を冷ましてくれるから。
私を、
【醒めた?】
「.......ぁっ.......えっ?」
冷えた、テが。
【覚めたか?】
「っあ.........イヤ.......嫌だ嫌だ嫌だいやだ....!!」
冷めた身体が、
「覚めてない醒めてない冷めてないさめてないサメテナイ私は私は私が私の私だ私に私のは」
ーーきっと、ちゃんと君と向き合えきれなかった罰なんだと思う。
私は私を信じていないし、自分自身が大っ嫌いだった。
でも君が私を心から信頼してくれて、接してくれて、愛してくれて。
本当に私は運が良くて恵まれていた。
恵まれていたのに、きっと貴方と一緒に隣に居られるようなやつに生まれ変われる事だって出来たのだろうにーー
【見ろよ】
黒い影は泣崩れた女性の黒髪を力強く掴み、眼前に広がる惨状を見せる。
そうして、壊す為に叫ぶ。
【お前は卑怯だよなぁ、えらく頑固で曲がったことは嫌いな癖に自分の事は棚にあげてそのまま】
【自分の失敗には目を瞑り他人には要求する、まさに自己愛の化身じゃないか!!】
辺りに充満する鉄の臭いに、身体が動かない。
頭が働かない。
絶望なんて、経験してきた筈だった。
けれど、どんなに苦しくても辛くても覆してきたのだ。
彼の指示に従って、彼の声が私を震え立たせてくれて。
ーーあれーー
ーー彼は、今何処にーー
【おいおい、忘れたのか?忘れちまったのか?お前の前に居るさ、愛しの『約束』の彼はな】
あ、居た。
もう.......どうしてここで眠っているの?
起きて?
こんな床で、毛布も掛けずに居たら風邪引いちゃうよ?
【痛そうだな、辛そうだなぁ.......胸を抉られてるし、苦しそうだ.......あ、でもお前が殺したんだっけ】
ピシッと、彼女の中で何かが割れる音がした。
「ぁ''ぁぁぁぁあ''ぁぁあ''あ''ぁ''あ''ぁ''ぁ''!!!!!!」
彼女は振り返り、顔も分からぬ黒き影に向かって腕を振り抜こうとしたが、
その行動の結果は分からずじまいだった。
もしかしたら倒せていたかもしれない、そうじゃなくても払い除けることぐらいは出来ていたのかもしれない。
まぁ、それも
「.......ガハッ」
.......所詮、結果論なのだが。
彼女の口からは赤黒い液体が、口膣から空気と一緒に漏れでていく。
その腹部には黒い腕が穿たれていた。
しかも腕は腹部の前後を貫通し、大きなトンネルを作っている。
もはや誰が見ても致命傷だ。
【いやまぁ、分かってはいたんだ。お前は最低で糞な女だがアイツとの約束は守るって】
「だ.......まれ.......」
【だからこうして、俺が立ってる、俺が生きてる。仕方ないよな?迷ったんだもんな?最後の最後までお前は】
「死ね.......しん.......じまえ」
今にも息絶えそうな声で、彼女は今ある力を振り絞り腕を振るう。
だが、満身創痍の身体に何かを成せるほど余力がある訳もなく。
【だから俺なりの褒美だ。お前はお前の愛したやつと同じ傷を負って死ね】
影は勢いよく腕を引き抜く。
それによってせき止められていた血液は体外へと噴き出ていく。
数秒後、彼女は膝から崩れ、床に倒れ込んだ。
その瞳には、もう光は失われていたのだった。
【.........ハッ、やっぱり世の中そんなご都合主義万歳な事なんて起きないもんだよ】
【誰かが助けに来る。誰かがいつでも救ってくれるんならこうして死ぬことも無いんだし】
自身の目的を果たした影は青空を見上げた。
とても濃くて、消えることの無い永遠に広がる青。
その風景を見て「こんな薄い、味の無い自分とは真逆だ」と自虐を混ぜた一言を呟いた。
