両津「聖黒樺学園に黒雪姫と名乗る人物から脅迫状が届いたと言うんだよな」こちら葛飾区亀有公園前派出所×冬馬小次郎の探偵FILE2聖黒樺学園殺人事件
この小説はこちら葛飾区亀有公園前派出所とSofthouse-sealのR18ゲームの冬馬小次郎の探偵FILE2聖黒樺学園殺人事件のクロスです。
両津勘吉と中川圭一を主役にしているので、本編での冬馬小次郎と一部のキャラの出番はありません。
未プレイの方はゲーム本編のネタバレになりますから注意してください、DLサイトとDMMのダウンロード形式で販売しており、18歳未満の人はプレイしない様に。
個人的自己満足による素人の駄文ですので期待しないでください、それでも読みたい方はどうぞ。
ー葛飾区亀有公園前派出ー
両津「よし、これで完成だ」
両津は勤務時間帯にサボって戦車のプラモデルを組み立てていた。
中川「先輩、今日は聖黒樺学園に行く予定ですよ」
両津「聖黒樺学園に黒雪姫と名乗る人物から脅迫状が届いたと言うんだよな」
中川「はい、学園ではイタズラだと噂されていますが、学園長から僕達に捜査の依頼が来ています」
両津「まったくめんどくさいな…部長に怒鳴られる前に出だすとするか」
しぶしぶ承諾し両津は中川が運転するフェラーリの助手席に乗り込むと、聖黒樺学園に向かう事になった。
―走行中のフェラーリの車内―
両津「数年前にどこかの街で何かの事件が起きていたような気が…」
中川「昔の事件を思い出してどうしたんですか?」
両津「何か引っかかるな…あと少しで思い出せない……」
中川「先輩、そのことは今は置いておいてください。もうすぐ聖黒樺学園に到着しますよ」
中川の言うように目的地である聖黒樺学園に迫っていた。
―聖黒樺学園―
学園内の駐車場に中川はフェラーリを駐車する、ただでさえ目立つ高級車の中から二人の警察官が降りて来て生徒達はざわつき始める。
そんな視線をおかまいなしに両津と中川は校内に足を踏み入れる、玄関前でサイドポニーの髪型にキャリア服を着て眼鏡をかけた女教師が二人を出迎えた。
三浦弥生「両津さんと中川さんですね、私はこの学園で教師を務めている三浦弥生です。学園長室に案内します」
両津(ほう…なかなか美人でスタイルがいい女教師だ、男子生徒の受けはいいだろうな)
中川(先輩、なにを鼻の下をのばしているんです、僕達は捜査をしに来たんですよ)
両津(ちぇっ!わかってるよ…!)
そうこうしている間に両津と中川は三浦弥生の案内で校長室に到着した。
弥生「私は授業がありますのでここで失礼します」
両津「おう、ご苦労さん」
中川「入りますよ先輩」
2人は学園長室にはいる。
―学園長室―
学園長「両津さん、中川さん、忙しい身でお越し頂きすいません」
両津「とりあえずその脅迫文の内容はなんなんだ?」
学園長「『白雪姫を守る七人の小人に地獄の毒りんごを……黒雪姫』と書かれていました」
中川「まるで殺人予告を出したかの様なものですね」
両津「誰かのイタズラにしては文章が悪趣味だな」
学園長「このような脅迫文が届いたからには何かが起きるのではないかと不安で……」
両津「わーったよ、わしらでできる限りのことはする」
学園長「お願いできますか?」
中川「まずは僕達がこの学園での出入りと捜査の許可をお願いします」
学園長「わかりました、お二人の校内の出入りと捜査を許可します」
学園長から捜査の許可を取り二人はすぐさま校内の捜査を始める事に。
両津「捜査するにしてもどこから手をつければいいか見当がつかんぞ」
中川「とにかく模索していくしかありませんね……おや?あれは?」
二人の目の前の先に男子生徒二人がいざこざを起こし始めていた現場に遭遇した。
幸いにも取っ組み合いに発展することはなく一人の生徒は捨て台詞を吐いて行ってしまい、もう一人の方は何も言わずに黙ってその場を後にした。
黒髪にポニーテールの女生徒が走って来るも、すでにいざこざは終わった後だった。
藤堂耶子「まったくあいつときたら、毎度他の生徒に対し問題を起こして…!」
中川「すいませんがあの生徒について何があったんです?」
耶子「今日来てくれた警察の人ですか。私はこの学園で生徒会長を務めている藤堂耶子です」
両津「あの札付きの悪の様な生徒は誰なんだ?」
