八幡「やはり俺の3学期もまちがっている。」
SS書くの超初心者です。生暖かい目で見てやってくださいwww
毎日更新と言ったな?アレは嘘だ。
注意:このSSは10巻発売前から書き始めたので、本編とは別ルートということにしててください……
奇跡的に本編と内容かぶったようなものなので……
ーーー3学期。
長いのか短いのかよく分からない冬休みが終わり、学校では久しぶりに会ったクラスメイトと談笑する声が廊下に響き渡る。
ここ総武高校は、学期始めと言う事もあり心なしか先生、生徒関係なしに忙しそうだ。
おそらく学校のみならず社会に出てもこの忙しさは変わらないだろう。
ホント、社畜の皆さんお疲れ様です。俺は死んでも働かないけどな。絶対働かない。
そう下らないことを考えながら、俺は昇降口にて靴を履き替え、自分のクラスへ足を運ばせる。
今日から3学期が始まる。
教室に入った俺は真っ先に自分の席に向かい机に突っ伏す。
さっそく腕を枕にし、寝る姿勢をとりイヤホンを耳に当て、音楽を鳴らす。
俺、比企谷八幡は3学期になっても学校に来てからの行動は何も変わらないようだ。
イヤホンを当てていても学期始めのクラスはいつもより一段と騒がしい。
こいつら喋らないと死ぬのかよ……
そう思いながら俺は音楽の音量を2、3上げる。
これで多少は周囲のガヤは紛れそうだ。
こうして1人でいることが懐かしい。2学期の終わりはクリスマスイベントの準備などでこうしてゆっくり出来なかったからだろうか。
軽く感傷にふけっていると、俺の左肩を誰かが叩いた気がした。
顔を上げるとそこには天使がいた。
「おはよ八幡」
八幡「あ、あぁおはよう戸塚」
戸塚はそういうとニッコリと微笑んだ。
やはり戸塚はかわいいなぁ……
思わず自分の頬が緩んでいるのが分かった。
戸塚「久しぶりだね八幡!八幡はこの冬休み何してたの?」
八幡「特に何もしてないかな……ずっと家に引きこもってたかな」
戸塚「もう体に悪いよー?僕毎日テニスしてたから八幡誘えば良かったかな……」
八幡「なん…だと……戸塚に誘われたら喜んで外に出ていたのに……ッ!!」
戸塚「じゃあ今度一緒にテニスしようね!!寒い中テニスするのも意外と楽しいんだよ!!」
それからしばらく戸塚と談笑していると教室の前のドアが開き、平塚先生が教室に入ってきた。
どうやらお喋りはここまでのようだ。
戸塚は「じゃあね」と言い軽く手を振って自分の席に戻っていった。
戸塚が自分の席に戻ってから俺はイヤホンを直す。
朝のSHRが始まるみたいだ。
朝のSHRが終わる。俺たちは一斉に体育館に向かう。これから新学期に入るにあたり全校集会のようだ。
当然俺は寝るがな。
何でどこの校長も話長いんだろうな。誰も聞かないだろうに。
自己満足なのか?そうなのね?
とはいえ、今回ばかりは寝ていられない。それには理由がある。生徒会長の一色いろはだ。
冬休みに入る直前、奉仕部に依頼があったのだ。
その内容とは「新学期に入ってすぐの全校集会のスピーチの練習と本文の作成の手伝い」だ。
正直めんどくさく俺はパスしようとしたが雪ノ下と由比ヶ浜が乗り気だったから手伝うことになった。
……俺の意見は無視でな。
いつの間にか1時間が過ぎ、最後に生徒会のスピーチのようだ。
一色が登壇し、スピーチが始まる。
どうやら上手くできたようだ。
気づけば放課後になっていた。
俺はクラスメイトの誰よりも早く教室を出る。いつも通りだ。
しかし俺は帰れない。帰ったらどうなるか分かったもんじゃない。
俺の足は特別棟のある一室に向かっていた。
扉を開く。
彼女は今日も一番乗りのようだ。窓際の席でいつも通り本を読んでいた。
八幡「うっす」
雪ノ下「あら比企谷君。別に今日は来なくても良かったのに」
八幡「何その『何で来てんの?いや寧ろ帰れ』みたいな言い方。来ちゃ悪かったか?」
雪ノ下「いえ。別にそういうつもりで言ったわけじゃないわよ」
八幡「そうか」
そう言い、俺はいつもの席に座る。
それっきり言葉が発せられることはなかった。
こういう静かな空間は嫌いじゃない。寧ろ好きだ。落ち着いて読書が出来るし、考え事もしやすい。
だがこの静かな空間も彼女が来るまでだ。
由比ヶ浜「やっはろー!」
八幡「おう」
雪ノ下「あら由比ヶ浜さん。こんにちは」
由比ヶ浜が来た途端静かな空間は消え去る。
ま、まぁ騒がしいのもいいよねうん(震え声)
由比ヶ浜「ややー。今日の校長先生の話も長かったよねー!あたしすぐ寝ちゃってさー」
雪ノ下「そ、そういう話はちゃんと聞くものだと思うのだけれど……」
八幡「まぁ由比ヶ浜が言うことにも一理ある。何で校長の話って長いんだろうな。頭良いですよアピール?やめて欲しいんだけどアレ」
由比ヶ浜「だよねだよねー!絶対話長いもんねー」
雪ノ下「あなた達真面目に人の話聞いてるのかしら……」
雪ノ下はそう言いこめかみを押さえる。
そんなですか雪ノ下さん。
八幡「あぁ雪ノ下。一応言っておくが、俺は話はちゃんと聞いているぞ」
そう。聞くだけな。理解しているかどうかは別問題だ。
雪ノ下「まぁ、比企谷君までなると話を聞くだけしか能がないものね」
八幡「おーい?雪ノ下さーん。僕そんなつもりで言ったつもりじゃないんだけどー?」
由比ヶ浜「あ、あはは……」
そこに奉仕部のドアを叩く音が聞こえる。依頼だろうか。
ドアを叩いた者に対して奉仕部部長の雪ノ下が対応する。
雪ノ下「どうぞ」
凛々しい声がドアを叩いた者に向けられる。
「失礼しまーす!」
元気良く開かれた扉の先にいたのは、総武高校生徒会長の一色いろはだった。
一色いろはの依頼はこうだ。
わが総武高校には1月の3週目にマラソン大会がある。そのマラソン大会の成功を手伝ってほしいという結構簡単な内容だった。
いろは「どうでしょう……」
雪ノ下「それは生徒会だけでやるべき仕事だと思うのだけれど」
至極まっとうな理由で拒否される。
まぁそうですよね。これ生徒会の仕事ですよね。
……まぁ俺は単に仕事が増えるのが嫌なだけだけど。
由比ヶ浜「えぇーやろうよーマラソン大会だよー?イベントだよー?楽しもうよー!!」
さすがトップカースト。イベント事なら何でも楽しいと思ってらっしゃる。
俺みたいなぼっちも含め、大半はただの苦行だと思うんだけどな。
雪ノ下「マラソン大会がみんなにとっても楽しいイベントとは限らないのよ?由比ヶ浜さん」
八幡「あぁそうだな。雪ノ下は体力ない……」
俺が最後まで言おうとすると雪ノ下が鋭い目つきで俺を睨んできた。
おもわず謝りたくなるほどの目つきで。女の子がそんな目付きをするんじゃありません!!メッ!!
いろは「そうなんですよー残念ながらその通り、マラソン大会に乗り気じゃない人が大半なんですよ……」
八幡「まぁ。だろうな……」
いろは「そこで!!我々生徒会からみんなが楽しくマラソン大会に参加できるようなアイデアを募集しようと思うんです!!」
由比ヶ浜「はいはーい!あたし、いろはちゃんの意見にさんせーい!!」
由比ヶ浜が一色の案に賛成し、椅子から立ち上がるように手を上げる。
思わず勢い良く立ち上がる由比ヶ浜を見る。が、当然俺の視線は揺れる由比ヶ浜の体の一部に吸い込まれる。
あ^~俺の心がぴょんぴょんするんじゃあ^~
雪ノ下「生徒会選挙の時とやる気の差が見られるわ。成長したのね。一色さん」
八幡「なわけないだろ。どうせコイツの事だから、生徒会の会議中に出た意見をそのまま言ってるだけだろ」
いろは「なッ!?何で分かったんですか!!先輩もしかして会議覗いてました!?ちょっとどころか大分気持ち悪いです……」
八幡「ハッ。仕事のしたくなさで俺の右に出る者などいない!!」
由比ヶ浜「いろはちゃんも成長してないけどヒッキーも成長してない……」
八幡「人間そう簡単に変わらん。俺を見習え」
雪ノ下「比企谷君を見てると、まるでその理論が正しいように感じてしまうわ……不思議ね」
八幡「おい。それじゃまるで俺がいつも間違ったこと言ってるみたいじゃねぇか」
雪ノ下「あら。もしかして、自分は間違ってないとでも思ってたのかしら」
由比ヶ浜「もう!いいからマラソン大会の依頼、どうする?」
2人で俺のことについて議論していると由比ヶ浜が割って入ってきた。
マラソン大会なんてどうでもいいんだけどなぁ……(遠い目)
雪ノ下は照れ隠しに小さく咳払いをして口を開く。
雪ノ下「……先ほども言ったけれど、これは生徒会の仕事ので私たち奉仕部が手伝えることでは……」
由比ヶ浜「ゆきのーん……おねがいだよぉ……」
雪ノ下が依頼を却下すると由比ヶ浜は子犬のように縋るように上目遣いで雪ノ下に懇願する。
困惑した雪ノ下は、俺を見る。
雪ノ下「一応、比企谷君も奉仕部の一員なのだし聞くけれど、比企谷君はどう思うかしら」
一応って何だよ一応って……
でも意外だ。俺にも一応でも意見を聞くとは。少しだけ嬉しい気がした。
八幡「お前らがやりたいならするといいさ。俺も出来るだけ手伝う。どうせマラソン大会なんてつまらないし、少しでも楽しく思えるんならそっちのほうがいい」
俺は少しだけ頬が熱くなるのを感じ思わずそっぽを向いてしまった。
おかげでラブコメの主人公みたいになっちゃったじゃねぇかよう……
由比ヶ浜「ヒッキー……」
俺の言葉に由比ヶ浜が微笑み返す。
雪ノ下は俺を一瞥すると、俺に微笑み返し一色に向け口を開く。
雪ノ下「あなたのその依頼、正式に受理するわ」
そう言い、小さく微笑んだ。
由比ヶ浜「何か意外だなぁ。ヒッキーがあんなこと言うなんて」
雪ノ下「そうね。多分比企谷君があぁ言わなかったら今回の以来は却下していたと思うわ」
一色が奉仕部の教室を出て行ったあと、由比ヶ浜はさっきの俺のとった行動に少し驚きながらも、にやけていた。
それは雪ノ下も同じなようで少しばかり頬が緩んでいるように見えた。
俺があの依頼を許可するのが意外だっただろうか。
自問自答しても答えは出てこない。
おもわず声に出してしまう。
八幡「俺があの依頼を許可するの、何か変だったか?」
由比ヶ浜「え?だってヒッキーだったら『はぁ?仕事増えんの嫌だし。自分でやれよ。俺たちは何でも屋じゃねぇんだよ。他当たれ他』とか言って冷たくあたるじゃん」
由比ヶ浜が俺のマネをしながら抗議する。
いやあのね……俺そんなに冷たくないし……
俺ってもうちょっとクールになってると思うんだが……
八幡「まぁ断っても良かったんだが……理由は3つある」
雪ノ下「その理由。聞かせてもらえるかしら」
八幡「1つ。これは一色にも言ったがマラソン大会なんてどうせつまらない。ちょっとでも楽しい方がいいと思ってな」
これは本音だ。やりたくもない仕事をやろうとしてもただの苦行にしかならない。
苦行するとか、俺ドMじゃないし。
八幡「2つ。運営側に回る確立が高くなる。つまり走らなくても良くなる確立も高くなると思ってだ」
由比ヶ浜「理由が超私的だ……」
雪ノ下「全くこの男は……」
俺の2つ目の理由に由比ヶ浜は苦笑いをし、雪ノ下は呆れる。
まぁそうでしょうね。もうこれくらい慣れましたよ(遠い目)
でも運営側に回ると走らなくてもいい確率は確かに高くなるし……
八幡「そして3つ目は……」
そこまで言い俺は口を閉じる。
これは俺もまだ確かな気持ちではないからだ。
『比企谷八幡が欲した本物』に近い気持ちだ。
