2015-07-23 00:27:23 更新

概要

概要って何書けばいいんだ?あらすじ?じゃああらすじ書きます。

えっと、自分の家で仕事して生計立ててる男の隣に美人妻と少女が引っ越してきて・・・って話です。

簡単すぎたかな?まぁいいや。

あ、一応処女作です。


前書き

今回の作品のコンセプトは「当たり前」です。

あなたが当たり前と思っていること、実は当たり前じゃないですよ。

想像力がないので人物名は男とか少女とかそのまま使います。

一応ハッピーエンドです。


1.プロローグ


朝か。


俺は牢屋の中で一人思う。


朝の眠気というものは少し耐え難いものがあるが、俺はそれよりも気にかかっていたことがあった。


今日は出所の日だ。


出所できると思うとなんか解放される感じがして気持ちがいいが、実際は偏見や差別などと戦っていくんだと思うと心が痛くなる。


俺のやったことは間違っていた。


しかし、ある少女を救うにはこんな方法しか浮かばなかったのだ。


少女は俺がパトカーに乗るとき泣きながらこういった。


「おかしいよ・・・男は私を救ってくれた・・・なのに・・・」


あぁ、俺もそう思う。


だけどな、法律って『結果論』なんだ。


結果ですべてが決まってしまう理不尽極まりないものなんだ。


やったものは仕方ないんだ。


だが、俺はいつでもこう思う。


『俺のしたことは最善だ』


これから話すのはある少女を救うために俺がとった行動の数々だ。




2. 出会い


男「こうも・・・サーバの動作が安定しないのはなぜだろう」


俺は部屋の一室でサーバ機器をいじくりながらこう言う。


こういう仕事には故障がつきものだが、こういうのはなれないな。


男「・・・とりあえず朝ごはん作ろう」


俺は台所に行き適当に飯を作る。


といってもそんなたいそうなものは作らない。


そうだ、俺は料理があまり得意ではない。


いや、そこまで下手ってわけでもない・・・辛うじておいしいと感じる程度だ。


男「あ、砂糖と味の●を間違えた」


両方白いのが悪い。


あ、それって料理下手のやつの典型的な言い訳だな。


男「そういう日は・・・朝から何かが起こりそうだな・・・」


俺がそう呟いた瞬間、家のチャイムがうるさく鳴り響く。


男「・・・朝っぱらから誰だ」


俺は窓からのぞいて誰かを確認する。


俺がこうするのは前に変な宗教の勧誘にあったからだ。


あん時は警察呼ぶことになって散々だった。


男「女の人が二人・・・か、変な服も来てないし・・・まぁ出よう」




男「お待たせしました」


そこには見知らぬ女性がいた。


少女母「あ、すいません・・・隣に引っ越してきた少女母と少女という者です」


少女「・・・」


男「あ、どうも」


少女母「あいさつ代わりと言ってはなんですが・・・これをどうぞ・・・」


男「あ、すいません」


俺は小包をもらう。


少女母「これからもよろしくお願いします・・・」


男「はい、こちらこそよろしくお願いします」


少女母「いくよ」


少女「はい・・・」


少女は母親に引っ張られるようにして家に帰って行った。


部屋の中で


男「いやー美しい方だったな・・・」モグモグ


男「だけどあの人の指には指輪が・・・くそっ、早く結婚しないとな・・・」モグモグ


男「そういや、少女母さんのとなりにいた・・・少女ちゃんだっけ?」


男「昔好きだった人に似てたなー・・・まぁ俺があの子を好きになると確実に変質者だからやめとくけど」


男「結婚したーーーーい!!!!」



隣の家で


少女母「おい、早く運べよ」


少女「・・・」


少女はその小さな体で引っ越しの大荷物を運ぶ。


少女母「とろいんだよ、早くしろ」


少女「・・・!」


少女は重さに耐えきれず荷物を下に落としてしまう。


少女母「あぁ・・・?てめぇ何勝手に落としてんだよ!」


母は少女に蹴りをひとついれる。


少女「うぐっ・・・」


少女母「あんな糞野郎の不倫相手の子供なんだ、こういう扱いが妥当だろ」


母はもう一発蹴りを入れる。


少女「ううっ・・・」


少女母「何泣いているんだよ、早く運べよ」


少女「はい・・・」


少女「(そう・・・これに与えられた『普通』)」


少女「(人によって普通の定義って違うと思うけど・・・私にとってはこれが普通)」



2. 転機


それから数日後のことである。


ある天気が俺に起こった。


それは朝早くのことだ。


男「ふああ・・・」


男「もうそろそろ起きるか」


チャイムは俺の寝起きを邪魔するかのように鳴り響く。


男「おいおい・・・まだ上下ジャージなんだけど・・・」


窓からのぞくと少女母さんがいた。


男「まぁ、機能引っ越してきたばかりの人に居留守は可愛そうだな」


男「はいはーい」ガチャ


少女母「あ、すいません、昨日の今日でお願いがあるのですがよろしいでしょうか?」


男「話は聞きます」


少女母「男さんって仕事の方は何をしていますか?」


男「家の中でサーバー管理の仕事をしています」


少女母「では、一日中家にいるという解釈でいいですか?」


男「(それだけ聞くと俺がニートみたいだな・・・)はい、そうです」


少女母「分かりました。それでお願いなんですが、実は私、夜遅くまで仕事をしていまして」


男「はえ~」


少女母「少女も寂しいと思うので、私がいない間少女を預かってもらえないでしょうか」


男「あ~・・・はえ!?」


少女母「だめ・・・ですか?」


どうしよう・・・昨日の今日で展開代わりすぎだろ・・・。


だけど、これは近所付き合いを進展させる絶好のチャンス・・・。