耶子「転校生の加賀智哉です。威圧的な態度を取って周囲の怒りを買う事を平然としていて困っていますよ」
両津「どこの学校にも不良は居るんだな」
中川「いつもトラブルを起こす先輩が言えたことですか」
両津「悪かったな!いつもトラブルばかり起こしてよ!」
二人の会話にあきれ顔で見つめる耶子。
耶子「とにかく私も生徒会長として学園内の治安を守るためにあなた方に協力します」
両津「若いながら偉いな!わしらに任せておけ!(さっきの女教師の三浦弥生といい、この娘も美人じゃねえか)」
中川(まったく先輩は美人が相手だとすぐに調子に乗るんですから…)
中川はあきれながらため息をつく。
耶子の協力を得て学園内を探索を始めるも何の手掛かりも掴むことはできず、時間は夕暮れ時の下校時刻にまで迫っていた。
耶子は生徒会の仕事の用があり2人と別れることに。
2人が校門前に到着すると、弥生と見知らぬ女性が会話をしていた。
弥生「巡査さん、なにか手がかりは掴めましたか?」
両津「全く何も掴めず時間を過ごしてしまった」
中川「彼女は誰ですか?」
夏木瀬陽子「私は夏木瀬陽子といいます」
弥生「彼女は私の学生時代の後輩で友人よ」
両津「わしは巡査の両津勘吉だ」
中川「同じく巡査の中川圭一です」
弥生「この学園に変な脅迫文が届いて、私のことが心配になって来たみたいなんです」
陽子「だって!もしも弥生の身に何かあったら心配で…」
両津「今日の所は何もなかったのだし、明日も捜査に来てみようかと思う」
中川「脅迫文の送り主が誰だか分かりませんが、油断はできませんね」
陽子「両津さん、中川さん、今日あったばかりですけど、弥生のことをお願いします」
弥生「陽子は心配性なんだから、私は大丈夫だから」
陽子「でも…」
両津「わしらが居る限りどこの誰だか知らんが、勝手はさせん大船に乗った気でいろ」
中川「僕達も早期に解決できるように捜査します」
陽子「わかりました…弥生、何かあったら両津さんと中川さんにすぐに相談してね」
弥生「はいはい…わかったわよ陽子。今日はもう遅いからこのへんで帰りましょう」
両津「それもそうだな、わしらも一旦帰るとしよう」
両津と中川はフェラーリに乗り派出所に帰り後日また捜査をすることになった。
―走行中のフェラーリの中―
両津「三浦弥生か…」
中川「弥生先生がどうしたんです?」
両津「明日は新葛飾署に向かうぞ」
中川「署に何か用があるんですか?」
両津「わしは何かを思い出したと思う…!」
翌日後。
―新葛飾署のデータベース―
朝早くから2人はすぐに事件記録を洗い出していた。
両津「何年か前に街のゴロツキ共の抗争で、一般人の女性が巻き込まれて殺害され、複数人が逮捕される事件があったぜ」
中川「その事件に巻き込まれて殺害された女性の名字は三浦だった…!」
両津「抗争の原因となったのは加賀智哉だったな、事件は直接殺人を犯したのはゴロツキ共の方だったから、加賀智哉は保護観察処分になった」
中川「彼の素行の悪さを目にしましたが、まさかここまで酷かったとは…」
両津「前の学校に居られなくなったから、聖黒樺に転校してきたのだろう。こうしてはおられんぞ!弥生がいつ犯行を起こすのは時間の問題だ。急ぐぞ中川!」
中川「はい!」
両津「わしは加賀智哉を押さえる!お前は弥生を頼む!」
中川「わかりました!先輩、彼に対しあまり手荒な事はしないでくださいよ!」
両津「わーったよ!」
両津は智哉、中川は弥生を押さえるべく二手に分かれてすぐさま行動する事に。
―聖黒樺学園の職員室―
中川「朝早くにすみませんが、弥生先生はいますか?」
警察官の中川が職員室に来てざわつく教師達。
弥生「私は居ますけど、何があったんですか中川さん?」
中川「あの脅迫文についてわかったことがあります。所にご同行をお願いします」
弥生「は…はい…」
おとなしく弥生は中川の指示に従い派出所に出向くことに。
―亀有公園前派出所―
中川「先輩、連れてきました」
両津「おう、中川ご苦労。さて本題に入ろうか、あんたは自分に容疑が向かない様に黒雪姫の脅迫状を出して、殺人計画を立てていたな」
弥生「!?」驚き顔。
両津「その顔なら本当の様だな」
弥生「なんでわかったんですか?」
中川「あなたのお姉さんが加賀智哉が街のゴロツキ達と起こした抗争に巻き込まれ、命を落とした事件記録があったからです」