このイベントを通してそのヒントを得れば良いと思う、いわば俺のエゴだ。
しかしこれは俺でも分からないことだ。絶対に口には出せない。
だから俺は…………
八幡「……なんだろうな」
だから俺は、今回も逃げてしまう。
弱い俺の、比企谷八幡のたった一つの残された行動だ。
本当に醜い行動。
だから俺は自嘲気味な笑みをこぼしてしまう。
雪ノ下はそんな俺の気持ちを感覚的に悟ったのか、優しい笑みを浮かべた。
それは由比ヶ浜も同じなようで一瞬疑問の表情を表すと、満面の笑みを浮かべる。
由比ヶ浜「もーヒッキーの意地悪ー!」
雪ノ下「由比ヶ浜さん。この男の考えることだし、どうせろくなことじゃないわ」
八幡「おい!これでも一応俺なりに考えてんだぞ」
そう言うとちょうど奉仕部にとって下校を促すチャイムが学校中に響く。
外を見るとそこには綺麗な夕焼けが見えた。
雪ノ下「今日はここまでのようね」
由比ヶ浜「そうだねー!マラソン大会、楽しくしなくちゃだね!ヒッキーのためにも!」
雪ノ下の優しい声が部活の終了を表す。
それに対し、由比ヶ浜の元気な声が返答する。
八幡「別に俺のためにがんばらなくてもいいけどな。自分のためにやれ自分のために」
由比ヶ浜「だってヒッキーがこんなに自分からイベントのためにがんばることってほとんどないじゃん」
雪ノ下「イベントごとどころか何をするにもがんばってる姿はあまり見ないと思うけれど」
八幡「俺はみんなが見てないところで努力してるんだよ!むしろみんなが俺のがんばってるところだけを見てないまである。俺は悪くない。周囲が悪い」
雪ノ下「結果が出なければ意味はないわよ」
そう言い、少し微笑む。
ぐぬぬ。負けず嫌いさんめ。
由比ヶ浜はそんな俺たちを見て笑い出す。
俺たちはある意味、似たもの同士なのかもしれない。だからこんな風に言葉が弾むのだ。
なんとなくだが、今回のマラソン大会は成功するような気がした。
由比ヶ浜「まぁいいじゃん!じゃあマラソン大会が楽しくなるようにがんばろー!!おー!」
雪ノ下「えぇ」
八幡「お、おー……」
由比ヶ浜が右手を上げながら元気良く声をあげるのに対し、俺と雪ノ下は困惑しながら小さく声をあげるのみになってしまった。
俺と雪ノ下の返事を見て、由比ヶ浜は少し苦笑する。
……訂正。最初からこんな調子で、マラソン大会が成功するか心配です。
学校を出た俺は1人ショッピングセンターに来ていた。
何でここに来ているかと言うと、俺の愛読しているラノベが新刊を出したから早速買おうと思い本屋に来るためだ。
近くに本屋がないためこの馬鹿でかいショッピングセンターに来るしかないのだ。
最近はどこの本屋もだんだん潰れて、近くにはこのショッピングセンターしか本屋がなくて不便だ。
目当ての本を購入し、このショッピングセンターにいる理由もなくなったが、せっかく来たんだしと思い俺はゲームコーナーに向かう。
たまにフラリと寄ってしまうのだ。
特に目当ての筐体があるわけではないがなんとなく引きつられる感じがある。
とりあえずクレーンゲームを見てまわる。
一つの台に小さいパンさんのキーホルダーがあった。特に欲しいわけではなかったがなんなら小町にあげれば良いし、なんとなくクレーンゲームがしたかったのでやろうと思い財布を取り出す。
財布の中には300円しか残っていなかった。
…………えぇ……金持ってなさすぎだろ俺……
さっき本買ったけどさ……いやそれでも持ってなさ過ぎだろおい……
しかしせっかく来たんだしと思い俺は台に300円投入しクレーンを動かす。
今回のアームは割と強いらしく3プレイするとパンさんのキーホルダーが4つ取れた。
こんなにいらないんだけどなぁ……
とりあえずここで途方に暮れるわけにもいかないので俺は変えるために自転車を置いたところまで戻る。
戸塚にあげればいいのか!そうか戸塚か……戸塚なら受け取ってくれるかもな!
戸塚と小町と雪ノ下と由比ヶ浜にあげれば良いかな。
材木座?アレは最初から選択肢に入れてないですよ^^
俺は明日、戸塚にキーホルダーをあげるシチュエーションを想像しにやけながら俺は自転車をこぎ、家までの道を帰る。
明日が楽しみだなぁ……フヒッ
八幡「たでーまー」
小町「おかえりーおにいちゃーん」
自宅の玄関の鍵を開け重々しいドアを開け、家にいる人間に向かって帰宅したと合図を送るとリビングからすぐさま返事が返ってきた。
小町の返事しか聞こえなかったところ、どうやらまだ小町しか帰ってきていないようだ。
それもそうだ。まだ6時近い。
とりあえず俺は靴を脱ぎリビングに向かう。
八幡「たでーま」
小町「んー」
リビングに入るとそこには首元まで炬燵に入り座布団を枕にしてぬくぬくと温まっている小町がいた。
さながらカタツムリのようだ。羨ましい。俺も将来こんな風にして一日を過ごしたいです。
八幡「あ、ほれ小町。これ」
俺が通学用のバックから例のUFOキャッチャーで取ったパンダのパンさんキーホルダーを取り出し小町に上から落とすとキャッチしてまじまじとキーホルダーを見つめる。
そして俺の方を見ると不思議そうな顔すると暫しの思考の末、驚いた様な顔をして口を開く。
小町「どうしたのこれお兄ちゃん。小町的にポイント高すぎてもはや気持ち悪いレベルだよ!」
何だよ。開口一番は感謝の言葉じゃなくて嫌味かよ。ちょっとお兄ちゃんショック。
八幡的にポイント低いよ。
八幡「あぁそう……いらないなら捨てとくか友達にでも渡せ」
小町「いやいやそんな意味じゃなくてですね。小町的にポイント高すぎて言動がちょっとおかしくなってるだけだから!!」
八幡「それ全然大丈夫じゃないから。自覚してんならもうちょいまともにしてくれよ……」
まぁそんな小町も可愛いんだけどな。
俺が1人満足していると小町が俺の顔を覗き込み興奮気味に質問してくる。
小町「お兄ちゃんこれどうしたの!?タダでくれるの!?いやでもお兄ちゃんの事だし何か考えが……」
八幡「考えなんかねぇよ。タダでやる。ゲーセン行ってたまたま結構取れただけだ」
小町「えぇ!?いいの!?やったー!お兄ちゃん愛してる!お兄ちゃんマジ捻デレー!!」
そう言って小町が俺に抱きついてくる。うん可愛い。超可愛い。別に今じゃなくても小町はいつでも超可愛い。
そして俺に感謝の言葉をしてくれたのもありがたい。
うん。でもね。最後の言葉がなかったら八幡的に超ポイント高かったんだけどなぁ……(遠い目)
俺はとりあえず一度自室に向かい、部屋着に着替えてまたリビングに向かう。
そしてキッチンにおいてある密林から届いたダンボールの中に詰め込まれていたMAXコーヒーを取り出し、マグカップに移し替えるとレンジに入れ暖める。
冷たいMAXコーヒーも美味しいが暖かいMAXコーヒーも美味しいのである。
と言うよりMAXコーヒーが美味しくなくなる方法がないまである。
MAXコーヒーはいつ飲んでも美味しいのだ。
暖めたMAXコーヒーを持って炬燵に向かい、入る。
あ^~ぬくぬくだにゃ^~
机の上にはMAXコーヒーと小町の勉強道具が散らばっていた。
どうやら小町は勉強をしていたようで感心する。
俺は小町の勉強する姿を横目にテレビを見ながらMAXコーヒーを頂く。
体の中からの暖かさと体の外からの暖かさで小町はいつの間にか寝ていた。まぁ疲れただろうしな……
俺は小町を横に寝かせ、1人寒い寒い言いながらソファにかかっているブランケットを小町の体に掛ける。炬燵だけじゃ寒いだろうしな。
小町が完璧寝た姿を見て、俺は再びコーヒーをすすり始める。
体が温まると俺も眠くなってきた。
俺はマグカップを洗うと炬燵に戻り、眠りに落ちる。
起きたころには完全に夜になっていた。
その日の晩、全く眠れなかったのは言うまでもあるまい。
次の日いつも通り学校に行く。
いつも通り教室に行き、いつも通り自分の机で寝る。
だが今日の俺には重大な任務が託されている。そう。戸塚にキーホルダーを渡すという重大な任務だ。
今日も今日とて自分の席で寝ていると戸塚が俺の席まで来てくれた。
あぁ……今日も可愛いなぁ……
俺は自分のほほが緩んでいるのに気づき慌てて自分の顔を隠す。あぶねぇあぶねぇ……ついにぼっちからただの危ない人にランクダウンするところだった……
そんなことを考えているうちに戸塚は俺の席のところまで来て俺に向かって挨拶をしてくれる。
戸塚「おはよう八幡!」
八幡「おう。おはよう」
挨拶をし終わった後、俺は自分のバックの中からパンさんキーホルダーを取り出し戸塚に渡す。
何か照れくさいな……
戸塚はきょとんとした顔をするとキーホルダーと俺を交互に見る。
そして質問を投げかける。
戸塚「これどうしたの?八幡」
八幡「いや、昨日学校帰りにゲーセン行ってだな。欲しいなら貰ってくれ」
すると戸塚は顔をパァっと明るくすると元気な声で感謝の言葉を発する。
戸塚「ありがとう八幡!!大事にするよ!!」
可愛い……そこらの女子とか比べ物にならないな……うん。なんなら俺が戸塚をプロデュースしてアイドルにするまである。そして戸塚はアイドルに……ん?そしたら戸塚はみんなのアイドルになるわけか。ダメだこれ。却下。
戸塚は俺だけの天使でいてくれ。うん。
八幡「それは良かった」
時計の針は8:30を指している。
そろそろSHRの時間かと思っているとちょうど平塚先生が教室に入ってきた。
今日も一日が始まる。
授業中、ボーっとしていると意外と時は過ぎ、気づけば時計の針は昼休みを指していた。
俺は財布とスマホを持ち、売店に寄り、ベストプレイスに向かう。今日は晴天のためちょうど良いくらいに日が当たり暖かいだろう。
俺が売店に寄りベストプレイスに向かうと、誰かのくしゃみの音がした。どうやら先客がいるようだ。
誰だ?こんなとこにわざわざ来る人なんてそういないはずなんだが……
俺がそのまま足を進めると、そこにいたのは由比ヶ浜だった。
由比ヶ浜「あ、ヒッキーだ!遅い!」
八幡「……何でお前ここにいんの?」
由比ヶ浜「今日はヒッキーとお昼食べようと思って……ダメだった?」
八幡「いや、別にいいけどよ……」
俺が微妙に目を逸らしながら由比ヶ浜に問うと、由比ヶ浜はちょっと照れたように返答する。
いやそんな返答されると俺もちょっと恥ずかしいっていうか……もし由比ヶ浜が俺の理想の女の子だったら今すぐ告って振られるまである。
いや振られんのかよ。(ここまでテンプレ)
それにしても意外だ。由比ヶ浜は普段昼飯は雪ノ下と奉仕部の部室で食べているはずだ。由比ヶ浜は基本的に雪ノ下LOVEだから余程の事がないと行動を別にすることはないはずだ。
そう思い由比ヶ浜を見ると、俺の視線に気づいたのか由比ヶ浜も俺の方を見て、少し首をかしげる。
由比ヶ浜「どったのヒッキー?」
八幡「いや。お前普段昼飯雪ノ下と食ってんじゃねぇの?」
由比ヶ浜「そうだよ?どしたの?」
やはり俺の推測どおり普段は雪ノ下と昼飯を食っているようだ。
ということは、やはり何かあったのだろうか。
俺は再度由比ヶ浜に問いかける。
八幡「いや。普段雪ノ下と食ってんのに、何で今日はここで食ってんだ?と思ってな。……何かあったのか?」
由比ヶ浜「へ?あ、あぁ?そういうことね!ゆきのん、今日昼休み何かすることがあるとか言って今日一緒に食べれなくなったんだ!」
おいコイツ。今までの会話の中で雪ノ下のことって推測できなかったのか……?