男「いいですよ、ちなみにどれくらいになる予定ですか?」


少女母「日付が変わる少し手前かあとぐらいですかね」


男「なら、風呂とご飯も用意しますね」


少女母「いえ!そんなの悪いです!!」


男「大丈夫です、そんなに負担じゃないですし、心配しないでください」


少女母「本当に大丈夫ですか?」


男「はい」


少女母「なら・・・お願いします・・・」


男「分かりました、では少女ちゃん?に伝えといてください」


少女母「わかりました」


男の自宅で

男「しゃ・・・しゃしゃりすぎた!!!」


男「やってしまった・・・後先のこと考えずにこんなことを・・・」


男「童貞に小さな女の子なんて相手できるのかな・・・?」


男「う・・・うわあああああああ!!!」ガンッ


男「・・・痛い」



少女自宅


少女母「そういうわけで、お前は今日から隣の家に帰れよ?」


少女「はい・・・」


少女母「いやー!隣さんがやさしくてよかった~。これで彼に費やす時間が増えるわ~」


少女「・・・」


少女母「今まではお前がいたから彼に費やす時間があまりなかったけど、これで構わず費やせる~」


少女「・・・」


少女母「それにお前の夕食代が浮く~♪これで少しだけ夕食が豪華になるぞ♪」


少女「・・・」


少女母「そうだ、お前、風呂入るときに絶対体見られるなよ」


少女「・・・」


少女母「見られたら面倒だからな」


少女「・・・」


少女母「返事をしろよ!」


そう言って母は少女の鳩尾を思いっきり殴る。


少女「うぅっ・・・は・・・はい・・・」


少女母「よろしい、んじゃあ早く学校行け、目障りだ」


少女「はい・・・」


少女「(男さん・・・いったいどんな人だろう・・・)」



夕方。


そろそろ小学生や中学生は帰りだす時間ではないだろうか。


俺は期待に胸を躍らせていた。


男「早くこねぇかな~早くこねぇかな~」


男「うおおおおお!!早く来いいいいい!!!!」


すると俺の期待にこたえるかのようにチャイムが鳴り響く。


男「きた!!!」


俺が玄関に出て扉を開くと、そこには可愛らしい女の子が一人立っていた。


男「・・・君が少女ちゃんかな?」


少女「は、はい・・・」


男「暑いと思うし、とりあえず中に入って」


少女「はい・・・」



家の中

男「とりあえず冷たいものでも飲むかい?」


少女「いいんですか・・・?」


男「??別にいいけど?」


少女「あ、ありがとうございます。もらいます。」


男「おっけ、んじゃあここに座ってて」


少女「はい」チョコン


台所

男「なにこの人形みたいな子」


男「やばいめっちゃかわいい。もう俺ロリコンになってもいいわ」


男「だ、だめだ・・・!!今は抑えないと・・・!!・・・・う・・・うおおおおお!!!」


男「・・・ふぅ」


男「麦茶持っていかないと」



男「おまたせ、麦茶しかなかったけどいいかな?」


少女「は、はい」


少女「・・・」ゴクゴク


男「少女ちゃんって何年生?」


少女「小学6年です」


男「ふ、ふーん・・・そうなんだ」


少女「・・・」


男「・・・」


男「(気まず・・・!!え、どうしたらええの???この状況結構深刻じゃね?)」


男「(あ、そうだ・・・勉強、勉強の世話をしてあげよう・・・!)」


男「が、学校でさ、宿題って出てるのかな?」


少女「出ています」


男「分からないところとか教えてあげようか?」


少女「い・・・いえ・・・一人でできます」


男「(詰んだーー!!!!)」


男「そ、そうか。ま、まぁ、ソファーでゆっくりしててよ」


少女「はい・・・」


俺はそういうと二階の作業部屋に移る。


男「何かな~話題が切り出せないな・・・」


男「この歳の女の子ってどういうのに興味あるんだろう・・・」


男「・・・」


男「俺小学生の時はぼっちだったから何もわからねぇ」


男「・・・」


男「仕事しよ・・・」


~夜~

男「少女ちゃん、ご飯できたよ」


少女「あ・・・ありがとうございます・・・」


男「そんなに固っ苦しくなくていいよ」


少女「いえ・・・男さんは赤の他人ですし・・・」


男「そんなの気にしなくていいから。どうせこれからもそれなりに長く接していくんだから」


少女「礼儀は大切です・・・」


男「まぁ・・・せやけど・・・」


男「・・・い、いただきます」


少女「いただきます・・・」


男「・・・」モグモグ


少女「・・・」モグモグ


男「(き、気まずすぎぃ・・・)」


少女「(家と同じ・・・何もしゃべらずただ単にご飯を食べる・・・)」


こうして何も話せないまま夕食が終わる。


男「俺が食器片づけるから、お風呂入っといて」


少女「わかりました・・・」ゴソゴソ


少女「あ、あれ・・・」


男「どうした?」


少女「バスタオル・・・忘れたみたいです・・・」


男「あー、俺のでよかったら貸すよ」


少女「でも・・・それじゃ男さんが」


男「大丈夫、代えならあるから」


少女「・・・わかりました」


少女「(男さんって案外やさしい・・・のかな?)」


少女「(まぁ赤の他人だしね・・・こういう態度で接して当然だよね・・・)」



男「よし、片づけおわりっと。少女ちゃんにバスタオル持っていかないと」


男「・・・どこだろうか・・・おぉ、あったあった」


男「持っていこうかな」


~脱衣所~

少女「服はここに置いておこうかな・・・」


少女「痣、広くなってるなぁ・・・」


少女「また数日したら治るだろうけどね・・・はぁ・・・」


男「少女ちゃーん、バスタオル持ってきたz・・・」ガララ!