真っ暗なナニカで見えないがその顔はきっと苦しんでいるのだろう。
それ程までに小さな声は、悲しみを孕んでいた。
【...................ああ、分かってるよ】
この両腕は血に塗れている。
けれどこれは、誓いを果たした証だ。
影は右手に意識を集中させる。
その瞬間、辺りに飛び散っていた血液が右手の掌に集約されていき、次に死体が塵へ変わり黒い渦になっていく。
そうして何時しか今立っている部屋を、建物すら渦へ飲まれていき、......最後にはなにも残ってはいなかった。
【......嗚呼、哀しきかな。誰が為にと動いた二人は誰にも気づかれる事無く、その命を散らせるのだった.......】
【なぁんて、どっかの小説にでもありそうだよね。こういうの】
ケタケタと笑いながら、影は周囲を見渡し伸びをする。
今日は快晴、鳥が騒ぎ、人は虫のようにワラワラと素知らぬ顔して辺りを闊歩している。
そう、文字通り誰も何が起こったのかさえ知らないまま。
青年「.....仕事場見学ぅ?.....」
父親「ああ、そうだ」
その日はまるで、サウナにいるのでは無いかと感じてしまう程に強い陽射しが射す一日だった。
我が父親ながら話を端折り人に伝えてしまう点は似てるのかな、なんて考えてみたりする。
突拍子無くこちらの事情も考えない言動に少しばかり怒りを覚えるが、よくよく考えればそれを口に出すのは簡単だがそれも大人気ないと冷静になる。
水分補給の為と状況整理をする時間も兼ねて、右手で持っていた麦茶をラッパ飲みで勢いよく飲み干していく。
ちょいと流し目で見るとニヤニヤと、どこか馬鹿にしてるような顔でこちらを見ている。
.......何となく腹立つ。
少し話は飛ぶが、こんな話題になったのは実際には青年側に理由がある。
現在青年の年齢だと、時期的に夏休み期間中なのだ。
夏休みに入った学生は、日々の勉学を忘れ遊び、集い、ひたすらにストレス解消に励んでいる。
時には祭りに行き、時には海へ行き、時にはゆっくり家でくつろぐ。
青年にとってもそれは同じであり、彼の場合の楽しみがただひたすらにゲームやりまくるという行動だったに過ぎない。
しかしそんな学生達に立ちはだかる、悠々自適な生活を送る際に障害とも言うべきものがある......そう宿題だ。
ある人は、毎日計画を立ててコツコツと。
またある人は友達と集まり駄べりながら。
またまたある人は夏休みの最終日に徹夜してやりきる。
もはや学生にとっての夏の風物詩と言っても過言ではないだろう。
だが中にはやっておいた方が良いものもある。
その中の一つが、自由研究だ。
.......少しだけ待って欲しい、言いたいことは分かる。
自由研究なんて、適当に題を決めてインターネットで答え書けばいいじゃないかとそう言いたいのだろう?
確かにそれはそうだ、手っ取り早い話それで済んでしまうのが今の世の中だ。
大体自分が思いつくのは誰かがやっているし、もし何をするかで悩んでいても調べたら直ぐに引っ掛かる。
だが、今回ばかりはそうはいかない。
『はい、夏休みの宿題についてな?一つ言わなきゃならない事があります』
『宿題の中に自由研究があるんだが、その自由研究.......俺が担当の授業で発表してもらうから』
.......流石に気張る、気張らなきゃ恥をかくぞこれ。
その事を父親に相談をしたらこんな提案をされたという訳である。
(と言っても、親父は親父なりに考えてくれたわけだ.......)
昔から振り回されてきた一人としては、珍しく人の事を考えた言動に少なからず感動している所だ。
(ん.......?でもそういえば親父の仕事って.......)