なんだろう……時々由比ヶ浜って鋭いって思う時あるけど、やっぱりそんなことなかったぜ!
八幡「別にここ来なくてもよかったんじゃねぇのか?ほら教室行けば三浦とか海老名さんとかいるじゃねぇか」
由比ヶ浜「何か今日はそんな気分じゃなかっただけー。……そんなにあたしここに来ちゃダメだった?」
別にそんなつもりじゃないが、やはり何か違和感がある気がする。
八方美人のあの由比ヶ浜結衣が大勢人がいるところより、人が少ないところに行く事を自分から選ぶ。
何か違和感を感じる。
八幡「なぁ由比ヶ浜」
由比ヶ浜「何?ヒッキー」
これを俺が言っていいのか悩んだが、言ってしまったほうがいいのかもしれない。
そう思って口を開く。
八幡「俺の考えすぎなのかもしれんが……何かあったのか?……何かあるんなら奉仕部もあるし、個人的に俺にでも言え。聞くだけは聞いてやる」
俺は少し照れながらも由比ヶ浜に声をかける。由比ヶ浜を見ると心底驚いた顔をしていた。
そして微笑みを浮かべると今度は遠くを見つめる。俺もつられてその視線の先を見つめる。
視線の先には住宅街や青い空、遠くに小さく海が見えた。その視線に何か意味があるのか、俺には分からなかった。
由比ヶ浜「ヒッキーって」
八幡「あん?」
由比ヶ浜が唐突に言葉を発する。唐突の言葉に生返事で返す。
返事の先の言葉を待つ。
由比ヶ浜「ヒッキーって、変なところで鋭いよね」
八幡「…………」
由比ヶ浜「……聞いてる?」
八幡「おう。言葉の続きを待ってるんだよ」
由比ヶ浜「……ここだけの内緒にしてよ?」
八幡「おう」
由比ヶ浜「絶対だよ!?」
八幡「おう。ていうか言いふらす人間がいない」
由比ヶ浜「あ…何かごめん……」
俺が1人言葉の先を待っていると、由比ヶ浜は何か決心したのか大きく深呼吸をする。
そして俺の方を向き、話を始めようとする。
由比ヶ浜「あたしが奉仕部に入ってからいろんな依頼受けてきたじゃん?依頼受けていくほどに何かみんな変わっていく気がして……そしたら今の関係が変わってく気がして、あたし今すっごく不安なんだ……」
八幡「……変化ねぇ」
由比ヶ浜「ヒッキーも変わったよ?」
八幡「俺がか?んなわけねぇだろ」
由比ヶ浜「変わったよ。何か雰囲気みたいなのが」
八幡「それはお前が変わったからそう見えるだけだ。お前も変わったぞ。ビッチっぽさが抜けた」
由比ヶ浜「だからビッチって言うな!ん?でも抜けたってことは……ん?」
八幡「ま、そんなに気にすることないんじゃねぇの?そんなのいちいち気にしてたらキリがない」
由比ヶ浜「ホント、ヒッキー捻くれてるなぁ」
八幡「ほっとけ」
由比ヶ浜「まぁでも、何かバカバカしく思えてきた!何かすっきりした気がする!ありがとヒッキー!」
八幡「さいですか」
俺が返事するとちょうど昼休み終了のチャイムが響いた。
俺と由比ヶ浜は顔を見合わせ、どちらともなく教室へと足を向かわせた。
放課後になり、俺は教室を早々と出る。
と思ったら平塚先生に呼び止められる。
平塚「比企谷ー。ちょっと待ってくれ」
八幡「何ですか?急に」
平塚「最近、奉仕部は新しい依頼を受けたようじゃないか。どうだ?最近の奉仕部は」
平塚先生はどうやら世間話をしたいのか、最近の奉仕部について質問をしてくる。
しかしどこで新しい依頼を受けた事を知ったのだろうか。雪ノ下だろうか。
しかし部活の事をよく知っているところ、ちゃんと部活の顧問らしいことはしているようだ。
とりあえず俺は平塚先生の質問に返答する。
八幡「まぁ……ぼちぼちです。今回も生徒会繋がりの依頼なんで、正直なところ一色にはちゃんと仕事して欲しいですけどね」
平塚「まぁそう言ってくれるな。生徒会も生徒会で学期初めでいろいろ大変だろうし。私たち教師も忙しくてなぁ……」
と言って平塚先生は窓の外を見る。
まぁ学期初めは大変だろう。心なしか平塚先生の顔が疲れきっているようにも見える。
八幡「大変なんですね」
平塚「あぁ本当に大変だ。特に若手はな」
そう言われて俺は思わず平塚先生から目を逸らしてしまう。
平塚先生は本当に疲れているらしく、ため息をつく。
そう気まずい空気が流れているとちょうど由比ヶ浜が荷物をまとめ、俺と平塚先生のところまで来た。
由比ヶ浜「何々ー?何の話ー?」
由比ヶ浜は俺たちの会話の内容を知るはずもなく、ニコニコした笑顔で俺たちの間に割って入る。
平塚「おぉ由比ヶ浜。いや最近の部活のことについてちょうど話していてな」
由比ヶ浜「あー。特に変わってないですよー。今日も今から部活です!!ね、ヒッキー」
八幡「あ?あぁうん。そうだな」
由比ヶ浜と平塚先生が話しているといきなり俺に話が振られたので慌てて返事をする。
あるよね。こういうこと。……ある…よね………?
平塚「そうか。今から部活か。……邪魔して悪かったな。がんばって来い」
八幡「うす」
由比ヶ浜「はーい!じゃあ先生、またね!ヒッキー行こっ」
そう言って由比ヶ浜は平塚先生に向かって大きく手を振った。
そしてご機嫌な様子で奉仕部の部室へ向かう。もちろん俺も由比ヶ浜の後を追い同じように部室へ向かうわけだが。
俺は大きく息を吐くと教室を出る。廊下では由比ヶ浜が俺を待ち、早くと急かしている。
俺は通学用バックを肩にかけると歩き始めた。
八幡「ういーす」
由比ヶ浜「やっはろー」
平塚先生と別れ、俺と由比ヶ浜は2人で奉仕部の部室に向かった。
すると、今日も雪ノ下は先に来ていた。
扉を開けると俺と由比ヶ浜は挨拶をして自分たちの定位置に向かう。
依頼は受けたものの特に何をすればいいのか教えてもらっていないので今日も俺と雪ノ下は読書、由比ヶ浜は自分のケータイと睨めっこし始める。
しばらくすると、奉仕部の部室のドアが叩かれる。
その音に雪ノ下が応答する。
雪ノ下「どうぞ」
扉を開けたのは一色だった。
一色「失礼しまーす」
今日の一色は何となく慌ててように見える。どうかしたのだろうか。
そう思っていると一色が口を開く。
一色「大変です大変です。今日会議あることすっかり忘れてて……今から会議に来れますか!?」
やっぱりか……
大体予想は出来ていた。昨日、依頼を受けたは良いが特に何をすれば良いのか、一言も教えてもらってなかったからだ。
もうさぁ……仕事頼むんだったらちゃんと連絡しようよ……
そう文句ばっか言ってはいられない。
一色が走ってまでこの奉仕部に来たってことは本当に急いでいるはずだ。
俺と雪ノ下、由比ヶ浜は荷物をまとめて、奉仕部から出る。
八幡「なぁ一色、俺らどこ連れてかれんの?」
一色「大会議室です。今回は基本的に大会議室で会議するみたいです」
お前生徒会長なのに何でそんなに情報があやふやなんだ……?
そんな事を考えているうちに俺たちは大会議室の前に来ていた。
すると一色が大会議室のドアを開ける。
一色「遅れてごめんなさい!」
その一色の声に生徒会のメンバーとその他大勢が雑談を止め、自分たちの席に座る。
おそらく各クラスの体育委員だろう。
俺たち奉仕部のメンバーも一色の横に座る。
ここに来ている全員が座ると、一色が点呼を取る。
一通り点呼を取ると、一色が会議の始まるを告げる挨拶を始める。
一色「ではこれから、マラソン大会の会議を始めます。気をつけ、礼」
挨拶を済ませると、生徒会の面々がプリントを配って回る。
俺たちもその紙を貰うと、一通りプリントに目を通す。その紙には今日の会議の内容が書かれているだけだった。
紙……もったいねぇな……
一色「今日の会議は今配ったプリントに沿って進めて行こうと思います。ではまずマラソン大会の日にちやコースなど細かいことを副会長から説明してもらいます」
そう言うと一色は座り、代わりに副会長が席を立ちホワイトボードにいろいろ書いていく。
先に書いとこうよ……
副会長「ーーーとまぁこういう事です」
約10分間の説明が終わる。長い。
俺は大分疲れてきて集中力ががた落ちである。由比ヶ浜はもはや半分寝てる。さすがの雪ノ下もきつそうだ。
纏めるとこうだ。男女、共に30km。コースは学校の近くの運動公園を横断し、街中を通り学校に帰ってくるというコースだ。
超ダルそう。何これ。絶対走らないからな俺は。
会議が終わる。
俺は机に突っ伏していた。もうゴールしても良いよね?ゴールしちゃだめなら座り込むまである。
横を見れば由比ヶ浜も俺同様机に突っ伏していた。まぁ……だろうな。
そのまた横を見れば雪ノ下が眉間を指で押していた。
周りのその他大勢は会議終了の合図と同時に大会議室から出て行く。
俺もその大勢の中に紛れて外に出て行こうとすると、俺の腕が誰かに引っ張られる。
その手を辿ると、俺の腕を掴んでいるのは由比ヶ浜だった。
由比ヶ浜「どこ行くのヒッキー」
由比ヶ浜は俺に真剣な眼差しを向け、糾弾する。
その視線に俺は思わず目を逸らす。逸らさなければいけなかった。あの怖いです由比ヶ浜さん。
俺は目を逸らしながら若干震え声で由比ヶ浜に返答する。
八幡「お、俺も帰ろうと思いまして……」
雪ノ下「依頼を受理した以上、最後まで付き合うべきだと思うのだけれど」
八幡「は、はい……」
俺は由比ヶ浜と雪ノ下の視線から逃げながら返答する。
そう話していると生徒会の集まりから一色が俺たちの方に向かってきた。
これで本当に逃げられなくなったと軽く絶望していると、一色が口を開く。
一色「大体はさっき言ったとおりです。何か気になることあります?」
八幡「確認のため聞くんだが……マラソン大会っていつよ」
俺が一色にそう聞くと、俺の周りにいた女子3人の視線が俺に突き刺さる。
痛ぇ…痛ぇよ……視線が痛ぇよ……
由比ヶ浜「ヒッキーもしかして……日にち知らずにこの会議聞いてたの?」
八幡「仕方ないだろ。俺基本HR中は1人机で爆睡してんだからよ……」
雪ノ下「あなた……結構掲示板等に書いてあるのよ?……目に入らないのかしら……」
掲示板とか基本見ないものだと思うのですが、違うんですか?違うんですね……
俺が異端じゃないことを願うばかりである。
一色「まぁ先輩ですし……諦めましょう」
そう言って一色はアメリカ風に首をすくめて「やれやれ……」のポーズをとる。
欧米かッ!……え?古いですかそうですか……
最近の子どもには分からないだろうな……これ。
八幡「んで?じゃあこれからどうするつもりなんだ?」
一色「どうしましょう……」
八幡「いやそれくらい決めとけよ……」
俺が呆れかえっていると雪ノ下が何か思いついたのか声を上げる。
雪ノ下「みんなが楽しくなるような案を上げればいいと思うのだけれど」
由比ヶ浜「それいいね!あたしはゆきのんの意見にさんせーい!」
由比ヶ浜は雪ノ下の意見に賛成すると雪ノ下に抱きつく。
賛成するのは良いけど抱きつく必要性ないよね?ね?