両津「わし等警察の情報網を舐めるんじゃないぞ、あんたが姉の仇を取るために加賀智哉を殺そうとしたのもお見通しだ」
弥生「ええ…そうよ…私は加賀智哉を殺そうとしたわ。あの子は姉さんが人一倍目をかけて彼を更生しようとした…彼は変わらず街の悪い連中と抗争を巻き起こし、姉さんが彼を助けようとして巻き込まれて命を落とした…」
両津「大切な家族を失った気持ちはわからんでもないが、どんな理由があろうとわし等警察は殺人を許さんぞ」
弥生はおとなしく両手を前に突き出す。
両津「此処に呼び出したのはあんたの犯行を止めるだけじゃない。おら!出ろ!」
中川、弥生「「!?」」
頭に大きなタンコブと顔に青馴染みが出来た智哉を引っ張る両津。
中川「先輩!いくらなんでもこれはやりすぎです!逆控訴になりますよ!」
両津「元を正せばコイツが原因だろうが!子供だからといって許す道理はない!謝りやがれ!」
智哉「ご…ごめんなさい三浦先生………」
土下座して弥生に謝罪する智哉。
両津「今度はあんたが謝る番だ」
弥生「?」
陽子「弥生……」怒り顔で奥の部屋から姿を現す陽子。
弥生「よ、陽子…!?」
陽子「なんでこんな大事なことを私に相談してくれなかったの!弥生!」
弥生「そ、それは……」
陽子「両津さんと中川さんが止めてなかったら人を殺してたんだよ!わかってるの!」
弥生「……ごめんなさい…陽子…あなたを巻き込みたくなくて……」
弥生はその場で力なく崩れ落ちる。
陽子「両津さん、弥生はどうなるの?やっぱり逮捕されるの?」
両津「殺人計画を立てていたとはいえ、まだ殺人はしていない。わしの顔に免じて今回だけは許してやる」
中川「いいんですか先輩?今回の件が部長の耳に入ったら怒られますよ」
両津「部長に怒られることは毎度のことだ、一々気にしてられるか」
弥生に顔を向ける両津。
両津「あんたもこれで気が済んだだろ、二度とこんな事をするんじゃないぞ。次はないからな」
弥生「は…はい……」
陽子「弥生、私が送っていくわ、立てる?」
弥生「う…うん……」
弥生は陽子に手を貸してもらい立ち上がる。
陽子「両津さん、中川さん、弥生を止めてくれてありがとうございます」
両津「礼には及ばん」
陽子は弥生を連れて派出所を後にする。
両津「さて、残るはコイツだけだな」
怯える智哉を睨む両津。
中川「先輩、彼が許されないことをしたのはわかっています。もうこれくらいで…」
両津「本当なら豚箱にぶち込んでやりたいくらいだがな。中川、こいつを病院まで頼むわ」
中川「全く…先輩はやることなすことが荒いんですから」
中川は智哉に肩を貸し病院に連れて行く。
~その後~
黒雪姫の脅迫文は誰かのイタズラによるものと処理されることになり、聖黒樺学園では加賀智哉の経歴が両津と中川の手で学園長の耳に入り、過去の経歴と今までの素行の悪さを理由に退学処分が下され、学園は何事もなくいつもの日常に戻っていった。
両津「あれから数カ月が経つが、弥生は大丈夫か?」
中川「三浦先生は学園でいつもの様に教師を務め、陽子さんとの交流は今でも続いています。加賀一家は逃げるようにどこかへ引っ越していったそうです」
両津「そうか…弥生は大丈夫そうだが、加賀智哉がまた何かの事件を起こしてもおかしくはないな」
中川「先輩にしこたま殴られたんですから、彼がまた事件を起こすとは思えませんが」
両津「あの手の不良は忘れた頃に何をしでかすか分からん」
中川「それを言ったら先輩も同じではないですか」
両津「う、うるせぇ!一緒にするな!」
声を荒げる両津をクスクスと笑う中川。そこに耶子が訪ねてくる。
耶子「両津さん、中川さん、居ますか?」
両津「どうしたんだ?また学園で何かあったのか?」
耶子「智哉が退学で居なくなったおかげで、いくらかは学園内の治安が良くなりました」
中川「確かに彼の存在は学園内の和を乱すものでしたからね」
両津「何か相談があるのか?」
耶子は恥ずかしそうにポケットから長丸形状のピンク色にコードがついた物を取り出し二人に見せる。
両津&中川「「こ、これは…」」
耶子「授業を学ぶ学園でこんな物を隠して持ってくる奴が居るんです」
両津「まさかとは思うがそれを自分で使ったわけじゃないよな…」
耶子「そんなことはありません!」
明らかに耶子の顔は赤くなって震えていた。