男「あ・・・」


少女「あ・・・」


男「ご、ごめん!!そういうつもりじゃ!!!」


少女「言い訳してる暇があったらガン見してないでバスタオルを置いてください!!!」


男「は、はああい!!!」


そういって俺はバスタオルを脱衣所に投げて逃走した。


少女「(痣・・・見られたかな?)」


少女「(まぁ・・・男さんなら言い訳ぐらい通じるよね・・・?)」


男「はぁ・・・はぁ・・・疲れた・・・」


男「胸はまだ成長の見込みはある。俺はそう見た」


男「しかし・・・あの大きい痣はなんだ?あの子に限って事故ってそういうのは考えにくいが・・・」


男「少し尋問してみるか」



少女「・・・」


少女ちゃんがリビングに入ってくる。


男「湯加減どうだった?」


少女「いえ、大丈夫でした」


男「それはよかった」


少女「・・・」


男「あのさ、少し質問あるんだけど」


少女「はい・・・?」


男「お腹にあった大きな痣、何?」


少女「・・・少し転んだだけです」


男「少し転んだだけじゃこんなのにはならないと思うけど・・・まぁ次から気をつけなよ?」


少女「は、はい・・・」


少女「(よかった・・・ばれなかった・・・)」


男「(今は少女ちゃんのことを信じるしかないな。これ以上言っても何も生まれない)」



12時前。


少女ちゃんの母が迎えに来た。


少女母「本当にありがとうございました・・・」


男「いえ、こんな情けない男でよければいつでもどうぞ」


少女母「ほら、お礼言いなさい」


少女「あ、ありがとうございます」


男「どういたしまして」


少女母「それではおやすみなさい~」


少女「・・・」


男「おやすみなさい~」


少女邸


少女母「痣のこと・・・ばれなかったよな?」


少女「・・・」


少女母「おい・・・聞いてるのか」


少女「・・・見られたけど・・・なぜできたかはばれなかった・・・」


少女母「お前はバカか!本当にお前はどんくさいな!!」


少女「うぅ・・・」


少女母「お仕置きが必要そうだな・・・」


母はそう言うと少女の腕を強引に引っ張る。


少女「私・・・ばれなかったよ・・・」


少女母「てめぇがリスクになるようなことするのが悪いんだろ!!」


母は少女の鳩尾あたりを殴ろうとした。


しかし、少女は腕で鳩尾を守る。


少女「いたい・・・」


少女母「ちっ・・・腕に当たったか・・・」


少女「・・・」


少女母「お前、明日は腕の痣隠すために長袖着て行けよ。腕で守ったお前が悪いんだからな」


少女母「過去にそれで呼び出し喰らったからな、わかっているよな?」


少女「は・・・はい・・・」


少女「(長袖かぁ・・・明日は暑くなりそうなのに・・・)」



3.赤の他人


男「少女ちゃんと仲良くなるにはどうしたらいいだろう・・・」


男「いっそフレンドリーに・・・?」


男「いや!こんなのではだめ!!どうしたらええんや・・・」


男「・・・普通に接しよう・・・」


ピンポーン


男「来たか」


男「鍵空いてるし入って~」


少女「・・・」ガチャン


男「おかえり」


少女「た、ただいま・・・」


少女「(久しぶりに誰かにおかえりって言われた気がする・・・)」


男「おま、長袖暑くないのか?」


少女「・・・!いえ、大丈夫です」


男「・・・そうか。お茶持ってくるし扇風機に当たって涼しんどいてくれ」


少女「はい」



男「持ってきたぞ」


少女「ありがとうございます」


男「・・・少女ちゃん汗で服がびしょびしょじゃないか」


男「(だがそれがいい)」


少女「い、いえ、そんなこと・・・」


男「腕まくれよ~」


少女「お行儀が悪いと思います・・・」


男「大丈夫だって!俺心配しないから!」


少女「・・・」


男「・・・」


男「今だ!」


俺は袖をつかみ思いっきりまくり上げる。


するとそこには


少女「あ・・・!」


男「少女ちゃん、これって・・・」


少女「じ・・・事故です」


男「嘘こけ、昨日そんなのなかっただろ」


少女「が、学校で・・・」


男「学校でできたとしても今日の今でそんなに広がらねーよ」


少女「・・・」


男「家で何があった?」


少女「・・・何があっても関係ないじゃないですか」


男「・・・え?」


少女「男さんは私の何なのですか。家族ですか?違いますよね。だって家族は母親しかいませんもん」


男「・・・」


少女「失礼な表現になりますが、男さんは私から見たらただの赤の他人なんです」


男「・・・!」


少女「私に何があろうと・・・関係がない人ではないですか?違いますか?」


男「・・・」


少女「それに、なぜ私は私じゃない人に嘘だといわれるんですか?」


男「そ、それは・・・」


少女「もう、私の私情には関わらないでください」


男「・・・」


俺は呆然と立ち尽くすしかなかった。


少女ちゃんの言っていることは正しいからだ。


俺は赤の他人だ。


所詮は隣の家の人に過ぎない。


そんな人に己のことをずかずか言われたらどうだろうか。


当然腹が立ってしょうがないはずだ。


結局、この後は少女ちゃんとコミュニケーションを取れないままだった。


俺は、何もできなかったのだ。



少女が帰った後、俺はひとりで少女ちゃんに何が起こっているのかを考えてみた。


昨日の痣の場所といい、絶対に事故とは考えにくいからだ。


人が普通に生活をしていてお腹に痣ができるなんて考えにくい。


強いていうなら。


暴力。


そして家で起こる暴力、それは家庭内暴力。


俺はその可能性にかけて行動に出てみる。


児童虐待が行われている家庭というのは『家庭そのもの』の雰囲気がそもそも失われている。


仮にそれが少女ちゃんの中で『普通』だと定義されているなら。


少女ちゃんはかなり危険なのかもしれない。


これから俺は何を行うべきなのかというと、


少女ちゃんに家庭というものをおしえてあげなければならない。


そう、俺が昔母にされたような。


そんな愛情に包まれたような。



少女「ごめんなさい・・・」


少女母「男も確かに悪いけどな、お前もう少し抵抗できなかったのかよ」


少女「ごめんなさい・・・」


少女母「逃げるくらいできただろ、お前」


少女「ごめんなさい・・・」


少女母「さっきからごめんなさいごめんなさいってな、謝れば済むと思うなよ!!」


母は私の近くにあった椅子を蹴り飛ばす。


少女「うっ・・・」


少女母「あの椅子みたいになりたくなければな、ちゃんということは聞け、いいな?」


少女「はい・・・」


少女「(今日も、お母さんに怒られました)」


少女「(いや、怒られなかった日なんてなかったよね)」


少女「(それが・・・『普通』なんですから)」


4.家庭


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男の家の何気ない会話

男「ただいまー」


男母「おかえり、今日は学校どうだった?」


男「うん、いつも通り楽しかったよ」


男母「そう、それはよかったわ。今日の夕ご飯何がいい?」


男「そうだな~久々にハンバーグ食べたいな」


男母「あら、偶然だわ。私も食べたいと思っていたのよ」


男「んじゃあそれで決まりだな」


男母「そうね!」

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男「俺が家に帰ってきたらまずは母さんが出迎えてくれたな」