八幡「じゃあそれをまた今度決めるとして……俺は帰るぞ」
一色「もう帰るんですか?今日中に決めた方がよくないですか?」
由比ヶ浜「そうだよヒッキー。もっとちゃんと話そうよ!」
俺の「帰る」という言葉に一色と由比ヶ浜が反論する。
だが俺にも言い分はある。理由がある。信念がある。そう簡単に折れるわけにはいかない。
そう思い俺が反論しようとすると雪ノ下が先に口を挟む。
雪ノ下「比企谷君の意見に賛成するつもりはないけれど、今日はここまでにした方がいいと思うわ。今日の会議進行を見たところ、これからの予定が曖昧のように見えたわ。今日中に生徒会のほうで決めてもらえるかしら」
八幡「だな。じゃあ俺は帰る。……おつかれさん」
そう言って俺は1人、大会議室から出る。
颯爽とその場を離れる俺、最高にカッコいいぜッ!!
俺は大会議室から出ると自転車置き場に直行する。
そして1人帰る。
そして家に帰ると気づいた。
……今日……金曜じゃん……
すると月曜一週間の一発目に会議があるわけで……
俺が軽く絶望しているといつの間にか俺は自分の家に着いていた。
本日日曜日、俺は地元の遊園地に来ていた。
一応言っておくが、決してディ○ニーランドに来ているわけではない。
本来ならば日曜日とか言う一週間の中で1番自由な日に外に出ることはなはずだが、今日は半強制的に外に出されたのだ。
これも全てディケイドの仕業イヤなんでもないですすみませんハイ。
本当のところ、奉仕部の活動と言う名目の慰安旅行(日帰りだが)に来ているだけだ。
どうやら平塚先生が新年会で遊園地のカップル用の入場チケットをゲットして、俺たちにそのチケットを譲ったようだ。
どうして俺たちに譲ったかと言うと……うん。察そう。
ちゅーか集合時間10分前になっても2人も来ないとか……どういうことだよ。
そう思いながら俺はイヤホンを着けて聞いていた音楽の音量を上げる。スマホをイヤホンにつけていたので音量を上げるついでに時間を見る。
おっせーな。帰ろうかなと思っていると視界の奥から誰かがこっちに向かって走ってきている姿が見えた。
早く園内に入りたくて走ってきてんのかな?とか思っていると走ってきたのは由比ヶ浜と雪ノ下だった。
由比ヶ浜「ヒッキーごめーん!!」
由比ヶ浜は大きく手を振り、大声を出しながら俺の方に走ってきていた。
恥ずかしいんでやめてもらえると嬉しいんですがねぇ……
しばらくすると由比ヶ浜と雪ノ下が俺のいるところに着いた。
八幡「おう。どうしたんだお前ら」
すると結構な時間息を整えていた雪ノ下が口を開く。
雪ノ下「昨日から由比ヶ浜さんが私の家に泊まっているのだけれど、いろいろあって家を出るのが遅くなったのよ。急いで来ようとしたのだけれど……」
そう言って雪ノ下は口をつぐむ。
あぁ……迷子になったのね……この2人ならしかねない。というかそれ以外の理由が見当たらない。
俺はイヤホンを取るとバックに片付ける。
八幡「そろそろ入ろうぜ。揃ったし」
雪ノ下「そうね。ずっとここにいても意味はないものね」
由比ヶ浜「そうだね!じゃあレッツゴー!」
由比ヶ浜の元気な声で俺たちは入場ゲートに歩き始めた。
入場ゲートを通り園内に入った俺たちは、とりあえずパンフレットを貰い、園内の地図を見る。
結構な数のアトラクションがあるみたいで楽しそうだ。
一通り見終わると、俺は雪ノ下と由比ヶ浜にパンフレットを手渡す。
由比ヶ浜「へー。色々あるんだねー!ねぇヒッキーはジェットコースターとかいける?」
八幡「おう。俺は何でもいけるぞ。だが由比ヶ浜。ジェットコースターはやめとけ」
そう言って俺は入場ゲートから見える、超大きいジェットコースターを見る。
そのジェットコースターは入場ゲートから見ても明らかにレールが何回転もしている。普通に乗ってもきつそうだ。
しかし由比ヶ浜はそれでも乗りたいらしく、俺に挑発込みに反論する。
由比ヶ浜「別にあたしはあれでもいけるけど、もしかしてヒッキー乗れないの?」
八幡「なわけねーだろ。俺はジェットコースターとか割と好きだ。だが待て。雪ノ下はジェットコースター無理」
雪ノ下「比企谷君」
俺が由比ヶ浜に雪ノ下がジェットコースターが苦手な事を言おうとすると俺の言葉を遮るように口を挟む。
だが俺は諦めないッ!!
八幡「由比ヶ浜、雪ノ下はジェットコースター系は無理……」
雪ノ下「比企谷君?私が?何かしら?」
そう言って雪ノ下はニッコリ微笑む。あの雪ノ下さん目が笑ってないです。それどころか「今度余計なこと言ったら息の根を止める」みたいな目つきしてます。めっちゃ怖いです。
俺は流石に諦め、口をつぐむ。
だってこれ以上何か言ったらマジで命の危険を感じるもん!(ヘタレ)
由比ヶ浜「とりあえずせっかく来たんだし、最初にジェットコースター乗ろうよー!」
由比ヶ浜はそう言って元気にはしゃぐ。さながら小さい子どものようだ。
対して雪ノ下は心なしか元気がないように見える。まぁ当然だろう。1番最初からジェットコースターならな。
俺は思わず雪ノ下から目を逸らす。
お、俺は一応由比ヶ浜に警告しようとしたんだぜ……(震え声)
し、知ーらね……
元気な由比ヶ浜に諦めたのか、雪ノ下は軽くため息をつき、少し微笑んだ。
雪ノ下「わたしは由比ヶ浜さんに合わせるわ。比企谷君は聞くまでもないわね?」
あの何でですかね?最初から俺の意見聞くつもりないなら聞かなければよくないですか?
そんな俺の抗議の視線を雪ノ下は一瞥し、由比ヶ浜のところへ向かう。
そして雪ノ下と由比ヶ浜は2人してジェットコースターがある場所へと歩いていった。
そんな2人の後ろ姿を見て思わず頬が緩む。まぁたまにはこんなのも良いかな。
先を歩いていた由比ヶ浜が俺がいないことに気づき、後ろを振り返り、俺を急かす。
由比ヶ浜「ヒッキー!置いてくよー!」
八幡「あぁ今行く」
俺はそう答えると雪ノ下と由比ヶ浜のところへ歩き出した。
まずはやはりジェットコースターのようだ。
休日と言うこともあり、並んでいる列も多少長かったが順調に進んでいき、ようやく俺たちの番になる。
このジェットコースターは普通のジェットコースターと違い、席が円盤の形をしており、最大4人座れるようになっている。
この円盤が回転しながらレールを進んでいくという少し変わった感じのジェットコースターだ。
俺たちの番になり、早速由比ヶ浜が席に向かう。それに続いて俺と雪ノ下が席に座る。
俺たちの次のグループが4人と言うこともあり、出入り口のドアが閉められ、俺たちも席のレバーを引く。
由比ヶ浜「楽しみだねージェットコースター!普通のより楽しそうだねー!」
そう無邪気にはしゃぐ由比ヶ浜の隣には蒼白の雪ノ下。どう見ても楽しそうじゃないんですけど……
だがさっきのこともあり、俺は安易に口を開くことが出来ない。おもわず雪ノ下から目を背けてしまう。すまん雪ノ下……!!
そう思っていると雪ノ下が口を開く。
雪ノ下「えぇ。全く怖いということはないのだけれど、スリルが体験できそうね。えぇ全く怖いということはないのだけれどね」
あの雪ノ下さん。マジで震え声出てますけど大丈夫ですか?
ついでに涙目になってますよ。
そんな風になってる人がいたらちょっと弄りたくなるのが人の性。俺も弄りたくなってしまう。
俺は動きだしたジェットコースターでこう言う。
八幡「それにしても結構高いよな。これから急降下するんだろ?割と楽しみだな……」
俺の言葉を聴いた雪ノ下と由比ヶ浜はジェットコースターの下を見て、互いに見つめあい、顔を蒼くする。
その顔を見て若干嗜虐心が芽生えたのは内緒だ。
それからしばらく会話してると、座席が1番上に到着し、途端落下する。
俺と雪ノ下、由比ヶ浜は悲鳴を出しながら落下していった。
ジェットコースターから降りると、ふらふらとした足つきで近くのベンチに座り込む。
俺と雪ノ下は疲れて座り込んでいる一方、由比ヶ浜は笑顔いっぱいで、むしろジェットコースターに乗る前より元気そうだ。
由比ヶ浜「楽しかったね!次何乗る?」
雪ノ下「ちょっと休憩させてもらえるかしら……少し疲れたわ……」
雪ノ下は本当に疲れたのか、由比ヶ浜の元気な声に対し、悲鳴な様な声で抗議する。
まぁそうでしょうねぇ……落ちる寸前半泣きだったからな。しょうがないね。うん。
八幡「由比ヶ浜。今のうちに次どこ行くか決めとけ」
由比ヶ浜「うん!ヒッキーも次どこ行くか一緒に見ようよ」
八幡「いや俺は特に行きたいところないんだけど……」
由比ヶ浜「いいからほらー」
そう言って由比ヶ浜が俺の服のすそを引っ張りマップを広げる。
何?何なの?今日のコイツ異様に積極的過ぎね?いや別にどうでもいいんだけどさ。
そんな俺の気持ちが由比ヶ浜に伝わるわけはなく、由比ヶ浜はひとり「どこに行こうかな」とかブツブツ呟いていた。
由比ヶ浜「よし!決めた!次はコーヒーカップ行こう!」
そう言って若干回復しかけた雪ノ下を由比ヶ浜が手を引き連れて行く。俺もその後ろから付いて行く。
今日はくたくたに疲れることになりそうだ。
俺は無気力ながら由比ヶ浜の後ろをひたすら付いて行く事になった。
それから一日、由比ヶ浜に連れ回されると、いつの間にか夕日がさしていた。
クタクタになった俺たちは、グッズが売っている店に向かいお土産を買う。
一通り回ると、園から出る。
八幡「さて、帰るか……」
由比ヶ浜「ゆきのーん!一緒にかーえろ!」
雪ノ下「そうね。帰りましょうか。……また明日。比企谷君」
由比ヶ浜「じゃあね!ヒッキー!」
そう言って、雪ノ下と由比ヶ浜は同じ方向に向かい歩き始める。
俺も帰ろうとしたが、一つ忘れていることに気づき、二人を呼び止める。
八幡「ちょっと待ってくれ。忘れもんだ」
そう言い、俺はバックから入れっぱなしだった、例のキーホルダーを見つけ、雪ノ下と由比ヶ浜に手渡す。
それを手にした雪ノ下は目を輝かせ、由比ヶ浜も雪ノ下同様喜びだす。
由比ヶ浜「これどうしたのヒッキー!」
八幡「ゲーセンで取っただけだ。ちなみに小町と戸塚にもやった。お前ら、パンさん好きだろ?」
雪ノ下「感謝するわ。ありがとう比企谷君。……私には取れないもの……」
「そっちかよ」と突っ込みたくなる気持ちを抑え黙っておく。
感謝されたからな。一応。
由比ヶ浜「でもでも、ありがとね!大事にする!ケータイにつけとこうかなー」
八幡「そこまで大切にしなくても良い。どうせ俺が使わないからお前らにやっただけだ。なんなら捨ててもいい」
由比ヶ浜「そんなことするわけないじゃん!捻くれ過ぎ!バカヒッキー」
八幡「お前に言われたくねぇよ……」
雪ノ下「私は大切に使わせてもらうわ」
八幡「そ、そうか」
まじまじとした目で見つめられ、若干たじろいてしまう。
だって目がマジでしたからね……
それから一言二言言葉を交わし、2人は雪ノ下の家へ帰る。
俺はそんな2人を見送ると、一人寒空の下、家への道を帰った。
遊園地に行った次の日、俺は平塚先生に呼ばれ早めに学校に来ていた。
当然教室は開いているはずもなく、一度職員室に向かい教室の鍵を開け、再度職員室へ向かう。
平塚先生からの呼び出しから解放され、教室に戻るとすると何やら教室がざわついていた。
教室に入ったとたん俺は周囲からの視線を感じる。
おい何だよ何だよ……何?俺有名人?
