変わり者提督の鎮守府にて
安っぽい駄作。ハードル下げて読んでね。
「では本日はよろしくお願いします!」
「へーへー分かりましたよー」
―――まるでやる気が感じられない。いやまあこの司令官はこういう人なのだ。やる気も見えないし実際努力もせず大した結果も出さない。だが人が文句をつけられないそこそこの結果を出して今の中将という地位まで登りつめてきたのだ。
「今回は『司令官に突撃インタビュー!全てを丸裸(物理)にしちゃうよ♪』という記事の取材を行わせて頂きます!」
「毎日天井裏やらから見張られてプライバシーもくそもないのに今さら丸裸にするもんあるか?」
「ですから(物理)ということでして・・・」
「ほなどうぞ」
両手を気だるそうに開き仁王立ちになる司令官。弁慶にはほど遠い腑抜けた仁王立ちである。
「ホントに脱がすわけないじゃないですか~(笑)それとも脱がしてほしいんですか~?」
「いや遠慮しておこう」
あっさりと引き下がり椅子に座り直す。相変わらず適当な人である。
「では本日はお仕事の中では見ることのない司令官の日常を聞かせて頂きま~す」
「ちょっとええか?」
「なんでしょう?」
「青葉が出しとる『週刊青葉』って購読者はここの鎮守府の艦娘と妖精さんと俺だよな?」
「あと鎮守府の横に駐在している憲兵さんもです!」
「あのおっさんも読んどるんか・・・ってそこはどーでもええねん。」
「なんでしょう?」
「この中に俺の日常を知りたい物好きがおるんか?」
―――出た。
この人は鈍感である。なんかよくある鈍感主人公的なハーレム的なアレである。この人がもう少し私たちに興味を持ってくれれば私だって今頃司令官と―――ゲフンゲフンこんなことを考えている暇はありません。とっとと取材を始めないと。
「読書から匿名で希望があったので今回記事にさせて頂くことになりました!」
「ん。分かった。」
―――あっさりと納得してくれた。
「では改めて本日の取材、よろしくお願いします。本日の取材の質問は読者からの質問を私が代わりに司令官に質問していきます!」
「『普段休日は何をしておられますか?』」
「料理、読書、野球のトレーニング。」
「読書ですか?意外ですね~何の本をよく読むんですか?」
「主に推理ものかな?アガサ・クリスティーとか古いけど好きだなあ。」
「この前はセイバーメトリクスの本を読んでましたね。」
「まあ野球好きだからな。野球の本もよく読んでるな。」
「料理は普段から私たちにふるまってくれてますもんね~」
「間宮さんや鳳翔さんには負けるがな。自信はある。」
―――謙遜気味ではあるが、事実この人の料理は旨い。
週刊青葉の企画でメシウマ選挙を行ったところ、空母勢と酒が飲める子たちは鳳翔さん、駆逐艦たちと長門さんは間宮さんに投票していたが、その二人の次に名が上がったのはこの男である。因みに青葉は司令官に投票しました!もう胃袋を掴まれちゃってます!胃袋だけじゃなくてはーt…どうにも脱線が多いですね。心の中なんで関係ないですけど。
「因みに得意料理はなんですか?」
「基本なんでも作るけど・・・洋風の料理かな?そこならあの二人にも負けんと思っとる。それぞれ担当が違うと言ったらそれまでやけど。」
「個人的には鯵のアクアパッツァが好きです!」
「ほーか。ほんだら今日の晩飯はそれにすっか。長門が駆逐艦連れて釣りに行っとったからよーけ魚はあるやろ。」
―――うちの長門さんは錬度が30まで上がって改になったあと演習にすら出番がなく、駆逐艦の面倒を見ている。本人がやたらイキイキとしているがあえて触れないでおこう。
「ヤッターーー!司令官大好き!」
「はいはい俺も大好き。んで、他の質問は?」
「はい!次の質問は―――『うちはカープファンじゃけど司令官はどこ応援しちょるんや?』」
「なんか本人特定できそうな・・・まあええか。今シーズンはヤクルトやな。俺の好きな館山が復活しよったし、大引も移籍したし。今年はええ線いくんちゃうか?他にも―――」
「正直艦娘の中で野球好きな人は少ないのでそこまでにして下さい。次の質問です」
「ぶー( ・ε・)」
「いくつなんですか。そんな顔しないで下さい。次は―――『この前私が参加した任務の報酬としてケッコンカッコカリ用の指輪が司令官に送られたという噂を聞いたのですが、司令官は誰に渡すおつもりですか?』候補としては今錬度が97のヴェールヌイちゃんか96の木曾さんか――95のイタリアさんですかね?ケッコンカッコカリすると燃費がよくなるらしいんでそこを考えたらやっぱりイタリアさんですか?」
「」
「いや何か言って下さいよ。」
「黙秘権を行使する。」
「困ります~。」
「では今から一人ごとをしゃべるから黙って聞いとけ。」
「勝手ですね~。今に始まったことじゃないんでいいですけど。」
「ほないくで。」
「明日から
俺は
馬鹿なことはやめる
俺は
真面目に生きる
遠慮はしない
頑張るだけだ
素直に生きる
きっとこのままでは
駄目人間になってしまうから」
―――え?
「・・・」
「何か言ってくれや(笑)」
「――自覚あったんですね。」
「今の言葉をそのまま受け取るなよ?」
「・・・」
「今ゆっくり一人ごと言ったからきっちりメモ取れてるやろ?」
「勿論です!私をなめないで下さい!」
「それの謎がとけたら今の質問の答えが分かるわ。」
「ええー何ですかそれー。」
「ほな用事あるで取材はここまでな。今日はバレンティンが帰ってくるからなー。中継見逃せんなー。」
――司令官、私をなめないで下さい。あなたが私に伝えようとしたことはちゃんと分かってます。あなたが顔が赤くなってるのを見られないように逃げたことも分かってます。
さっき名前は挙げてませんが私も候補の一人です。あなたは改二の計画すらない私をここまで育ててくれました。その真意は分かってるつもりです。
私もあなたのことが―――大好きです。
司令官の言葉の真意が分かったら話の意味が分かってもらえるかと思います
なるほど縦読みか
初作品なんでこんなもんで許して(笑)