男「そしたら絶対に今日あったこととか聞かれるんだ」


男「テストがあった日ならテストどうだった?、部活の試合の日なら試合結果を、何もない日だったらただ単に学校どうだったとか聞かれたな」


男「やっぱ、母さんって俺のことを一番に考えてくれてたんだな」


男「・・・こんなの思い出してたら久々に会いたくなってきたじゃないか、お盆ぐらいには実家に帰るか」


男「・・・まぁ帰省のことは置いといて、母さんにされたこと、少女ちゃんにもしてみよう」


男「家庭の暖かさってものを知ってもらいたいしな」


男「そしたら何かに気づいてくれるだろう」ピンポーン


男「さぁ今に見てろよ」



男「おかえり~」


少女「た、ただいま・・・」


男「今日は、学校どうだった?」


少女「が、学校?普通に楽しかったよ」


男「それはよかった。何か困ったこととかはなかったのか?」


少女「特にないですが・・・」


男「そうか。何か困ったことがあったら言ってくれよ。他人ながら力にはなれるしな」


少女「は、はい」


男「ところで、今日は晩飯何がいい?」


少女「は、はい・・・?」


男「いや、そのままの意味だよ」


少女「何故私に・・・?」


男「いやぁ、たまにはリクエストも聞こうかなって」


少女「・・・昨日魚だったのでお肉がいいです」


男「わかった!よし、お兄ちゃん少し気合い入れるぞ」


少女「頑張ってください」


少女「(何だろう・・・この暖かい雰囲気は・・・)」


男「あと、俺からのお願いだけど」


少女「・・・?」


男「俺のことは男と呼んでくれ」


少女「・・・」


男「前にも言ったけど、俺らって多分それなりに長い付き合いになると思うんだよ」


少女「はい・・・」


男「それにな、俺少女ちゃんともっと仲良くなりたい」


少女「・・・」


男「だから、お願いだ」


少女「・・・」


少女「・・・わかりました。男さんのことは男と呼びます」


男「ありがとうな」


少女「私からのお願いも聞いてくれませんか?」


男「いいぞ」


少女「私・・・昔からちゃん付けは嫌いなので・・・少女と呼んでくれませんか?」


少女「そ、それに、私だけ男と呼ぶのはなんか不公平です」


男「ははは!確かにそうだな。んじゃあ俺は少女ちゃんのことは少女って呼ぶようにするよ」


少女「ありがとうございます・・・」


男「あ、それと敬語もなしな」


少女「それはさすがに・・・男さ・・・男は年上ですし・・・」


男「いや、呼び捨てで敬語ってすごく変な文章になるから」


少女「そ、そうなんですか?」


男「そうだよ。というわけで固っ苦しく敬語は使わないでくれよ」


少女「わかりまし・・・わかった・・・」


男「よろしい」


半ば強引だが、何とかここまでは持って行けた。


これが吉と出るか凶と出るか。



男「少女飯できたぞ」


少女「・・・今そっちに行く」


男「・・・」


少女「・・・」


男「いただきます」


少女「いただきます」


男「今日の結構自信作だが」


少女「・・・男さ・・・男」


男「なんだ」


少女「焦げてる・・・」


男「火加減ミスったんだよ。本来これはステーキだ」


少女「ステーキはこんなに中までしっかり火が入っているものなの?」


男「えーい!!おいしければいいんだよ!!」パクッ


男「微妙」


少女「だけど・・・手作りっていいよね」パクッ


男「どういう意味だ?」


少女「別に、何もない」


少女「(確かに男の料理はまずいかもしれない・・・)」


少女「(だけど暖かさを感じるなぁ・・・)」


少女「(家ではいつもコンビニの適当なやつか冷凍だからかな・・・)」



少女「お皿、私が洗う」


男「いいよ、少女は風呂に入ってろ」


少女「どうしても?」


男「作った奴の仕事だ、さぁ入れ入れ」


少女「分かった」



少女「男急に私にコミュニケーション取ってきたなー・・・」


少女「私もそれにこたえているけど・・・」


少女「男が考えていることが分からない・・・」チャポーン



男「俺が望んでいることはただ一つ、少女に『普通』を知ってもらうこと」


男「あーゆーねじれた環境で住んでる人って自分の環境がおかしいなんて感じねーからな」


男「一から教えこまねーといけねーんだよ」


男「・・・タバコ吸いたい・・・」


次の日も、そのまた次の日も、俺は少女に普通を言うものを教え続けたが、普通に話すようになっただけで特に変化はなかった。


そして、ある休日のことだった。


男「少女っていっつも夕方から来てなかったっけ?」


少女「うん、でも母が休日は朝から世話になれっていうから」


男「がめついなおい」


少女「だめだった・・・?」


男「いや、待てよ、これはもしかして外出イベが・・・」


少女「男?」


男「おい少女」


少女「何?」


男「ショッピングモールに行かないか?」


少女「え・・・でもなんか悪いと思う」


男「お前どうせここいてもやることないだろ?」


少女「・・・確かに」


男「俺も、今日は休みの日だし、外出てパーッとしたいわ」


少女「じゃあ・・・行く」


男「決まりだな」



男「すまんなバイクしかないんだ」


少女「・・・二人乗り大丈夫?」


男「俺のは大丈夫だ。ほら、ヘルメットしろ」


俺はヘルメットを渡す。


少女「男の大きい・・・」


男「もう一回」


少女「え?」


男「聞こえなかった」


少女「男の大きい・・・」


男「ありがとう」


少女「?」



男「後ろ乗ったか?」


少女「うん」


男「飛ばされないようにつかまっといてくれ」


少女「わ、わかった」ムニュ


男「なん・・・だと・・・」


少女「どうしたの?」ムニュムニュ


男「何もない」


男「(貧乳最高)」



少女「男って運転上手いね」


男「そりゃどうも」


少女「私も将来運転する」


男「ははっ、俺の運転技術を超えれるか?」


少女「自画自賛・・・」


男「悪いか」



男「どうしようか、とりあえず来てはみたが・・・」


俺の用事を優先させてもいいが、それをすると少女はつまんないしな・・・。


少女「・・・」


少女はゲームセンタのUFOキャッチャーを見ていた。


男「お、どうした?」


少女「あれ・・・テレビで見たことある・・・」


男「やったことは?」


少女「ない・・・」


男「よし、やってみるか?」


少女「いいの?」


男「まぁ多少はね~」


少女「だけど男にもやるべきことあるでしょ?」


男「買い物か?あとでも大丈夫だから、やってみようぜ?」



少女「う、うん・・・」




男「ここ押してる間は後ろに移動して、次はここ押してる間は左に移動する。こうやってアームを操作してほしいもののところに持っていくんだ」


少女「」コクリ


男「よし、やってみよう」チャリン


男「俺が言った通りやってみて」


少女「・・・」


男(奥行きはOK)