ともかく俺は自分の席に向かい、一人眠る体制を取る。
しかし、今日は何かがおかしい。俺への視線が多数感じられる。
気分を害した俺はクラスの多数の俺への視線とは別のもう一つの視線の先をみる。
その視線の先には葉山の席だ。そしてその席が何故かめちゃくちゃになっていた。
……は?何これ
机は横倒しになっていて、中に入っている教科書やノートがそこら中に散らばっていた。
いやちょっと待て。何で葉山の席がこんなになってんだ。意味がわからん。ホントに悪質な悪戯のようだ。
俺がそう一人で考えていると由比ヶ浜が俺の元に駆け寄ってくる。
由比ヶ浜「何これどうなってんの」
八幡「いや俺が知るか」
そう言っているうちに葉山が教室に入ってくる。
その顔はいろいろな感情が綯い交ぜになっている。まぁそうだろうな……
クラスの連中は口々に喋りだす
「うわ…ひど……」「誰がやったんだこれ」「分かんない。朝からこうだった」「最初に来たの誰?」「ヒキタニじゃね?朝からバックあったし…」「ヒキタニって誰」「ほらあいつだよあいつ。いつも一人でいるやつ」「あいつならしかねないなー」
由比ヶ浜「ヒッキーはそんなことしない!!」
突然俺の横にいた由比ヶ浜が大勢に向かい大声で叫ぶ。
由比ヶ浜「ヒッキーはそんなことしない!昨日だってゆきのんとヒッキーと遊園地行ったけど優しかったもん!キーホルダーだってくれたもん!ヒッキーがそんなことするはずない!」
一気に静かになる教室。しかし由比ヶ浜の鼻をすする音だけが教室に響く。
だが誰かが言った。
「こそこそ何かやってたんじゃないの?」「確かに」「今だって反論しないしなー」「もしかしてヒキタニ君、由比ヶ浜さんのこと好きなんじゃね?」「あぁ!だから由比ヶ浜さんにキーホルダーあげたとか?」「そして由比ヶ浜さんいつも葉山君の近くにいて邪魔だからこんなことしたとか!」「あーあるねー」「相模のこともあるしなぁ……ありえるなー」
何だこいつらうざいな……
俺は教室の時計を見る。そろそろ朝礼が始まる。この状態が続くのも迷惑だ。
そして俺もそろそろイライラしてきた。
俺は覚悟を決め茫然と立っている葉山の前に行き、こぶしを握る。
そして小声で葉山にこう言った。
八幡「葉山、ちょっと歯食いしばってくれ」
葉山「え?それってどういうーーー」
突然のことで困惑する葉山。
すまんな。こうするしかないんだ。我慢してくれ。
葉山の返事をよそに俺はおもいっきり葉山の左頬を全力で殴る。
葉山「ーーーグッ…」
盛大に倒れる葉山を見ながら俺は一番醜いと思う笑顔を浮かべる。
さぁ、ショーの始まりだ。
八幡「そうだ。俺がやった。俺はな、お前らみたいなギャーギャー騒いでるようなやつらが嫌いだからな。特に葉山、お前みたいなやつが1番嫌いだ。俺が由比ヶ浜のことが好きだからこんなことしただぁ?ハッ、なわけあるか。こいつもお前らと同じだから嫌いに決まってんだろ。ふざけるのもいい加減にしろ」
俺は一気に吐き捨てるようにして言い放つ。
ふと由比ヶ浜のほうを見ると、目に涙を溜め、無表情のまま突っ立っていた。
そしてしばらくすると、目を制服の袖で拭きながら教室から飛び出した。
由比ヶ浜を追うようにして戸塚と三浦も教室を飛び出した。
罪悪感が俺の胸を締め付けるあたり、俺にも多少の良心が残っているようだ。
葉山は口元を袖で拭いながら立ちあがりながら俺を睨む。
葉山「だからと言って、君はこんなことをする人間じゃないだろう!」
そう言いながら葉山は俺の右頬を殴る。
いってぇ……超痛い…普段から人に殴られたりしないようにしないとな………
倒れた俺は立ちあがりながら気持ち悪い笑みを浮かべる。
八幡「これだから頭がお花畑のやつらは……さっきも言っただろ。俺はお前が何よりも誰よりも嫌いなんだよ。だからやった。それだけのことだ」
葉山「ヒキタニ!」
葉山はそう叫ぶと俺の襟をつかむ。文化祭と同じ、あの光景と全く同じだ。何も変わっちゃいない。
俺が悪者に仕立て上がるのもあの時と一緒だ。学習しない、ホントに愚かしい。
それからも俺と葉山が揉めていると戸部や大岡、大和が止めに入る。
俺は取り押さえられ、教室に入ってきた平塚先生に職員室まで連行された。
事件は俺が犯人ということにされ、収束するだろう。誰も傷つくことはなく静かに終わる。そして俺は晴れて奉仕部に入る前の1人のぼっちに戻るだけだ。おそらくこれが最善の選択だったはずだ。
職員室に連行された俺は平塚先生に事件のことを説明した。
俺がわざと犯人役をやったことも全て包み隠さず全部話した。平塚先生は最後まで黙って話を聞いてくれた。
その優しさが、俺にはとても辛かった。
それからクラスメイトの視線に耐えながらも一日が終わる。
いつものように教室から出ようとすると自然にドアの周りにいた人間が自然に俺の進路から外れる。
視線を感じながらも教室を出る。後ろで小声の会話が繰り広げられ迷惑極まりない。だがこれも時間の問題だろう。じきに慣れるだろう。
奉仕部に着く。ドアを開けるといつものように雪ノ下が定位置に座って読書をしていた。
八幡「うっす」
雪ノ下「あなた……教室でまた何か問題を起こしたの?」
俺が挨拶をすると返ってきたのは挨拶ではなく質問だった。……挨拶しようぜ。
八幡「さぁな。俺はいつだって問題児ですよー」
俺はそうふざけて返答すると雪ノ下が俺を睨み、そして深く溜息をつく。
雪ノ下「私は真面目に聞いているのだけれど。……今日の由比ヶ浜さんの様子がいつもと違っておかしかったのよ」
八幡「さぁな。俺は知らない。つーか俺、あいつとほとんど接点ないし」
雪ノ下「そう……」
雪ノ下はそれだけ答えると読書に戻る。
二人だけの静かな空間に戻る。
すると、扉が静かに開けられ、小さな声と同時に由比ヶ浜が入ってくる。
由比ヶ浜「やっはろー……」
雪ノ下「こんにちは」
由比ヶ浜は雪ノ下の挨拶に返事をせず、まっすぐ俺の方に足を進める。
そして震え声で話し始める。
由比ヶ浜「ねぇヒッキー!何であんなことしたの?ヒッキーじゃないでしょ?あんなことやったの!」
突然の糾弾に少し怯みながらも俺は返答をする。
由比ヶ浜は目に涙を貯めながらも俺の顔をしっかりと覗き込む。
俺はその視線から逃げることしか出来なかった。
八幡「……俺がやった。それでいいだろ……」
ようやく開いた俺の口からはそんな言葉しか出なかった。
俺の返答に間髪いれずに由比ヶ浜が叫ぶ。
由比ヶ浜「いいわけないじゃん!何でヒッキーがそんな役しなきゃいけないの!?ダメだよ!何で自分からそんなことするのヒッキー!ねぇヒッキー!!」
俺は、俺の両肩を掴み涙声で叫ぶ、そんな由比ヶ浜の視線から逃げることしか出来ない。
俺の肩を掴み叫ぶ由比ヶ浜を見て茫然としていた雪ノ下がようやく止めに入る。
雪ノ下「落ち着いて由比ヶ浜さん!……比企谷君、しばらく出て行って貰えるかしら」
八幡「…………」
雪ノ下「早く出て行きなさい!」
俺が罪悪感で動けないでいると、雪ノ下が大声を上げる。
今まで見たことがなかった、大声を上げるそんな雪ノ下を見て俺は自分の足でドアに向かう。
俺はドアに手をかけ、教室を後にする。
部屋を出た俺は思わずドアにもたれ、その場に座り込む。
八幡「クソ……」
俺は小声でそう呟くと1人屋上に向かう。空は曇り、雪が降り始めていた。
行くあてもなくふらふらしていると自然と足が屋上に向かっていた。屋上へと続くドアを開くと一気に冷たい風が俺の体を襲う。
八幡「さむ……」
俺がそう小さく呟くと俺に影が被る。
上を見ると川北?川島?がいた。あ、思い出したわ、川崎だ。
川崎は俺を見ると、梯子を伝い俺の方に降りてきた。
川崎「あんた部活は」
八幡「休憩中だ」
川崎「……そ」
俺と川崎はそれだけ話すと無言を貫いた。
俺は壁にもたれかかるようにして地面に座ると、川崎も同じように座る。
すると川崎が首だけを俺に向け、話しかけてくる。
川崎「あんた、あれ絶対あんたの仕業じゃないだろ」
どうやら川崎も今朝のことを気にしているようで、そのことを俺に問いただす。
だが俺の答えは同じだ。川崎の問いに即答する。
八幡「いや。あれは俺がやった」
川崎「そんなはずない。あんたはそんなことしない。……また何か1人で抱え込んでる」
八幡「由比ヶ浜に何か言われたのか?」
川崎「あたしの勘。ーーーあたしとあんたは似てるから」
八幡「…………」
俺が無言を貫き、1人遠くの空を見つめる。
川崎の表情は窺い知れない。
しばらくの沈黙の後、川崎が口を開く。
川崎「由比ヶ浜があんたのこと心配してた」
八幡「そんなの、あいつなら誰にでも心配するだろ。仮に俺じゃなくても心配してる。それに……」
川崎「それに?」
ーーーそもそも住んでいる世界が違う。
そう言おうとした。だが声に出せなかった。
だから俺はとっさに別の言葉を探すが、出てこない。だから俺は逃げる。
八幡「何でもない」
川崎「そう……」
そう言い、川崎も遠くを見つめる。
八幡「仮に俺が犯人じゃなかったとして、俺がわざと犯人になることによって由比ヶ浜はクラストップカーストの一員、俺は1人のぼっちとして晴れて前の関係に戻れる。変な気を遣われることもなくなるってわけだ」
川崎「それが由比ヶ浜の望みじゃなかったとしても?」
八幡「人が望んでないものを押し付けるのはただの迷惑だ。そんなものはただの偽物。何も生みやしない。自己満足だ」
川崎「そうやって、自分から手放すつもり?」
八幡「違う。手放すんじゃない。元に戻すんだ。そもそも、俺が由比ヶ浜たちと関わったところから間違ってたんだ」
そう言って、俺は再び遠くを見つめる。
冷たい風が顔にあたって痛い。
不意に川崎がその場に立ち上がる。そして俺を見ると、さみしい笑みを浮かべる。
川崎「あたしにはあんたがどうしたいか分からない。でも……由比ヶ浜の気持ちも考えてやんなよ」
川崎のその言葉に俺は何も言えず、ただ、川崎の視線から逃げるようにして立ち上がる。
人の気持ちなんて分からない。だから肯定も否定も出来ない。ただ考えて考えてその先には失望するのだろう。
八幡「冷えてきたし、帰るか」
川崎「じゃあ、また」
そう言い、俺は部室へと戻る。
その足は重かった。
部室に戻ると、雪ノ下と由比ヶ浜の姿は見えなかった。
荷物は置きっぱなしのところをみると、学校のどこかにいるのだろう。