青年「.......っん!ぐほっ!げほっ!!」
父親「ハッハッハッハ!!!ちなみにお父さんの職場はすごいぞぉ!それはそれは「知ってる、今思い出したからむせたんだ」.......そうか?説明しなくていいか.......」
しゅんとした父親をよそ目に、零した麦茶を拭う。
(軍用人型.......ナンチャラ兵器.......艦娘.....だったっけか)
艦娘、それは突如として現れた海の支配者 深海棲艦から人類を守る為に産み出された存在。
容姿は何ら人とは変わらないものの、人では到底考えられない膂力を有し、俊敏性やありとあらゆる能力を併せ持つ人型兵器。
未だ人では解明できない力もあるのでは無いかと、研究対象にもなっているのだそうだ。
青年「それで?何で急に親父は誘ってきたんだよ。いや、何かないかな?って言ったのは俺なんだけどさ」
父親「何、丁度よくあちらにいる皆にも夏の長期休暇を言い渡していてな。そろそろ一度戻って顔出そうとしていた矢先にお前の自由研究についての話題だ。なら良い経験にもなるだろうし、テーマを決めるヒントにもなるだろう!と、そういう訳だ」
あちらにいる皆.......というのは艦娘達の事を指しているのだろう。
青年「でもいいのかよ?」
父親「んー?何がだ」
青年「いや、艦娘って世間的に言えば軍の機密兵器ってやつだろ?そんなヤツらが居る場所も場所なんだろうし、一般人の俺が出入りしてもいいもんなのかよ?」
一般的には艦娘という名前、今まで人が造り上げた艦の名前を冠した者、唯一人が持つ力の中で深海棲艦に対抗できる力とこの三点しか知られていない。
どんな風に深海棲艦に太刀打ちしているのか?力の原理は?疑問を上げたらキリがない。
そんな風にあまりにも謎が多い話題なのだ。
父親「ダメだな!!」
青年「ダメか」
多少首を傾げたあと言い放ったこの眼前にいる中年クソ野郎の発言に呆れてしまう。
つまりこいつは、立場的にダメ、世間的にもダメな行動を気軽に息子に勧めていたという訳だ。
.......馬鹿か?馬鹿だな、そんなこと考える意味すらないぐらいには馬鹿というのは今までの人生の中で死ぬほど理解していた、うん。
父親「だが、高校最後の夏なんだろ?どうせならパッと華やかでは無くても人が感心するような物凄いのをした方がいいんじゃないのか?」
青年「.......いやまぁ.......それは.......」
青年は父親の言葉について腕を組み、思考をする。
.......別にしなくてもいい事だ。
やってもやらなくても良い事だし、やったとて恥をかくかも知れない。
こいつ調子に乗ってんなとか、何自由研究ごときで本気になってんだと言う人だっているかもしれない。
青年「やっては.......みたいよな!!」
でも、そうだ『どうせ』だ。
どうせ最後、どうせ今後会うかも分からない奴等の顔を気にする必要があるのか。
やってみたいことをやらずして少しばかりの後悔を残して自身の進路に集中出来るのか?否!出来ない!!!
やれば可能性も出てくるが、やらなきゃ0だ!!
父親「それでこそ、俺の息子だな!」
ーーと、乗せられたのはいいのだが。
こんなどこにでもある様な陳腐な話を読んでくれている皆様方は薄々、勘づいているだろう。
これが、先を考えないこの行動が青年の間違いだったのはもはや言うまでもない。
しかし、間違いであったと同時に彼にとって大きく人生が動くある出来事に繋がるのは、また後の話。
青年「うわぁ.......でっけぇ」
父親「すげぇよな、こんな辺境の海域に。こんな大層な基地を敷いてるんだ。前線なんざこれより馬鹿大きいんじゃないのか?」
実家から車に揺られて約30分。
父親と他愛のない世間話をしながら、沿岸地域を過ぎるとそこには、こんな田舎では見たことも無い巨大な建造物が建てられていた。
真っ白な外壁にデカデカと黒を基調とした佐世保鎮守府と金色に掘られた看板が取り付けられており、厳かさを感じる建造物。
圧倒される、この一言でしか表せない。
否、自身の語彙ではこんな表現でしか言い表す事が出来ないのだ。
青年「.......ここが言ってた鎮守府ってとこなんだよな?」
父親「ああ、佐世保鎮守府。他には横須賀や呉、舞鶴と合わせて現存してる鎮守府は四つある。以前は西海と言われていたんだが.......そんなにキョロキョロしてどうした?」
青年「いや.......見たことないわけじゃないんだ。教科書の資料写真とか、歴史館とかで見てるし」
青年「それでもやっぱり.......生で見るって凄いな」
青年は自然と喉を鳴らしていた。
実際ここに来る理由に好奇心が無かったと言えば嘘になる。
いけないことだと理解していても、手段があるのならやってみたい見てみたいと思うのは至極人として当然だと言える。
それが前々から自身が興味を持っていたことなら尚更だ。
しかし、そんな感情は一瞬にして消失してしまう。
その彼の心に変わりに宿った感情は、敬意に似た何かだった。
青年【性格】若干の人見知り、小さな頃から人の言う事を裏すら考えずに信じてしまうタイプでありそれによって対人事故があり人が怖くなった。
反対に信頼できる人間には、依存してしまう気がありそれが悪い事だと認識している為抑制しているが、接する際にガタガタになってしまう(テンションの振り幅がおかしい)のをどうにかしたいと思っている。
・進行度合いで追加していきます
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