少女「・・・」


男(幅も悪くはない)


少女「!!」


男「掴んだ!」


ポトン


少女「・・・」


男「もう一回やる?」


少女「いい・・・」


男「よし、んじゃあ兄ちゃんがやるか」



男「よし、取れたぞ」


少女「男得意なの?」


男「学生時代よくやったものだ」


少女「そうなんだ・・・」


男「・・・ほら、やるよ」


少女「私に・・・?」


男「少女以外誰がいるんだよ」


少女「確かに・・・」


男「ほら、受け取れ」


少女「あ、ありがとう・・・」


男「んじゃあ買い物行くか」


少女「うん・・・!」


・・・


男「というわけで買い物したわけだが」


少女「うん」


男「お腹すかない?」


少女「少し空きましたね」


男「聞こえない」


少女「・・・少し空いた」


男「何か買い食いするか」


少女「何食べるの?」


男「あそこにたこ焼きが売ってるだろ?」


少女「うん」


男「買ってくる」


少女「私ここで待っとく」


男「まぁ会計は暇だしな」



男「はい俺氏難題に直面」


ナンパA「お嬢ちゃん可愛いね」


ナンパB「今から遊ばない?」


少女「結構です・・・」


男「こういうのは正面突破かな?」


男「・・・少女おまたせ」


少女「男・・・!(ギュッ


男「ふぁっ!?」


ナンパA「男持ちかよ・・・行こうぜ」


ナンパB「・・・男?」


男「友?」


友「なんだお前生きてたのか」


男「お前はまだ懲りずにナンパやってんのか」


友「これしか彼女を作る道がない」


男「お前は顔が殺人鬼並に怖いからそういうのに向いてないから」


ナンパA「クスクス」


友「ぶっ殺すぞ」


男「ははは・・・あぁ紹介しよう。大学時代の親友の友だ。顔は怖いが中身はめっちゃいいやつだぞ」


友「恥ずかしいからやめてくれ」


少女「・・・」(後ろに隠れる


友「あ~あ・・・怖がられているよ俺」


男「そりゃお前のキラーフェイスで小学生にナンパしたらこうなるわな」


友「すまん・・・」


少女「・・・」



友「へぇ~、妙な事情のようだな」


男「正直赤の他人の小学生の面倒とか見たことないから詰んだって思った」


友「お前が昔妹の面倒みたようにしたらいいだろ」


男「性格真逆なんだよな・・・」(パクッ


男「熱い」


友「暖かくないたこ焼きなんてないからな??」


男「分かってるよ」


少女「」(パクッ


少女「おいしい」


男「そりゃよかった」


友「まぁお前面倒見いいから何とかなるだろ」


男「そりゃどうかな・・・」


友「何かあるのか?」


男「いや、何もない、気にするな。あ、そうだ、久々に夜電話しよう。このまま話していても少女が暇だしな」


友「そうだな・・・ごめんな少女ちゃん、俺らの都合に付き合わせて」


少女「大丈夫です・・・」


男「んじゃあ行こうか。じゃあな友、今度ゆっくり居酒屋でも行こうぜ」


友「おうよ!」



少女「友さんだったっけ・・・」


男「そいつがどうした?」


少女「怖い人だと思ったけど・・・案外優しい」


男「こんな短期間でここまで見抜くとは、少女人を見る目あるぞ」


少女「そうかな?」


男「うん。バイク出すから掴まれ」


少女「うん」(ムニュ


男「やったぜ」


少女「???」



男「家に着いたぞ」


少女「うん・・・」


男「眠そうだな」


少女「寝そうだった・・・」


男「運転中に寝られなくてよかった・・・」


少女「うん・・・」



少女「zzz」


男「とりあえずベットで寝かせてやった」


男「さて何をしよう」


男「・・・ソファで寝よう」


男「おやすみ・・・zzz」



少女「起きちゃった・・・」


少女「男は部屋かな・・・」


少女「もうご飯作る時間なのに・・・」


少女「・・・起こそうかな・・・」



少女「お邪魔します・・・寝てる・・・」


少女「うわぁ・・・大きなパソコンと機械だ・・・」


少女「机・・・ぐちゃぐちゃだ・・・」


少女「・・・何だろうこの本・・・」


少女「・・・」


男「ん・・・もうこんな時間か・・・」


少女「うわ!」


男「ん、少女か。ん、この本は・・・」


少女「か・・・勝手に読んでごめんなさい!!」


男「いや、読んでもいいけど難しいぞ」


少女「こういうの好きかも・・・」


男「マジ?」


少女「うん・・・」


男「・・・少し待ってろ」


少女「・・・?」



男「ほらよ」(ドサッ


少女「これは?」


男「俺が大学の頃使っていた教科書と参考書だ。好きに使え」


少女「いいの?」


男「自分の興味の持った分野はとことん極めろ。そしたら目的が生まれる」


少女「・・・うん!」


男「そうだな・・・」


少女「?」


男「少女が今の俺と同じぐらいの技術を手に入れたら、助手として雇って俺の作業量を半分にしよう」


少女「忙しいの?」


男「忙しいときはガチ」


少女「そうなんだ・・・就活しなくて済むね」


男「俺も大学出てすぐ起業したからそういうものだな」


少女「そうなんだ・・・約束だよ・・・ちゃんと雇ってね?」


男「少女がこのぐらいまで来たらな」


少女「・・・絶対追いつかないと思ってる・・・」


男「そんなことないよー」


少女「本当かな・・・」


男「ていうか最近の小学生は就活のこと考えるのか・・・」


少女「多分私だけ・・・」


男「いや、悪いことじゃねぇけど」



男「飯出来たぞ」


少女「はーい」



男「今日は楽しめたか?」


少女「いつもしないことばかりできて楽しかったよ」


男「いつもはどうなの?」


少女「・・・留守番」


男「暇じゃないのか?」


少女「図書館で借りた本をいつも読んでた」


男「最近のおすすめは?」


少女「三島由紀夫の豊饒の海かな」


男「うわ、超絶悲しい」


少女「だけど私そこまで国語得意じゃないんだよね」


男「読書好きな人が国語が絶対得意なんで誰が決めたんだよ」


少女「そうだけど・・・」