俺はこのまま部室で2人を待つか考えたが、雪ノ下に出ていくよう言われた手前、ここにいない方がいいだろう。
俺は自分のバックの中から一枚ルーズリーフを取り出し「先に帰る」とだけ書き残し、部室を出ていく。
1人帰る帰り道は、いつもより風が冷たい気がした。
小町「お兄ちゃん何かあった?」
1人帰った俺は小町と二人だけの夕食を取っていた。
突然の質問に若干驚きながらも、俺は口に入れていたものを飲み込み、返答する。
八幡「あると言えばあったが……どうかしたのか小町」
小町「やっぱり何かやらかしたんだお兄ちゃん……」
八幡「おい。何で俺が何かやらかしたことが前提なんだよ」
小町「だって何かやらかす時は大体お兄ちゃんが原因だし?」
ひでぇ。実の妹にもこの扱いとか……ある意味将来有望なのかもしれない(そんな訳がない)
八幡「で?何かあったのか?」
俺がそう答えると、小町は一瞬話すべきか思考した末に話し始める。
小町「うん……小町の考えすぎなのかもしれないんだけどね?さっき結衣さんから『今日ヒッキー何か言ってた?』ってメール来たんだけど、そのメールが顔文字とか絵文字がなくて結衣さんらしくないから学校で何かあったのかなーって思って」
八幡「そうか。でも大したことじゃないから気にすんな」
小町「そう?でも小町気になるなー……またお兄ちゃんが何かやらかしてないか」
八幡「まぁ大変なことになったら相談する」
そう言うと小町は一瞬驚き、満面の笑みを浮かべる。
そしてにへらにへらしながら話し始める。
小町「でもー相談するときはまず小町じゃなくて結衣さんと雪乃さんに相談してからするんだよー?それでもダメだったら相談乗ってあげたげる。あ!今の小町的にポイント高い!」
八幡「あーそうだなーポイント高いなー最後の一言がなければ」
俺が適当に返答すると小町はむすっとした顔になる。
小町「うわー。てっきとーだなーでもちゃんと相談するんだよー?」
八幡「はいはい」
そんな会話をしながら、その日の夕食は終わった。
明日からの奉仕部はどうなるのか、俺は怖かった。
次の日、朝から戸塚に話しかけられることもなく、誰とも話すことなく一日を過ごす。
俺が廊下を歩いていると自然と道を開けられるまでだ。
放課後になり、俺は今日も奉仕部へと向かう。奉仕部のドアを開けるといつものように雪ノ下が座っていた。
八幡「うす」
雪ノ下「こんにちは」
八幡「昨日……あれから由比ヶ浜から色々聞いたのか?」
雪ノ下「えぇ……」
八幡「そうか」
そして訪れる沈黙。いつもと全く同じだ。
雪ノ下「比企谷君。あなた、いい加減にーーー」
雪ノ下の声はドアが開かれる音によって遮られる。元気な声と同時に入ってくるのは由比ヶ浜だ。
由比ヶ浜「やっはろー!」
雪ノ下「こんにちは。由比ヶ浜さん」
由比ヶ浜「ねね、ゆきのん!今日さー……」
雪ノ下は由比ヶ浜によって遮られた言葉の続きを言うのを諦め、由比ヶ浜の会話に付き合う。しばらく話しこむと雪ノ下は読書、由比ヶ浜はケータイを弄りだす。
昨日の出来事は何もなかったような、そんな「いつも通り」が俺の目の前で繰り広げられていた。
気にしているのは俺だけだったのか、そんな気がしてきた。
だがそんな取り繕った「いつも通り」は安易に崩れ去る。
不意に、また誰かが突然ドアを叩く。
雪ノ下が返事をして、扉をあける音と同時に誰かが部室に入ってくる。葉山だ。
何をしに来たのだろう。葉山はいつもの笑顔を浮かべ、俺たち三人の前に立つ。
そしてついにその口を開く。
葉山「依頼がしたいんだけど……頼めるかな」
雪ノ下「……座ってもらえるかしら」
葉山「ありがとう…………昨日の事件の真相が知りたい……そう言えば分かるかな?」
その言葉を言う葉山には先ほどまでの笑顔は消えていた。今は真剣そのものの顔だ。
その葉山の依頼内容に雪ノ下は無表情、由比ヶ浜は視線を泳がせる。
八幡「おい葉山。それは終わった話だ。掘り返す理由はないし、俺はそんなことは望んでない。帰れ」
俺はそう葉山に言い放ち睨む。が、葉山はその真剣な眼差しで俺を睨み返し反論する。
葉山「君のためじゃない。俺の望みで俺のためだ」
その言葉に由比ヶ浜も賛成なのか顔を上げる。
由比ヶ浜「あたしも知りたい。ヒッキーが犯人なんてそんなのおかしいもん」
八幡「おい由比ヶ浜」
由比ヶ浜「だって間違ってるもん!おかしいよ!それにあたしも知りたい!ホントのこと!」
雪ノ下「そうね……部員が濡れ衣を自ら被るなんて、そんなこと許せないもの……この依頼、受けましょう」
八幡「俺は反対だ。めんどくさいし、何より仕事が増える。ただでさえ一色の依頼もあるんだぞ」
俺の声に部屋が静まる。すると突然、由比ヶ浜が立ち上がり俺の前に立ちはだかる。
由比ヶ浜「じゃあ3人でやる!3人で何があったか突き止める!それでいいでしょヒッキー!」
八幡「勝手にしろ……」
由比ヶ浜のその覚悟を決めたような表情に、俺はそう答えることしか出来なかった。
雪ノ下「葉山君。あなたの依頼、受けるわ」
次の日、俺はベストプレイスにて1人昼食と摂っていた。
校庭ではテニス部が自主連をしている。ラケットがボールを打つ軽快な音を聞きながらぼーっとしていると、自主連をしているテニス部の集団の中から戸塚が俺のところへ駆け寄ってくる。
戸塚「八幡!今日もここで食べてるの?」
八幡「おう。戸塚は今日も自主連か?」
戸塚「うん!あのね八幡……こないだのこと……あれ八幡じゃないよね?」
そう戸塚は控え気味に訪ねてくる。俺は肯定も否定もせずに戸塚に訪ねる。
八幡「その事なんだが、日曜部活ってあったか?」
突然の俺の質問に戸塚は一瞬驚き、思考する。そしてその思考の末、何か思い出したかのように手をポンと叩く。
戸塚「そう言えば日曜日はサッカー部も練習してたよ!でね?サッカー部の練習が終わったあと、マネージャーの子が泣きながら走って帰ってたのを見たんだー何があったんだろ……」
八幡「何で泣いてたか分かるか?」
戸塚「んー……さすがにそこまでは分かんないなー……力になれなくてごめんね?」
八幡「いや、十分だ。サンキュー」
その後もとりとめのない話をしていると、昼休み終了のチャイムが学校中に響き渡る。
しばらくして俺と戸塚は教室に戻った。
今日も奉仕部に向かう。
ドアに手をかけると珍しく鍵がかかっている。ここでずっと待っているのも寒いため、大人しく荷物をドアの前に置くと職員室に鍵を取りに行く。鍵を取り部室の扉を開けると、ひんやりとした空気が俺を飲み込む。2人がいないせいなのか、または心なしかいつもより寒く感じる。それが冬の寒さと頭では理解しているが、やはりいつもより寒く感じる。2人がいない部室は広く感じ、音もない。耳鳴りが耳障りだ。
俺は1人、本を読んでいると、部室の扉が開かれる。
扉を開け、部室に入ってきたのは、生徒会長一色いろはだ。俺は一色を一瞥すると再び本に向き合う。
すると一色は俺の態度が不満だったのか俺に駆け寄り、俺の手から本を取り上げる。
一色「いやいや先輩その反応はないでしょ!?その反応は酷くないですか!?」
八幡「じゃあどう反応しろってんだ……で、何しに来た。あいつらは今日は来てないぞ。何でいないのかは知らんが」
そう俺が反応してやると、一色は驚く。
一色「いやいや先輩こそ何でここにいるんですか!今日はマラソン大会の会議の日じゃないですか!」
初耳だ。俺は何も聞いていない。いじめられてんのかな俺……
八幡「いや聞いてないんだが……」
一色「いいから早く来て下さい!2人とももう来てます!」
一色はそう言うと俺の腕を掴むと力一杯に引いた。
俺はおもわずよろけるが、しっかりと足を踏み込み、一色の俺を引っ張る手を振り払う。
八幡「先に行ってろ。俺はここの部室の鍵を返しに行ってくる。で、何処で会議してんだ?前回と同じで大会議室?」
一色「あ、はい、そうです。……私も先輩がサボらないように一緒に職員室に行きますよ。先輩信用できませんし……」
八幡「いやサボんねぇし……最後の一言聞こえてんだよ。……ほら部室から出ろ。鍵閉めんぞ」
一色「はーい」
一色のその気の抜けた返事を聞くと俺は部室の扉を閉め、鍵をかける。
そして職員室へと歩き出した。
職員室へ鍵を返すとそのまま大会議室へ向かう。大会議室の扉を開けると、本当に俺以外のメンバーは揃っているらしく、扉を開けると同時に大勢の人間が俺の方を見る。
一色「適当に座ってて下さい」
一色はそう言うと生徒会の集まりの方に向かう。
俺はコの字型に並んでいる机の一番端っこに座る。特にプリントがあるわけでもなく、いわゆる手持無沙汰な俺は机に突っ伏す。
しばらくすると生徒会メンバーでの打ち合わせが終わったらしく、一色が立ち上がり会議の始まりの挨拶を始める。
一色「では、会議を始めます。今回決めることは、どのようにしてマラソン大会を楽しくするか、です。いま決まってることは日にち、距離、コース、時間です。これ以外に意見がある人は挙手をお願いします」
その一色の声にその場にいる生徒たちが口々に話し始める。俺は「一色成長したなー」とか「早く終わんねーかなー」とかそんなことを考えながら時間を潰していた。
そんなことを考えていると、誰かが挙手をし、意見を発表する。その発表につられるようにして、他の生徒も発表していく。
その意見を次々にホワイトボードに書いていき、しばらくすると意見も出尽くしたのか、部屋全体が静まりかえる。
それを見た一色は副会長と2、3会話すると、会議を終了させる。
一色「では意見も出尽くしたようなので、会議を終了します。お疲れ様でした」
一色のその声に生徒たちは次々に大会議室を退室していく。俺は一色たちに見つからないよう、次々と退室していく生徒たちの中心に紛れ込んで出て行こうとすると、誰かに腕を掴まれる。
そして、そのまま、ぐっと引っ張られ集団から外される。
その腕を引っ張った人物は誰かと顔を上げると、そこには悪戯っぽい笑顔があった。一色だ。
腕を引っ張られ強制的に大会議室に引きずり込まれる俺とその他数名は近くに集まり再び席に座る。
俺もその姿を見て俺も近くの席に座る。
みんなが座り終わった姿を見て一色が話をし始まる。
一色「さて、今日出た案でこれがしたいってやつがあったら挙手してもらっていいですかー?」