両津(真面目そうな娘だと思っていたが…あの顔ならマジかもな…)
中川(先輩、これ以上詮索するのはやめましょう…彼女の名誉のために)
両津「まったく…ほんとにあの学園は大丈夫なのか…」
中川「一難去ってまた一難ですね…」
耶子「学園の治安維持のためにまた協力してくれませんか?」
もじもじしながら耶子は二人に尋ねる。
両津&中川「「やれやれ……」」
耶子の頼みに両津と中川はげんなりした顔をする。
―END―
~番外編~
冬馬小次郎「なんでタイトル名になっている主人公である俺の出番が一切ないんだよ!?」
両津「お前を出した所で、捜査を疎かにして自分の性欲を満たすことを最優先させるからだろ?」
小次郎「犯人が事件を起こさないと物語にならないだろ?!それに俺の原作はエ×ゲだからプレイヤーにエ×も提供しなきゃいけないんだよ!」
両津「お前の原作は元がエ×ゲだからそうしないといけないとはいえ、犯人の殺人を許していい道理はないだろう」
小次郎「犯人に狙われた被害者は犯人の家族に対し酷い事をしていたんですよ?別に助けなくてもいいんじゃ…」
両津「この大馬鹿野郎が!!」
両津の右手にゆる鉄拳制裁が小次郎の左頬に直撃した。
小次郎「ぐはぁ!?」
殴られた小次郎は後ろに吹っ飛び尻もちをつく。
両津「ふざけたことをぬかすな!犯人にどんな事情と動機があろうが身勝手極まりない私刑でしかなく、誰かが傷つき悲しむ事になる。防げる犯罪を見過ごし正当化しようとするお前の考えは許し難いぞ!それでも探偵か!」
小次郎「うぅ…すいません…俺が浅はかでした………」
両津に殴られて泣きだす小次郎に陽子が慌てて間に入り庇う。
陽子「両津さん、もうこれくらいで許してあげてください!先生も本当に反省していますから…」
両津「お前の助手に免じて今日はこれくらいにしておいてやる。また言い訳を言うなら許さないからな…!」
小次郎「は、はい…」
小次郎は陽子に肩を貸してもらい立ち去っていった。
中川「先輩、小次郎さんの言い分にも非があるとは言え、何もあそこまで殴らなくても…」
両津「悪い中川…あいつを見ていると、刑事課に所属していた時の自分、弁天小僧事件、檸檬が泣いた日のことを思い出してしまってな…それで腹が立ってしまった……」
中川(先輩は刑事課に所属していた時に応援を呼ぶのに手間取り南部刑事が殉職し、弁天小僧の爆破を止める事ができず、学校荒らしの検挙が遅れたせいで檸檬ちゃんを悲しませた過去の自分が重なって見えたから、小次郎さんに対し怒りをぶつけてしまったのも無理もありませんか……)
※原作41巻「両津刑事!の巻」アニメ版122話「新米刑事、両津!」原作123巻「檸檬が泣いた日」映画「こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE」を参照。
小次郎は赤く腫れあがった左頬をさすりながら陽子と共に帰路についていた。
陽子「先生、大丈夫ですか?事務所についたら手当をしましょう」
小次郎「あの巡査さんに全力で殴られて自分の未熟さを痛感させられたよ……」
陽子「もう探偵業をやめた方がいいんじゃないですか?先生が傷つく姿は見たくありませんから…」
小次郎「いや…俺は探偵業をやめるつもりはない…殴られた後に俺は決心した…!少しでも悲劇を防ぐために捜査に力を入れることにする、誰かを悲しませないためにもだ!」
陽子「先生がそう決めたのなら、私もできる限り先生の傍にいて支えます。あんまり無理はしないでくださいね」
小次郎「すまないな、陽子…俺の我儘を聞いて付き合ってくれて…」
陽子「何を言っているんですか先生とは幼馴染の仲ですから、これからも私は先生に付いていきます」
小次郎「ありがとう、陽子。がんばるよ俺…!」
~番外編END~
前作同様にFILE2の方でも結末が救いがなさ過ぎたので書いてみました。
こち亀を選んだ理由は両津は不良の更生に対しては厳しく非難していたし
檸檬が泣いた日では学校荒らしの不良達に対して懲戒免職を覚悟で鉄拳制裁を下していたので。
番外編での冬馬小次郎に関しては、1週目ならともかく2週目からでも誰も救えず終わってしまったものですから、プレイしていて怒りがこみ上げてしまい、書いていて糾弾する内容になってしまいました……。
このSSへのコメント