男「俺は今こんな仕事してるけど得意ってわけでもないぞ。好きなだけだ」


少女「だけど部屋にはいっぱい賞状あったよ・・・」


男「不得意なりに頑張っただけだ。あんぐらい努力すればいくらでも取れるさ」


少女「んじゃあ頑張れば得意になるんじゃ・・・」


男「苦手意識ってあるだろ?つまりそういうことだ」


少女「言い訳にもなってない・・・」


男「うっせぇ。早く食え」


少女「はーい」



男「なんとなく今日は乗り切れそうだ」


男「一時はどうなるかと思ったが順調に会話はできている気がする」


男「このまま内面までさらけ出してくれたらいいのだが・・・」


男「しかし・・・恐ろしいぐらいにわがままを言わないな・・・」


~風呂~


私の中に一つの光が見えた気がした。


そう、私に優しく接してくれる人だ。


なんでもっと早く出会わなかったのだろう。


あの人は私に本当の家族というものを教えてくれている気がする。


普通にお出かけしたりして、夜は一緒に仲良く食べながらお話したり。


私が経験したことないことばかりだ。


普通の人からしたら当たり前かもしれない。


だけど、その当たり前ってあなた達が思っているだけだよ。


私みたいな欠陥品にはそんな当たり前が適用されていなかった。


少なくともあの人に出会うまではね。


私にとってあの人は正義のヒーローだ。


私はそんなことを思いながら浴槽に浸かる。


少女「男・・・」(ブクブク・・・



男「今日は少女の母遅いのな」


少女「仕事が忙しいらしいよ」


男「何の仕事をしているんだ?」


少女「知らない・・・だけど知らない男の人が家に来てるのは何回も見たことがある・・・」


男「・・・」


少女「私、何となく予想はできているよ、お母さんの仕事」


男「俺も何となくはできている」


少女「・・・実はあの人私の実のお母さんじゃないの」


男「ほう」


少女「私のお父さんの不倫相手なの。そして不倫に絶望した私の実のお母さんはストレスで死んでしまった」


男「・・・」


少女「お父さんは不倫相手から怖くなって逃げてしまった」


男「・・・それで余ったお前と不倫相手がくっついたと」


少女「うん・・・」


男「その、今の母は優しいのか」


少女「それは・・・」


少女母『何を言おうとしているんだよ』


少女「え・・・?」


少女母『言ったらどうなるかわかってるよな?』


少女「ごめんなさい・・・」


男「ん・・・?」


少女「ごめんなさいごめんなさい・・・!それだけはやめてくださいお母さん・・・!」


男「少女落ち着け、ここにはお前の母はいないぞ」


少女「いやあああ!!!」(ガタン


男「少女!!」


俺は無意識に抱きしめていた。


少女はひどくおびえているようだった。


少女「・・・」(ガタガタ


男「・・・」(ギュッ


少女は俺の胸で泣いていた。


ひどく何かにおびえているような、そんな気がした。


俺はずっと思っていたことを聞いてみることにした。



少女母「すいません、今帰りました」


男「・・・こんばんは」


少女母「あれ、少女はどこでしょうか?」


男「少女なら『泣き疲れて』寝ています」


少女母「・・・あら、あの子ったらどうしたのかしら」


DQN「少女母ちゃ~ん早くしてくれよぉ」


DQNが助手席から少女母を急かす。


少女母「ごめ~ん、少し待って~。とりあえず、少女が寝ているなら、抱っこして車まで運びます」


男「ちょっと待てよ」


俺は家に上がろうとする少女母の腕をつかむ。


少女母「痛いですね。離してください」


男「お前、少女に何したんだ」


少女母「何寝ぼけたこと言っているんですか」


男「何故少女が泣いたか教えようか?」


少女母「何ででしょう?」


男「俺があんたが家でどんな人か少女に聞いたからだよ」


少女母「・・・」


男「その結果、あなたと少女との関係はあまり穏やかじゃない気がしたが?」


少女母「・・・それはきっと気のせいです」


男「ほう?」


少女母「私と少女は家で普通に楽しく過ごしているのでそういう要素はないと私は思います」


男「んじゃあ試してみるか。おーい、少女」


少女母「あなたは何を・・・」


少女「何男・・・ってお母さん?」


男「少女、今からひとつやってもらいたいことがある」


少女「私帰るから・・・」


男「まぁ少し待て、これが終われば帰らせてやる」


少女「・・・」


少女母「・・・」


男「一緒にいて楽しいと思ったのは俺とお前の母、どっちだ?」


少女「え・・・?」


少女母「・・・」


男「いや、足りないな、理由付きで答えろ」


少女「・・・」


少女母「少女帰ろう?もう夜も遅いし」


少女「・・・私は・・・」


少女母「少女何を・・・」


男「さぁ早く」






少女「・・・男といる方が楽しいと思った」





少女母「なっ・・・」



男「・・・」





少女「なぜなら、家族って感じがしたから」


少女母「何を言っているの?私が家族だよ?少女のお母さんなんだよ?お母さんと過ごす時間の方が家族って感じがするでしょ?」


少女「普通におかえりと言ってくれる。普通に外に買い物に行く。普通に団欒の食事をする。男といるとそれが感じられた」


少女「だけどお母さん。あなたは違った」


少女「家に帰ると理不尽な暴力。体中の痣。まるで私は人形のようだ」


少女「そんな家のどこに家族の楽しみがあるんですか」


少女「夜遅くまで男の人と夜遊びをして」


少女「私にはまったくかまってくれない」


少女「親失格だよ」


少女母「・・・このクソガキ・・・」


男「・・・お疲れ少女。さぁ仕事は終わった。帰ってもいいよ」


少女「ここまで言わせて帰ってもいいよって何?煽っているの?」


少女母「は・・・はは・・・あんたをこんな男に預けたのが間違いだった・・・」


少女母「やってしまえ」


DQN「はーい」


DQNは男に襲い掛かる。


男「暴力で解決か。平和的じゃないな」


少女「男・・・!」


DQN「おらぁ!」(パン!