一色はやる気のない声でそう言った。一応これも会議だと思うんだけどなぁ……(小並感)
するとその声に反し、凛とした声で雪ノ下が発言する。
雪ノ下「この優勝商品なのだけど、生徒会の予算は余裕はあるのかしら」
一色「あー……一応ありますよー」
由比ヶ浜「じゃあじゃあ!優勝商品準備しようよ!あと、学年クラス関係なく皆で走ったりしたいなー」
雪ノ下と由比ヶ浜のその案に一色はメモをとる。それお前の仕事じゃないけどな。書記の仕事だけどな。まぁどうでもいいけど。
まぁ仕事することはいいことだ。まぁ俺は働かないけどな。絶対働かない。働いたら負けだ。
そんなこんなでボーっとしていると時間は過ぎるもので、気付けば下校時間にまで迫っていた。
一色の会議終了の声に俺は誰よりも早く反応し、誰よりも早く部屋を出る。
昇降口まで行くと後ろから走ってくる足音が聞こえる。その足音を背に、俺は自転車置き場へ歩き出す。
すると後ろから肩を叩かれる。振り返れば由比ヶ浜がいた。
由比ヶ浜「ヒッキー一緒にかーえろ」
八幡「嫌だ。じゃあな」
由比ヶ浜「即答!?一緒に帰ろうよー!」
八幡「だってお前バスじゃん。俺チャリ。お分かり?」
由比ヶ浜「そうだけどーちょっとだけ!ね?」
そこまで言われると俺も反論はできない。黙って自転車を押しながら校門に向かい始めると、後ろから由比ヶ浜が満足そうな顔をしながら付いてきた。
なんの用があって一緒に帰る必要があるのか、俺には分からないが、由比ヶ浜も由比ヶ浜なりの考えがあるのだろう。
俺はそんなことを考えながら黙って自転車を押す。
由比ヶ浜「そういえば、キーホルダー、ありがとうね」
八幡「……おう」
由比ヶ浜「また今度何か埋め合わせするね!」
八幡「……おう」
由比ヶ浜「……ヒッキー何か怒ってる?」
八幡「いや。別に」
俺の口数が少ないことに由比ヶ浜が声をかけてくる。だが別に怒ってるわけではない。むしろいつも通りだ。
そしていつも通り過ぎて怖いまである。
そしてこのやりとりもいつかは終わりが来ることを感じていた。
最初から間違えていた比企谷八幡と由比ヶ浜結衣、そして雪ノ下雪乃の関係はいつまで続くのか、そんな終わりのないことを考えていると自然と口数が減っていた。
由比ヶ浜「ヒッキー」
八幡「ん?」
由比ヶ浜「マラソン大会、一緒に走ろうね」
八幡「……約束はできん」
由比ヶ浜「……絶対ヒッキーは一緒に走ってくれるよ。ヒッキーは優しいから」
八幡「は?いきなり何言ってんのお前。俺が優しいわけ無いだろ……」
由比ヶ浜「優しいよ、ヒッキーは。周りがヒッキーのこと、どう思っててもあたしはヒッキーのこと、ちゃんと見てるんだからね!」
八幡「何それ怖い……」
由比ヶ浜「いいから!……マラソン大会!一緒に走るんだからね!ゆきのんも一緒に3人で」
由比ヶ浜のその真剣な眼差しに思わず目を逸らしてしまう。直視ができない。そんな目だ。
由比ヶ浜「マラソン大会、終わったら……」
八幡「ん?」
とっさのことで聞いてなかったため、由比ヶ浜に聞き返す。
すると由比ヶ浜は顔を真っ赤に染めるとそっぽを向く。
由比ヶ浜「なんでもない!」
俺はあえて問いただすことはせず、まっすぐ前を向き直し、再び自転車を押し始める。
いつの間にか風は止んでいた。
今日も今日とて教室に入ると、周囲の視線を感じる。まぁそれもそうだろう。
先日の事件の犯人は未だ見つかっておらず、今はまだ犯人は俺ということになっているのだから。
それにしても、犯人が目の前にいるのに報復しないのは珍しいな……これも普段からぼっちを貫き通している賜物なのか。
そんなことを考えながら自分の席に向かう。
席についても別にすることがあるわけでもないので、事件について考えなおす。
戸塚が言うには、泣きながら走る女の子を見たらしい。しかもサッカー部のマネージャーか……
これに関係あるのかは分からないが、一応聞く必要があるな。
だが、相手はサッカー部の連中だ。うちのクラスなら葉山か戸部だが、俺はあいつらが苦手だから正直話したくはない。
そう結論付けた俺はこの件を先送りした。
だが、他に何か手がかりがあるかと聞かれれば答えは否だ。
やはり他の手がかりを探すのが先か……
しかし今は別に気になることはない。万策尽きた。
俺は諦めて机に突っ伏し、眠りにつくことにした。
放課後になり、特別することもない俺はいつも通り奉仕部に行くことにする。
扉の鍵はすでに開かれており、開けるとすでに雪ノ下は中で座って読書をしていた。
八幡「うっす」
雪ノ下「あら、ゴミ企谷くん。こんにちは」
八幡「おう、別にゴミじゃないけどな」
雪ノ下「あなたのその目は誰が見ても腐っているのだけれど」
八幡「ほっとけ」
そう悪態をつきながら俺はいつもの席に座り、バックから単行本を取り出し読書を始める。
外を見ると雪が降り始めていた。そのため、心なしか室内が寒く感じる。
寒い。とにかく寒い。気を紛らわせるため読書に熱中していると、いつの間にか時間は結構過ぎていた。
だが一向に由比ヶ浜が来ない。今日は部活休むのだろうか。
八幡「雪ノ下、今日由比ヶ浜は来ねぇの?」
雪ノ下「私は特に聞いてないけれど……比企谷くんこそ何か聞いてないの?」
八幡「聞いてねーな……まず俺とあいつ、あんまり接点ないしな」
雪ノ下「使えない人ね……」
八幡「うっせ。……じゃあ俺、探しに行ってくるわ」
雪ノ下「えぇお願い」
そう言われた俺は席を立ち、由比ヶ浜を探すために部室を出る。
と言ったものの、俺は放課後の由比ヶ浜の行動はよく知らない。それどころか由比ヶ浜本人についてもよく知らないので、なおさら行き先なんて分かるはずもない。
とりあえず居そうなところを一つ一つ巡るしかないか……
そう思い、まず教室に向かうことにした。
教室に着く。
扉を開け中を見ると、三浦たちが教室の隅っこで談笑していた。その中に由比ヶ浜の姿は見えない。すれ違ったか?
そう思いながらキョロキョロしていると、俺に気付いた三浦が俺の方に歩いてくる。
三浦「ヒキオ、あんた何やってんの」
八幡「由比ヶ浜探してんだよ。……てかヒキオじゃねーし」
三浦「結衣ならさっき教室出て行ったし。あんたすれ違わなかったん?」
八幡「会ってねーな。んなら探してくるわ。んじゃ」
そう言い俺は教室を出て行く。教室にいないとしたらどこにいるんだ……
教室を出た後、特に行く場所が浮かばなかった俺は、教室棟から連絡棟に渡るため屋上の渡り廊下に向かう。
渡り廊下に向かうための階段を登っていると、誰かが話す声が聞こえた。耳を澄ませば、由比ヶ浜と誰か男子生徒の声だ。
ドアの隙間から覗くと確かに由比ヶ浜と男子生徒がいた。しばらくすると話が終わったのか男子生徒が連絡棟の方に歩いて行く姿が見えた。
俺はその姿が見えなくなったことを確認して、ドアを開ける。
八幡「話、終わったか」
由比ヶ浜「え?何でヒッキーいるの!?え!?信じらんない!」
その由比ヶ浜の慌てっぷりに流石の俺も勘付いた。
八幡「告白されてたのか」
俺の返事が正しかったのか、由比ヶ浜は静かに首を縦に動かす。
八幡「……付き合うのか?」
由比ヶ浜「ううん。振っちゃった」
八幡「……そうか」
由比ヶ浜「ヒッキーさ、もしあたしがヒッキーに付き合ってって言ったら……付き合ってくれる?」
八幡「さぁな……部室、行こうぜ」
俺はそう声かけると連絡棟へ歩き出す。
海岸から吹き付ける風が頬に当たり、寒さで痛い。俺は思わず足早になるも、由比ヶ浜はそこから動かない。
由比ヶ浜「ヒッキー」
由比ヶ浜は俺を呼ぶ。
振り向くと由比ヶ浜が俺を見つめる。
由比ヶ浜「あたしと付き合ってください」
突然の由比ヶ浜の告白に俺は驚愕し、その場に立ち尽くした。
次の日昼休み、俺は1人いつもの場所で昼食を食べていた。テニスコートで自主練をしていた戸塚は俺に気付き、走って駆け寄ってくる。
戸塚「そういえば、こないだ言ってたサッカー部の部活の日、友達がマネージャーさんが泣いてるところ見たんだって。話聞いてみれば?」
その言葉に甘え話を聞かせてもらうことにした俺は放課後、奉仕部に行く前にいつもの場所に行くことにした。
待ち合わせ場所がいつもの場所だからだ。
戸塚「八幡おまたせ」
そう言いこちらへ歩いてくる戸塚の横には俺の知らない男子生徒が付いてきている。
戸塚「僕の友達の橋本大樹くんだよ。こっちは比企谷八幡くんだよ」
そう戸塚に紹介され、橋本は軽く会釈をする。
そしてしばらくして戸塚がこの場を離れる。
戸塚がいなくなったところで本題に入る。
八幡「話は戸塚に聞いただろうし、単刀直入に聞く。何があったんだ?」
橋本「薫とは仲いいんだ。あ、大津薫ね。サッカー部のマネージャーの。サッカー部の葉山に告白して振られたらしい」
八幡「そうか。時間取らせて悪かったな……」
それから一言二言話し橋本を帰す。
橋本が帰る姿を見送り、戸塚が戻ってくる。
戸塚「何か分かった?」
八幡「いや、何にも……」
戸塚「まぁしょうがないよね……あ、さっき友達に聞いたんだけど、部活の日、誰か教室に入るところを見たんだって。暗かったから誰かは分からなかったみたいだけど」
八幡「そうか。サンキューな」
八幡「ーーー手詰まった」
俺は1人いつもの場所で昼食を摂っていた。
1人の方が頭は働くはずだが、それでも今回のことに関しては何も思い浮かばない。
八幡「あの葉山が人に恨まれるようなことするはずねーしな……」
そう思いながら床に寝そべろうとした時だった。誰かがこっちに来る足音が聞こえた。
そして最後の角を曲がり、現れたのは一色だった。
一色「あ、いたいた。せんぱーい」
そう言いながら走ってくる一色。流石あざとい。走り方からしてあざとい。
こちらに向かってきた一色は躊躇いもなく俺の横に腰を下ろす。
座ると同時に甘ったるい匂いが鼻腔をくすぐる。
八幡「やっぱりあざとい……」
一色「なにか言いました?」
そう問うてくる一色は上目遣いでとても可愛らしく、そこらの男子ならイチコロだろう……
やっべー俺並の男子だったらもう一瞬で告って一瞬で振られてたわ……いや振られんのかよ……
っべー並の男子じゃなくてよかったわーっべー
ただ胸がドキドキしてちょっとソワソワしてるだけだわー
もしかして……病気?
んで、一色は何を思っているのか隣りに座ってから一切話していない。
これ……俺から声かけろってことなのかしらん?