男「くっ・・・」


少女母「あんたがこんなこと言うのが悪いんだぞ・・・?わかってんのか?」


少女「そもそもの原因はあなたでしょ・・・」


少女母「てめぇのような糞男の捨て子の面倒なんか見たきゃねぇんだよ!!」(ドコッ


少女「いた・・・」


少女母「そうだな・・・お前を学校に行かせずに風俗店で働かせよう」


少女「・・・」


少女母「私の権限があれば年齢詐称させることなんて余裕だからな?」


少女母「あ、そうだいいこと考えた。おいDQN、ひと段落ついたら来い」


DQN「はーい。こいつもう殴っても反応ないぞ」


男「・・・」


少女母「品評会だ。お前、こいつをレイプしろ」


少女「えっ・・・?」


DQN「少女母ちゃん、まだこいつ小学生だ・・・」


少女母「私の言うことが聞けないの?」


DQN「・・・」


DQNは少女の目の前に近づく。


少女「い・・・いや・・・」


DQN「わりぃな。お前の母ちゃんの命令なんだ。許してくれよ!!!」(ビリビリ


少女「いやああああ!!!」


少女は必死で抵抗するが、大人と女子小学生では力の差は明らかだ。


DQN「す~・・・小学生っていい匂いするんだな・・・」


少女「や・・・やめて・・・」


DQN「ここら辺はどうなのかな?」


少女「・・・やめてよぉ・・・」


男「・・・」(立ち上がる


少女母「おいDQN!後ろを警戒しろ!!」


男「警戒を怠るのが悪いんだぞ。大男」


俺は石で思いっきりDQNの頭を殴る。


そのとき、何か鈍い音がした気がした。


DQN「あ・・・あ・・・」


DQNはそのまま倒れた。


そのままピクリとも動かない。


少女「男・・・!!」


男「怖かっただろ。もう大丈夫だ」


少女母「人殺し・・・人殺し・・・」


男「・・・あいつにも制裁を書けないとな」


少女母「え・・・?」


男「おい立てよ」


少女母「いや・・・」


男「立っつってんだろ!!このアマが!!」


俺は思いっきり少女母の横腹を蹴る。


少女母「痛い・・・!!」


男「痛い・・・?お前、少女に今まで何してきたかわかってんのか!?」


少女母「・・・」


少女「もういいよ男・・・」


少女母「少女・・・?」


男「なぜだ」


少女「仮にも・・・この人は私のお母さんだよ・・・」


男「・・・分かった」


少女母「少女・・・少女・・・」


少女母はそのまま泣き崩れてしまった。


男「・・・少し電話してくる」


少女「どこに・・・?」


男「お前は知らなくていい」



しばらくするとパトカーが家の前にやってきた。


警察「警察だ!!男はどこだ!!」


男「・・・俺だ」


警察「貴様が男か、いいだろう、署まで来てもらう」


男「分かってる」


少女「男・・・?」


男「ごめんな。少しお別れだ」


少女「おかしいよ・・・男は私を救ってくれた・・・なのに・・・」


男「すまんな。だが、やってしまったものは仕方ない。まぁ世の中結果論ってことだ」


少女「男・・・行かないで・・・私を一人にしないで・・・」


男「さようなら」


少女「男・・・男・・・!!」


少女は泣き崩れてしまう。


まぁ別れって突然来るものだろ。


そういうものだよな・・・なぁ・・・そうだよな。



5.今


裁判の結果、俺は情状酌量が認められたがもろもろの罪のせいで無期懲役の刑だ。


結果10年ぐらいを刑務所で暮らしてしまったわけだ。


殺人と暴行ってこんなに刑期あったっけ・・・?


まぁ、そんな日もあっという間に終わりってわけだが。


男「・・・今から社会復帰しても仕事とかねぇだろ・・・」


看守「まぁ安心しなよ。アフターケアはちゃんとあるらしいから」


看守「まぁ君の場合あれだ、事情はなせば何とかなるって!」


男「そんなものかね・・・一応知識だけは離れないようにはしていたが」


看守「ははは!就活にはポテンシャルが大事だからね!いいと思うよ!」


男「・・・」


看守「おや、時間だね。鍵開けるから少し待っててくれ」


男「・・・おう」



男「長い間世話になりました」


高官「まぁ君の場合は事情が事情だから仕方ないけどさ、もうここには来ないでおくれよ」


男「分かっています」


高官「うむ。それではさようなら」


男「はい」


それにしてもこんなくっそ暑い日に出所か・・・。




真夏って外歩くだけで体力が吸い取られるから嫌いだ・・・。




夏と言えばセミのうるさい声だよな・・・あれ聞いてるだけでさらに体力が奪われていくように思える。




多分俺がガキンチョのころならキチガイのようにそこらへん走り回って遊んでいたのだろう。




そう思うとやっぱり一番楽しいのは少年時代って感じがする。






子供のころとはいろんなことに興味がわくものだ。




空はどうして青いの?セミは何であんなにうるさいの?




今となっては理論的に考えてすべてが解決できるが、やっぱり子供って無垢で純粋だから海の色が反射しているだからとか夏だからとかの単純な考えで理解してくれる。




・・・逃げ水ってのがあるよな。




俺が昔母になぜ水が消えるのかと聞いたら




「あの水は恥ずかしがり屋なんだよ」




って教えてもらった気がする。




たしかその日は今日みたいに暑い日だった気がする。




ほら、こんな炎天下の日に遠くを見ると・・・




・・・




麦わら帽子の美しい女性が見える。




麦わら帽子って夏って感じがするが、俺的に夏って感じがするのは風鈴が付いた縁側でスイカを食べるという行為だ。




こういうことを考えているうちに女性に近づいてきた。




近くで見ないとわからなかったが、なかなかこの女性スタイルがいい。




とくに胸がたまらない。




あと夏特有の露出の多いファッションだな。




・・・やっぱり女性の太ももは癒し効果があるんじゃないか?




まぁこういうのは置いといて、さっきからこの女性、少し様子がおかしい。




ベンチに座って本を読んでいると思いきや頻繁に周りを見渡してはまた本を読む、その繰り返しである。




何だろう、あの人はネタでやっているのだろうか。せっかくの美人が台無しになっている。




そんなことを思いながら俺はその女性に近づく。




見ててかわいそうなので一言忠告することにしたのだ。




男「あの、すいません」




すると女性はハッとした顔でこちらを見てくる。




そりゃ当然だろう、いきなり知らない男に話しかけられたのだ。




俺だっていきなり知らない人に話しかけられたら警戒してしまう。




?「な、何でしょうか」




女性はいかにも私何もしてませんよ風に立ち振る舞う。




何ていうか、無自覚にこういうことをしているというのなら心底笑えてくる話だが。




男「さっきから何をしているのでしょうか?」




俺はズバリと聞いてみる。




さすがにこういうのはデリカシーにかけるが、そもそも俺にデリカシーを求めるのは間違えていると俺は思う。




女性は何やらあわてた様子だ。




?「い、いえ、読書をしていただけです」




嘘丸出しすぎて笑えてくる。




なんか見ててかわいそうなので俺は




男「嘘でしょ」




と言ってしまう。




男「もっと嘘つくならもう少しまともな嘘をつきましょうよ」




すると女性は何やらあわてた様子で




?「え、えっと・・・何でそういえるのですか?」




とほざきだした。




いや、見たらわかるでしょ・・・と思いつつ俺はかっこつけるために




男「男の勘ってやつです」




と答えてみる。




我ながらなかなかいい答え方だったなと思いつつ



?「男の勘ですか・・・完敗です」




あっさりと女性が負けたところで俺は再び質問をすることにした。




男「あの、実際のところ、何をしていたのですか?」




すると女性はあっさりと答えてくれた。




?「人探しをしていました」




俺は少し煽るつもりで女性に意地悪な質問をしてみた。




女の人と話すなんて久しぶりだから若干楽しんでいるのかもしれない。




出所して最初の会話がこれっていうのは少し物足りない気がするが、面白いからOKとしよう。




男「あなたは俺がこう言うまでこんな醜い演技をするつもりだったのですか?」




すこし言い過ぎたと思ったが、女性は案外動じない。




ていうか笑っていた。



マゾなのか?



?「ふふっ、確かにしていたかもしれませんね」




俺が言ってやって正解だったか?と思っていたら女性はこう続けた。




?「だけど、もう見つかりました」




ん?と俺は思い辺りをきょろきょろしてみる。




だが、俺とその女性以外人影が見当たらない。




男「見つかったって、どこにいるというのですか」




俺は率直に聞いてみる。




あまりにもデリカシーがないが、この人が病気だったら嫌なので念のため、である。




?「・・・ほらいるじゃないですか





私の目の前に」




それはあまりにも急すぎた。




目の前・・・?俺のことか・・・?




だけどこんな美しい女性・・・知り合いに・・・。




男「あなたは何を言って・・・」




?「・・・忘れちゃったんですか・・・?ほら、私をよく見てください」




女性はメガネを取る。




メガネを取ると、そこにはどこかで見たことのある顔が見えた気がした。




男「・・・」




?「・・・思い出しましたか?」




男「あぁ・・・」




そう、俺は確かにこの人を知っている。




鮮明に覚えている。




俺の記憶が正しければ。




あなた、いや、お前の名前は・・・。




男「少女・・・」




少女「・・・ずっと待っていたんだよ」




少女は目に涙を浮かべている。




泣き顔を見たのは初めてではないが、こんな感動的なシチュエーションで泣いているのを見たことはなかった。




男「なんつーか、すまんな」




少女「すまんなじゃないよ・・・!私がどれほど寂しい思いをしたかわかっている・・・?」




男「・・・もうどこにも行かない」




少女「ほんと・・・?」




男「お前とずっと一緒にいてやる」




少女「・・・嬉しい」




少女は俺に抱きついてくる。




俺はそっと少女を抱き返す。




泣いているせいか、少女の体は非常に暖かくなっていた。




男「・・・」




しばらくの間俺は少女と抱き合った。




6.エピローグ



まぁこんな具合で少女と夢の(?)再開を果たすことができた。


ここからはこれを見ている君たちが抱いた質問に超えることにする。


まず、俺が逮捕された後の少女についてだ。


少女は俺が逮捕された直後は孤児院にいれられることになった。


少女母に関しては、親権はく奪により少女の面倒を見ることができなくなった。


なので孤児院に入れられたのである。


んで、2年ぐらいたったある日、ある男性が少女を引き取りたいと申し出たのだという。


その正体は友だ。


友は俺が逮捕されて少女が一人ぼっちになったときに、里親になると決意した。


だけど里親への道って結構いばららしくて、研修みたいなことがあるらしい。


そのせいで引き取りが遅れたらしい。


案の定引き取った直後は怖がっていたらしいが、いつの間にか普通に話せるようになったらしい。


友の話によると、口癖のように男帰ってこないかなって言ってたらしい。


いや、待たせたのは本当に悪いと思っているからな?


まぁそういうのは置いといて、少女のそのあとだが、普通に勉強して高校いってなんと俺と同じ大学を出たらしい。


理由は一つ、俺に近づきたかったからだ。


少女は俺と将来を語った日から俺と同じ道を歩むと決意していたらしい。


まぁだけどまだ俺には到底及ばないらしい。


本人談だから真相は知らないが。


また、今度俺と少女で共同で会社を立ち上げる予定だ。


内容は昔俺がやってたことそのままだ。


とまぁ、無駄話もあったがこれが少女の俺が逮捕されてからの歩みだ。


んじゃあこれからは今についての話をしよう。


結論から言うと、結婚しました。


家はもちろん俺が住んでた家だ。


まぁ何気ない日常のなかを暮している。


・・・なんか少女の愛が人一倍重たいと思う時もあるが、多分俺がどこにも行かないようにだろう。


外出するときもいつも少女と俺は一緒だ。


案の定バイクなのだが、少女は成長しているのだから、たわわに実った果実が二つ、俺に当てられるわけだ。


なかなかいいものだぞ。これ見て突発的にバイクの免許取られても困るので俺はこれ以上は何も言わない。


まぁそんな風に俺と少女は当たり前の今を生きている。


何かいろいろあったけどすべてはあの出会いから始まったと思うとやっぱり人生って何が起こるかわからないな~って思う。


というわけで、長い間俺の話に付き合ってくれてありがとう。


それではまたどこかで機会があれば。


後書き

初めての作品なので描写がうまく書けませんでしたが、個人的に自己満足できました。

一番悩んだのは少女に選ばせるシーンにどうやって持っていくかですね。

なんかすごく超絶展開だったと思いますが楽しんでくれたのなら励ましになります。

次回のテーマはまだ未定ですが、何か希望があれば極力受け付けたいと思います。

よろしくお願いします。

あと、めっちゃ飽き性なので絶対に長編は書きません。

追加、バッドエンドは書きません。

・・・希望が多ければ続編書くかもしれませんが多分ないです。


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続編見たい

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なかなか素晴らしいものをありがとう

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泣いた

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