八幡「なぁ一色」
一色「なんですかー?」
八幡「お前何しに来たんだよ……」
言うと一色はわざとらしく唇を尖らせ顔を背ける。
……え?何、ハズレ……?
一色「……はぁ……先輩……」
八幡「んだよ……」
一色「可愛い後輩が来たんですよ?喜んでいいじゃないですか……もっとこう……ね?」
八幡「昼休みは1人で過ごすのが俺の日常なの。むしろ昼休みだけじゃなくいつも1人でいるまである」
一色「うわー……かわいそうな先輩だなー……」
八幡「うっせ……んで、ホントに何しに来たんだよ……」
一色「特に何も~先輩今日も1人だろうなーと思って可愛い後輩がわざわざ会いに来たんですよ~」
そういう一色は再び上目遣いで見上げてくる。
やっぱりあざといな……だから俺は適当に返す。
八幡「あ、そ」
一色「なんですかそれ……しょうがないからホントのこと話しますよ……」
八幡「最初からそれ言えよ……」
俺がそう言うと、先程まで笑っていた一色はふと真面目な顔つきになり俺を真正面から見つめる。
その瞳に映るのは自分の顔。きっといつも通り目が死んでいるのだろう。俺は一色の目を見ることが出来ない。
一色「先輩。由比ヶ浜先輩に告白されたらしいですね」
八幡「誰からそれ聞いたんだ」
一色「噂です噂。由比ヶ浜、割と下級生にも人気なんですよ。あと……先輩も」
八幡「そうか……いや最後のはおかしいけどな」
一色「で、どうなんですか」
八幡「さぁな。……俺もいろいろあるんだよ」
一色「そうですか……まぁ先輩の過去に何があったか知らないですけど、早めに答えたほうがいいと思いますよ!」
そう言い立ち上がる一色。見上げるとちょうど一色の後ろに太陽が後ろに現れ眩しい。皮肉にも太陽の様に眩しい一色、影の様な俺を揶揄しているようだった。
眩しい。思わず手で顔を覆う。
一色「あと、先輩のこと好きな人は由比ヶ浜先輩だけじゃないですよ!……その内告白されるんじゃないですか~」
そう言う一色の表情は知れない。眩しくて……見えない。
八幡「おい、それってどういう……」
一色「んじゃ、可愛い後輩は帰りますよ~」
そう言いながら一色は去る。一色によって作られた影はなくなり、日差しが降り注ぐ。
八幡「どういうことだよ……」
1人呟いた声は空に消える。
一人、奉仕部の部室に向かう放課後。途中自販機でMAXコーヒーを購入。そして一気に飲み干す。胃の中に温かいコーヒーが流れていくのを感じる。
グラウンドでは生徒たちの部活に勤しむ声が響く。
八幡「エネルギー効率の大きい生き方に敬礼」
一人誰かのセリフを呟きながら、部室に歩を進める。
部室の扉の奥からは、由比ヶ浜と雪ノ下の会話が聞こえる。
俺は扉に手をかけ、引く。
八幡「うす」
由比ヶ浜「あ、ヒッキー!やっはろー」
雪ノ下「こんにちは」
その声を聞いた俺はいつもの席に腰を下ろす。
しばらくすると雪ノ下が紅茶を入れる。俺の目の前にも雪ノ下が淹れた紅茶が置かれる。
由比ヶ浜「ありがとうゆきのん」
雪ノ下「ええ。比企谷君も。冷めるわよ」
八幡「おう。悪いな」
だが紅茶を飲もうにも先ほどMAXコーヒーを飲んできたため、そこまでのどが渇いているわけでもなく、紅茶を飲み干すと、トイレに行きたくなる。
立ち上がり部室のドアに手をかける。
由比ヶ浜「ん?ヒッキーどこ行くの?」
八幡「あー…トイレだトイレ」
そして俺はドアを引き、部室を出てトイレへ足を運ぶ。
トイレを済ませ、部室へ戻ろうとすると、図書室から通学バッグを持って橋本が歩いてきているのが見えた。向こうも俺に気づいたらしく俺に向かって歩いてくる。
橋本「やぁ。比企谷くん……だったかな?」
八幡「橋本か。何してんだこんな時間に」
俺がそう答えると橋本はバッグを下に置く。しばらく話すつもりなのだろうか。別に暇だからいいんだけどさ。
橋本「図書室で本を読んでいてね」
八幡「読書が趣味だったりするのか?」
橋本「まぁね」
読書が趣味か。最近は減ってきてる気がする。俺としては同じ読書が趣味な人を見つけられて嬉しいばかりだ。おそらく橋本は、葉山や戸部のようなリア充(笑)グループの人間ではなさそうだ。リア充(笑)は本読まないからな(偏見)
ちなみに今の就職面接で「読書が趣味」と言った途端落とすところもあるらしい。やっぱり働いたら負けだな。
橋本「比企谷くんはどんな本読むんだ?」
八幡「俺か?色々読むぞ。純文学も読むし、ラノベも読む。外国の本はあまり読まないが……お前は」
橋本「俺は恋愛小説とかミステリーとか好きだな。謎解きが好きなんだ。”ウミガメのスープ”って知ってるかい?」
八幡「あぁ知ってる。割と楽しいよな」
一人でもできるし、相手の屈辱的な顔を見ることもできる。俺も小さいころ小町にえげつない問題出して嫌われたものである。つくづく俺って最低だな……
橋本「”ウミガメのスープ”知ってる人少なくてね……今度一緒にやらないか?」
八幡「おう。そのうち適当にな」
そう答えると、不意に冷たい風が俺を襲う。まぁ室内でも暖房あるわけでもないしな。寒いもんは寒い。
八幡「じゃ、俺は部室戻るから」
橋本「部室?部活やってるのか?」
八幡「奉仕部ってとこだ。簡単に言うと、生徒の悩みの解決を促す部活だ」
そう俺が答えると、橋本は少し笑う。
橋本「変わってるな」
八幡「ホントにな。……じゃあな」
そう言うと俺は部室へ戻った。
雪ノ下「あら。遅かったじゃない。サボり谷君」
八幡「いや。サボってたワケじゃねぇよ。いや否定も出来ないけどよ……」
由比ヶ浜「何やってたの?」
八幡「人と話してたんだよ。立ち話」
雪ノ下「人と?脳内友達とでも話してたのかしら」
八幡「人を頭のおかしい人扱いするのやめてくれない?俺は至って正常だっつーの」
脳内友達作るぼっちってどこの三日◯◯空さんですかねぇ……そう言えば三浦に声が似てるな…怖いところも似てる……
雪ノ下「そう。……かわいそうな人ね……」
そう言って雪ノ下は哀れみの目をし、俺から視線を逸らす。
八幡「やめろ。憐れむな目を背けるな。自覚しちゃうだろうが」
由比ヶ浜「そうだよゆきのん!ヒッキーにもいいところあるよ!……多分」
八幡「由比ヶ浜にもこの扱いか……どうしようもないな」
由比ヶ浜「ヒッキーがイジワルだ!!」
いつも通りの会話についつい頬が緩んでしまう。寒々しい外と比べ、奉仕部の部室の中はとても暖かかった。
嘘。めっちゃ寒い。1月の寒さは伊達じゃないな……
由比ヶ浜「じゃあねヒッキー」
雪ノ下「また明日」
八幡「あぁ。じゃあな」
部活終了のチャイムが鳴り、俺は由比ヶ浜、雪ノ下と別れる。
俺は真っ直ぐ自転車小屋へ向かう。
すると小屋の奥に一人、誰か佇んでいるのが見える。近くへ行って見ると、女子生徒と葉山が立っているのが見えた。
俺は察し、隠れる。
しばらくすると女子生徒が走り去り、葉山が残る。葉山は大きなため息を付き、空を見上げる。
八幡「罪悪感感じるくらいなら付き合えばいいじゃねぇか」
俺の声に葉山は振り返ることなく答える。
葉山「俺には無理だよ。好きでもないこと付き合うなんて。それに彼女は俺のことを何も知らない。きっと理解されない」
葉山の声はいつもの暖かい声ではなく別人のようだ。
八幡「お前のこと好いてくれてんだ。お前が理解されようとさえすればきっと分かってくれるんじゃねぇの」
葉山「無理だよ。まぁもっともーーー」
「理解されたいとも思わないけどね」
そういう葉山はとても冷たい目をしていた。
葉山「君もそうだろう」
「きっと、誰も本当のところは人を、相手を知ることは無理なんだよ」
きっと葉山の言うことは本当なんだろう。
俺が今まで遭ってきた出来事と同じくらい辛い思いをしてきたのだろう。あるいはそれ以上かもしれない。
どれだけ人を想ってても理解されることとは別だ。本当のところは自分の自己満足で成り立ってて、勘違いで理解されたと、分かってくれたと錯覚するのだろう。
おそらく葉山は俺にとって一番近くて遠い存在なのだろう。
八幡「そうだな」
俺はそう返事すると歩き出す。
八幡「ま、俺とは違って好いてくれる人間、いるんだし無下にはすんなよ」
葉山「えらく優しいな」
八幡「優しいんじゃねぇよ。俺からしたら皆他人だから、どうなろうと知ったことじゃないからな。適当なだけだ」
そう俺が皮肉交じりに言うと、葉山が苦笑する。
葉山「やっぱり君とは友達になれそうにない」
八幡「奇遇だな。俺も同じこと考えてた」
俺は再び、歩く足を動かした。
寒空の下、俺は一人帰る。
理解すること、理解されること、それを知る人の想い。俺はその真理を知ることが出来ずにいた。
一体、本物などあるのだろうか。
何かアドバイスやらなんやらドシドシください!!
ふぅ……めっちゃ書いたよ……
そしてヤバイ……「はや×はち」が好きになってきた……ッ!!(作者は男です)
いや好きって言っても生き方?性格?相対している構図?的な感じが好きなだけだから決して腐的な意味じゃないよ!?
Twitterとかでも感想待ってます!
https://twitter.com/dancer_06 ←フォローしてね!
是非コメントをよろしくお願いします!
続きが気になる!期待!
期待
期待!
KKE!
期待してます!
とても良い作品となっています。
続きが楽しみです。
期待してます
キーホルダーはいつ渡すんだー?
30kmって俺の高校の6倍なんだが...
...というツッコミ以外完璧なss。
続きが楽しみですっ!
期待してます
楽しみにしてます。頑張ってください!!
頑張ってネタ絞りだせー
「いつの間にか風は止んでいた」の文でドキッとした。
まさか...恋?
三学期ならヒキガヤはこういうことしないと思うんだけどなー
こういうss個人的に好き
はよ
このヒッキーさすがにきもすぎないか
由比ヶ浜うざ
↑これはない
期待
一色に幸せあれ
シアワセアレって変じゃね?
一般的に考えるとそこには幸あれか幸せが訪れることを云々って続くと思うんだが、あれかな?厨二っぽい言葉をドヤ顔で打ち込んだつもりが元の読み方が違ってたっていうあれかな?
なんか本物っぽいぞ笑
素晴らしい!!
8 競歩大会なんて高校でそれぞれだろ
俺のとこは中学でフルマラソンだし
高校で32kmだから 別におかしくない
何か無理矢理八幡ぽい行動させようとして失敗してるような気持ち悪さがある。
比企谷の言動が意味不明なんだが・・・
頼まれでもしない限り自分から敵を作るなんてことしない
期待支援!
ストーリー良すぎだし八幡かんでてるけど〜まである多すぎないですか?w
すいません生意気なこと言って
由比ヶ浜が(゚Д゚)ウゼェェェ
おもしろい
その人らしさを感じるけど
俺ガイルらしさを感じない
なぜ葉山は友達になれないと思ったの?
その人=ss投稿主
ていうか星5とか絶対投稿主だろ
あと奉仕部崩壊するとこまで書いとけばまだましだった。